JP2004339205A - 光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法 - Google Patents

光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法 Download PDF

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貴之 浜田
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Abstract

【課題】医薬品や農薬等の中間化合物として有用な光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の効率的かつ工業的生産に適した製造方法を提供すること。
【解決手段】特定の光学活性スルホン酸エステル化合物に芳香族アミン類を反応させる、光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、医薬品や農薬等の中間体化合物として有用な光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法に関する。
光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物は、非特許文献1(Organic Letters, 2001, 3, 2585-2586)に示されるように医薬品の中間体化合物等として重要な化合物である。
光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法としては、例えばN−アリール−β−デヒドロアミノ酸メンチルエステルのジアステレオ選択的ボラン還元により製造する方法が非特許文献2(J. Org. Chem., 2002, 67, 4667-4679)に記載されている。しかし、この方法は化学量論量の光学活性L−メントール類が必要である上、N−アリール−β−デヒドロアミノ酸メンチルエステルに誘導する工程及び最終的に脱エステル化する工程が必要となる。また、この天然の光学活性L−メントールを用いる方法で得られるN−アリール−β−アミノ酸化合物は(S)体が最高60%eeであり、なおかつ(R)体については非天然の光学活性L−メントールを用いる必要があるため経済的に合成することができない。
また、他の方法として、アルジミンを出発原料とするレフォルマトスキー型不斉付加反応(非特許文献3、Chemistry Letters, 2001, (3), 254-255)を用いた方法や、不斉マンニッヒ反応(非特許文献4、Tetrahedron, 2001, 57, 875-877)を用いた方法も報告されている。しかし、前者の方法は、アルジミンのアニリン上のオルト位にヒドロキシ基が必須となり、フェニル基の2位にヒドロキシ基がないN−アリール−β−アミノ酸の製造は不可能である。後者の方法は、軸不斉テルフェニルを有するアセテートが化学量論量必要であるという制限があり、軸不斉テルフェニルを有するアセテートは製造が容易ではなく、なおかつ経済的にも優れた方法とは言えない。従って、何れの方法も工業化な生産を行う上で必ずしも満足できる方法とは言えない。
また、β−アミノ酸とアリールハライドを銅触媒を用いてカップリング反応を行う方法も報告されている(非特許文献1、Organic Letters, 2001, 3, (16), 2585-2586)。しかし、この方法は銅を用いるため銅廃棄などの環境面で問題がある。更に、β−アミノ酸は工業的スケールでの入手が比較的困難であり、例えば安価なβ−ケトカルボン酸化合物を出発物質に用いる合成法として、β−ヒドロキシカルボン酸エステルをミツノブ反応により合成する方法(非特許文献5、「シンレット」1998年第11号第1189〜1190頁(Synlett, 1998, 11, 1189-1190))、スルホニル化されたβ−ヒドロキシカルボン酸エステルをアジド化またはベンジルアミンとの置換反応後、還元する方法(非特許文献6、「テトラヘドロン・レターズ」1987年第28巻第3103〜3106頁(Tetrahedron Letters, 1987, 28, 3103-3106))等が知られているが、β−ケトカルボン酸化合物の不斉還元、スルホニル化、アジドあるいはベンジルアミノ化、金属触媒による水素化、銅を用いたアリール化と多工程を経る必要がある。このように上記銅触媒を用いる方法は、工業的に必ずしも適した方法とは言えなかった。
「オルガニック・レターズ」2001年第3巻第16号第2585〜2586頁 「ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー」2002年第67巻第4667〜4679頁 「ケミストリ・レターズ」2001年第3号第254〜255頁 「テトラヘドロン」2001年第57巻第875〜887頁 「シンレット」1998年第11号第1189〜1190頁 「テトラヘドロン・レターズ」1987年第28巻第3103〜3106頁
前項記載の従来技術の背景下に、本発明の目的は、光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の効率的かつ工業的生産に適した製造方法を提供することにある。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、安価に入手可能な光学活性β−ケトカルボン酸化合物から容易に誘導される光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物のスルホニル化体と芳香族アミンと反応させることにより光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物が高い光学純度かつ高収率で得られることを見出した。
従来、光学活性α−ヒドロキシカルボン酸化合物のトリフルオロメチルスルホニル化体と芳香族アミンとを反応させて光学活性N−アリール−α−アミノ酸を合成する方法(「リービッヒ・アナーレン・デア・ケミ」1986年第2号第314〜333頁(Liebigs Annalen der Chemie, 1986, (2), 314-333))は報告されていたが、光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物のスルホニル化体と芳香族アミンとの反応については全く報告されていなかった。一方で光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物のスルホニル化体ではトリエチルアミン、DBUあるいは水酸化アンモニウムなどの塩基存在下で、脱離反応が起こり、α,β不飽和カルボン酸化合物が生成することが知られていた(「シンセシス」1986年3号184〜189頁(Synthesis, 1986, (3), 184-189))。なお、α−ヒドロキシカルボン酸化合物のスルホニル化体のアミノ化反応の場合は、その化学構造上、脱離反応は起こりにくく、α,β不飽和カルボン酸化合物が生成することは少ない。
本発明者らは、このように容易に付加脱離が起こり、ラセミ化反応が進行する系であるにもかかわらず、β−ヒドロキシカルボン酸化合物のスルホニル化体と芳香族アミンとを反応させることにより、高い光学純度で、高収率に光学活性N−アリール−β−アミノ酸を得ることができることを見出した。また一方、β−ヒドロキシカルボン酸化合物は、上述したように安価なβ−ケトカルボン酸化合物を不斉還元することで、高収率かつ高い光学純度で任意の立体配置を有するものを得ることができることが知られている。更に、本発明者らは上記アミノ化反応とともに、光学活性スルホン酸エステル化合物の調製に上記の還元反応を採用することで、光学活性N−アリール−β−アミノ酸の製造方法として優れた反応スキームが構築されることを見出した。
本発明者らはこれらの知見に基づき本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の内容を含むものである。
[1]下記式(1)
Figure 2004339205
[式中、Yは置換されていてもよいメチル基を表し、Zはヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいアルコキシ基、又は置換されていてもよいアリールオキシ基を表わし、Rは置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基、又は置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基を表す。また、式中、*は光学活性炭素であることを表し、立体配置はRまたはSである。]
で表される光学活性スルホン酸エステル化合物を、下記式(2)
Figure 2004339205
[式中、Xは置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基、又は置換されていてもよい炭素原子数3〜15の芳香族複素環基を表す。]
で表される芳香族アミンと反応させることを特徴とする、下記式(3)
Figure 2004339205
[式中、X、Y、Zおよび*は前記と同じ意味を表す。]
で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法。
[2]下記式(5)
Figure 2004339205
[式中、Y、Zおよび*は前記と同じ意味を表す。]
で表わされる光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物をスルホニルクロライド又は無水スルホン酸と反応させ、前記式(1)で表わされる光学活性スルホン酸エステル化合物を製造する工程を含むことを特徴とする[1]記載の製造方法。
[3]下記式(4)
Figure 2004339205
[式中、YおよびZは前記と同じ意味を表す。]
で表わされるβ−ケトカルボン酸化合物を酵素またはルテニウム−BINAP触媒存在下に不斉還元し、前記式(5)で表わされる光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物を製造する工程を含むことを特徴とする[2]記載の製造方法。
[4]前記式(1)で表される光学活性スルホン酸エステル化合物において、Rがトリフルオロメチル、メチルまたはp−トリル基であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法。
[5]前記式(1)で表される光学活性スルホン酸エステル化合物において、Rがトリフルオロメチルであることを特徴とする[4]記載の光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法。
[6]前記式(1)で表されるスルホン酸エステル化合物において、該スルホニル基が無水トリフルオロメタンスルホン酸をスルホニル化試薬に用いることにより導入され、該Rがトリフルオロメチル基であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法。
[7]該反応が温度5℃以下で行われることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の光学活性N−アリール−β−アミノ酸誘導体の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における式中、Yは置換されていてもよいメチル基を表す。メチル基が置換基を有する場合の置換基としては本発明における反応を阻害しない限り特に限定されず、置換基の数は1〜3の範囲で選択される。複数の置換基を有する場合はそれぞれ同一の置換基であってもよく、各々異なる置換基であってもよい。
Y上における置換基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;ベンジル基などのアラルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ベンジロキシ基などのアルコキシ基;アセトキシ基、ベンゾイロキシ基などのアシルオキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−プチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ベンジルチオ基などのアルキルチオ基;アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基などのアシルチオ基;ヒドロキシ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子;カルボン酸、カルボン酸ナトリウム;スルホン酸、スルホン酸ナトリウム;ビニル基、アリル基;フェニル基、ナフチル基、フリル基、チエニル基、インドリル基、ピリジル基などのアリール基;ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、メチルアミノカルボニル基などのカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホンアミド基などのスルホニル基;アミノ基;N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−n−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−n−ブチルアミノ基、N−イソブチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−メトキシカルボニルアミノ基、N−tert−ブトキシカルボニルアミノ基、N−ベジジルオキシカルボニルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−メシルアミノ基、N−トシルアミノ基、ホルミルアミノ基などの一級アミノ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N,N−ジ−n−プロピルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジ−n−ブチルアミノ基、N,N−ジイソブチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N−ベンジル−N−メチルアミノ基、N−メシル−N−メチルアミノ基、ピペリジル基、ピロリジル基などの二級アミノ基;ニトロ基;ニトロソ基;シアノ基;モノクロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロメチル基などのハロメチル基;モノフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などのハロアリール基などを挙げることができる。
本発明における式中、Zはヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基を表す。置換基を有する場合の置換基としては本発明における反応を阻害しない限り特に限定されず、複数の置換基を有していてもよく、環を形成していても良い。複数の置換基を有する場合はそれぞれ同一の置換基であってもよく、各々異なる置換基であってもよい。
Zにおける置換基の例としては、アミノ基上の置換基の場合にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、メトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、フェニル基、メシル基、トシル基、ホルミル基などが挙げられる。また、アルコキシ基上の置換基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、ピリジル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、L−メンチル基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。アリールオキシ基上の置換基としては、フェニル基、p−トリル基、p−ニトロフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
置換されていてもよいアミノ基としては、例えば、アミノ基、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−n−プロピルアミノ基、N−イソプロピルアミノ基、N−n−ブチルアミノ基、N−イソブチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基、N−メトキシカルボニルアミノ基、N−tert−ブトキシカルボニルアミノ基、N−ベンジルオキシカルボニルアミノ基、N−フェニルアミノ基、N−メシルアミノ基、N−トシルアミノ基、ホルミルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジベンジルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N,N−ジ−n−プロピルアミノ基、N,N−ジ−イソプロピルアミノ基、N,N−ジ−n−ブチルアミノ基、N,N−ジイソブチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N−ベンジル−N−メチルアミノ基、N−メシル−N−メチルアミノ基、ピペリジル基、ピロリジル基等が挙げられる。
置換されていてもよいアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ベンジルオキシ基、ピリジルオキシ基;シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、L−メンチルオキシ基、ビニルオキシ基、アリルオキシ基等が挙げられる。
置換されていてもよいアリールオキシ基としては、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、p−ニトロフェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
本発明における式中、Rは水素原子、置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基、置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基を表す。置換基を有する場合の置換基としては本発明における反応を阻害しない限り特に限定されず、複数の置換基を有していてもよい。複数の置換基を有する場合はそれぞれ同一の置換基であってもよく、各々異なる置換基であってもよい。
上における置換基の例としては、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基などが挙げられる。
置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、L−メンチル基、モノクロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロメチル基等が挙げられる。
置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基、モノフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
本発明における式中、Xは置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基、又は置換されていてもよい炭素原子数4〜15の芳香族複素環基を表わす。炭素原子数6〜15のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。炭素原子数3〜15の芳香族複素環基としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基等が挙げられる。
置換基を有する場合の置換基としては本発明における反応を阻害しない限り特に限定されず、複数の置換基を有していてもよい。複数の置換基を有する場合はそれぞれ同一の置換基であってもよく、各々異なる置換基であってもよい。Xにおける置換基の例としては、Yにおける置換基と同じ例を挙げることができる。
式(1)で表される光学活性スルホン酸エステル化合物および式(3)で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の好ましい態様として、それぞれ例えば式(1’)で表される光学活性スルホン酸エステル化合物および式(3’)で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物を挙げることができる。
Figure 2004339205
式(1’)および式(3’)中、X、ZおよびRは前記と同じ意味を表す。*は光学活性炭素であることを表し、立体配置はRまたはSである。R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子又は置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基、置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基を表す。置換基を有する場合の置換基としては本発明における反応を阻害しない限り特に限定されず、複数の置換基を有していてもよい。複数の置換基を有する場合はそれぞれ同一の置換基であってもよく、各々異なる置換基であってもよい。
置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、L−メンチル基、モノクロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ペンタフルオロメチル基等が挙げられる。
置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基、モノフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。
置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
本発明における光学活性スルホニル化合物(1)は下記式(4)で表わされるβ−ケトカルボン酸化合物を不斉還元し、下記式(5)で表される光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物を得た後、これをスルホニル化することで製造することができる。
Figure 2004339205
[式中、YおよびZは前記と同じ意味を表す。]
Figure 2004339205
[式中、Y、Zおよび*は前記と同じ意味を表す。]
例えば、式(4)で表されるβ−ケトカルボン酸化合物は、「ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ」1987年第109巻第5856〜5858頁(J. Am. Chem. Soc., 1987, 109, 5856-5858)記載の公知の方法に従って製造することができ、例えば、微量(例えば0.05%程度)のRuCl2(R)-binap、RuCl2(S)-binap等のルテニウム−ビナフチル触媒(Ru-binap触媒)で不斉還元することにより、高い光学純度で定量的に下記式(5)で表される光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物に変換され、安価に製造することができる。また、用いる触媒の立体配置を選択することで、式(4)の光学活性炭素の立体配置を、(R)または(S)いずれか所望の立体配置とすることができる。また、酵素による不斉還元によりβ−ケトカルボン酸化合物を光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物に誘導することも可能である。例えば、「ジャーナル・オブ・モレキュラー・キャタリシスB:エンザイマティック」1998年第5巻第1−4号第129〜132項(Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic (1998), 5(1-4), 129-132)や「ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー」1998年第63巻第15号第4996〜5000項(Journal of Organic Chemistry (1998), 63(15), 4996-5000)等に記載の公知の方法に従って光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物を99%以上の高い光学純度で製造することができる。
更に式(5)で表される光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物は、塩基存在下、スルホニル化試薬と反応させることにより、高い光学純度で定量的に下記式(1)で表される光学活性スルホン酸エステル化合物に変換され、安価に製造することができる。
スルホニル化試薬としては、メシルクロリド、ノシルクロリド、トシルクロリド、トリフルオロメチルベンゼンスルホニルクロリド、トリフルオロメトキシベンゼンスルホニルクロリド、ブロモベンゼンスルホニルクロリド、ジブロモベンゼンスルホニルクロリド、クロロベンゼンスルホニルクロリド、ジクロロベンゼンスルホニルクロリド、トリクロロベンゼンスルホニルクロリド、フルオロベンゼンスルホニルクロリド、ジフルオロベンゼンスルホニルクロリド、トリベンゼンスルホニルクロリド、シアノベンゼンスルホニルクロリド、tert−ブチルベンゼンスルホニルクロリド、ビフェニルスルホニルクロリド、ナフタレンスルホニルクロリド、トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド、2,4−ジクロロ5−メチルベンゼンスルホニルクロリド、2,5−ジブロモ−3,6−ジフルオロベンゼンスルホニルクロリド、メシチレンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリドなどのスルホン酸クロリドや無水トリフルオロメタンスルホン酸などの無水スルホン酸などが挙げられる。特にメシルクロリド、トシルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、無水トリフルオロメタンスルホン酸が好適であり、特にトリフルオロメタンスルホニルクロリド、無水トリフルオロメタンスルホン酸が好ましい。換言すれば本発明において前記式(1)中のRがメチル基、p−トリル基、トリフルオロメチル基である光学活性スルホン酸エステル化合物が好適に用いられ、特にRがトリフルオロメチル基である光学活性スルホン酸エステル化合物が好ましく用いられる。
スルホニル化試薬の使用量は特に限定されないが、式(5)で表される光学活性β―ヒドロキシカルボン酸化合物に対しモル比で、好ましくは1.0〜2.0当量、特に1.0〜1.1当量のスルホニル化試薬を用いることが好ましい。使用する塩基としては無機塩基および有機塩基のどちらでも良いが、有機三級アミンが好適であり、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、DMAP(ジメチルアミノピリジン)等が好ましい。塩基の使用量は特に限定されないが、式(5)で表わされる光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物に対しモル比で、好ましくは0.5〜2.5当量、特に好ましくは0.9〜1.2の範囲で用いることができる。溶媒は非プロトン性溶媒が好ましく、特にジクロロメタンのようなハロゲン性溶媒やTHF(テトラヒドロフラン)、MTBE(メチルt−ブチルエーテル)などのエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミドなどが好ましく、ジクロロメタンが収率の点から好適である。反応開始時の溶媒中の光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物の濃度は通常0.001〜10mol/Lの範囲であり、好ましくは0.02〜0.5mol/Lの範囲とすることができる。反応温度は通常−78〜40℃の範囲であり、特に−40〜25℃の範囲であることが、収率および経済性の点から好ましい。反応時間は、その他諸反応条件によっても異なるが、通常数分〜24時間程度であり、30分〜2時間であることが収率及び経済性の点から好ましい。
スルホニル化反応に引き続き本発明のアミノ化反応(前記式(1)で表される光学活性スルホン酸エステル化合物と前記式(2)で表される芳香族アミンとの反応)を行う場合、スルホニル化反応で得られた光学活性スルホン酸エステル化合物を反応溶液中から単離してアミノ化反応に用いてもよいが、通常は単離することなく反応溶液をそのまま用いることができる。従って、β―ヒドロキシカルボン酸化合物のスルホニル化工程とアミノ化工程を同一の反応槽で実施することが可能であるため、収率のロスなく、また反応槽の洗浄、乾燥なども省略することができ、経済的に非常に効率よく製造することができる。
式(1)で表わされる光学活性スルホン酸エステル化合物は式(2)で表わされる芳香族アミンと反応させることにより、式(3)で表わされる光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物に誘導される。
芳香族アミンの使用量は特に限定されないが、スルホン酸エステル化合物に対しモル比で、好ましくは1.0〜4.0当量、更に好ましくは2.0〜3.2当量、特に好ましくは2.0〜2.2当量の範囲で用いることができる。
アミノ化の反応温度は通常5℃以下、好ましくは0℃以下、更に好ましくは−10℃以下に設定する。反応温度が高くなりすぎると、目的物のラセミ化が進行する傾向にある。また反応温度が低くなりすぎると反応速度が低下する傾向にあり、また必要以上の冷却は経済的に好ましくないため、通常反応温度の下限は通常−100℃以上、特に−78℃以上とするのが好ましい。従って、反応温度の好ましい範囲は、例えば、−100℃〜5℃、更に好ましくは−100℃〜0℃、更に好ましくは−78℃〜0℃、特に好ましくは−78℃〜−10℃とすることができる。反応時間は、その他の諸反応条件によっても異なるが、通常1〜120時間程度であり、特に2〜24時間であることが収率及び経済性の点から好ましい。
反応工程終了後、反応を完全に停止させるために酸を添加するのが好ましい。酸としては有機酸が好ましく、特に酢酸、トリフルオロ酢酸が好ましい。
アミノ化反応の反応溶液から目的物を単離する方法は特に限定されず、シリカゲルクロマトグラフィー、溶媒抽出、晶析等、当業者に公知の方法を適宜採用することができる。
以下に本発明の内容を実施例により具体的に説明するが、本実施例は本発明を何ら限定するものではない。なお、実施例中、光学純度は光学活性高速液体クロマトグラフィーにより決定した。
<実施例1>
アセト酢酸メチル(348mg、3.0mmol)のメタノール溶液(3.0mL)にRuCl2(R)-binap(0.8mg、0.001mmol)を加え、オートクレープ中水素を30気圧かけ、80℃で66時間撹拌し、濃縮した後、蒸留にて(R)−3−ヒドロキシ酪酸メチル(325mg、2.76mmol、96.7%ee)を得た。キラルHPLC条件は以下の通りである。カラム:ダイセル化学工業(株)製「CHIRALPAK AS-H」、溶離液:ヘキサン:2−プロパノール=95:5、流速:0.8mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:13分(S)、16分(R)。
この(R)−3−ヒドロキシ酪酸メチル(118mg、1.0mmol、96.7%ee)およびピリジン(0.11mL、1.2mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)を0℃に冷却し、これに無水トリフルオロメタルスルホン酸(0.31mL、1.1mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)を滴下し、1時間撹拌した。
その後、−40℃まで冷却し、アニリン(0.18ml、2.0mmol)を添加し、−40℃で16時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて単離して、(R)−3−(フェニルアニリノ)酪酸メチルを得た(156.3mg、収率81%、光学純度88.8%)。H−NMRおよびC13−NMRを測定し、「シンセシス」2000年第6号第789〜800頁(Synthesis, 2000, 6, 789-800)記載のデータ値から目的物であることを確認した。キラルHPLC条件は以下の通りである。カラム:ダイセル化学工業(株)製「CHIRALPAK AS-H」、溶離液:ヘキサン:2−プロパノール=95:5、流速:0.8mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:10分(R)、11分(S)。
<実施例2>
(R)−3−ヒドロキシ酪酸メチル(248mg、2.10mmol、96%ee)およびジイソプロピルエチルアミン(0.384mL、2.20mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)を−78℃に冷却し、これに無水トリフルオロメタルスルホン酸(652mg、2.31mmol)のジクロロメタン溶液(1mL)を滴下し、1時間撹拌した。
その後、−78℃にてアニリン(0.574ml、6.30mmol)を添加し、−40℃に昇温して16時間撹拌し、トリフルオロ酢酸でクエンチした後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて単離して、(S)−3−(フェニルアニリノ)酪酸メチルを得た(反応収率94%、光学純度95%ee)。
<実施例3>
(R)−3−ヒドロキシ酪酸メチル(244mg、2.06mmol、96%ee)およびジイソプロピルエチルアミン(0.377mL、2.16mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)を−78℃に冷却し、これに無水トリフルオロメタルスルホン酸(641mg、2.27mmol)のジクロロメタン溶液(1mL)を滴下し、1時間撹拌した。
その後、−78℃にてp−メトキシアニリン(763mg、6.19mmol)を添加し、−40℃に昇温して16時間撹拌し、トリフルオロ酢酸でクエンチした後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて単離して、(S)−3−(p−メトキシフェニルアニリノ)酪酸メチルを得た(反応収率77%、光学純度96%ee)。キラルHPLC条件は以下の通りである。カラム:ダイセル化学工業(株)製「CHIRALPAK AS-H」、溶離液:ヘキサン:2−プロパノール=90:10、流速:1.0mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:16分(R)、19分(S)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): d 1.25 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 2.41 (dd, J = 15.0, 6.8 Hz, 1H), 2.62 (dd, J = 15.0, 5.3 Hz, 1H), 3.68 (s, 3H), 3.74 (s, 3H), 3.81-3.89 (m, 1H), 6.59-6.63 (m, 2H), 6.76-6.80 (m, 2H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): d 21.03, 41.12, 47.67, 51.98, 56.15, 115.36, 115.94, 141.22, 152.90, 172.79; IR (neat) 3373, 2954, 1729, 1509, 1233, 820 cm-1; ESIMS m/z: 224 (M+H); 元素分析, C12H17NO3としての計算値: C, 64.55; H, 7.67; N, 6.27; 実測値: C, 63.75; H, 7.62; N, 6.25; [a]23 D= +13.1°(c = 0.84, CH2Cl2).
<実施例4>
(R)−3−ヒドロキシ酪酸メチル(243mg、2.06mmol、96%ee)およびジイソプロピルエチルアミン(0.377mL、2.16mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)を−78℃に冷却し、これに無水トリフルオロメタルスルホン酸(639mg、2.27mmol)のジクロロメタン溶液(1mL)を滴下し、1時間撹拌した。
その後、−78℃にてp−クロロアニリン(789mg、6.18mmol)を添加し、−40℃に昇温して16時間撹拌し、トリフルオロ酢酸でクエンチした後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて単離して、(S)−3−(p−クロロフェニルアニリノ)酪酸メチルを得た(反応収率72%、光学純度82%ee)。キラルHPLC条件は以下の通りである。カラム:ダイセル化学工業(株)製「CHIRALPAK AS-H」、溶離液:ヘキサン:2−プロパノール=95:5、流速:1.0mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:10分(R)、11分(S)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): d 1.26 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 2.44 (dd, J = 15.0, 6.7 Hz, 1H), 2.60 (dd, J = 15.0, 5.3 Hz, 1H), 3.68 (s, 3H), 3.85-3.92 (m, 1H), 6.52-6.56 (m, 2H), 7.09-7.13 (m, 2H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): d 20.88, 40.94, 46.60, 52.07, 115.10, 122.66, 129.58, 145.73, 172.49; IR (neat) 3390, 2970, 1727, 1600, 1497, 1293, 1177, 816 cm-1; ESIMS m/z: 228 (M+H); 元素分析, C11H14ClNO2としての計算値: C, 58.03; H, 6.20; N, 6.15; 実測値: C, 58.20; H, 6.19; N, 6.05; [a]23 D= +7.23°(c = 1.3, CH2Cl2).
<実施例5>
3−ケト吉草酸メチル(6.22g、48mmol)のメタノール溶液(48mL)にRuCl(S)−binap(36mg、0.04mmol)を加え、オートクレープ中水素を30気圧かけ、80℃で24時間撹拌し、濃縮した後、蒸留にて(S)−3−ヒドロキシ吉草酸メチル(5.71g、43.2mmol、97%ee)を得た。キラルHPLC条件は以下の通りである。カラム:ダイセル化学工業(株)製「CHIRALPAK OD」、溶離液:ヘキサン:2−プロパノール=95:5、流速:1.0mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:15分(R)、27分(S)。
この(S)−3−ヒドロキシ吉草酸メチル(270mg、2.04mmol、97%ee)およびジイソプロピルエチルアミン(0.374mL、2.15mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)を−78℃に冷却し、これに無水トリフルオロメタルスルホン酸(634mg、2.25mmol)のジクロロメタン溶液(1mL)を滴下し、1時間撹拌した。
その後、−78℃にてアニリン(0.559ml、6.13mmol)を添加し、−40℃に昇温して16時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて単離して、(R)−3−(フェニルアニリノ)吉草酸メチルを得た(反応収率85%、光学純度97%ee)。キラルHPLC条件は以下の通りである。カラム:ダイセル化学工業(株)製「CHIRALPAK AS-H」、溶離液:ヘキサン:2−プロパノール=95:5、流速:1.0mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:6.1分(R)、6.8分(S)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): d 0.98 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 1.54-1.70 (m, 2H), 2.49 (dd, J = 15.0, 6.3 Hz, 1H), 2.58 (dd, J = 15.0, 5.7 Hz, 1H), 3.66 (s, 3H), 3.72-3.78 (m, 1H), 6.61-6.64 (m, 2H), 6.67-6.71 (m, 1H), 7.14-7.19 (m, 2H); 13C-NMR (100MHz, CDCl3): d 10.88, 28.14, 39.12, 52.00, 52.23, 113.89, 117.92, 129.74, 147.57, 172.83; IR (neat) 3390, 2970, 1729, 1602, 1507 cm-1; ESIMS m/z: 208 (M+H); 元素分析, C12H17NO2としての計算値: C, 69.54; H, 8.27; N, 6.76; 実測値: C, 69.48; H, 8.31; N, 6.50; [a]23 D= +27.6°(c = 2.1, CH2Cl2).
<実施例6>
3−ケトヘキサン酸メチル(2.88g、20mmol)のメタノール溶液(10mL)にRuCl(R)−binap(36mg、0.04mmol)を加え、オートクレープ中水素を100気圧かけ、30℃で96時間撹拌し、濃縮した後、蒸留にて(R)−3−ヒドロキシヘキサン酸メチル(2.24g、15.4mmol、99%ee)を得た。キラルHPLC条件は以下の通りである。カラム:ダイセル化学工業(株)製「CHIRALPAK OD-H」、溶離液:ヘキサン:2−プロパノール=90:10、流速:1.0mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:5分(R)、7分(S)。
この(R)−3−ヒドロキシヘキサン酸メチル(248mg、1.70mmol、99%ee)およびジイソプロピルエチルアミン(0.311mL、1.79mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)を−78℃に冷却し、これに無水トリフルオロメタルスルホン酸(527mg、1.87mmol)のジクロロメタン溶液(1mL)を滴下し、1時間撹拌した。
その後、−78℃にてアニリン(0.464ml、5.09mmol)を添加し、−40℃に昇温して16時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて単離して、(S)−3−(フェニルアニリノ)ヘキサン酸メチルを得た(反応収率94%、光学純度96%ee)。キラルHPLC条件は以下の通りである。カラム:ダイセル化学工業(株)製「CHIRALPAK AS-H」、溶離液:ヘキサン:2−プロパノール=99:1、流速:1.0mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:9分(R)、10分(S)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): d 0.918 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 1.35-1.58 (m, 4H), 2.48 (dd, J = 15.1, 6.4 Hz, 1H), 2.57 (dd, J = 15.1, 5.6 Hz, 1H), 3.65 (s, 3H), 3.70-3.84 (m, 1H), 6.60-6.62 (m, 2H), 6.66-6.70 (m, 1H), 7.14-7.18 (m, 2H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): d 14.37, 19.76, 37.70, 39.56, 50.57, 52.01, 113.83, 117.88, 129.76, 147.62, 172.93; IR (neat) 3386, 2958, 1729, 1602, 1175, 747 cm-1; ESIMS m/z: 224 (M+H); 元素分析, C12H17NO3としての計算値: C, 64.55; H, 7.67; N, 6.27; 実測値: C, 63.75; H, 7.62; N, 6.25; [a]23 D= -31.1°(c = 0.53, CH2Cl2).
<実施例7>
3−ケト−4−メチル吉草酸メチル(2.88g、20mmol)のメタノール溶液(10mL)にRuCl(R)−binap(0.036mg、0.036mmol)を加え、オートクレープ中水素を100気圧かけ、30℃で66時間撹拌し、濃縮した後、蒸留にて(S)−3−ヒドロキシ−4−メチル吉草酸メチル(2.54g、17.4mmol、98%ee)を得た。カラム:ダイセル化学工業(株)製「CHIRALPAK OD-H」、溶離液:ヘキサン:2−プロパノール=90:10、流速:1.0mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:5分(S)、7分(R)。
この(S)−3−ヒドロキシ−4−メチル吉草酸メチル(245mg、1.67mmol、98%ee)およびジイソプロピルエチルアミン(0.279mL、1.60mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)を−78℃に冷却し、これに無水トリフルオロメタルスルホン酸(474mg、1.68mmol)のジクロロメタン溶液(1mL)を滴下し、1時間撹拌した。
その後、−78℃にてアニリン(0.418ml、4.59mmol)を添加し、−40℃に昇温して16時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて単離して、(R)−3−(フェニルアニリノ)−4−メチル吉草酸メチルを得た(反応収率21%、光学純度98%ee)。キラルHPLC条件は以下の通りである。カラム:ダイセル化学工業(株)製「CHIRALPAK AS-H」、溶離液:ヘキサン:2−プロパノール=99:1、流速:1.0mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:8分(S)、9分(R)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): d 0.978 (d, J = 4.0 Hz, 3H), 1.00 (d, J = 4.0 Hz, 3H), 1.88-1.96 (m, 1H), 2.46 (dd, J = 14.9, 7.2 Hz, 1H), 2.54 (dd, J = 14.9, 5.6 Hz, 1H), 3.62 (s, 3H), 3.68-3.74 (m, 1H), 6.60-6.64 (m, 2H), 6.65-6.69 (m, 1H), 7.13-7.17 (m, 2H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): d 18.92, 32.07, 37.22, 52.25, 56.31, 113.92, 117.83, 129.72, 147.93, 173.86; IR (neat) 3197, 2960, 1710, 1602, 1194, 749 cm-1; ESIMS m/z: 224 (M+H); 元素分析, C12H17NO3としての計算値: C, 64.55; H, 7.67; N, 6.27; 実測値: C, 63.75; H, 7.62; N, 6.25; [a]23 D= -27.2°(c = 0.73, CH2Cl2).
<参考例1>
アセト酢酸メチル(348mg、3.0mmol)のメタノール溶液(3.0mL)にRu−(R)BINAP触媒(0.8mg、0.001mmol)を加え、オートクレープ中水素を30気圧かけ、80℃で66時間撹拌し、濃縮した後、蒸留にて(R)−3−ヒドロキシ酪酸メチル(325mg、2.76mmol、96.7%ee)を得た。キラルHPLC条件は以下の通りである。カラム:ダイセル化学工業(株)製「CHIRALPAK AS-H」、溶離液:ヘキサン:2−プロパノール=95:5、流速:0.8mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:13分(S)、16分(R)。
この(R)−3−ヒドロキシ酪酸メチル(118mg、1.0mmol、96.7%ee)およびピリジン(0.11mmol、1.2mmol)のジクロロメタン溶液(2ml)を0℃に冷却し、無水トリフルオロメタンスルホン酸(0.31ml、1.1mmol)のジクロロメタン溶液(2ml)を滴下し、1時間撹拌した。
その後25℃まで昇温し、アニリン(0.18ml、2.0mmol)を添加し、25℃で16時間撹拌し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて単離して、目的物である(R)−3−(フェニルアニリノ)酪酸メチルを得た(170.0mg、収率88%、光学純度18.5%)。キラルHPLC条件は以下の通りである。カラム:ダイセル化学工業(株)製「CHIRALPAK AS-H」、溶離液:ヘキサン:2−プロパノール=95:5、流速:0.8mL/min、検出波長:210nm、温度:25℃、保持時間:10分(R)、11分(S)。
本発明の方法によれば、医薬品や農薬等の中間化合物として有用な光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物を高い光学純度かつ高収率で得ることができ、工業的生産に適した光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法が提供される。また、本発明の製造方法は、安価に入手可能なβ−ケトカルボン酸化合物を出発物質として、比較的短い工程数にて製造することができ、また所望の立体配置の光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物を製造することができる点でも優れた製造方法である。

Claims (7)

  1. 下記式(1)
    Figure 2004339205
    [式中、Yは置換されていてもよいメチル基を表し、Zはヒドロキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいアルコキシル基、又は置換されていてもよいアリールオキシ基を表わし、Rは置換されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基、又は置換されていてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基を表す。また、式中、*は光学活性炭素であることを表し、立体配置はRまたはSである。]
    で表される光学活性スルホン酸エステル化合物を、下記式(2)
    Figure 2004339205
    [式中、Xは置換されていてもよい炭素原子数6〜15のアリール基、又は置換されていてもよい炭素原子数3〜15の芳香族複素環基を表す。]
    で表される芳香族アミンと反応させることを特徴とする、下記式(3)
    Figure 2004339205
    [式中、X、Y、Zおよび*は前記と同じ意味を表す。]
    で表される光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法。
  2. 下記式(5)
    Figure 2004339205
    [式中、Y、Zおよび*は前記と同じ意味を表す。]
    で表わされる光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物をスルホニルクロライド又は無水スルホン酸と反応させ、前記式(1)で表わされる光学活性スルホン酸エステル化合物を製造する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 下記式(4)
    Figure 2004339205
    [式中、YおよびZは前記と同じ意味を表す。]
    で表わされるβ−ケトカルボン酸化合物を酵素またはルテニウム−BINAP触媒存在下に不斉還元し、前記式(5)で表わされる光学活性β−ヒドロキシカルボン酸化合物を製造する工程を含むことを特徴とする請求項2記載の製造方法。
  4. 前記式(1)で表される光学活性スルホン酸エステル化合物において、Rがトリフルオロメチル、メチルまたはp−トリル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法。
  5. 前記式(1)で表される光学活性スルホン酸エステル化合物において、Rがトリフルオロメチルであることを特徴とする請求項4記載の光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法。
  6. 前記式(1)で表されるスルホン酸エステル化合物において、該スルホニル基が無水トリフルオロメタンスルホン酸をスルホニル化試薬に用いることにより導入され、該Rがトリフルオロメチル基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学活性N−アリール−β−アミノ酸化合物の製造方法。
  7. 該反応が温度5℃以下で行われることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学活性N−アリール−β−アミノ酸誘導体の製造方法。

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