JP4551763B2 - 3,4−ジクロロ−n−(2−シアノフェニル)−5−イソチアゾールカルボキサミドの製造方法 - Google Patents

3,4−ジクロロ−n−(2−シアノフェニル)−5−イソチアゾールカルボキサミドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、殺微生物特性を有する活性化合物として使用され得る公知の3,4−ジクロロ−N−(2−シアノフェニル)−5−イソチアゾールカルボキサミドの新規な製造方法に関する。
3,4−ジクロロ−N−(2−シアノフェニル)−5−イソチアゾールカルボキサミドが3,4−ジクロロイソチアゾール−5−カルボニルクロリドを2−シアノアニリンと反応させて得られることは公知である(国際特許出願公開第99/24413号パンフレット参照)。この製造方法の収率は高い。しかしながら、出発物質として必要な2−シアノアニリンは複雑な合成によってしか得ることができない(ドイツ国特許出願公開第2115624号明細書及び同第2115625号明細書参照)という欠点がある。すなわち、まずアントラニルアミドをジメチルホルムアミドの存在下でホスゲンと反応させた後、第2ステップにおいて、生じたN−2−シアノフェニル−N’,N’−ジメチルホルムアミジニウム塩酸塩を水性媒体中で酢酸ナトリウムで処理しなければならない。
今回、
a)まず、式:
Figure 0004551763
を有する無水イサト酸を、ジメチルホルムアミドの存在下でアンモニウムガスと反応させ、
b)次いで、生じた式:
Figure 0004551763
を有するアントラニルアミドを、前もって単離することなく、酸受容体の存在下且つジメチルホルムアミドの存在下で式:
Figure 0004551763
を有する3,4−ジクロロイソチアゾールカルボニルクロリドと反応させ、
c)次いで、生じた式:
Figure 0004551763
を有するN−[2−(アミノカルボニル)フェニル]−3,4−ジクロロイソチアゾールカルボキサミドを、前もって単離することなく、ジメチルホルムアミドの存在下で塩化チオニル、オキシ塩化リン、ホスゲンまたはクロロメチレンジメチルアンモニウムクロリドと反応させるとき、式:
Figure 0004551763
を有する3,4−ジクロロ−N−(2−シアノフェニル)−5−イソチアゾールカルボキサミドがワンポット方法により得られることが知見された。
式(I)を有する3,4−ジクロロ−N−(2−シアノフェニル)−5−イソチアゾールカルボキサミドが本発明の方法により副反応を生ずることなくスムーズな反応で製造され得ることは非常に驚くことである。すなわち、公知の従来技術に基づきN−アシル化アントラニル酸誘導体は酸性、塩基性または中性のいずれの条件下でも水の除去を伴ってベンゾオキサジノン、キナゾリノールまたはキナゾリノンに容易に環化されると予想された(Farmaco Ed.Sci.,39:120(1984);J.Heterocycl.Chem.,16:711(1979);J.prakt.Chem.,111:48(1925);及びEgypt.J.Chem.,31:241(1988)参照)。しかしながら、予想に反して、本発明の反応は上記した望ましくない縮合により影響されない。
本発明の方法は多数の利点を有する。すなわち、式(I)を有する3,4−ジクロロ−N−(2−シアノフェニル)−5−イソチアゾールカルボキサミドを高収率及び高純度で合成することができる。また、反応の実施及び反応生成物の単離が難しくないことも有利である。更に、本発明の方法は何の問題もなく工業規模にスケールアップすることができる。
本発明の方法を実施する際、第2ステップで使用する酸受容体がトリエチルアミン、第3ステップで使用する脱水剤が塩化チオニルとジメチルホルムアミドの混合物の場合、反応の進行は下記スキームで示される。
Figure 0004551763
本発明の方法を実施するための出発物質として必要な式(II)を有する無水イサト酸は公知である(ドイツ国特許出願公開第2628055号明細書参照)。
第2ステップにおいて反応成分として使用される式(IV)を有する3,4−ジクロロイソチアゾールカルボニルクロリドも公知である(米国特許第5,240,951号明細書参照)。式(III)を有するアントラニルアミド中間体も公知である。
しかしながら、本発明の方法の第3ステップにおいて出発材料として働く式(V)を有するN−[2−(アミノカルボニル)フェニル]−3,4−ジクロロイソチアゾールカルボキサミドは新規である。
本発明の方法の第1ステップを実施する際、アンモニウムが反応成分として働く。アンモニウムは反応混合物中に乾燥状態で導入される。
本発明の方法の第2ステップを実施するための好ましい酸受容体は第3級アミンである。その例として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)またはジアザビシクロウンデセン(DBU)が挙げられ得る。
本発明の方法の第3ステップを実施する際、ジメチルホルムアミドと塩化チオニル、オキシ塩化リン、ホスゲンまたはクロロメチレンジメチルアンミニウムクロリドの混合物は脱水剤として作用する。
本発明の方法の第3ステップを実施する際、ジメチルホルムアミドが反応成分としてだけでなく希釈剤としても作用するように、過剰のジメチルホルムアミドが使用される。
本発明の方法を実施する際、反応温度は比較的広範囲で変更可能である。通常、第1ステップは0〜100℃(好ましくは、0〜70℃)、第2ステップは0〜120℃(好ましくは、0〜80℃)、第3ステップは−20〜+80℃(好ましくは、0〜60℃)で実施する。
本発明の方法を実施する際、第1ステップの反応、および第2ステップ及び第3ステップの反応はいずれも通常大気圧下で実施する。しかしながら、いずれのステップも高圧下で実施することもできる。
本発明の方法を実施する際、第1ステップでは通常、式(II)を有する無水イサト酸1モルあたり大過剰のガス状アンモニウムを使用し、次いで第2ステップでは0.8〜1.0モルの式(IV)を有する3,4−ジクロロイソチアゾールカルボニルクロリド及び同等量もしくは過剰量の酸受容体を添加し、第3ステップでは最後に混合物を1〜2モルの脱水剤と反応させる。
具体的には、通常第1ステップでは、乾燥アンモニウムガスをまず式(II)を有する無水イサト酸及びジメチルホルムアミドの溶液に導入し、次いで過剰のアンモニウムを不活性ガス流を用いて除去する。第2ステップでは、ジメチルホルムアミド中に式(IV)を有する3,4−ジクロロイソチアゾールカルボニルクロリドを含む溶液を反応混合物に滴下し、第3ステップでは問題の酸クロリドを添加する。慣用方法により後処理を実施する。通常、反応混合物に水を添加し、生じた固体を吸引濾別し、洗浄し、乾燥する。更なる精製が必要ならば、慣用の方法により、例えばクロマトグラフィーまたは再結晶により実施する。
本発明の方法により得られ得る式(I)を有する3,4−ジクロロ−N−(2−シアノフェニル)−5−イソチアゾールカルボキサミド、及び望ましくない微生物を防除するためのその使用は公知である(国際特許出願公開第99/24413号パンフレット参照)。
本発明の方法を下記実施例により説明する。
Figure 0004551763
60℃で激しく撹拌しながらジメチルホルムアミド(15g)中に無水イサト酸(3.59g,22ミリモル)を含む溶液に乾燥アンモニウムガス(7g)を1時間かけて導入する。次いで、60℃に加熱した反応混合物中にアルゴンを30分間流すことにより過剰のアンモニウムを除去する。60℃で、撹拌しながら反応混合物にまずトリエチルアミン(2.23g,22ミリモル)を添加し、その後ジメチルホルムアミド(10ml)中に3,4−ジクロロイソチアゾールカルボニルクロリド(4.33g,20ミリモル)を含む溶液を滴下する。添加が終了したら、混合物を60℃で更に1時間撹拌する。次いで、60℃で撹拌しながら塩化チオニル(3.33g,28ミリモル)を滴下する。60℃で更に1時間撹拌した後、反応混合物を冷却し、水(40ml)を添加し、混合物を15分間撹拌する。生じた固体を吸引濾別し、水(20ml×2)で洗浄し、乾燥する。
こうして、4.44gの固体が得られる。H−NMRスペクトルによれば、この固体は92%の3,4−ジクロロ−N−(2−シアノフェニル)−5−イソチアゾールカルボキサミドを含んでいる。従って、収率は使用した無水イサト酸に基づいて理論量の68.48%と計算される。これは、各ステップにつき理論量の88%の収率に相当する。
(比較例A)
Figure 0004551763
5〜10℃で、撹拌しながら2−シアノアニリン(20.8g,0.1725モル)及びピリジン(250ml)の混合物に3,4−ジクロロイソチアゾール−5−カルボニルクロリド(38.1g,0.15モル)を10分かけて滴下する。添加が終了したら、反応混合物に無水テトラヒドロフラン(70ml)及びピリジン(30ml)を添加し、混合物を室温まで加温した後、室温で75分間撹拌する。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮する。残っている残渣を、水(800ml)及び酢酸エチル(800ml)と共に撹拌する。2相混合物で得られた沈殿を濾別し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥する。こうして、31.7gの結晶性生成物(融点191〜193℃)が得られる。
二相濾液から、水性相を分離し、酢酸エチル(150ml×2)で抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮する。残っている残渣を石油エーテル(100ml)及び酢酸エチル(25ml)と共に撹拌する。生じた固体を吸引濾別し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥する。
こうして、全部で40g(理論量の89%)の3,4−ジクロロ−N−(2−シアノフェニル)−5−イソチアゾールカルボキサミドが固体形態(融点191〜193℃)で得られる。

Claims (5)

  1. ワンポット方法で、
    a)まず、式:
    Figure 0004551763
    を有する無水イサト酸を、ジメチルホルムアミドの存在下でアンモニウムガスと反応させ、
    b)次いで、生じた式:
    Figure 0004551763
    を有するアントラニルアミドを、前もって単離することなく、酸受容体の存在下且つジメチルホルムアミドの存在下で式:
    Figure 0004551763
    を有する3,4−ジクロロイソチアゾールカルボニルクロリドと反応させ、
    c)次いで、生じた式:
    Figure 0004551763
    を有するN−[2−(アミノカルボニル)フェニル]−3,4−ジクロロイソチアゾールカルボキサミドを、前もって単離することなく、ジメチルホルムアミドの存在下で塩化チオニル、オキシ塩化リン、ホスゲンまたはクロロメチレンジメチルアンモニウムクロリドと反応させることを含む式:
    Figure 0004551763
    を有する3,4−ジクロロ−N−(2−シアノフェニル)−5−イソチアゾールカルボキサミドの製造方法。
  2. 第3ステップを実施するために、脱水剤としてジメチルホルムアミドと塩化チオニルの混合物を用いる請求項1に記載の方法。
  3. 第1ステップを0〜70℃の温度で実施する請求項1に記載の方法。
  4. 第2ステップを0〜120℃の温度で実施する請求項1に記載の方法。
  5. 第3ステップを−20〜+80℃の温度で実施する請求項1に記載の方法。
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