JP2018203639A - N−カルバメート保護カルボキシ無水物の製造方法 - Google Patents
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Description
R、およびR’は、保護基(t−ブチル基等)である。)で示されるN,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体と、塩化オキサリル((COCl)2)とジメチルホルムアミドとから生成するビルマイヤー試薬とを反応させることにより、前記式(2)で示されるN−カルバメート保護カルボキシ無水物が製造されている(非特許文献1参照)。
(1)トリホスゲンと、ジメチルホルムアミドを含む溶媒とから生成したビルスマイヤー試薬と、
下記式(1)
R1は、ベンジル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又はフルオレニル基であり、同一の基であっても、異なる基であってもよい。)で示されるN,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体(以下、単に「N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体」とする場合もある。)とを反応させて、
下記式(2)
R1は、前記式(1)におけるものと同義である。)で示されるN−カルバメート保護カルボキシ無水物(以下、単に「N−カルバメート保護カルボキシ無水物」とする場合もある。)を製造する方法である。
本発明においては、トリホスゲンとジメチルホルムアミドとから形成されるビルスマイヤー試薬を使用する。このビルスマイヤー試薬は、トリホスゲンとジメチルホルムアミドとを接触させることにより製造できる。
本発明においては、前記方法で作製したビルスマイヤー試薬と下記式(1)
本発明において、前記ビルスマイヤー試薬と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを反応させるには、両者を接触させればよい。十分に接触させるためには、両者を攪拌混合すればよい。具体的には、前記ビルスマイヤー試薬は、少なくともジメチルホルムアミドを含む溶媒中に存在しているため、該溶媒と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを攪拌混合することが好ましい。すなわち、ジメチルホルムアミドを含む溶媒とトリホスゲンとを接触させて得られた反応液(ビルスマイヤー試薬を含む反応液)と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを接触させればよい。
本発明において、有機塩基の存在下で反応する場合、該有機塩基は特に制限されるものではない。具体的には、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジエチルアニリン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。これら有機塩基は、単独種、または複数種を使用することもできる。中でも、反応をより早く進めるためには、具体的には、ピリジンとN,N−ジメチルアミノピリジンとを使用することが好ましい。
本発明においては、前記の通り、前記ビルスマイヤー試薬、および前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体を攪拌混合して接触させることが好ましい。この場合、ビルスマイヤー試薬を含む反応液と、必要に応じて溶媒で希釈した前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを攪拌混合して接触させることが好ましい。また、有機塩基を使用する場合には、それらの混合方法は特に制限されるものではない。具体的には、有機塩基、ビルスマイヤー試薬を含む反応液、および必要に応じて溶媒で希釈した前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体を同時に反応系内に導入し攪拌混合することができる。また、より反応を温和に行うためには、ビルスマイヤー試薬を含む反応液に、有機塩基、および必要に応じて溶媒で希釈した前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体を添加しながら攪拌混合することが好ましい。この場合、有機塩基、および必要に応じて溶媒で希釈した前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とは予め混合しておき、その混合液を該反応液に添加することもできる。なお、前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体を希釈する溶媒は、ビルスマイヤー試薬で説明したニトリル系溶媒、又はハロゲン系溶媒が挙げられる。好ましい溶媒も、前記ニトリル系溶媒、又はハロゲン系溶媒と同じである。
本発明において、前記ビルスマイヤー試薬を含む反応液と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを攪拌混合して接触させる際の温度(反応温度)は、特に制限されるものではないが、−30〜40℃であることが好ましい。本発明で使用する前記ビルスマイヤー試薬はトリホスゲンから生成しているものであり、従来の塩化オキサリルから生成されているものよりも、比較的温和な条件で反応させることができる。そのため、本発明において反応温度は、−20〜30℃とすることが好ましく、−10〜25℃とすることがより好ましく、0〜20℃とすることがさらに好ましい。前記温度範囲であっても、副反応等を抑制しつつ、目的物を製造できる。特に、本発明においては、−10〜25℃の範囲においても、副反応等を抑制して反応を実施できることから、従来技術の塩化オキサリル(反応温度−20℃)よりも温和な条件で実施できる。そのため、本発明の方法は、工業的な生産に適している。
本発明において、その他の反応条件は、特に制限されるものではないが、以下の条件を採用することが好ましい。具体的には、本発明の反応は、減圧下、加圧下、大気圧下で実施することができる。操作性を考慮すると大気圧下で実施することが好ましい。また、空気雰囲気下、乾燥ガス雰囲気下、不活性ガス雰囲気下で実施することもできる。その他、反応時間も、特に制限されるものではなく、前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体の消費割合を確認して適宜決定すればよい。
本発明においては、上記反応を行うことにより、下記式(2)
R1は、前記式(1)におけるものと同義である。)で示されるN−カルバメート保護カルボキシ無水物を製造することができる。前記式(2)におけるR1は、前記の通り、前記式(1)のR1によって決定される。そのため、前記式(2)におけるR1は、全域式(1)におけるR1と好ましい基は同じであり、炭素数3〜6の分岐状アルキル基が好ましく、特にt-ブチル基が好ましい。
下記式の反応を行った。式において、Bocは、t−ブチルオキシカルボニル基を指す。
DMF(1.1g、15mmol)のアセトニトリル(15mL)溶液にトリホスゲン(1.5g、5mmol)を0℃で加え、同温で1時間攪拌することにより、トリホスゲンを使用したビルスマイヤー試薬を含む反応液を得た(固体が析出したことにより、ビルスマイヤー試薬が生成されたことを確認した。)。
前記反応液に、N、N−ジ−tert−ブトキシカルボニル−β−アラニン(1.0g、3mmol;N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体)、ピリジン(0.5g、6mmol)、N、N−ジメチルアミノピリジン(0.04g、0.3mmol)のアセトニトリル(4mL)溶液を0℃で加えた。反応混合液を、0℃で1時間撹拌した後、23℃で15時間撹拌した。得られた反応混合液に水に加え、生成物を、酢酸エチルで抽出した。この抽出液を重曹水(pH:8.0)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮を行うことにより、3−tert−ブトキシカルボニル−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサジン−2,6−ジオン(収量0.5g、収率70%;前記N−カルバメート保護カルボキシ無水物)を結晶物として得た。
IR(KBr):1730cm−1。
1H−NMR(90MHz、CDCl3):1.58−1.56(s、9H)、2.94−2.80(t、2H)、3.98−3.84(t、2H)。
実施例1と同じ前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体を使用して同じ反応式の実験を行った。
DMF(7.6g、103mmol)のアセトニトリル(50mL)溶液に塩化オキサリル(13.2g、103mmol)を反応温度−20℃以下で加え、同温で、1時間攪拌し、塩化オキサリルを使用したビルスマイヤー試薬を含む反応液を得た(固体が析出したことにより、ビルスマイヤー試薬が生成されたことを確認した。)。
前記方法で得られたビルスマイヤー試薬の反応液に、N、N−ジ−tert−ブトキシカルボニル−β−アラニン(5.0g、17mmol)、ピリジン(1.4g、17mmol)のアセトニトリル(30mL)溶液を、−20℃以下で加えた。この反応混合液を、−20℃で1時間攪拌した後、23℃で3時間撹拌したところ、既に、原料であるN、N−ジ−tert−ブトキシカルボニル−β−アラニンが消失していたので攪拌を終了した。得られた反応混合液に水に加え、生成物を、酢酸エチルで抽出した。この抽出液を重曹水(pH:8.0)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮を行うことにより、3−tert−ブトキシカルボニル−4,5−ジヒドロ−1,3−オキサジン−2,6−ジオン(収量1.3g、収率35%;前記N−カルバメート保護カルボキシ無水物)を結晶物として得た。
Claims (6)
- 前記式(1)において、少なくとも一方のR1が炭素数3〜6の分岐状のアルキル基である請求項1に記載の方法。
- 前記溶媒が、ニトリル系溶媒、又はハロゲン系溶媒をさらに含む溶媒である請求項1又は2に記載の方法。
- 前記溶媒が、アセトニトリル、プロピオニトリル、塩化メチレン、およびクロロホルムからなる群より選ばれる少なくとも1種の溶媒をさらに含む溶媒である請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
- 有機塩基の存在下で前記ビルスマイヤー試薬と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを反応させる請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
- 前記ビルスマイヤー試薬と前記N,N−ジカルバメート保護−β−アラニン誘導体とを−10℃以上40℃以下の温度で反応させる請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
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