JP2005002061A - マトリックス型経皮吸収製剤の製造方法 - Google Patents

マトリックス型経皮吸収製剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】常温で粉末状および/または結晶状である昇華性および/または熱分解性の薬物を、基材シートと剥離ライナーとの間に挟持されたマトリックス中に配合してなるマトリックス型経皮吸収製剤の簡易かつ安定な製造方法を提供すること。
【解決手段】基材シートまたは剥離ライナーのいずれか一方の表面にマトリックスを形成する第1工程、形成したマトリックスに薬物を添加する第2工程、薬物を添加したマトリックスの表面に基材シートまたは剥離ライナーの他の一方を貼付する第3工程からなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温で粉末状および/または結晶状である昇華性および/または熱分解性の薬物を、基材シートと剥離ライナーとの間に挟持されたマトリックス中に配合してなるマトリックス型経皮吸収製剤の簡易かつ安定な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
マトリックス型経皮吸収製剤は、基材シートの表面に形成された、粘着剤を主体とするマトリックス中に薬物を配合してなるものであり、マトリックスの粘着性を利用して皮膚に貼付して使用される。マトリックス型経皮吸収製剤の構成自体はよく知られており、これまでにも各種の薬理作用を有する薬物を含むマトリックス型経皮吸収製剤が提案されている(例えば下記の特許文献1を参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公昭60−59206号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
マトリックス型経皮吸収製剤は、所定量のマトリックスの構成成分(粘着剤や架橋剤など)と薬物を均一に混合して薬物含有粘着剤溶液を調製し、これを基材シートの表面に塗工してから乾燥することでマトリックスを形成して製造される。このような製造方法において、基材シートの表面に塗工した薬物含有粘着剤溶液の乾燥工程は、通常、100℃前後で行うことから、高温で昇華したり熱分解したりする薬物に対しては、昇華や熱分解を引き起こし、結果として製剤中の薬物含有量の低下を招くといった問題を有する。従って、現在、このような性状を有する薬物を含むマトリックス型経皮吸収製剤の製造に際しては、製剤中の薬物含有量が規格値を下回らないように、過度の増量仕込みを行って対応している。また、薬物含有粘着剤溶液の乾燥工程によって薬物が熱分解することで、形成したマトリックス中にその分解物が含まれてしまった場合、製剤の保管期間にマトリックス中に含まれる分解物が反応開始点となって薬物が更に分解するといった現象を招くことがある。このような事情に鑑み、高温で昇華したり熱分解したりする薬物を含むマトリックス型経皮吸収製剤の簡易かつ安定な製造方法が必要とされている。
そこで本発明は、常温で粉末状および/または結晶状である昇華性および/または熱分解性の薬物を、基材シートと剥離ライナーとの間に挟持されたマトリックス中に配合してなるマトリックス型経皮吸収製剤の簡易かつ安定な製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の点に鑑みてなされた本発明のマトリックス型経皮吸収製剤の製造方法は、請求項1記載の通り、常温で粉末状および/または結晶状である昇華性および/または熱分解性の薬物を、基材シートと剥離ライナーとの間に挟持されたマトリックス中に配合してなるマトリックス型経皮吸収製剤の製造方法であって、基材シートまたは剥離ライナーのいずれか一方の表面にマトリックスを形成する第1工程、形成したマトリックスに薬物を添加する第2工程、薬物を添加したマトリックスの表面に基材シートまたは剥離ライナーの他の一方を貼付する第3工程からなることを特徴とする。
また、請求項2記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、マトリックス中で薬物を可塑化または溶解させるための助剤成分を、第2工程を行う前にマトリックス中に配合しておくことを特徴とする。
また、請求項3記載の製造方法は、請求項1記載の製造方法において、マトリックス中で薬物を可塑化または溶解させるための助剤成分と薬物との混合物を用いて第2工程を行うことを特徴とする。
また、請求項4記載の製造方法は、請求項2または3記載の製造方法において、マトリックス中で薬物を可塑化または溶解させるための助剤成分が有機カルボン酸またはそのエステルであることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のマトリックス型経皮吸収製剤の製造方法は、常温で粉末状および/または結晶状である昇華性および/または熱分解性の薬物を、基材シートと剥離ライナーとの間に挟持されたマトリックス中に配合してなるマトリックス型経皮吸収製剤の製造方法であって、基材シートまたは剥離ライナーのいずれか一方の表面にマトリックスを形成する第1工程、形成したマトリックスに薬物を添加する第2工程、薬物を添加したマトリックスの表面に基材シートまたは剥離ライナーの他の一方を貼付する第3工程からなることを特徴とするものである。本発明のマトリックス型経皮吸収製剤の製造方法によれば、形成したマトリックスに薬物を添加するので、マトリックスを形成するための乾燥工程によって薬物が影響を受けることがない。従って、現行の製造方法のように、薬物の過度の増量仕込みが必要であったり、製剤の保管期間に薬物が分解するといったようなことがないので、高温で昇華したり熱分解したりする薬物を含むマトリックス型経皮吸収製剤を簡易かつ安定に製造することができる。
【0007】
本発明のマトリックス型経皮吸収製剤の製造方法における、基材シートまたは剥離ライナーのいずれか一方の表面にマトリックスを形成する第1工程は、例えば、所定量のマトリックスの構成成分(粘着剤や架橋剤など)からなる粘着剤溶液を調製し、これを基材シートまたは剥離ライナーの表面に塗工してから乾燥することで行えばよい。
【0008】
ここで、基材シートとしては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体などからなる合成樹脂フィルム、天然繊維、合成樹脂繊維、またはこれらの複合繊維からなる布帛・織物、織布、不織布、紙、合成紙、金属箔などの単層体やこれらの積層体などが用いられる。基材シートは、必要に応じてプライマー処理や撥水処理などの表面処理が施されたものであってもよい。基材シートの厚さは、通常、5〜4000μmであることが好ましく、10〜3000μmであることがより好ましい。薬物が昇華性物質である場合、基材シートはポリエチレンテレフタレートフィルムや金属箔積層体などの薬物非透過性のものであることが好ましい。
【0009】
また、剥離ライナーとしては、シリコーン系樹脂やフッ素系樹脂などの塗布によって剥離処理を施した紙、ポリエチレン樹脂などの合成樹脂をラミネートした紙、合成樹脂フィルムなどが用いられる。薬物が昇華性物質である場合、剥離ライナーはポリエチレンテレフタレートフィルムなどの薬物非透過性のものであることが好ましい。剥離ライナーの厚さは、通常、10〜200μmであることが好ましい。
【0010】
マトリックスの構成成分となる粘着剤としては、ゴム系、シリコーン系、アクリル系などの粘着剤が用いられる。ゴム系粘着剤としては、SIS、ポリブタジエン、NBRなどのゴム成分に、ロジン系、テルペン系化合物およびこれらのエステル化合物や水素添加物、石油樹脂などの粘着付与剤、流動パラフィン、プロセスオイルなどの油状成分を添加した混合物が用いられる。シリコーン系粘着剤としては、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサンなどが用いられる。アクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−ジエチルブチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシルの如き(メタ)アクリル酸エステルの一種または二種以上と、該エステルと共重合可能な(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチルの如き官能性モノマーとの共重合物などのアクリル系粘着剤などが用いられる。また、架橋剤としては、イソシアナート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤などの粘着剤に適合したものが用いられる。
【0011】
基材シートまたは剥離ライナーの表面に塗工する粘着剤溶液は、粘着剤と架橋剤を均一に混合することで調製する。粘着剤溶液は、粘着剤と架橋剤を有機溶媒に溶解して調製してもよい。粘着剤溶液における粘着剤と架橋剤の配合量は、通常、固形分比で粘着剤100重量部に対して架橋剤0.1〜20重量部であることが好ましい。基材シートまたは剥離ライナーの表面にマトリックスを形成する方法としては、有機溶媒に溶解した粘着剤溶液を基材シートまたは剥離ライナーの表面に塗工した後に乾燥する方法や、ホットメルト方式による塗工などが用いられる。有機溶媒に溶解した粘着剤溶液を基材シートまたは剥離ライナーの表面に塗工する方法としては、例えば、ロールコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、バーコーター、ダイコーターなどの公知の方法が用いられる。基材シートまたは剥離ライナーの表面に塗工した粘着剤溶液の乾燥は60〜130℃で行えばよい。以上の工程によって基材シートまたは剥離ライナーの表面に形成されるマトリックスの坪量は、10〜80g/mであることが好ましい。ホットメルト方式による塗工には、ゴム系粘着剤などが用いられる。ゴム成分、粘着付与剤、油状成分などを加熱することで溶解、混合して粘着剤溶液を調製し、これを基材シートまたは剥離ライナーの表面にダイコーターなどにより塗工する。粘着剤溶液の調製や塗工は100〜200℃で行えばよい。この方式を採用した場合の基材シートまたは剥離ライナーの表面に形成されるマトリックスの坪量は、20〜200g/mであることが好ましい。
【0012】
本発明のマトリックス型経皮吸収製剤の製造方法における、形成したマトリックスに薬物を添加する第2工程は、例えば、よく粉砕した所定量の薬物をマトリックスの表面に均一に粉末塗布することで行えばよい。薬物は、最終形成されたマトリックス中の薬物含有量(以下「ドライ換算量A」という)が0.1〜50重量%となるように添加することが好ましい。
【0013】
本発明のマトリックス型経皮吸収製剤の製造方法における、薬物を添加したマトリックスの表面に基材シートまたは剥離ライナーの他の一方を貼付する第3工程は、第2工程に引き続いて連続的に行う。この第3工程により、第2工程にてマトリックスの表面に粉末塗布した薬物がその上から貼付した基材シートまたは剥離ライナーに押圧被覆されて密閉されることで可塑化または溶解し、マトリックス中に取り込まれてマトリックス型経皮吸収製剤となる。マトリックス中に薬物を速やかに取り込ませるためには、マトリックス中で薬物を可塑化または溶解させるための助剤成分を、第2工程を行う前にマトリックス中に配合しておくことが好ましい。マトリックス中への助剤成分の配合は、第1工程にて基材シートまたは剥離ライナーの表面にマトリックスを形成するための粘着剤溶液に添加することで行ってもよいし、形成したマトリックスの表面に添加することで行ってもよい。また、第2工程を行う前にマトリックス中に助剤成分を配合しておく代わりに、助剤成分と薬物との混合物を用いて第2工程を行うことでマトリックス中に薬物を速やかに取り込ませるようにしてもよい。さらに、第2工程を行う前にマトリックス中に助剤成分を配合しておくとともに、助剤成分と薬物との混合物を用いて第2工程を行うことでマトリックス中に薬物を速やかに取り込ませるようにしてもよい。助剤成分と薬物との混合物を用いる場合、両者の配合量は、通常、固形分比で助剤成分100重量部に対して薬物10〜1000重量部であることが好ましい。マトリックス中で薬物を可塑化または溶解させるための助剤成分としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、安息香酸ベンジル、2−エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、酢酸ベンジル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ラウリン酸ヘキシル、酪酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、乳酸セチル、乳酸、グリコール酸、イソステアリン酸、オレイン酸、チオグリコール酸、酢酸、吉草酸、イソ吉草酸などの有機カルボン酸やそのエステルが挙げられる。助剤成分は、最終形成されたマトリックス中の助剤成分含有量(以下「ドライ換算量B」という)が3〜70重量%となるように添加することが好ましい。
【0014】
本発明のマトリックス型経皮吸収製剤の製造方法が適用される常温で粉末状および/または結晶状である昇華性および/または熱分解性の薬物としては、例えば、昇華性物質としては、l−メントール、dl−カンフル、d−カンフル、サリチル酸、硝酸イソソルビド、パラホルムアルデヒド、d−ボルネオールなどが挙げられる。熱分解性物質としては、ニコランジル、塩酸セフォチアム、塩酸エペリゾン、セフミノクスナトリウム、フルモキセフナトリウム、ラタモキセフナトリウム、抱水クロラール、イデペノン、アズレンスルホン酸ナトリウム、ラニムスチンなどが挙げられる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明のマトリックス型経皮吸収製剤の製造方法を実施例にて詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって何ら限定解釈されるものではない。
【0016】
(実施例1)
工程1:
アクリル系粘着剤として、アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として酢酸エチル溶媒中、70℃でアクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸(重量比65:30:5、固形分50重量%)を重合したもの100重量部に対し、アジリジン系架橋剤であるヘキサメチレンジエチレン尿素の5%酢酸エチル溶液4重量部と、助剤成分としてミリスチン酸イソプロピル10重量部(ドライ換算量B:15.8重量%)を添加して均一に混合することで粘着剤溶液を調製した。この溶液を剥離ライナーとして厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン樹脂を塗布形成した剥離フィルム(SP−PET3811:リンテック社の商品名)の表面にナイフコーターにより塗工し、100℃にて5分間乾燥して坪量が50g/mのマトリックスを形成した後、マトリックスの表面に厚さ70μmの上質紙の片面にシリコーン樹脂を塗布形成した剥離紙(SP−WT64SS:リンテック社の商品名)を貼付し、50mm×50mmに裁断した。
工程2:
工程1で得られた積層体の剥離紙を剥がし、露出したマトリックスの表面に薬物として粉砕したl−メントール6.6mg(ドライ換算量A:5.0重量%)を均一に粉末塗布した。
工程3:
l−メントールを粉末塗布したマトリックスの表面に基材シートとして厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ルミラー:東レ社の商品名)を貼付し、7日間静置しておくことでマトリックス中にl−メントールを取り込ませ、l−メントールのドライ換算量Aが5.0重量%となるマトリックス型経皮吸収製剤を製造した。
こうして得られたマトリックス型経皮吸収製剤を、剥離フィルムを剥がしてから、エタノール中に浸漬して2時間攪拌し、マトリックス中に含まれるl−メントールを十分に抽出した。この抽出液を用いて製剤中のl−メントール含有量をガスクロマトグラフィーにより測定したところ、ドライ換算量Aが4.8重量%であり、製造工程途中におけるl−メントールの昇華による損失はほとんどないことがわかった。
【0017】
(比較例1)
アクリル系粘着剤として、アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として酢酸エチル溶媒中、70℃でアクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸(重量比65:30:5、固形分50重量%)を重合したもの100重量部に対し、アジリジン系架橋剤であるヘキサメチレンジエチレン尿素の5%酢酸エチル溶液4重量部と、助剤成分としてミリスチン酸イソプロピル10重量部(ドライ換算量B:16.6重量%)と、薬物としてl−メントール3.2重量部(ドライ換算量A:5.0重量%)を添加して均一に混合することでl−メントール含有粘着剤溶液を調製した。この溶液を実施例1で用いたものと同じ剥離フィルムの表面にナイフコーターにより塗工し、100℃にて5分間乾燥して坪量が50g/mのマトリックスを形成した。その後、マトリックスの表面に実施例1で用いたものと同じ基材シートを貼付してから50mm×50mmに裁断し、l−メントールのドライ換算量Aが5.0重量%となるマトリックス型経皮吸収製剤を製造した。
こうして得られたマトリックス型経皮吸収製剤について、実施例1と同じの方法で製剤中のl−メントール含有量を測定したところ、ガスクロマトグラフィーにおけるl−メントールのピークは検出されなかった。この結果は、製造工程途中にl−メントールがすべて昇華してしまったことを意味するものであった。事実、乾燥工程を行った際、l−メントールのハッカ臭がチャンバー内に充満した。
【0018】
(実施例2)
工程1:
アクリル系粘着剤として、アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として酢酸エチル溶媒中、70℃でアクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸(重量比65:30:5、固形分50重量%)を重合したもの100重量部に対し、アジリジン系架橋剤であるヘキサメチレンジエチレン尿素の5%酢酸エチル溶液4重量部と、助剤成分として乳酸15重量部(ドライ換算量B:21.8重量%)を添加して均一に混合することで粘着剤溶液を調製した。この溶液を実施例1で用いたものと同じ剥離フィルムの表面にナイフコーターにより塗工し、100℃にて5分間乾燥して坪量が50g/mのマトリックスを形成した後、マトリックスの表面に実施例1で用いたものと同じ剥離紙を貼付し、50mm×50mmに裁断した。
工程2:
工程1で得られた積層体の剥離紙を剥がし、露出したマトリックスの表面に薬物として粉砕したニコランジル6.6mg(ドライ換算量A:5.0重量%)を均一に粉末塗布した。
工程3:
ニコランジルを粉末塗布したマトリックスの表面に実施例1で用いたものと同じ基材シートを貼付し、7日間静置しておくことでマトリックス中にニコランジルを取り込ませ、ニコランジルのドライ換算量Aが5.0重量%となるマトリックス型経皮吸収製剤を製造した。
こうして得られたマトリックス型経皮吸収製剤を、剥離フィルムを剥がしてから、メタノール中に浸漬して2時間攪拌し、マトリックス中に含まれるニコランジルを十分に抽出した。この抽出液を用いて製剤中のニコランジル含有量を液体クロマトグラフィーにより測定したところ、ドライ換算量Aが5.0重量%であり、製造工程途中におけるニコランジルの熱分解による損失はないことがわかった。
【0019】
(比較例2)
アクリル系粘着剤として、アゾビスイソブチロニトリルを開始剤として酢酸エチル溶媒中、70℃でアクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸(重量比65:30:5、固形分50重量%)を重合したもの100重量部に対し、アジリジン系架橋剤であるヘキサメチレンジエチレン尿素の5%酢酸エチル溶液4重量部と、薬物としてのニコランジル3.4重量部(ドライ換算量A:5.0重量%)を助剤成分としての乳酸15重量部(ドライ換算量B:22.6重量%)に溶解した溶解液を添加して均一に混合することでニコランジル含有粘着剤溶液を調製した。この溶液を実施例1で用いたものと同じ剥離フィルムの表面にナイフコーターにより塗工し、100℃にて5分間乾燥して坪量が50g/mのマトリックスを形成した。その後、マトリックスの表面に実施例1で用いたものと同じ基材シートを貼付してから50mm×50mmに裁断し、ニコランジルのドライ換算量Aが5.0重量%となるマトリックス型経皮吸収製剤を製造した。
こうして得られたマトリックス型経皮吸収製剤について、実施例2と同じの方法で製剤中のニコランジル含有量を測定したところ、ドライ換算量Aが1.7重量%であった。この結果は、製造工程途中に大部分のニコランジルが熱分解してしまったことを意味するものであった。
【0020】
(実施例3)
工程1:
実施例1の工程1における助剤成分としてのミリスチン酸イソプロピルを添加しないこと以外は実施例1と同じようにして粘着剤溶液を調製し、この粘着剤溶液を実施例1で用いたものと同じ剥離フィルムの表面にナイフコーターにより塗工し、100℃にて5分間乾燥して坪量が40g/mのマトリックスを形成した後、マトリックスの表面に実施例1で用いたものと同じ剥離紙を貼付し、50mm×50mmに裁断した。
工程2:
工程1で得られた積層体の剥離紙を剥がし、露出したマトリックスの表面に薬物としてのl−メントールと助剤成分としてのミリスチン酸イソプロピルとの混合物31.6mg{l−メントール6.6mg(ドライ換算量A:5.0重量%),ミリスチン酸イソプロピル25.0mg(ドライ換算量B:19.0重量%)}を均一に塗布した。
工程3:
l−メントールとミリスチン酸イソプロピルとの混合物を塗布したマトリックスの表面に実施例1で用いたものと同じ基材シートを貼付し、3日間静置しておくことでマトリックス中にl−メントールを取り込ませ、l−メントールのドライ換算量Aが5.0重量%となるマトリックス型経皮吸収製剤を製造した。
こうして得られたマトリックス型経皮吸収製剤について、実施例1と同じの方法で製剤中のl−メントール含有量を測定したところ、ドライ換算量Aが4.9重量%であり、製造工程途中におけるl−メントールの昇華による損失はほとんどないことがわかった。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、常温で粉末状および/または結晶状である昇華性および/または熱分解性の薬物を、基材シートと剥離ライナーとの間に挟持されたマトリックス中に配合してなるマトリックス型経皮吸収製剤の簡易かつ安定な製造方法が提供される。

Claims (4)

  1. 常温で粉末状および/または結晶状である昇華性および/または熱分解性の薬物を、基材シートと剥離ライナーとの間に挟持されたマトリックス中に配合してなるマトリックス型経皮吸収製剤の製造方法であって、基材シートまたは剥離ライナーのいずれか一方の表面にマトリックスを形成する第1工程、形成したマトリックスに薬物を添加する第2工程、薬物を添加したマトリックスの表面に基材シートまたは剥離ライナーの他の一方を貼付する第3工程からなることを特徴とする製造方法。
  2. マトリックス中で薬物を可塑化または溶解させるための助剤成分を、第2工程を行う前にマトリックス中に配合しておくことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. マトリックス中で薬物を可塑化または溶解させるための助剤成分と薬物との混合物を用いて第2工程を行うことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  4. マトリックス中で薬物を可塑化または溶解させるための助剤成分が有機カルボン酸またはそのエステルであることを特徴とする請求項2または3記載の製造方法。
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