信号を送信する場合には妨害電磁波が生じやすい。特に、信号を電磁波によって送信する場合には、送信した電磁波信号がそのまま妨害電磁波として、受信信号に影響を与える。このような場合にも、上記本発明のデジタル受信装置、その制御方法及びデジタル受信装置用プログラムによると、妨害電磁波によって受信信号に含まれることになる誤りが重なり合わず、単位長さ当たりの受信信号に含まれる誤りが少なくなるように送信期間が決定されるため、受信信号の処理後に所望の結果が得られやすくなる。
なお、上記の具体的な観点において、送信手段は回路部品群及び回路制御手段に対応しており、送信手段による送信は回路制御手段による回路部品群の制御に相当する。また、送信手段による送信における信号の強度は、回路制御手段の制御における動作パラメータの変更量に対応する。このような動作パラメータの変更には、回路部品群における消費電力等の動作条件の変更が含まれる。送信制御手段は主制御手段に対応しており、主制御手段が回路部品群を制御することによって発生するノイズの一つとして、送信制御手段が送信手段に信号を送信させることによって発生する妨害電磁波がある。これらの対応関係は下記においても成立する。
送信信号の強度や送信信号の長さによって、送信信号をそのまま送信すると誤りを訂正できない場合がある。このような場合にも、上記の構成によると、誤りが訂正可能となるような適切なタイミングで送信信号が分割されて送信される。これによって、受信信号の処理後に所望の結果が得られやすくなる。
また、本発明は、前記受信手段が受信する受信信号に前記送信手段が送信する送信信号が妨害電磁波として含まれることによって、前記今回の誤りが受信信号に含まれる場合にも適用され得る。例えば送信された信号をそのまま受信してしまうことによって受信信号に誤りが生じる場合に本発明が適用されることによって、誤りが訂正されやすくなるような送信の制御が行われる。
また、本発明は、前記非線形成分が相互変調歪及び混変調歪の少なくともいずれか一方による信号成分である場合にも適用され得る。相互変調歪や混変調歪は、受信信号に妨害電磁波が含まれ且つチューナの回路部品群が非線形な特性を示す場合にノイズの原因となり得るものである。このような場合にも本発明が適用されることにより、ノイズによって発生する誤りが訂正されやすいものとなるような送信の制御が行われる。
また、本発明においては、前記チューナが選局処理を施して出力した受信信号に含まれることになる前記非線形成分の強度及び周波数に基づいて、前記送信信号が送信した送信信号に由来する非線形成分が含まれることによって受信信号に含まれることになる前記今回の誤りの量を推定する誤り量推定手段と、前記誤り量推定手段が推定した前記今回の誤りの量に基づいて前記今回の誤りを前記誤り訂正手段が訂正できるか否かを判断する訂正可否判断手段とをさらに備えていることが好ましい。例えばチューナの回路部品群における非線形な特性があらかじめ把握されている場合には非線形成分の強度や周波数が算出され得る。そして、非線形成分の強度や周波数に基づくと、受信信号に発生する誤りの量が客観的に推定され得る。上記の構成によると、客観的に推定された誤りの量に基づいて訂正可否の判断が行われ、その判断に基づいて送信の制御が行われ得る。したがって、このような誤りの量の推定や訂正可否の判断が行われない場合と比べて、誤りが訂正されやすくなるようなより確実な送信の制御が行われる。
また、本発明においては、前記信号生成手段が生成した送信信号を前記送信制御手段が前記送信手段に送信させる際に発生する妨害電磁波によって受信信号に含まれることになる誤りを前記誤り訂正手段が訂正できるか否かを判断する訂正可否判断手段を有していることが好ましい。この構成によると、妨害電磁波によって受信信号に含まれることになる誤りが訂正できるものであるか訂正できないものであるかの判断が確実になされる。
また、本発明においては、前記訂正可否判断手段が、受信信号における変調方式及び符号化率の少なくともいずれか1つに基づいて前記誤り訂正手段によって訂正できる誤りの量の上限に係る基準値を導出する基準値導出手段を有しており、前記信号生成手段が生成した送信信号を前記送信手段が送信する際に発生する妨害電磁波によって受信信号に含まれることになる誤りの量が前記基準値導出手段が導出した前記基準値を超える場合に、前記受信信号に含まれることになる誤りを前記誤り訂正手段が訂正できないと判断することが好ましい。この構成によると、変調方式や符号化率等に基づいて訂正可否の判断が行われるため、受信信号の方式に適したより確実な判断がなされる。また、制御の際に受信信号に含まれることになる誤りの量と基準値とを比べることにより簡易に訂正可否の判断が行われるため、訂正可否の判断に必要な構造や工程が簡易なものになる。
また、本発明においては、前記チューナが選局処理を施した受信信号を復調する復調器をさらに備えており、前記復調器が変調方式及び符号化率の少なくともいずれか1つを受信信号から取り出すことが好ましい。この構成によると、訂正可否の判断に必要な情報が確実に取得され、訂正可否の判断に利用され得る。
本発明のデジタル受信装置は、基地局との間で位置登録に係る情報の通信を行う携帯通話装置等のデジタル処理装置に採用され得る。この場合、前記信号生成手段が生成する送信信号が、基地局に対して位置登録を行う際の位置登録に係る情報を示す信号に相当する。本発明のデジタル受信装置が上記のようなデジタル処理装置に採用されていることにより、単位長さ当たりの受信信号に含まれる信号の誤りが少なくなるように位置登録に係る情報の送信が行われる。このため、本発明のデジタル受信装置のような送信の制御を行わないデジタル処理装置に比べて、受信信号の処理後に所望の結果が得られやすい。
また、本発明のデジタル受信装置は、文字、画像、プログラムなどのデータ、及び音声の少なくともいずれか1つの再現処理を行う再現手段を有している携帯電話やデジタルTV等の様々なデジタル処理装置に採用され得る。このようなデジタル処理装置は本発明のデジタル受信装置によって誤りが訂正された受信信号から文字、画像、プログラムなどのデータ、音声等に係る情報を取得し、これらの文字等の再現処理を行う。本発明のデジタル受信装置が上記のようなデジタル処理装置に採用されていることにより、妨害電磁波を含むノイズによって単位長さ当たりの受信信号に含まれることになる誤りが少なくなる。このため、本発明のデジタル受信装置のような送信の制御を行わないデジタル処理装置に比べて、文字等に係る所望の情報が正確に取得されやすい。
なお、上記の本発明のデジタル受信装置用プログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)ディスク、フレキシブルディスク(FD)、MO(Magneto Optical)ディスクなどのリムーバブル型記録媒体や、ハードディスクなどの固定型記録媒体のようなコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して配布可能である他、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して配布可能である。また、これらのプログラムは、デジタル受信装置専用のものでなくてもよく、選局処理やデジタル復調処理に係るプログラムと組み合わせて使用されることにより汎用型のプロセッサをデジタル受信装置として機能させるプログラムであってもよい。
また、本明細書において「回路部品」とはデジタル受信装置の少なくとも一部分を構成する回路部品のことであり、「回路部品群」とは複数の回路部品の集合である。具体的には、例えば図4に示されているチューナ121が有する各部を構成する回路、及び、図7に示されている復調器122が有する各部を構成する回路や、これらの回路を構成する1個のトランジスタに等価な部品等、あらゆる単位の部品が回路部品に相当し得る。そして、例えば、回路部品がRFアンプを構成するトランジスタに等価な1つの回路であるとすると、RFアンプはこれらの回路部品が複数集まった回路部品群から構成されることになる。
以下は、本発明の好適な一実施形態である携帯通話装置100についての説明である。図1(a)は携帯通話装置100の概略を示している。
携帯通話装置100(デジタル処理装置)は本体に設けられたアンテナを通じて電波信号を受信し、通話を行う装置である。さらに、アンテナを通じてテレビ放送等の各種放送を受信したり、音楽やプログラム等のダウンロードを行ったりすることが可能である。
図1(b)は携帯通話装置100の概略的な構成を示している。携帯通話装置100は通話部110を有している。通話部110は図示されていないスピーカ等を有しており、アンテナを通じて通話を制御する。また、携帯通話装置100は復調部120及び画像等処理部140を有している。復調部120はアンテナを通じて外部から信号を受信し、受信した信号に復調処理を施す。例えば受信信号がテレビ放送に係るものである場合には、画像等処理部140は、復調処理が施された受信信号に基づき図示されていないディスプレイやスピーカ等を通じてオペレータにテレビ放送を供給する。あるいは、音楽やプログラムのダウンロードに係る受信信号である場合には、画像等処理部140は、復調処理が施された受信信号から音楽やプログラムに係るデータを取り出し、図示されていない記憶部に記憶する。
また、携帯通話装置100は、管理情報通信部130を有している。管理情報通信部130は、後述のように、アンテナを通じて基地局との間で位置登録情報等のやり取りを行う。また、携帯通話装置100は制御部150(主制御手段、送信制御手段)を有している。制御部150は、通話部110や管理情報通信部130等の携帯通話装置100に含まれる構成に係る全ての制御を統括する。
なお、携帯通話装置100は複数の回路部品群から構成されている。各回路部品群は、それぞれ独立した機能を果たすように特化された回路を有する複数の回路部品の集合であってもよいし、汎用のCPU、RAM等と下記の各機能を果たすようにCPUを機能させるプログラムとからなるものでもよい。後者の場合には、CPU等のハードウェア及びプログラムが組み合わされることによって、上記の復調部120や制御部150等が構築される。また、以下において説明される復調部120の誤り訂正部36や、管理情報通信部130の通信部132のそれぞれも、これらの回路部品群から構成されている。
<受信信号>
以下は、テレビ放送やプログラムのダウンロード等のために携帯通話装置100が受信する信号Srについての説明である。本実施形態の一例としては、信号Srの伝送において日本の地上波デジタル放送に係る伝送方式が採用された場合が示される。この場合、携帯通話装置100が受信する信号Srは、ISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式に係るものである。ISDB−T方式の伝送方式には、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が採用されている。
なお、本実施形態に係る携帯通話装置100の受信信号は、インターリーブと誤り訂正とを組み合わせて採用している信号であれば良い。したがって、上記のISDB−T方式の他、欧州のDAB(Digital Audio Broadcasting)、DVB−T(Digital Video Broadcasting-Terrestrial),DVB−H(-Handheld)方式、韓国のDMB(Digital Multimedia Broadcasting)方式、無線LANに用いられるIEEE802.11a/b/g/n方式が採用されたものでもよい。さらに、インターリーブと誤り訂正とを採用したアンテナの無いケーブルTV等に適用されてもよい。なお、OFDM方式のようなマルチキャリア方式ではなく、単一の搬送波が採用された伝送方式や、CDMA(Code Division Multiple Access)方式など、色々な伝送方式が本実施形態に適用されてもよい。
OFDM方式とは以下のような伝送方式である。まず、この方式はデータの搬送に複数の異なる周波数の搬送波が用いられるマルチキャリア方式である。そして、OFDM方式で用いられる搬送波は相互に直交する波形を有している。ここで、「2つの波形が直交する」とは、時間に対する波の強度を表すそれぞれの関数同士を掛け合わせ、一周期に相当する積分範囲で時間積分したもの(内積)がゼロになることをいう。
データ送信の際には、送信されるデータの各値に応じて変調された複数の搬送波が重ね合わされた変調信号が形成される。つまり、送信されるデータに含まれる複数のデータ値の配列順に従って各データ値が異なる搬送波に振り分けられる。そして、振り分けられたデータ値に応じて搬送波が変調され、変調された複数の搬送波が重ね合わされることによりOFDM信号が形成される。OFDM方式においてこのようにOFDM信号を形成することは、逆フーリエ変換を行うことと同等である。なお、以下の説明において、有効シンボル長とはOFDM方式で用いられる搬送波の周波数間隔の逆数をいう。
次に、直接波以外の遅延波の影響を削減するため、上記のように変調された複数の搬送波が重ね合わされた変調信号にはさらにガードインターバルが挿入される。ガードインターバルは、上記の変調信号において有効シンボル長あたりの信号ごとに、この信号の一端部における一部が複写され、他端部に挿入されたものである。このようにガードインターバルが挿入された変調信号が、OFDM信号として送信される。
有効シンボル長の信号とガードインターバルの長さとからなる信号は、1シンボルと呼ばれる。OFDM信号はこのような複数のシンボルが連なって構成される。OFDM信号と時間的に遅延して受信側に到達する遅延波とが重ね合わされた信号が受信された場合には、異なるシンボルに含まれる信号が重なり合った部分が受信信号に含まれる。ガードインターバルは、このように異なるシンボルに含まれる信号が重なり合っていない部分を取り出すために用いられている。
また、地上波デジタル放送においては、OFDM信号によって伝送されるデータに対して、伝送経路で発生する雑音や干渉波によって発生する誤りを訂正するための符号化が行われる。符号化にはリードソロモン符号(RS符号)とビタビ符号とが用いられる。地上波デジタル放送で用いられるRS符号においては、伝送される204バイトのデータのうち、後ろ16バイト分がチェックビットであり、204バイト中最大8バイトの誤りが訂正可能である。
また、ビタビ符号においては、符号化後の伝送されるnビットに対して、符号化前のデータがkビットのときの符号化率をk/nとして、1/2から7/8が日本の地上波デジタル放送では規格化されている。これらRS符号化及びビタビ符号化されたデータを元に戻すために、受信側ではRS復号及びビタビ復号が行われる。本実施形態において、「誤り訂正が可能」とは、復号の後でのビット誤り率が所定値以下となる場合をいう。例えば、RS復号後のビット誤り率が1×10−11以下となる場合が、RS復号及びビタビ復号による誤り訂正が可能な場合である。
一方、伝送経路の状態によっては、伝送信号に対して時間的又は周波数的に誤りが連続的に集中するバースト誤りが発生する場合がある。上記のようなRS符号化の誤り訂正によってある長さの信号に発生する誤りを訂正する場合、この長さの信号あたりにおける訂正可能な誤り数には限界があることから、上記のようなバースト誤りが発生すると、誤りの訂正が不可能となる場合がある。またビタビ符号化において、バースト誤りのように、集中して誤りがあった場合は、誤った符号化訂正を行ってしまい、かえって誤りが増えてしまう場合もある。
地上波デジタル放送においては、このように伝送信号にバースト誤りが発生した場合にも誤り訂正が可能となるように、伝送信号によって伝送されるデータに対して種々のインターリーブ処理が施される。インターリーブには、ビットインターリーブ、バイトインターリーブ及び時間インターリーブや周波数インターリーブがあり、伝送信号に含まれる信号に対応するデータを時間や周波数的に並べ替えるものである。特に、時間的に連続する複数の信号を時間的に並べ替える目的のため、時間インターリーブがある。また、周波数的に連続する複数の搬送波を周波数的にランダムに並べ替えるため、周波数インターリーブがある。例えば、時間インターリーブ及び時間インターリーブが行われたデータを元に戻す時間デインターリーブは以下のように行われる。
図2は、時間インターリーブ及び時間デインターリーブの一例を示す模式図である。図2においては、インターリーブ及びデインターリーブ処理が施される前後の3つの信号が示されている。これらの3つの信号は、図2に示されているように、時間的に連続する複数のシンボルSbからなる。
変調された複数の搬送波からなるOFDM信号Sは、時間インターリーブにより、シンボルSbの長さに対応するデータごとに、あらかじめ決められた順序に従って、図2のように並べ替えられる。このように並べ替えられたデータに対応する信号が送信されると、伝送経路の状態によって、信号の一部にバースト誤り201が発生する。そして、この信号が受信されると、受信側で時間デインターリーブが行われる。時間インターリーブによりいったん並べ替えられたデータが、時間デインターリーブにより再び元の順序に戻される。ここで、伝送経路において複数のシンボルに跨って発生したバースト誤り201は、時間デインターリーブによりシンボルごとの誤り202のように分散される。
図2に示されているように、時間インターリーブによって各シンボルは時間インターリーブ前の時間的な位置よりも後ろの位置に移動するように並べ替えが行われる。また、各シンボルにおける周波数の異なる搬送波に含まれる信号は、並べ替え後の信号におけるそれぞれ別の時間的な位置に含まれることとなる。
このように、時間的に誤りが集中するバースト誤りが発生した場合でも、時間デインターリーブ後には誤りが分散されるため、誤り訂正が可能となる。
バイトインターリーブにおいては204バイトのRS符号化の単位でデータが分散されるように、バイト単位の信号の並べ替えが行われる。また、ビットインターリーブにおいてはビット単位で信号の並べ替えが行われる。さらに、周波数インターリーブにおいては、OFDM信号に含まれる各搬送波を跨ぐようにシンボルの並べ替えが行われる。
地上波デジタル放送においては、このほか、データの偏りによる伝送信号のエネルギーの偏りを防ぐため、エネルギー拡散が行われる。エネルギー拡散は、擬似ランダムデータと伝送信号に係るデータとのビット単位の排他的論理和をとって、データをランダム化することにより行われる。
<復調部>
以下は、上記のようなOFDM信号を受信して復調処理を施す復調部120についての詳細な説明である。図3は復調部120の概略的な構成を示すブロック図である。復調部120はチューナ121及び復調器122を有している。チューナ121は復調器122と電気的に接続されている。また、チューナ121はアンテナと電気的に接続されており、アンテナを通じて信号を受信する。そしてチューナ121は受信した信号Srの増幅等を行い、信号SrをIF(Intermediate Frequency:中間周波数)信号Siに変換して復調器122へと送信する。復調器122はチューナ121から送信されるIF信号を受信し、受信したIF信号に復調処理を施し、TS(Transport Stream)信号等を形成して出力する。
<チューナ>
以下は、チューナ121についての説明である。図4はチューナ121の構成を示す図である。
チューナ121はRFアンプ部21、ミキサ部22、VCO・PLL部23、フィルタ部24及びIFアンプ部25を有している。チューナ121が受信した信号SrはRFアンプ部21によって増幅されてミキサ部22に送られる。一方、VCO・PLL部23は、制御部150から送られたチャンネル制御信号に従って、特定のチャンネルに相当する周波数に基づくミキシング信号を形成する。VCO・PLL部23が形成したミキシング信号はミキサ部22に送られる。そして、ミキサ部22は、RFアンプ部21から送られた信号Srと、VCO・PLL部23から送られたミキシング信号とを混合し、IF周波数に応じたIF信号を形成する。
ミキサ部22が形成したIF信号はフィルタ部24に送られる。フィルタ部24はミキサ部22から送られたIF信号から不要な信号成分を除去する。不要な信号成分が除去されたIF信号SiはIFアンプ部25に送られ、IFアンプ部25によって増幅されて復調器122へと送信される。
<妨害波による誤り>
ところで、外部に対する通信が行われる際、通信のための電磁波が携帯通話装置100の動作に影響を及ぼす。例えば、上記のように位置登録に係る通信が行われる場合、基地局に対して送信される大きな電磁波信号(妨害波)が、受信したい周波数帯域の信号(所望波)以外の信号として受信信号Srに含まれることになる。以下は、このように大きな妨害波があった場合にチューナ121の受信に及ぶ影響についての説明である。
チューナ121を構成する回路部品群において歪が発生し、信号xを入力したときに出力yが得られる場合、入力信号x(t)に対する出力信号y(t)は、下記の数式1によって表現される。
数式1において、1次及び3次以外の歪は小さい。数式2は、簡単のため入出力の関係が1次と3次の項のみで近似されたものである。
それぞれの強度と周波数とがA1及びω1並びにA2及びω2で表される2つの正弦波が入力されたとする。数式3は、このときの入力信号を示している。
数式4は、数式2に数式3が代入されたものである。
数式5は、数式4が展開された結果である。
さらに数式5が展開されると、数式5において周波数がω1およびω2である成分は数式6で表されるものになる。
また、周波数が2ω1±ω2である成分は数式7で、周波数がω1±2ω2である成分は数式8で表されるものになる。
ここで、強度A1及びA2で表される上記の入力信号が2つの妨害波であるとする。このとき、出力信号のスペクトルには、周波数が2ω1−ω2及びω1−2ω2の成分として数式7及び数式8で表される成分が含まれることになる。これらの成分は相互変調歪と呼ばれる。数式7及び数式8に示されているように、相互変調歪の強度はそれぞれ3/4α3A1 2A2及び3/4α3A1A2 2である。図5(a)には、出力信号のスペクトルに含まれるこのような相互変調歪が示されている。所望波の周波数帯域に相互変調歪の周波数が一致すると、このような相互変調歪が所望波の受信を妨げるノイズとなる。
次に、強度A1で示される入力信号が所望波であり、強度A2で示される入力信号が妨害波であるとする。このとき、出力信号のスペクトルには、所望波自体の周波数であるω1の成分として数式6で表される成分が含まれることになる。この成分は混変調歪と呼ばれる。数式6に示されているように、混変調波の強度は3/2α3A1A2 2である。図5(b)にはこのような混変調歪が示されている。所望波の他に妨害波が入力信号に含まれる場合には、所望波自身の周波数成分として混変調歪によるノイズが必ず発生する。
このように、所望波以外に妨害波が入力信号に含まれる場合、例えば、位置登録に係る通信によって送信される信号が妨害波となる場合には、妨害波とチューナを構成するRFアンプ部21、ミキサ部22、フィルタ部24及びIFアンプ部25の回路部品群の非線形性とに起因して、所望波の周波数帯域にノイズが発生する。このため、チューナから出力されるIF信号Siにはノイズが重畳されることになる。
回路部品群の3次の非線形性を現す指標としてIIP3(3rd order Input Intercept Point)がよく用いられる。以下はIIP3についての説明である。図6はIIP3を説明するための図である。
上記のとおり、2つの妨害波が入力される場合には相互変調歪が生じる。図6(a)は、回路部品群において、強度が共にAinであり周波数がそれぞれω1及びω2(ω1≠ω2)の2つの正弦波からなる信号が入力された場合の出力信号のスペクトルを示している。出力信号において所望波であるω1及びω2の成分はα1倍に増幅されて出力されており、出力信号の1次の成分である。さらに回路部品群における非線形の3次の成分、すなわち相互変調歪(IM3)による成分が出力されている。
図6(b)には、入力信号の強度に対する所望波の強度のグラフと入力信号の強度に対する相互変調歪によるノイズの強度のグラフとが示されている。所望波の強度は入力信号の強度に比例し、相互変調歪(IM3)は入力信号の強度の3乗に比例する。入力信号に対して1次に比例する所望波の大きさと3次に比例する相互変調歪(IM3)による成分の大きさとが一致する入力信号の大きさはIIP3、出力の大きさはOIP3(3rd order Output Intercept Point)と定義され、回路部品群の非線形性を現す指標として使われている。所望波の出力強度はα1Ainであり、相互変調歪による成分の強度は3/4α3Ain 3であるので、IIP3は以下のように求められる。
よって、強度が共にAinの2つの妨害波が入力された場合の相互変調によって生じる歪の強度は、IIP3を用いて以下のように求められる。
さらに強度がA1の所望波と強度がA2の妨害波が入力された場合の混変調によって生じる所望波周波数に発生する歪の強度は、IIP3を用いて以下のように求められる。
<復調器>
以下は、復調器122についての説明である。図7(a)は復調器122の構成を示すブロック図である。
復調器122は、ADC部31、AFC・シンボル同期部32、FFT部33、フレーム同期部34、検波部35、波形等化部37及び誤り訂正部36を有している。復調器122は、IF信号に復調処理及び誤り訂正処理を施す。
チューナ121から送信されたIF信号はADC部31に入力される。ADC部31は、アナログ信号である入力されたIF信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をAFC・シンボル同期部32へと送る。AFC・シンボル同期部32は、ADC部から送られたデジタル信号に対してフィルタ処理などの補正処理等を行う。そして、AFC・シンボル同期部32は、後述のFFT部33によるフーリエ変換の開始点、つまり、シンボル同期点を決定する。そして、同期が取られたデジタル信号をFFT部33へと送る。さらにAFC・シンボル同期部32は、有効シンボル長を示すモードに係る情報を導出する。ここで有効シンボル長を示すモードには、モード1(有効シンボル長252μs)、モード2(有効シンボル長504μs)及びモード3(有効シンボル長1008μs)がある。
なお、シンボル同期点の決定においては、遅延して到達する遅延波等の影響が最も少ない最適な受信が可能な点が同期点として設定される。このような同期点の決定方法として、信号の相関を参照する方法や、パイロット信号を用いて位相のずれを補正する方法等が用いられる。
FFT(Fast Fourier Transform)部33は、AFC・シンボル同期部32から送られたデジタル信号をフーリエ(時間−周波数)変換する。このフーリエ変換には、いわゆる高速フーリエ変換(FFT)が一般的に用いられる。復調器122が復調処理を施すデジタル信号はOFDM信号である。上記の通り、OFDM信号は逆フーリエ変換された波形、すなわち、データ値に応じて変調された複数の搬送波が重ね合わされた波形を有している。FFT部33は、このように重ね合わされた波形から、データ値に応じて変調された複数の搬送波をフーリエ変換によって取り出す。そして、FFT部33は、各搬送波に振り分けられた各データ値に対応するデジタル信号を、元のデータの配列に相当する配列順で時間的に並ぶように並べ替える。これによって、OFDM信号形成前の元のデータに対応するデジタル信号を再形成する。そして、FFT部33はこのデジタル信号をフレーム同期部34へと送る。
フレーム同期部34は、FFT部33から送られたデジタル信号におけるフレーム単位での同期をとる。1フレームは例えば204のシンボルからなり、1フレームの信号から一まとまりのTMCC情報が取得される。フレーム同期部34によって同期が取られたデジタル信号は波形等化部37へと送られると同時に、検波部35へも送られる。
波形等化部37は、デジタル信号に含まれるスキャッタードパイロット信号等に基づき、フレーム同期部34によって同期が取られたデジタル信号に対して波形等化を行う。そして、波形等化によって信号補正を施した後、データ値に相当するデジタル信号に復調し、復調したデジタル信号を誤り訂正部36へと送る。また、波形等化部37は、デジタル信号に含まれるスキャッタードパイロット信号等に基づき波形等化が施された各搬送波のコンスタレーションと規定値との差を導出する。そして、導出したコンスタレーションと規定値との差から、受信信号のMER(Modulation Error Ratio)あるいはCN比に係る情報を取り出す。このように取り出されたMERやCN比に係る情報は制御部150に送られる。
一方、検波部35はデジタル信号に含まれるTMCC情報を取り出す。取り出されたMERあるいはCN比とTMCCに係る情報とは制御部150へと送られる。TMCC情報には、64QAM、16QAM、QPSK等のキャリア変調方式、畳み込み符号化率(1/2、2/3、3/4、5/6、7/8)、ガードインターバル長等の伝送方式に係る情報が含まれる。また、ガードインターバル長として、有効シンボルの1/4,1/8,1/16及び1/32の長さが採用される。
誤り訂正部36は、図7(a)に示されているように、デインターリーブ部41、復号部42及びエネルギー逆拡散部43を有している。デインターリーブ部41は波形等化部37から送られたデジタル信号にデインターリーブ処理を施す。デインターリーブ部41は、図7(b)に示されているように、周波数デインターリーブ部51、時間デインターリーブ部52、ビットデインターリーブ部53及バイトデインターリーブ部54を有している。これらのデインターリーブ部51〜54は、それぞれ上述のような種々のインターリーブに対応する、周波数デインターリーブ、時間デインターリーブ、ビットデインターリーブ、及び、バイトデインターリーブを行う。種々のインターリーブ処理が施されたデジタル信号が、これらのデインターリーブ処理によりインターリーブ前のデジタル信号に戻される。
復号部42は、波形等化部37から送られたデジタル信号を復号する。復号部42は、図7(c)に示されているように、ビタビ復号部61及びRS復号部62を有している。これらの復号部61及び62は、それぞれ上記のようなビタビ復号及びRS復号を行う。これらの復号によって、ビタビ符号化及びRS符号化が施されたデジタル信号が符号化前のデジタル信号に戻される。
エネルギー逆拡散部43は、検波部35から送られたデジタル信号をエネルギー拡散される前のデジタル信号に戻す。
これら種々のデインターリーブ、復号及びエネルギー逆拡散は、送信側で行われた種々のインターリーブ、符号化及びエネルギー拡散の順番に対応する順番で行われる。ISDB−Tの場合には、周波数デインターリーブ、時間デインターリーブ、ビットデインターリーブ、ビタビ復号、バイトデインターリーブ、エネルギー逆拡散及びRS復号の順に行われる。
なお、誤り訂正部36は、訂正した誤りの数に基づき、デジタル信号のビット誤り率を算出する。算出されたビット誤り率は制御部150へと送られる。このビット誤り率は、ビットデインターリーブ処理が施された直後の信号のビット数に対する、ビタビ復号及びRS復号によって訂正されたビット数の割合であってよい。あるいは、バイトデインターリーブ処理が施された直後の信号のビット数に対する、RS復号によって訂正されたビット数の割合であってもよい。
<管理情報通信部>
以下は、管理情報通信部130(送信手段)についての詳細な説明である。管理情報通信部130は携帯通話装置100の管理情報をやり取りするための通信を行う。このような管理情報には例えば位置登録に係る情報がある。携帯通話装置100は基地局との通信を通じて通話を行う。この場合、基地局との確実な通信を確保するためには、携帯通話装置100と基地局との相対的な位置関係に係る情報が基地局及び携帯通話装置100の双方において把握されなければならない。このため、携帯通話装置100と基地局との間では位置登録に係る情報のやり取りが行われる。
例えば、携帯通話装置100は、携帯通話装置100の現在位置に対応する基地局を示す情報を定期的に受信している。このような受信を行うことにより、携帯通話装置100は現在通信を行うべき基地局を判断する。そして、通信を行うべきであると新たに判断した基地局が、前回の受信において通信を行うべきであると判断した基地局と異なる場合には、新たな基地局との間で位置登録を行うための通信がなされる。
上記の通信を行うため、管理情報通信部130は、図8(a)に示されているように位置登録通信制御部131及び通信部132を有している。通信部132は基地局との間で情報の通信を行う。位置登録通信制御部131(回路制御手段)は基地局に位置登録を行うために図8(b)に示されているような通信シーケンスに基づく通信を通信部132に行わせる。
図8(b)に示されている通信シーケンスは以下のようなものである。まず、基地局に対して通信チャンネルの起動要求が行われる(S1)。次に、基地局からチャンネルの起動に関するパラメータが通知される(S2)。そして、通知されたパラメータに基づいて位置登録通信制御部131がチャンネルの起動を完了すると、基地局に対してチャンネルの起動完了が通知される(S3)。
次に、起動されたチャンネルで基地局に対して位置登録の要求が行われる(S4)。これに対して、基地局からは携帯通話装置100の認証が要求される(S5)。そして、携帯通話装置100から認証に係る応答がなされる(S6)と、基地局において位置登録がなされる。そして、基地局から携帯通話装置100に対して位置登録に係る応答がなされる(S7)。
次に、位置登録に係る通信に用いられたチャンネルを開放する要求が基地局からなされる(S8)。位置登録通信制御部131は基地局に対してチャンネル開放の完了を通知し(S9)、シーケンスが完了する。
<妨害波による誤り>
ところで、外部に対する通信が行われる際、通信のための電磁波が携帯通話装置100の動作に影響を及ぼす。例えば、上記のように位置登録に係る通信が行われる場合には、基地局に対して送信される電磁波信号が、携帯通話装置100が受信するTV放送等に係る受信信号に妨害波として混入し、チューナ121を構成する回路部品群において上述の相互変調歪や混変調歪が発生する場合がある。そして、これらのノイズによって復調部120が取り扱う信号Siに誤りが発生することがある。
例えば、図9は2回の通信によって相互変調歪や混変調歪が発生し、信号Siに誤りが発生した場合を示している。図9においては、信号Siに含まれる複数のシンボルSbのうち、Sb1及びSb2のそれぞれに相当するタイミングで誤りが発生した場合が想定されている。また、それぞれの誤りが1シンボルの範囲内に収まっている場合が想定されている。曲線91はこのような場合に信号Siに含まれることになる誤りの量を示している。曲線91にはSb1及びSb2のタイミングにおいて誤りのピーク81及び82が発生していることが示されている。
このような信号Siに発生する誤りは、上記のように、誤り訂正部36のデインターリーブによって分散される。曲線92は、時間デインターリーブ後の信号Sdに含まれている誤りの量を示している。曲線92には、上記の信号Siに含まれている誤りのピーク81及び82は、それぞれ時間インターリーブ長Liの範囲に亘って信号Sd内に分散されていることが示されている。
図9に示されているように、2回の通信のタイミングが接近していると時間デインターリーブ後の信号Sdにおいて誤りが分散される範囲が重複する。このような場合、信号Sdにおいて単位時間当たりの長さに相当する信号Sdに含まれる誤りが重複部分で多くなるため、誤り訂正部36において誤り訂正がなされても、誤りが十分に訂正されていないおそれがある。
<適切な通信制御>
上記のような妨害波によって発生する誤りが訂正されやすくなるようにするために、制御部150は以下のように管理情報通信部130を制御する。上記のように誤りが十分に訂正されないような事態が生じるのは、時間デインターリーブ後の信号Sdにおいて2つの誤りのピークが分散される範囲が重複するためである。したがって、信号Sdにおいて誤りが訂正されやすくなるようにするためには時間デインターリーブによって誤りが分散される範囲である時間インターリーブ長以上各誤りのピークの位置が離されればよい。
上記のような考え方に基づき、制御部150は各誤りが時間インターリーブ長以上時間的に離れるように管理情報通信部130による送信のタイミングを決定する。そして、決定したタイミングに基づいて管理情報通信部130に位置登録に係る情報の送信を行わせる。
具体的には以下のような制御が行われる。図10(a)の曲線93は信号Siに含まれることになる誤りの量を示している。そして、現時点より時間インターリーブ長Liよりも近い過去の時刻T1において位置登録に係る送信が行われたとする。Sb3にはこのときの送信によって曲線93に誤りのピーク83が生じている。このような場合、制御部150は、以前の送信タイミングである時刻T1から時間インターリーブ長Li以上時間的に離れたSb4に相当する時刻T2を、位置登録に係る情報の送信タイミングに決定する。そして、時刻T2に位置登録に係る情報を送信するように管理情報通信部130を制御する。
このように、直近の過去において位置登録に係る送信が行われたタイミングから時間インターリーブ長以上経過したタイミングで送信が行われることにより、以前の送信によって信号Sdに含まれることになる誤りと今回の送信によって信号Sdに含まれることになる誤りとが重なり合わなくなる。したがって、単位長さ当たりの信号に含まれる誤りの量が、誤りの重複が生じている場合の誤りの量よりも少なくなり、誤り訂正部36によって誤りが訂正されやすくなる。
<訂正可否判断>
ところで、信号Sdに含まれることになる誤りが誤り訂正部36によって訂正可能か否かの判断がなされた上で上記のような制御がなされた方が好ましい。例えば、図10(a)に示されている基準値が、信号Sdに含まれることになる誤りの量について、誤り訂正部36が誤りを訂正できる上限であるとする。図10(a)に示されているように、時刻T1に発生した誤りのピーク83が単独で分散される場合には訂正可能であるが、さらに別の誤りが重複することによって基準値を超える場合には訂正できなくなる。このような判断がなされた場合にはじめて上記のように位置登録に係る情報を送信するタイミングの調整がなされることが好ましい。これによって、必要な場合に限ってタイミングの調整がなされることになり、不要な場合にもタイミングの調整がなされる場合と比べて位置登録に係る送信に必要な時間が短縮される。
以下は、本実施形態において制御部150が行う訂正可否の判断についての説明である。制御部150はまずキャリアの電力とノイズの電力とのCN比を算出する。ノイズには位置登録に係る送信によって発生するものがある。つまり、妨害波によって発生する誤りの原因となるノイズである。また、このようなノイズ以外にも、元から受信信号Srに含まれるノイズとチューナ121が信号Srを受信してIF信号Siに変換するまでに発生するノイズとの合計のノイズがある。前者のノイズの電力をNiとし後者のノイズの電力をNoとすると、まず、キャリアの電力Cd及び後者のノイズの電力Noは、復調器122から送られるMERやCN比に係る情報から算出される。
次に、前者のノイズNiは、位置登録に係る所定の送信が行われたと仮定した場合に信号Siに発生することとなる仮想的なノイズの大きさから推定される。位置登録に係る送信は定型的なシーケンスに基づいてなされるものであり、どのようなノイズが発生するかはあらかじめ推定され得る。
したがって、送信信号(妨害波)の周波数及び強度、送信期間の長さ、信号Siにおける所望の周波数及びその周波数成分の強度、並びに、チューナ121を構成する回路部品群のIIP3、増幅度及び周波数特性から、数式10、数式11に従い、信号Siに発生するノイズの電力を算出することが可能である。例えば、位置登録に係る送信における送信信号が妨害波となる場合の上述の相互変調歪や混変調歪に起因して発生するノイズの強度から算出される。
このように算出されたノイズの電力Niは、ノイズによって信号Siに含まれることになる誤りの量に対応している。つまり、上記のように制御部150がノイズの電力を算出することは、ノイズによって信号Siに含まれることになる誤りの量を制御部150が推定することと等価である(誤り量推定手段)。なお、送信信号の強度等とノイズの電力との関係をテーブルや関数として保持しており、これらのテーブルや関数に基づいてノイズNiを推定するという構成を制御部150が有していてもよい。
そして、上記のように導出されたキャリア及びノイズの電力Cd、Ni及びNoから、CN比が以下の数式12のように算出される。なお、以下の説明に当たっては、特に断りがない限り、復調器122が信号を受信するまでに発生するノイズに時間的な変化がなく、受信状況が安定している場合が想定されている。
一方、信号Siには時間デインターリーブ処理が施されるためノイズNiによる影響は信号Sdにおいて分散される。このように信号Sdにおいて分散されたノイズNiを評価するため、数式13で表される等価CN比が導入される。ここで、nは時間インターリーブ長Liの範囲に含まれるシンボル数を表す。
ここで、キャリアの電力Cd及びノイズの電力Noには、時間インターリーブ長当たりの電力の平均値が用いられてもよい。キャリアの電力Cd及びノイズの電力Noのそれぞれが上記の通り比較的安定であるときには誤りを訂正できるか否かの判断に平均値が用いられてもその判断に大きなずれがないからであり、相当の期間に亘って測定された測定値の平均が用いられることにより、正確な測定値を用いた判断がなされることになるからである。一方で、キャリアやノイズの電力が安定しない場合には、時間インターリーブ長より短い期間の平均値が用いられてもよい。この場合には、時間インターリーブ長の平均値が用いられる場合より、受信状況の変化に即応した判断がなされることになる。
次に、制御部150は上記の数式13に基づいて算出した等価CN比との比較の対象となる基準値を導出する。この基準値は誤り訂正部36が訂正できる誤りの限界の量に相当するものである。信号に発生するノイズが大きくなると上記の等価CN比が小さくなり、ある値以下になると誤り訂正部36が誤りを訂正しきれなくなる。上記の基準値はこのような等価CN比の下限に相当する。なお、誤りの量を基準として訂正の可否が判断される場合には、このような基準値は誤りの量の上限を示すことになる。つまり、図9や図10に示されている基準値に相当する。
一方、訂正可能な値はキャリア変調方式や畳み込み符号の符号化率等によって異なる。このため、制御部150は、キャリア変調方式等と基準値との対応関係を示すテーブルを保持しており、復調器122から受け取ったTMCC情報に係る情報と上記のテーブルとから適正な基準値を導出する(基準値導出手段)。
また、信号Siの受信状況の安定度に応じて異なる基準値が設定されていてもよい。つまり、受信状況が安定な場合には小さな基準値が、受信状況が不安定な場合には大きな基準値が設定されていてもよい。基準値が大きく設定される場合には、訂正可能という判断がなされる場合の判断の信頼性が向上する。したがって、短時間にキャリアやノイズの電力が大きく変化するような場合においても余裕のある基準で判断がなされ、信号が不安定な場合に適した制御が確保される。信号Siの受信状況が安定な場合には、短時間にキャリアやノイズの電力が変化しないと考えられるため、訂正可能な最小値に近い値に設定されてよい。これによって、実際には訂正可能であるのに訂正不可能と判断されることによる制御部150の無駄な制御が省かれる。
そして、制御部150は、等価CN比と基準値とを比べて等価CN比が基準値以上の場合には誤りの訂正が可能であると判断し、等価CN比が基準値を下回る場合には誤りの訂正が不可能であると判断する(訂正可否判断手段)。
なお、復調器122からのCN比に係る情報でなくコンスタレーションの規定値からのずれを示すMERを用いて訂正可否が判断されてもよい。あるいは、ノイズ成分がガウス雑音であると仮定して、数式2に示される等価CN比がMERから等価的に求められてもよい。あるいは、復調器122からのビット誤り率に基づいて訂正可否が判断されてもよい。この場合には、制御部150は位置登録に係る送信によって信号に含まれることになる誤りの量をビット誤り率として推定し、上記の基準値をビット誤り率として算出する。そして、これら復調器122からのビット誤り率、推定された誤りの量及び算出された基準値に基づいて訂正可否の判断がなされる。
このような訂正可否の判断の具体例は以下のとおりである。図10(a)の時刻T1以降に位置登録に係る送信が予定されているとする。このとき、まず位置登録に係る送信によって信号Siに含まれることになる誤りの量が推定される。具体的には上記の通り信号Siに含まれることになるノイズの電力として推定される。推定された電力がN1であったとする。
現時点が時刻T1より時間インターリーブ長Liだけ経過する前である場合には、時刻T1に行われた前回の送信によって信号Siに含まれることになったノイズの電力N2の影響と送信によるノイズの電力N1の影響とが、信号Sdにおいて重複する。2つのノイズの影響が重複する場合には、重複部分の等価CN比Rは、数式2よりR=10log[nCd/(nNo+N1+N2)]と算出される。
一方で、誤り訂正部36が訂正可能な誤りの基準値R0が、復調器122からのTMCC情報等に基づいてR0=10log[nCd/(nNo+Nb)](ただし、Nb<N1+N2)と導出されたとする。このとき、R0>Rであり、制御部150は、上記のノイズN1とノイズN2とが重複すると訂正不可能となると判断する。したがって、位置登録に係る送信は前回の送信の時刻T1から時間インターリーブ長Li以上経過した時刻T2に行われるように送信期間が決定される。
ところで、図10(a)においては時刻T1における直近の送信から時間インターリーブ長Li以上経過した時刻T2に送信するように送信期間が決定されている。しかし、常に時間インターリーブ長以上経過してから送信するような送信の制御がなされなくてもよい。例えば、図10(b)には、時刻T3及びT4のそれぞれにおいて位置登録に係る送信が行われる場合が示されている。時刻T3から時刻T4までの時間は時間インターリーブ長Liより短い。曲線95にはこのときに信号Siに含まれることになった誤りが示されており、曲線96には時間デインターリーブによる分散後の誤りが示されている。そして、曲線96には、時刻T3の送信によって生じた誤りのピーク85と共に、時刻T4で送信を行う場合に生じる誤りのピーク86が示されている。
この場合、制御部150は、時刻T3の送信によって信号に含まれることになった誤りと時刻T4の送信によって信号に含まれることになる誤りとの合計の誤りが訂正可能か否かを判断する。そして、図10(b)に示されているように、時刻T4で送信が行われても合計の誤りが基準値を超えないと判断した場合には、時間インターリーブ長以上時刻T3から経過していなくても今回の送信を行ってよいと判断する。
また、時間インターリーブ長以上経過したか否かの判断において、常に直近の送信が基準となる必要はない。例えば、曲線96には、時刻T4から時刻T5(時刻T3から時間インターリーブ長Liだけ経過した時刻)までの範囲に亘って、誤りのピーク85及び86の分散された範囲が重複しているのが示されている。したがって、この範囲内でさらに位置登録に係る送信を行うと、全部で3つの誤りが重複することになり、訂正が可能な限界の基準値を超えてしまう。
しかし、曲線96に示されているように時刻T5からは2つの誤りが重複していない。したがって、時刻T3から時間インターリーブ長Liだけ経過した時刻T5以降の時刻、例えば時刻T6に位置登録に係る今回の送信が行われるように送信期間が決定されれば、信号Sdに分散された誤りが訂正可能な基準値を超過することがない。このように、新たに送信を行うことで信号Sdに含まれることになる誤りが訂正可能な範囲に収まるように送信期間が決定されるのであれば、直近のタイミングである時刻T4を基準とする必要はない。
あるいは、送信する信号の強度を変更することができるような構成を管理情報通信部130が有している場合には、制御部150は、送信のタイミングと共に信号の強度を決定する。つまり、今回の送信を行うことで信号Sdに含まれることになる誤りが訂正可能な範囲に収まらないと判断した場合には、制御部150は、誤りが訂正可能な範囲に収まるような信号の強度を決定する。
以上のように、今回の送信によって信号Sdに含まれることになる誤りを訂正できないと判断した場合には、制御部150は、送信期間及び信号の強度のいずれか、あるいは両方を誤りが訂正可能となるように決定する。ここで、今回の送信によって信号Sdに含まれることになる誤りと以前の送信によって信号Sdに含まれることになる誤りとが信号Sdにおいて重複する範囲の単位長さ当たりの誤りの量が最も大きくなる。このため、制御部150は、このような重複範囲において訂正可否の判断を行い、重複範囲において誤りが訂正可能となるように送信期間及び信号の強度の少なくともいずれか一方を決定する。
なお、位置登録に係る各送信のタイミングは、送信によって信号Siに含まれることになる誤りのピークがちょうどシンボルの先頭のタイミングで開始するように決定されることが好ましい。これによると、信号Siに含まれることになる誤りのピークが影響を与えるシンボルが最小限に抑えられる。例えば、図10において、誤りのピーク83〜87のそれぞれは、Sb3〜Sb7のそれぞれのシンボルの先頭から開始している。これによって、誤りのピーク83〜87のようにその幅がシンボルの幅に収まる場合には、各ピークが影響を与える範囲が1シンボルの範囲に抑えられる。
<分割送信>
上記においては、位置登録に係る送信によって信号Siに含まれることになる誤りが1回のみの送信によるものである場合、つまり、複数の送信による誤りが重複したものでない場合には誤り訂正部36による誤りの訂正が可能となる場合が想定されている。以下は、1回の送信によって誤りの訂正が不可能となる場合における制御部150による制御の説明である。
なお、このように、1回の送信によって誤りの訂正が不可能となるのは、1つには送信における信号の強度が大きいことによる。また1つには送信すべき情報が多く、1回で送信するためには送信期間が長くなることによる。下記の説明においては主に後者の原因による場合が説明されるが、強度が大きいことによって訂正不可能となる場合であっても同様の処理がなされる。
図11(a)の曲線191には、1回の送信によってSb8、Sb9及びSb10の3つのシンボルに亘って誤りのピーク181が信号Siに発生している様子が示されている。このような場合には、曲線192に示されているように、ちょうど3つのシンボルの誤りが重複した時刻T8〜時刻T9の範囲において信号Sdに含まれることになる誤りが最大となる。図11(a)に示されているように、1回の送信期間が長い場合には、誤り訂正部36が訂正可能な基準値を超える誤りを信号Sdが含むことになる場合がある。
そこで、制御部150はこのような位置登録に係る情報を複数回に分割して送信するように管理情報通信部130を制御する。具体的には、まず位置登録に係る情報についての信号を複数に分割する。このとき、分割されたそれぞれの情報を送信する際に訂正不可能となる誤りが信号Siに含まれることにならないような長さをそれぞれの送信期間が有するように、情報が分割される。例えば、所定の強度で信号が送信される際に、ある長さ以上の送信期間で送信されると訂正不可能な誤りが信号Siに含まれることになるとする。この場合には、分割信号のそれぞれがこの長さよりも短い送信期間となるように情報が分割される。
図11(b)の曲線193には、このように分割された2つの分割信号が送信された場合に信号Siに含まれることになる誤りの量が示されている。曲線193には、一方の分割信号の送信による誤りのピーク182aがSb11及びSb12に跨って表れている。また、曲線193には、他方の分割信号の送信による誤りのピーク182bがSb13の範囲内に表れている。誤りのピーク182a及び182bのいずれも、曲線194に示されているように分散後の信号Sdにおいて基準値を超えないため、訂正可能である。
次に、それぞれの分割信号を送信する送信タイミングが決定される。このとき、それぞれの分割信号の送信によって信号Sdに分散されることになる誤りが、これらの誤りが重複して訂正不可能な誤りとならないような送信タイミングが決定される。例えば、図11(b)の曲線194において、誤りのピーク182aが分散された範囲の誤りは基準値を超えていない。しかし、誤りのピーク182bが分散される範囲が誤りのピーク182aの分散範囲に重複すると基準値を超える誤りが生じることになる。
したがって、制御部150は、一方の分割信号に対応する誤りのピーク182aが開始する時刻T10から時間インターリーブ長Liだけ経過した時刻T11から、さらに1シンボル分以上の時間が経過した時刻T12を、他方の分割信号の送信タイミングに決定する。誤りのピーク182aは2シンボルに跨っているため、誤りのピーク182aの開始時点から時間インターリーブ長Liに加えてさらに1シンボル分の時間が経過する時点までピーク182aの影響が信号Sdに及ぶためである。
時刻T11を経過した直後に他方の分割信号の送信を行っても信号Sdに含まれることになる誤りが基準値を超えることがないと判断された場合には、他方の分割信号の送信タイミングが時刻T11に決定されてもよい。つまり、信号Sdにおいて誤りの分散範囲が重複するか否かに関わらず、信号Sdに含まれることになる誤りが訂正可能な範囲に収まるように送信タイミングが決定されればよい。
なお、分割信号の送信を行う際の訂正可否の判断は上記と同様に行われる。つまり、各分割信号の送信期間及び信号の強度等に基づいて、分割信号によって信号Siに発生するノイズの電力が推定される。そして、推定されたノイズの電力から等価CN比が算出され、基準値との比較によって訂正の可否が判断される。図11において等価CN比が算出される際に、図10の場合と異なり複数のシンボルに亘ってノイズの影響が及ぶことが考慮される。しかし、1回の送信によって発生するノイズの影響が隣り合う複数のシンボルに亘って及ぶ場合と、複数回の送信によって発生するノイズの影響のそれぞれが隣り合う複数のシンボルに及ぶ場合とは、信号Sdに及ぼす影響においては、違いがほとんど生じない。隣り合う複数のシンボルに影響を与えるノイズが1回の送信によって発生するものであろうと複数回の送信によって発生するものであろうと、時間デインターリーブによって各シンボルの影響が信号Sdにおける時間インターリーブ長の範囲内に平均的に分散されるからである。
<制御の手順>
図12は制御部150及び管理情報通信部130による位置登録に係る情報の送信の手順を示すフローチャートである。なお、図12に示されている一連の手順は、図8(b)に示されている通信シーケンスにおける送信ステップごとに行われる。例えば、図8(b)のS4において位置登録要求が行われる際には図12に示される手順で送信が行われ、S9においてチャンネル開放完了通知が行われる際にもまた図12に示される手順で送信が行われる。
まず、制御部150は、図8(b)に示される各ステップにおいて、基地局に送信すべき情報に係る送信信号を生成する(信号生成手段)。例えば、S1のチャンネル起動要求においては、チャンネルを起動する際に基地局との間であらかじめ定められた形式の情報に係る信号を生成する。そして、その送信に必要な送信信号の強度、送信信号の周波数、送信期間の長さ、現在受信している信号の強度及び周波数、回路部品群のIIP3や増幅度等に基づいて、送信によって信号Siに新たに生じることになるノイズの電力を推定する(S11)。そして、推定したノイズの電力に基づいて上記のように等価CN比を算出し、基準値との比較によって、生成した信号を1回で送信する際に発生する妨害波によって信号Sdに含まれることになる誤りを誤り訂正部36が訂正できるか否かを判断する。
信号Sdに含まれることになる誤りを誤り訂正部36が訂正できると制御部150が判断した場合には、信号を分割せず1回で送信することができるため、信号の分割が必要ないと判断する(S12、不要)。そして、制御部150は送信のタイミングを決定する(S13)。送信のタイミングは、上記の通り、以前の送信によって信号Sdに含まれることになった誤りを考慮して、訂正可否の判断に基づいて訂正が可能となるように決定される。そして、制御部150は、決定した送信タイミングになるまで管理情報通信部130を待機させる(S14、NO)。送信タイミングになったと判断した場合には(S14、YES)、管理情報通信部130にS10で生成した信号を送信させる(S15)。そして、位置登録に係る情報の送信が終了する。
一方、S12において、信号Sdに含まれることになる誤りを誤り訂正部36が訂正できない、つまり信号を分割する必要があると判断した場合には、制御部150は、S10において生成した信号を分割し(S16)、各分割信号の送信タイミングを決定する(S17)。信号の分割及び送信タイミングの決定は、上記の通り訂正可否の判断に基づいて、各分割信号の送信によって信号Sdに含まれることになる誤りが訂正可能となるように行われる。
そして、制御部150は、決定した送信タイミングに基づいて各分割信号を順に管理情報通信部130に送信させる(S18〜S20)。つまり、最初の分割信号の送信タイミングになるまで管理情報通信部130を待機させる(S18、NO)。そして、最初の分割信号の送信タイミングになったと判断した場合に(S18、YES)、最初の分割信号を管理情報通信部130に送信させる(S19)。全ての分割信号を送信し終わったかどうかを判断し、まだ送信し終わっていなければ(S20、NO)、次の分割信号の送信(S18、S19)を行わせる。このようにして分割信号を順に送信させ、全ての分割信号を送信し終わったと判断した場合には(S20、YES)、送信処理を終了する。
<変形例>
以上は、本発明の好適な実施の形態についての説明であるが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
例えば、上述の実施形態は携帯通話装置に係るものであったが、その他のデジタル処理装置として、デジタルTV、無線LAN装置、無線LANを搭載したPC等に採用されてもよい。つまり、これらのデジタル処理装置において、誤りが訂正された受信信号から文字、画像、プログラムなどのデータ、音声等に係る情報が取得され、これらの文字等の再現処理が行われる。
また、上述の実施形態ではインターリーブ前の時間的位置よりも後に各シンボルが位置するようにシンボルの並べ替えが行われる時間インターリーブについて説明されている。しかし、信号における所定範囲のブロック内で並べ替えが行われるブロックインターリーブが採用されている場合に本発明が適用されてもよい。また、時間デインターリーブと同じようにインターリーブ前の時間的位置よりも後に各シンボルが位置するような並べ替えが行われるバイトデインターリーブが行われる場合に本発明が適用されてもよい。
または、周波数デインターリーブの処理に応じて上述のような制御がなされてもよい。この場合には、例えば、訂正可否判断部92は、周波数デインターリーブによって分散された後の誤りを誤り訂正部36が訂正可能かどうかを判断する。または、周波数デインターリーブによって誤りが分散される範囲に応じて、制御を行うかどうかや何回制御を行うか等が判断される。
また、上述の実施形態では位置登録に係る送信のタイミングを決定する際に、送信によって信号に含まれることになる誤りを訂正できるかどうかを判断した上でタイミングを決定することが好ましいとされている。しかし、訂正可否の判断が行われずに常に直近の送信から時間インターリーブ長以上離れたタイミングに送信タイミングが決定されてもよい。これによって、訂正可否の判断が行われなくても常に信号Sdにおいて誤りの分散される範囲が重複しなくなるため、送信によって信号に含まれることになる誤りが確実に訂正されやすいものとなる。
また、上述の実施形態では、位置登録に係る送信による送信信号が妨害波となって、信号Siに混変調や相互変調による誤りが付加される場合が想定されている。しかし、妨害波が発生する要因は位置登録の送信のみに留まらない。例えば、管理情報通信部130が位置登録以外の管理情報に係る送信を行った場合や、携帯通話装置100のいずれかの回路部品群における動作パラメータを制御部150が変更した場合、通話(発話)による送信電波等、電磁波の発生源となるあらゆる回路部品群における制御によって妨害波が発生し得る。したがって、制御部150が妨害波の発生するタイミングを把握し得る限り、どのような制御を行う場合にも本発明が適用され得る。
また、妨害電磁波が発生する原因は、なんらかの情報を送信する場合に限られない。例えば、本発明に係るデジタル処理装置と他の電気機器との組み合わせによって構成される装置において、デジタル処理装置が受信する受信信号の周波数帯と他の電子機器から発生される電磁波の周波数帯とが接近している場合には本発明に係る課題が常に生じ得る。したがって、このような装置に本発明が適用される場合、電子機器から発生される電磁波が妨害電磁波となることによって受信信号に発生する誤りが訂正されやすいものとなるように、電子機器の制御が行われる。