JP4552845B2 - 熱交換器、光源装置、プロジェクタ、電子機器 - Google Patents
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Description
ここで、近年では、プロジェクタの光源として、即時点灯や長寿命といった特徴を有するLED(発光ダイオード)やLD(レーザーダイオード)を利用することが検討されている。
しかしながら、このようなLEDやLDにあっては、発熱量が非常に大きいうえに、従来の光源に比べて発熱する部分の面積が非常に小さいため、微小な面積から大きな熱量を吸熱する熱交換器が必要となる。
特許文献1の図5においては、所定の間隔で長手方向に延びる複数のリブが形成された一対の冷却ブロックを備え、互いのリブ同士が対向して組み合わされることで複数の冷却通路が形成されている。そして、各冷却通路に冷却液を循環させることで、冷却ブロックの外壁面に接触して取り付けられた発熱体の冷却が行われる。また、特許文献1の図1においては、内側に複数のリブが形成された二つの冷却ブロックを用意し、冷却ブロックを互いの内側の面を向かい合わせて組み合わした際にリブが一定の間隔で交互に配置されることにより複数の冷却通路が形成されている。
しかしながら、LEDやLDといった非常に発熱量が大きくかつ発熱する部分の面積が小さい発熱体から熱を効果的に吸熱するには、狭い面積に多数のフィンを立設しなければならいという問題がある。この場合、熱交換器の内部に幅が数100μmのフィンを数100μmの間隔で数10本形成することが例として挙げられる。
しかしながら、熱交換器の内部において、隙間の部分の流体抵抗が最も小さくなるため、冷却液がフィン間の通路ではなくフィンの先端と冷却ブロックの内面との間の隙間を通ることになり、フィンと冷却液との間で十分な熱交換が行われなくなる。そのため、熱交換性能が著しく低減するという問題が生じる。
したがって、LEDやLDのように微小な面積から大量の熱を発する熱体から効率よく吸熱できる熱交換器を得ることは非常に困難であった。
ここで、フィンの先端とボトムプレートとの間には柔軟部材が配設されており、フィンの先端は柔軟部材に当接する。すると、柔軟部材はフィンの当接に応じて変形する。このようにハウジングが組み合わされて流通空間が画成されるとともに、流通空間に突出したフィンとフィンとの間には微小流路が形成される。
ここで、フィンの先端とボトムプレートとの間に大きな隙間があると、流体が流れるときの流体抵抗はこの隙間で局所的に小さくなってしまうため、流体がこの隙間を多く流れるようになる。
このような偏流が生じると、フィンと流体との熱交換が効率よく行われないという問題が生じる。
しかしながら、熱交換性能を向上させるためにフィンの本数を多くすることが望ましく、例えばフィンの数を数10本とした場合には、各フィンの長さを数10μmレベルで公差管理することには莫大なコストが必要となる。
また、フィンの先端とボトムプレートとを極めて接近させる工程が組立工程にあると、組立て作業に莫大な時間とコストが必要となる。そして、フィンの長さ管理が不完全なままでフィンの先端とボトムプレートとを当接させてしまうと、他よりも長いフィンは大きく曲がってしまうことになり、微小流路が適切に形成されないことになる。特に、小型化および熱交換効率を向上させるためにフィンの厚みを100μm程度に薄くするとわずかな応力でも簡単に大きく曲がってしまう。
したがって、フィンの長さ管理が厳密でなくフィンの長さが異なっていても、フィンの先端が柔軟部材に当接した際には柔軟部材の方が変形するのでフィンに余計な応力がかかることはなく、フィンに曲がりが生じることがない。そして、フィンの先端が柔軟部材に当接することによってフィンの先端に隙間を生じることはない。したがって、フィンの長さ管理についての厳密さが要求されないので、加工精度を少し低くしてコストを低減させることができ、かつ、このように低コストであっても流体を微小流路の間に適切に流通させて熱交換効率は高性能に維持することができる。そして、フィンの長さ管理については厳密でなくてもよいので、フィン間隔やフィンの幅等の公差管理に注力し、非常に多くのフィンを高密度に設けることができる。その結果、微小な面積から大量を熱交換可能な熱交換器とすることができる。そして、この場合でも、多くのフィンの長さ管理を厳密に行うことに比べれば低コストに抑えることができる。
また、フィンの先端は柔軟部材に当接させればよいので、組立てに際して厳密な取付精度が要求されず、組立て効率を向上させ、かつ、組立てコストを低減することができる。
このような構成において、隙間を多く含むように繊維質材料を組み合わせることにより、柔軟性を有する柔軟部材を形成することができる。
繊維質材料としてはガラス繊維が例として挙げられる。
ここで、柔軟部材に導電性があると、フィンの先端とボトムプレートとの間で通電して、フィンの先端がジュール熱によって軟化し曲がってしまう恐れも生じる。
この点、本発明では、柔軟部材は絶縁性を有しているので、フィン先端にジュール熱が生じることはなく、通電加熱接合を用いた場合でもフィンの曲がりが生じることはない。よって、フィンとフィンとの間の微小流路において流体が偏りなく流通し、その結果、フィンと流体との熱交換効率を向上させることができる。
通電加熱接合では800℃程度の高温になるので、柔軟部材には耐熱性が必要である。耐熱性と絶縁性とを備えた柔軟部材を構成するにあたってはガラス繊維を利用することが例として挙げられる。
このような構成では、前記熱交換器と同様の作用及び効果を享受し得る。
本発明の光源装置は、前記熱交換器と、前記熱交換器に取り付けられた光源と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、光源からの熱が熱交換器によって効率よく吸熱されるので、光源の温度上昇を抑えて、光源の発光を安定させまた長寿命とすることができる。また、熱交換器によって効率よく光源の熱を吸熱できるので、例えば、LED(発光ダイオード)やLD(レーザーダイオード)のように微小な面積から大量の熱を発熱する光源を利用した光源装置とすることができる。
そして、変調された光が投射手段によって投射され、例えばスクリーンに画像が投影される。
このような構成によれば、光源からの熱が熱交換器によって効率よく吸熱されるので、光源の温度上昇を抑えて光源の発光を安定させることができ、また、光源を長寿命とすることができる。よって、プロジェクタの性能を向上させることができる。また、熱交換器によって効率よく光源の熱を吸熱できるので、例えば、LED(発光ダイオード)やLD(レーザーダイオード)のように微小な面積から大量の熱を発熱する光源を利用した光源装置とすることができる。
その結果、プロジェクタによる画像の輝度を高くすることができる。
本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、プロジェクションシステム100の外観図である。
プロジェクションシステム100は、映像ソースの画像に基づいて画像データ信号を出力するパソコン(情報処理装置)110と、パソコン110からの画像データ信号に基づいて現画像フレームを生成してスクリーン180に向けて投射するプロジェクタ(画像表示装置)120と、プロジェクタ120とパソコン110とを接続するUSBケーブル(信号伝送手段)170と、を備えている。
プロジェクタ120は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色をそれぞれ発光するLED(光源、熱体)131〜133と、各LED131、132、133からの光を変調する液晶パネル(光変調装置)141〜143と、液晶パネル141〜143で変調された光を合成するプリズム150と、合成された光をスクリーン180に向けて投射する投射光学系(投射手段)160と、LED131〜133からの熱を吸熱する吸熱機構200と、を備えている。
ここで、LED131〜133は、小さな面積から大きな熱量を放出する発熱体であり、LED131〜133から発光される光の色を安定させたり、LED131〜133の損傷を防止するためにLED131〜133の熱を吸熱することが必要となる。
ここで、図3は、LED131〜133が貼設された熱交換器300の外観を示す図である。
図4は、熱交換器300のエンドプレート351を外して、内部構造を示す図である。
図5は、熱交換器300の内部においてフィン321の先端部分を拡大した図である。
そして、熱交換器300は、上および下の面をそれぞれ形成するトッププレート320およびボトムプレート330と、右および左の面を形成する2枚のサイドプレート340、340と、前および後の面をそれぞれ形成する2枚のエンドプレート351、352と、ボトムプレート330とフィン321の先端との間に挟持される柔軟部材370と、を備えている。
熱交換器300は、熱伝導率の高い金属、例えば銅、アルミニウム、または銅やアルミニウムの合金によって形成されている。
ここで、熱交換器300の厚みとなるサイドプレート340、340の上下方向の長さは、トッププレート320のフィン321の長さよりも若干長く形成されている。すなわち、トッププレート320とボトムプレート330との間にサイドプレート340、340を挟持した際に、トッププレート320のフィン321の先端とボトムプレート330との間に100μm〜500μmの隙間が形成される。
ここで、前側のエンドプレート351に設けられたノズルを入口ノズル351Aとし、後側のエンドプレート352に設けられたノズルを出口ノズル352Aとする。
このとき、ボトムプレート330の一面に柔軟部材370を配置し、フィン321の先端を柔軟部材370に当接させる。すると、柔軟部材370はフィン321の先端の応力によって柔軟に変形する。トッププレート320、ボトムプレート330、2枚のサイドプレート340、340を組み合わせて接合するにあたっては、各プレートを組み合わせた状態で高電圧を印加する通電加熱拡散接合による。そして、2枚のエンドプレート351、352を前後に溶接で取り付ける。なお、組み合わせ方法はこれに限らない。
6枚のプレートが組み合わせられた熱交換器300の内部において、前後方向に平行に設けられた複数のフィン321によって、前後方向の微小流路が複数形成される。そして、入口ノズル351Aから冷媒が流入されると、冷媒はフィン321とフィン321との間の微小流路を通って出口ノズル352Aに向かい、出口ノズル352Aから熱交換器300の外部に排出される。
まず、プロジェクタ120の電源をONすると、各LED131〜133に電圧が印加されてLED131〜133が点灯される。すると、各LED131〜133から各色の光が発射されると同時に、LED131〜133が発熱する。
また、プロジェクタ120の電源をONにすると、ポンプ210が作動される。
すると、ポンプ210から配管230を通って3つの熱交換器300に冷媒が供給される。LED131〜133からの熱は、熱交換器300のトッププレート320の上面に伝熱して、さらに、トッププレート320の各フィン321に伝熱されていく。入口ノズル351Aから流入する冷媒は、フィン321の間の微小流路を流通して出口ノズル352Aに向かう。
このとき、フィン321と冷媒とのコンタクトによってフィン321の熱が冷媒に伝熱される。
熱をもった冷媒は出口ノズル352Aから排出され、配管230を流れてラジエータ220に導入される。そして、ラジエータ220において冷媒の熱が放熱される。このようなサイクルによってLED131〜133の熱が吸熱され、LED131〜133の温度上昇が抑制された状態でLED131〜133の点灯が良好に継続される。
画像データ信号がパソコン110からプロジェクタ120に伝送される。そして、プロジェクタ120内において画像データ信号から現画像データが生成されて、この現画像データを表示するように各液晶パネル141〜143に駆動信号が印加される。各LED131〜133からの光が各液晶パネル141〜143によって画素ごとに変調され、変調された光がプリズム150によって合成される。これにより画像が生成される。生成された画像は、投射光学系160からスクリーン180に向けた投射され、スクリーン180に画像が映写される。
(1)冷媒が流通する流通空間310に複数のフィン321が突出しているので、これらのフィン321と冷媒との接触により、熱交換を効率よく行うことができる。
また、熱交換器300によって効率よく光源の熱を吸熱できるので、LED(発光ダイオード)131〜133のように微小な面積から大量の熱を発熱する光源を利用することができる。
次に、本発明の変形例1について図6を参照して説明する。
上記第1実施形態においては、吸熱機構200の配管230は三つの熱交換器300を直列に接続していたが、この図6に示される変形例1のように三つの熱交換器300を並列に接続してもよい。
次に、本発明の変形例2について図7を参照して説明する。
上記第1実施形態において、光源からの熱を吸熱する場合を例にして説明したが、図7に示されるようにパソコン110の電子デバイス、例えばCPU111からの熱を吸熱してもよい。
光源の種類としては、LED131〜133に限定されず、たとえばレーザーダイオード(LD)などでもよいことはもちろんである。
熱交換器300のハウジング360を構成するにあたっては、トッププレート320、ボトムプレート330、2枚のサイドプレート340、340および2枚のエンドプレート351、352の6枚を組み合わせるとしたが、例えば、2枚のサイドプレートはボトムプレート330に一体的に形成するなど、ハウジング360の構成の仕方は種々変更可能である。
柔軟部材370は、繊維質材料で構成される他、例えば、スポンジ状であってもよいことはもちろんである。
Claims (6)
- 流体を導入する入口流路と前記流体を排出する出口流路とを有するとともに内部に前記流体を前記入口流路から前記出口流路に流通させる流通空間を画成するハウジングを備え、前記ハウジングの外面に取り付けられた熱体と前記流体との熱交換を行う熱交換器であって、
前記ハウジングは、前記流通空間を間にして互いに対向したトッププレートとボトムプレートとを備え、
前記トッププレートは、前記流通空間に突出しており先端が前記ボトムプレートに近接する複数のフィンを有し、
前記フィンの先端と前記ボトムプレートとの間において、前記フィンの先端が当接すると前記フィンの形状に応じて変形する柔軟部材が配設されており、
前記柔軟部材は、繊維質材料で形成されている
ことを特徴とする熱交換器。 - 請求項1に記載の熱交換器において、
前記ハウジングは金属性材料で形成され、
前記柔軟部材は、絶縁体であり、
前記ハウジングの少なくとも一部が通電加熱拡散接合によって接合されている
ことを特徴とする熱交換器。 - 流体を導入する入口流路と前記流体を排出する出口流路とを有するとともに内部に前記流体を前記入口流路から前記出口流路に流通させる流通空間を画成するハウジングを備え、前記ハウジングの外面に取り付けられた熱体と前記流体との熱交換を行う熱交換器であって、
前記ハウジングは、前記流通空間を間にして互いに対向したトッププレートとボトムプレートとを備え、
前記トッププレートは、前記流通空間に突出しており先端が前記ボトムプレートに近接する複数のフィンを有し、
前記フィンの先端と前記ボトムプレートとの間において、前記フィンの先端が当接すると前記フィンの形状に応じて変形する柔軟部材が配設されており、
前記ハウジングは金属性材料で形成され、
前記柔軟部材は、絶縁体であり、
前記ハウジングの少なくとも一部が通電加熱拡散接合によって接合されている
ことを特徴とする熱交換器。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱交換器と、
前記熱交換器に取り付けられた光源と、を備える
ことを特徴とする光源装置。 - 請求項4に記載の光源装置と、
前記光源装置から発射される光を画像データに応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置にて変調された光を投射する投射手段と、を備えたプロジェクタ。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱交換器と、
前記熱交換器に取り付けられ動作状態において発熱する電子デバイスと、を備える
ことを特徴とする電子機器。
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