以下、本発明を実施するための最良の形態として、飲食店や家庭等において食物を調理する際に適用されるコードレスのシステムキッチンについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用したシステムキッチン1は、少なくともワークトップ又はカウンター(以下、これらを天板という)を有するシステムキッチンであって、図1に示すように、キャビネット11と、このキャビネット11における調理台ユニット領域Cの上面を被覆する天板13と、この天板13に隣接する流し台領域Aにおいて形成されたシンク14と、シンク14に対して湯水を供給するための水栓15とを備えている。
キャビネット11は、図示しない蝶番を介して前面側に片開き可能に軸着されている扉21、22、23と、図示しないスライド部材上に挿入される収納用引出24a〜24dとを有している。このキャビネット11を構成する各扉21〜23や収納用引出24内には、主として台所用具や食器等を収納可能な棚やケース等を設けるようにしてもよい。
シンク14には、水切り用の凹み部14aが形成されており、底面には排水口14bが設けられている。このシンク14において、凹み部14a並びに排水口14bは、プレス成形や注型成形、インジェクション成形等の方法により互いに一体に成形されている。シンク14の材質は、特に限定されるものではないが、耐熱性のある樹脂やステンレス鋼板等の金属を用いることも可能である。
水栓15は、ユーザによる回転操作に応じて蛇口17を介して水や湯をシンク14内へ流出させる。これにより、蛇口17から水を流しながらシンク14内で調理をすることも可能となる。ちなみに、水を流さない場合においては、この蛇口17を図中E方向へ回転させておくようにしてもよい。これにより、かかる蛇口17が障壁となることなく、シンク14内を広く利用して調理を行うことも可能となる。
天板13は、表面が平滑なガラス板で構成されている。この天板13上には、食材等を加熱調理するための調理鍋やポット等に代表される調理用容器20や、実際に食材を切り刻み、加工するためのまな板22がユーザ任意の位置に載置可能な構成とされている。この天板13は、全ての領域が同素材で構成される場合に限定されるものではなく、コイルユニットを配置する範囲について上述の如きガラス板等で構成されていればよい。
この天板13上には、調理用容器20が複数に亘り任意の位置に載置される場合もあるし、まな板22以外に、図示しない食器篭や炊飯器、ジューサー等といった各種調理用機器がそれぞれ任意の位置に載置される場合もある。即ち、この天板13は、調理用容器20が載置される可能性があることから、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、機械的強度に優れた材料で構成する必要があるところ、通常、耐熱ガラスやセラミックス等で構成される。ちなみに天板13の下部には、以降において説明する空間が形成されている。
図2は、かかる空間19の構成につき説明するための斜視図である。図2(a)は、天板13を配設する前の空間19を示しており、図2(b)は、実際に天板13を配置した後の空間19を示している。
このシステムキッチン1内に設けられた空間19は、略平面状の底板28と、底板28に対して平行な天板13とを所定の間隔を持って設置し、さらにこれら天板13と底板28の周囲を側壁19aで囲むことにより密閉状態とされたいわゆる閉空間として構成される。この空間19の高さとして表現される天板13と底板28との間隔は、30mmから100mmの範囲で構成されるが、これに限定される趣旨ではなく、他の如何なる高さで構成してもよい。
ちなみに、この空間19は、天板13上において調理用容器20が載置可能な位置に対応させて形成されている。例えば、上述した流し台領域Aにおいては、当然のことながら調理用容器20が載置不可能であり、当該領域Aの下部に至るまでこの空間19が形成されている必要はない。調理台ユニット領域Cにおいても、例えば食器篭等が固定配置されている関係上、調理用容器20が載置不可能であることが予め分かっている場合には、かかる食器篭の領域の下部に至るまでこの空間19が形成されている必要はない。
即ち、この空間19は、天板13の下部において、少なくとも調理用容器20が載置可能な位置に応じて形成されていれば、いかなる広さ、形状で構成されていてもよい。また、この空間19は、密閉された閉空間に限定されるものではなく、外部への通気孔等が側壁19aに形成されていてもよい。
この空間19内には、調理用容器20を誘導加熱するためのコイルユニット3が移動自在に配置される。このコイルユニット3は、電源プラグ29に接続された電源コード30を介して電源が供給されるとともに、後述する図示しない駆動機構が付設され、かかる駆動機構による動作に基づいてこの空間19内を自在に移動することになる。
このコイルユニット3は、いわゆるIH(Induction Heating)クッキングヒータとして適用されるものであり、その直径は、調理鍋等に代表される調理用容器20のサイズ等に応じて調整されている。以下、このコイルユニット3の詳細につき説明をする。
図3は、このコイルユニット3のブロック構成図であり、図4は、かかるコイルユニット3の構成断面図である。これら、図3,4に示すように、コイルユニット3は、インバータブロック31と、制御ブロック32に大別されて構成されている。このインバータブロック31は、実際に誘導加熱する高周波磁界を制御するためのブロックであり、制御ブロック32は、コイルユニット3全体を制御するためのブロックである。
インバータブロック31は、家庭用のAC200V(50/60Hz)の電源を電源プラグ29から電源コード30を介して受給する整流回路33と、この電源コード30と整流回路33との間に配設された電流検知コイル44と、この整流回路33に接続されてなり、鉄心にコイルを巻回すことにより構成されるチョークコイル34と、このチョークコイル34との間で直列LC回路を構成するコンデンサ35と、整流回路33の出力端子間を直列に接続するようにして配設される第1のスイッチング素子36並びに第2のスイッチング素子37と、これらスイッチング素子36,37に対して並列に接続される2つの共振コンデンサ38,39と、これら共振コンデンサ38,39の接続点に短絡されるカーレントトランス40と、インバータブロック31の内部の何れかに実装される回路保護サーモ41とを備えている。このインバータブロック31におけるカーレントトランス40の一端側と、上記スイッチング素子36,37の接続点には、さらに誘導加熱コイル42が接続され、この誘導加熱コイル42の略中心付近には鍋温度検知サーミスタ50が設けられている。ちなみに、加熱調理時においては、この誘導加熱コイル42からの高周波磁界により天板13を介して調理用容器20を誘導加熱できる位置まで、コイルユニット3自体が移動させられることになる。
制御ブロック32は、上記インバータブロック31における電流検知コイル44に接続される一次電流検知回路45と、整流回路33へ供給される電流を検知するための電源電圧検知回路46と、少なくとも上記一次電流検知回路45並びに電源電圧検知回路46に接続されてなり、この制御ブロック32全体を制御するための中央演算ユニットとしての役割を担う制御回路47と、この制御回路47と上記スイッチング素子36,37とに接続されるインバータ駆動回路48と、接続された回路保護サーモ41からの検知情報を制御回路47へ送信するための温度検知回路49と、カーレントトランス40並びに制御回路47にそれぞれ接続されるコイル電流検知回路51と、温度検知サーミスタ50並びに制御回路47にそれぞれ接続される鍋温度検知回路52とを少なくとも備えている。また、この制御ブロック32は、上記制御回路47に対して更に冷却ファン54と、アラーム62と、表示部63と、操作部57と、送受信部201とを接続して構成されている。なお、この制御回路47に対してさらにセンサ部131a,センサ部131b,センサ部131cを接続してもよく、さらにマーカーライト132を接続してもよい。
これら各構成要素は、図4に示すように筐体5内部に実装されてなり、特にインバータブロック31並びに制御ブロック32は載置台6上に載置されて取り付けられることになる。さらに、この筐体5は、冷却用ファン54の配設位置近傍の底面において吸気口58が形成されてなり、さらに一の側面には排気口59が形成されている。
先ず、インバータブロック31の詳細な構成につき説明をする。
整流回路33は、接続された電源プラグ29からの電源用電流を整流するために配設されたものであって、供給された交流としての電源用電流を直流に変換する。この整流回路33は、図示しない4つのダイオードをブリッジ状に連結して構成したいわゆる全波整流回路で構成されるが、これに限定されるものではなく、1つのダイオードのみ用いる半波整流回路で構成してもよい。
チョークコイル34とコンデンサ35とにより構成されるLC直列回路は、いわゆる平滑回路を構成する。このチョークコイル34とコンデンサ35に対して整流回路33から出力される電源用電流を通すことにより、その大きさを一定に制御することが可能となる。仮に整流回路33から供給される電源用電流が大きい場合には、このチョークコイル34とコンデンサ35に対して、静電エネルギー或いは磁気エネルギーを蓄積させる。そして、整流回路33から供給される電源用電流が減少した場合には、かかるチョークコイル34並びにコンデンサ35に蓄積した静電エネルギー或いは磁気エネルギーを放出することにより、後段の回路に一定の大きさの電源用電流を供給することが可能となる。
スイッチング素子36,37は、例えばトランジスタ等で構成され、各スイッチング素子36,37のエミッタとコレクタには逆導通用のダイオード62,63がそれぞれ並列接続される。スイッチング素子36のベースにはインバータ駆動回路48からの駆動信号QAが供給され、スイッチング素子37のベースにはインバータ駆動回路48からの駆動信号QBが供給される。即ち、インバータ駆動回路48は、この駆動信号QAと駆動信号QBとを交互に供給することにより、共振コンデンサ38,39と誘導加熱コイル42に共振電流を流すことが可能となる。
誘導加熱コイル42は、図4に示すように、筐体5の上面5aに対向させて配設されてなる。この誘導加熱コイル42における巻き数は、上記調理用容器20を加熱する際における電力を支配するものであり、調理用容器20における底板の表皮抵抗や共振電流の大きさとの関係において最適に調整されている必要がある。この誘導加熱コイル42は、上記供給される共振電流に基づいて共振されることになり、その結果、高周波磁界を発生させることが可能となる。
回路保護サーモ41は、温度の変化に応じて抵抗値が変化するサーミスタ等で構成され、例えば金属酸化物を主原料とし高温にて焼結して得られるセラミック半導体等からなる。この回路保護サーモ41は、主としてインバータブロック31や制御ブロック48を構成する空間の温度を測定する。
鍋温度検知サーミスタ50は、回路保護サーモ41と同様にサーミスタで構成される。この鍋温度検知サーミスタ50は、天板13を介して調理用容器20の温度を検知すべく、上述の如く誘導加熱コイル42の中心付近に配設されることになる。
カーレントトランス40は、誘導加熱コイルに流れる共振電流の電流値を検知するためのコイル等である。このカーレントトランス40に検知された電流は、後述するコイル電流検知回路51により読み取られることになる。
次に、制御ブロック32の詳細な構成につき説明をする。
一次電流検知回路45は、接続された電流検知コイル44を介して、電源プラグ29を介して供給される電源用電流の電流値を検知する。この一次電流検知回路45は、この検知した電流値を制御回路47へと通知する。
電源電圧検知回路46は、電源プラグ29からの電源用電流に基づく電圧を検知する。電源電圧検知回路46は、この検知した電圧を制御回路47へ通知する。
制御回路47は、CPU(Central Processing Unit)等で構成され、演算を行うALU(Arithmetic Logic Unit)や、データを一次記憶するレジスタ、メモリや周辺機器との入出力を行うバスインターフェース等で構成される。また、その他、浮動小数点演算等を行う浮動小数点演算部、レジスタよりも多くの情報を一時記憶するキャッシュ等の機能を備えるようにしてもよい。ちなみに、この制御回路47は、上述した一次検知回路45により検知された電流値が通知され、かつ電源電圧検知回路46により検知された電圧が通知された場合には、これらを参照しつつ、設定された電力となるようにインバータ駆動回路48を制御する。この制御回路47は、操作部57を介したユーザからの命令を解釈し、これに基づいてインバータ駆動回路48、冷却ファン54、アラーム62を制御するとともに、所定の情報を表示部63を介して表示する。なお、この制御回路47の内部には、図示しないメモリを実装するようにしてもよく、このメモリにプログラムを記憶させておくことにより、コイルユニット3全体につきプログラムに従った制御を実行することも可能となる。
インバータ駆動回路48は、正弦波信号を発振させるための発振回路として構成され、制御回路47による制御に基づいて、上記駆動信号QA又は駆動信号QBを生成する。
温度検知回路49は、回路保護サーモ41における抵抗値の変化を検出する。この温度検知回路49は、この検出した回路保護サーモ41の抵抗値の変化に基づき、筐体5の内部の温度を検知する。この温度検知回路49は、検知した筐体5内部の温度を制御回路47へ通知する。制御回路47は、温度検知回路49からの通知を介して筐体5内部の温度を随時認識することが可能となる。これにより、例えば運転中において冷却ファン等が停止した場合や、吸気口58や排気口59が詰まった場合等のように冷却性能が低下し、筐体5の内部の温度が急激に上昇した場合には、制御回路47は、温度検知回路49を介してこれを認識し、コイルユニット3全体の動作を停止させることも可能となる。
コイル電流検知回路51は、カーレントトランス40により検知された共振電流の電流値を読み取り、これを制御回路47へ通知する。制御回路47は、コイル電流検知回路51を介して共振電流の電流値を随時認識することができる。これにより、制御回路47は、例えば、調理用容器20の材質や形状に応じて決定される誘導加熱に必要な電力に対して、必要以上の共振電流が流れるのを抑制することが可能となり、さらには、誘導加熱中において調理用容器20が外された場合において、コイルユニット3全体の動作を停止させるとともに、アラーム62を介してこれをユーザに通知することも可能となる。
鍋温度検知回路52は、鍋温度検知サーミスタ50における抵抗値の変化を検出する。この鍋温度検知回路52は、この検出した鍋温度検知サーミスタ50の抵抗値の変化に基づき、調理用容器20の温度を検知する。この鍋温度検知回路52は、検知した調理用容器20の温度を制御回路47へ通知する。制御回路47は、温度検知回路49からの通知を介して調理用容器20の温度を随時認識することが可能となる。これにより、例えば調理用容器50の底部の温度が規定値以上に上昇した場合には、コイルユニット3全体の動作を停止させることも可能となる。
冷却ファン54は、制御回路47による制御に基づいて回転させられる。この冷却ファン54の回転に応じて、吸気口58から冷却風が吸い込まれることになる。この吸い込まれた冷却風は、インバータブロック31や制御ブロック32上を通過することによりこれらを冷却し、排出口59から外部へと排出されることになる。
アラーム62は、制御回路47による制御に基づいて所定の音を発生させる音声発振器で構成される。
表示部63は、制御回路47による制御に基づいて所定の情報を表示する液晶表示面等で構成される。なお。この表示部63は、図4に示すように、筐体5の表面に設けられる場合を想定しているが、これに限定されるものではなく、後述するように制御回路47との間で有線又は無線通信により通信可能な表示面を天板13の前面等に貼設することにより構成してもよい。
センサ部131a〜131cは、例えば赤外光等の信号を受信するためのいわゆる光電変換素子である。このセンサ部131は、かかる光電変換素子の代替として、電波を受信するためのアンテナで構成してもよいし、超音波による振動を電気信号に変換するいわゆる超音波センサとして適用してもよい。ちなみに、このセンサ部131により変換して得られた電気信号は、そのまま制御回路47へと出力されることになる。
マーカーライト132は、発光ダイオード等で構成され、制御回路47による制御に基づいて可視光を発光する。
送受信部201は、制御回路47において生成された識別信号を後述する駆動制御ユニット200に対して送信する。また、この送受信部201は、駆動制御ユニット200から送信されてくる信号を制御回路47へと出力する。ちなみに、この送受信部201は、駆動制御ユニット200からのケーブルを接続するためのインターフェースで構成されるが、かかる場合に限定されるものではなく、上記識別信号を無線で送信する場合にはアンテナ等で構成されていてもよい。
操作部57は、ユーザが実際にコイルユニット3を操作するためのキーやボタン等で具体化される。この操作部57においてユーザから入力された内容は、制御回路47へ通知され、制御回路47はかかる入力された内容に基づいてコイルユニット3の各構成要素を制御していくことになる。ちなみにこの操作部57は、筐体5の表面に形成されたボタン等を想定しているが、かかる場合に限定されるものではなく、例えば、無線通信でユーザからの入力内容を送信するためのリモートコントローラで構成されていてもよい。
図5は、操作部57をリモートコントローラ110として具体化した例を示している。ちなみに、この図5(a)は、リモートコントローラ110の外観構成図を示しており、図5(b)は、リモートコントローラ110のブロック構成を示している。
このリモートコントローラ110は、樹脂製のケース116内部に各構成要素を実装することにより構成されるものであり、CPU、ROM、RAM等で具体化される制御部111と、この制御部111にそれぞれ接続されてなる液晶表示部112並びに送信部113と、ユーザが入力操作を実行するための操作ボタン114a〜114cと、位置送信部118とを備えている。
液晶表示部112は、ケース116の中央部表面に形成される液晶表示面等で構成され、制御部111による制御に基づいて所定の情報を表示する。この液晶表示部112からは、このリモートコントローラ110を実際に操作するユーザに対して、電源の投入状態に関する情報や、コイルユニット3に対する設定温度に関する情報等を表示する。
送信部113は、ケース116の先端部に設けられてなり、コイルユニット3との間で赤外線によるシリアル通信を行う。
操作ボタン114a,114b,114cは、それぞれ電源のON/OFF、設定温度の上昇、設定温度の下降等につきユーザ自身が指示を与えるべくケース116表面に形成されたものである。制御部111は、押圧された操作ボタン114に応じて液晶表示部112における表示内容を切り替えるとともに、これに応じた赤外線の信号を作り出し、これにつき送信部113を介してコイルユニット3へ送信する。
位置送信部118は、制御部111による制御に基づいて、コイルユニット3に対して調理用容器20の載置位置を通知するための位置信号を送信する。この位置送信部118は、上記位置信号として、例えば電波を用いるようにしてもよいし、或いは音波(超音波)を用いるようにしてもよい。この位置送信部118は、その発信面をケース116の外部表面に形成させている。なお、この位置送信部118の構成が不要な場合には、これを省略してもよい。
また、操作部57をリモートコントローラ110として具体化する場合には、コイルユニット3における制御ブロック48においてセンサ部131を赤外受光素子として適用するようにしてもよい。これにより、リモートコントローラ110から送信されてくる赤外線の信号をセンサ部131により受光し、これを光電変換することにより、制御回路47は、ユーザからいかなる指示を受けたのか解釈することも可能となる。
また、上述の構成からなるリモートコントローラ110においては、所定の情報が重畳された赤外線による信号を受信するための機能を送信部113に含めるようにしてもよい。かかる場合には、外部から送信されてきた情報を液晶表示部112を介してユーザに伝えることも可能となる。
次に、上述の構成からなるコイルユニット3により、実際に調理用容器20を誘導加熱する方法につき説明をする。
先ず、電源プラグ29から電源コード30を介して電源用電流を受給する。この受給した電源用電流は、整流回路33において整流されることになる。このとき、インバータ駆動回路48は、制御回路47による制御の下、スイッチング素子36,37に供給する駆動信号QA、QBの調整する。
図6(a)は、誘導加熱コイル42に流れる共振電流を、図6(b)は、このスイッチング素子36に対して供給される駆動信号QAを、図6(c)は、このスイッチング素子37に対して供給される駆動信号QBを示している。
インバータ駆動回路48は、制御回路47による制御の下、時点t0から時点t1に至るまで駆動時間がT1である駆動信号QAをON出力する。この駆動時間T1の間では、スイッチング素子36及びダイオード62と、誘導加熱コイル42と、共振コンデンサ38とで形成される閉回路で共振することになる。ちなみに、インバータ駆動回路48は、時点t1において駆動信号QAをOFFにする。
次にインバータ駆動回路48は、制御回路47による制御の下、時点t2から駆動時間がT2である駆動信号QBをON出力する。この駆動時間T2の間では、スイッチング素子37及びダイオード63と、誘導加熱コイル42と、共振コンデンサ39とで形成される閉回路で共振することになる。なお、この駆動時間T2は、上記駆動時間T1と同一である。
このように閉回路を変えて上記誘導加熱コイル42を共振させることにより、誘導加熱コイル42において高周波磁界を発生させることができる。この発生させられた高周波磁界は、天板13を介して調理用容器20の底板を通過していくことになる。この調理用容器20の底板は、金属製であるため、この高周波磁界を金属製の底板に通すことにより、渦電流が発生することになる。この渦電流と調理用容器20の持つ電気抵抗によりジュール熱が生じ、調理用容器20自体が発熱することになる。その結果、調理用容器20内にある食物を加熱調理することが可能となる。
図7は、内部に二次コイルが実装された調理用容器120を天板13上に載置する例を示している。この図7に示す調理用容器120は、上記コイルユニット3の上部に載置された場合に誘導加熱コイル42からの高周波磁界と磁気結合する二次コイル121と、電源取り出し用のコンセント部122と、この二次コイル121とコンセント部122とを結ぶ導線124上に設けられた整流器123とを備えている。
二次コイル121は、誘導加熱コイル42から発生した高周波磁界と錯交することにより、導線124が接続される両端子間に高周波電圧を発生させる。
整流器123は、この二次コイル121により発生させた高周波電圧に基づく電流を整流する。この整流された電流は、コンセント部122へと送られる。
コンセント部122は、整流器123を介して送られてきた電流に基づいて生成した、商用電源としての200V(50/60Hz)の電源を、これに挿入された図示しないプラグを介して他の調理用機器へ送り込む。
即ち、このような構成からなる調理用容器120は、誘導加熱コイル42から発生された高周波磁界と二次コイル121とを磁気結合させ、これに基づいて二次コイル121の両端子に高周波電圧を発生させ、さらにこの高周波電圧に基づいて加熱調理を実現するとともに、コンセント部122を介して図示しない他の調理用機器へ電源を供給することが可能となる。
なお、本発明を適用したシステムキッチン1では、上述した調理用容器20の誘導加熱を実行する前に、天板13上における調理用容器20の載置位置を識別し、空間19内に配置されているコイルユニット3をその識別した調理用容器20の載置位置へ移動させる動作を実行する。
ここで、調理用容器20の載置位置をその底部中心を基準に考える。かかる場合において天板13上における座標を、例えば図8に示すように、横方向をxとし、縦方向をyと定義した場合に、調理用容器20の座標は、(x1、y1)で表される。また同様の座標系において、実際に空間19内に配置されているコイルユニット3の座標をその中心位置を基準に考える場合には、(x0、y0)で与えられることになる。
コイルユニット3の座標(x0、y0)が既知であることを仮定した場合に、かかる調理用容器20の座標(x1、y1)を取得することができれば、コイルユニット3につき座標座標(x0、y0)から座標(x1、y1)に至るまで図中R方向へ移動させればよいことを判別することが可能となり、コイルユニット3の移動方向と移動量を容易に算出することが可能となる。また、駆動制御ブロック200は、かかる取得された座標(x1、y1)へコイルユニット3を移動させることになる。
ここで、調理用容器20の天板13上における載置位置(座標)の第1の識別方法につき説明をする。
ユーザは、例えば図9に示すように、これから加熱調理を行う調理用容器20を天板13上の任意の箇所に載置する。このとき、ユーザは、操作部57としてのリモートコントローラ110を天板13上における調理用容器20の近傍に載置するものとする。ちなみに、このリモートコントローラ110は、誘導加熱すべき調理用容器20の載置位置に対してより近接させて載置されることが望ましく、リモートコントローラ110と調理用容器20とを互いに接触させて載置されるようにしてもよい。
次に、この載置されたリモートコントローラ110における位置送信部118から位置信号を送信する。この位置信号の送信に関しては、ユーザによる操作ボタン114の押圧を受けてから実行するようにしてもよい。またリモートコントローラ110の天板13に対する載置面に図示しないボタンを設けておき、実際にリモートコントローラ110が天板13上に載置された場合に、その図示しないボタンが天板13を介して押圧されるようにしておくようにしてもよい。これにより、かかる図示しないボタンの押圧を識別することにより、リモートコントローラ110自身が現時点において天板13上に載置されている旨を識別することができ、制御部111はこれを受けて位置送信部118に対して上記位置信号の送信を指示することが可能となる。
なお、この第1の識別方法を実行する場合には、互いに異なる3箇所においてセンサ部131a,131b,131cを設けておく。その結果、位置送信部118から発信された位置信号は、それぞれセンサ部131a,131b,131cにより受信されることになる。このとき、各センサ部131a,131b,131cは、上記位置送信部118に対して互いに異なる距離に位置することになるため、受信する位置信号の位相差は互いに異なることになる。
制御回路47は、各センサ部131a,131b,131cにおいて受信した位置信号の位相差を識別する。この位相差は、各センサ部131a,131b,131c間における位置信号の到達時間差に相当する。そして、この制御回路47は、識別した位相差に基づき、各センサ部131a〜131cに対する位置送信部118の高さや座標を3次元網平均計算によって求める。この位置送信部118の発信面は、調理用容器20の近傍に載置されるリモートコントローラ110のケース116表面に設けられるため、制御回路47によって求められる位置送信部118の高さや座標は、調理用容器20の座標(x1、y1)に非常に近似したものといえる。
従って、制御回路47は、この求めた位置送信部118の高さや座標に基づいてこの調理用容器20の座標(x1、y1)を特定する。この特定においては、位置送信部118と調理用容器20の座標との位置ズレ量分を考慮しつつ、求めた位置送信部118の高さや座標に補正を加えていくことになる。
なお、この位相差を各センサ部131a〜131c間で顕著にすべく、位置送信部118から送信する位置信号を電波で構成する以外に、例えば音波(超音波)で構成するようにしてもよい。かかる場合には位置送信部118を圧電素子で構成し、制御部111から交流電圧をこれに印加することにより、その周波数で圧電素子を歪ませることが可能となり、超音波振動を励起させることになる。特に超音波は、電波と比較して空気中の伝播速度が著しく低いため、上記センサ部131間における到達時間差をより顕著にすることも可能となる。
制御回路47は、調理用容器20の座標(x1、y1)を算出した場合には、識別信号に当該座標に関する情報を盛り込み、これを送受信部201を介して駆動制御ユニット200へ送信する。
また制御回路47は、調理用容器20の座標(x1、y1)を算出した場合には、その旨並びにかかる座標に関する詳細な情報を表示部63を介して表示するようにしてもよい。また、リモートコントローラ110は、かかる詳細な情報をコイルユニットから受信してこれを液晶表示部112へ表示するようにしてもよい。これにより、ユーザは、実際に求められた調理用容器20の座標(x1、y1)を視覚的に把握することも可能となる。
次に、調理用容器20の天板13上における載置位置(座標)の第2の識別方法につき説明をする。
この第2の識別方法では、天板13の周囲縦横に亘り複数個配列させた赤外受光部により受光した調理用容器20からの赤外線に基づき、その座標(x1、y1)を識別する。ちなみに、この第2の識別方法では、例えば図10(a),(b)に示すように天板13の周囲縦横に亘り側板155、156を形成し、かかる側板155に対して複数の赤外受光部151a,151b,…を、また側板156に対して複数の赤外受光部152a,152b, …をそれぞれ所定の間隔、高さで配列させる。また、この赤外受光部151,152はそれぞれ中央処理部157に接続され、かかる中央処理部157において、実際の載置位置の識別がなされることになる。ちなみに、この第2の識別方法を実行する場合には、上記操作部57を天板13上に埋め込んだいわゆるワイドコントロールパネルで構成するようにしてもよい。
図11は、この赤外受光部151,152並びに中央処理部157のブロック構成を示している。
赤外受光部151,152は、赤外線受光素子161と、この赤外線受光素子161に接続される増幅部162と、増幅部162に接続され検知部163とを備え、必要な場合には実際に赤外線を発光する赤外線発光部164をさらに備えている。
また、中央処理部157は、赤外受光部151からの検知情報K1を受信する第1のセンサ受信部165と、赤外受光部152からの検知情報K2を受信する第2のセンサ受信部166と、この第1のセンサ受信部165並びに第2のセンサ受信部166にそれぞれ接続されるマイコン168と、マイコン168に接続され、駆動制御ユニット200との間の通信インターフェースとしての役割を担う識別信号送信部169とを備えている。
赤外線受光素子161は、調理用容器20から反射してきた赤外光を受光してこれを電気信号に変換する。この赤外線受光素子161は、赤外線のもつ熱効果によってセンサが温められ、素子温度の上昇によって生じる素子の電気的性質の変化を検知するいわゆる熱型赤外線センサや、焦電物質の焦電特性を利用した焦電型赤外線センサ等、あらゆる種類の赤外線センサで構成してもよい。この赤外線受光素子161により生成された電気信号は、増幅部162へと出力される。
増幅部162は、赤外線受光素子161から出力されてきた電気信号を増幅する。この増幅部162において増幅された電気信号はそのまま検知部163へ出力される。
検知部163は、増幅部162において増幅された電気信号につき所定の変調を施すことにより検知情報K1又は検知情報K2を生成する。ちなみに、この検知情報K1は、赤外受光部151に実装された検知部163において生成され、またこの検知情報K2は、赤外受光部152に実装された検知部163において生成されるものである。この生成した検知情報K1、K2は、それぞれ赤外受光部151a,151b,…間において、また赤外受光部152a,152b, …間において識別可能な固有の信号である。検知部163は、生成した検知情報K1を第1のセンサ受信部165へ送信し、或いは生成した検知情報K2を第2のセンサ受信部166へ送信する。
第1のセンサ受信部165は、赤外受光部151との間で図示しないケーブルを介して接続されてなり、検知部163から送信される検知情報K1を受信する。第1のセンサ受信部165は、受信した検知情報K1をマイコン168へ送信する。
第2のセンサ受信部166は、赤外受光部152との間で図示しないケーブルを介して接続されてなり、検知部163から送信される検知情報K2を受信する。第2のセンサ受信部166は、受信した検知情報K2をマイコン168へ送信する。
マイコン168は、CPU、ROM、RAM等からなり、第1のセンサ受信部165から送信されてきた検知情報K1と、第2のセンサ受信部166から送信されてきた検知情報K2を識別し、これに基づいて調理用容器20の載置位置(座標)を識別する。またこのマイコン168は、識別した調理用容器20の載置位置に基づいて識別信号を生成し、これを識別信号送信部169を介して駆動制御ユニット200へと送信する。
このような構成からなる赤外受光部151,152並びに中央処理部157により、実際に調理用容器20の載置位置を識別する場合において、調理用容器20からの赤外線は、主としてそのx方向並びにy方向に配列されている赤外受光部151、152により受光されることになる。ここで、調理用容器20が図10(a)に示すような座標(x2、y2)上に載置されていた場合には、かかる調理用容器20からの赤外線は、そのう方向に配列されている赤外受光部151d,151eにより受光されるとともに、そのx方向に配列されている赤外受光部152h,152i,152jにより受光されることになる。
赤外受光部151d,151eは、受光した赤外線を光電変換して電気信号に変換し、これらは増幅部162により増幅されて検知部163において互いに識別可能な固有の検知情報K1とされて中央処理部157における第1のセンサ受信部165へ送られ、さらにマイコン168へ出力されることになる。マイコン168は、これら検知情報K1をそれぞれ識別することにより、赤外受光部151d,151eにより赤外線が受光された旨を判別することができる。
同様に、赤外受光部152h,152i,152jは、受光した赤外線を光電変換して電気信号に変換し、これらは増幅部162により増幅されて検知部163において互いに識別可能な固有の検知情報K2とされて中央処理部157における第1のセンサ受信部166へ送られ、さらにマイコン168へ出力されることになる。マイコン168は、これら検知情報K2をそれぞれ識別することにより、赤外受光部152h,152i,152jにより赤外線が受光された旨を判別することができる。
マイコン168は、調理用容器20からの赤外線を受光した、y方向に配列された赤外受光部151d,151e並びにx方向に配列された赤外受光部152h,152i,152jを識別することができる。その結果、調理用容器20の天板13上における載置位置を識別することができ、ひいては載置されている調理用容器20の座標(x1、y1)をも特定することが可能となる。
なお、調理用容器20の載置位置を識別する際において赤外受光部151,152に設けられた赤外線発光部164から赤外線を発光するようにしてもよい。この赤外線発光部164から発光された赤外線は、調理用容器20を反射し、再び元の赤外受光部151,152まで戻り、赤外線受光素子161により受光されることになる。仮に調理用容器20が載置されていない場合には、発光された赤外線は何れに反射することなくそのまま前方へ伝播していくため、赤外受光部151,152により受光されることはない。即ち、調理用容器20を反射して戻ってきた赤外線を受光した赤外受光部151,152を識別することにより、調理用容器20の載置位置を識別することが可能となる。
また、この赤外受光部151,152においては、上記赤外線発光部164のみを分離し、これを赤外受光部151,152に対して対向させて天板13上に配置するようにしてもよい。即ち、y方向に配列された赤外受光部151の数に対応させて、領域Eに赤外線発光部164を複数配列し、さらにx方向に配列された赤外受光部152の数に対応させて、領域Fに赤外線発光部164を複数配列する。
領域Eに配列された各赤外線発光部164からの赤外線は、何ら障害物がない場合には、そのまま反射せずに直進し、対応する赤外受光部151に受光することになり、また領域Fに配列された各赤外線発光部165からの赤外線は、何ら障害物がない場合には、そのまま反射せずに直進し、対応する赤外受光部151に受光することになる。しかしながら、調理用容器20が天板13上に載置されている場合には、かかる調理用容器20の載置位置を通る赤外線は、これを反射することになる。その結果、何ら天板13上に載置されていない場合にかかる赤外線を受光する筈の赤外受光部151は、調理用容器20の存在によりこれを受光できなくなる。即ち、赤外線を受光していない赤外受光部151を識別することにより、調理用容器20の載置位置を識別することが可能となる。
次に、調理用容器20の天板13上における載置位置(座標)の第3の識別方法につき説明をする。
この第3の識別方法においては、図12に示すように天板13全体を撮影範囲として撮像する撮像ユニット170と、この撮像ユニット170に接続される中央処理部171とを使用する。撮像ユニット170は、天板13の上部に配設され、かかる天板13上に載置された調理用容器20を撮像する。中央処理部171は、この撮像ユニット170により撮像されて生成された画像データを解析することにより、これら調理用容器20の天板13上における載置位置を識別し、かかる識別した結果に基づいて生成した識別信号を上記駆動制御ユニット200へ送信する。ちなみに、この中央処理部171は、IC(Integrated Circuit)上に集積化されていてもよく、システムキッチン1における任意の箇所に実装されていてもよい。ちなみに、この第3の識別方法を実行する場合には、上記操作部57を天板13上に埋め込んだいわゆるワイドコントロールパネルで構成するようにしてもよい。
図13は、この撮像ユニット170と、中央処理部171のブロック構成を示している。撮像ユニット170は、レンズ172と、光軸に直交する位置に配設される撮像部173と、撮像部173により撮像された画像信号を増幅する増幅部174と、増幅部174に接続されたインターフェース175と、撮像ユニット170における撮像方向を変更するための駆動部177と、主としてレンズ172の画角を変更するためのレンズ制御部176とを備えている。ちなみに、この内部バス185に対しては、上述したレンズ制御部176並びに駆動部177が少なくとも接続されている。また、この図13においてレンズ制御部176と駆動部177は省略可能である。
また、中央処理部171は、内部バス185に対して、それぞれエンコーダ179と、メモリ180と、CPU181と、操作部182と、識別信号送信部183とが接続されてなり、さらにこのエンコーダ179に対してインターフェース178が接続された状態とされている。
レンズ制御部176は、CPU181からの駆動信号に基づき、レンズ172に対して自動絞り制御動作や自動焦点制御動作を実行する。またこのレンズ制御部176は、かかる駆動信号に基づき、被写体に対する撮影画角を変更する。これにより、撮像ユニット170につき撮影倍率を順次調整して被写体を撮像することが可能となる。
駆動部177は、CPU181からの駆動信号に基づき、図示しない駆動源としてステッピングモータを回転させる。これにより、撮像ユニット170の撮影方向を変更することが可能となる。
即ち、このレンズ制御部176と駆動部177とを撮像ユニット170内に実装しておくことにより、調理用容器20の天板13上における載置可能な領域に応じて最適な撮影画角、並びに撮影方向をセッティングすることが可能となる。なお、このレンズ制御部176と駆動部177は、コスト削減化等の観点から省略される場合もある。
撮像部173は、例えばCCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子により構成され、レンズ172を介して入射される被写体像を撮像面上に結像させ、光電変換により画像信号を生成し、これを増幅部174へ送信する。
増幅部174は、撮像部173において生成された画像信号を増幅してこれをインターフェース175へと出力する。インターフェース175はかかる画像信号をさらに中央処理部178におけるインターフェース178へと送信する。
エンコーダ179は、撮像ユニット170からインターフェース178を介して送信されてきた画像データにつき、これを例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)等の規格に基づいて圧縮符号化する。なお供給される画像データにつき、圧縮符号化を行わない場合には、このエンコーダ52における処理は省略される。
CPU181は、インターフェース178へ送信されてきた画像データを解析し、これに応じた識別信号を生成し、その生成した識別信号を識別信号送信部183へ内部バス185を介して出力する。このCPU181は、操作部182を介してユーザから撮像ポイントが指定された場合に、レンズ制御部176や駆動部177を駆動するための駆動信号や、中央処理部171内の各部を制御するための制御信号を内部バス185を介して送信する。
メモリ180は、上記撮像された画像データを解析する上で必要となる参照用の画像データを格納する。
操作部182は、実際に撮像ユニット170や中央処理部171の各部を調整するためのキー等で構成されている。ちなみに、この操作部182は、システムキッチン1を配設する業者のみが操作可能な構成とし、かつユーザが操作不可能な構成としてもよい。
なお、識別信号送信部183の構成は、上記識別信号送信部169の構成と同様であるため、かかる説明を引用し、以下での説明を省略する。
このような構成からなる撮像ユニット170並びに中央処理部171により、実際に調理用容器20の載置位置を識別する前に、何ら調理用容器20が載置されていない状態における天板13をこの撮像ユニット170で撮像し、これを参照用の画像データとしてメモリ180に格納しておく。かかる処理に関しては、実際にシステムキッチン1を配設する前に実行しておくようにしてもよい。
次に、天板13上に載置された調理用容器20の載置位置を識別する。例えば、図12に示すように、天板13上において、フライパンとしての調理用容器20aと、鍋としての調理用容器20bがそれぞれ座標(x1a,y1a)と、座標(x1b,y1b)とに載置されているものとする。かかる状態を撮像ユニット170により上方から撮像する。撮像ユニット170により撮像された画像データは、インターフェース175を介して中央処理部171へ送られてくる。CPU181は、メモリ180に格納させておいた参照用の画像データを読み出し、さらにこの撮像ユニット170から送られてきた画像データをこれと比較する。
図14は、かかる天板13を撮像した結果得られる画像データの輝度レベルの分布を示している。この図14に示すように、調理用容器20a,20bの載置位置においては、天板13との間で明らかに輝度レベルが異なっていることが分かる。本発明では、これを利用することにより、天板13との間で輝度レベルが異なる画像領域を抽出し、かかる画像領域の位置を識別することで天板13上における調理用容器20a,20bの位置を識別する。
実際に天板13と輝度レベルの異なる画像領域を識別する場合には、上記参照用の画像データにおける輝度レベルと、撮像した画像データの輝度レベルとの差異を検出する。そして、撮像した画像データにおいて、その参照用の画像データとの間で輝度レベルの差異が検出された画素を順次抽出してゆく。このようにして抽出された画素の集合が天板13との間で輝度レベルが異なる画像領域として特定されることになる。
CPU181は、この特定した画像領域に基づいて、座標(x1a,y1a)並びに座標(x1b,y1b)に基づく識別信号を生成することができ、これを内部バス185を介して識別信号送信部183へと出力する。識別信号送信部183は、この出力されてきた識別信号を駆動制御ユニット200へと送信する。
次に、調理用容器20の天板13上における載置位置(座標)の第4の識別方法につき説明をする。
第4の識別方法では、図15に示すように、底板28において光を受光するための受光部190を縦横ともに所定の間隔を置いてグリッド状に配置する。この受光部190の配置間隔は、周期的に或いは変則的に変更するようにしてもよいし、受光部190自体を離散的に配置するようにしてもよい。
また、この第4の識別方法では、天板13として、可視光を透過可能な例えば半透明のガラス素材等を用いる。これにより、システムキッチン1を照明するための図示しない光源からの可視光がかかる天板13により遮蔽されることなくそのまま通過して底板28へ到達可能となる。
この底板28上に配置された受光部190は、図16に示すように、中央制御部210により接続される。この受光部190は、受光素子191と、この受光素子191に接続される増幅部192と、増幅部192に接続され検知部193とを備えている。
また、中央制御部210は、受光部190からの検知情報K3を受信するセンサ受信部194と、センサ受信部194に接続されるマイコン195と、マイコン195に接続され、駆動制御ユニット200との間の通信インターフェースとしての役割を担う識別信号送信部196とを備えている。
受光素子191は、天板13を通過して入射されてきた光を受光し、これを電気信号に変換する。受光素子191により生成された電気信号は、増幅部192へと出力される。
増幅部192は、受光素子191から出力されてきた電気信号を増幅する。この増幅部192において増幅された電気信号はそのまま検知部193へ出力される。
検知部193は、増幅部192において増幅された電気信号につき所定の変調を施すことにより検知情報K3を生成する。ちなみに、この検知情報K3は、受光部190に実装された検知部193において生成されるものである。この生成した検知情報K3は、底板28に配置された各受光部190間において、識別可能な固有の信号である。検知部193は、生成した検知情報K3を中央処理部210におけるセンサ受信部165へ送信する。
センサ受信部194は、受光部190との間で図示しないケーブルを介して接続されてなり、検知部193から送信される検知情報K3を受信する。センサ受信部194は、受信した検知情報K3をマイコン195へ送信する。
マイコン195は、CPU、ROM、RAM等からなり、センサ受信部194から送信されてきた検知情報K3を識別し、これに基づいて調理用容器20の載置位置(座標)を識別する。またこのマイコン195は、識別した調理用容器20の載置位置に基づいて識別信号を生成し、これにつき識別信号送信部169を介して駆動制御ユニット200へと送信する。
このような構成からなる受光部190並びに中央処理部210において、天板13上において調理用容器20が何ら載置されていない場合には、システムキッチン1を照明するための図示しない光源からの光は全て遮蔽されることなくそのまま底板28へ到達することになる。その結果、底板28に配置される全ての受光部190に対して光が照射されることになり、全ての受光素子191において光電変換がなされることになる。マイコン195には、全ての受光部191から検知情報K3が送られてくるため、これを識別することにより、現時点においては天板13上に調理用容器20が何ら載置されていない旨を識別することが可能となる。
これに対して、図15に示すように天板13上において調理用容器20が載置された場合には、図示しない光源からの光はその調理用容器20によって遮蔽されることになる。その結果、調理用容器20の載置位置の下には影197ができることになり、かかる影197が生じる位置に配置されている受光部190においては、光電変換される電気量が相対的に小さくなる。かかる電気量が相対的に小さい受光部190においては、検知部193は、その旨を検知情報K3に含めることができ、また、マイコン195は、各受光部190から送られてきた検知情報K3を解析することにより、光電変換する電気量が相対的に小さかった受光部190を識別する。その識別された受光部190は、現時点において調理用容器20の影197が形成されているものであり、かかる受光部190の配置に対応する天板13上の位置には、調理用容器20が載置されていることを識別することか可能となる。
調理用容器20における天板13上の載置位置に対する影197の形成位置は、あくまで、図示しない光源と天板13との相対的な位置関係に支配される。しかしながら、この図示しない光源と天板13との相対的な位置関係はあくまで固定されている状態にあるため、その位置関係を予め調べておくことにより、識別された影197の形成位置からいかなる補正を加えれば上記天板13上の載置位置を算出できるのか知ることが可能となる。
上述した第1の識別方法〜第4の識別方法により、上記調理用容器20の載置位置、ひいては座標(x1、y1)を識別することが可能となる。
以下、この識別した座標(x1、y1)へコイルユニット3を移動させるため駆動制御方法につき説明をする。このコイルユニット3の移動制御は、駆動制御ユニット200により実行されることになる。
先ず、コイルユニット3における第1の駆動制御方法につき説明をする。
この第1の駆動制御方法では、例えば図17に示すようにコイルユニット3の底部に設けた駆動輪を駆動させることにより、上記識別した座標(x1,y1)へと移動させる。かかる場合において、駆動制御ユニット200は、両端に前輪225が固着された駆動軸231と、両端に後輪226が固着された駆動軸232とを備え、さらに、前輪225の方向を操作するためのステアリングサーボ機構233と、後輪を駆動するためのモータ234と、このモータ234を制御するためのモータコントローラ235とを備えている。さらに、この駆動制御ユニット200は、調理用容器20の載置位置を知らせるための識別信号を受信する受信部236を有し、受信部236はこれをステアリングサーボ機構233並びにモータコントローラ235へ送信する。
ステアリングサーボ機構233は、この識別信号を受けて前輪225の方向を回転させるべく駆動軸231を制御する。同様にモータコントローラ235は、この識別信号を受けてモータ234を回転させる。モータ234の回転に応じて歯車238が回転し、この歯車238と相互に噛み合うとともに駆動軸239中央に固着された歯車239もこれに応じて回転し、ひいては駆動軸239をも回転することになる。その結果、後輪226を駆動させることができる。
即ち、この受信部236に送られてくる識別信号は、調理用容器20の載置位置に応じた座標(x1,y1)に基づくものである。このため、コイルユニット3の座標(x0、y0)が既知であれば、かかるコイルユニット3をいかなる角度方向へ、いかなる距離を移動させれば、座標(x1、y1)へ到達させることができるか容易に判別することができる。そして、この判別した角度方向となるようにステアリングサーボ機構233により駆動軸231を制御し、判別した距離に相当する回転量となるようにモータコントローラ235によりモータ234を回転させる。ちなみに、ステアリングサーボ機構233により後輪226の方向を操作するようにしてもよいことは勿論である。
なお、この第1の駆動制御方法では、図17に示すように駆動輪を4輪で構成する場合に限定されるものではなく、駆動輪を2輪で構成するようにしてもよい。図18は、2輪の駆動輪272で構成した場合におけるコイルユニット3の底面を示している。この図18に示すように、ターンテーブル271上に駆動輪272を設け、上述したステアリングサーボ機構233によりターンテーブル271を回転させるとともに、モータ238に基づいて駆動輪を回転させることになる。なお、コイルユニット3を安定した状態で支えるべく、球状のコロ273をターンテーブル271周囲に設けるようにしてもよい。
次に、第2の駆動制御方法につき説明をする。
この第2の駆動制御方法では、例えば図19に示すようなレール機構250によりコイルユニット3を移動させる。このレール機構250は、略平板状の底板28上にx方向へ延長されるようにして取り付けられた互いに平行な2本の第1のレール251,252と、この2本の第1のレール251,252にそれぞれ係合される第1のレール係合部材253、254と、両端が第1のレール係合部材253、253上面に固着され、y方向へ架設された第2のレール256と、この第2のレール256に係合する第2のレール係合部材257とを備え、第2のレール係合部材3の上面にコイルユニット3を搭載させる。
第1のレール係合部材253,254は、第1のレール251,252に沿ってx方向へスライドする。この第1のレール係合部材253,254は、送信されてきた識別信号に基づき駆動する図示しない駆動モータにより駆動制御されることになる。
また、第2のレール係合部材257は、第2のレール256に沿ってy方向へスライドする。この第2のレール係合部材257は、送信されてきた識別信号に基づき駆動する図示しない駆動モータにより駆動制御されることになる。即ち、この第1のレール係合部材253,254と、第2のレール係合部材256とは互いに直交する方向に移動させることができ、これによりコイルユニット3を任意の位置へ導くことが可能となる。
なお、この第2の駆動制御方法では、あくまで直交する2軸方向へ係合部材253,254,257をスライドさせる場合を想定しているが、これに限定されるものではなく、互いに異なる2軸方向へスライドさせるものであってもよい。
またこの第2の駆動制御方法では、コイルユニット3を互いに異なる2軸方向へ移動させる場合に限定されるものではなく、1軸方向のみ移動させる構成であってもよい。かかる場合には、調理用容器20の載置位置の自由度に関してもその1軸方向のみに限定されることになる。ちなみに、コイルユニット3を1軸方向のみに移動させる場合には、第1のレール251,252並びにレール係合部材253,254の構成、或いは第2のレール256並びに第2のレール係合部材257の構成の何れかが省略されることになる。
なお、この第2の駆動方法においては、レール251,252,256に係合されている係合部材253,254,257を図示しないモータを駆動源としてスライドさせる場合に限定されるものではなく、他のいかなる方法でこれをスライドさせてもよい。
次に第3の駆動制御方法につき説明をする。
この第3の駆動制御方法では、図20に示すような回転駆動機構280を駆動制御ユニット200として、コイルユニット3を移動させる。この回転駆動機構280は、コイルユニット3が搭載されるとともに、送信されてきた識別信号に基づいて図示しない駆動手段により長手方向に伸縮可能なアーム機構281と、送信されてきた識別信号に基づいてアーム機構281をW方向に回転させることにより、伸縮方向N1(N2)を調整する回転部282とを備えている。
アーム機構281は、一端が上記回転部282に取り付けられた長尺状の固定アーム283と、この固定アーム283に対して図中Q方向へスライド可能となるように取り付けられた長尺状のスライドアーム284を有する。これら固定アーム283とスライドアーム284は互いに係合可能な鋼製の枠材からなり、抵抗なくスムーズにスライドできる構成とされている。
スライドアーム284の先端には、コイルユニット3が搭載される。このスライドアーム284においてかかるコイルユニット3の搭載位置底部には、補助輪287を付設するようにしてもよい。この付設された補助輪287によりコイルユニット3の重量を担うことができ、ひいてはアーム機構281のスムーズな伸縮動作を実現することも可能となる。
回転部282は、底板28上に固着される基台291と、この基台291に対してそれぞれW方向に回転可能な回転ローラ292とを有している。この回転ローラ292は、識別信号に応じて回転する図示しないモータにより回転駆動するものであり、上述した固定アーム283の一端がこれに固着される。即ち、この回転ローラ292が図示しないモータにより回転駆動されることで、これに固着されたアーム機構281の伸縮方向N1(N2)を調整することができる。
ちなみに、この図20においては、2つのコイルユニット3をスライドさせる場合を想定しており、これに伴い2つのアーム機構281を実装することになるが、当然これに固着すべき2つの回転ローラ292a,292bを基台291上に取り付けることになる。即ち、この回転ローラ292は、いかなる数量で構成されていても、供給される識別信号に応じてそれぞれ独自に回転することが可能となる。
このように、本発明を適用したシステムキッチン1においては、調理用容器20が載置される天板13の下部において少なくとも調理用容器20が載置可能な位置に応じた空間19を形成し、かかる空間19内に上記コイルユニット3を移動自在に配置し、天板13上における調理用容器20の載置位置を上記第1〜第4の識別方法により識別するとともに、その識別した調理用容器20の載置位置へコイルユニット3を上記第1〜第3の駆動制御方法に基づき移動させる。
これにより、調理用容器20が天板13上の任意の位置に載置された場合であっても、その載置位置を自動的に識別し、かかる載置位置へコイルユニット3を移動させることができ、さらには、そのコイルユニット3により発生される高周波磁界により調理用容器20を誘導加熱することが可能となる。即ち、ユーザは、天板13上の好みの箇所に調理用容器20を載置するだけでよく、残りのコイルユニット3の位置調整は、全てシステムキッチン1が自動的に実行してくれることになり、配置のバリエーションを僅かに改変する場合においても、労力の負担を軽減することが可能となる。
また、本発明を適用したシステムキッチン1では、従来のシステムキッチンと比較して、コンロ領域Bや調理台ユニット領域Cの占有比率をユーザの意思に応じて可変とすることができ、調理をより効率的に実行することが可能となる。また、コンロ領域Bや調理台ユニット領域といった概念自体にとらわれることなく、よりフレキシブルな配置による調理を実現することが可能となる。
特に、ユーザによっては、加熱調理すべき調理用機器20の配置を日ごとに変えることも可能となり、より新鮮な気分で調理を楽しむことも可能となり、かかる天板13上の配置のバリエーションを楽しむ新たなアプリケーションを創出することも可能となる。
さらに、本発明を適用したシステムキッチン1においては、電磁誘導を利用して加熱調理する従来のコードレス機器と比較して、電源コードが天板13上に置かれることがなくなり、その煩わしさを解消することも可能となる。このため、電源コードの長さやシステムキッチンに配設されているコンセントの位置等により支配されることがなくなり、調理用容器における配置の自由度をより高めることも可能となる。また、磁気発生部本体をも天板13上に載置する必要もなくなることから、これによるスペースが大幅に占有されることもなくなり、他の機器における配置の自由度をより確保することも可能となる。
なお、上述した実施の形態においては、主として1の調理用容器20が天板13上に載置される場合を例にとり説明をしたが、複数の調理用容器20が天板13上において同時に載置される場合に関しても、その載置位置を上記第1〜第4の識別方法により識別するとともに、その識別した調理用容器20の載置位置へコイルユニット3を上記第1〜第3の駆動制御方法に基づき移動させることができる。かかる場合において、上記第1〜第3の駆動制御方法を実行するための各移動機構も空間19において複数にわたり配設されることになる。
なお、上述した駆動制御方法を実行した後においてマーカライト132を点灯させることにより、コイルユニット3の位置が調理用容器20の下方に到達しているか否かユーザに対して確認をとるようにしてもよい。その結果、マーカライト132が点灯している箇所が調理用容器20と離れている場合には、ユーザによる操作部57を介した指示により、上記駆動制御方法を再実行することも可能となる。
さらに、本発明を適用したシステムキッチン1では、上記第1〜第4の識別方法に基づいて識別した調理用容器20の載置位置に応じて使用可能な操作部57の位置を可変にするようにしてもよい。
かかる場合には、上述したリモートコントローラ110と同様の機能を備える操作部310を例えば図21に示すように、天板13の前面13aに配設する。この操作部310はこの前面13aにおいて複数組に亘り設けられてなる。操作部310は、それぞれ電源のON/OFF、設定温度の上昇、設定温度の下降を指示するための操作ボタン314a,314b,314cを一組として構成している。なお、この前面13aに設けられた操作部310を組ごとに左から310a,310b・・・,310f,・・とする。
このとき、調理用容器20の載置位置が、例えば座標(x3、y3)である旨が識別された場合には、その識別されたx座標上の位置(x3)に最も近接する操作部310eをユーザにより使用可能とするように制御する。
なお、天板13の前面13aにおいて、例えばLED等からなる表示部316を設けるようにしてもよい。そして、使用可能な操作部310をこの表示部316を介してユーザに知らせるようにしてもよい。例えば上述のように操作部316eが使用可能である場合には、かかる操作部316e付近に設けられている表示部316に情報を表示することにより、ユーザに対して操作部316eの操作を促すようにしてもよい。
これにより、ユーザは、調理用容器20の載置位置に最も近いところまで移動して操作部310の操作を行うことになるが、離れた所から操作する場合と比較して、より安全に加熱調理を行うことができ、事故を未然に防止することも可能となる。