JP2018203639A - N−カルバメート保護カルボキシ無水物の製造方法 - Google Patents

N−カルバメート保護カルボキシ無水物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高収率でN−カルバメート保護カルボキシ無水物を製造する方法の提供。【解決手段】トリホスゲンとジメチルホルムアミドを含む溶媒とから生成したビルスマイヤー試薬と、式(1)で示されるN,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを反応させて、式(2)で示されるN−カルバメート保護カルボキシ無水物の製造方法。(式中、R1は、ベンジル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又はフルオレニル基であり、同一の基であっても、異なる基であってもよい。)【選択図】なし

Description

本発明は、医薬品、健康食品等に使用される化合物の中間体として有用なN−カルバメート保護カルボキシ無水物の新規な製造方法に関する。
L−カルノシンは、組織修復促進作用、免疫調整作用、抗炎症作用を有していることから、医薬品や健康食品などへの需要が高まっている。また、該L−カルノシンは、容易に金属とキレート結合をつくることから、亜鉛と錯形成したポラプレジンクなどの抗潰瘍薬、味覚障害治療薬へ応用されている。さらに、類似の構造を有するL−アンセリンは、尿酸値降下作用を有していることから、痛風を抑制するサプリメントとして需要が高まっている。
該L−カルノシン等の製法として、下記式
Figure 2018203639
(式中、Rは、保護基である。)で示されるN−カルバメート保護カルボキシ無水物と、L−ヒスジン化合物とを反応させる方法が報告されている(非特許文献1参照)。
前記の通り、前記式で示されるN−カルバメート保護カルボキシ無水物は、医薬品等に使用されるL−カルノシン、L−アンセリン等の原料となる。そのため、該N−カルバメート保護カルボキシ無水物は、それ自体の製造コストが安価であり、工業的に生産し易い製造方法とすることが望まれていた。
従来、該N−カルバメート保護カルボキシル無水物は、以下の方法で製造されている。具体的には、下記式
Figure 2018203639
(式中、
R、およびR’は、保護基(t−ブチル基等)である。)で示されるN,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体と、塩化オキサリル((COCl))とジメチルホルムアミドとから生成するビルマイヤー試薬とを反応させることにより、前記式(2)で示されるN−カルバメート保護カルボキシ無水物が製造されている(非特許文献1参照)。
しかしながら、非特許文献1に記載の方法では、収率が低く、塩化オキサリルが高価であるという点で改善の余地があった。すなわち、医薬品原料等の中間体であるN−カルバメート保護カルボキシ無水物の合成が効率的かつ安価でないと、最終的な生成物(例えば、L−カルノシン等)の価格に影響を及ぼす。そのため、上記方法では改善が望まれていた。
さらには、塩化オキサリルを使用している上記方法では、反応時、高度な温度制御が必要となり、工業的な製造には好適ではないという点でも改善の余地があった。
J. Org. Chem. 2001,66,6541−6544
したがって、本発明の目的は、高収率でN−カルバメート保護カルボキシ無水物を製造できる方法を提供することにある。さらには、従来技術と比較して、比較的温和な条件でN−カルバメート保護カルボキシル無水物を製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、比較的安価で安全なトリホスゲン(ClC−C(O)−CCl)とジメチルホルムアミドとから生成されるビルスマイヤー試薬を使用して、N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体の活性化・脱保護・環化反応を連続的に実施することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)トリホスゲンと、ジメチルホルムアミドを含む溶媒とから生成したビルスマイヤー試薬と、
下記式(1)
Figure 2018203639
(式中、
は、ベンジル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又はフルオレニル基であり、同一の基であっても、異なる基であってもよい。)で示されるN,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体(以下、単に「N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体」とする場合もある。)とを反応させて、
下記式(2)
Figure 2018203639
(式中、
は、前記式(1)におけるものと同義である。)で示されるN−カルバメート保護カルボキシ無水物(以下、単に「N−カルバメート保護カルボキシ無水物」とする場合もある。)を製造する方法である。
本発明は、以下の態様をとることが好ましい。
(2)前記式(1)において、少なくとも一方のRが炭素数3〜6の分岐状のアルキル基であることが好ましい。
(3)前記溶媒が、ニトリル系溶媒、又はハロゲン系溶媒をさらに含む溶媒であることが好ましい。
(4)前記溶媒が、アセトニトリル、プロピロニトリル、塩化メチレン、およびクロロホルムからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒をさらに含む溶媒であることが好ましい。
(5)有機塩基の存在下で前記ビルスマイヤー試薬と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを反応させることが好ましい。
(6)前記ビルスマイヤー試薬と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを−10℃以上40℃以下の温度で反応させることが好ましい。
本発明によれば、塩化オキサリルよりも安価で、比較的安全なトリホスゲンを使用して、高収率でN−カルバメート保護カルボキシ無水物を製造することができる。さらには、比較的温和な条件でN−カルバメート保護カルボキシ無水物を製造することもできる。その結果、最終的に製造するL−カルノシン等のコストを低減することができるため、その工業的利用価値は高い。
本発明は、トリホスゲンと、ジメチルホルムアミドを含む溶媒とから生成したビルスマイヤー試薬を使用して、N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体をN−カルバメート保護カルボキシ無水物とする方法である。以下、順を追って説明する。
(ビルスマイヤー試薬)
本発明においては、トリホスゲンとジメチルホルムアミドとから形成されるビルスマイヤー試薬を使用する。このビルスマイヤー試薬は、トリホスゲンとジメチルホルムアミドとを接触させることにより製造できる。
本発明で使用するビルスマイヤー試薬は、下記式
Figure 2018203639
で示される構造となっている。
本発明において、ビルスマイヤー試薬は、前記の通り、トリホスゲンとジメチルホルムアミドとを接触させれば容易に製造できる。両者を十分に接触させるためには、両者を攪拌混合することが好ましい。
本発明において、ビルスマイヤー試薬を製造する場合には、特に制限されるものではないが、トリホスゲン1モルに対して、1〜10モルのジメチルホルムアミドを使用することが好ましく、さらには2〜5モルを使用することが好ましい。
本発明において、過剰なジメチルホルムアミドは、溶媒としての役割を果たす。そのため、本発明においては、他溶媒を使用せず、ジメチルホルムアミドとトリホスゲンとのみを接触させることもできる。ただし、急激な反応を抑制し、副生物が生成するのを抑制すること等を考慮すると、ジメチルホルムアミド以外の溶媒を含む状態で、トリホスゲンとジメチルホルムアミドとを接触させることが好ましい。
本発明において、ジメチルホルムアミド以外の溶媒としては、ニトリル系溶媒、又はハロゲン系溶媒を使用することが好ましい。これら溶媒は、単独種であっても、複数種であるものを使用できる。具体的な溶媒としては、アセトニトリル、プロピロニトリル、塩化メチレン、およびクロロホルムからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒が挙げられる。この中でも、後工程がし易く、目的物のロスを少なくするためには、アセトニトリル、プロピロニトリル、塩化メチレン等を使用することが好ましい。なお、以下においては、ジメチルホルムアミドのみを使用する場合、およびジメチルホルムアミドとその他溶媒とを使用する場合の両方を「ジメチルホルムアミドを含む溶媒を使用する場合」とする。
本発明において、ジメチルホルムアミド以外の溶媒を使用する場合には、ジメチルホルムアミドとその他の溶媒とを含む混合溶媒の全量が、トリホスゲン1gに対して、3〜30mlとなることが好ましく、さらには5〜20mlとなることが好ましい。該混合溶媒の全量が前記範囲を満足することにより、攪拌混合が容易となり、かつビルスマイヤー試薬を比較的温和な条件で製造できる。なお、当然のことながら、混合溶媒とする場合にも、ジメチルホルムアミドは、トリホスゲン1モルに対して、1〜10モル使用することが好ましく、さらには2〜5モルを使用することが好ましい。
本発明において、トリホスゲンとジメチルホルムアミドを含む溶媒とを混合する場合には、特に制限されるものではないが、反応系内に両者を同時に導入して攪拌混合することができる。また、何れか一方を先に反応系内に入れておき、他方を添加することもできる。特に好ましくは、ジホルムアミドを含む溶媒にトリホスゲンを加えて攪拌混合することが好ましい。
本発明において、前記ビルスマイヤー試薬は、反応温度が−10℃以上40℃以下の温度範囲で製造することが好ましい。すなわち、トリホスゲンとジメチルホルムアミドを含む溶媒とを−10以上40℃以下の温度範囲で攪拌混合して接触させることが好ましい。さらには反応温度を−10℃以上30℃以下とすることが好ましい。本発明においては、トリホスゲンを使用するため、前記ビルスマイヤー試薬の製造における反応温度を−10℃以上40℃以下という比較的温和な条件とすることができる。また、ビルスマイヤー試薬を製造する際の反応温度が上記範囲を満足することにより、分解が抑制され、高純度品として次反応に用いることができる。塩化オキサリルを使用する従来方法(非特許文献1)には、ビルスマイヤー試薬を生成する際の温度が−20℃で実施されているが、本発明によれば、これよりも温和な条件でビルスマイヤー試薬を準備できる。そのため、本発明は工業的生産に好適である。
本発明において、前記ビルスマイヤー試薬を製造するに際し、雰囲気は、窒素雰囲気下、乾燥雰囲気下、又は空気雰囲気下で実施することができる。また、加圧下、減圧下、又は大気圧下で実施することができる、より簡便な装置で製造するためには、空気雰囲気下、大気圧下で製造することが好ましい。以上のような条件であれば、通常、前記ビルスマイヤー試薬は、0.1〜3時間で製造できる。なお、前記ビルスマイヤー試薬が生成したことについては、ビルスマイヤー試薬(固体)の析出により確認できる。
以上のようにして前記ビルスマイヤー試薬は製造できるが、このビルスマイヤー試薬は、トリホスゲンとジメチルホルムアミドを含む溶媒とを混合した混合物の状態でN,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体と反応させる。次に、N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体について説明する。
(N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体)
本発明においては、前記方法で作製したビルスマイヤー試薬と下記式(1)
Figure 2018203639
で示されるN,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体を反応させる。
前記式(1)において、Rは、ベンジル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又はフルオレニル基であり、2つのRは、同一の基であっても、異なる基であってもよい。中でも、反応をより容易とし、収率をより高めるためには、少なくとも一方のRが炭素数3〜6の分岐状アルキル基であることが好ましい。この分岐状アルキル基は、酸素原子と結合する炭素原子が2級、または3級の炭素原子となっていることが好ましい。前記分岐状アルキル基の中でも、反応速度が速く、副反応が起こり難く、収率が高く、純度の高い前記N−カルバメート保護カルボキシ無水物を得るためには、t−ブチル基であることが特に好ましい。
これら基において、活性化・脱保護・環化反応のし易さは、炭素数3〜6の分岐状のアルキル基が最も反応し易く、次いで、ベンジル基、フルオレニル基、炭素数1〜6の直鎖状のアルキル基(直鎖状アルキル基)の順である。そのため、前記の通り、反応をより容易に進行させるためには、少なくとも一方のRが炭素数3〜6の分岐状のアルキル基であることが好ましく、t−ブチル基であることが特に好ましい。
具体的な反応性について説明する。例えば、一方のRが前記分岐状アルキル基であり、他方のRが前記直鎖状アルキル基の場合には、下記に詳述する式(2)で示されるN−カルバメート保護カルボキシ無水物のRは、前記直鎖状アルキル基となる。そのため、該N−カルバメート保護カルボキシ無水物のRが前記分岐状アルキル基となるためには、両方のRが前記分岐状アルキル基でなければならない。Rは、得られるN−カルバメート保護カルボキシ無水物のRが所望の基となるように適宜決定すればよい。
本発明において、前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体は、公知の方法で製造することができる。
本発明において、前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体の使用量は、特に制限されるものではないが、ビルマイヤー試薬に対して以下の量を使用することが好ましい。具体的には、ビルスマイヤー試薬を生成するトリホスゲン1モル(ビルスマイヤー試薬1モル)に対して、0.2〜2モルとすることが好ましく、0.4〜1モルとすることがより好ましい。
(ビルスマイヤー試薬とN,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体との反応)
本発明において、前記ビルスマイヤー試薬と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを反応させるには、両者を接触させればよい。十分に接触させるためには、両者を攪拌混合すればよい。具体的には、前記ビルスマイヤー試薬は、少なくともジメチルホルムアミドを含む溶媒中に存在しているため、該溶媒と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを攪拌混合することが好ましい。すなわち、ジメチルホルムアミドを含む溶媒とトリホスゲンとを接触させて得られた反応液(ビルスマイヤー試薬を含む反応液)と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを接触させればよい。
本発明において、前記ビルスマイヤー試薬と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを接触させる場合、副生する塩化水素を中和し、環化を促進させるためには、有機塩基の存在下で接触させることが好ましい。また、有機塩基は、反応溶媒として使用する、ジメチルホルムアミドを含む溶媒に溶解し易いという利点もある。
(反応;有機塩基の使用)
本発明において、有機塩基の存在下で反応する場合、該有機塩基は特に制限されるものではない。具体的には、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジエチルアニリン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。これら有機塩基は、単独種、または複数種を使用することもできる。中でも、反応をより早く進めるためには、具体的には、ピリジンとN,N−ジメチルアミノピリジンとを使用することが好ましい。
本発明において、有機塩基を使用する場合、該有機塩基の使用量は、特に制限されるものではないが、後工程のし易さ、反応速度を速める効果等を考慮すると、ビルスマイヤー試薬を生成するトリホスゲン1モル(ビルスマイヤー試薬3モル)に対して、0.1〜10モルとすることが好ましく、0.5〜3モルとすることがより好ましい。複数種類の有機塩基を使用する場合には、有機塩基の合計モル数が前記範囲を満足することが好ましい。
また、有機塩基は、前記の通り、ピリジンとN,N−ジメチルアミノピリジンとを併用することが好ましい。併用することにより、より一層、反応速度を速くすることができる。この場合、ピリジンとN,N−ジメチルアミノピリジンとのモル比(ピリジン/N,N−ジメチルアミノピリジン)は1〜50であることが好ましく、10〜30であることがより好ましい。
(反応;接触方法(混合方法))
本発明においては、前記の通り、前記ビルスマイヤー試薬、および前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体を攪拌混合して接触させることが好ましい。この場合、ビルスマイヤー試薬を含む反応液と、必要に応じて溶媒で希釈した前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを攪拌混合して接触させることが好ましい。また、有機塩基を使用する場合には、それらの混合方法は特に制限されるものではない。具体的には、有機塩基、ビルスマイヤー試薬を含む反応液、および必要に応じて溶媒で希釈した前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体を同時に反応系内に導入し攪拌混合することができる。また、より反応を温和に行うためには、ビルスマイヤー試薬を含む反応液に、有機塩基、および必要に応じて溶媒で希釈した前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体を添加しながら攪拌混合することが好ましい。この場合、有機塩基、および必要に応じて溶媒で希釈した前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とは予め混合しておき、その混合液を該反応液に添加することもできる。なお、前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体を希釈する溶媒は、ビルスマイヤー試薬で説明したニトリル系溶媒、又はハロゲン系溶媒が挙げられる。好ましい溶媒も、前記ニトリル系溶媒、又はハロゲン系溶媒と同じである。
(反応;反応温度)
本発明において、前記ビルスマイヤー試薬を含む反応液と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを攪拌混合して接触させる際の温度(反応温度)は、特に制限されるものではないが、−30〜40℃であることが好ましい。本発明で使用する前記ビルスマイヤー試薬はトリホスゲンから生成しているものであり、従来の塩化オキサリルから生成されているものよりも、比較的温和な条件で反応させることができる。そのため、本発明において反応温度は、−20〜30℃とすることが好ましく、−10〜25℃とすることがより好ましく、0〜20℃とすることがさらに好ましい。前記温度範囲であっても、副反応等を抑制しつつ、目的物を製造できる。特に、本発明においては、−10〜25℃の範囲においても、副反応等を抑制して反応を実施できることから、従来技術の塩化オキサリル(反応温度−20℃)よりも温和な条件で実施できる。そのため、本発明の方法は、工業的な生産に適している。
(反応;その他の条件)
本発明において、その他の反応条件は、特に制限されるものではないが、以下の条件を採用することが好ましい。具体的には、本発明の反応は、減圧下、加圧下、大気圧下で実施することができる。操作性を考慮すると大気圧下で実施することが好ましい。また、空気雰囲気下、乾燥ガス雰囲気下、不活性ガス雰囲気下で実施することもできる。その他、反応時間も、特に制限されるものではなく、前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体の消費割合を確認して適宜決定すればよい。
以上のような条件で反応を行うことにより、前記N−カルバメート保護カルボキシ無水物を製造することができる。
(N−カルバメート保護カルボキシ無水物)
本発明においては、上記反応を行うことにより、下記式(2)
Figure 2018203639
(式中、
は、前記式(1)におけるものと同義である。)で示されるN−カルバメート保護カルボキシ無水物を製造することができる。前記式(2)におけるRは、前記の通り、前記式(1)のRによって決定される。そのため、前記式(2)におけるR1は、全域式(1)におけるR1と好ましい基は同じであり、炭素数3〜6の分岐状アルキル基が好ましく、特にt-ブチル基が好ましい。
前記N−カルバメート保護カルボキシ無水物は、前記反応後、以下のようにして系外に取り出すことができる。具体的には、前記ビルスマイヤー試薬、および前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体を反応して得られた、前記N−カルバメート保護カルボキシ無水物を含む反応混合液に、水を加え、水を含む該反応混合液を有機溶媒で抽出すればよい。具体的には、水を含む反応混合溶液を、酢酸エチルのような難水溶性有機溶媒で抽出することにより、該難水溶性溶媒中に、前記N−カルバメート保護カルボキシ無水物を取り出すことができる。
得られた前記N−カルバメート保護カルボキシ無水物は、公知の方法で精製すればよい。本発明においては、トリホスゲンから得られるビルスマイヤー試薬を使用しているため、比較的温和な条件で反応を進めることができ、前記N−カルバメート保護カルボキシ無水物の収率も高くすることができる。
得られた前記N−カルバメート保護カルボキシ無水物は、L−カルノシンのような医薬品等の原料として有効に使用できる。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、具体例であって、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例1
下記式の反応を行った。式において、Bocは、t−ブチルオキシカルボニル基を指す。
Figure 2018203639
(ビルスマイヤー試薬の製造)
DMF(1.1g、15mmol)のアセトニトリル(15mL)溶液にトリホスゲン(1.5g、5mmol)を0℃で加え、同温で1時間攪拌することにより、トリホスゲンを使用したビルスマイヤー試薬を含む反応液を得た(固体が析出したことにより、ビルスマイヤー試薬が生成されたことを確認した。)。
(ビルスマイヤー試薬とN,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体との反応)
前記反応液に、N、N−ジ−tert−ブトキシカルボニル−β−アラニン(1.0g、3mmol;N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体)、ピリジン(0.5g、6mmol)、N、N−ジメチルアミノピリジン(0.04g、0.3mmol)のアセトニトリル(4mL)溶液を0℃で加えた。反応混合液を、0℃で1時間撹拌した後、23℃で15時間撹拌した。得られた反応混合液に水に加え、生成物を、酢酸エチルで抽出した。この抽出液を重曹水(pH:8.0)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮を行うことにより、3−tert−ブトキシカルボニル−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサジン−2,6−ジオン(収量0.5g、収率70%;前記N−カルバメート保護カルボキシ無水物)を結晶物として得た。
IR(KBr):1730cm−1
H−NMR(90MHz、CDCl3):1.58−1.56(s、9H)、2.94−2.80(t、2H)、3.98−3.84(t、2H)。
比較例1(非特許文献1の方法に従って合成した例)
実施例1と同じ前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体を使用して同じ反応式の実験を行った。
(ビルスマイヤー試薬の製造)
DMF(7.6g、103mmol)のアセトニトリル(50mL)溶液に塩化オキサリル(13.2g、103mmol)を反応温度−20℃以下で加え、同温で、1時間攪拌し、塩化オキサリルを使用したビルスマイヤー試薬を含む反応液を得た(固体が析出したことにより、ビルスマイヤー試薬が生成されたことを確認した。)。
(ビルスマイヤー試薬とN,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体との反応)
前記方法で得られたビルスマイヤー試薬の反応液に、N、N−ジ−tert−ブトキシカルボニル−β−アラニン(5.0g、17mmol)、ピリジン(1.4g、17mmol)のアセトニトリル(30mL)溶液を、−20℃以下で加えた。この反応混合液を、−20℃で1時間攪拌した後、23℃で3時間撹拌したところ、既に、原料であるN、N−ジ−tert−ブトキシカルボニル−β−アラニンが消失していたので攪拌を終了した。得られた反応混合液に水に加え、生成物を、酢酸エチルで抽出した。この抽出液を重曹水(pH:8.0)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮を行うことにより、3−tert−ブトキシカルボニル−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサジン−2,6−ジオン(収量1.3g、収率35%;前記N−カルバメート保護カルボキシ無水物)を結晶物として得た。

Claims (6)

  1. トリホスゲンと、ジメチルホルムアミドを含む溶媒とから生成したビルスマイヤー試薬と、
    下記式(1)
    Figure 2018203639
    (式中、
    は、ベンジル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又はフルオレニル基であり、同一の基であっても、異なる基であってもよい。)で示されるN,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを反応させて、
    下記式(2)
    Figure 2018203639
    (式中、
    は、前記式(1)におけるものと同義である。)で示されるN−カルバメート保護カルボキシ無水物を製造する方法。
  2. 前記式(1)において、少なくとも一方のRが炭素数3〜6の分岐状のアルキル基である請求項1に記載の方法。
  3. 前記溶媒が、ニトリル系溶媒、又はハロゲン系溶媒をさらに含む溶媒である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記溶媒が、アセトニトリル、プロピオニトリル、塩化メチレン、およびクロロホルムからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒をさらに含む溶媒である請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
  5. 有機塩基の存在下で前記ビルスマイヤー試薬と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを反応させる請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
  6. 前記ビルスマイヤー試薬と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを−10℃以上40℃以下の温度で反応させる請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
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