JP4557596B2 - 外用貼付剤およびその製造方法、並びにその使用方法 - Google Patents
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本発明におけるゲル組成物2を構成する基材、溶媒などは、従来から医薬品、医薬部外品、化粧品あるいは衛生材料の分野で使用されてきたものであるか、若しくは人体に有害な影響をもたらさずこれらの分野で使用可能と考えられるものであれば、特に限定されることはない。
本発明に用いるゲル組成物2の粘着力には、対ベークライト90°剥離粘着力として測定した値を用いる。測定方法は下記の通りである。ゲル組成物2を20mm幅×150mm長さの短冊状にして、試験片を作成し、該試験片の粘着面をベークライト板に貼付し、23±5℃、湿度55±15%にコントロールされた恒温室で1時間静置後、JIS−Z0237の測定条件に準じて90°剥離粘着力を測定する。なお、測定にあたっては、試験装置にレオメーターCR200D((株)サン科学製)を用い、試験板にベークライト板(住友ベークライト(株)製)を用いた。
(1)10×10cmの試験片を、その質量1mgまで測定する。
(2)適切な大きさの容器に溶媒を入れ、23±5℃、湿度55±15%にコントロールされた恒温室で試験片を15分間浸漬し、ピンセットで試験片を溶媒中から取り出して、1分間溶媒を滴り落とした後、その質量1mgまで測定する。ここでいう溶媒とは、薬液6を調製する際に使用した溶媒と同様のものをいう。例えば、薬液6が水溶液であるならば、溶媒として精製水を用いて測定を行う。
(3)次の式によって保液率を算出し、更にその平均値を求め、JIS Z8401によって小数点以下1桁にまとめる。
m=(m2−m1)/s/1000
m=保液量(g/m2)
m1=試験片の標準状態での質量(mg)
m2=試験片を湿潤し、溶媒を滴り落とした後の質量(mg)
s=試験片の面積(100cm2=0.01m2)
本発明におけるゲル組成物2は、外用貼付剤1として皮膚に貼付するものであるから、シート状であることが必要とされる。ゲル組成物2をシート状とするためには、硬化前のゲル組成物を、剥離可能な剥離シートの上に展延するか2枚の剥離可能な剥離シートに挟み込んで、ローラーなどにより延ばしながら、或いは延ばした後に、ゲル組成物を硬化させる方法を用いることができる。本方法によれば、本工程で用いた剥離シートのうちのひとつは、そのまま本発明における剥離シート3とすることができるので、工程数を少なくすることができる。
本発明において、ゲル組成物2に含有する薬剤成分としては、医薬品、医薬部外品、化粧品あるいは衛生材料の分野で使用されてきたものであり、かつ経皮吸収能を有するものであれば、特に限定されることはない。例えば、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
本発明の外用貼付剤1では、ゲル組成物の皮膚貼付面の反対側の表面である外側表面を覆う支持体5を設けなくてもよいという利点がある。ただし、ゲル組成物2の種類や含水量などによっては、強度が十分ではない場合もあるので、当該ゲル組成物2に開口率の大きな透明または半透明な支持体5を内在させることが好ましい場合がある。支持体5を内在させた外用貼付剤の様態の概要を図2に示した。ただし、図2は支持体5がゲル組成物2に内在されている様子を表したものであり、支持体5の開口率が大きいことからも分かるように、支持体5はゲル組成物2を上下2層に分断させるものではない。この場合、開口率の大きな透明または半透明の基材としては、次式[数1]で表される1m2当たりの、繊維による仮定上の遮蔽面積N(m2/m2)が、
0.05≦N≦2.0
の範囲内にあることが好ましい。
ここで、[数1]式中、Wは布状基材の単位面積当たりの重量(g/m2)、dは構成する繊維のデニール繊量、ρは繊維の構成成分の密度(g/cm3)である。
本発明における剥離シート3は、ゲル組成物2を保護する目的の他、滴下した薬液6を保持するための受け皿となるため、該薬液6を透過させないことが必要となる。また、この剥離シート3は、熱成形するなどして凹部を形成して、そこにゲル組成物2を作成してもよい。剥離シート3に用いられるものとしては、従来から医薬品、医薬部外品、化粧品あるいは衛生材料の分野で使用されてきたものであるか、若しくは人体に有害な影響をもたらさずこれらの分野で使用可能と考えられるものであれば適宜用いられる。例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン、ポリエチレン等の疎水性樹脂素材を単独で材料とするか、或いは複数の前記疎水性樹脂を複合した素材を材料とした樹脂フィルムや、表面をシリコン処理した紙等は、本発明が目的とする関連分野においても汎用的に使われており、液不透過性、価格の点からも好ましい。
本発明では、薬液拡散材4を有するため、ゲル組成物2を被覆している薬液拡散材4の上から、薬液6を滴下などの方法で添加すると、薬液6は、当該薬液拡散材4を通じてゲル組成物2全体に拡散するので、薬剤成分をゲル組成物2中に均一に浸透させることができる。この様子を概念的に図3に示した。薬液拡散材4にはこのような役割があるので、当該薬液拡散材4に用いる材料は、薬液6が透過するものである必要があり、そのためには該薬液拡散材4は、一秒あたりの通気量が、250cc/cm2(以下、一秒あたりの通気量の単位を「cc/cm2/sec」と表記する。)以上である必要がある。さらには通気量400cc/cm2/sec以上であることが好ましい。もし、通気量が250cc/c m2/sec未満である場合は、薬液6がシート部剤を透過しなかったり、薬液6が均一に薬液拡散材4中に拡散しないため、ゲル組成物2への薬剤の浸透が阻害されたり、或いは浸透が不均一になったりする恐れがある。ここで本発明における通気量は、JIS L1906に定められる通気性試験(フラジール法)を行い、測定した値をいう。
本発明の外用貼付剤1には、ゲル組成物2に薬剤成分を十分浸透させるため、ゲル組成物2からの水分蒸発を防ぐため、或いは持ち運びの利便のために、当該外用貼付剤1を包装する包装材を設けることが好ましい。この場合用いられる包装材としては、該外用貼付剤1に含有される成分が揮発しないようにバリア性のあるものが好ましく、例えばアルミ蒸着、アルミ箔等のバリア層が具備されたフィルム等が挙げられる。
本発明の外用貼付剤1を使用する方法としては、外用貼付剤1の薬液拡散材4に、薬剤成分を含む薬液6を添加し、一定時間保管した後、ゲル組成物2から、剥離シート3と前記薬液拡散材4とを剥離し、該ゲル組成物2を皮膚に貼り付ける方法がある。また既に薬剤成分がゲル組成物2中に含有されている外用貼付剤1については、当該ゲル組成物2から剥離シート3と薬液拡散材4とを剥離し、該ゲル組成物2を皮膚に貼り付ける使用方法もある。
以下の製造方法により、目元用シート化粧料としての外用貼付剤1を作成した。表1に示すもののうち、酸溶液を除く成分を混合して均一にした。酸溶液を混合する前の配合物は乳濁した粘ちょうな液体であった。そして、この液状混合物と酸溶液を混合して均一にした。
不織布
通気量780cc/c m2/sec以上(測定限界以上)単位面積当たりの保液量(溶媒:精製水)58g/m2 材質PET
実施例1の薬液拡散材4を以下の不織布に変更した以外は、実施例1と同様にして、目元用シート化粧料としての外用貼付剤1を得た。
不織布
通気量780cc/c m2/sec以上(測定限界以上)単位面積当たりの保液量(溶媒:精製水)141.2g/m2 材質レーヨン
実施例1の薬液拡散材4を以下の不織布に変更した以外は、実施例1と同様にして、目元用シート化粧料としての外用貼付剤1を得た。
不織布
通気量300cc/c m2/sec 単位面積当たりの保液量257.9g/m2(溶媒:精製水)材質PET
実施例1の薬液拡散材4を以下の布帛に変更した以外は、実施例1と同様にして、目元用シート化粧料としての外用貼付剤1を得た。
布帛
通気量280cc/cm2/sec 単位面積当たりの保液量(溶媒:精製水)270g/m2 材質PET
表3に示すものをよく撹拌し、これを剥離シート3(PETフィルム:厚さ100μm)上にTダイ状の吐出ノズルから、約2mmの厚みで展延した。その上に支持体5として単位面積当たりの重量17g/m2の6−ナイロン製の織布をしわにならないよう広げて乗せて、繊維を配合物中に十分浸漬させ、更に、カバーフィルム(PETフィルム:厚み38μm)をこの上に被せて、その上からプレス板を用いて全体が1.0mmになるようにスペーサーを挟んでプレスした後、50mW/cm2の強度の紫外線を60秒照射して重合反応させ、ゲルを硬化させた。このように作成したゲル組成物2のベークライトに対する90°剥離粘着力は、190g/20mmであった。この様にして得られたゲル組成物2をもとに、以下は実施例1と同様にして目的とする目元用シート化粧料としての外用貼付剤1を得た。
薬液拡散材4を使用せずに、直接ゲル組成物2上に薬液6を滴下したこと以外は、実施例1と同様にして、目元用シート化粧料としての外用貼付剤1を得た。
実施例1の薬液拡散材4を以下の不織布に変更した以外は、実施例1と同様にして、目元用シート化粧料としての外用貼付剤1を得た。
不織布
通気量180cc/c m2/sec 単位面積当たりの保液量(溶媒:精製水)141.2g/m2 材質レーヨン
実施例1の薬液拡散材4を以下の不織布に変更した以外は、実施例1と同様にして、目元用シート化粧料としての外用貼付剤1を得た。
不織布
通気量190cc/cm2/sec 単位面積当たりの保液量(溶媒:精製水)413.7g/m2 材質PET
従来の外用貼付剤と同様に、薬剤成分をプレミックスし、ゲル組成物2を外側から覆う支持体5として強度のあるものを用いた目元用シート化粧料としての外用貼付剤1を以下の製造法により作成した。
(薬液拡散材の評価法)
通気量、および保液率は前記の通り、 JIS L1906に定められる通気性試験、および保水率の測定に準拠する方法で測定した。
実施例1〜5、比較例1〜3について、薬液6にかえて、染料水溶液を1cc滴下して得られたゲル組成物2を透明な密閉容器に入れ、室温にて3日間静置し、水溶性染料のゲル組成物2への拡散度合いを目視にて確認し、評価した。なお、染料水溶液は赤色102号および黄色4号をイオン交換水に溶解させ、調製した。その結果を図4および表5の「染料の拡散」の欄に示す。なお、図4の写真は、実施例については実施例1の場合を代表として示したが、実施例2〜5も実施例1同様、染料はほぼ均一に拡散していた。また添付した図4の写真は、本来染料拡散の様子を容易に把握できるようにカラー写真で撮影したものであるが、本明細書添付の都合上、白黒写真となってしまったものである。
薬液6を1cc浸透させたゲル組成物2をアルミ包材で包装し、23±5℃、湿度55±15%にコントロールされた恒温室で1日間、3日間、7日間静置した。その後、ゲル組成物2中から薬剤成分(GDK)を抽出した後、該抽出液中の薬剤成分の量を島津製作所(株)製HPLC LC−10Avpにて定量分析を行い、ゲル組成物2へ浸透した薬液量を計算した。その結果を図5および表5の「薬液浸透量」の欄に示す。なお、表5には飽和状態に達した3日後の薬液の浸透量のみを示した。
専門パネラー10名を用いて、試作品の官能特性を1ヶ月間の連用試験で評価した。評価項目としては、それぞれの目的を満たす効果が認められたか否かをアンケート方式で評価した。効果が認められない場合を0点とし、効果が認められた場合を5点とし、その間を計4段階で評価し、全員の評価点数の平均点数(小数点以下四捨五入)をもって、評価結果とした。よって、点数が高いほど評価が高いことになる。なお項目としては、今回使用した薬剤成分(GDK)の効果効能、および使用感(視覚的効果・フィット感)を評価した。その結果を表5の「官能評価」の欄に示す。
2 ゲル組成物
3 剥離シート
4 薬液拡散材
5 支持体
6 薬液
Claims (8)
- ゲル組成物、剥離シート及び薬液拡散材を少なくとも有する外用塗布剤であって、
前記ゲル組成物はシート状であり、
前記剥離シートは、前記ゲル組成物の一方の表面を、剥離可能な状態にて被覆しており、
前記薬液拡散材は、前記ゲル組成物の他方の表面を、剥離可能な状態にて被覆しており、保液量が30〜300g/m2でかつ通気量が1秒間あたり250cc/cm2以上の不織布である外用貼付剤。 - 前記ゲル組成物は、少なくとも一方の表面に、液体が付着しているものである請求項1記載の外用貼付剤。
- 前記ゲル組成物の少なくとも一方の表面の粘着力が、200g/20mm以下である請求項1または2に記載された外用貼付剤。
- 前記ゲル組成物は、少なくとも一方の表面が粘着力のないものである請求項1または2に記載された外用貼付剤。
- 前記ゲル組成物中に、透明または半透明であって、かつ次式[数1]で表される仮定上の遮断面積N(m2/m2)が0.05以上、2.0以下の値を有する支持体が内在している請求項1〜4のいずれかの項に記載された外用貼付剤。
- 前記ゲル組成物の形状が、勾玉形状である請求項1〜5のいずれかの項に記載された外用貼付剤。
- 前記ゲル組成物の基材が親水性のアクリル系高分子であり、
前記薬液拡散材が、疎水性樹脂素材を単独で材料とする、或いは複数の疎水性樹脂を複合した素材を材料とする不織布であり、
前記剥離シートが、疎水性樹脂素材を単独で材料とする、或いは複数の疎水性樹脂を複合した素材を材料とするシートである
請求項1〜6のいずれかの項に記載された外用貼付剤。 - 前記ゲル組成物は、薬剤成分が含有されたものである請求項1〜7のいずれかの項に記載された外用貼付剤。
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