JP4555431B2 - 車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖するカバー及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖するカバー及びその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖する透明材料製または半透明材料製カバー(特に、ガラスカバー)であって、カバー縁部を少なくとも部分的に囲む合成樹脂フォーム外装体によってカバーに結合された縁側のカバー内側パネルを有し、カバー内側パネルの一部が、合成樹脂フォーム外装体に続いて上記フォーム外装体から内方へ突出しカバー内面に平行に延びる形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来は、通常、カバー下面とカバー内側パネルとの間に所要の密封性を保証するため、上記双方の構成部材の間に少なくとも1つの密封要素を設ける。この種のカバーの例は、ドイツ特許公開第3742719号に記載されている。この公知のカバーの場合、カバー内側パネルは、カバー外縁から内方へ隆起部を有し、この隆起部は、カバー内面に当接し、カバーに合成樹脂材料を発泡接合する際に上記合成樹脂発泡材料を限定する(境界を設ける)のに役立つ。上記隆起部とカバー内側パネルの外面との間には、パッキンが設けてある。この場合、パッキンは、カバー製造時に、まず、カバー内面に設置し、次いで、カバー上のカバー内側パネルの縁部およびカバーのまわりに合成樹脂を発泡成形する必要がある。
【0003】
冒頭に述べた種類の他のカバーは、ドイツ特許第3506009号に記載されている。この公知のカバーの場合、密封要素は、カバー内側パネルの凹みにカバー内側パネルとカバー内面との間に配置され、カバーおよびカバー内側パネルの縁側の合成樹脂フォーム外装体を限定するのに役立つ。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記前者の従来技術のカバーは、特殊なカバー要素の使用およびこれに関連する補足の製造工程にもとづき、高価である。また、後者の従来技術のカバーも、前者カバーと同様、高い製造費を要する。
先行技術に鑑みて、本発明の課題は、妥当なコストで製造できる冒頭に述べた種類のカバーを創成することにある。
【0005】
本発明は、従来技術の種々の問題点を解決できるようにした車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖するカバー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この課題は、請求項1の特徴記載部分に開示の特徴によってまたはカバー製造方法に関する請求項6の特徴によって解決される。本発明の有利な実施例を従属請求項に示した。
従って、本発明は、所望の密封性の達成のために特殊な密封要素を補足するのではなく合成樹脂フォーム外装体を利用することによって、カバーに対するカバー内側パネルの密封のために全く異なる方策を取るものである。このため、カバー内側パネルとカバーとの間には、縁側に、間隔が0.1−0.5mm(好ましくは、約0.3mm)であり、幅が、有利には、15−25mm(好ましくは、約20mm)の所定の間隙を構成する。発泡工具における製造時、合成樹脂フォーム外装体の材料は、上記間隙に入り、間隙内に薄層を形成する。この薄層は、残余の合成樹脂フォームよりも迅速に硬化し、カバー内側パネルとカバーとの間の間隙を自己密封原理の態様で閉鎖する。
【0007】
本発明に係る方法の場合、発泡工具を使用して、カバー内面に平行に延びるパネル部分がカバー内面に当接するよう、カバー内側パネルをカバー内面に位置決めし、次いで、カバーおよびカバー内側パネルからなる複合体を発泡工具内に挿入する。発泡操作中、合成樹脂フォーム外装体の材料が、カバー内面とカバー内面に平行に延びる部分との間に間隙を形成して押込まれるよう、カバー内側パネルをカバーに押しつけるか、所定の力でカバーに押圧する。この間隙にもとづき、更に、製造時にガラス板に対する圧力が過大になることはなく、ガラス板が破損されることはない。更に、カバー内側パネルのプロフィルジオメトリ、即ち、起伏ジオメトリに関して、鋭いエッジはなく、コーナまたはエッジが丸くなるよう上記ジオメトリを構成するこに留意すべきである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
添付の図1は、車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖する当該のカバーの縁範囲の略図である。
カバーを概ね参照数字1で示した。板状カバーは、透明または半透明材料からなる。この場合、ガラスまたは合成樹脂が対象となる。カバー1の安定化のため、カバー1の縁側でカバー内面に設置され、カバー1の縁部に接する合成樹脂フォーム外装体3によってカバーに結合されたカバー内側パネル2が設けてある。図示の実施例の場合、合成樹脂フォーム外装体3は、カバー1の縁部から側方へ突出するよう構成されている。合成樹脂フォーム外装体3の上面4は、カバー1の上面とともに1つの平面内にあり、即ち、上記上面と面一をなす。合成樹脂フォーム外装体3の外側縁は、外方へ斜めに延びる外側エッジ5によって固定され、合成樹脂フォーム外装体3の下面6は、合成樹脂フォーム外装体3がカバー1の内面7にほぼ平行にカバー1を下方から被い且つ僅かに上昇する範囲を介して外側エッジ5に移行する範囲に延びる。
【0009】
カバー内側パネル2は、形状部材として形成され、本質的にU字状またはV字状の部分8を内側に含む。この場合、上記部分8は、カバー1から内方へ突出し、カバー1の内面7にほぼ平行に延びる短い内方の縁部9に移行する。U字状部分8は、対向側において、直線部分10に続く。この直線部分は、カバー1の内面7に平行に延び、以下に詳細に説明する如く、間隙決定のためカバー1の内面7から離れている。直線部分10には、外方へ、段状部分11が続いている。この段状部分は、直線部分10に対して本質的に平行に下方へシフトして延び、カバー1の外側縁から突出する。段状部分11は、合成樹脂フォーム外装体3に完全に埋込まれている。
【0010】
冒頭に述べた先行技術のカバーの場合、直線部分10とカバー1の下面との間には、カバー内側パネル2とカバー1との間に必要な密封性を保証するためカバー全縁のまわりに延びる密封要素が設けてあるが、本発明の場合、このような密封は行わない。その代わりに、直線部分10は、カバー1の内面7から離して配置し、かくして、上記範囲には、0.1−0.5mm(好ましくは、0.3mm)の間隔を有する間隙12が形成される。この間隙または間隙空間12には、少なくとも部分的に、合成樹脂フォーム外装体3の材料が充填され、上記材料は、合成樹脂フォーム外装体3に結合される。間隙12内に存在する合成樹脂フォーム外装体3の材料は、先行技術において使用されるパッキンの代替をなし、カバー1とカバー内側パネル2との間の必要な密封を達成する。
【0011】
間隙12の幅、即ち、本質的にカバー内側パネル2の直線部分の幅は、15−25mm(特に、約20mm)であれば好ましい。カバー内側パネル2の鋭いエッジまたは縁部によるガラス製または合成樹脂製カバー1に対する負荷を避けるため、カバー内側パネルのジオメトリ、即ち、起伏ジオメトリは、エッジの鋭い範囲およびコーナはなく、丸いコーナが生ずるよう、選択する。
【0012】
本発明に係るカバーは、発泡型を使用して製造するのが好ましい。この場合の操作推移を以下に示す:まず、カバー内側パネル2のカバー内面7に平行に延びる直線部分10が、カバー1の内面7に直接に載るよう、カバー1の内面7上にカバー内側パネル2を位置決めする。次いで、カバー1およびカバー内側パネル2からなる複合体を発泡工具に挿入し位置決めする。発泡中、即ち、カバー1の縁部における合成樹脂フォーム外装体3の構成中、合成樹脂フォーム外装体3の材料が、発泡圧にもとづき、内面7と上記内面に平行に延びる直線部分10との間に間隙12を形成するとともに押込まれるよう、カバー内側パネル2をカバー1に、即ち、カバー内面7に押つけるか、上記内面7に押圧する。カバー1とカバー内側パネル2との間に意図する密封性を保証するには、合成樹脂フォーム外装体3の材料を極く僅かに間隙12に押込めば十分である。何れにせよ、間隙12の幅は、間隙12に押込まれた合成樹脂フォーム外装体の材料が上記間隙を越えてU字状部分8に達することのないよう、選択する。かくして、間隙12に構成された合成樹脂フォーム薄層は、下方へ視覚的に隠蔽される。上記薄層は、極めて薄いので、合成樹脂フォーム外装体3の残余の材料よりも迅速に反応し、カバー内側パネル2の直線部分10の範囲においてカバー内側パネル2とカバー1との間の間隙12を閉鎖し、かくして、直線部分10とカバー1の内面7との間にはカバー縁部のまわりに、合成樹脂フォーム外装体3の材料からなる密封層が形成される。上記合成樹脂フォーム外装体の材料が、ポリウレタン(PU)であれば好ましい。
【0013】
上述した本発明の車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖するカバーの特徴は、第1に、車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖する透明材料製または半透明材料製カバー(特に、ガラスカバー)であって、カバー縁部を少なくとも部分的に囲む合成樹脂フォーム外装体(海綿状樹脂被覆材)3によってカバー1に結合された縁側のカバー内側パネル(エッジ補強フレーム)2を有し、カバー内側パネル2の一部(直線部分)10が、合成樹脂フォーム外装体3に続いて上記合成樹脂フォーム外装体3から内方へ突出しカバー内面7に平行に延びる形式のものにおいて、カバー内面7に平行に延びるカバー内側パネル2の部分(直線部分)10とカバー内面7の間には、合成樹脂フォーム外装体3の材料が少なくとも部分的に充填された0.1−0.5mmの間隙(ギャップ)12が構成されていることである。
【0014】
これによって、パッキン等の特殊な密封要素を補足することなく、合成樹脂フォーム外装体3を利用して、カバー内側パネル2とカバー1との間の間隙12を自己密封原理の態様で閉鎖でき、必要な密封性を保証するための構成を妥当なコストで製造できる。
第2に、間隙12の大きさが、約0.3mmであることである。
【0015】
これによって、カバー内側パネル2とカバー1との間の所望の密封性を確実に達成できる。
第3に、カバー内面7に平行に延びるカバー内側パネル2の部分10の幅が、15−25mmであることである。
これによって、カバー内側パネル2とカバー1との間の所望の密封性を確実に達成できる。
【0016】
第4に、カバー内面7に平行に延びるカバー内側パネル2の部分10の幅が、約20mmであることである。
これによって、カバー内側パネル2とカバー1との間の所望の密封性を確実に達成できる。
第5に、前記第1−4の1つに記載のカバーであって、カバー内側パネル2をカバー内面に平行に延びる部分10に続いて波状に形成した形式のものにおいて、カバー内面7に平行に延びる部分10から1つまたは複数の波状部分への移行部(直線部分10からU字状部分を経て縁部9に移行する部分)が、鋭いエッジのないよう構成されていることである。
【0017】
これによって、カバー内側パネル2のプロフィルジオメトリはコーナまたはエッジが丸くなり、間隙12への合成樹脂フォーム外装体3の発泡押込みが良好になる。
本発明の車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖するカバーの製造方法の特徴は、第1に、発泡型(発泡工具)を使用して請求項1−5の1つに記載のカバーを製造する方法であって、カバー1の内面7に平行に延びるパネル部分(直線部分)10がカバー内面に当接するよう、カバー内側パネル2をカバー1の内面7上に位置決めし、次いで、カバー1およびカバー内側パネル2からなる複合体を発泡工具内に挿入し、発泡操作中、合成樹脂フォーム外装体3の材料が、内面7とカバー内面に平行に延びる部分10との間に間隙12を形成して押込まれるよう、カバー内側パネル2をカバー1に押しつけることである。
【0018】
これによって、パッキン等の特殊な密封要素を補足することなく、カバー内側パネル2とカバー1との間の間隙12に、合成樹脂フォーム外装体3を発泡させて押込むだけで自己密封原理の態様で閉鎖でき、必要な密封性を保証するための構成を妥当なコストで製造できる。
第2に、合成樹脂フォーム外装体3が、ポリウレタン(PU)からなることである。
【0019】
これによって、カバー内側パネル2とカバー1との間の間隙12を安価にかつ確実に密封できる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、特殊な密封要素を補足することなく、合成樹脂フォーム外装体3を利用して、カバー内側パネル2とカバー1との間の間隙12を自己密封原理の態様で閉鎖でき、必要な密封性を保証するための構成を妥当なコストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示していて、車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖する当該のカバーの縁範囲の略図である。
【符号の説明】
1 カバー
2 カバー内側パネル
3 合成樹脂フォーム外装体
4 上面
5 外側縁
6 下面
7 内面
8 U字状部分
9 縁部
10 直線部分
11 段状部分
12 間隙
Claims (7)
- 車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖する透明材料製または半透明材料製カバーであって、カバー縁部を少なくとも部分的に囲む合成樹脂フォーム外装体(3)によってカバー(1)に結合された縁側のカバー内側パネル(2)を有し、カバー内側パネル(2)の一部(10)が、合成樹脂フォーム外装体に続いて上記フォーム外装体から内方へ突出しカバー内面(7)に平行に延びる形式のものにおいて、
カバー内面(7)に平行に延びるカバー内側パネル(2)の部分(10)とカバー内面(7)との間には、カバー内側パネル(2)をカバー(1)に押しつけることによって合成樹脂フォーム外装体(3)の材料が少なくとも部分的に充填されたカバー内面(7)に沿った間隙(12)が構成されており、
前記カバー内側パネル(2)には、前記間隙(12)を構成する部分(10)から下方へシフトしかつ外方に延びる段状部分(11)が形成され、前記フォーム外装体(3)がカバー内面(7)と段状部分(11)との間に埋込まれかつ段状部分(11)の下面を覆うことによりカバー(1)にカバー内側パネル(2)が固定されていることを特徴とする車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖するカバー。 - 間隙(12)の大きさが、0.1−0.5mmであることを特徴とする請求項1に記載の車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖するカバー。
- カバー内面(7)に平行に延びるカバー内側パネル(2)の部分(10)の幅が、15−25mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖するカバー。
- カバー内面(7)に平行に延びるカバー内側パネル(2)の部分(10)の幅が、約20mmであることを特徴とする請求項3に記載の車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖するカバー。
- 請求項1−4の1つに記載のカバーであって、カバー内側パネル(2)をカバー内面に平行に延びる部分(10)に続いて波状に形成した形式のものにおいて、カバー内面(7)に平行に延びる部分(10)から1つまたは複数の波状部分への移行部が、鋭いエッジのないよう構成されていることを特徴とする車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖するカバー。
- 発泡型を使用して請求項1−5の1つに記載のカバーを製造する方法であって、カバー(1)の内面(7)に平行に延びるパネル部分(10)がカバー内面に当接するよう、カバー内側パネル(2)をカバー(1)の内面(7)上に位置決めし、次いで、カバー(1)およびカバー内側パネル(2)からなる複合体を発泡工具内に挿入し、発泡操作中、合成樹脂フォーム外装体(3)の材料が、前記カバー(1)の内面(7)とこれと平行な前記パネル部分(10)との間に間隙(12)を形成して押込まれるよう、カバー内側パネル(2)をカバー(1)に押しつけることを特徴とする車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖するカバーの製造方法。
- 合成樹脂フォーム外装体(3)が、ポリウレタンからなることを特徴とする請求項6に記載の車両ルーフのルーフ開口部を閉鎖するカバーの製造方法。
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