JP2005041854A - 光学活性n−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸類及びその製造方法、並びにそれを用いた光学活性n−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸類の製造方法 - Google Patents

光学活性n−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸類及びその製造方法、並びにそれを用いた光学活性n−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸類及び光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸類の工業的に安価で環境負荷の少ない製造方法を提供する。
【解決手段】
下記一般式(1)
Figure 2005041854

(式中Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。ここで、RとRは一体となって環状構造を形成してもよい。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸及び該化合物とチオカルボン酸及び/又はその塩とをプロトン性極性溶媒存在下で反応させることを特徴とする光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸類の製造方法。

Description

本発明は、光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸類及びその製造方法、並びにそれを用いた光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸類の製造方法に関する。光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸類は、生理活性成分(医薬品)として有用な化合物であることが知られている。
光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸のカルボキシル基を更にベンジルエステル化することにより得られる光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸のベンジルエステルの(R)体は、エンケファリナーゼ阻害作用を示し、鎮痛薬、止痢剤、制胃酸剤として、また、(S)体は、アンギオテンシン変換酵素阻害作用を示し、高血圧治療剤、心臓血管治療剤等として有用な化合物である(例えば、特許文献1、2参照。)。
光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸類のように不斉炭素にアミド基が結合した基質をアシルチオ化反応により得る方法としては、カルボキシル基がエステルとして保護された基質であるN−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸エステルをアセチルチオ化する例(例えば、特許文献3参照。)が知られているが、この方法では、比較的高価な原料であるアミノ酸のベンジルエステルをアシルチオ化反応の原料合成に用いている上、光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸エステルを合成する際には、メチルイソブチルエーテルといった非プロトン性極性溶媒を用いた反応を開示しているに過ぎない。
特開平2−161号公報 特開平8−59606号公報 特開平11−315064号公報
上述のように光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸類を光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸類から製造するにあたり、不斉炭素のラセミ化を起こさせず、より安価で簡便、かつ、水といった環境負荷の少ないプロトン性極性溶媒を用いた工業的製造方法の出現が望まれていた。
本発明者らが、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、不斉炭素にアミド基が結合したような基質のうち、新規化合物である特定の光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸を用いた場合、水溶液中でのチオアシル化反応がその光学純度を損なうことなく行えることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(1)下記一般式(1)
Figure 2005041854

(式中Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。ここで、RとRは一体となって環状構造を形成してもよい。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸、(2)Rが置換基を有してもよいベンジル基であり、Rが水素原子であり、Rが水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、かつ、Xが塩素原子であることを特徴とする(1)に記載の光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸、
(3)下記一般式(2)
Figure 2005041854

(式中Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示す。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性2−置換−3−ヒドロキシプロピオン酸をハロゲン化し、下記一般式(3)
Figure 2005041854

で表される光学活性2−置換−3−ハロプロピオン酸塩化物(式中Rは前記と同義であり、Xはハロゲン原子を示す。また、*は不斉炭素を示す。)を得た後、アミノ酸及び/又はその塩と反応させることを特徴とする下記一般式(1)
Figure 2005041854

(式中Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。ここで、RとRは一体となって環状構造を形成してもよい。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸の製造方法、
(4)下記一般式(1)
Figure 2005041854

(式中Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。ここで、RとRは一体となって環状構造を形成してもよい。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸を、プロトン性極性溶媒存在下、チオカルボン酸及び/又はその塩と反応させることを特徴とする下記一般式(4)
Figure 2005041854

(式中R、R及びRは前記と同義であり、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示す。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸の製造方法、
(5)下記一般式(1)
Figure 2005041854

で表される光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸(式中Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。ここで、RとRは一体となって環状構造を形成してもよい。また、*は不斉炭素を示す。)が、下記一般式(2)
Figure 2005041854

(式中Rは前記と同義である。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性2−置換−3−ヒドロキシプロピオン酸をハロゲン化し、下記一般式(3)
Figure 2005041854

で表される光学活性2−置換−3−ハロプロピオン酸塩化物(式中Rは前記と同義であり、Xはハロゲン原子を示す。また、*は不斉炭素を示す。)を得た後、アミノ酸及び/又はその塩と反応させることことにより得たものであることを特徴とする(4)に記載の光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸の製造方法、
(6)(4)又は(5)のいずれかに記載の方法により得られる下記一般式(4)
Figure 2005041854

(式中Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示し、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、Xはハロゲン原子を示す。ここで、RとRは一体となって環状構造を形成してもよい。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸のカルボキシル基を更にベンジルエステル化することを特徴とする下記一般式(5)
Figure 2005041854

(式中R、R、R及びRは前記と同義である。また、*は不斉炭素を示す。なお、Bnはベンジル基を示す。)で表される光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸ベンジルエステルの製造方法、に関する。
本発明により、光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸類を光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸類から製造するにあたり、光学純度を損なうことなく、より安価で簡便であり、かつ、環境負荷の少ない工業的製造が可能となった。
また、光学活性2−置換−3−ヒドロキシカルボン酸の水酸基とカルボキシル基を一挙にハロゲン化した後、安価な無保護アミノ酸との反応によりアミド結合を形成し、更にチオアシル化反応により光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸へと変換するという、非常に効率がよく、かつ、安価な製造ルートが確立された。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸
本発明の光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸は、下記一般式(1)
Figure 2005041854

で表される化合物である。
上記一般式(1)において、Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、炭素数2以上のアルキル基の具体例としては、置換基を有していてもよいエチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基等の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
上記Rにおける置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基の置換基としては、チオアシル化反応に悪影響を与えない基であれば特に限定されないが、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基、メチレンジオキシ基等のアルコキシ基;アミノ基、t−ブチルオキシカルボニルアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ヒドロキシアミノ基等の置換されていてもよいアミノ基;又は、フェニル基、ナフチル基、ピペロニル基等の置換されていてもよいアリール基であり、その好ましいRの具体例としては、2−メトキシエチル基、ベンジルオキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、ベンジル基、ピペロニルメチル基又はナフチルメチル基が挙げられる。これらのうち好ましくは、ベンジル基、ピペロニルメチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基であり、特に好ましくは、ベンジル基又はピペロニルメチル基である。
及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよいメチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基等の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
上記R及びRにおける置換されていてもよいアルキル基の置換基としては、チオアシル化反応に悪影響を与えない基であれば特に限定されないが、水酸基;メルカプト基;メトキシ基、ベンジルオキシ基等の置換されていてもよいアルコキシ基;フェノキシ基、トリルオキシ基等のアリールオキシ基;アミノ基、t−ブチルオキシカルボニルアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メトキシアミノ基等の置換されていてもよいアミノ基;メチルチオ基、ベンジルチオ基、メトキシメチルチオ基等の置換されていてもよいアルキルチオ基;フェニルチオ基、トリルチオ基等の置換されていてもよいアリールチオ基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ピペロニル基等の置換されていてもよいアリール基;又は、イミダゾリル基、インドリル基等の複素環基であり、また、RとRは一体となって、プロピレン基、ブチレン基、2−ヒドロキシプロピレン基、2−(t−ブチルオキシカルボニル)アミノブチレン基等の置換されていてもよい飽和アルキレン基を形成し、R及びRが結合している原子と共に環状構造を形成してもよい。ここで、プロピレン基での環状構造を形成した場合、上記一般式(1)で表される化合物はプロリンに由来するアミノ酸骨格を有することとなり好ましい。
上記Rとして好ましくは、水素原子である。また、上記Rとして好ましくは、水素原子;又は、水酸基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアミノ基、メルカプト基、置換されていてもよいメルカプト基、置換されていてもよいアリール基及び複素環基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは、水素原子;水酸基、ベンジルオキシ基、フェニル基及びイミダゾリル基からなる群より選ばれる置換基で置換されていてもよいメチル基;又は3−プロピオニルアミド基であり、更に好ましくは、水素原子又はメチル基である。
また、Xはハロゲン原子を示し、好ましくは、塩素原子又は臭素原子であり、更に好ましくは、酸塩化物を調製する試薬で同時に水酸基のハロゲン化が可能な塩素原子である。
上記一般式(1)で表される化合物として好ましくは、上記各置換基の説明の項でそれぞれ好ましいとされた置換基を組み合わせたものが挙げられ、更に具体的には、(R)−N−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)グリシン、(S)−N−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)グリシン、(R)−N−(2−ベンジル−3−ブロモプロピオニル)グリシン、(S)−N−(2−ベンジル−3−プロモプロピオニル)グリシン、(R)−N−(2−ベンジル−3−ヨードプロピオニル)グリシン、(S)−N−(2−ベンジル−3−ヨードプロピオニル)グリシン、(R)−N−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)アラニン、(S)−N−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)アラニン、(R)−N−(2−ベンジル−3−ブロモプロピオニル)アラニン、(S)−N−(2−ベンジル−3−ブロモプロピオニル)アラニン、(R)−N−(2−ピペロニルメチル−3−クロロプロピオニル)グリシン、(S)−N−(2−ピペロニルメチル−3−クロロプロピオニル)グリシン、(R)−N−(2−ピペロニルメチル−3−クロロプロピオニル)アラニン、(S)−N−(2−ピペロニルメチル−3−クロロプロピオニル)アラニン、(R)−N−(2−ピペロニルメチル−3−ブロモプロピオニル)アラニン、(S)−N−(2−ピペロニルメチル−3−ブロモプロピオニル)アラニン、(R)−N−(2−イソブチル−3−クロロプロピオニル)グリシン、(S)−N−(2−イソブチル−3−クロロプロピオニル)グリシン、(R)−N−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)プロリン、(S)−N−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)プロリンが挙げられ、好ましくは、(R)−N−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)グリシン、(S)−N−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)グリシン、(R)−N−(2−ピペロニルメチル−3−クロロプロピオニル)アラニン、(S)−N−(2−ピペロニルメチル−3−クロロプロピオニル)アラニンである。
また、*は不斉炭素を示し、(R)体又は(S)体のいずれでもよく、好ましくは(R)体であり、その光学純度は通常、80%ee以上、好ましくは95%ee以上である。
2.光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸の製造方法
本発明の光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸は、公知の方法に準じて若しくはそれらを組み合わせることにより任意に製造することができるが、好ましくは以下に記載するような製造方法が挙げられる。
即ち、下記一般式(2)
Figure 2005041854

で表される光学活性2−置換−3−ヒドロキシプロピオン酸をハロゲン化し、下記一般式(3)
Figure 2005041854

で表される光学活性2−置換−3−ハロプロピオン酸塩化物とした後、アミノ酸及び/又はその塩と反応させる方法である。
本発明において原料として用いられる上記一般式(2)で表される光学活性2−置換−3−ヒドロキシプロピオン酸は、ラセミ体の光学分割、及び不斉水素化反応等を含む不斉反応により公知の方法で任意に合成することができる。
光学活性2−置換−3−ヒドロキシプロピオン酸を光学活性2−置換−3−ハロプロピオン酸塩化物に変換する方法としては、水酸基のハロゲン化とカルボキシル基の酸塩化物化を段階的に行ってもよいし、ワンポットで行ってもよいが、ワンポットで行う方が工業的観点からは好ましい。
段階的ハロゲン化における水酸基のハロゲン化法としては、塩化チオニル、塩化オギザリル等の塩素化剤;三臭化リン等の臭素化剤;又はヨウ素−トリフェニルホスフィン等のヨウ素化剤を用いて直接的にハロゲン化をする方法、若しくは水酸基をメシレート等の脱離基に変換した後、塩化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム等の無機塩;又は、テトラブチルアンモニウムブロマイドのようなアンモニウムハライドを用いてハロゲン化する方法が挙げられる。
また、段階的ハロゲン化におけるカルボキシル基の酸塩化物への変換法としては、上記水酸基の塩素化に用いられるのと同様の塩素化剤を用い、公知の方法で反応を行えばよい。このとき、水酸基のハロゲン化とカルボキシル基の酸塩化物への変換は、いずれを先に行ってもよいが、水酸基のハロゲン化を行ってからカルボキシル基の塩素化を行う方が好ましい。
ワンポットで水酸基のハロゲン化とカルボキシル基の酸塩化物への変換を同時に行う方法としては、上記のハロゲン化剤等を混合して行うか、好ましくは塩化チオニル等の塩素化剤を用いて、水酸基の塩素化とカルボン酸の塩化物への変換を同一反応系で行う方法等が挙げられる。
上記反応において使用されるハロゲン化剤の量は、基質に対して2〜10当量、好ましくは2〜3当量である。
上記反応は、必要に応じて以下に示す溶媒を使用してもよいが、経済的・工業的観点、生成物選択性の観点から無溶媒で行う方が好ましい。
上記反応において用いてもよい溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド;等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。好ましい溶媒として、テトラヒドロフラン、トルエンが挙げられる。
また、溶媒の使用量としては、任意の量の溶媒を用いることができるが、通常は光学活性2−置換−3−ヒドロキシプロピオン酸に対して1〜20倍体積量、好ましくは2〜8倍体積量である。
また、添化剤を加えることで反応が円滑に進行する場合、ジメチルホルムアミド、イミダゾール、トリエチルアミン等の添加剤を共存させることが好ましい。
上記で得られる光学活性2−置換−3−ハロプロピオン酸塩化物は、アミノ酸及び/又はその塩と反応させるにあたり、精製せずに用いることもできるが、蒸留及び/又は抽出等の方法で精製単離することが好ましい。
反応に用いるアミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、リジン、フェニルグリシン、ナフチルアラニン等が挙げられる。アミノ酸は(L)体でも(D)体でもよく、また、その塩酸塩やナトリウム塩等の塩であってもよい。
また、これらのアミノ酸は、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、水酸基、アミノ基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等の置換基で置換された誘導体であってもよく、また、側鎖の官能基は、保護されていてもよい。特に側鎖にアミノ基を持つものについては、t−ブチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等のカルバモイル基;トリフルオロアセチル基、アセチル基、ホルミル基等のアシル基等で保護されていることが好ましい。
また、水酸基の保護基については、ベンジル基、4−メトキシベンジル基等の置換ベンジル基;アセチル基、ピバロイル基等のアシル基;t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基等のシリル基があり、カルボキシル基の保護基としてはメチル基、エチル基、2,2,2−テトラクロロエチル基、テトラヒドロフラニル基等の置換してもよいアルキル基;t−ブチルジメチルシリル基、トリメチルシリル基等のシリル基;フェニル基、4−ニトロフェニル基等のアリール基が挙げられる。
上記反応では、通常、塩基を共存させて行う。用いられる塩基としては、トリエチルアミンやピリジン等の有機塩基、又は水酸化ナトリウムや炭酸カリウム等の無機塩基が挙げられ、好ましくは無機塩基である。用いる塩基の当量は、反応で生成する塩酸と、アミノ酸に含まれるカルボキシル基等の酸性基を中和する量が通常必要であり、用いたアミノ酸により適宜増減する必要がある。例えば、極性置換基を持たないグリシン等のアミノ酸の場合、塩基の当量は1〜5当量、好ましくは2〜3当量であり、またグリシン塩酸塩等のアミノ酸と酸との塩の場合、塩基の当量は2〜6当量、好ましくは3〜4当量であり、また、グリシンナトリウム塩等のアミノ酸と塩基との塩の場合、塩基の当量は0〜4当量、好ましくは1〜2当量である。
また、上記反応においては、通常、溶媒が用いられ、用いられる溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド;水;等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。溶媒としては基質を溶解させやすいテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、水が好ましく、環境負荷の軽減のためにも水を用いることが特に好ましい。
上記反応後、一般式(1)で表される光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸を酸性として有機溶媒で抽出することで粗生成物を単離できる。
得られた粗生成物はそのまま次の反応に用いることもできるが、カラムクロマトグラフィーや再結晶等の方法で精製単離することが好ましい。
3.光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸のアシルチオ化
本発明の製造方法においては、光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸を水のようなプロトン性極性溶媒存在下でチオアシル化する。
上記反応で用いられるチオカルボン酸としては、チオ酢酸、チオプロピオン酸、チオ安息香酸等があり、また、チオカルボン酸塩としては、それらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等があり、好ましくはチオ酢酸、チオ酢酸カリウム、チオ酢酸ナトリウムである。用いるチオカルボン酸類の当量は、1〜10当量であり、好ましくは1〜4当量であり、更に好ましくは1〜2当量である。
上記反応において、塩基を共存させることが好ましい。用いられる塩基としては、トリエチルアミンやピリジン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基が挙げられ、好ましくは無機塩基であり、更に好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。用いる塩基の当量は、反応溶液を中性付近に保つために必要な量であり、チオカルボン酸塩を用いた場合は0.5〜2.0当量、好ましくは0.8〜1.5当量、更に好ましくは1.0〜1.1当量であり、チオカルボン酸を用いた場合は、1〜11当量、好ましくは2〜5当量、更に好ましくは2〜3当量である。
上記反応において用いられるプロトン性極性溶媒として好ましくは、水;又は、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒が挙げられ、このうち経済的・工業的観点、生成物選択性の観点から水が好ましい。
また、上記溶媒中に任意の割合で混和する非プロトン性の有機溶媒が混合された水性媒体でもよく、該有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いることもできるが、通常、全溶媒中に占める非プロトン性の有機溶媒の量は50重量%以下、好ましくは10重量%以下であり、特には水のみを溶媒として用いることが好ましい。また、溶媒の使用量としては、任意の量の溶媒を用いることができるが、通常は光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸に対して1〜20倍体積量、好ましくは3〜10倍体積量である。
反応温度は、通常、0〜150℃であり、反応基質により最適点は異なるが、特に製造コストにおいて最も有利な塩素原子を脱離基として持つ、一般式(1)で表される光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸の場合(式中X=Cl)、好ましくは30℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは90℃以上であり、かつ、上限としては通常、150℃以下、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下である。
反応時間は反応温度に大きく依存するが、10分〜10時間の範囲で行うことが、製造コストを抑える観点からも好ましい。
上記反応後、酸性として有機溶媒で抽出することで粗生成物を単離できる。得られた粗生成物はカラムクロマトグラフィーや再結晶等の方法で精製単離することもできるが、そのまま次の反応に用いることがプロセスを簡略化する上でも好ましい。
上記反応ではラセミ化を伴わず、得られる光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸の光学純度は通常、80%ee以上、好ましくは95%ee以上である。
4.光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸のベンジルエステル化
ベンジルエステル化は、通常のカルボキシル基のベンジルエステル化方法を行えばよく、具体的には、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−エチル−N’−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、カルボニルジイミダゾール等の縮合剤とベンジルアルコールを用いる方法;塩化チオニル、塩化オギザリル、オキシ塩化リン等を用い、酸塩化物を経由してベンジルアルコールと反応させる方法;又はナトリウム塩、カリウム塩等のカルボン酸塩としてベンジルハライドと反応させる方法が挙げられる。
上記反応においては、反応条件に不活性な溶媒を用いるか、無溶媒で行うことができる。用いられる溶媒としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルスルホキシド;水;等が挙げられる。これらから選ばれる複数の溶媒を任意の割合に混合して用いてもよい。縮合剤を用いるか酸塩化物を経由する反応では、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン或いは無溶媒が好ましく、また、カルボン酸塩として、ベンジルハライドと反応させる場合は、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水を単独或いは混合して用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
参考例1
2−ベンジル−3−クロロプロピオン酸塩化物の合成
20mlナス型フラスコにイミダゾール1.0mgと塩化チオニル0.44mlを仕込み、氷冷下撹拌しながら、2−ベンジル−3−ヒドロキシプロピオン酸360mgをゆっくり添加した。氷冷下30分、更に80℃で5時間反応させた。反応液を40℃にて真空ポンプにより減圧し、過剰の塩化チオニルを除去した後、室温にてトルエンと水を添加し、トルエンで抽出後、有機層を飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、2−ベンジル−3−クロロプロピオン酸塩化物(406mg、収率94%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ3.04(dd,J=14.1,8.1Hz,1H),3.22(dd,J=13.9,6.0Hz,1H),3.40−3.48(m,1H),3.68(dd,J=11.6,6.3Hz,1H),3.76(dd,J=11.6,4.8Hz,1H),7.18−7.37(m,5H)
参考例2
N−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)グリシンの合成
50mlナス型フラスコに参考例1で得られた2−ベンジル−3−クロロプロピオン酸塩化物406mgを仕込み、氷冷下撹拌しながら、水2.0ml、グリシン塩酸塩250mg、48%水酸化ナトリウム水溶液530mgを添加した。氷冷下1時間、更に室温で1時間反応させ、10%塩酸を添加した。酢酸エチルで抽出後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)グリシン(429mg、収率90%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ2.75−2.83(m,1H),2.91(dd,J=13.6,6.6Hz,1H),2.98(dd,J=13.6,8.5 Hz,1H),3.59(dd,J=10.9,5.0Hz,1H),3.77(dd,J=10.8,8.6Hz,1H),3.99(dd,J=18.4,5.1Hz,1H),4.08(dd,J=18.4,5.3Hz,1H),5.92(bs,1H),7.14−7.35(m,5H)
参考例3
N−(2−ベンジル−3−アセチルチオプロピオニル)グリシンの合成
10mlナシ型フラスコに参考例2で得られたN−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)グリシン52mg、0.7N水酸化ナトリウム水溶液0.30ml、チオ酢酸カリウム70mgを仕込み、撹拌下、120℃で3時間反応させた。室温に冷却後、酢酸エチルと10%塩酸を添加し、pHを1とした。酢酸エチルで抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、粗N−(2−ベンジル−3−アセチルチオプロピオニル)グリシン(49mg、収率81%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ2.34(s,3H),2.63−2.72(m,1H),2.88(dd,J=13.4,5.5Hz,1H),2.97(dd,J=13.4,9.4Hz,1H),3.08(dd,J=13.6,9.4Hz,1H),3.12(dd,J=13.6,7.8Hz,1H),3.88(dd,J=18.4,5.0Hz,1H),4.03(dd,J=18.4,5.3Hz,1H),5.89(bs,1H),7.14−7.34(m,5H)
参考例4
N−(2−ベンジル−3−アセチルチオプロピオニル)グリシンベンジルエステルの合成
20mlナス型フラスコに参考例3で得られた粗N−(2−ベンジル−3−アセチルチオプロピオニル)グリシン42mg、ジメチルホルムアミド0.4ml、テトラブチルアンモニウムアイオダイド6.9mgを仕込み、氷冷下撹拌しながら、ベンジルブロマイド45mgと1N水酸化ナトリウム水溶液0.19mlを添加した。室温で7時間反応させた後、水酸化ナトリウム2mgを追添加し、更に30分撹拌した。酢酸エチルと飽和食塩水を添加し、酢酸エチルで抽出、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、N−(2−ベンジル−3−アセチルチオプロピオニル)グリシンベンジルエステル(31mg、収率57%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ2.33(s,3H),2.60−2.68(m,1H),2.86(dd,J=13.6,5.6Hz,1H),2.97(dd,J=13.6,9.4Hz,1H),3.07(dd,J=13.6,5.8Hz,1H),3.10(dd,J=13.6,8.1Hz,1H),3.86(dd,J=18.4,4.8Hz,1H),4.06(dd,J=18.4,5.4Hz,1H),5.11−5.18(m,2H),5.82(bs,1H),7.14−7.42(m,10H)
実施例1
(R)−2−ベンジル−3−クロロプロピオン酸塩化物の合成
20mlナス型フラスコにイミダゾール1.0mgと塩化チオニル0.22mlを仕込み、氷冷下撹拌しながら、(S)−2−ベンジル−3−ヒドロキシプロピオン酸(光学純度>99%ee)180mgをゆっくり添加した。その後80℃で3時間反応させた。反応液を室温下、真空ポンプにより減圧し、過剰の塩化チオニルを除去した後、トルエンと水を添加し、10分間撹拌した後、トルエンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、(R)−2−ベンジル−3−クロロプロピオン酸塩化物(187mg、収率86%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ3.04(dd,J=14.1,8.1Hz,1H),3.22(dd,J=13.9,6.0Hz,1H),3.40−3.48(m,1H),3.68(dd,J=11.6,6.3Hz,1H),3.76(dd,J=11.6,4.8Hz,1H),7.18−7.37(m,5H)
実施例2
(R)−N−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)グリシンの合成
50mlナス型フラスコに実施例1で得られた(R)−2−ベンジル−3−クロロプロピオン酸塩化物180mgを仕込み、氷冷下撹拌しながら、水0.9ml、グリシン塩酸塩117mg、48%水酸化ナトリウム水溶液235mgを添加した。氷冷下15時間、更に室温で1時間反応させ、10%塩酸を添加した。酢酸エチルで抽出後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、粗(R)−N−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)グリシン(182mg、収率86%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ2.75−2.83(m,1H),2.91(dd,J=13.6,6.6Hz,1H),2.98(dd,J=13.6,8.5Hz,1H),3.59(dd,J=10.9,5.0Hz,1H),3.77(dd,J=10.8,8.6Hz,1H),3.99(dd,J=18.4,5.1Hz,1H),4.08(dd,J=18.4,5.3Hz,1H),5.92(bs,1H),7.14−7.35(m,5H)
実施例3
(R)−N−(2−ベンジル−3−アセチルチオプロピオニル)グリシンの合成
20mlナス型フラスコに実施例2で得られた粗(R)−N−(2−ベンジル−3−クロロプロピオニル)グリシン90mg、0.7N水酸化ナトリウム水溶液0.53ml、ヨウ化カリウム5.8mg、チオ酢酸カリウム60mgを仕込み、室温で20分間、100℃で3時間反応させた。室温に冷却後、酢酸エチルと10%塩酸を添加し、pHを2とした。酢酸エチルで抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、粗(R)−N−(2−ベンジル−3−アセチルチオプロピオニル)グリシン(103mg、収率99%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ2.34(s,3H),2.63−2.72(m,1H),2.88(dd,J=13.4,5.5Hz,1H),2.97(dd,J=13.4,9.4Hz,1H),3.08(dd,J=13.6,9.4Hz,1H),3.12(dd,J=13.6,7.8Hz,1H),3.88(dd,J=18.4,5.0Hz,1H),4.03(dd,J=18.4,5.3Hz,1H),5.89(bs,1H),7.14−7.34(m,5H)
光学純度の測定
実施例3で得られた(R)−N−(2−ベンジル−3−アセチルチオプロピオニル)グリシンの光学純度を以下の条件にて測定した結果、>99%eeであり、ラセミ化していないことを確認した。
光学純度測定条件(HPLC)
カラム:CHIRALCES−OD 4.6mmΦ×25cm(ダイセル化学工業社製)
溶離液:n−ヘキサン/i−プロピルアルコール/トリフルオロ酢酸=850/150/1
流量:1.0ml/min
カラム温度:25℃
検出波長:254nm
保持時間:(R)体−8.4分 (S)体−11.4分

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2005041854

    (式中Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。ここで、RとRは一体となって環状構造を形成してもよい。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸。
  2. が置換基を有してもよいベンジル基であり、Rが水素原子であり、Rが水素原子又は置換基を有してもよい炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基であり、かつ、Xが塩素原子であることを特徴とする請求項1に記載の光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸。
  3. 下記一般式(2)
    Figure 2005041854

    (式中Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示す。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性2−置換−3−ヒドロキシプロピオン酸をハロゲン化し、下記一般式(3)
    Figure 2005041854

    で表される光学活性2−置換−3−ハロプロピオン酸塩化物(式中Rは前記と同義であり、Xはハロゲン原子を示す。また、*は不斉炭素を示す。)を得た後、アミノ酸及び/又はその塩と反応させることを特徴とする下記一般式(1)
    Figure 2005041854

    (式中Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。ここで、RとRは一体となって環状構造を形成してもよい。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸の製造方法。
  4. 下記一般式(1)
    Figure 2005041854

    (式中Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。ここで、RとRは一体となって環状構造を形成してもよい。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸を、プロトン性極性溶媒存在下、チオカルボン酸及び/又はその塩と反応させることを特徴とする下記一般式(4)
    Figure 2005041854

    (式中R、R及びRは前記と同義であり、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示す。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸の製造方法。
  5. 下記一般式(1)
    Figure 2005041854

    で表される光学活性N−(2−置換−3−ハロプロピオニル)アミノ酸(式中Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。ここで、RとRは一体となって環状構造を形成してもよい。また、*は不斉炭素を示す。)が、下記一般式(2)
    Figure 2005041854

    (式中Rは前記と同義である。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性2−置換−3−ヒドロキシプロピオン酸をハロゲン化し、下記一般式(3)
    Figure 2005041854

    で表される光学活性2−置換−3−ハロプロピオン酸塩化物(式中Rは前記と同義であり、Xはハロゲン原子を示す。また、*は不斉炭素を示す。)を得た後、アミノ酸及び/又はその塩と反応させることことにより得たものであることを特徴とする請求項4に記載の光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸の製造方法。
  6. 請求項4又は5のいずれかに記載の方法により得られる下記一般式(4)
    Figure 2005041854

    (式中Rは置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を示し、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基を示し、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基又は置換基を有してもよいアリール基を示し、Xはハロゲン原子を示す。ここで、RとRは一体となって環状構造を形成してもよい。また、*は不斉炭素を示す。)で表される光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸のカルボキシル基を更にベンジルエステル化することを特徴とする下記一般式(5)
    Figure 2005041854

    (式中R、R、R及びRは前記と同義である。また、*は不斉炭素を示す。なお、Bnはベンジル基を示す。)で表される光学活性N−(2−置換−3−アシルチオプロピオニル)アミノ酸ベンジルエステルの製造方法。
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