JPH0725659B2 - シート状含水パック剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、紫外線、汗、ほこりなどで荒れた皮膚を正常
に戻すことを目的とした整肌および美容のためのパック
剤に関する。

（従来の技術） 従来のパック剤は、泥状物を皮膚に塗布し、乾燥した
後、洗い流すか、剥がすかして使用していた。このよう
なパック剤では、塗布時に手指が汚れ、又乾燥に時間が
かかるなどの欠点があった。この欠点を除くべく、近
年、ポリアクリル酸及び／又はポリアクリル酸塩と架橋
剤からなる架橋型含水ゲルを不織布上に塗布したシート
状パック剤が開発され（特開昭58−180408号公報）、又
フィルム状物の片面にα化澱粉、ポリアクリル酸ソー
ダ、カルボキシメチルセルローズ、メチルセルローズ、
ゼラチン、カゼインなどわずかの水分により粘着性を発
現する皮膚に無害な糊料の乾燥薄層或は該糊料の微粉末
の分散した層を設け、使用時には水を付与するシート状
のパック剤が開発され（特開昭60−165902号公報）てい
る。

しかし、パック剤は、皮膚表面の汚れを吸着除去し、肌
を滑らかにする皮膚調整用の基礎化粧料であって、その
使用時には空気を遮断し、皮膚表面に分泌される皮膚成
分を空気酸化させることなくパック剤層の下に蓄積さ
せ、表皮を潤軟にし、又細胞間隙や皮孔を広げてパック
剤内の有効成分の吸収を促すものであり、そのため、パ
ック剤は皮膚に密着し、皮膚を覆う層は緻密で透過性が
小さい必要がある。従来のシート状パック剤については
この点が未だ不十分であるとされていた。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は、使用時に水を付与するなどの必要がなく、使
用が簡単であり、又皮膚への密着性、パック剤層の緻密
性を改善したシート状含水パック剤を目的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明は、アルギン酸とポリビニルピロリドンとを重量
比で1:2〜1:3の割合で溶解させた水溶液をシート状支持
体に含侵させ、該水溶液をアルギン酸の架橋剤によって
架橋型含水ゲル化させてシート状支持体状に保持させて
なり、且つ該含水ゲルに美肌成分が配合されていること
を特徴とするシート状含水パック剤である。

本発明における前記のシート状支持体に保持された架橋
型含水ゲルは、アルギン酸とポリビニルピロリドンの混
合の水溶液を、所定の形に切断したシート状支持体をセ
ットした容器に流し込んで、該シート状支持体に該混合
水溶液を含侵させ、次いでこれを架橋剤水溶液、例えば
塩化カルシウム水溶液で処理し、該混合水溶液をゲル化
して作る。架橋型含水ゲルがシート状支持体にしっかり
保持されたシート状含水パック剤が得られる。

この架橋型含水ゲルにおいては、アルギン酸の分子間に
カルシウムによる架橋が形成され、そして分子間架橋し
たアルギン酸の三次元網状構造がゲル化骨格を形成し、
ポリビニルピロリドンの分子がアルギン酸との水素結合
によりゲル内に内蔵された状態となる。又、このゲルは
90％以上の水を含むことが出来る性質を持つので、美肌
成分をゲル内に導入することができる。

本発明のシート状含水パック剤においては、分子間が架
橋されたアルギン酸の三次元網状構造内にポリビニルピ
ロリドンの水溶液が内蔵されているので、パック剤の層
が緻密になり、又このパック剤は、使用時に含水ゲルよ
りポリビニルピロリドン水溶液が皮膚面に供給されてパ
ック剤の皮膚への密着性がよくなる。そのためパック効
果が著しく向上する。また使用後、皮膚面からパック剤
を取り去っても、ポリビニルピロリドンの被覆が皮膚面
に形成されるので、皮膚の保湿効果が保持できる。ポリ
ビニルピロリドンはアルギン酸のゲルに柔軟性を与える
作用もするので、パック剤の使用時の感触が良くなる。

また、本発明のシート状含水パック剤には美肌成分を含
ませたので、使用時にポリビニルピロリドンの水溶液と
共に皮膚に作用し、美肌効果を発揮する。ポリビニルピ
ロリドンは、含水ゲルへの柔軟性付与、皮膚への保湿効
果が優れているので好ましい効果を与える。アルギン酸
とポリビニルピロリドンとの配合比は1:2〜1:3の範囲で
ある。ポリビニルピロリドンの配合比がアルギン酸に対
して２より少ないとゲルは硬くなりすぎ、また３より大
きいと軟らかすぎてパック剤に適さない。架橋剤として
はアルギン酸を分子間架橋し、ゲル化し得るものが用い
られ、各種多価金属塩が使用できるが、カルシウムの
塩、例えば塩化カルシウムが好ましい。また美肌成分と
しては、Ｌ−セリン、Ｌ−アスパラギン酸等のアミン
酸、塩化リゾチーム等の酸素が使用される。

シート状支持体としては、フィルム、紙、不織布、布帛
などが用いられるが、含水ゲルの保湿性、価格の点から
して不織布を使用するのが好ましい。又、不織布は含水
ゲルを保持させるものであるため、親水性であることが
好ましく、したがって不織布は再生セルローズ繊維等の
親水性繊維で構成されたものが好ましい。

本発明のシート状含水パック剤は、その保存時に発揮性
成分が揮散しないように、使用時までは密封容器内、例
えばアルミニウム・ラミネート袋などに保存しておくこ
とが好ましい。使用には、密封容器内から取り出し、直
ちに皮膚に当接できるので簡便である。

実施例 アルギン酸ナトリウムの１％水溶液とポリビニルピロリ
ドンの１％水溶液を1:3に混合する。所定の形に切断し
た再生セルローズ繊維不織布を容器内に置き、これに上
記混合液を流し込み、不織布に混合液を含ませる。混合
液を含んだ不織布を、0.5モル濃度の塩化カルシウム水
溶液に30分間浸漬してゲル化し、その後水洗いして過剰
の塩化カルシウムを除去する。

Ｌ−アスコルビン酸、Ｌ−セリン、Ｌ−アスパラギン
酸、塩化リゾチームを各々２重量％およびメチルパラベ
ン（ｐ−オキシ安息香酸メチル）を0.2重量％含有する
ように10％アルコール水溶液に加え美肌成分水溶液を調
整し、これに洗浄したゲルを１日間浸漬して美肌成分を
含浸させる。本発明のシート状含水パック剤が得られ
る。

（発明の効果） 本発明のシート状含水パック剤は、このまま直ちに使用
でき簡便である。そして、生体に非刺激性のアルギン酸
を架橋型含水ゲルの原料に用い、又生成した架橋型含水
ゲルにポリビニルピロリドン水溶液を内蔵させたから、
シート状支持体上に形成されたパック剤の層は柔軟性に
富み、緻密であり、又使用時には皮膚面に水溶性高分子
水溶液が供給されるので皮膚への密着性がよくなる。し
たがって、本発明のシート状含水パック剤は、皮膚への
刺激が少なく、パック剤層が柔軟且つ緻密で、又皮膚へ
の密着性がよいのでパック効果を高めることが出来る。

また、シート状含水パック剤は、ポリビニルピロリドン
水溶液を内蔵させたから、使用中にポリビニルピロリド
ン水溶液が皮膚に作用し、使用後該パック剤を皮膚から
取り除いても、皮膚面にポリビニルピロリドンの皮膜が
形成され、保湿効果を持続できる効果がある。

さらに、本発明のシート状含水パック剤には美肌成分を
含ませたから、使用時に美肌成分が皮膚に作用し、パッ
ク効果と同時に美肌成分の効果を発揮させることができ
る。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−69012（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−251607（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−127311（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−127312（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−3551（ＪＰ，Ａ) 特開 昭58−180408（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−165902（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−57508（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−176512（ＪＰ，Ａ) 特開 昭50−70533（ＪＰ，Ａ)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】アルギン酸とポリビニルピロリドンとを重
   量比で1:2〜1:3の割合で溶解させた水溶液をシート状支
   持体に含侵させ、該水溶液をアルギン酸の架橋剤によっ
   て架橋型含水ゲル化させてシート状支持体上に保持させ
   てなり、且つ該含水ゲルに美肌成分が配合されているこ
   とを特徴とするシート状含水パック剤。
2. 【請求項２】アルギン酸の架橋剤が塩化カルシウムであ
   る請求項第１項記載のシート状含水パック剤。