実施の形態1.
図1~図39は、実施の形態1に係るビルトイン式の複合型加熱調理器を示すものである。なお、以下の説明では、特に矛盾が起こらない限り、単に「加熱調理器」と呼ぶ。
各図中、符号RTは、加熱調理器1の右方向を示し、LEは左方向を示す。またFTは前方を示し、BKは後方を示す。
この実施の形態1において「誘導加熱調理器」とは、誘導加熱原理に基づく加熱部を有したものをいう。加熱部が複数ある場合、その中に誘導加熱方式と異なる方式、例えば輻射式電熱源等の他の方式の加熱源があっても良い。
この実施の形態1において「複合型加熱調理器」とは、マイクロ波加熱源の他に、これと異なる加熱原理の加熱源を備え、それら2つ以上の加熱源によって、1つの加熱室において加熱調理ができるものをいう。例えば、1つの加熱室が、シーズヒータやマイカヒータ等の輻射式電熱源によって加熱され、またその加熱室の内部がマイクロ波によって加熱される形態は、「複合型加熱調理器」の1種である。
この実施の形態1において、加熱室の『加熱手段(以下の説明では「オーブン加熱源」という)』とは、加熱室の壁面を、その外側から加熱する加熱源、加熱室の内部空間に設置した加熱源の、何れでも良い。
また、誘導加熱方式で高温になる発熱部材を配置し、この発熱部材で加熱室の壁面を外側から加熱したり、又は加熱室内の空気を加熱したりする何れの形態であっても良い。
例えば、日本特許文献で、特開2017-74305号公報には、加熱室(グリル庫)内に配置されて被調理物を載置する調理皿を、下方から被調理物を加熱する第2の加熱体(誘導加熱コイル)と、側方から被調理物を加熱する第3の加熱体(誘導加熱コイル)と、を備えた加熱調理器が提案されている。
さらに、特開2016-85996号公報には、加熱室の下方には、電気絶縁体で上下に区画し、その電気絶縁体の下方空間に誘導加熱コイル(IHコイル)を設け、前記IH熱コイルの上に置いた調理プレートを誘導加熱する構成が提案されている。調理プレートは、誘導加熱可能な素材で形成され、例えば、鉄、ステンレス、カーボン含有率90%以上の炭素材、導電材料としてSi(シリコン)またはFeSi(フェロシリコン)を含有するセラミック素材等が用いられている。
また、誘導加熱方式で高温になる発熱部材を配置した代表的なものとして、特開2005-071695号公報には、IHコイルに高周波電流を供給して、IHコイルに高周波磁束を発生させ、その高周波磁束を加熱庫内に配設されたヒータと鎖交させて、ヒータに誘導電流が流れるようにし、ヒータ自身の電気抵抗によって発生するジュール熱で加熱庫内の調理物を加熱調理することが開示されている。
さらに、特開2013-247048号公報には、加熱室の内部に、電気的に閉回路のヒータを配置し、このヒータに、加熱室の外部に配設されたIHコイルから生じる高周波磁束を鎖交させ、ヒータを高温にして加熱室内に放熱させることが提案されている。なお、ここでいうヒータとは、電気的に閉回路を形成しており、ステンレスや高ニッケル合金等の丸棒や丸パイプを所定の形状に曲げて、両端を互いに溶接やロウ付け等によって接合して無端状に形成したものである。
この実施の形態1でいう「IHコイル」には、代表的なものとして、0.1mm~0.3mm程度の細い銅線やアルミ線を30本程度束にして、この束を複数本撚りながら渦巻状に巻いて構成したがある(例えば、日本の特許文献で、特開2012-79580号公報)。
また、別の特許文献である特開2018-32551公報には、平板状の導電材料で、環状に形成した環状導電体を、加熱コイルとして使用した誘導加熱調理器が提案されている。
これら何れの形態のものも誘導加熱源の主要部となる「IHコイル」に相当する。
この実施の形態1において、「連携調理」とは、1つの被調理物(食品、肉、野菜等を含む)に対する加熱場所が異なり、かつ独立して加熱動作条件が設定可能な2種類の加熱源を使用して行う調理をいう。
前記「連携調理」は、複数の加熱源を、時間差を置いて使用する場合が該当する。例えば1つの調理を完成させる過程で、マイクロ波加熱を終えて予備加熱したあと、被調理物を別の場所に移し、移動後の場所で、後述するIHコイル17Lで加熱して完成させる調理の場合は、ここでいう「連携調理」の一種である。
連携調理については、日本特許第5833699号公報や、同じく特許第5500944号公報において、ビルトイン式加熱調理器の形態で提案されている。
図1~図38において、本実施の形態1の加熱調理器1は、例えば流し台付きの厨房家具(システムキッチンという家具も含む)2に組み込まれる加熱調理器である。2Aは、厨房家具2に形成された設置口である。加熱調理器1には、後述するように商用電源99から、電圧200V、周波数50Hz又は60Hzの交流電力が供給される。
図1と図13に示しているように、本実施の形態1の加熱調理器1は、誘導加熱部を左右に2個所有している。
図13において、CL1は、上部ユニット100の左右の中心点を前後方向に通る中心線、ALは、トッププレート15が上部ユニット100の上面で露出している範囲を示している。
17HRは、中心線CL1から右側の範囲に設けた右加熱部であり、この真上で誘導加熱できる。
17HLは、中心線CL1から左側の範囲に設けた左加熱部であり、この真上で誘導加熱できる。このように、この加熱調理器1は、トッププレート15の上面に「加熱口」を2つ(2口)設けた調理器である。
なお、例えば、中心線CL1を跨ぐように、右加熱部17HRと左加熱部17HLの間に、更に別の誘導加熱部を設けても良い。
以下の説明では、「誘導加熱部」という場合は、参照符号として17Hを用いる。
金属製の鍋やプレート(焼き板)等の被加熱物を載置する望ましい位置を示すための、円形の位置マーク17LS、17RSを、トッププレート15の上面に設けている。前記円形の位置マーク17LS、17RSを見ることによって、加熱調理器1のユーザー(使用者)は本実施の形態1の加熱調理器1では、誘導加熱部17Hが左右に2個所あると認識できる。なお、後述する音声合成装置95の音声ガイドによってもユーザーは、誘導加熱部が左右に2個所あることを認識できる。
前記位置マーク17LS、17RSは、印刷によって形成している。位置マーク17LS、17RSの真下には、後述する誘導加熱コイル(以下、「IHコイル」という)17L、17Rが設置されている。なお、位置マーク17LS、17RSは、円形である必要はなく、例えば被加熱物を載置する望ましい位置の中心点だけを、図形や「+」のような記号、あるいは文字で示しても良い。
前記位置マーク17LS、17RSは、IHコイル17L、17Rによって誘導加熱できる目安的な位置を表示した円形マークであるため、当該IHコイル17L、17Rの最大外径よりも少し大きな直径で描かれている。
前記IHコイル17L、17Rの、何れか1つを、ラジエントヒータや赤外線ヒータ等の輻射式電熱源に代えても良い。または、前記IHコイル17L、17Rに加えて、輻射式電熱源を設けて、3口又はそれ以上の加熱部を保有する形態にしても良い。
この実施の形態1では、前記IHコイル17L、17Rを総称して、IHコイルと呼ぶ場合、符号は17を用いる。従って、「IHコイル」17と呼んだ場合には、左側のIHコイル17Lと右側のIHコイル17Rの両方と、何れか一方の場合がある。
この実施の形態1で、「誘導加熱源」9とは、前記IHコイル17と、後述するインバーター回路81R、81Lを含んだ構成をいう。
図4に示すように、加熱調理器1は、設置口2Aの口縁部上面2Pに載せて支持されている。厨房家具2は、この実施の形態1では図2に示すように、水道の給水口2Dから出る水を一時的に貯めることができる水槽2Cを備えている。2Bは、厨房家具2の所定の位置に形成した前方開口である。この前方開口は、加熱調理器1を組み込んだ際に、その前面構成部分(後述するドア114と前カバー112)を前方へ露出させるためのものである。
前記厨房家具2の前方開口2Bと設置口2Aの大きさは、標準的なものである場合、業界によって標準化が推進されているため、標準的な寸法で事前に形成されていることが殆どである。これについては、あとで詳しく説明する。
加熱調理器1を厨房家具2に組み込む通常の方法は、図3に示している通りである。この図3は、厨房家具2へ組み込む作業の、途中段階を示す模式図である。
図3のように、加熱調理器1の前方側(手前側)が下になるように傾けたまま、前記設置口2Aの中に加熱調理器1を入れ、その後、加熱調理器1の後方側を、実線の矢印BDで示すように下げると、加熱調理器1が厨房家具2の設置口2Aの周縁部に載せられた状態になる。
この後、ネジを締めて、後述する下部ユニット100の後部周縁部に設置してある固定金具(図示せず)を移動(回動)させ、当該固定金具を厨房家具2に強く押し当てた状態にして設置が完了する。なお、このような設置方法は既に広く採用されているので、詳しい構造については説明を省略する。
加熱調理器1の本体110は、図3に示しているように、上部ユニット100と下部ユニット200を上下に重ねた状態で、結合されて一体化されており、そのような一体化された形態でメーカから出荷されるため、図3の組込作業では、上記ネジで厨房家具2に固定されるのは、上部ユニット100のみである。固定金具(図示せず)を外せば、加熱調理器1の全体を厨房家具2から取り出すことができる。これにより、以後、点検や修理が厨房家具2の外側で行える。なお、上部ユニット100だけの範囲で「本体」と呼ぶ場合は、符号10を付して区別する。
厨房家具2に形成された設置口2Aは、図2に示すように平面形状が長方形である。但し、4つの角部は円弧状になっている。
設置口2Aの横幅寸法W1は、560mm~564mmである。また前後方向の寸法D1は、460mm~464mmに形成されている。
図1と図2において、3と4は、厨房家具2の表面を構成する表面材である。5及び6は、厨房家具2に加熱調理器1を組み込んだ場合、その左右両側に隣接する表面材である。
これら表面材3~6の前面は、厨房家具2の中に加熱調理器1を組み込んだ場合、その加熱調理器1の前面と、ほぼ面一状態となる。言い換えると、加熱調理器1を組み込んだ場合、表面材3~6と加熱調理器1は、統一された平面になっているような意匠感覚をユーザーに呈することができる。
図3において、8は、厨房家具2の内部を上下に複数の部屋に仕切る壁であり、この壁の下方は、例えば、台所用品や食料等の保存庫として利用する例が多い。なお、図2では壁8の図示を省略している。また、壁8が、着脱可能なように厨房家具2の内部に設置されている形態でも良い。
以上説明した構成により、厨房家具2の中に加熱調理器1を組み込んだ場合、厨房家具2の前面全体は、略一つの平面を呈する。ユーザーが厨房家具2を見た場合、全体に前面(正面)が、すっきりした統一感のあるデザインであると認識できるように設計されている。
厨房家具2と、加熱調理器1は、同じ製造業者が設計したものでなくとも良く、厨房家具は、流し台等の厨房家具、住宅設備業者が製造販売し、加熱調理器1は家電機器業者が製造販売している場合が多い。
図1と図2において、7は、表面材3~5の前面に印刷で表示した枠線であり、表面材3~5の前面に物理的な凹凸を形成するものではない。なお、光沢のある金属製の細い化粧板やテープ等を貼り付けて、枠線7の存在を示して高級感を出したものでも良い。
前記4種類の表面材3~6は同じものであっても良い。またこれら表面材3~6は、扉や引き出しのように、前後に移動するものでなくとも良い。例えば厨房家具2の表面に常に固定状態で存在し、全く移動しないものであっても良い。
前記4種類の表面材3~6は、その前面の色と表面形態(模様や光沢の有無、凹凸状態等)を統一させると、厨房家具2としての統一的意匠感が高まる。例えば、表面材4の正面全体が、単一の色や木目調で統一されている場合、表面材3の前面も、同じ単一の色や木目調デザインで統一すれば良い。
次に図4と図5について説明する。図4は、図1の厨房家具2と加熱調理器1の寸法関係を示す縦断面模式図である。図5は、図4に示す厨房家具2の前方の一部を拡大して示す縦断面模式図である。
厨房家具2等は、日本では「長期使用住宅部材標準化推進協議会」(略称:長住協)によって住宅部品・部材の標準(共通)化が推進されている。
前記「長住協」が制定された「IHクッキングヒーター(ビルトイン)に関する「長期使用対応部材基準書」によれば、当該IHクッキングヒーターを取り付けるカウンタートップ(厨房家具2)が具備すべき条件として、以下の通り規定されている。
(1)設置口2Aの寸法は、横幅寸法W1が、560mm~564mm。また前後方向の寸法D1は、460mm~464mmであること。
(2)前下がり部2Fの高さ寸法C1は、40mm以下であること。
(3)前下がり部2Fの奥行(前後方向)寸法D3は、45mm以下であること。
(4)前下がり部2Fの天井部奥行(前後方向)寸法D2は、58mm~70mmであること。
さらに、前記「長期使用対応部材基準書」によれば、ビルトイン式IHクッキングヒーター(誘導加熱調理器)の外形寸法も、以下の通り規定されている。
(1)トッププレート下端から前面パネル下端までの高さ寸法H2は、215mm~223mmであること。
以上のような各種条件を満たすように本発明の加熱調理器1は設計されている。
図4において、A1は、後述するトッププレート15の前後方向の寸法であり、510mmである。A2は、本体110の前面を覆う前カバー112前面から、本体110の最後尾までの前後方向の最大寸法であり、498mmである。A3は、本体110の後部に形成した傾斜部111から前記前カバー112の前面までの前後方向の寸法であり、451mmである。
図4において、113は、後述する加熱室であり、下部ユニット200の内部に形成されている。前記加熱室113の前面には、フライパン等の調理器具や、被調理物等を出し入れできる開口113A(図10参照)が形成されている。その開口113Aは、ドア114(図10参照)によって開閉自在に覆われている。
ドア114の前面と、前記前カバー112の前面は、面一となるように設計されている。そして前記ドア114は、その前面が、取っ手部115を除いて前記前カバー112前面に面一となるように、本体110にヒンジ176とアーム116(図示せず)により、回動自在に支持されている。このため、ドア114は、その下端部を支点(回動中心)として前方に開く「前開き」ドアとして機能する。
図4において、H1は、加熱調理器1の最大高さ寸法である。つまり、前記トッププレート15の上面から下部ユニット200の底面までの寸法であり、227mmである。
図4において、H2は、トッププレート15下端から前カバー112の下端までの高さ寸法であり、215mm~223mmである。H3は、前記前カバー112又は前記ドア114の上端から下端までの寸法であり、171mmに設定してある。H4は、前記トッププレート15の高さ方向の寸法であり、11mmである。
次に実施の形態1の加熱調理器1の構成について、図7~図17を参照しながら詳細に説明する。
図6は、加熱調理器1の平面図である。図7は、加熱調理器1を、図6のY-Y線で切断した場合の縦断面図である。図8は、加熱調理器1を、図6のZ-Z線で切断し、冷却風の流れを示した縦断面図である。図9は、加熱調理器1を、図7のW-W線で切断した場合の縦断面図である。図10は、加熱調理器1を、図6のY-Y線で切断した場合の縦断面図である。図11は、加熱調理器1を、図7のV-V線で切断した場合の縦断面図である。図12は、加熱調理器1を、図7のX-X線で切断した場合の縦断面図である。図13は、加熱調理器1の上部ユニットの操作部を説明するための簡略平面図である。図14は、加熱調理器1の上部ユニット100内部の冷却風の流れを示す簡略横断面図である。図15は、加熱調理器1の主要な制御関係部分を示すブロック図である。図16は、図1の誘導加熱調理器の主要な冷却風路を示す説明図である。図17は、図1の誘導加熱調理器のインバーター回路の詳細を示す回路図である。
(上部ユニット100)
この実施の形態1では、前記上部ユニット100単体でも加熱調理器1として機能する。そのために、商用(交流)電源99は上部ユニット100だけに供給される。但し、商用電源99にプラグ106A(図示せず)を介して直接接続するための電源コード106(図示せず)は、下部ユニット200から加熱調理器1の外部に引き出される。
上部ユニット100は、本体10の外郭を構成する箱形形状の上部ケース(上筐体)16と、この上部ケースの上部に固定された金属製の額縁状の補強板(支持枠)22(図7参照)と、この補強板22の上面の、後部を除く略全体を覆うように、その上面に重ねて取り付けられた耐熱強化ガラス又は結晶化ガラス製のトッププレート15とから構成されている。言い換えると、上部ユニット100の本体10は、外殻となる上部ケース16とトッププレート15と、をそれぞれ備えている。
前記上部ケース16は、1枚の亜鉛鋼板等の金属製薄板をプレス加工して形成される。または複数枚の金属製薄板をスポット溶接やネジ等で接合して箱形形状に形成される。実施の形態1では、後述するように1枚の金属薄板の周辺部を、垂直に折り曲げて、底壁(底面)16S、後方壁16Bや前方垂直壁16F、側方垂直壁16L、16Rを、それぞれ一体に形成している。
前記上部ケース16は、別の形態で形成しても良い。例えば、底壁(底面)16S、後方壁16B及び前方垂直壁16Fの3つの部分だけを1枚の金属板をプレス加工して形成する。これとは別に形成した2つの側方垂直壁16L、16R、1枚の後方壁16B及び前方垂直壁16Fを、後からネジやスポット溶接等で取り付けて、最終的に上面全体が開口した箱形形状にする。
トッププレート15は、全体の厚みが略均等な平板状に形成されており、その下面全体は可視光線が透過しない塗装面で覆われている。このため、トッププレート15の上方からは、その下方の機能部品、例えばIHコイル17L、17Rが視認できないようになっている。
IHコイル17Rは、平面形状がドーナッツ状形状を有している。そしてこのIHコイル17Rの最大火力は3200Wである。最大外形寸法(直径)は168mmである。
また、他方のIHコイル17Lも同様にドーナッツ状形状を有している。このIHコイル17Lの最大火力は3200Wである。最大外形寸法(直径)は168mmである。なお、大きな鍋やフライパン等の被加熱物にも対応できるように、180mm程度まで直径を拡大しても良い。
18は、前記上部ケース16の後部に横に長く形成した開口(図7参照)、19は、この開口の上方に設置される排気カバーであり、通気性を持たせるために鎧戸又は多数の貫通孔が形成されている。20は、前記排気カバー19と開口18の間で形成される排気口である。
22は、前述したように、上部ケース16の後部上端部に固定された金属製の補強板である。この補強板22は、上部ケース16の後縁部横幅と同等の長さを有している。21は、補強板22の上面に固定された金属製の飾り枠である。この飾り枠は、上部ケース16の後方に張り出しており、また上部ケース16の横幅よりも長く形成されている。つまり、上方から見た場合、排気カバー19の後方と左右両側を一連に囲んでいるように見える(図6参照)
25は、金属製の飾り枠であり、図6に示すようにトッププレート15の左右端面と前方の端面を、外部からの衝撃から保護するように設置されている。
26は、弾力性に富む素材、例えばシリコンゴム等から形成された環状のクッション材であり、前記飾り枠21、25の下面全周に貼りつけてある。これにより上部ユニット100は、このクッション材26を介して厨房家具2に載置される。なお、トッププレート15の左右端面と前方の端面の3つの部分(辺)又は後方の端面を含む4つの部分(周囲4辺)を、1つの飾り枠25で囲むようなデザインにしても良い。
図6と図13において、31Lは左側表示部、31Rは、右側表示部である。30は、統合表示部であり、トッププレート15の前方部で、かつ左右中心部の下方に設置されている。31Lは、左側表示部であり、31Rは右側表示部である。これら左右表示部31L、31Rも、トッププレート15の前方部左側と、右側の下方に設置されている。
前記統合表示部30と、左右の表示部31L、31Rは、液晶表示画面(図示せず)を主体に構成されており、これら統合表示部30、左右の表示部31L、31Rは、入力操作部40に左右方向に設置している水平な操作基板41の上に設置されている。なお、これら統合表示部30、左右の表示部31L、31Rの真上の位置に対応して、前記トッププレート15の下面には、前記したような可視光線を遮断する塗装面を設けていない。このため、統合表示部30、左右の表示部31L、31Rの表示内容は、トッププレート15の上方から視認できる。
前記統合表示部30は、加熱調理器1の共通的な情報や警報を表示する。例えば、この加熱調理器1の3種類の加熱源の選択結果や、それら加熱源の動作状態を示す注意情報、警告情報を表示する。すなわち、前記統合表示部30は、誘導加熱源17と、後述するオーブン加熱源188と、マイクロ波加熱源189の、3つの加熱源に関係する情報を表示する場合があるため、統合表示部30と称している。
左側表示部31Lは、左側のIHコイル17Lの動作に関する情報を表示する。例えば、後述するように、タイマー調理をセットする場合には、1分単位で設定できるが、その設定時間を表示できる。また加熱動作を開始してからの経過時間や、タイマー設定時間が終了するまでの「残時間」も表示する。更に、予熱調理を選択した場合には、自動的に設定された温度(デフォルト温度)や、現在の温度などを表示する。なお、上記「残時間」は、10分未満になった段階から9分59秒という表示が行われ、1秒単位で残時間表示される。
同様に、右側表示部31Rは、右側のIHコイル17Rの動作に関する情報を表示する。この右側表示部31Rは、基本的に左側表示部31Lと同様に、左側のIHコイル17Lのタイマー設定時間や、予熱温度、経過時間等の各種情報を表示する。
図13において、40は、入力操作部である。この入力操作部40は、前記飾り枠25の最前部後方においてトッププレート15の前端縁部に沿って、横に長く配置されている。
前記入力操作部40は、横に長く、かつ帯状に設置してある操作基板41の上面に配置されている。
前記操作基板41には、各種の電子部品類と、加熱調理器1の制御全般を司る統合制御装置MCを実装している。この入力操作部40については後で詳しく説明する。操作基板41は、電気絶縁性に富むプラスチック材料で形成されている。前記統合制御装置MCは、上部ユニット100のインバーター回路基板80に実装されている。
前記操作基板41の下方には、この操作基板41と空隙を置いて対面するように、平板状の補助支持板(図示)が上下に重なるように設置されている。つまり、間隔を置いて対面する上下2層(2枚)構造になっており、できるだけ多くの電気部品や回路を実装できるようになっている。
F2は、後述する第2冷却ファン61からの冷却風が流れる第2風路であり、後述するカバー70と、前記上部ケース16の前方にある前方垂直壁16Fとの間の空間によって形成される(図7、図14参照)。
図7において、16Bは、前記上部ケース16の後方垂直壁である。後述する下部ケース101と上部ケース16は、複数個所において、それぞれネジ51によって一体化されている。
図7から明らかなように、上部ケース16の後方垂直壁16Bと下部ケース101とは、20mm~30mm程度の範囲で、緊密に対面しており、その対面部分を前記ネジ51によって固定されている。
図7において、104は深さも平面積も大きな空洞である。この空洞104は、上部ケース16の底壁(底面)16S下面から、後述する下部ユニット200の後部の底板101U上面までの空間である。BHは、その空洞104の深さ(垂直方向)寸法を示している。
この図7に示す構造から明らかなように、この実施の形態1では、前記トッププレート15によって上面の開口部が閉鎖された扁平な(本体10の外殻を構成する)上部ケース16を有している。そして、この上部ケース16を後述する下部ケース101の上に載置した状態では、当該上部ケース16の底壁16Sが前記下部ケース101の天井面を兼ねている構成である。
図7で説明したように、上部ケース16の底壁16Sと、下部ケース101の底板101Uとの対向間隔が最も大きい空間が、前記空洞104である。
前記空洞104には、後述するマイクロ波加熱装置120の一部を構成する導波管123が、前記加熱室113の背後において左右方向に長く配置されている。
さらに導波管123よりも後方には、マイクロ波加熱制御部130に電力を供給する回路部品を実装した電源回路基板127の収容用ケースC154が、左右方向に長く配置されている。
マイクロ波加熱制御部130は、マイクロコンピューターを主体に構成されており、前記ケースC154の内部の、前記電源回路基板127に実装している。言い換えると、ケースCの内部に格納された電源回路基板127は、マイクロ波加熱制御部130を実装した制御基板を兼ねている。なお、このような制御基板と電源回路基板127を、別々に設けても良いが、この実施の形態1では、設置スペースも考慮し、一体化している。
図7において、101Tは、下部ケース101の前方側に設けた金属板製の前方水平壁である。この前方水平壁101Tは、下部ケース101の前板101F上端を後方に折り曲げて形成したものである。
198は、金属製板から形成された連結用の支持金具であり、水平部198Hと垂直部198Vとを備えている。そして、その水平部198Hは、前記下部ケース101の前方水平壁101Tに固定されている。
前記支持金具198の垂直部と、上部ケース16の前方垂直壁16Fとは、20mm~39mm程度の範囲で、緊密に対面しており、その対面部分をネジ51F(図示せず)によって固定されている。なお、図8、図9及び図10では、ネジ51Fを図示していない。
上部ケース16と下部ケース101の一方又は双方が、薄い金属製板で形成された箱状であっても、前記ネジ51、51Fの締結によって、上部ケース16と下部ケース101とは、強固な1つの箱形構造物になる。言い換えると、箱形形状の上部ケース16の外形寸法は、前記下部ケース101の内側寸法よりも僅かに小さいので、下部ケース101に上部ケース16が、20mm~30mm程度の範囲(深さ)で嵌合している。なお、ネジ51、51Fに代えて、ボルトとナット等のような、他の締結手段でも良い。
上部ケース16と下部ケース101が、軽くなるように薄い金属製板で形成されていても、強固な1つの箱形構造物になっていることは、後述するドア114の部分におけるマイクロ波漏洩防止に有益である。
特に上部ユニット100のトッププレート15は、厨房家具2の上面に支持されて下部ユニット200の全荷重を受けるので、上部ケース16と下部ケース101の全体が歪んだり、変形したりしない構造にすることは重要である。なお、前記クッション26が、前記飾り枠21、25の下面全周に貼りつけてあるため、実際に厨房下部2の上面に接触するのは、前記クッション材26である。
図7において、80は、インバーター回路基板であり、上部ケース16の中央部に設置されている。前記インバーター回路基板80は、平面形状が左右方向に長い長方形である。
前記インバーター回路基板80の上に実装されているインバーター回路81は、左側のIHコイル17Lに対して高周波電力を供給するインバーター回路81Lと、前記右側のIHコイル17Rに対して高周波電力を供給するインバーター回路81Rと、から構成されている。これらについては、後で図17を参照しながら説明する。
前記インバーター回路基板80の上面には、アルミニウム製のヒートシンク(放熱シンク)82が合計4個取り付けられている。前記ヒートシンク82は、図7に示すように2つの放熱フィン82F同士が向かい合うように、2列並べ、かつ数mm~10mm程度まで接近させて設置されている。
前記ヒートシンク(放熱シンク)82には、図7から分かるように、互いに向かい合っている側と反対側にある傾斜面の上に、前記インバーター回路81L、81Rの一部を構成する電力制御用スイッチング素子83が取り付けてある。そのため、電子部品83の動作時に発生する熱を、放熱フィン82Fの周囲を通過する冷却風によって冷却できる。
前記電力制御用スイッチング素子83は、例えばIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)である。一方の前記インバーター回路81L側の電力制御用スイッチング素子83は、前後2列あるヒートシンク82の後方側、また他方のインバーター回路81R側の電力制御用スイッチング素子83は、前後2列あるヒートシンク82の前方側に取り付けてある。なお、この逆の側に取り付けるようにしても良い。
図7において、70は、前記インバーター回路基板80の上方全体を覆う金属製薄板又はプラスチック材料から形成されたカバーである。このカバー70の左右両側端部は開放されており、図14に示すようにカバー70の左側端面側が、後述する冷却風RF1の入口FIとなり、カバー70の右側端面側が冷却風RF1の出口FOを構成する。
前記カバー70は、前記IHコイル17L、17Rの最も下面との間に一定の空隙(直線距離で、数mm程度)を確保している位置にあり、また前記ヒートシンク82の最上面とも一定の空隙を確保する大きさである。
前記カバー70が、IHコイル17Lの真下にあって、かつそれと接近している状態になるから、カバー70に防磁効果を期待する場合には、カバーをアルミニウム等の金属製にして、更に上部ケース16に電気的に繋がるようにすると更に良い。例えば、カバー70を取り付けるためのネジ(図示せず)が、直接カバー70のネジ孔まで届いている状態にする。なお、上部ケース16は、後述する下部ケース101と金属製ネジ等で連結されるので、下部ケース101に設けているアース端子(図示せず)にも電気的に繋がり、アースにノイズが吸収される。このようにすると、カバー70の防磁効果により、インバーター回路基板80の上に実装した各種電気部品に対するノイズ遮蔽効果が期待できる。
また、カバー70をプラスチック材料で射出成形するようにすれば、カバー70の断面形状も比較的自由に決定できる。このため、第1風路F1を流れる冷却風RF1の流れ(方向)を調整することもできる利点がある。例えば、特にヒートシンク82の特定部位へ多くの冷却風RF1が流れるように、リブ状の風向板等をカバー70の下面に、一体に形成しても良い。
前記、コイルベース17Cは、2つのIHコイル17L、17Rの個々に設けても良いし、2つのIHコイル17L、17Rに共通に1つの構造物で形成しても良い。
前記、コイルベース17Cは、カバー70の上面に直接載せられて、カバー70にネジ等の固定具で固定する構造である。あるいは、カバー70の上面との間に圧縮バネ等の弾性体を介在させて、前記トッププレート15側に常に押し上げられた形で支持された構成である。これら支持構造の詳細な説明は省略する。何れにしても、IHコイル17L、17Rは、トッププレート15の裏面(下面)との対向間隔(距離)が、長期間に亘り変化しない。このため、誘導加熱調理時においては、トッププレート15の上に載置される被加熱物Nである調理容器とIHコイル17L、17Rとの距離が変化しないので、IHコイル17L、17Rに高周波電流を供給するインバーター回路81L、81Rに発生する高周波電圧および高周波電流の変化を抑制でき、誘導加熱性能を安定化することができる。
前記IHコイル17L、17Rは、1つの水平線(第2の水平線HL2)の上にある。言い換えると、第2の水平線で確定される1つの平面(第2の水平面HL2)上に存在している(図9参照)。
前記カバー70は、IHコイル17L、17Rの下方に配置されている前記コイルベースと、ヒートシンク82の両方に接触していない位置にある。
前記カバー70は、このカバー70の平面形状よりも大きな平板状の支持板71の上面に密着するように固定されている。そしてインバーター回路基板80とカバー70との間には、図7、図14に示しているように左右方向に長い第1風路F1が区画形成される。なお、支持板71は、絶縁性材料から形成されている。
図7と図10において、102は、下部ユニット200からの排気流が案内される金属製の排気ダクトである。この排気ダクト102の排出口側末端部102Eは、後述する仕切り板52と上部ケース16の後方垂直壁16Bとの間に形成された空隙GP1の中を貫通している。
図9において、16Aは、前記上部ケース16の側方垂直壁16L、16Rの上端部から一連に、外側へ直角に折り曲げて形成された水平なフランジである。
101Aは、後述する下部ケース101の側方垂直壁101L、101Rの上端部から一連に、外側へ直角に折り曲げて形成された水平なフランジである。
上部ケース16と、下部ケース101は、前記したフランジ16Aがフランジ101Aの上に重なっている。この重合状態で、上部ケース16側壁面と下部ケース101の側壁面とは、前述したネジ51(図7参照)で固定されている。そのためネジ51による固定と、このフランジ16Aとフランジ101Aとの密着固定によって、上部ケース16と、下部ケース101は、強固な一体構造物となっている。言い換えると、上部ケース16の総重量は、下部ケース101のフランジ101Aの上面が受けるので、仮に上部ケース16と、下部ケース101が、薄い金属製板で形成された場合でも、一体化された状態では、機械的な強度を備えた箱形構造物にできる。
フランジ16Aとフランジ101Aとが重なった状態で固定する手段は、前記ネジ51ではなく、ボルトとナット等のような、他の締結手段でも良い。なお、前記フランジ16Aとフランジ101Aは、厨房家具2の上面には接触しない。これらフランジ16Aとフランジ101Aは固い材料(金属)で形成されているので、厨房家具2を傷つける懸念がある。またこのフランジ16Aとフランジ101Aが厨房家具2に当たってしまうと、クッション材26を圧縮したまま設置することができないことになる。クッション材26が密着した状態になっていないと、水等の侵入防止効果を損なう懸念がある。
図18に示しているように、上部ケース16の左側にある側方垂直壁16Lの近くには、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61が、それぞれ設置されている。これら第1冷却ファン60、第2冷却ファン61の回転翼(図示せず)の中心部にある回転軸(図示せず)は、鉛直(垂直)方向に伸びており、前記回転翼は、1つの水平面(第1の水平面HP1)上を回転する。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、遠心ファン(ブロワー)が採用されている。この理由は、静圧が高く、高実装密度の空間で通風抵抗が大きいことを考慮したためである。なお、一般的に遠心ファンには、吸込み口が1個所で、吹き出し(吐き出し)方向が全半径方向となっているタイプも存在する。しかし、この実施の形態1のものは、吹き出し方向が1つだけのタイプである。
図18において、60Aは、第1冷却ファン60のファンケース60Cと一体に形成された吹出口、61Aは、第2冷却ファン61のファンケース61Cと一体に形成された吹出口である。吹出口60Aは、前記インバーター回路基板80に向けられている。また、吹出口61Aは、前記前記操作基板41の下方にあるホルダー42の方向に向けられている。つまり2つの吹出口60A、61Aは、何れも共通な水平面(HP1)上に存在し、かつ右方向に向けられている。この水平面HP1は後述する第1の水平面である。
前記ホルダー42は、絶縁性のある材料、例えばプラスチック材料で形成されている。このホルダー42は、入力操作部40の全域と前記統合表示部30、右側表示部31R、左側表示部31Lの範囲に対応した大きさを有し、左右方向に長く帯状に設けてある。
前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、全く同じ構造、同じ形状、同じ「定格仕様」であり、平常な誘導加熱動作時は、同じ回転数で運転されることを想定している。しかしながら、本実施の形態1では、IH制御装置90によって回転数を異ならせて、送風量を変化させている。例えば、IHコイル17L、17Rに加える駆動電力を大きくして加熱能力を上げる場合や、前記統合表示部30や入力操作部40の温度が平常時よりも上昇していることが検知された場合、冷却効果を上げるために回転数を増加して、送風量を増加させる場合がある。また、後述する「うなり音」対策によって第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、互いに回転数を異ならせて運転する場合がある。
定格仕様とは、例えば、定格電圧、使用電圧範囲、定格電流、定格回転数、最大風量、最大静圧、音圧レベル等である。使用電圧範囲の中で印加する電圧又は電圧印加時間(オンDUTY時間)を変化させれば、回転数を変化させることができる。
これに対し、本実施の形態1では、PWM制御(Pulse Width Modulation)方式を採用しており、入力信号(DCレベル)の大きさに応じて、パルス幅のデュ-ティ・サイクル(パルス幅のHとLの比)を変え、第1冷却ファン60のモータを制御している。このPWM制御は、第2冷却ファン61でも採用している。
前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、回転翼(図示せず)の周囲をファンケース60C、61Cで囲った構成であり、そのファンケースの下面には、円形の吸込口(図示せず)を設けている。
前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の、それぞれの前記吸込口(図示せず)の直下になる位置には、多数の丸孔又は楕円形の孔から構成される通気孔64(図9参照)がある。この通気孔64は、下ケース16の底壁面に形成してある。この通気孔64は、後述する下部ケース101の左側側壁面に形成した通気孔164に連通している。そのため、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、その通気孔164を介して外部の空気を導入できる。
図9において、165は凹部(吸気ダクト)であり、前記通気孔64を下部ケース101の通気孔164に直接連通させるために設けている。この凹部165は、左側から一定の深さ(寸法)DP1だけ凹ませて形成してある。なお、この寸法DP1は99mmである。
図9に示すように、前記第1冷却ファン60の吹出口60Aの上下方向の中心点と、前記ヒートシンク82の上下方向の中心点、及び後述する電源回路基板55の上面に実装された電気部品85の上下方向の中心点は、1つの水平線HL1の位置にある。言い換えると、第1冷却ファン60の吹出口60Aから吹き出された冷却風RF1が、真っすぐに右側方向に進行すると、ヒートシンク82と電気部品85に到達するような位置関係になっている。この水平線HL1で確定される水平面を、以後、「第1の水平面」HP1と呼ぶ。
前記電源回路基板55には、商用交流電源99からの交流電力が、後述するフィルター回路基板54を介して供給される。そして、この電源回路基板55において、交流から直流に変換する。そのため、交流から直流に変換するためのダイオード、トランス57(図示せず)等の電気部品85が実装されている。
インバーター回路基板80のヒートシンク82の温度が異常に上がった場合、誘導加熱調理を制御するIH制御装置90は、前記IHコイル17L、17Rの加熱量を低減させる。なお、この動作に加えて第1冷却ファン60の単位時間あたりの送風量を、一時的に増加させるようにしても良い。ヒートシンク82の温度は、サーミスタ等のような接触型の温度センサーTS8、TS9によって検知している。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61を、全く同じ構造、同じ形状、同じ定格仕様で揃えた場合、製造時の調達コストを安価にできる。
同一仕様の冷却ファンを並列配置し運転させると、うなり音が発生する可能性が高い。このため、この実施の形態1では、うなり音対策として、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の回転数は、異なる値になるような制御を行っている。
図18において、52は、上部ケース16の後部において左右に長く設置している金属製の仕切り板であり、上部ケース16に固定されている。この仕切り板52は、上部ケース16の内部空間を、前後に区画するように垂直に伸びた壁となっている。なお、ここでいう「区画する」とは、空気の流通を完全に遮断するような厳密な遮蔽を意味していない。仕切り板52の上端面を越えて、前記第1冷却ファン60、第2冷却ファン61からの冷却風が後方へ流れることを、ある程度抑制できる程度であれば良い。
図18において、52Aは、前記仕切り板52の左半分に形成した排気窓、53は、その排気窓52Aの前方側を覆うように設置した排気口板であり、多数の貫通孔53Aが形成され、仕切り板52の排気窓52Aに向かう冷却風が通過するようになっている。なお、この排気窓52Aを通過した冷却風は、前記排気カバー19を介して加熱調理器1の外部空間へ放出される。
図18において、LFは、IHコイル17L、17Rの設置空間CKから排気される排気の範囲(横幅寸法)を示した排気口寸法である。この排気口寸法は、前記貫通孔53Aの形成範囲と、排気窓52の横幅寸法によって定まる。排気窓52の横幅寸法の方が貫通孔53Aの形成範囲よりも狭い場合(図18に示した形態)では、その排気窓52の横幅寸法によって排気範囲LFが定まる。
図18において、54は、上部ケース16の後部の右隅部に配置したフィルター回路基板である。このフィルター回路基板では、商用電源99からの電源の中のノイズを除去して出力端子側へ供給し、また逆にノイズを、入力端子側にある商用電源側へ流出(逆流)させないようにしており、抵抗とインダクタ(チョークコイル)、ライン間コンデンサー、リレー、電流ヒューズ等の電気部品(図示せず)を実装している。なお、商用電源99にプラグを介して接続された電源ケーブル(図示せず)の末端部は、後述する下部ユニット200の内部を経由して、このフィルター回路基板54に接続されている。
前記電源回路基板55は、前記インバーター回路基板80を挟んで前記第1冷却ファン60と反対側(右側)にある。言い換えると、この電源回路基板55は、前記インバーター回路基板80とカバー70との間に形成された第1風路F1の出口FOの右にあるため、第1風路F1から出た直後の冷却風によって冷却される。
図18において、CL3は、左側のIHコイル17Lの中心点を前後方向に通る中心線、CL4は、右側のIHコイル17Rの中心点を前後方向に通る中心線である。
CL5は、2つのIHコイル17L、17Rの各中心点を左右方向に横切る中心線である。CL2は、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61における、各回転翼(図示せず)の回転中心を前後方向に貫通する中心線である。この図14から明らかなように、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、前後方向の一直線上で並んでいる。
図18において、RF1は、第1冷却ファン60から吹出された冷却風を示す。RF2は、第2冷却ファン61から吹出された冷却風を示す。
RF3は、第1風路F1の出口FOから出たあとの冷却風を示す。また、RF4は、第2風路F2を通過したあとの冷却風を示す。なお、出口FOから出たあとの冷却風RF3と第2風路F2を通過したあとの冷却風RF4は、その一部が途中で合流する。つまり、排気口板53の貫通孔53Aに至る前に、冷却風RF1と冷却風RF2の一部分は合流する。
図18において、GP1は、仕切り板52と上部ケース16の後方垂直壁16Bとの間に形成された空隙である。この空隙GP1の前後方向の幅は、30mm~50mm程度である。
(入力表示部)
次に図14に戻り、前記入力操作部40の主要部について説明する。
図14において、40は、トッププレート15の前方側上面に形成された入力操作部であり、以下述べるように、使用者が指等で軽く触れた時の静電容量の変化を利用して入力できる方式の各種入力キーを、横方向に一直線状に配置している。
入力操作部40は、右操作部40R、中央操作部40M及び左操作部40Lの3つを含んでいる。98は、後述する商用電源99を供給すること、及び遮断することができる主電源スイッチ97の操作ボタン又は操作キー(タッチ入力式)である。この操作ボタン又は操作キー98は、右操作部40Rの右端部に隣接した位置に配置されている。なお、この操作ボタン又は操作キー98は、入力操作部40の範囲内(図14参照)にあるという前提で以下説明する。
前記主電源スイッチ97は、図18と図19に示すように上部ユニット100のフィルター基板54に取り付けてある。商用電源99は、電源回路基板55、インバーター回路81、下部ユニット200の電源回路部(図19では図示せず)に供給されている。
図14と図16に示すように、前記右操作部40Rには、合計5つのタッチ式入力キー43R1~43R4、44Rを配置してある。これら入力キー43R1~43R4、44Rは、以下に述べるように、1つ又は複数の入力機能が割り当てられている。
43R1は、右加熱部17HRでの加熱を選択する入力キーである。また、加熱動作を開始した右側のIHコイル17Rの動作を、停止することができる。このため、最初に1回押した場合には、右加熱部17HRの選択機能を発揮し、その次に1回押した場合には、瞬時に加熱動作の停止指令を発する機能がある。このように、この入力キー43R1は、1回タッチする毎に、後述するIH制御装置90に対して指令することができる内容が自動的に切り替わる。
42R2と42R3は、誘導加熱時の火力(消費電力)を指定する1対の入力キーである。
左側の入力キー42R2にタッチすると、その操作の度に、1段階ずつ火力が下げられる。例えば、3200W(定格最大火力:火力レベル9)である場合、この入力キー42R2に1回タッチすると、2500W(火力レベル:8)になる。
右側の入力キー42R3にタッチすると、その操作の度に、1段階ずつ火力が上げられる。例えば、2500W(火力レベル8)の火力である場合、この入力キー42R3に1回タッチすると、3200W(定格最大火力:火力レベル9)を選択できる。
43R4は、タイマー調理の制御メニューを選択する入力キーである。タイマー調理とは、ユーザーが調理時間を設定すると、その設定時間の間だけ誘導加熱動作が行える制御方法である。例えば、10分間を指定してタイマー調理を開始した場合、10分経過時に所定の表示が右側表示部31Rで行われ、また後述する音声合成装置95からも、音声で調理終了の報知が自動的に行われる。設定時間(例えば、10分間)の経過時には自動的に誘導加熱が停止するが、設定時間経過前に延長操作をして、誘導加熱時間を延長することもできる。
44Rは、誘導加熱調理の「制御メニュー」を選択するタッチ式入力キーであり、タッチ操作する毎に複数の制御メニューの中から1つを選択できる。なお、「制御メニュー」とは、図25に示しているような、例えば、湯沸し、煮込み、揚げ物(自動調理)等のように、誘導加熱源9の制御モード、言い換えると制御の種類である。つまり、湯沸しや煮込み、揚げ物等は、IHコイル17Rの駆動時間や、火力、火力を変化させる駆動パターン等が異なるのである。
右加熱部17HRのための「制御メニュー」とは、誘導加熱して得られる最終的な調理物の名称や食材の名称とは異なる。例えば「ハンバーグ」や「天ぷら」は調理物の名称であり、ここでいう「制御メニュー」ではない。言い換えると、「制御メニュー」とは、調理を完成させるまでの加熱の種類、調理方法や条件等を総括的に表現したものとも言える。
次に図14と図17を参照しながら、左操作部40Lについて説明する。左操作部40Lには、合計5つのタッチ式入力キー43L1~43L4、44Lを備えている。
43L1は、左加熱部17HLによる調理を選択する入力キーである。また、左側のIHコイル17Lの加熱動作が開始された後は、その動作を随時停止させることができる。つまり、最初に1回押した場合には、左加熱部17HLを選択する機能を発揮し、誘導加熱が開始されてから次に1回押した場合には、瞬時にその加熱動作を停止できる。
43L2と43L3は、前記右操作部40Rの入力キー43R2~43R3と同様に、左加熱部17HLにおける火力(消費電力)を指定する1対の入力キーである。前記右操作部40Rの入力キー43R2、43R3と同様に、1回タッチする度に、規定されている火力値のデータテーブルの中で、1段階上げた火力を選択し、又は1段階下げた特定の火力を選択できる。
43L4は、タイマー調理を選択する入力キーである。この入力キー43L4は、右操作部40Rの入力キー43R4と同様に、誘導加熱調理の時間を指定することができる。また、タイマー調理終了時には、入力キー43R4と同様に、左側表示部31Lにおいてタイマー調理の終了が表示され、音声合成装置95によっても報知される。
44Lは、誘導加熱調理の「制御メニュー」を選択できるタッチ式入力キーである。前記右操作部40Rの入力キー44Rと同様に、複数の「制御メニュー」の中から1つの制御メニューを選択できる。なお、左側の入力キー44Lで選択できる制御メニューは、右側の入力キー44Rで選択できる制御メニューと全く同じである。なお、この左操作部40Lに配置された合計5つのタッチ式入力キー43L1~43L4、44Lは、図14と図17から明らかなように、左右方向に1直線上に並んでいる。
図14と図15において、前記中央操作部40Mには、合計10個のタッチ式入力キーを配置してある。これら入力キーは、1つ又は複数の入力機能が割り当てられている。
以下、10個のタッチ式入力キーについて説明する。
最も左側にある入力キー43KPは、加熱調理器1全体の各種動作や表示等を、ユーザーの希望通りに設定できるようにするためのものである。
入力キー43KPを押すと、後述する統合制御装置MCは「機能モード」に切り替わり、統合表示部30の表示画面30Dに以下のような「機能設定メニュー」を表示する。
(1)チャイルドロック設定(各種入力キーの操作無効化設定)
(2)換気扇連動モード設定
(3)お掃除ガイド設定(加熱室113と排気カバー19の清掃時期自動報知機能設定)
(4)ピークカット設定(最大消費電力を、5700W、4800W及び4000Wの3段階から1つ選択)
(5)音声ガイドの音声設定
(6)音声ガイドの音量設定
(7)加熱室113からの被調理物、調理器具等の出し忘れを防止する設定(音声合成装置95と統合表示部30での警報の要否)
(8)HEMS登録設定(家庭用電力制御装置による電力使用制限機器にする設定)
(9)タイマー調理の時間単位(1分単位設定を、5分や30分単位へ変更)設定
入力キー43KPを押して、統合表示画面を「機能モード」に切り替えた上で、前記中央操作部40Mに配置された後述するタッチ式入力キー43M1~43M3を操作すれば、加熱調理器1の「機能設定メニュー」に定めてある上記8種類の個別機能を、個々に変更することができる。
統合表示部30において、マイクロ波加熱源189やオーブン加熱源188の制御モードや制御条件(温度や火力、時間など)を選択している段階では、機能モードの切り替えをしないように、入力キー43KPの入力機能は無効にしてある。そのため、入力キー43KPに対応する発光部27M1は、制御モードや制御条件の設定作業中には発光しない(図39参照)。
例えば、加熱調理器1のピークカット値の設定について述べる。メーカからの出荷時点のデフォルト値が、仮に5400Wであったとしても、ユーザーの自宅に設置した際に、4800W又は4000Wの何れにも設定できる。このように、加熱調理器1の機能を、ユーザーの希望や使用環境(設置家庭の電力事情)等に合わせて変更することができる。
43MCは、後述する「連携調理メニュー」の選択用入力キーであり、また、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189によって、加熱室113において加熱調理することを選択する入力キーである。
前記入力キー43MCが操作されると、前記統合表示部30は、特別な表示画面構成に切り替わる。この点については、図32、図34~図38を参照して後で説明する。
前記統合表示部30の表示画面30Dは、ハードウエア上は1枚の液晶表示画面であるが、図15に示しているように、表示部駆動回路63によって最大で3つの表示エリア30L、30M、30Rに分けて表示される。
3つの表示エリアの内、左側に位置する表示エリア30Lを、以後、「第1エリア」という。また中央に位置する表示エリア30Mを、以後、「第2エリア」という。右側に位置する表示エリア30Rを、以後、「第3エリア」という。なお、このように1つの表示画面の中を、複数に区分して表示させる方法は、例えば日本の特許第5425171号公報や特開2017-172940号公報で提案されているため、詳細な説明は省略する。
43M1は、前記表示画面30Dの第1エリア30Lに表示された画面を切り替えるための、左右で1対の入力キーである。第1エリア30Lに表示される情報は、統合制御装置MCの表示プログラムに従って前記表示部駆動回路63で選択される。
左右に並んだ2つの入力キー43M1の内、左側の入力キー43M1が操作されると、第1エリア30Lの表示画面は前方に移動して、後方側に表示されている情報が前後中央に表示されるイメージで表示画面が切り替わる。つまり、左側の入力キー43M1が1回操作されると、統合制御装置MCに記憶させてある表示情報群の中から、希望する表示情報の1つを選択できる。なお、表示画面が平面視で、実際に前方に移動する訳ではない。
逆に、右側の入力キー43M1が1回操作されると、第1エリア30Lの表示画面は後方に移動し、代わりに別の情報が、今度は第1表示エリアの前後中央に表示されるイメージで、表示画面が切り替わる。つまり、右側の入力キー43M1を操作しても、統合制御装置MCの表示プログラムで規定されている「表示情報群」の中の1つが選択されるが、表示される情報の選択方向(選択順位)が逆となる。ここでいう「表示情報群」とは、第1エリア30Lの場合、「制御メニュー群」である。
このように、ユーザーは、右側の入力キー43M1と左側の入力キー43M1の何れかを操作すれば、表示情報群の中から、希望する情報を第1エリア30Lの中央部に表示させることができる。
43M2は、前記表示画面30Dの第2エリア30Mに表示された画面を切り替える1対の入力キーである。この入力キー43M2の何れか1つを操作すれば、前記入力キー43M1と同様に、第2エリア30Mの表示情報を1つずつ順次切り替えることができる。
43M3は、前記表示画面30Dの第3エリア30Rに表示された画面を切り替える1対の入力キーである。この入力キー43M3の何れか1つを操作すれば、前記入力キー43M1と同様に、第3エリア30Rの表示情報を1つずつ順次切り替えることができる。
43MSは、加熱室113を利用したマイクロ波加熱調理とオーブン加熱調理の動作開始を指令することができるタッチ式入力キーである。
45MTは、逆にマイクロ波加熱とオーブン加熱の動作を停止させることができるタッチ式入力キーである。なお、この中央操作部40Mに配置された10個の入力キーは、図15からも明らかなように、左右方向に1直線上に並んでいる。
主電源スイッチの操作キー98を押して、加熱調理を開始する場合、右操作部40Rにおいては、5つのタッチ式入力キー43R1~43R4、44Rは、常に入力機能が必要ではない。
同様に、左操作部40Lにおいても、5つのタッチ式入力キー43L1~43L4、44Lは、常に入力機能が必要ではない。中央操作部40Mにおいても同じである。ユーザーが認識しないまま触れた場合等、不必要な入力を避けるために、統合制御装置MCでは、加熱調理器1の起動直後から、調理条件の入力過程や、調理の進行度合い等に応じて、入力が必要な入力キーを除いて、その他の入力キーの入力機能は一時的に無効にし、入力を受け付けないようにしている。
そこで、以上のような各入力キーの入力機能が有効であることを示すために、図14~図17に示すように、3つの操作部40R、40L、40M毎に、発光表示部27R、27L、27Mを設けている。
図14と図16に示しているように、右操作部40Rにおいては、5つのタッチ式入力キー43R1~43R4、44Rの直ぐ後方に個別発光部27R1~27R4を配置している。入力キー43R2と43R3は、1対であるので、個別発光部27R2は、1つを共用している。
個別発光部27R1~27R4は、右操作部40Rの下方に発光ダイオードを1つ又は複数個ずつ配置してあり、表示部駆動回路63によって個々の個別発光部27R1~27R4は発光と消灯が制御される。あるいは発光色を変化させるように制御される。
例えば、右操作部40Rの入力キー43R1(図16参照)が操作される前には、その入力キー43R1の直ぐ後方に隣接している個別発光部27R1は、青く発光している。これにより、操作入力を受け付けることができることを表示している。
ユーザーが入力キー43R1を操作し、統合制御装置MCが当該入力を受け付けた場合には、個別発光部27R1は、統一された色(赤色)で発光して、ユーザーに操作を受け付けていることを表示する。この表示のための制御は、統合制御装置MCの指令に基づき、表示部駆動回路63が行う。なお、1つの色で発光させず、例えば青色から赤色に発光色を変えて、ユーザーに操作を受け付けていることを表示するようにしても良い。これは、後で述べる個別発光部27M1~27M6、27L1~27L4についても言える。
なお、入力キー43R1が操作される前には、その入力キー43R1の直ぐ後方に隣接している個別発光部27R1を発光させず、操作を受け付けた時点で発光開始し、発光を継続する方式でも良い。また、操作入力が可能であることだけを事前(操作前の段階)に発光で示し、操作入力を受け付けたことは、光で表示させない方式にしても良い。さらには、操作入力が可能で入力待ちの状態では点滅させ、操作入力を受け付け段階で連続発光に変化させるような形態を採用しても良い。
同様に、図14と図17に示しているように、左操作部40Lにおいても、5つのタッチ式入力キー43L1~43L4、44Lの直ぐ後方に、個別発光部27L1~27L4を配置している。入力キー43L2と43L3は、1対であるので、個別発光部27L4は、1つを共用している。
個別発光部27L1~27L4は、左操作部40Lの下方に発光ダイオードを1つ又は複数個ずつ配置してあり、表示部駆動回路63によって個々の個別発光部27L1~27L4は、統一された発光色での発光と消灯が制御される。さらには、操作入力が可能で入力待ちの状態では点滅させ、操作入力を受け付け段階で連続発光に変化させるような形態を採用しても良い。
同様に、図14と図15に示しているように、中央操作部40Mにおいても、10個のタッチ式入力キー43KP、43MC、43M1~43M3、43MS、43MTの直ぐ後方に、個別発光部27M1~27M6を配置している。
個別発光部27M1~27M6は、中央操作部40Mの下方に発光ダイオードを1つ又は複数個ずつ配置してあり、表示部駆動回路63によって個々の個別発光部27M1~27M6は、統一された発光色での発光と消灯が制御される。さらには、操作入力が可能で入力待ちの状態では点滅させ、操作入力を受け付けた段階で連続発光に変化させるような形態を採用しても良い。図39を参照して後で詳しく説明する。
1対の入力キー43M1は、1つの個別発光部27M3を共用している。2つの入力キー43M2と43M3についても、それぞれ1対であるので、個別発光部27M4と27M5は、1つずつ共用している。以下の説明で、中央操作部40Mにおける個別発光部を総称する場合には、符号は27Mを用いる。
右操作部40Rの右端部に隣接した位置にある、前記主電源スイッチ97の操作キー(又は操作ボタン)98の真後ろにも個別発光部27R5が配置してある。
以上のような発光表示部27R、27L、27Mの発光形態(連続発光、点滅、発光色等)は、ユーザーの無用な混乱、誤解を避けるため、3つの操作入力部で統一することが望ましい。
各入力キーの入力機能が有効であることを示すために、入力キーの操作部自体を発光させる方法もあるが、その場合、入力キーの操作部真下に発光部を配置し、かつ当該操作部を、光透過性の材料で製造する必要もあり、入力キーの操作部の感度を確保する課題もあるので、構造やコスト面で課題が多い。そこで、この実施の形態1では、上記のように発光表示部27R、27L、27Mを、入力キーの操作部を避けて、隣接した位置に設けている。ここでいう「隣接」とは、例えば入力キー43R1と発光表示部27Rの関係のように、ユーザーの視点から見て両者が接近しており、1対1の関係が瞬時に分かる位置関係をいう。そのため、例えば入力キー43R1と発光表示部27Rの間が、入力キー43R1の表面を基準にして、上方に突出した壁等の構造物で仕切られている場合を除く。
図14において、右操作部40Rと左操作部40Lの後方位置には、誘導加熱調理時の火力段階を示すように火力表示部67L、67Rを設けている。
これら火力表示部67L、67Rは、右加熱部17HRと左加熱部17HLにおける火力段階を発光(赤色)によって示すものである。定格最小火力(火力レベル1:150W)~定格最大火力(火力レベル9:3200W)までの、9段階を光で示す。
火力表示部67L、67Rは、右操作部40Rと左操作部40Lの下方空間に設置した複数の発光ダイオード(LED)によって構成されている。発光色は、火力の大きさによって変化させても良い。この実施の形態1では、例えば火力レベル1と2は、以下のように構成している。
(1)(最小)火力レベル1:赤色点灯1個、残り8個は青色点灯
(2)火力レベル2:赤色点灯2個、残り7個は青色点灯
なお、火力表示部67L、67Rの左端部には、最小火力レベル1よりも小さな火力で被加熱物を加熱する「保温モード」(図34の「表示画面3A」参照)で動作させた場合に、LEDを発光させて表示する保温表示部67Hを設けている。
前記左表示部31Lには、左加熱部17HLの火力レベル値が、数字の1~9で表示される。最小火力レベル1のときは「1」、最大火力レベル9のときは「9」が表示される。この左表示部31Lでの火力表示は、火力表示部67Lによって表示される火力段階と合致しており、同じタイミングで表示される。
また、右表示部31Rでも、右加熱部17HRの火力レベル値が、数字の1~9で表示される。表示の条件は、左表示部31Lの場合と全く同じである。
図14から分かるように、前記3つの発光表示部27L、27M、27Rと、2つの火力表示部67L、67Rは、それぞれが左右方向に1直線上に並んでいる。しかも、前記3つの発光表示部27L、27M、27Rと、2つの火力表示部67L、67Rは、左右方向に並行して並んでいる。
このように、前記3つの発光表示部27L、27M、27Rと、2つの火力表示部67L、67Rが、3つの入力操作部40L、40M、40Rに対して、その後方において左右方向に1直線上に並んでいるため、操作性と視認性が良い。更に統合表示部30と、左側表示部31L及び右側表示部31Rも、横方向に一直線上に並んでおり、加熱調理器1の前方側に立って操作するユーザーの立場から見て、全体の操作性と視認性が良いデザインとなっている。
図14において、68は、前記統合表示部30の後方に配置した加熱源表示部である。
この加熱源表示部68は、中央操作部40Mを使用して複数の加熱源を使用するため、実際に動作している加熱源をLEDの光で表示するものである。
加熱源表示部68は、3つの表示部から構成されている。最も左端の表示部68Lは、マイクロ波加熱源189を使用していることを示す表示部であり、手前側近傍には文字で「レンジ」という表示をし、マイクロ波加熱であることが容易に分かるようにしてある。
中央の表示部68Mは、加熱室113にて、上部ヒータ163A又は下部ヒータ163Bの両方又は何れか一方を使用して「グリル調理」をしている場合を示す表示部である。手前側に「グリル」と記載し、グリル調理であることが容易に分かるようにしてある。
最も右側の表示部68Rは、加熱室113にて、上部ヒータ163A又は下部ヒータ163Bの両方又は何れか一方を使用して「オーブン調理」をしている場合を示す表示部である。
「オーブン調理」は、グリル調理とは異なり、加熱室113の中の温度を把握して上部ヒータ163A、下部ヒータ163Bの通電制御に反映させる(フィードバックさせる)ものである。これらについては、後で詳しく説明する。最も右側の表示部68R近傍には、「オーブン」という表示をし、オーブン調理であることが容易に分かるようにしてある。
図14において、69は、前記加熱源表示部68の直ぐ後方位置に設けた高温報知部である。この高温報知部69は、統合制御装置MCからの指令に基づきLED発光部を発光させて、温度監視対象部分が高温であることを表示する。
統合制御装置MCは、後述するように各種温度センサーからの温度検出信号を受ける温度検出回路93や加熱室制御部159からの温度情報に基づき、高温報知を指令する。
高温報知部69は、図13には示していないが、図14に示しているように、温度監視対象部分として、左加熱部17HLと、加熱室113と、右加熱部17HRの3つを定めてあり、これら温度監視対象部分の状況を個別に表示する。そのため、例えば、左加熱部17HLで誘導加熱調理をした後、左加熱部17HLに対応しているトッププレート15の中央から左側範囲が高温になっていることを報知し、ユーザーに注意喚起できる。
図13に戻り、46L、46Rは、外部に設置された換気装置(図示せず)に対して、運転開始用の指令信号となる赤外線信号を送信する窓である。この窓の下方には、赤外線発信部48(図19参照)が設置されている。なお、実際には、この窓46L、46Rは、トップテーブル15の上方からは視認できないように、目立たないような表面シートで覆っている。そのシートは、当然ながら赤外線信号を透過させる材料から形成されている。
図13において、49は、無線通信部(通信モジュール)であり、外部からの電波を受信し、また外部へ電波を送信するアンテナ(図示せず)と送受信回路(図示せず)を備えている。この無線通信部49は、前記表示基板41の右側端部の下方で、上部ケース16の底面と少し間隔を保って設置してある。
図13において、CL1は、上部ユニット100の左右の中心点を前後方向に通る中心線、ALは、トッププレート15が上部ユニット100の上面で露出している範囲を示している。
次に、上部ユニット100の制御手段について、図19と図20を参照しながら説明する。
この図19と図20では、一部構成については記載を省略しており、前記フィルター回路基板54のフィルター回路は記載していない。
図19は、上部ユニット100の制御手段と下部ユニット200の制御手段を示している。図20では、図19の中の主要な制御手段だけを抽出して、制御指令信号の授受や、電力の供給関係等を、矢印によって示している。
図19において、97は、使用者によって開閉操作される主電源スイッチで、200Vの商用電源99に電源コードと電源プラグ(図示せず)介して接続されている。91は、前記主電源スイッチ97を介して電気エネルギーが供給される電源回路、92は、商用電源からの交流電力を直流に変換する直流電源変換部である。この電源回路91が、前記電源回路基板55の上に実装されている。
MCは、統合制御装置であり、メインコントローラ又はホストコンピュータの機能を有する。マイクロコンピューターを中心に構成されている制御装置である。この統合制御装置MCは、前記電源回路91から所定の定圧電流が供給される。またこの統合制御装置MCは、前記操作基板41の裏(下)面に実装されている(図18参照)。
前記統合制御装置MCは、入力部と、出力部と、記憶部と、CPU(演算制御部)の4つの部分から構成され、その記憶部には、3つの加熱源の通電制御プログラムが予め記憶(格納)されている。また、前記マイクロコンピューターの記憶部(ROM、RAM)とは別に、異常監視情報を記録する大容量の記憶装置(メインメモリー)MMを内蔵している。
90は、誘導加熱時の制御を司るIH制御装置であり、マイクロコンピューターを中心に構成されている。このIH制御装置90には、誘導加熱時の、各種調理メニューに対応した通電制御プログラムが予め記憶(格納)されている。また、異常監視情報を記録する記憶装置(図示せず)を内蔵している。
なお、このIH制御装置90の機能の一部を第2のIH制御装置90A(図示せず)に担当させても良い。例えば、前記インバーター回路基板80の上に、マイクロコンピューターを実装して、当該マイクロコンピューターでインバーター回路81L、81Rの入力と出力制御を担当させても良い。
誘導加熱調理やマイクロ波加熱調理等、全ての加熱調理動作中は、電気的な異常状態の有無の監視が、統合制御装置MCによって集中して実施されている。
96は、リアルタイム・クロックとも呼ばれている時計回路であり、前記主電源スイッチ97に繋がる電源回路91とは別の専用電源(内蔵電池)BT1から電源が供給され、長期間に亘って駆動されるようになっている。これは例えば電波時計でも良く、常に統合制御装置MCから求めがあれば、現在の日にちと正確な時刻を秒単位で知らせるものであり、この加熱調理器1の製造段階で正しい日時にセットされている。従って、加熱調理器1の主電源を切り、その後再度主電源を投入しても、この時計回路の時刻情報は影響受けず、常に最新の正しい時刻を統合制御装置MCに伝える機能がある。このため、前記統合制御装置MCの記憶装置MMに記録される異常監視情報も、常に正確な時間が同時に記録されて保存されることになる。
図19において、72は、電力制御部(「デマンド制御部」ともいう)である。この電力制御部72は、統合制御装置MCによる誘導加熱やマイクロ波加熱を行う指令信号を解析し、加熱調理器1の総電力消費量が、規定値又は使用者が個別に設定した上限値を超えないように監視する機能があり、また総電力消費量が、規定値又は任意設定値を超えないよう、誘導加熱やマイクロ波加熱時の火力を自動的に制限する機能がある。
一般に、「デマンド制御装置」又は「デマンドコントロール装置」とは、デマンド(需要電力)の値を制御するものをいい、自動的に電力の使用状況をチェックし、設定した値を超過しそうな場合は、警報等で報知し、停止可能な機器の自動停止を設定しておけば、装置自体が決められたとおりに停止可能な電気機器を自動的に停止し、一定の時間が経過すればその電気機器を自動的に復帰させるものとして知られており、各家庭においても電力会社との契約電力管理に大きな威力を発揮すると言われている。
この実施の形態1の電力制御部72は、加熱調理器1自体に上記したような消費電力の抑制機能を持たせるために設けている。なお、電力制御部72は、特別なハードウエアを設けず、前記統合制御装置MCの中の制御機能として設けても良く、デマンド用の制御プログラムを統合制御装置MCの中に最初から組込み、あるいはあとから追加したものでも実現できる。
この実施の形態1の電力制御部72は、加熱調理器1全体の最大消費電力を、3段階(5700W、4800W、4000W)の中から1つだけ設定できる。なお、この設定は、入力操作部40の中の特定のキーを複数個同時に押した場合に、統合表示部30に表示される上記3段階の数値を見ながら、その入力操作部40で設定できる。このような簡単な設定方法は、例えば、日本特許第6012780号公報で紹介されている。なお、図14、図15で説明したように、中央操作部40Mの入力キー43KPを押すと、統合制御装置MCは「機能モード」に切り替わり、統合表示部30の表示画面30Dには、「ピークカット設定」や「HEMS登録設定」をできる表示が行われるので、上記したような加熱調理器1の総電力消費量の抑制は簡単に行える。
73は、上部ユニット100と下部ユニット200との間で、各種制御信号を伝達するために設けた信号伝達部である。例えば、有線で信号を伝達できる信号線とコネクターが該当する。また、無線で信号を授受できるように例えば、赤外線通信部であっても良い。なお、信号伝達部73は、前記統合制御装置MCとIH制御装置90の間にも設けている。
前記IH制御装置90は、温度検出回路93から温度情報を得て、上部ユニット100の主要な部分が異常な高温度になっていないかどうかを監視している。例えば前記中央操作部40Mには、前記した各種入力キー43M1~43M3、43MS、43MT等に対応する電子部品や半導体部品を配置してあるが、それら部品類は比較的熱に弱いので、所定温度(例えば60℃)を超えないように温度検出回路93を通じて監視している。
計測された温度が、前記所定温度を超えた時点で「異常予備状態」であるとIH制御装置90によって判定される。なお、異常予備状態は、検出温度が60℃~65℃の範囲にある場合に限る。65℃を超えると危険度高まり、制御装置90は本当の異常状態と認定する。
この異常予備状態では直ちに誘導加熱動作は停止せず、誘導加熱の火力を下げる制御を行う。しかし65℃を超えた時点で異常状態とIH制御装置90によって判定され、直ちに誘導加熱動作を停止する。具体的には、例えば、駆動されているIHコイルが、右側のIHコイル17Rである場合、当該IHコイル17Rに高周波電力を供給しているインバーター回路81Rの電源供給を遮断する。そしてIHコイル17Rや共振用コンデンサー等を含む誘導加熱回路94Rの動作を停止させる。なお、94Lは、左側のIHコイル17L用の誘導加熱回路である。
なお、上記した異常予備状態では誘導加熱の火力を維持したまま、上部ユニット100のIHコイル設置空間CKを冷却している第2冷却ファン61のモータ61Mの送風能力を上げることで改善しても良い。更に、誘導加熱の火力を下げる対策と併用しても良い。
そして、少なくともこのような異常予備状態から緊急停止までの期間における誘導加熱時の主要な部分の電気的、物理的(一例として前記した中央表示部30の温度)の変化状況を示す(異常監視)情報が、IH制御装置90の記憶装置90Rの中に格納される。
なお、前記した異常予備状態では直ちに誘導加熱動作は停止せず、また第2冷却ファン61のモータ61Mの送風能力を上げることもせず(回転翼の回転数を変化させず)、IHコイウル17L、17Rの火力を、強制的に下げることで改善するようにしても良い。
前記IH制御装置90の記憶装置に記憶される異常監視情報は、統合制御装置MCから起動指令を受けた時点から調理を正常に終了するまで期間中に取得される。そのため、前記「制御メニュー」(例えば、左操作部40Lの場合の、「湯沸し」、「煮込み」、「揚げ物」など)や、誘導加熱の火力の情報も、時系列で記録される。途中で異常状態が原因で緊急停止した場合は、その時点まで異常監視情報が前記記憶装置90Rに保存されることになる。
更に、この実施の形態1では、より広範囲にわたって加熱調理器1の動作を監視してデータを取得するため、主電源スイッチ97をONにしてから、上部ユニット100と下部ユニット200側における全ての加熱調理状態に関する監視情報を、統合制御装置MCが取得している。前記加熱室制御部159とマイクロ波加熱制御部130から、信号伝達部73を介して、異常有無の監視情報を統合制御装置MCが取得する。
前記インバーター回路基板80の中には、右側のIHコイル17R専用のインバーター回路81Rと、左側のIHコイル17L専用のインバーター回路81Lが、1つずつ実装されている。
そしてこれら2つのインバーター回路81L、81Rは、前記IH制御装置90によって互いに独立して駆動されるようになっている。なお、これらインバーター回路を総称する場合、符号は「81」を使用する。
2つのインバーター回路81L、81Rの詳細は、図22を参照しながら後で説明する。
図19において、95は、電子的に作成した音声を合成する音声合成装置であり、使用者に対する操作の案内や、異常発生時の報知などをスピーカー95Sから音声でその都度報知する。
前記した温度検出回路93は、少なくとも7個の温度センサーTS3~TS9に接続されている。具体的には、トッププレート15の温度や、IHコイル設置空間CKの雰囲気温度、インバーター回路基板80のヒートシンク82の温度、統合表示部30等の温度を検知するため、温度センサーTS3~TS9がある。温度検出回路93は、前記温度センサーTS3~TS9から、それぞれ温度検知情報を受け取り、それら温度検出結果をIH制御装置90に送る。
前記温度センサーTS3~TS9は、赤外線センサーのような非接触型、あるいはサーミスタのような接触型の何れであっても良く、それらを単独で、又は組み合わせて使用している。
前記温度センサーTS3~TS9の内、2つの温度センサーTS3、TS5は、赤外線センサーのような非接触型センサーであり、図13に示しているように前記IHコイル17L、17Rの、それぞれの空隙部に配置されて、トッププレート15方向からの赤外線信号を受信する。つまり、これによって被加熱物である鍋やフタイパン等の底面の温度を計測できる。
前記温度センサーTS3~TS9の内、2つの温度センサーTS4、TS6は、接触型センサーとしてサーミスタを使用しており、図13に示しているように前記IHコイル17L、17Rの、それぞれの中心部の空洞の中に配置されている。これら温度センサーTS4、TS6は、トッププレート15の下面に直接接触し、又は熱伝導性のある介在物を介してトッププレート15の下面に接触している。これにより、トッププレート15の温度を計測できる。
前記温度センサーTS3~TS9の内、1つの温度センサーTS7(図13参照)は、接触型センサーとしてサーミスタを使用しており、ホルダー42の上面に設置されている。そして統合表示部30や入力操作部40の雰囲気温度を検知する。また2つの温度センサーTS8、TS9は、サーミスタを使用したものであり、後述するヒートシンク82の上面に取り付けてある。
なお、下部ユニット200側にも、下部ユニット200の内部空間温度を検出するため、少なくとも2つの温度センサーTS1、TS2を備えているが、詳細は後で説明する。
62は、冷却ファン駆動回路であり、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の駆動用モータ60M、61Mの駆動用電力を制御する。つまり、冷却ファン駆動回路62による制御によって第1冷却ファン60と第2冷却ファン61との、送風能力が互いに独立して、それぞれ多段階に変更される。
63は、表示部駆動回路であり、前記統合表示部30、左側表示部31L、右側表示部31Rの動作を制御でき、必要な情報を表示させる機能がある。
表示部駆動回路63は、専用のマイクロコンピューターによって構成しても良い。またこの表示部駆動回路63の機能を発揮する制御プログラム(ソフトウエア)は、統合制御装置MCの中に組み込んでも良い。表示部駆動回路63は、前記操作基板41の上面に実装されている(図18参照)。
84は、地震発生時の揺れを検知する感振機器であり、所定の震度(加速度)以上を感知した場合、振動感知信号を前記統合制御装置MCに送り、統合制御装置MCではその信号を受けて地震発生と判断し、使用中の全ての加熱手段の電源を瞬時に遮断する動作を行う。
49は、無線通信部49であり、前記統合制御装置MCからの指令を受けて情報を発信する。また、前記統合制御装置MCからの指令を受けて外部からの情報を取得する。
(下部ユニット200)
次に下部ユニット200について説明する。
図7は、図1の加熱調理器1を、図6のY-Y線で切断した場合の縦断面図である。図8は、図1の加熱調理器1を、図6のZ-Z線で切断し、冷却風の流れを示した縦断面図である。図9は、図1の加熱調理器1を、図7のW-W線で切断した場合の縦断面図である。
図7~図9において、101は、下部ユニット200の本体110の外殻を構成する下部ケース(下筐体)である。この下部ケース101は、1枚の亜鉛鋼板等の金属製薄板をプレス加工して形成されるか、または複数枚の金属製薄板をスポット溶接やネジ等で接合して形成される。実施の形態1では、以下説明する通り、3枚の金属製薄板から構成されている。
101Hは、下部ケース101の後方と左右部分の3つの面を構成する胴部、101Uは、前記胴部の底面開口部を完全に閉鎖する平板状の底板である。101Cは傾斜部であり、加熱調理器1を厨房家具2に設置する際に、厨房家具2の設置口2Aに当たらないよう、下方に行くに従って前方へ傾斜した壁面である。101Fは、下部ケース101の前面を構成する前板であり、全体が1枚の平らな板である。この前板101Fの前面は、前記ドア114の後面を密着させて、前板101Fとドア114の間に隙間からマイクロ波が漏洩しないようにしている。
下部ユニット200は、2つの独立した加熱源を備えている。その内の1つはマイクロ波加熱装置120のマイクロ波加熱源189である。もう1つはオーブン加熱装置140のオーブン加熱源188である。オーブン加熱源188は、加熱室(オーブン庫)113を、その外側から加熱するものであるが、加熱室113の内部から加熱するものでも良い。
図7、図9、図10は、マイクロ波加熱装置120の主要部分を示している。
前方側から、以下の順番で順次設置している。
最も前方側には、インバーター回路121A(図19参照)を実装したインバーター回路基板121(図9参照)を配置している。
このインバーター回路基板121の後方には、マイクロ波の発生源となるマグネトロン122、当該マグネトロン122の発振部122Aを包囲した導波管123を配置している。
さらに、導波管123の後方には、導波管123に接続されているアンテナケース124、アンテナケースの中にあるアンテナ125を、それぞれ配置している。
アンテナケース124の後方には、マイクロ波加熱時にアンテナ125を回転又は回動させるモータ126を配置している。
127は、マイクロ波加熱の出力や前記マグネトロン122に電力を供給する電源回路基板であり、前記フィルター回路54からの商用電源を受ける電源回路部120P(図示せず)と、後述するマイクロ波加熱制御部130とを、実装している。
図7図、図8において、128は、第3冷却ファンであり、前記インバーター回路基板121を収容した箱形形状のケースA150の真下に配置されている。ケースA150は、下面全体が開放され、底面が無い形状である。
129は、第4冷却ファンであり、前記マグネトロン122の放熱部122Hを載置した箱形形状のケースB151の真下に配置されている。放熱部122Hには、第4冷却ファン129からの冷却風が通過するための、数枚の放熱フィンが並列状に形成されている。ケースB151は、下面全体が開放され、底面が無い形状である。
前記第3冷却ファン128と第4冷却ファン129は、例えば、軸流型ファンである。そして回転翼の中心部にある回転軸が鉛直(垂直)方向になるように、下部ケース101の底板101Uに支持されている。
第3冷却ファン128と第4冷却ファン129を、全く同じ構造、同じ形状、同じ定格仕様で揃えた場合、製造時の調達コストを安価にできる。なお、同一仕様の冷却ファンを並列配置し運転させるとうなりが発生する可能性が高いため、うなり対策として、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の回転数は、異なる値にする制御を行う場合がある。
前記ケースA150と、ケースB151は、前述したように底面全体が開口しており、その開口の内側に、前記第3冷却ファン128と第4冷却ファン129が、それぞれ横たわるように配置されている。
図7において、ケースA150の内部に2列に設けた風向板199は、前記ケースA150の内側に一体又は別個に形成されたものである。この風向板199は、インバーター回路基板121と、後述する2つの連通口138A、138Bに対して、前記第3冷却ファン128からの冷却風を効率良く流すために設置してある。
152Fは、前方側の吸気口であり、下部ケース101の底板101Uに形成されている。この吸気口は、多数の小さな円形の貫通孔、または長方形や楕円形の貫通孔から構成されている。この吸気口152Fは、前記第3冷却ファン128用である。
152Bは、後方側の吸気口であり、下部ケース101の底板101Uに形成されている。この吸気口は、多数の小さな円形の貫通孔、または長方形や楕円形の貫通孔から構成されている。この吸気口152Bは、前記第4冷却ファン129用である。
153は、前記放熱部122Hの上部に設置されたダクトであり、放熱部122Hを通過した第4冷却ファン129からの冷却風RF6を、図11に示すように下流側へ案内するものである。
154は、ケースCであり、電源回路基板127とマイクロ波加熱制御部130とを密封状態に収容している。このケース154は、電気絶縁性に富むプラスチック材料から形成されている。
ケースC154は、後方側の蓋154Aと、前方側にある容器状又は箱形状の本体154Bと、の2者を重ね合わせて構成している。本体154Bの前面側に形成した大きな開口部を、前記蓋154Aが塞いでいる。
ケースC154は、前方側にある本体154に、電源回路基板127と、マイクロ波加熱制御部130を取り付けた基板(図示せず)を取り付けてある。保守点検時には、この蓋154Aを開けて内部にある電源回路基板127や、マイクロ波加熱制御部130の各種点検や修理ができるようにしている。
このケースC154は、加熱室113からの熱の影響を受けないように、加熱室113の背面からできるだけ離して設置されている。また前記底板101Uからも離して設置してあり、万一、下部ケース101内部に、上部ユニット100側から水や調理液などの液体が浸入した場合でも、電気絶縁性を損なうことが無いようにしている。
図7で説明したように、上部ケース16の底壁16Sと下部ケース101の底板101Uとの対向間隔が最も大きい空間が、前記空洞104である。
前記空洞104には、後述するマイクロ波加熱装置120の一部を構成する導波管123が、前記加熱室113の背後において左右方向に長く配置され、前記導波管123よりも後方には、マイクロ波加熱制御部130に電力を供給する回路部品を実装した電源回路基板127の収容用ケースC154が、左右方向に長く配置されている。
図7で説明したように、下部ケース101の前方側に設けた金属板製の前方水平壁101Tは、下部ケース101の前板101F上端を後方に折り曲げて形成したものである。そして、下部ケース101側の支持金具198は、前記上部ケース16に固定されている。
図7と図8において、131は、マイクロ波加熱時の電波漏洩対策として設けているドア開閉検知機構である。
マイクロ波加熱装置の安全性を担保するため、ドア開閉検知機構131の搭載が法的に要求されている。この種の代表的なドア開閉検知機構131は、日本特許第4372099号公報、特開平11-214147号公報等の特許文献で知られている。
前記特許文献によれば、ドア開閉検知機構131として、ラッチスイッチ、ドアスイッチ、モニタースイッチの3種類のスイッチを内蔵させ、これらのスイッチをドアの開閉に連動して、時間差をつけて開閉検知することが提案されている。
また特開平11-214147公報では、第1インターロックスイッチと、第2インターロックスイッチとにより、インバーター回路の電源を開閉し、また、第1インターロックスイッチが短絡故障した時に、電源回路に挿入されているヒューズをOFF状態するため、モニタースイッチを設けることが提案されている。
図7と図8には、この実施の形態1で採用しているドア開閉検知機構131の主要部分を示している。これら図において、132Aは、ラッチスイッチ、132Bは、ドアスイッチである。図示していないが、前記ラッチスイッチ132Aと、ドアスイッチ132Bの何れか一方、又は双方が異常によって開放されない場合、前記インバーター回路基板121に実装されたインバーター回路121Aの電源を遮断するための、モニタースイッチ133(図示せず)も設けてある。
前記ラッチスイッチ132Aは、ドア114側に固定されて突出しているピン134で押されて、内蔵した接点が開閉される。前記ドアスイッチ132Bは、ドア114側に固定されて突出しているピン135に押され、内蔵した接点が開閉される。
136Aは、ドア114の動きをラッチスイッチ132Aに伝える連動棒であり、常にドア側へ復帰するように圧縮バネでドア方向に付勢されている。
136Bは、ドア114の動きをドアスイッチ132Bに伝える連動棒であり、常にドア側へ復帰するように圧縮バネでドア方向に付勢されている。
137は、前記ラッチスイッチ132A、ドアスイッチ132B、モニタースイッチ133(図示せず)、連動棒136A、136B等を、一括して取り付けてある支持板である。この支持板137は、下部ケース101に対して、複数個のネジによって固定されている。ドア開閉検知機構131は、このように支持板137の上に装着された各種スイッチを中心として構成されている。
前記ラッチスイッチ132Aやドアスイッチ132Bの製造過程における取付け位置にバラツキが発生した場合、各々のスイッチを動作させるタイミングが規定値から外れることが懸念させる。そこで、この実施の形態1では、前記支持板137に、後述するドア114の閉鎖検知部139を取り付け、この支持板137の全体を取外し可能にしている。具体的には、前記したように複数のネジで支持板137に下部ケース101を強固に固定している。製造時やアフターサービス時において、閉鎖検知部139の動作確認や調整、交換等を行える。
図7図~図9において、138Aは、インバーター回路基板121を収容したケースA150の上部に形成した連通口、138Bは、ケースA150の上下中間部に形成した連通口である。
前記連通口138Aは、図9に示しているように第3冷却ファン128からの冷却風RF5の一部分を、後述する空間141に案内するものである。
前記連通口138Bは、図9に示しているように第3冷却ファン128からの冷却風RF5の一部分を、後述する空間142に案内し、後述する赤外線式温度センサー160の冷却用に利用している。
温度センサー160は、中空状のセンサーケースと、センサーケースの内部に収納されるセンサー基板と、このセンサー基板の表面に搭載される1つ又は複数個の赤外線検出素子と、この赤外線検出素子に臨んで前記センサーケースに取付け固定されるレンズと、を主な構成要素として構成させている。なお、温度センサー160を、加熱室113の複数個所に設けて広い範囲の温度検知ができるようにしても良く、また温度センサー160の方向を固定せず、自動的にある角度範囲で揺動させて、広い角度の温度を検知させる形態でも良い。例えば、日本の特許文献として特開2018-54250公報には、複数の温度センサーを利用することが提案されている。
図9において、161は、前記温度センサー160を臨ませた検知窓であり、前記温度センサー160の外周面との間に、冷却風が通過するような間隙を形成しても良い。実施の形態1では、数mm程度の間隙が形成されている。
前記加熱室113は、その全体がステンレス鋼板等の金属製薄板によって形成されている。162は、磁器や耐熱性プラスチックで形成された調理皿である。この調理皿162は、加熱室113の前面開口113Aから出したり、入れたりできるような外形寸法に形成されている。
図9において、HVは、前記調理皿162の上面から加熱室113の天井面までの有効高さ寸法である。HXは、調理皿162の上面から加熱室113の中央を上方向に凹ませた凹部113Tの天井面までの最大高さ寸法である。この実施の形態1では、前記有効高さ寸法HVは、94mm、最大高さ寸法HXは100mmである。これは1例であって、本発明はこの寸法の構成に何ら限定されたものではない。
図10において、WHは、加熱室113の内側横幅寸法である。加熱室113は、この内側横幅寸法で前方の開口113Aまで形成してあるので、被調理物やフライパン等の調理器具が挿入できるかどうかを決定する間口寸法とも言える。この内側横幅寸法WHは、310mmである。
163は、加熱室113を外部から加熱する電気輻射式のヒータであり、例えばシーズヒータ、または薄いマイカ製の支持板全体にヒータ線を巻き付けた形態の、マイカヒータである。ヒータ163は2つのヒータから構成されている。
163Aは、加熱室113の天井面の上に密着又は近接して固定されている上部ヒータであり、163Bは、加熱室113の底面の下に密着又は近接して固定されている下部ヒータである。
上部ヒータ163Aは、最大火力1200W~最小火力50Wまでの範囲で、多段階の火力を選択できる。また下部ヒータも、最大火力1200W~最小火力50Wまでの範囲で、多段階の火力を選択できる。
図9において、166Rは、前記加熱室113の右側壁面との間に、空隙GP5Rを形成するように垂直に設置された右側仕切板であり、金属製薄板から形成されている。
166Lは、前記加熱室113の左側壁面との間に、空隙GP5Lを形成するように垂直に設置された左側仕切板であり、金属製薄板から形成されている。
加熱室113の左側と右側にある前記空隙GP5L、GP5Rには、断熱材(図示せず)が挿入されており、加熱室113の熱伝導を抑制している。
167は、前記上部ヒータ163Aの上方全体を覆う上部遮熱板であり、金属製の薄板又は耐熱性プラスチックから形成されている。
GP6は、前記上部遮熱板167と上部ヒータ163Aとの間に形成した空隙であり、大きさは数mm~10mm程度である。この空隙GP6は外部との空気の流通をしないように、密閉空間になっている。上部遮熱板167の周縁部は、前記右側仕切板166R及び左側仕切板166Lとの上端縁を間に挟んだ形で、加熱室113の天井面に密着状態に固定されている。
168は、前記上部遮熱板167と上下対称形の縦断面形状を有する下部遮熱板である。この下部遮熱板は、下部ヒータ163Bの下方全体を覆っており、金属製の薄板又は耐熱性プラスチックから形成されている。
GP7は、前記下部遮熱板168と下部ヒータ163Bとの間に形成した空隙であり、大きさは数mm~10mm程度である。この空隙は外部との空気の流通をしないように、密閉空間になっている。下部遮熱板168の周縁部は、前記右側仕切板166R及び左側仕切板166Lの下端縁を間に挟んだ形で、加熱室113の底壁面に密着状態に固定されている。
169は、前記上部遮熱板167の上方全体を覆うように、その上部遮熱板167の周辺部に重ねてある上部ケースである。170は、前記下部遮熱板168の下方全体を覆うように、その下部遮熱板168の周辺部に重ねてある下部ケースである。
上部ケース169と下部ケース170は、図9に示すように、縦断面形状が上下対称形状であり、金属製薄板又は耐熱性プラスチックで形成されている。GP8は、前記上部ケース169と上部遮熱板167との間に形成した空隙であり、大きさは数mm~10mm程度である。この空隙GP8は外部との空気の流通をしないように、密閉空間になっている。
GP9は、前記下部ケース170と下部遮熱板168との間に形成した空隙であり、大きさは数mm~10mm程度である。この空隙GP9は外部との空気の流通をしないように、密閉空間になっている。
前記空隙GP6の中には、シート又は板状の断熱材175A(図示せず)を配置している。同じく空隙GP8の中には、シート又は板状の断熱材175B(図示せず)を配置している。
前記空隙GP7の中には、シート又は板状の断熱材175C(図示せず)を配置している。同じくGP9の中には、シート又は板状の断熱材175D(図示せず)を配置している。これらの各断熱材175A~175Dは、1層構造ではなく、複数層を重ねた形態にすると、更に断熱性能が向上する。なお、各断熱材175A~17Dの平面的な大きさ(縦・横寸法)は、少なくとも上部ヒータ163と下部ヒータ163Bの、それぞれの設置範囲よりも大きい。
図9において、171は、前記上部ケース169の上方に、冷却風RF5が流れる通路172を区画形成した仕切板である。前記仕切板171後方壁面上部には、連通口173が開口しており、この連通口173に前記排気ダクト102の入口端部が接続されている。
174は、加熱室113の天井面の後部に形成した連通口であり、この連通口174に前記排気ダクト102の入口部が接続されている。102Eは、冷却風の最終出口となる終端部である。
図10に示しているように、前記排気ダクト102は、上下に2つの独立した内部通路102A、102Bを備えており、その内、上側にある内部通路102Aには、前記インバーター回路基板121を冷却したあとの冷却風RF5が流れる。
また、もう一方の内部通路102Bには、前記加熱室113内部に導入されて温度の上がった冷却風RF6が流れる。
風路の開口面積を絞った冷却風RF5の排出口により、冷却風RF5の風速は大きくなる。このため、排出口付近において冷却風RF6が、前記冷却風RF5によって誘引される。このような作用により、加熱室113内部の気体が、内部通路102Bに吸引される。
これにより、2つの冷却風RF5、RF6が、ともに前記排気口20から加熱調理器1の外部へ効率良く排出される。なお、このような誘引構造を採用せず、排気ダクト102に入る前の上流段階で合流させる方式を採用しても良い。
図10において、180は、前記加熱室113の背面壁(後壁面)113Bに形成した大きな給電口、181は、この給電口180を外側から閉鎖するカバーであり、マイクロ波を透過させる耐熱性プラスチックや耐熱性ガラスから板状に形成されている。カバー181は、背面壁(後壁面)113Bの外側に固定されている。
カバー181は、背面壁(後壁面)113Bに密着している。このカバー181の背面側全体を覆うように、前記アンテナケース124が前記加熱室113の背面壁113Bに固定されている。カバー181は、図10に示しているようにアンテナケース124の前面開口部の内側に挿入されている。
123は、前記カバー181の更に背面側に接続された導波管である。前記アンテナ駆動用のモータ126は、このように導波管123の背面側に、耐熱性シール材184を介して固定されている。
126Aは、アンテナ駆動用モータ126の回動軸であり、前後方向に向けて水平に設置されている。回動軸126Aの自由端側(前方端部)には、前記アンテナ125が固定されている。なお、回動軸126Aは、プラスチックやセラミック材から形成されているが、アンテナ125側から一定の範囲だけを金属製にし、そこからアンテナ駆動用モータ126まではプラスチック、セラミック等の耐熱性と絶縁性に富む材料で形成しても良い。
185は、前記回動軸126Aを中心として、その周囲に所定の寸法で形成されている電波封印室である。この電波封印室は、いわゆるチョーク室構造になっている。また更に効果的なマイクロ波漏洩防止のために、チョーク構造物よりもアンテナ駆動用モータ126に近い側に、電波吸収体(図示せず)を配置し、前記回転軸126Aの周囲からのマイクロ波漏洩防止を図っても良い。なお、マイクロ波加熱装置におけるチョーク構造は、日本の特許文献として、例えば特開2011-174669号公報、特開2010-255978号公報、特開昭63-172828号公報(4分の1波長のチョーク室と電波吸収体の併用)等があるので、詳しい説明は省略する。
図10において、LAは、加熱室113の背面壁(後壁面)113Bを起点にして、前記アンテナ駆動用モータ126の最後尾までの寸法を示している。以後、この寸法を「突出寸法」と呼ぶ。この突出寸法LAを小さくすることが望ましいが、現実には上述したように、アンテナケース124、電波封印室185の寸法も必要であり、アンテナ駆動用モータ126の外形寸法を小さくしても、限界がある。この寸法LAは70mmである。
図10において、GP10は、前記アンテナ駆動モータ126の背面から下部ケース101の傾斜部101Cまでの間の空隙であり、モータ126の上端では69mm、逆に下端と下部ケース101Cとの空隙は、53mm程度である。この空隙GP10の中に、前記ケースC154を配置することは寸法上無理であるため、この実施の形態1では、前記ケースC154を、前記アンテナ駆動モータ126の真後ろ(背後)から右方向にずらして配置している。
これにより、マイクロ波加熱装置120を加熱室113の背後の狭い空間に内蔵させることが可能となった。
次に、ドア114の内部構造について説明する。
図10において、190は、ドア114の外殻を構成する金属製又はプラスチック製のフレームであり、前方側から見ると額縁状に形成されている。192は、内枠であり、金属製板から形成されている。この内枠192の中央部には、覗き窓192Wとなる開口が形成されている。
191は、前記内枠192の前方側全体を覆うように、当該内枠192と前記フレーム190との間に外周縁部を固定されたカバーであり、加熱室113を覗けるように透明な耐熱性プラスチックやガラス等で形成してある。
193は、前記覗き窓192Wに対応する部分に、マイクロ波が透過しない寸法の、無数の小孔を形成した内側シール枠である。この内側シール枠は、全体が金属製薄板をプレス成形して形成され、外周縁部には、加熱室113側に入口(スリット)を形成したチョーク室194を形成している。
195は、金属製の薄板からなるシール板である。このシール板195の外周縁部は、図10に示すように内側シール枠193側に一連に曲がっている。前記チョーク室194は、このシール板195の外周縁部と前記内側シール枠193で囲まれた空間で、前記チョーク室194を形成している。
ドア114を完全に閉じた状態では、前記シール板195の外周縁部と前記内側シール枠193の両者が、前記下部ケース101の前板101F表面に接触した状態となる。そのため、加熱室113内部に供給されたマイクロ波が、このドア114と加熱室113の前面の開口113Aから漏洩しない。
196は、前記内枠192の覗き窓192Wに対応する部分の内側に設けた透明なシール板であり、耐熱性ガラスで製造されている。197は、前記ドア114の上面に沿って、少なくともドア114の横幅と同等な横幅寸法を有する金属製の上部遮蔽板である。この上部遮蔽板197は、ドア114の上面に近接して庇状に設けてあり、かつ下部ケース101に電気的に繋がるよう金属製ネジ等の固定具で下部ケース101に固定されている。
前記ドア114は、その下部が下部ケース101にヒンジ部(図示せず)によって支持されているため、取っ手部115を持って手前に引けばドア114を開けることができる。
このような開放の初期においてドア114と下部ケース101との重合部が、瞬間的に空隙が生じてマイクロ波の一部分が漏洩する懸念があるが、この実施の形態1では、前記上部遮蔽板197によって、そのような不要なマイクロ波の漏洩をドア114の上方で抑制できる。
図12において、201は、前記加熱室113の右側壁面の前方部に形成した導入口であり、マイクロ波が漏洩しないような口径の小さい多数の孔から形成されている。この導入口201を加熱室113の右側壁面の前方部に設けた理由は、ドア114の内側付近へ前記冷却風RF6の一部を供給し、ドア114の覗き窓192Wの曇りを抑制するためである。
前記導入口201には、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却した後の冷却風RF6が、空隙GP5Rによって案内される。
導入口201よりも冷却風RF6の流れで上流側には、前記温度センサー160があり、その温度センサー160の部分で、一部の冷却風RF6は、加熱室113の内部へ吹き出されるので、導入口201に至る冷却風RF6の量は、少ない。しかし、この導入口201から空気を入れている目的は、前記ドア114の内側にあるシール板196の「曇り抑制」であり、少ない風量で何ら問題はない。なお、この温度センサー160の周囲にある狭い間隙から空気を供給することを採用しなくとも良い。
次に、再び図19に示すブロック図を参照しながら、下部ユニット200における各種制御手段の詳細について説明する。
マイクロ波加熱制御部130は、前記インバーター回路基板121のインバーター回路121Aや前記マグネトロン122、アンテナ駆動用モータ126、及び2つの冷却ファン128、129に供給される電力を制御し、それらの動作の開始、停止や動作条件等を制御するものである。
このマイクロ波加熱制御部130の電源回路は、前記電源回路基板55に実装されている電源回路91と別に用意されており、マイクロ波加熱装置120の専用回路である。なお、電源回路91から電源を供給しても良い。
マイクロ波加熱制御部130の電源回路は、電源回路基板127の上に実装されている。この電源回路基板127の上には、交流電源を直流に変換する各種電気部品(ダイオード等)が実装され、ケースC154の中に密封状態に収容されている(図7参照)。
マイクロ波加熱制御部130は、前記電力制御部72からの指令信号を受信した場合、その指令信号に応じて、マイクロ波加熱装置120の総電力消費量を減らすように動作し、マグネトロン122の出力を下げるような指令信号を、インバーター回路121Aへ送信する機能がある。
前記マイクロ波加熱制御部130には、マグネトロン122の放熱部122Hの温度を検出する温度センサーTS1を備えている。マイクロ波加熱調理が終わっても、マグネトロン122の放熱部122Hの温度が規定値よりも高い場合には、温度が下がるまで第4冷却ファン129の運転を継続させるための指令信号を当該第4冷却ファン129に対して発信する。
139は、ドア114の閉鎖検知部である。この閉鎖検知部139は、ラッチスイッチ132A、第2ドアスイッチ132B、モニタースイッチ133のいずれかまたは2つ以上の開閉状況を各回路に流れる電流または開閉信号によって検知するものである。
この閉鎖検知部139を構成する回路基板は、前記支持板137に取り付けてあるので、支持板137を取り外して検査したり、設置したまま計測したりして、正常に動作するものであるかどうかの検査ができる(図7参照)。
158は、加熱室113の中に置かれた食品や調理器具等の温度を検出する非接触温度計測部(赤外線温度計測部)であり、前記温度センサー160と、この温度センサーからの計測信号を解析して温度情報に変換する回路(図示せず)等から構成されている。
加熱室制御部159は、前記上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bに供給される電力を制御し、それらの動作の開始、停止や動作条件(火力、すなわち発熱量)等を制御するものである。この加熱室制御部159の制御回路は、制御回路基板(図示せず)に実装されている。
加熱室制御部159は、前記電力制御部72からの指令信号を受信した場合、その指令信号に応じて、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの総電力消費量を減らすように動作し、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163の出力を下げるような指令信号を送信する機能がある。なお、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163の出力を下げるために単位時間あたりの通電率を変化させて実質的な火力を変化させることも行う。
次に加熱調理器1のIHコイル17L、17Rの駆動回路の構成例について説明する。図22の説明上、1つのIHコイル17Rだけを示した回路の例で説明する。
加熱調理器1では、駆動回路74により高周波電力が各IHコイル17L、17Rに供給されることで、誘導加熱動作が行われる。
前記駆動回路74は、IHコイル毎に備える。図22では、IHコイル17Rの駆動回路74の構成例を示す図である。左側のIHコイル17Lでも駆動回路は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
駆動回路74は、図22に示すように、直流電源回路75、インバーター回路81R、共振コンデンサー76、入力電流検出部77aおよび出力電流検出部77bを備える。
入力電流検出部77aと出力電流検出部77bの電流検出データは、IH制御装置90へ送られる。
入力電流検出部77aは、交流電源99から直流電源回路22へ入力される電流、すなわち駆動回路74へ入力される電流を検出し、検出した値すなわち入力電流値を示す電圧信号をIH制御装置90へ出力する。99は、商用交流電源である。
直流電源回路75は、ダイオードブリッジ78a、リアクタ78b、平滑コンデンサー78cと、を備え、交流電源99から入力される交流電圧を直流電圧に変換して、インバーター回路81Rへ出力する。
インバーター回路81Rは、スイッチング素子としてのIGBT79a、79bが直流電源回路75の出力に直列に接続された、いわゆるハーフブリッジ型のインバーターである。インバーター回路81Rでは、フライホイールダイオードとしてダイオード79c、79dがそれぞれIGBT79a、79bと並列に接続されている。
インバーター81Rは、直流電源回路75から出力される直流電力を20kHz~80kHz程度の高周波の交流電力、いわゆる高周波電力に変換して、IHコイル17Rと共振コンデンサー76とからなる共振回路に供給する。
共振コンデンサー76を含む共振回路は、IHコイル17Rのインダクタンスおよび共振コンデンサー76の容量等に応じた共振周波数を有する。
このように構成することで、IHコイル17Rには数十A程度の高周波電流が流れ、流れる高周波電流により発生する高周波磁束によってIHコイル17Rの直上のトッププレート15上にある被加熱物Nが誘導加熱される。
IGBT79a、79bは、例えばシリコン系からなる半導体で構成されているが、炭化珪素、あるいは窒化ガリウム系材料などのワイドバンドギャップ半導体を用いた構成でも良い。
スイッチング素子としてのIGBT79a、79bに、ワイドバンドギャップ半導体を用いることで、スイッチング素子としてのIGBT79a、79bの通電損失を減らすことができる。またスイッチング周波数すなわち駆動周波数を高周波にしても、すなわち高速にスイッチングしても放熱が良好となる。このため、スイッチング素子(IGBT)79a、79bを取り付けたヒートシンク82の放熱フィンを小型にすることができ、駆動部の小型化および低コスト化を実現することができる。
出力電流検出部77bは、IHコイル17Rと共振コンデンサー76とからなる共振回路に接続されている。出力電流検出部77bは、例えば、IHコイル17Rに流れる電流、すなわち駆動回路74から出力される電流を検出し、検出した値に相当する電圧信号をIH制御装置90に出力する。本構成ではハーフブリッジ型のインバーターで説明したが、IHコイル17Rを駆動する回路は、フルブリッジ型のインバーターでも良い。また、図22で説明した回路は、電流共振型であったが、電圧共振型を採用しても良い。
無線通信部49は、図13でも説明したが、家庭内の家電機器類の電力使用量や運転情報等を統合的に管理している家庭内制御機器(図示せず)と無線通信を行うための無線通信手段であり、無線信号を送受信することができる。前記家庭内制御機器は、インターネット等の公衆無線通信網を介して、スマートホンと呼ばれるような携帯用情報端末やタブレット型端末機器等にも接続できる。なお、家庭内制御機器の1例として、HEMSコントローラと呼ばれる電力管理装置がある。この実施の形態1では、図14、図15で説明したように、中央操作部40Mの入力キー43KPを押して、統合制御装置MCを「機能モード」に切り替え、「HEMS登録設定」が統合表示画面30を見ながら実行できる機能がある。
前記無線通信部49は、統合制御装置MCと配線により接続されているが、配線が長いほどノイズの影響を受けやすいため、無線通信部49と統合制御装置MCは近くに配置し、無線通信部49と統合制御装置MCを接続する配線を短くすることが望ましい。
前記したノイズの影響を考えて、この実施の形態1では、無線通信部49は、入力操作部40の右端部に設置してある。具体的には、無線通信部49は操作基板41の右端部に設置してある。また、統合制御装置MCは、入力操作部40の左右中央部に設置してある(図14参照)
無線通信部49は、内部に無線信号を送信または受信、または送受信するアンテナ部を有しており、より無線信号を送受信しやすくするため、無線通信部49のアンテナ部がトッププレート15の直下となるように配置することが望ましい。
(中央操作部の制御メニュー)
次に、中央操作部40Mによって統合表示部30に表示され、選択できる制御メニューについて、図23を参照しながら説明する。
前述したように、左操作部40Lと右操作部40Rで選択できる「制御メニュー」は、図25に示しているような、例えば、湯沸し、煮込み、揚げ物(自動調理)等である。
しかしながら、中央操作部40Mによって選択できる制御メニューは、図23に示しているように11種類ある。これら11種類の制御メニューを総称して、中央操作部40Mの「制御メニュー群」という場合がある。
中央操作部40Mによって選択できる制御メニューは、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の一方又は双方を使用する。このため、鍋等の被加熱物を介して間接的に食材が加熱される誘導加熱の制御メニューとは基本的に異なる。
中央操作部40Mによって選択できる「制御メニュー」とは、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱源188で加熱して得られる最終的な調理の名称や食材の名称とは異なる。例えば「ハンバーグ」や「天ぷら」は加熱調理された食品の名称であり、ここでいう「制御メニュー」ではない。
「制御メニュー」とは、調理を完成させるまでの加熱の種類、方法や条件等を考えて、大きく分類したものとも言えるため、制御メニューの名称は、例えば「あたため」や「オーブン(調理)」などのように概念的、総括的である。
図23を参照しながら中央操作部40Mによって選択できる制御メニューについて、以下詳しく説明する。
図23の「左表示エリア」とは、統合表示部30の第1エリア(表示エリア)30Lを意味している。「中央表示エリア」とは、同じく第2エリア30Mのことであり、「右表示エリア」とは、同じく第3エリア30Rを意味している。
中央操作部40Mの入力キー43MCが操作されると、前記統合表示部30の第1エリア30Lには、図23の左表示エリアの「あたため」という制御メニューが必ず最初に表示される。この「あたため」という制御メニューがデフォルト設定してあるからである。
図23の「左表示エリア」から明らかなように、「あたため」以外には、「レンジ手動」や「葉菜下ゆで」、「RG調理」「グリル」、「オーブン」など合計11個の制御メニューがある。但し、図23の「左表示エリア」の最下段に記載の「中央ヒータ」は、上記上部ユニット100では対応していないので、実際には表示されない。この「中央ヒータ」とは、上部ユニット100において、右加熱部17HRと左加熱部17HLの間に、別の誘導加熱部を増設した場合に対応するものである。また「RG」とは、レンジグリルの略称である。
図23の「中央表示エリア」に記載された内容は、統合表示部30の第2エリア(表示エリア)30Mに表示される内容を示している。「中央表示エリア」のデフォルト設定の内容は、その「中央表示エリア」の右の列に列挙している。
図23の「右表示エリア」に記載された内容は、統合表示部30の第3エリア(表示エリア)30Rに表示される内容を示している。「右表示エリア」のデフォルト設定の内容は、その「右表示エリア」の右の列に列挙している。空白の部分は、何も表示されないことを意味している。
以上のようなルールで、制御メニューのデータベースが作成されている。
このため、中央操作部40Mの入力キー43MCが操作されると、前記統合表示部30の第1エリア30Lには、「あたため」、第2エリア30Mには、「80℃」、第3エリア30Rには、制御条件は何も表示がされないことになっている。そこで、この実施例では、第3エリア30Rに、加熱調理に参考となる情報(以下、「案内情報30P」という)が表示される。これについては、後で図35等を参照しながら説明する。
中央操作部40Mの「制御メニュー群」の中から、ユーザーが1つの「制御メニュー」を第1エリアの中央部に表示すると、この制御メニューに対応する制御条件(温度や火力、時間など)が、第2エリア30Mと第3エリア30Rに同時に表示される。その後に加熱動作開始を指令する入力キー43MSがユーザーによって操作されると、マイクロ波加熱源189やオーブン加熱源188による加熱動作が開始される。
図23に示した制御メニューの具体的な内容、制御条件、付加情報等の詳細なデータと表示プログラム等は、統合制御装置MCの記憶部に格納されている。
以下、主な制御メニューについて説明する。
(1)あたため:マイクロ波加熱源189を使用して食品を加熱することをいう。食品の再加熱の場合も、この「あたため」が適する。デフォルト設定で「80℃」となっているので、食品が加熱されて80℃になった時点で自動的にマイクロ波照射は停止する。なお、「80℃」は、目標温度であり、この温度は加熱開始前にユーザーが調節できる。図23に示すように、0℃~90℃の範囲では5℃刻みで設定できる。冷凍品の加熱では-10~0℃の範囲において、2℃刻みで設定可能である。なお、マイクロ波加熱出力は、500Wで固定されている。
(2)レンジ手動:マイクロ波加熱源189を使用して食品を加熱することをいうが、加熱時間を設定して行うものである。また、マイクロ波加熱出力も、500W、200W、100Wの3段階から選べる。加熱時間もデフォルト値は1分間であるが、500W出力では、10秒から15分間までの間で設定できる。
(3)葉菜下ゆで:マイクロ波加熱源189を使用して食品、特に、葉を食用とする野菜、例えば、ほうれん草、白菜などの葉菜類を茹でることに適するものである。マイクロ波加熱出力値は表示されず、第2エリアには、デフォルト表示として「標準」と表示される。非接触温度計測部(赤外線温度計測部)158が温度上昇を計測し、自動的に加熱を停止する。
(4)根菜下ゆで:マイクロ波加熱源189を使用して食品、特に、根や地下茎等を食べるじゃが芋などの根菜類を茹でることに適するものである。マイクロ波加熱出力値は表示されず、第2エリアには、デフォルト表示として「標準」と表示される。なお、火力値は、加熱調理器1側で事前に決めているので、火力を調整する場合には、第2エリアのデフォルト表示の「標準」を、「弱め」や「強め」等に変える(選択する)必要がある。
(5)肉解凍:冷凍した各種の肉類を解凍する場合に適する制御メニューである。
(6)RG調理:加熱室113を使用した調理に適するものであり、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理するものである。なお、マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。マイクロ波加熱時の火力値(ワット)は、表示されず、ユーザーは第2エリア30Mの表示を見て、「弱め」、「強め」等の何れか1つを選択して加熱強度を選択できる。
(7)RG再調理:加熱室113を使用して、調理済の食品を再度加熱する場合に適するものである。
(8)RG手動:加熱室113を使用した調理に適するものであり、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理するものである。なお、マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。
(9)グリル:加熱室113を使用して、食品を加熱するものであり、加熱源としては、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの一方又は両方が使用される。前述したように加熱室113の温度管理は行わず、また食品の温度上昇を検知して加熱動作を停止するという制御も行わない。上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの火力は、加熱調理器1側の加熱室制御部159で事前に決めている。代表的な適用調理としては、焼き魚がある。因みに、上部ヒータ163Aの定格火力は、1000Wであり、下部ヒータ163Bの定格火力も1000Wである。
(10)オーブン:加熱室113を使用して、食品を加熱するものであり、加熱源としては、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの一方又は両方が使用される。加熱室113の温度は、温度計測部158によって計測され、設定した目標温度になるように加熱室制御部159により通電制御が行われる。図23に示すように、デフォルト温度は180℃であるので、ユーザーは必要であれば、この目標温度を変更できる。なお、「グリル」のところで説明したように、上部ヒータ163Aの定格火力は、1000Wであり、下部ヒータ163Bの定格火力も1000Wである。そして、これら上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bに対する通電率を加熱室制御部159で制御し、それら2つのヒータ163A、163Bの発熱量を制御している。
(加熱調理器の動作)
次に、上記の構成からなる加熱調理器1の動作の概要を、図24~図30を中心に説明する。
図24は、加熱調理器1の調理開始前の制御動作の全体を説明するためのフローチャートである。
図25は、加熱調理器1における誘導加熱調理時の制御動作を説明するためのフローチャートである。
図26は、加熱調理器1で、誘導加熱調理中にマイクロ波加熱を行う場合の制御動作を説明するためのフローチャートである。図27は、図1の加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。図28は、加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。図29は、加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。図30は、加熱調理器1の冷却ファンと、加熱調理の種類との対応関係を示す一覧表である。
図24について説明する。
電源投入から調理準備開始までの基本動作プログラムが、統合制御装置MCの内部にある記憶装置MMに格納されている。
ビルトイン型の加熱調理器1では、電源プラグ106Aは厨房家具2の設置時から常に商用(交流)電源99に接続されているので、使用者は、主電源スイッチ97の操作ボタン98(図19参照)を押して電源を投入する(図24のステップST1)。
すると電源回路基板55の中の直流電源変換部92を介して所定の低い電源電圧が統合制御装置MCに供給され、統合制御装置MCは起動される。統合制御装置MC自身の制御プログラムにより自己の異常有無の診断を開始する。
そして誘導加熱源9を集中制御するIH制御装置90、加熱室制御部159及びマイクロ波加熱制御部130の異常有無をチェックする。
上部ユニット100の温度検出回路93には、トッププレート15の温度、インバーター回路81L、81R、統合表示部30の近傍等の温度を検知するために合計7個の温度センサーTS3~TS9を接続しているので、それら温度センサーの検出温度は、前記温度検出回路93に伝達される。これによって、IH制御装置90は、異常の有無を判定できる(ST2)。
また、加熱室制御部159とマイクロ波加熱制御部130においても、温度センサーTS1、TS2からの検出温度を取得して異常有無を判定できる。
ステップST2で「外部に起動情報送信」とあるが、これは無線通信部49から、キッチン等の居住空間にある「統合情報管理装置」又は「統合電力制御装置」(HEMSコントローラ)等と呼ばれる「家庭内制御機器」(図示せず)に、加熱調理器1の運転開始の予告を行うことをいう。これについては、あとで説明する。
IH制御装置90には、上部ユニット100に内蔵した主要な構成部分の温度情報が集まるので、IH制御装置90は、調理開始前の異常監視制御として、異常加熱判定処理を行う。例えば、温度センサーTS7が検出した温度が、統合表示部30における液晶表示画面30D等の電子素子の耐熱温度(例えば70℃)よりも高い場合、IH制御装置90は異常高温と判定する。そして、統合制御装置MCに異常を報知し、運転開始できないことを表示したり、報知したりする等の処理を実行する。
異常が発見されない場合、IH制御装置90は、統合制御装置MCに信号送信する。すると、統合表示部30が起動され、「異常がないので、調理を開始できること」旨を表示する(ST3)。なお、この初期時点での表示画面は、図32を参照して後で説明する。
これと同時に、音声合成装置95によって、統合表示部30で表示した内容と同様な内容を音声で報知する(ST3)。
ステップST3では、無線通信部49は、前記「家庭内制御機器」にアクセスし、健康管理に有益な調理メニュー、レシピ情報等の情報を、事前に使用者が設定していた範囲で取得する。例えば、事前にこの加熱調理器1の使用者が、携帯情報端末機器等を使ってインターネット回線経由で「家庭内制御機器」に送信していた情報も、この統合表示部30の起動時に取得できる。なお、何らかの情報を取得した場合には、上部ユニット100の入力操作部40の近くに設けた専用の注意情報ランプ(図示せず)を点灯させて使用者へ報知する。
次に上記のように異常判定が完了したあと、統合制御装置MCは、統合表示部30と音声合成装置95によって、加熱手段の選択を促すための報知と、音声ガイドを行う(ST4)。
そして、下部ユニット200の加熱源の選択が行われたかどうかを、入力操作部40にある中央操作部40Mの操作情報からIH制御装置90が判定する(ST5)。
一定の猶予時間(例えば30秒間)内に選択が行われなかった場合、あるいは、ステップST4の直ぐ後で、使用者が左操作部40L又は右操作部40Rの、少なくとも何れか1つを操作した場合、上部ユニットST6の加熱源、すなわちIHコイル17L、17Rだけが選択されたものと判断する(ステップST6で、「Yes」)。
以上のようにステップST6が「Yes」であった場合には、次のステップST10に進む。以後の誘導加熱の制御ステップについては、あとで図25を参照しながら説明する。
一方、ステップST5において、下部ユニット200の加熱源の選択が行われた場合、統合制御装置MCは、下部ユニット200が備えている2つの加熱源のメニュー選択ステップST8に進む。なお、このステップST5は、中央操作部40Mを操作した場合である。
ステップST8では、図24に示しているように、4つのメニューが前記統合表示部30に一覧状態で表示される。又は一定の順番で順次表示される。
図18のステップST8の段階で表示されるメニューが、下部ユニット200の加熱源を基準にして、以下の4つのメニュー選択部が表示される。
(1)上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの少なくとも何れか一方を使用する調理のメニュー(ST9A)。図23で示した制御メニューの「グリル」や「オーブン」が該当する。
(2)上記(1)に加え、マイクロ波加熱装置120を併用する調理メニュー(ST9B)。これは、図23で示した制御メニューの「RG調理」が該当する。
(3)マイクロ波加熱装置120を使用する調理メニュー(ST9C)。これは、図23で示した制御メニューの「レンジ手動」や「葉菜下ゆで」等が該当する。
(4)上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの少なくとも何れか一方と、マイクロ波加熱装置120の少なくとも何れか一方と、上部ユニット100の誘導加熱源(IHコイル17L、17R)を組わせて使用する調理メニュー(以下、これを「連携調理メニュー」という)(ST9D)。これは、図23の第1エリア30Lで示した制御メニューの中には含まれていない。
なお、ステップST10の段階から破線にてステップST9Dに進むルートが示されているが、このように上部ユニット100の加熱源を選択しようと操作を進めたあとで、途中から連携調理の方が良いと分かった場合には、前記ステップST5に戻ることなく、連携調理のメニューを選択できるようにしても良い。また、これと同様に、途中から連携調理に進めることができるよう別の機会で連携調理を選択できるようにしている。これについては、次の図25で説明する。
図25は、誘導加熱のメニューを選択したステップ(ST11)以後の、統合制御装置MCの動作ステップを示したものである。
次に、誘導加熱時の制御動作について図25を参照しながら説明する。
なお、以下は右加熱部17HRを使用する例で説明する。
右側にある入力キー43R1に触れると、IH制御装置90は加熱準備動作を使用者が指令したと判定する。
IHコイル17Rの上方に被加熱物(金属製の鍋やフライパン等)が載置されているか否か、または被加熱物の底部面積が所定値より大きいか否かが推定され、この推定結果がIH制御装置90に伝達され、標準の径の鍋に適する加熱処理にするか大径鍋に適する加熱処理にするか等が決定される(ステップMS1)。
適合鍋であるが大径鍋である場合、あるいは加熱不適合等の場合は、標準鍋とは別の処理になる。
IH制御装置90からの指令を受けて、統合制御装置MCは、統合表示部30の表示画面30Dに対し、希望する調理の「制御メニュー」を選択するように促す表示をする(MS2)。
使用者が調理の「制御メニュー」や火力、調理時間などを右操作部40Rで選択、入力した場合(MS3)、本格的に右加熱部17HRにおいて誘導加熱動作が開始される(MS4)。
統合表示部30に表示される「制御メニュー」としては、「高速加熱」、「揚げ物」、「湯沸し」、「予熱」、「炊飯」、「茹で」、「湯沸し+保温」、「連携加熱」という8つである。但し、操作性を簡略化するため、後述する「機能設定」で上記8つの制御メニューの一部又は全部の選択をできないように設定しても良い。
使用者がこれら8つの制御メニューの中の何れか一つを選択した場合、それら制御メニューに対応した制御条件がIH制御装置90の内蔵プログラムによって自動的に選択され、IHコイル17Rの通電量(火力)、通電時間などが設定される。調理メニューによっては使用者に任意の火力や通電時間等を設定するように促す表示を表示部に行う(MS5)。
以上のような表示を行ってから一定の時間(例えば、15秒又は30秒)内に、使用者がキー43R1を操作して使用中止しない限り、その時間経過後、IH制御装置90は誘導加熱回路94Rのインバーター回路81Rを駆動し、誘導加熱を開始する(MS6)。
「大径鍋」の場合も基本的には上記ステップMS1~MS7と同様であるが、制御メニューとしては、図25に示した8つの制御メニューの一部は選択できない。「高速加熱メニュー」は、左側にある大径のIHコイル17Lを使って、「通常鍋」又は「大径鍋」だけの場合しか加熱できない。なお小型鍋とはこの実施の形態1では鍋底面の直径が10cm未満のものをいい、誘導加熱に適さないものとして検知され、誘導加熱できない。
次に、誘導加熱とマイクロ波加熱などのように、異なる種類の加熱源を2つ以上同時に使用した場合の、統合電力制御動作について図26~図28を参照しながら説明する。なお、これら図26~図28で説明する例は、前記した「連携調理」の場合ではない。
図26に示した例は、最初に上部ユニット100で誘導加熱調理を行っている期間中に、使用者が下部ユニット200の加熱室113を使って、マイクロ波加熱を行おうとした場合である。なお、誘導加熱調理を行っている期間中に、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの両方又は何れか一方を使用して、オーブン調理やグリル調理等を行う場合でも、この図26で説明したような基本的な(加熱調理器1全体での)総電力制御が、統合制御装置MCと電力制御部72によって行われる。
誘導加熱調理を行っている期間中に、使用者が下部ユニット200の加熱室113を使って、マイクロ波加熱を行おうとすると、最初に入力操作部40の中央操作部40Mで、下部ユニット200の加熱源を選択する方法がある。
しかしながら、簡単に行う方法はそのままドア114を開けることである。つまり、この実施の形態1では、上部ユニット100が運転されている場合(主電源スイッチ97がON状態である場合)は、そのまま下部ユニット200による調理を開始できる。従って。上部ユニット100のような主電源スイッチ97を入れる操作は必要ではない。
ドア114を開けると、ドア開閉検知機構131の主要部分で説明したように、ドア114の開閉に応じて開閉されるラッチスイッチ132Aとドアスイッチ132Bがあるので、前記主電源スイッチ97を投入した段階で、前記ラッチスイッチ132Aとドアスイッチ132Bの双方又は何れか一方の開放を、統合制御装置MCが適当な手段(センサーやスイッチ等で)監視していれば良い。
図26において、上記したように加熱室113のドア114が開放されたことを示す信号を受信した場合、統合制御装置MCは、使用者に対して音声ガイドを行う(ステップS2)。音声ガイドの内容は、例えば、「加熱を開始するためには、スタートボタンを押して下さい」等である。
マイクロ波加熱のデフォルト設定では、目標温度80℃であるので、ドア114を閉めて、そのまま加熱開始しても被調理物温度が80℃になったと検知された段階で自動的に停止する。なお、80℃を変更(例えば75℃)する場合には、温度条件を変更してから入力キー43MS(図15参照)を押せば良い。
使用者が、「加熱開始」という指示を中央操作部40Mの入力キー43MSで行った場合、マグネトロン122で定まっている定格消費電力値に、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129等の消費電力も反映して事前に分かっている消費電力値を使用し、統合制御装置MCはステップS3において総電力規制値を超過するかどうかの判定を行う。
例えば、先に開始している誘導加熱調理の火力値や第1冷却ファン60、第2冷却ファン61の消費電力量もデータとして統合制御装置MCは保有しているので、上部ユニット100の消費電力とマイクロ波加熱装置120の消費電力の合計値が算定できる。なお、統合制御装置MCが、中央操作部40Mの操作があった段階で、インバーター回路81の消費電力データを取得しても良い。
ステップS3が「Yes」の場合には、稼働しているIHコイル17Rの出力を下げるか、マイクロ波加熱の火力の何れかを下げる必要ある。ステップS3では、誘導加熱の制御メニューと調理の工程から、その時点の誘導加熱の調理の優先度を判定する。例えば、上部ユニット100で炊飯(特に、「沸騰工程」)を行っている場合には、その炊飯(沸騰工程)を優先し、上部ユニット100の加熱源の火力を削減しない。
また、上部ユニット100で「揚げ物」を行っている場合には、その揚げ物は、食材の投入等に合わせて食用油の温度が過度に低下しないように自動的に火力を増加させる制御を行っているので、このような場合も、上部ユニット100の加熱源の火力を削減しない。
ステップS5で、誘導加熱が優先すると判定された場合、マイクロ波加熱の電力消費量を減らすため、マイクロ波定格出力が仮に500W(消費電力が900W)であった場合、消費電力を一時的に下げて、例えば出力300Wにする。そして、このような制限を行うことを使用者に報知する。報知は、統合表示部30と音声合成装置95によって行う(S6)。
そして、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に指令信号を出し、マイクロ波加熱を低火力で開始する(S7)。
加熱室113の中に置かれた食品や調理器具等の温度を検出する非接触温度計測部(赤外線温度計測部)158を有しているので、食品が加熱されて、目標温度に至ったかどうかを、マイクロ波加熱制御部130は監視している(S8)。
目標温度に到達しない場合には、上部ユニット100の誘導加熱動作が終了したかどうかの判定をする(S9)。目標温度に至るまでは上記ステップS8、S9が繰り返し行われる。
目標温度に至った場合には、マイクロ波加熱制御部130から統合制御装置MCに信号を出る。すると次のステップS12に進み、マイクロ波加熱が終了した旨を報知する。
誘導加熱が終了した場合、ステップS10に進み、マイクロ波加熱制御部130に対して指令を出し、初期に使用者が意図した設定火力に復帰させてマイクロ波加熱を継続させる(S10)。そして、被加熱物の温度の監視を継続させる(S11)。
そして、目標温度に至った場合には、マイクロ波加熱制御部130から統合制御装置MCは信号受け、ステップS12に進み、マイクロ波加熱が終了した旨を報知する。
図26に示した例は、マイクロ波加熱調理と誘導加熱調理の2者の間の電力優先度は、誘導加熱調理で実行している制御メニュー(例えば、「揚げ物」)と調理の工程(例えば、炊飯の「沸騰工程」)から、その時点で誘導加熱との優先度を判定するという前提であった。
従って、マイクロ波加熱調理と誘導加熱調理の2者の間の電力優先度を、常にマイクロ波加熱側に設定しておいた場合には、「加熱開始」という指示を中央操作部40Mの入力キー43MSで行う前に、例えば、統合表示部30において警告メッセージが表示され、さらに、音声合成装置95からも警報メッセージが出る。また、その後マイクロ波加熱を開始しても、上記した例のように出力値が強制的に下げられるということはない。
加熱調理器1全体の中での、誘導加熱源9と、オーブン加熱源188及びマイクロ波加熱源189の電力優先度は、後述する「機能設定」の中で設定しておくことができ、一度設定すれば、主電源スイッチ97を切っても、統合制御装置MCに設定条件が記憶され、次の加熱調理以降にも引き継がれる。
この図26に示した例では、被加熱物の温度を監視し、目標温度になった場合に、マイクロ波加熱を終了させていた。しかし、マイクロ波の照射時間を計測し、設定した時間が経過したときに調理を終了させる制御方法もあるので、次に図27を説明する。
図27は、マイクロ波の照射時間で調理を終了させる制御方法を採用している場合の例である。
ステップS6までは図26と同じなので説明は省略する。
マイクロ波加熱制御部130は、ステップ7でマイクロ波加熱を開始する場合、マグネトロン122の出力を、ある値まで下げた場合の加熱時間の補正(延長)を算出する。そして、ステップS8では、その延長後の時間を「設定時間1」と決めて(S8)、ステップ9、ステップ8を繰り返す。
その過程で、上部ユニット100の誘導加熱が終了した場合、加熱開始(ステップS7)からの経過時間も考慮し、再度運転所要時間(設定時間2)を計算し直す。
そして、設定時間2を経過した場合、マイクロ波加熱を終了し、これを報知する(S12)。なお、この設定時間2が経過するまでの間、非接触温度計測部(赤外線温度計測部)158による温度監視を併用しても良い。
次に図28と図29について説明する。
図28と図29は、加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。この図28と図29に示した例は、最初に上部ユニット100で誘導加熱調理を行っている期間中に、使用者が下部ユニット200の加熱室113を使って、マイクロ波加熱を行おうとした場合である。この場合でも、図26で説明したような基本的な(加熱調理器1全体での)総電力制御が、統合制御装置MCと電力制御部72によって行われる。
図28と図29では、図26、図27とは異なり、統合制御装置MCとマイクロ波加熱装置120、IHコイル17L、17Rやインバーター回路81等からなる誘導加熱装置と、の3者の間の信号の授受も示している。
図28と図29において、L1~L10は、各動作信号や指令信号等の発生タイミングを示している。上部ユニット100で、主電源スイッチ97を入れると、起動信号が統合制御装置MCに送信される(L1)。
その後、入力操作部40においてIHコイル17L、17Rの火力や制御メニュー等(図25のステップMS2、MS3参照)を決定すると、その内容を示す情報が統合制御装置MC経由に送信される(L2)。つまり、誘導加熱時の最大火力や運転時間等の条件を示す情報を、統合制御装置MCからIH制御装置90が受ける。そして入力操作部40から誘導加熱開始指令があれば、IH制御装置90は、誘導加熱回路85L、85Rによって加熱動作を開始させる。
このようにして誘導加熱調理が開始された場合で、マイクロ波加熱も開始されるケースについて説明する。なお、誘導加熱は、左側のIHコイル17Lの最大火力3200Wで開始されたものと仮定する。
使用者がドア114を開けると、図26で説明したようにラッチスイッチ132Aとドアスイッチ132Bの双方又は何れか一方が開放するので、これを監視しているセンサー(図示せず)から、ドア114の開放を示す信号が統合制御装置MCに送信される(L3)。
使用者が、中央操作部40Mで火力を入力した場合には、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に運転開始の指令信号を出す。そして次のステップS3に進む。
又は、使用者が単に「加熱開始」という指示を中央操作部40Mで行った場合、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に運転開始の指令信号を出す。
マイクロ波加熱制御部130側で何の異常もなければ、統合制御装置MCに対して、マイクロ波加熱制御部130から調理開始の「予告信号」が発信される(L4)。例えば、マイクロ波出力500Wの場合では、マイクロ波加熱装置全体の定格消費電力が1000Wである場合には、この図28のように、1000Wを使用する情報を含んだ「予告信号」になる。
次に統合制御装置MCからの情報を受けて電力制御部72は、マグネトロン122で定まっている定格消費電力値に、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129等の消費電力も反映して事前に分かっている消費電力値を使用して、マイクロ波加熱と誘導加熱を同時に行った場合の、消費電力の合計値を求め、この合計値が総電力規制値を超過するかどうかの判定を行う(図26、図27のステップS3と同じ)。そして結果を、統合制御装置MCへ送信する。
なお、別の方法として、下部ユニット200の誘導加熱源189とオーブン加熱源188の総電力量の上限値を決め(例えば、2000W)、下部ユニット200と上部ユニット100(誘導加熱源9)を同時に使用した場合に、総電力規制値を超過するかどうかの判定を行うことでも良い。
ステップS3が「Yes」の場合には、稼働しているIHコイル17Rの出力を下げるか、マイクロ波加熱の火力の何れかを下げる必要ある。次のステップS4では、統合制御装置MCは、誘導加熱の制御メニューと加熱工程から、その時の誘導加熱の調理の優先度を判定する。
この図28の例では、マイクロ波加熱が優先すると設定されている場合であるから、マイクロ波加熱の火力を削減しない。
ステップS5で、マイクロ波加熱が優先すると判定された場合、誘導加熱の電力消費量を減らすため、マイクロ波加熱制御部130に対して、IHコイル17Rの目標火力を下げる制御を指令し、消費電力を一時的に下げる。このような制限を行うことを使用者に報知する。報知動作は、統合表示部30と音声合成装置95によって行う。
そして、マイクロ波加熱制御部130は、マイクロ波加熱を低い火力に変更するようにインバーター回路81Rに指令する(L5)。
インバーター回路81R側での電力削減処理が終わると、マイクロ波加熱制御部130は、入力電流検出部77aと出力電流検出部77bの電流値から、電力削減されたことを判別する。そして電力削減完了した旨を統合制御装置MCへ送信する(L6)。この送信を受けて、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱装置120に対して加熱動作開始の許可信号を送信する(L7)。
インバーター回路121Aには、上部ユニット100のインバーター回路81Rで使用している入力電流検出部77aや出力電流検出部77bのような、電流検出部(図示せず)がある。
そのため、マイクロ波加熱が終了した場合、インバーター回路121Aの電流検出値から、マイクロ波加熱制御部130は加熱動作終了したことを判別し、加熱動作を統合制御装置MCに特定の信号で通知する(L8)。また、マイクロ波加熱は、タイマー設定によってある時間だけ行われる場合もあり、その場合は、その時間経過をマイクロ波加熱制御部130が検知して、加熱動作終了したことを通知する(L8)。
統合制御装置MCはマイクロ波加熱が終了したあと、使用者が最初に希望した設定火力に復帰させるようにマイクロ波加熱制御部130に対し、指令信号を出す(L9)。そして火力を最初の目標レベルまで上げて誘導加熱を継続させる(S10)
そして、設定した調理時間や目標温度に至った場合には、マイクロ波加熱制御部130は、誘導加熱を終了させる。そして運転終了した旨を統合制御装置MCに報知する(L10)。
(誘導加熱調理の基本動作)
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器1において、誘導加熱を行う場合の、各部分の基本動作について説明する。
入力操作部40において、誘導加熱調理の開始が指令されると、IH制御装置90は、指定された加熱部に対応する誘導加熱回路85、85Rに対して駆動指令を出し、IHコイル17L、17Rのインバーター回路81L、81Rを駆動する。
冷却ファン駆動回路62に対してIH制御装置90から運転指令信号が出される。
インバーター回路81L、81Rの駆動開始と同時、又は少し遅れたタイミングで、前記第1冷却ファン60と、第2冷却ファン61の運転を開始する。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の送風能力は固定したものでなくとも良い。例えば、ヒートシンク82の温度センサーTS8と、統合表示部30の近傍の温度を検知する温度センサーTSの温度に応じて、弱運転から強運転の間で自動的に送風能力を変更しても良い。
一般的に冷却ファンを、弱運転から強運転に変更すると、ファンの風切り音が大きくなるため、ノイズとなる懸念がある。そこで、2つの温度センサーTS7、TS8による検出温度と、冷却ファン60、61の運転強度を、事前の送風試験等のデータから、対応表(データテーブル)にして決定しておき、この対応表をIH制御装置90の記憶装置90Rに記憶させておく。そしてそのデータテーブルに従ってIH制御装置90が、随時第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の運転条件を、変更するようにしても良い。
第1冷却ファン60が運転されると、第1冷却ファン60の真下の位置にある通気孔64から空気が吸引される。吹出口60Aから図18に矢印で示すように冷却風RF1が第1風路F1に押し込まれる。
第2冷却ファン60が運転されると、第2冷却ファン60の真下の位置にある通気孔64から空気が吸引される。吹出口61Aから図18に矢印で示すように冷却風RF2が第2風路F2に押し込まれる。
第1冷却ファン60の真下の位置にある通気孔64と、第2冷却ファン60の真下の位置にある通気孔64とは、上部ケース16の底面において隣接して個々に設けているが、多数の小孔群を設けて、その小孔群を共用しても良い。
インバーター回路基板80の上面には、ダイオード79c(図22参照)や、その他電気部品が実装されているが、それらは前記冷却風RF1により冷却される。
1つのIHコイル17Lには、2つのIGBT79a、79bを使用している。これら2つのIGBTを総称して、電力制御用スイッチング素子83と呼んでいる。
また、もう1つのIHコイル17Lにも、同様に電力制御用スイッチング素子83を使用している。
それら2つの電力制御用スイッチング素子83は、誘導加熱動作時に発熱するが、前記冷却風RF1によって連続的に冷却される。
前記冷却風RF3は、入力操作部40に配置された入力操作を受ける各種スイッチ、液晶表示画面、表示部駆動回路63等の部品を冷却しながら、右側方向に進む。
冷却風RF1は、カバー70の出口FOを出た段階で、上方に方向を変えるものがあるが、前方側から合流する冷却風RF2の勢いもあるため、冷却風RF3のようにカバー70の上を左側に反転して進行するものと、冷却風RF4に示すようにフィルター回路基板54の方向に進行するものに大きく分かれる。
冷却風RF3は、右側のIHコイル17Rの下方を流れて、その後左側のIHコイル17Lの真下まで流れる。この過程においてそれら2つのIHコイル17R、17Lを冷却する。一般にこの種のIHコイルは、誘導加熱動作時に250℃~300℃付近まで温度が上昇する。そこで、上記のように2つの冷却風RF1、RF2を合わせた冷却風RF3で冷却する。
図13、図18で説明したように、排気窓52Aは、左右の中心線CL1から左側の範囲に、符号LFで示す長さだけに存在している。そのため、冷却風RF4は前記フィルター回路基板54を通過した後は左側方向に進行し、貫通孔53Aを通過し、排気窓52Aから排出される。
IHコイル17L、17Rを冷却した冷却風RF3も、最終的な排気口となる排気窓52Aの方向に向きを変えて進み、貫通孔53Aを通過し、排気窓52Aから排出される。
これによって上部ケース16内部を流れる冷却風RF3、RF4は、排気口20に到達する。そして排気カバー19から室内へ放出される。
排気窓52Aを、前記フィルター回路基板54から離れた位置だけに設置しているため、運転中に排気カバー19の上に、鍋等から溢れた調理液や水(以下、これらを「異物」という)が流れた場合でも、当該異物が前記排気口20を通過して前記フィルター回路基板54まで至ることを防止できる。このため、漏電や故障の原因になることを防げる。なお、前述したように前記フィルター回路基板54と空隙GP1との間は、前記排気窓52Aの部分を除き、仕切板52によって分離されている。なお、ここでいう「分離」とは、空気の流通を完全に遮断できるような分離ではなく、上方から滴加又は流下した異物の侵入が阻止できる程度の分離をいう。
(マイクロ波加熱調理の基本動作)
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器1において、マイクロ波加熱を行った場合の、各部分の基本動作について説明する。
前記主電源スイッチ97をONにした場合、上部ユニット100において実際に誘導加熱調理を実行していなくても、そのままマイクロ波調理を開始できる。しかし、主電源スイッチ97を一旦OFFにした場合には、マイクロ波加熱調理を開始するためには、最初に主電源スイッチ97を入れる必要がある。
安全上、前記主電源スイッチ97は、マイクロ波加熱、オーブン(加熱室113)加熱及び誘導加熱の何れかを使用が終了した最後のタイミングから、一定時間(例えば、30分)後に自動的にリセットされて開放される。または、トッププレート15や加熱室113等の温度が全て規定値以下に下がった場合に、主電源スイッチ97は、自動的に開放される。このような安全対策を採用している。
次に、ドア114を開けて、食品等の被調理物を加熱室113に入れ、ドア114を占めた後で、入力操作部40の中央操作部40Mにおいて、入力キー43MS(図15参照)によってマイクロ波加熱調理の開始が指令されると、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に対して駆動指令を出し、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129の運転を開始させる。
マイクロ波加熱制御部130は、マグネトロン122のインバーター回路121Aを駆動して、発振部122Aからマイクロ波を放射させる。なお、ここでいうマイクロ波とは、2450MH±50MHzの電波のことである。
発生したマイクロ波は、導波管123からアンテナケース124の中に導かれる。アンテナ125の駆動用モータ126は、マイクロ波が発振されたタイミングで運転開始しているので、アンテナケース124の中に導入されたマイクロ波は、回転するアンテナ125と、回転軸126Aの作用により、加熱室113の内部に均等に伝搬させることができる。なお、この種のアンテナと回転軸126Aの作用は、例えば日本特許第4836965号及び特許第5674914号によって詳細に説明されているので、詳しい説明は省略する。
第3冷却ファン128が運転されると、下部ケース101の底板101Uに形成した吸気口F152Fから空気がケースA150の内部に吸引され、冷却風RF5となる。そして冷却風RF5は、最初にインバーター回路基板121を冷却し、当該回路基板に実装している各種電気部品を冷却する。
冷却風RF5は、次にケースA150の上下2個所に設けた連通口B138Bと連通口A138Aの中を通過し、連通口B138Bを通過した冷却風RF5は、温度センサー160の背面に当る。
温度センサー160は、右側仕切板166Aの取付孔の中に設置してある。温度センサー160の外殻ケースと取付孔の口縁との間には、数mm以下の微小な間隙が存在する。この間隙を、前記冷却風RF5が通過して、温度センサー160の検知窓161から加熱室113内部へ吹き出される。
一方、インバーター回路基板121を冷却した冷却風RF5の大部分は、連通口A138Aの方から通路172へ案内される。つまり、加熱室113の上方を覆っている上部ケース169と、仕切板171との間に形成された通路172へ案内される。この通路は、加熱室113の上方にある上部ヒータ163Aが300℃を超えるような高温になっても、その高熱を上部ユニット100側へ伝わらないようにする効果がある。
連通口A138Aから連通口173の位置を平面的に見ると、通路172を斜め後方に横切った位置に連通口173がある。つまり、最も遠い位置に連通口がある。
このため、通路172の全体の空気は連通口173に案内され、連通口173を通過して後方に水平に伸びる排気ダクト102の中に導入される(図10参照)。
冷却風RF5は、排気ダクト102を出た段階で、下側から上昇してくる冷却風RF6と合流して、排気口20から室内へ放出される。
次に、第4冷却ファン129による冷却風RF6の流れについて説明する。
第4冷却ファン129が運転されると、図8に示したように下部ケース101の底板101Uに形成した吸気口B152Bから空気がケースA151の内部に吸引され、冷却風RF6となる。そして冷却風RF6は、最初にマグネトロン122の放熱部122Hを冷却し、当該放熱部122Hを通過してダクト153の中に至る。
冷却風RF6は、次にダクト153から加熱室113の右側に隣接している空隙GP5Rに入り、前方側へ進む。そして図12に示したように導入口201から加熱室113の中に導入される。
前記導入口201は、加熱室113の開口113Aに近い位置にあるため、冷却風RF6の一部は、ドア114の内側にも到達し、シール板196の加熱室113側に生ずる曇りを解消させる。
加熱室113の中に導入された冷却風RF6は、加熱室113の内部で食品等の被加熱物から発生する水蒸気や煙等を排出する目的がある。具体的には、冷却風RF6は、図10に示しているように加熱室113の前部から後方に移動し、最終的には後部の天井部に形成された連通口174に至る。
冷却風RF6は、連通口174から後方に水平に伸びる排気ダクト102の中に導入される。そして冷却風RF6は、排気ダクト102を出た段階で、冷却風RF5の上昇気流に誘引されるように合流して、排気口20から室内へ放出される。
冷却風RF5と冷却風RF6の最初の風量が同等であった場合でも、この実施の形態1のような経路の違いによって、冷却風RF5の方がダクト102から放出される際、風速が早かった。そのため、下方から放出された冷却風RF5を誘引する作用がある。
冷却風RF5、RF6を排気ダクト102から強制的に放出するため、排気ダクト102の途中に排気ファンを設けても良い。この実施の形態1では、そのような排気ファンを省略しているので、コスト的に安価で実現でき、また上部ユニット100内部への部品配置を考える上で有利である。
(オーブン加熱調理の基本動作)
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器1において、オーブン加熱装置140の基本動作について説明する。
前記主電源スイッチ97をONにした場合、統合制御装置MCは、何らかの調理が開始されるものと推定して予備起動する。このため、上部ユニット100において実際に誘導加熱調理やマイクロ波加熱調理を実行していなくても、そのままオーブン加熱調理を開始できる。しかし、主電源スイッチ97を一旦OFFにした場合には、オーブン加熱調理を開始するためには、最初に主電源スイッチ97を入れる必要がある。
次に、ドア114を開けて、食品等の被調理物を加熱室113に入れ、その後入力操作部40の中央操作部40Mにおいて、加熱室113を使用した調理の制御メニューを選択する。例えば、魚や肉を焼き上げる調理の場合には、加熱時間や火力を設定する。但し、自動的に焼き上げる制御メニューを選択した場合には、火力は加熱室制御部159によって自動で設定される。なお、この制御メニューを選択することについては、この後の図32~図38で説明する。
加熱室制御部159は、統合制御装置MCからの指令信号を受けて、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの通電の有無、通電の時間帯、通電パターン(間欠加熱)、火力等を制御する。
温度センサーTS2は、加熱室113の中の温度を赤外線信号で検知し、検知温度データを前記加熱室制御部159に送信する。加熱室制御部159は、目標温度と検出された温度との差を見て、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの双方、又は何れか一方の通電を制御する。
また、タイマー調理の制御方法が中央操作部40Mで入力された場合、設定時間だけ上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの双方、又は何れか一方の通電が行われる。つまり、加熱室制御部159は、温度センサーTS2の検知温度データに従って、通電時間を制限しない。
ドア114を閉めた後で、入力操作部40の中央操作部40M(入力キー43MS)において、オーブン(加熱室113)加熱調理の開始が指令されると、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に対して駆動指令を出し、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の運転を開始する。なお、加熱室制御部159から直接第3冷却ファン128と第4冷却ファン129に駆動指令信号を出すようにしても良い。
第3冷却ファン128が運転されると、下部ケース101の底板101Uに形成した吸気口F152Fから空気がケースA150の内部に吸引される。しかし、マイクロ波加熱調理の場合と異なり、インバーター回路基板121の発熱はない。そのため冷却風RF5は、インバーター回路121基板を冷却することなく、連通口B138Bと連通口A138Aの中に、それぞれ入る。
そして、連通口A138Aの中を通過した冷却風RF5は、温度センサー160の外殻ケースと取付孔の口縁との間の間隙から検知窓161を経て、加熱室113内部へ吹き出される。
一方、連通口A138Aを通過した冷却風RF5は、通路172へ案内される。そして、上部ケース169を冷却しながら連通口173に至り、その後は排気ダクト102の中に導入される(図10参照)。
一方、第4冷却ファン129による冷却風RF6は、マグネトロン122の放熱部122を通過し、ダクト153の中に至る。しかし、マグネトロン122は駆動されていないので、発熱していない。そのため、冷却風RF6は殆ど温度上昇せずに空隙GP5Rに入る。
そして冷却風RF6は、図12に示したように導入口201から加熱室113の中に導入される。そのため、ドア114の内側部分に冷却風RF6が到達する。
加熱室113の中においた食品等の被調理物は、上部ヒータ163A又は下部ヒータ163Bの輻射熱により水蒸気や油煙等を発生する場合がある。そのような水蒸気、油煙等は、図10に示しているように加熱室113の前部から後方に移動する冷却風RF6によって連通口174まで運ばれる。
その後、冷却風RF6は、連通口174から後方に水平に伸びる排気ダクト102の中に導入される。そして、冷却風RF6は排気ダクト102を出た段階で、上方へ上昇していく冷却風RF5に誘引されながら、排気口20を通過して室内へ放出される。
以上説明した実施の形態1では、主電源スイッチ97をONにしたあと、統合制御装置MCが、ある段階まで加熱調理器1の全体の状況し、その後、仮に左操作部40L又は右操作部40Rが操作された場合には、以後の誘導加熱制御を制御装置90に委ねていた。しかしながら、統合制御装置MCが制御する範囲を、IH制御装置90との間で変更しても良い。
また、同様に統合制御装置MCが制御する範囲を、加熱室制御部159やマイクロ波加熱制御部130との間で変更しても良い。
例えば、誘導加熱、マイクロ波加熱又はオーブン(加熱室)加熱の何れかの調理メニューの選択がされた以後は、IH制御装置90、加熱室制御部159又はマイクロ波加熱制御部130の何れかで基本的に加熱に関する制御動作をすることでも良い。
その場合、入力操作部40にて新たな入力が行われた場合(加熱停止を含む)には、一旦は統合制御装置MCにて制御するが、入力が行われない場合には、そのままIH制御装置90、加熱室制御部159又はマイクロ波加熱制御部130の何れかで調理を実行させることで良い。
具体的な例について、図31を参照して以下説明する。
図31は、加熱調理器1において、誘導加熱調理の1種である揚げ物調理(自動)を行った場合の、IH制御装置90の動作を説明したフローチャートである。
誘導加熱調理の調理メニューにおいて、「揚げ物(自動調理)」が選択された場合、鍋の中に入れた食用油の温度は、温度検出回路93によって監視され、自動的にIHコイル17L、17Rの火力は制御される。
揚げ物調理(自動)の制御メニューを使用者が選択すると、IH制御装置90は、図31に示すように、予熱工程、揚げ物調理工程、火力アップ工程を順次実行する。また前記統合表示部30の表示画面30Dには、必要な情報、参考情報(例えば、予熱に要する予想時間など)を示す情報が文字や図形等で現れる。また電力制御部72によって電力が制限(抑制)されない優先調理である旨も、表示される。
このため、この揚げ物調理中には、マイクロ波加熱やオーブン加熱の使用があっても、電力が優先的に確保されることが使用者に認識できる。
予熱工程では、使用者が設定した目標の油温度が180℃である場合、予熱工程では所定の火力値(最大1500W)で、インバーター回路81R(又は81L)が駆動開始され、急速に油の温度は室温(例えば20℃)から目標温度T1の180℃まで上昇する。
この温度上昇は、前記した温度検出回路93によってリアルタイムで監視されているので、目標温度T1(第1の温度)の180℃になったことが温度検出回路93によって検出されると、IH制御装置90は、誘導加熱量、つまりインバーター出力を調節して、目標温度をそのまま維持しようとする(このような温度検出情報に基づいて、目標温度に近づけようと高周波火力を自動的に調節する動作を以下、「温度フィードバック制御」という)。
その後、統合制御装置MCへ表示要請指令を出し、音声合成装置95を介して使用者に「油の温度が適温になりました。具材を投入してください」というような音声ガイドを行う。
使用者が具材、例えば冷凍されていたコロッケを油の中に入れると、その油は冷たい具材によってその投入時点から急速に冷やされるので、図31に示すように温度が急降下する。しかし、温度検出回路93はこのような温度降下の動きを監視しているので、直ちにインバーター回路81R(81L)の火力を所定の火力1500W又は1800Wに上げて駆動するので、油の温度は再び上昇する(温度フィードバック制御)。このようにしてして再び目標温度T1に至った段階で直ちに(または所定時間経過したら)揚げ物工程から火力アップ工程に移行する。
火力アップ工程では、前記目標温度T1よりも高い第2の温度T2の225℃と、これより更に高い上限温度(第3の温度)T3の230℃間に油の温度が維持されるように制御装置90はインバーター回路81R(81L)を制御する。
図31に示すように火力値は900W程度で間欠駆動される。この第3の温度T3になった以降の工程を「揚げ物仕上げ工程」と呼び、揚げ物をカラッと仕上げるために重要な工程である。このような火力アップ工程で十分な火力を投入して調理しないと、揚げ物がうまくできないことになる。なお、揚げ物工程は所定の時間内に制限されていないので、使用者が入力キー44R(又は入力キー45L)を押下すれば、揚げ物調理は全て終了する。
図31に示すように(自動)揚げ物調理の制御メニューにおいて、前記揚げ物調理工程から火力アップ工程までを「優先調理メニューの実行時間帯」と定義しており、この実行時間帯には、他の加熱源の開始や運転条件変更によって、電力の削減が行われないようにしている。つまり、この誘導加熱のIH制御装置90は、実行中の調理メニューが、前記「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかを常に把握し、もしその実行時間帯にある場合には、その旨を外部に報知する機能を有している。
以上の説明で明らかなように、特定の加熱工程に入った場合には、その都度統合制御装置MCがIH制御装置90に対して制御信号を発することなく、加熱工程の進捗は、全てそのIH制御装置90の制御に委ねている。
次に、統合表示部30と、中央操作部40M、右操作部40R及び左操作部40Lの各種入力キーとの関係について図32~図38を参照して説明する。
図32は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図である。図33は、誘導加熱調理の開始の前後における左操作部40Lと左側表示部31Lの平面図である。図34は、統合表示部30と左側表示部31Lの表示内容の変化を示す説明図である。図35は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図1である。図36は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図2である。図37は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図3である。図38は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図4である。
図32について説明する。主電源スイッチ97をOFFにしている状態では、統合表示部30は起動されていないので、何も情報を表示していない。
主電源スイッチ97をONにした状態では、統合制御装置MCは、前述したように異常有無等の自己診断を行ったあとで、図32の表示画面1を統合表示部30で表示する。
図32の表示画面1において、30Aは、電源が入っていることを報知した表示文である。30Bは、インターネット経由で専用のレシピ掲載サイトに誘導するための二次元情報(二次元コード)である。30Cは、その二次元コードの意味を説明した文章である。この二次元情報30Cと、前記表示文30Aは、この発明でいう「待機時共通情報」30Nの1種である。
図32の表示画面1が表示されたあと、自動的に表示画面2A又は2Bが表示される場合がある。表示画面2Aにおいて、「突沸注意」は、注意表示の1つである。この「突沸」とは、例えばカレーやシチューのような被調理物を加熱している場合、その被調理物の内部が沸点以上の過熱状態になっていて、突発的に激しい沸騰を起こす現象をいう。熱せられた液体から蒸気が噴き出すことに伴い、熱い液滴が飛散して危険な場合がある。突沸が発生するタイミング、原因は、外部からの異物の混入又は衝撃であると言われている。そのため、この表示画面2に表示しているように、被調理物を入れた金属鍋等をトッププレート15の上に置いて誘導加熱する際に、その被調理物をかき混ぜる際の注意喚起を、注意表示している。この注意表示している情報は、この発明でいう「待機時共通情報」30Nの1種である
表示画面2Bにおいて、30Eは、加熱室113の内部が高温度になっていて、不用意に接触しないように警告した注意表示である。加熱室113でオーブン調理を実施したあとで、まだ加熱室113が十分冷え切っていないことを統合制御装置MCが検知した場合、この表示画面2の状態に自動的に切り替わる。なお、表示画面2Aと2Bは、同時に表示できないが、数秒間隔で交互に表示することにより、突沸と高温報知の両方について注意喚起するようにしても良い。なお、音声合成装置95によって、表示画面2Aと2Bの注意喚起を音声でも並行して行っても良い。
図32の表示画面1~表示画面2A、2Bによって明らかなように、これら表示は、表示画面30Dの全体を利用して行っている。つまり、前述した第1エリア30L~第3エリア30Rの何れかで部分的に表示するのではなく、できるだけ広い表示面積を確保するため、第1エリア30L~第3エリア30Rの3つを識別できないように一体化表示をして、ユーザーには統合表示部30の全体で表示しているように見せている。
前記表示画面1~表示画面2A、2Bは、図24の動作ステップでいうと、ST3の段階である。
この表示画面1~表示画面2A、2Bの表示時点から一定時間、例えば10秒経過すると、加熱源(加熱手段)の選択を促す表示内容に変化する(図24の動作ステップST4)。
そこで、次に上部ユニット100において、誘導加熱する場合について説明する。図24の動作ステップでいうと、ST6の段階である。
図33は、左加熱源17HLのための左側表示部31Lと左操作部40Lを平面的に見た図である。左加熱部17HLによる調理を選択するための入力キー43L1を押さない前は、図33(A)に示した状態である。
入力キー43L1を押すと、統合制御装置MCは、左加熱源17HLをユーザーが選択したことを検知し、図33(B)に示しているように、個別発光部27L3を発光させ、操作入力を受け付けたことを表示する。
タイマー調理を選択する入力キー43L4も入力待ちの状況であるため、個別発光部27L1を点滅させる。また、制御メニューの選択も入力待ちの状況であるため、入力キー44Lの真後ろにある個別発光部27L2を点滅させる。図33(B)で、星印の図形は、発光表示部27によって点灯したこと又は点滅していることを示すものである。
誘導加熱調理時の火力段階を示す火力表示部67Lは、デフォルト火力が「3」に設定してあれば、火力3を示すまで火力表示部67Lの発光部を左側から連続して発光させ(又は青色を赤色に変更させ)、ユーザーに火力の大きさを表示する。
ユーザーがデフォルト設定の火力ではない火力に変更する場合、入力キー43L2又は43L3を押せば、1回押す毎に1段階火力が小さくなり、または大きくなり、それに応じて火力表示部67Lの発光部(又は赤色発光部)の範囲が左側から右に拡大し、又は左側へ縮小して、火力の調節状態をユーザーに表示する。
次に図34について説明する。
図34は、加熱調理器1の左操作部40Lと左側表示部31Lの動作説明図である。
図34において、左側に描いた(A)~(C)の図は、左操作部40Lと左側表示部31Lの模式図であり、操作開始前の状態を示したものは、図34(A)である。
図33で説明したように、入力キー43L1を操作すると、図34(B)に示しているように、発光表示部27L3が発光する。
図34(B)の状態では、発光表示部27L4も点灯しており、入力キー43L2と43L3の双方とも入力機能は有効であることが分かる。そこで、この左側の入力キー43L2を2回押すと火力が下がる。なお、火力の増減は、直ぐ後方にある火力表示部67Lの発光状態で分かる。
更に火力レベル1の段階で、入力キー43L2を1回押すと火力レベル1の下まで指定されたことになるが、統合制御装置MCでは、「保温」の制御モードを指定したと判断し、図34の表示画面3Aを、統合表示部30の表示画面30Dで表示する。
表示画面30Dは、表示画面3Aから分かるように、第1エリア30Lに「鍋等の容器の図」を表示し、第2エリア30Mと第3エリア30Rは結合されて、横長の広い表示エリアになっており、その第2エリア30Mと第3エリア30Rの結合されたスペースに、「保温(左IH)」という文字を表示し、保温の温度は約80℃であることを表示している。そして、スープなどにお薦めの制御メニューであることを説明文30Fで示している。なお、この表示画面3Aの段階では、左側表示部31Lには何も表示されない。
次に、図34(B)の状態で、入力キー44Lを押すと、押す度に、制御メニュー群の中から1つの制御メニューが選択されて、表示画面3Bのように表示される。表示画面3Bの例では「揚げ物」が選択されたことを示している。この図34(B)の状態で、一定時間経過すると、左加熱部17HLの制御メニューは「揚げ物」で確定し、IHコイル17Lの駆動が開始される。
表示画面3Bのケースでは、デフォルト温度は180℃に設定されているので、左側表示部31Lには、図34に示すように「揚げ物 180℃」という文字が表示される。
この「180℃」という温度は、食用油をIHコイル17Lで加熱して、180℃近傍に維持するということであり、その180℃に到達した際には、音声合成装置95によって音声で報知され、それに加えて、この統合表示部30によって「予熱温度に到達」したことが表示され、食材の投入等が促される。
仮に、この揚げ物の予熱(目標)温度を、変更したい場合には、入力キー43L2によって温度を下げたり、入力キー43L3によって温度を上げたりすることができる。
表示画面30Dは、表示画面3Bから分かるように、第2エリア30Mと第3エリア30Rは結合されて、横長の広い表示エリアになっており、その第2エリア30Mと第3エリア30Rの結合されたスペースに、予熱の開始と、予熱動作中は、加熱調理器1の傍から離れないことの注意文30Gを表示している。
次に、図34(B)の状態で、入力キー44Lを押して、別の制御メニューとして「適温」を選択すると、表示画面3Cのように表示される。この表示画面3Cに示しているように、「適温」という制御メニューは、鍋等を設定温度(デフォルト温度は、180℃)に温めることと、玉子焼きなどにお薦めの制御モードである。このような意味が理解できるように推奨文30Hで示される。なお、この表示画面3Cの段階では、左側表示部31Lには「予熱 180℃」という文字情報が表示される。
次に図35について説明する。
図35は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作した場合の、統合表示部30の表示動作を説明した模式図である。
図35において、表示画面4STが、統合制御装置MCによって定められたデフォルト表示画面である。
図15で説明したように、入力キー43MCを操作すると、図35の表示画面4STが統合表示部30に表示される。
表示画面4STから明らかなように、第1エリア30Lの前後方向の中央には、「あたため」という制御メニューの名称を示す特定文30Jが大きく表示される。
第1エリア30Lの中央に表示された「あたため」の特定文30Jの後方には、「オーブン」という文字が、また逆に前方側には「レンジ手動」という文字が、少し小さく表示される。
そして、ユーザーが制御メニューを選択する場合、次の候補は「オーブン」と「レンジ手動」であることが分かる。仮にこの段階で、第1エリア31Lに対応した位置にある(左側)入力キー43M1を1回押すと、「あたため」という文字(特定文30J)は「レンジ手動」に変わる。
また、第1エリア31Lに対応した位置にある(右側)入力キー43M1を1回押すと、「あたため」という文字は「オーブン」に変わる。
図35において、デフォルト表示の画面である表示画面4STは、第2エリア30Mに「80℃」という目標温度情報30Tが表示される。この目標温度でマイクロ波加熱した場合には、食品の温度が80℃であると、温度センサーTS1によって検知された際に、マイクロ波加熱は自動的に停止される。
この第2エリア30Mの目標温度(80℃)を上げて85℃にするためには、第2エリア30Mの直前位置にある、右側の入力キー43M2を1回操作する。逆に温度を下げて75℃にしたい場合には、左側の入力キー43M2を1回操作すれば良い。
第2エリア30Mの目標温度(80℃)の数字の上には、山型の記号30UPが表示されている。また、同じく80℃の数字の下には、下方に尖った(V字形状の)記号30DNが表示されている。
この記号30UPと、統合表示部30の(右側の)入力キー43M2の形状を類似させているので、温度や火力等を上げる場合には、右側の入力キー43M2を操作すれば良いことがユーザーには理解しやすい。
逆に、30DNと統合表示部30の(左側の)入力キー43M2の形状を類似させているので、温度や火力等を下げる場合には、左側の入力キー43M2を操作すれば良いことがユーザーには理解しやすい。この対応ルールは、第3エリア30Rの表示と左右1対の入力キー43M3との関係でも適用される。このように、ユーザーの入力操作時における操作ミス(入力キーの間違い)を避ける工夫を採用している。
図35において、30Kは、加熱源がマイクロ波加熱源189であることを文字で表示した加熱源表示部である。なお、30Pは、前記したように、おかず等の温めにお薦めの制御メニューであることを示した参考情報である。なお、この参考情報の内容は、別の付加情報30Qであっても良く、2種類以上の情報を表示画面30Dで、数秒間ずつ交互に表示しても良い。
次に図36について説明する。
図36は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作した場合の、統合表示部30の表示動作を説明した別の模式図である。
図36において、制御メニューを「レンジ手動」にした場合の、表示画面5STが、統合制御装置MCによって定められたデフォルト表示画面である。
図15と図35で説明したように、入力キー43MCを操作すると、図35の表示画面4STが統合表示部30に表示される。その次に、中央操作部40Mの左側の入力キー43M1を何回操作した場合、特定文30Jは、「レンジ手動」に変化し、この図36の表示画面5STが統合表示部30に表示される。
表示画面5STから明らかなように、第1エリア30Lの前後方向の中央には「レンジ手動」という制御メニューの特定文30Jが大きく表示される。
図36の表示画面5STにおいて、第2エリア30Mには「500W」というマイクロ波出力値(ワット値)情報30Xが表示される。また、隣接した第3エリア30Rには、「1分00秒」というマイクロ波加熱時間情報30MYが表示される。この表示画面5STから分かるように、この「レンジ手動」の制御メニューでは、最初からマイクロ波加熱源189を使用することが分かっているので、図35に示したような(マイクロ波加熱源189であることを文字で表示した)加熱源表示部30Kは、表示しないで良い。
この表示画面5STの第2エリア30Mのマイクロ波出力値(ワット値)500Wを、1段階下げて200Wにしたい場合には、左側の入力キー43M2を1回操作すれば良い。
同様に、第2エリア30Rの加熱時間を長くして1分10秒にするためには、第3エリア30Mの直前位置にある、右側の入力キー43M3を1回操作する。逆に加熱時間を1段階短くして50秒にしたい場合には、左側の入力キー43M3を1回操作すれば良い。
図36の表示画面5STにおいて、第2エリア30Mの出力(500W)の数字の上には、前記山型の記号30UPが表示されていない。また、同じく500Wの数字の下には、下方に尖った(V字形状の)記号30DNが表示されている。
図36における表示画面5DNNは、最小火力(100W)と最短時間(10秒間)を示したものであり、第1エリア30Lの表示内容は省略している。
この表示画面5DNNの最小火力(100W)の上側だけに、前記記号30UPが表示されており、この火力より大きな火力しか選択できないことを示している。また、同じく、最短時間(10秒)の数字の上側だけに記号30UPが表示されており、記号30DNは表示されていない。つまり、ここでも記号30UPによって、これより短い時間の選択は出来ないことを示している。
次に図37について説明する。
図37は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作した場合の、統合表示部30の表示動作を説明した更に別の模式図である。
図36で示した表示画面の状態で、第1エリア30Lに対応した左側の入力キー43M1を1回操作すると、図37に示したように、制御メニューは「レンジ手動」から「葉菜下ゆで」に変更できる。
図37の、表示画面6STがデフォルト表示画面である。第1エリア30Lには制御メニューの特定文(名称)30Jである「葉菜下ゆで」が大きく表示される。
第2エリア30Mには、マイクロ波出力レベルを示す情報30Vが「標準」と表示され、このまま調理スタートすると500Wで加熱されることになる。なお、この「標準」という場合のマイクロ波出力値は、500Wの場合もあるが、これ以外であっても良い。つまり、マイクロ波加熱源9を使用する場合の、火力レベルの「標準」とは、個々の制御メニューで異なり、常に同じ出力(例えば、500W)ではない。
図37の第1エリア30Lには、図35で説明したように、加熱源がマイクロ波加熱源189であることを文字で表示した加熱源表示部30Kを表示する。なお、30Pは、前記したように、おかず等の温めにお薦めの制御モードであることを示した推奨文である。なお、この推奨文の内容は、別の付加情報30Qであっても良く、2種類以上の情報を表示画面30Dで、数秒間ずつ交互に表示しても良い。
次に図38について説明する。
図38は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作した場合の、統合表示部30の表示動作を説明した更に別の模式図である。
図38は、「RG調理」という制御メニューを選択する場面を示したものである。
RG調理とは、前述したが、加熱室113を使用して、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理する「レンジグリル調理」のことである。マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。なお、ここでいう「同時」とは、加熱開始と終了の両方のタイミングが同じであるという意味ではなく、加熱動作が重なる時間帯のある場合も含む。
図38に示した表示画面7ST1では、最初にマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の両方を同時に駆動して1分間加熱し、その後、オーブン加熱源188だけで5分間加熱するという加熱制御(時間制御)パターンであることが分かる。
なお、「レンジ&グリル」の用語を使用せず、短縮形の「RG」を使用しているのは、第1の表示エリア30Lに表示できる文字数を最小限にするためものである。より多くの文字数を表示させようとすると、第1エリア30Lの専有面積が増えてしまうからである。
この図38に示す表示の例では、第2エリア30Mには加熱時間の情報30Sが分単位で表示され、またその後のグリル調理の加熱時間情報30GYも、分単位で表示される。
これら第1エリア30Lに示された加熱時間情報30Sと、第3エリア30Rの加熱時間情報30GYは、中央操作部40Mの入力キー43M2、43M3によって、適宜変更できる。
図38において、表示画面7ST2は、最初にマイクロ波加熱源189単独で、1分間加熱(マイクロ波出力500W)し、その後、オーブン加熱源188だけで5分間加熱するという加熱制御(時間制御)パターンの場合である。この表示画面7ST2は、デフォルト表示画面である。
次に図39について説明する。
図39は、図37に示した表示画面6STの表示内容と、中央操作部40Mとの動作を説明した平面模式図である。
図39に示しているように、中央操作部40Mにおいて、個別発光部27M1~27M6を配置しており、主電源スイッチ97を投入した段階では、表示部駆動回路63によって個々の個別発光部27M1~27M4は、統一された発光色で発光する。
その後、さらには、制御メニューの選択用入力キー43MCを操作すると、第1エリア30Lには、図37に示した表示画面6STがデフォルトで表示される。
この表示段階では、第1エリア30Lと第2エリア30Mに対応している合計4つの入力キー43M1~43M2は、何れも入力を受け付けることができる。そのため、それら4つの入力キー43M1~43M2に対応する2つの個別発光部27M3、27M4は、発光を継続する。
一方、図39に示しているように表示画面6STや表示画面6UP1、6DN1等が表示された後は、スタート用の入力キー43MSと対応している個別発光部27M6は、図39に示しているように、連続発光から点滅に変化する。そして、入力キー43MSの存在を光で強調する。ユーザーがこの入力キー43MSにタッチすれば、加熱調理動作が開始される。
このように、この実施の形態1では、メニュー選択部となる入力キー43M1と、スタート選択部となる入力キー43MSの、それぞれの入力機能が有効である場合に第1の発光形態(連続発光)で個々の発光部27M1~27M6を発光させる発光手段(表示部駆動回路63)を備え、
前記統合制御部MCは、前記参考情報30Pを表示させた場合、前記スタート選択部(入力キー43MS)に対応している発光部27M6だけを、第2の発光形態(点滅)で発光させる構成である。
上記構成であるため、加熱調理の開始指令を待っている状態が、前記発光部27M6の点滅によってユーザーは容易に識別できる。なお、発光部27M6は、マイクロ波加熱とオーブン加熱の動作を停止させることができるタッチ式入力キー43MTにも対応しているので、発光部27M6が発光している場合には、入力キー43MTも入力機能は有効であり、タッチ操作すれば、加熱停止の指令を発信できる。
なお、主電源スイッチ97を投入した段階では、表示部駆動回路63によって、スタート選択部となる入力キー43MSに対応した発光部27M6だけを、最初から点滅させるようにしても良い。また、その他の発光部27M1~27M4は、連続発光をさせ、スタート選択部の入力キー43MSとは異なる形態で発光させても良い。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1の複合型加熱調理器は、第1の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
加熱室113内で被調理物を加熱するマイクロ波加熱源189と、
前記加熱室113内を加熱するオーブン加熱源188と、
ユーザーの操作を受け付ける入力操作部40と、
前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188に共用され、表示画面30Dを有する統合表示部30と、
前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188を制御する制御部(IH制御部90、統合制御装置MC)と、を備え、
前記入力操作部40には、制御メニュー群の中から特定の制御メニュー(例えば、「あたため」)を選択するための入力キー43M1と、前記第マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188の加熱動作指令できるスタート用の入力キー43MSと、を有し、
前記制御部は、前記入力キー43M1が押下されたと判断すると、1つの制御メニュー(例えば、「あたため」)と、当該制御メニューに適用される1つ以上の「制御条件」情報(これは、加熱強度情報(火力値を含む)又は目標温度情報30T(例えば、80℃)の両者又は何れか一方との組み合わせを示す情報を含む)を、前記表示画面30D(第1エリア30L、第2エリア30M)に表示させ、前記制御部は、前記制御メニュー又は前記制御条件に対応した加熱調理の参考情報30P(推奨文)を表示させ、この状態で前記スタート用入力43MSキーが押された場合、当該制御メニュー(例えば、「あたため」)の実行を開始することを特徴とする構成である。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱とオーブン加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
しかも、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188に共用される統合表示部30の表示画面30Dにおいて、マイクロ波加熱を行う場合の1つの制御メニューの選定において、その特定の制御メニュー(例えば、「あたため」)を選択して調理開始をスタートさせる前に、その制御メニューと1つ以上の「制御条件」との組み合せに対応した、参考情報30P(推奨文)が表示されるので、ユーザーによる制御メニューの確定作業を支援できる。このため、複合型加熱調理器であっても使い勝手が良い加熱調理器とすることができる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1の複合型加熱調理器は、第2の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
被加熱物が載置されるトッププレート15を上面に有した本体110と、
前記本体110の内部に設置され、前記トッププレート15を介して前記被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、
前記本体110の内部で前記誘導加熱源9よりも下方に設置され、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、
前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源188と、
前記本体110の上面前方部に左右方向に長く設置された入力操作部40と、
前記入力操作部40の指令を受けて、前記誘導加熱源9と、マイクロ波加熱源189と、前記オーブン加熱源188とを制御する制御装置(統合制御装置MC、IH制御装置90、加熱室制御部159、マイクロ波加熱制御部130)と、を備え、
前記誘導加熱源9は、前記トッププレート15の左側部分にある左加熱部17HLと、前記トッププレート15の右側部分にある右加熱部17HRと、を有し、
前記入力操作部40は、中央部に前記マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188用の中央操作部40Mを配置し、この中央操作部40Mの左側に前記左加熱部用の左操作部40Lを、また当該中央操作部の右側に前記右加熱部用の右操作部40Rを配置し、
前記中央操作部40Mに隣接した位置には、前記誘導加熱源9と、前記マイクロ波加熱源189と、前記オーブン加熱源188のための、加熱動作開始前の共通情報を表示し、かつ前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188のための、複数の制御メニュー(例えば、「オーブン」と「あたため」)とが同時に表示可能な表示画面を有する統合表示部30を配置し、
前記制御手段は、電源が供給されると、
(1)前記表示画面に、前記加熱動作開始前の共通情報(表示画面2A、2B)を表示し、
(2)前記中央操作部40Mと、前記右操作部40Rと、前記左操作部40Lによって、前記誘導加熱源9と、マイクロ波加熱源189と、前記オーブン加熱源188の選択を待つ入力待機状態(図24の、ステップST4~ST6)になることを特徴とする構成である。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、誘導加熱と、マイクロ波加熱とオーブン加熱の3種類が実施でき、より幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
しかも、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188と、誘導加熱源9による加熱動作開始前の共通情報を、表示画面2A、2B(図32参照)に示したように統合表示部30の表示画面30Dにおいて表示する。その後、それら3つの加熱源188の選択を待つ入力待機状態(図24の、ステップST4~ST6)になるので、ユーザーによる加熱動作開始前に、安全性や使用方法等の利便性の高い共通情報をユーザーに伝達でき、その後の入力操作の負担を軽減できる。このため、複合型加熱調理器であっても使い勝手が良い加熱調理器とすることができる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1の複合型加熱調理器は、以下の特徴的な構成を実施していた。すなわち、
加熱室113と、
マイクロ波加熱源189と、
前記加熱室113内を加熱するオーブン加熱源188と、
入力操作部40と、
前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188に共用され、表示画面30Dを有する統合表示部30と、
前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188及び前記統合表示部30を制御する制御部(統合制御装置MC、加熱室制御部159及びマイクロ波加熱制御部130)と、を備え、
前記入力操作部40には、制御メニュー群の中からマイクロ波加熱源を使用する第1の(特定の)制御メニュー(例えば、「あたため」)と、オーブン加熱源を使用する第2の(特定の)制御メニュー(例えば、「オーブン」)を選択するためのメニュー選択手段(入力キー43M1)を有し、
前記制御部は、前記表示画面30Dにおいて、前記第1の制御メニュー(例えば、「あたため」)を前記表示画面30Dに表示させた場合、前記マイクロ波加熱源を識別できる表示30Kと、当該制御メニュー(例えば、「あたため」)に適用される加熱強度情報又は目標温度情報30T(例えば、80℃)の両者又は何れか一方との組み合わせ(1つ以上の「制御条件」)を示す情報を、対応させて表示(例えば、図35の表示画面4ST)させることを特徴とする構成である。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱とオーブン加熱の2種類が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
しかも、2種類の加熱源に共用される統合表示部では、前記表示画面30Dにおいて、前記制御メニュー群の中から前記第1の制御メニュー(例えば、「あたため」)を前記表示画面30Dに表示させた場合、マイクロ波加熱源189を識別できる表示30Kと、当該第1の制御メニュー(例えば、「あたため」)に適用される目標温度情報30T(例えば、80℃)の組み合わせ示す情報を表示させるので、ユーザーによる加熱源の動作開始前に、制御メニューに関係する加熱源と目標温度等の制御条件を確認でき、ユーザーの入力操作の負担を軽減できる。このため、複合型加熱調理器であっても使い勝手が良い加熱調理器とすることができる。
以上の各発明の他、この実施の形態1の複合型加熱調理器は、特徴的な形態を備えていたので、以下のような利点もある。
特徴1.
被加熱物を加熱する誘導加熱源9を有し、厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100に取り付けられ、加熱室113を内蔵した下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室113を加熱するオーブン加熱装置140と、を配置し、
前記上部ユニット100には、前記誘導加熱源9、前記マイクロ波加熱装置120及び前記オーブン加熱装置140の3者を集中して制御する統合制御装置MCを備え、
前記上部ユニット100には、前記統合制御装置MCによって制御される誘導加熱回路94L、94Rと、商用電源99からの電力を受けるフィルター回路を実装したフィルター回路基板54と、このフィルター回路基板54からの電力を受ける(第1の)インバーター回路81を実装したインバーター回路基板80と、を有し、
前記下部ユニット200には、前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波加熱制御部130と、前記オーブン加熱装置140の加熱室制御部159と、前記フィルター回路基板54からの電力を受ける(第2の)インバーター回路基板121Aとを配置し、
前記上部ユニット100のフィルター回路から、前記マイクロ波加熱装置の制御部130と、前記オーブン加熱装置140の、それぞれの加熱源用電力を供給する構成である。
従ってこの特徴1の構成によれば、上部ユニット100と下部ユニット200に、3種類の加熱源を備えていることにより、従来よりも幅広い複合調理を行うことができる。
また、統合制御装置MCのよる集中制御により、上部ユニット100と下部ユニット200にそれぞれ配置したインバーター回路基板を連携させることができ、また上部ユニットのフィルター回路から加熱用電力を3つの加熱源に分配し、商用電源側にノイズの還流も低減できる複合型加熱調理器を提供できる。
特徴2.
被加熱物を加熱する誘導加熱源9を有し、厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100に取り付けられ、加熱室113を内蔵した下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室113を加熱するオーブン加熱装置140と、を配置し、
前記上部ユニット100には、前記誘導加熱源17、前記マイクロ波加熱装置120及び前記オーブン加熱装置140の3者を集中して制御する統合制御装置MCを備え、
前記上部ユニット100には、前記統合制御装置MCによって制御される誘導加熱回路94L、94Rと、商用電源99からの電力を受ける電源回路基板55と、(第1の)インバーター回路81を実装したインバーター回路基板80と、を有し、
前記下部ユニット200には、前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波加熱制御部130と、前記オーブン加熱装置140の加熱室制御部159と、(第2の)インバーター回路基板121とを配置し、
前記電源回路基板55は、前記(第1の)インバーター回路81を冷却する冷却ファン60の冷却風通路(第1風路F1)の下流側に配置されており、
前記マイクロ波加熱装置の制御部130と、前記オーブン加熱装置140は、前記上部ユニット100のフィルター回路基板54から、それぞれの加熱源用電力を供給する構成である。
従ってこの構成によれば、上部ユニット100と下部ユニット200に、3種類の加熱源を備えていることにより、従来よりも幅広い複合調理を行うことができる。
また、統合制御装置MCによる集中制御により、上部ユニット100と下部ユニット200にそれぞれ配置したインバーター回路基板80、121を連携させることができる。
更に、フィルター回路基板54から分岐させて3つの加熱源に加熱用の電力を分配する構成とし、かつ第1冷却ファン60の冷却風通路(第1風路F1)の下流側にフィルター回路基板54が配置されているため、フィルター回路基板54の過熱も防止できる。
特徴3.
さらに、この実施の形態1の加熱調理器は、以下の構成であった。すなわち、
被加熱物を加熱する誘導加熱源17を有し、厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100に取り付けられ、加熱室113を内蔵した下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室113を加熱するオーブン加熱装置140と、を配置し、
前記上部ユニット100には、前記誘導加熱源17、前記マイクロ波加熱装置120及び前記オーブン加熱装置140の3者を集中して制御する統合制御装置MCを備え、
前記上部ユニット100には、前記統合制御装置MCによって制御される誘導加熱回路94L、94Rと、商用電源99からの電力を受ける電源回路基板55と、(第1の)インバーター回路81を実装したインバーター回路基板80と、を有し、
前記下部ユニット200には、前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波加熱制御部130と、前記オーブン加熱装置140の加熱室制御部159と、(第2の)インバーター回路基板121とを配置し、
前記電源回路基板55は、前記(第1の)インバーター回路81を冷却する冷却ファン60の冷却風通路(第1風路F1)の下流側に配置されており、
前記マイクロ波加熱装置の制御部130と、前記オーブン加熱装置140は、前記上部ユニット100のフィルター回路基板54の下流側(非商用電源側)に設けた電源回路基板55から、それぞれの制御用の低電圧の電力を供給する構成である。
従ってこの構成によれば、上部ユニット100と下部ユニット200に、3種類の加熱源を備えていることにより、従来よりも幅広い複合調理を行うことができる。
また、総合制御装置MCによる集中制御により、上部ユニット100と下部ユニット200にそれぞれ配置したインバーター回路基板80、121を連携させることができる。
更に、電源回路基板55から3つの加熱源の制御装置90、130,159に対して、規定の低電圧の電力を分配する構成とし、かつ第1冷却ファン60の冷却風通路(第1風路F1)の下流側に電源回路基板55が配置されているため、電源回路基板55の過熱も防止でき、制御装置90等に安定した電源を供給できる。
特徴4.
この実施の形態1の加熱調理器は、厨房家具の中に設置されるものであって、
被加熱物が載置されるトッププレート15を介して前記被加熱物を加熱する第1の加熱源(誘導加熱源)9を有し、前記厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100の下方に設置され、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113を備えた下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室を加熱するオーブン加熱装置140と、前記マイクロ波加熱装置を冷却するための冷却ファン128、129と、を備え、
前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波発生源122は、前記加熱室113の、左右何れか1つの側壁面に沿って配置され、かつマイクロ波発生源122の発振部122Aが当該加熱室113の背面側に突出するように横向きに設置され、
前記加熱室113の背面側には、当該加熱室113の内部に通ずる給電口180と、前記マイクロ波発生源122からのマイクロ波が導入されるアンテナケース124と、を設け、
前記アンテナケース124内には、前記マイクロ波発生源122から発振されたマイクロ波を、前記給電口180を介して前記加熱室113内の空間へ伝搬させるための、回動されるアンテナ125を配置した構成である。
この構成のため、加熱室113の1つの側壁面(右側面)から背面側の空間に、マイクロ波加熱装置120のマグネトロン122とアンテナケース124と、を一連にした形態で設置でき、狭い内部空間の下部ユニット200の中にこれら装置を内蔵させることができる。
特徴5.
この実施の形態1の加熱調理器は、厨房家具の中に設置されるものであって、
被加熱物が載置されるトッププレート15を介して前記被加熱物を加熱する誘導加熱源9を有し、前記厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100の下方に設置され、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113を備えた下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記上部ユニット100から電力の供給を受け、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室113を加熱するオーブン加熱装置140と、前記マイクロ波加熱装置120を冷却するため冷却ファン128、129と、を備え、
前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波発生源122は、前記加熱室113の1つの右側壁面又は左側壁面に沿って配置され、かつマイクロ波発生源122の発振部122Aが当該加熱室113の背面側に突出するように横向きに設置され、
前記加熱室113の背面側には、前記マイクロ波発生源122からのマイクロ波が導入されるアンテナケース124を設け、
前記アンテナケース124内には、前記マイクロ波発生源122から発振されたマイクロ波を、前記加熱室113の背面に設けた給電口180を介して当該加熱室113内の空間へ伝搬させるための、回動されるアンテナ125を配置し、
前記誘導加熱源17、前記マイクロ波加熱装120、前記オーブン加熱装置140及び前記冷却ファン128、129は、前記上部ユニット100側にある統合制御装置MCによって運転が制御されることを特徴とする構成である。
この構成のため、加熱室113の1つの側壁面(右側面)から背面側の空間に、マイクロ波加熱装置120のマイクロ波発振器(マグネトロン122)とアンテナケース124と、を一連にした形態で設置でき、狭い内部空間の下部ユニット200の中にこれら装置を内蔵させることができる。
さらに前記誘導加熱源17を制御する統合制御装置MCは、前記マイクロ波加熱装置120、オーブン加熱装置140、第3冷却ファン128及び第4冷却ファン129も、集中して制御しているので、各加熱源の連携が確実に実行されるビルトイン式複合型加熱調理器1を提供できる。
特徴6.
この実施の形態1の加熱調理器は、厨房家具の中に設置されるものであって、
被加熱物が載置されるトッププレート15を介して前記被加熱物を加熱する誘導加熱源9を有し、前記厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100の下方に設置され、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113を備えた下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記上部ユニット100から電力の供給を受け、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室113を加熱するオーブン加熱装置140と、を備え、
前記マイクロ波加熱装置120は、マイクロ波加熱制御部130と、マイクロ波発生源122と、前記マイクロ波発生源122に高周波電力を供給する第1のインバーター回路基板121と、を備え、
前記オーブン加熱装置140は、加熱室制御部159を備え、
前記マイクロ波発生源122と前記第1のインバーター回路基板121とは、前記加熱室113の1つの側壁面に沿って、かつ前後方向に離れて配置され、
前記第1のインバーター回路基板121の下方と、前記マイクロ波発生源122の放熱部122Hの下方には、前記下部ユニット200の外部から、それぞれ空気を吸引し、当該空気を前記第1のインバーター回路基板121と前記放熱部122Hに個別に供給する前方側冷却ファン128と、後方側冷却ファン129とを、それぞれ配置した構成である。
この構成のため、加熱室113の1つの側壁面(右側面)にマイクロ波加熱装置120のマイクロ波発振器(マグネトロン122)とインバーター回路基板121と、を狭い内部空間の下部ユニット200の中に内蔵させることができる。
その他特徴点.
実施の形態1の構成においては、以下の通り各種の実用的効果、メリットが期待できる。
(1)マイクロ波加熱装置120を構成するケースA150とケースB151を、図7に示しているように前後方向に一直線上に並べ、かつ互いに接触するように隣接すると、2つの独立した冷却風RF5、RF6を案内する構造が簡単に、かつコンパクトに実現できる。
(2)第3冷却ファン128と第4冷却ファン129を、図7に示しているように前後方向に一直線上に並べ、かつ隣接させると、2つの独立した冷却風RF5、RF6を案内する構造が簡単に、かつコンパクトに実現できる。
(3)マイクロ波加熱装置120を構成するケースA150とケースB151、マグネトロン122、ドア114の閉鎖検知部139のラッチスイッチ132A、ドアスイッチ132B等の重要な部品を、加熱室113の右側側方に集約させているので、これら部品の点検や修理が必要になった場合、下部ケース101の右側だけで対応でき、便利である。例えば、下部ケース101の右側外殻を構成している側方垂直壁101Rを取り外せば、上記各部品の全体が露出し、保守点検等の作業性を容易に行える
実施の形態2.
図40は、実施の形態2に係るビルトイン式複合型加熱調理器を示すもので、加熱調理器の全体を説明するブロック図である。図41は、図40の加熱調理器において、中央操作部と各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図1である。図42は、図40の加熱調理器において、中央操作部と各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図2である。図43は、図40の加熱調理器において、中央操作部と各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図3である。図44は、図40の加熱調理器において、中央操作部の構成を示すブロック図である。図45は、実施の形態2の変形例を示したもので、中央操作部と各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図である。なお、図1~図39に説明した実施の形態1の構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
図40において、破線で示す矢印は、制御用の指令信号を示している。
この本発明の実施の形態2を示す加熱調理器1では、マイクロコンピューターを主体にした制御装置が、合計6つある。この点が実施の形態1と大きく異なる個所である。
前記した6つの制御装置の中で、加熱調理器1の全体の制御を司るものが統合制御装置MCである。この統合制御装置MCからの指令を受けて、誘導加熱調理を制御するのは、IH制御装置90である。またマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の双方を制御するのが、制御装置105である。この制御装置105は、実施の形態1で説明した加熱室制御部159とマイクロ波加熱制御部130を集合させたものである。
前記した2つの制御装置90、105は、統合制御装置MCに指令に従って規定の制御を行い、処理結果を統合制御装置MCへ返信するため、スレーブ(SLAVE)マイコンと呼ばれる場合がある。この場合、前記統合制御装置MCは、マスターマイコンと呼ばれる。
前記した6つの制御装置の中の残りの3つについて以下説明する。
まず1つ目は、入力操作部40において、右操作部40Rに配置された右側のタッチキー群の入力と、表示部31Rの表示を処理する右側入力制御装置23である。この右側入力制御装置23は、更に中央操作部40Mのタッチキー群の入力と統合表示部30の表示を処理する。
2つ目は、左操作部40Lに配置された、左側のタッチキー群の入力と表示部31Lの表示を処理する左側入力制御装置24である。
3つ目は、電源スイッチ制御装置28である。
電源スイッチ制御装置28は、入力操作部40に配置された主電源スイッチ97の操作ボタン(操作部)98の操作を検知して電源のON-OFFを決めるものである。
図40において、106Aは、商用(交流)電源99に接続されたプラグである。電圧200V、50Hz又は60Hzの電力は、電源コード106を介してフィルター回路基板54まで導かれる。なお、フィルター回路基板54は、上部ユニット100に内蔵されている。
フィルター回路基板54には、加熱調理器1の主電源をON-OFFするメインリレー107と、サブリレー(図示せず)を有している。図40には、メインリレーだけを模式的に記載している。
前記メインリレー107は、加熱調理器1の全体の制御を司る統合制御装置MCから、所定のリレー制御信号を受けて開閉動作が実行される。なお、サブリレーは、後述するように、電源スイッチ制御手段28からのリレー制御信号を受けて開閉動作が実行される。電源スイッチ制御手段28は、主電源スイッチ97の操作ボタン98の操作を検知して電源のON-OFFを決める機能を有している。これらメインリレー107とサブリレーによって主電源スイッチ97が構成されている。
前記統合制御装置MCは、前記IH制御装置90と、制御装置105、右側入力制御装置23、左側入力制御装置24及び電源スイッチ制御装置28からの動作情報を常に取得し、それらを統合して制御する。
前記統合制御装置MCは、前記中央操作部40Mと、統合表示部30の表示動作と、音声合成装置95及び無線通信部49を制御するものである。この統合制御装置MCと、右側入力制御装置23及び電源スイッチ制御装置28は、入力操作部40を構成する中央操作基板32に取り付けられている。
前記中央操作基板32は、実施の形態1で説明した操作基板41と類似するものであり、後述する各種の電子部品類と、統合制御装置MC、前記右側入力制御装置23及び電源スイッチ制御装置28等を実装している。この中央操作基板32は、電気絶縁性に富むプラスチック材料で形成されている。
55は、フィルター回路54から、商用電源の電力が供給される電源回路基板であり、図40に示すように、整流回路33を経由して電力が印加される電源回路A34と、整流回路35を経由して電力が印加される電源回路B36、とを備えている。この2つの電源回路A34と電源回路B36により、電圧200Vの電力は、例えば24V、18V、6V、5V等のような、低い電圧の直流に変換される。
前記した5Vの電力は、前記統合制御装置MC、前記IH制御装置90、制御装置105、右側入力制御装置23、左側入力制御装置24及び電源スイッチ制御装置28の電源として供給される。
また、6Vの電力は、中央統合部30、右表示部31R、左表示部31Rの電源(バックライト電源含む)として使用される。
電源回路基板55は、上部ユニット100に設置されており、上記したように、その電源回路A34と、電源回路B36で生成された電力は、上部ユニット100の中の制御や表示部の電源として使用されている。
80は、上部ユニット100の内部に設置されている誘導加熱源9のインバーター回路基板である。
このインバーター回路基板80には、直流電源部75Rを備えた右側のインバーター回路81Rと、別の直流電源部75Lを備えた左側のインバーター回路81L、を備えている。
前記フィルター回路54から、インバーター回路基板80には200Vの電圧の交流電力が印加される。90は、誘導加熱の制御全般を司るIH制御装置であり、マイクロコンピューターを主体にして構成されている。
前記IH制御装置90は、インバーター回路82L、82Rの中のIGBT79a、79bを駆動する駆動回路37L、37Rに駆動信号を発信する。2つの駆動回路37L、37Rは、前記電源回路A34、電源回路B36から供給された18Vの電力で動作し、IGBT79a、79を制御する。これによりインバーター回路81L、81Rの駆動周波数が制御される。
例えば、駆動回路A37Rは、電力用スイッチング素子93(半導体スイッチング素子)(IGBT79a、79b)の導通時間を検知し、導通時間を切り替えることにより、インバーター回路81Rの駆動周波数を低下させて火力を低下させ、又は逆に駆動周波数を上げて火力を上げる制御をする。これら駆動周波数の指令は、IH制御装置90から出される。
77aは、インバーター回路81L、81Rの商用電源側に設置した入力電流検出部、77bは、インバーター回路81L、81Rの出力側の電力を検出する出力電流検出部である。
これら入力電流検出部77aと出力電流検出器77bの検出値は、前記IH制御装置90に入力される。
誘導加熱調理時の初期段階では、IH制御装置90が被加熱物の材質判定を行う。
例えば、ある駆動周波数から別の駆動周波数まで変更させた時に、前記入力電流値の変化を見て、鍋等の被加熱物の材質が、磁性金属であるか、非磁性ステンレス、アルミニウム等と判別し、前記スイッチング素子(IGBT)79a、79bの駆動周波数を適正な値に自動調整する。そして、被加熱物の材質を非磁性ステンレスと判別した場合は、鉄と判別した場合の駆動周波数(例えば、23KHz)よりも高い駆動周波数(例えば31kHz)で駆動させる。
TS5、TS6は、IHコイル17L、17Rの空隙部に設置した非接触形温度センサー、TS3、TS4は、IHコイル17L、17Rの中心部に設置した接触形温度センサーである。また、TS8、TS9は、インバーター回路基板80のヒートシンク82に設置した接触形温度センサーである。これら各温度センサーの温度検出データは、統合制御装置MCに入力される。
実施の形態1では、温度検出回路93を備えていたが、この実施の形態2では、そのようなハードウエア形式での温度検出回路93を備えていない。統合制御装置MCの中のソフトウエアによって温度検知や温度比較、異常有無等の処理が実行される。
131は、ドア開閉検知機構である。このドア開閉検知機構131は、ドア114の開閉動作に応じて開閉される1つのスイッチと、そのスイッチが正しく開閉していることを検知するモニタースイッチとを備えている。この点は、実施の形態1で説明したものと同じである。
120Pは、マイクロ波加熱装置120の電源回路部であり、フィルター回路54から供給される商用電圧(200V)の電力から、低電圧(例えば24Vと5V)の電源となる交流電力を生成する。なお、電圧5Vの電力は、前記制御装置105の電源として供給され、また24Vの電力は、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129の駆動回路177に対して、それぞれ供給される。さらに、24Vの電力は、アンテナ駆動用モータ126の駆動電源として供給される。
加熱室113を加熱する上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bは、前記制御装置105によってリレー178A、178Bが開閉されることで通電が制御される。なお、前記リレー178A、178Bは、細かい通電率制御ができるような半導体スイッチング素子を使用しても良いが、この実施の形態2では、ON-OFF制御するだけであるので、リレーを採用している。上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bには、商用電源と同じ200Vの電圧が加わり、動作する。
132Mは、ドア開閉検知機構131の一部を構成するドア開放検知スイッチである。スイッチ自体は、前記ドア開閉検知機構131の内部に設置してあるが、この図40では、開閉信号が制御装置105に入力されることを示すために、別の位置に描いている。
160は、加熱室113の中の食品等の温度を計測する赤外線センサー、TS1は、前記マイクロ波加熱装置120のマグネトロン122の温度を計測する接触式センサーである。これらセンサー160、TS1の温度検出データは、全て制御装置105に入力される。
121Aは、マグネトロン122に高周波電力を供給するインバーター回路であり、電源側回路に挿入されたリレー182によって発振が制御される。前記リレー182の開閉は、前記制御装置105によって行う。
60P、61Pは、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61をそれぞれ駆動する駆動回路である。この駆動回路60P、61Pは、前記IH制御装置90の指令を受けて動作する。
この図40では、統合表示部30や入力操作部40の温度を監視する温度センサーを図示していないが、実際にはそのような温度センサーを設置し、加熱調理中において、常に(一定時間毎に)温度計測データを統合制御装置MCが取得して、異常な温度にならないように監視している。
38は、左側操作基板であり、中央操作基板32の左側に設置されており、電気絶縁性材料から形成されている。この左側操作基板38には、前記左側入力制御装置24と、左側の表示部31Lを取り付けている。左側操作基板38と中央操作基板32は、略同一平面上に並ぶように隣接して設置してある。
次に、この実施の形態2の1つの特徴である前記中央操作部40Mと統合表示部30について説明する。
図41に示すように、統合表示部30の表示画面部300は、第1エリア30L~第3エリア30Rに加え、第4エリア303を有している。第1エリア30L~第3エリア30Rは、実施の形態1で説明したものと同じであり、実質的な表示面積が可変できる表示エリアである。しかし、第4エリア303は、面積は固定であり、第1エリア30L~第3エリア30Rの後方に接して横たわるように細長く形成されている。
統合表示部30の表面は、ガラス板で覆われており、周縁部を除く、略全域がユーザーの指の接触を感知する静電容量タッチ式パネルになっている。そこで、そのタッチ式パネル部分を、以下、「操作パネル」311と呼ぶ。なお、トッププレート15の下側に統合表示部30を配置した場合には、前記ガラス板は、トッププレート15である。
前記操作パネル311の全体は、前記第4エリア303に対応した「タッチ規制部分」と、第1エリア30L~第3エリア30Rとして機能する部分(タッチ推奨部分)に分かれている。
310は、前記タッチ規制部分の裏側に、蒸着や印刷等で形成されている電極である。操作パネル311がトッププレート15の一部で構成されている場合には、そのトッププレート15の裏側に、蒸着や印刷等の手段によって、前記電極310が形成されている。
前記電極310は、接触検知部(図示せず)に接触検知信号を送信するものであり、入力操作部40が、統合制御装置MCによって起動されている期間中、前記電極310の上方にユーザーがタッチしたことを、静電容量の変化から検知する。
被加熱物Nの金属鍋等が統合表示部30の位置まで突出して置かれている場合(異常な状態)も、その被加熱物Nの過剰接近を、前記電極310で検知できる。このため、被加熱物Nが統合表示部30に異常に接近したり、上に覆い被さったりしたような異常な載置を統合制御装置MCで検知して警報を出すことができる。
前記電極310と接触検知部(図示せず)は、前記「タッチ規制部分」にユーザーが触れないような安全装置として機能する。つまり、誘導加熱時に高温になるトッププレート15への、ユーザーの接触を最小限度に抑制できる。
図41から明らかなように、実施の形態1の中央操作部40Mに具備していた各種入力キー43M1~43M3は、この実施の形態2では不要であるため、削除している。
その代わり、図43以下にて説明するタッチパネル入力装置301と、当該タッチパネルにおける操作情報を受け取るタッチジェスチャー判定装置302とを具備している。
図42の統合表示部30は、実施の形態1の統合表示部30よりも大きなサイズのものが使用されている。一般に、この種の表示部に採用されている、TFT液晶モジュールの標準ラインナップを見ると、3.5インチ、3.97インチ、4.3インチ、4.6インチ、5.0インチ等の大きさのものが提供されている。実施の形態1のものが、例えば3.5インチ又は3.97インチであって場合、この実施の形態2では、それよりも1段階、2段階大きな画面サイズのものを使用できる。但し、図43に示しているように、トッププレート15は、左加熱部17HLや右加熱部17HRに接近する程、温度が高くなる傾向にある。そこで、統合表示部30が高温報知部69に接近しないように実施の形態1より前方FR側に配置している。
実施の形態1の各種入力キー43M1~43M3を省略できることにより、表示面積の大きな統合表示部30にできる。このため、図42に示すように第2エリア30Mと第3エリア30Rにおいても、制御メニューの中の条件の1つである目標温度や加熱時間等の情報を、より多く表示できる。
図42の30Yは、目標温度や加熱時間等の「制御条件」の、次の候補を表示できる候補表示部である。図42と図43に示すように、候補表示部30Yには、目標温度情報30Tの次に選択できる候補の温度が表示される。
図43に示したように、第2エリア30Mにおいて表示された目標温度情報が「180℃」であった場合、候補表示部30Yには、「185℃」という目標温度情報30T1と、「175℃」という目標温度情報30T2が表示される。
また、第3エリア30Rにおいては、表示された加熱時間情報が「10分」であった場合、候補表示部30Yには、「10分30秒」という(グリル調理時の)加熱時間情報30GY1と、「9分30秒」という加熱時間情報30GY2が表示される。
図43に示しているFGは、ユーザーの指先を示している。ユーザーは、指先FGで第1エリア30L~第3エリア30Rに触れたまま、前方FR又は後方BKに指先FGを動かすことで、表示された制御メニューを、次の候補の制御メニューに変えることができる。
図43~図45において、27M7は発光表示部27Mの一部を構成する発光部である。実施の形態1では、スタート選択部(入力キー43MS)に対応している発光部27M6を、加熱停止用入力キー43MTが共用していたが、この実施の形態2では、加熱停止用入力キー43MTの専用に発光部27M7を設けている。この発光部27M7は、加熱開始前は通常の連続的な点灯を行い、加熱動作が開始された後は、点滅に変更して発光させても良い。なお、加熱動作開始前は、入力キー43MTによる入力は不要であるので、入力機能は無効にしてあり、加熱動作開始時点から、上記したように連続発光や点滅等の形態によって発光させて、ユーザーが容易に目視で確認できるようにしている。
図44を参照しながら、タッチパネル入力装置301と、タッチジェスチャー判定装置302について説明する。
操作パネル311を構成している第1エリア30L~第3エリア30Rは、ユーザーが行うタッチスチャー操作を受け付けるタッチジェスチャー入力手段である。また、タッチジェスチャー操作は、ユーザーの指先FGなどの特定の動きによる情報入力操作である。
タッチジェスチャー操作は、操作パネル311の表面を指先で軽く叩く操作であるタップ、操作パネル311の表面を指ではじく操作であるフリック、操作パネル311表面を指でなぞる操作(指を滑らす操作)であるスワイプを含むことができる。しかし、この実施の形態2では、ユーザーの指先FGを前後方向に移動させるタッチジェスチャー操作だけが有効であると判定される。これについては、後で詳しく述べる。
タッチジェスチャー操作は、指先FGを引きずる操作であるドラッグ、操作パネル311の表面において複数本の指先でつまみながら指先の間隔を狭める操作であるピンチイン、操作パネル311の表面において複数本の指の間隔を広げる操作であるピンチアウトなどもあるが、これらも、無効なタッチジェスチャー操作であると操作判定部313に識別される。
操作パネル311は、ユーザーによって行われる特定のタッチジェスチャー操作を受け付け、タッチジェスチャー操作に対応する入力操作情報(以下、「タッチ情報」と言う)IP1を出力する。
操作パネル部311の真下には、操作パネル部311と重ねて配置され、制御メニューに関する各種情報(温度や火力等の、制御条件を含む)を示した操作画面の画像を表示する表示パネル320を配置している。表示パネル320は、例えば、液晶ディスプレイである。表示パネル320には、図41に示したように、表示画面部300を有している。
図44に示されるように、タッチジェスチャー判定装置302は、操作判定部313と、通知部318と、を有している。
操作情報入力部312は、操作パネル部311から出力されたタッチ情報IP1を受け取る。操作情報入力部312は、受け取ったタッチ情報IP1に対応する入力情報IP2を操作判定部313に出力する。入力情報IP2は、タッチ情報IP1に対応する情報であり、タッチ情報IP1と同じ情報であってもよい。
操作判定部313は、操作情報入力部312からタッチ情報IP1を受け取り、出力情報としての選択値信号IP3を、通知部318に対して出力する。操作判定部313から出力される選択値信号IP3は、操作判定部313がタッチ情報IP1を基礎にして決定した選択値の信号である。この実施の形態2では、選択値の信号は、制御メニューを決定する情報となる。
操作判定部313は、受け取ったタッチ情報IP1から、ユーザーによるタッチジェスチャー操作の種類及び内容を判定する。
操作判定部313は、ジェスチャーモード判別部314と、ジェスチャー入力情報判定部315と、ジェスチャーエリア判定部316と、を有している。
参照パラメータ記憶部には、ユーザーのジェスチャーの内、少なくともスライダーモードのパラメータが格納されている。パラメータの1例としては、タッチジェスチャー操作の予め定められた時間における移動量、タッチジェスチャー操作の速度、又はタッチ時間のいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせに基づいて定められるパラメータである。
ジェスチャーモード判定部314は、参照パラメータ記憶部の各種パラメータを参照して、入力情報IP2のジェスチャーモードを特定する。ジェスチャー入力情報判定部315は、ジェスチャーモード判定部314で特定されたジェスチャーモードでの値設定方式に従って選択値信号IP3を決定する。
ジェスチャーエリア判定部316は、ユーザーが第1エリア30L~第3エリア30Rの何れのエリアで、タッチジェスチャー操作を行ったのかどうかを識別する。
通知部318は、操作判定部313によって、第1エリア30L~第3エリア30Rの個々のエリア毎に、操作判定部313から選択値信号IP3を受ける。このため、通知部318は、第1エリア30L~第3エリア30Rの個々の表示情報を切り替え、また、そのような切り替えについて報知するように音声合成装置95に出力する。
表示部駆動回路63は、タッチジェスチャー判定装置302から、選択値信号IP4を受ける。この選択値信号IP4は、選択値信号IP3と同じ内容になる。
表示部駆動回路63は、タッチジェスチャー判定装置302の判定結果に従い、統合表示部30の前記表示パネル320の表示内容を切り替える。つまり、表示部駆動回路63は、図44に示されるように、表示パネル320に表示されるべき操作用画像の画像信号IP5を、表示パネル320に対して出力する。
なお、図44においては、タッチパネル入力装置301とタッチジェスチャー判定装置302は、ハードウエア(H/W)構成の形で図示した。しかし、図44に示されるタッチジェスチャー判定装置302は、右側入力制御装置23によって実現している。右側入力制御装置23のソフトウエア記憶装置に、前記タッチジェスチャー判定プログラムを格納する記憶部を設けており、当該記憶部に格納されたタッチジェスチャー判定プログラムを、この右側入力制御装置23のマイクロコンピューターにより実行させている。
図44において、319は、参考情報記憶部である。この参考情報記憶部319の中には、実施の形態1で説明した参考情報30Pや付加情報30Qが格納されている。
以上のようにこの実施の形態2の加熱調理器1は構成されているので、加熱調理を開始する場合には、最初に主電源スイッチ97を入れるために、入力操作部40の操作キー98を例えば数秒間押し続けると、この操作を電源スイッチ制御装置28が検知し、フィルター回路基板54の中にあるメインリレー107を閉じる。
このため、フィルター回路基板54から電源回路基板55に商用電源の電力が供給される。そして電源回路基板55の電源回路A34と電源回路B36によって、所定の電圧の電源が生成され、統合制御装置MCに印加される。
統合制御装置MCは、起動されると最初に加熱動作開始前の初期の自己診断を行い、異常が発生していないことを確認する。また、統合表示部30を起動し、初期情報を表示する。
この状態で、マイクロ波加熱装置120を使用するために、ユーザーが加熱室113のドア114を開けると、ドア開閉検知機構131がドア114の開放を示す信号を、制御装置105に送信する。このため、制御装置105は、ドア114の開放を示す信号を統合制御装置MCへ送信する。統合制御装置MCは、ユーザーがマイクロ波加熱調理を行うものと推定して、統合表示部30にマイクロ波加熱を開始するための必要な情報を表示し、加熱開始のための入力を促す。
ユーザーが、食品等を加熱室113に入れてドア114を閉めると、再びドア開閉検知機構131がドア114の閉鎖を示す検知信号を、前記制御装置105を経由して統合制御装置MCに送信する。そのため、この状態で入力操作部40から加熱開始の指令が行われると、右側入力制御装置23は、マイクロ波加熱用の入力キーのタッチ入力有無を検知する。このため、右側入力制御装置23から統合制御装置MCに加熱開始指令を示す信号が送信される。
前記右側入力制御装置23は、中央操作部40Mの入力も検知している。そのため、前記統合表示部30の操作パネル311におけるタッチ情報に応じた選択値信号IP4を、表示部駆動回路63に対して発信する。
ここで再び図43を参照しながら、ユーザーが、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189を使用した加熱調理を行う操作について説明する。
図43は、ユーザーが、オーブン加熱源188を使用して、制御メニュー「オーブン」を選択する場面を示している。
図43では、ユーザーの指先FGが3本同時に描かれているが、3本の指先FGで同時にタッチジェスチャー操作していることを示したものではない。左側の第1エリア30Lから順次右側にタッチジェスチャー操作を、3回していることを示している。
ユーザーが、第1エリア30Lにタッチジェスチャー操作(以下、「タッチ操作」と省略する)した場合、タッチジェスチャー判定装置302の操作判定部313は、操作パネル部311の一部を構成する第1エリア30Lからのタッチ情報IP1、このタッチ情報に対応した入力情報IP2を受ける。
前記第1エリア30Lに、制御メニュー「オーブン」が表示されている状態で、ユーザーが第1エリア30Lにおいて、指先FGを第1エリア30Lに触れたまま、前方FR又は後方BKに(一定の速度範囲で)動かすと、ジェスチャーモード判別部314によって正規の(特定)タッチジェスチャー操作であると認識され、タッチ情報が生成される。
そして、前方FRに操作したことを示すタッチ情報である場合、操作判定部313は、表示部駆動回路63を介して第1エリア30Lの表示を変更する。そして、次の候補である「グリル」又は「あたため」を第1エリア30Lに表示させることができる。
同様に、第2エリア30Mにおいても、目標温度を選択できる。図43では、デフォルト値で「180℃」と表示されているが、候補表示部30Yに表示されている「185℃」という目標温度情報30T1に変更することができる。また、後方BKにタッチ操作すると、「175℃」という目標温度情報30T2を中央部に表示させることができる。
同様に、第3エリア30Rにおいても、ジェスチャーモード判別部314によって認識されるようなタッチジェスチャー操作であれば、その都度、タッチ情報が生成され、第3エリア30Rの表示情報を変更できる。
この実施の形態2では、ジェスチャーモード判別部314によって認識されるようなタッチジェスチャー操作は、タッチしてからの移動方向が、前方FR又は後方BKの何れか一方であるように設定されているため、前述したような、「ピンチイン」や「ピンチアウト」のようなタッチジェスチャー操作では、表示の切り替えはできない。後述する参照パラメータ記憶部317には、ユーザーのジェスチャーの内、スライダーモードに限定したパラメータが格納されている。そのため、スライダーモードとは判別できない状態では、表示の切り替えはできない。例えば前記した「ピンチイン」や「ピンチアウト」のタッチジェスチャー操作では、予め定められた時間における移動量、タッチジェスチャー操作の速度、又はタッチ時間等の組み合わせに基づくパラメータに合致しない結果になるからである。
図45は、図40~図44の実施の形態2の変形例を示したもので、中央操作部40Mと各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図である。
この図45の変形例における参照パラメータ記憶部317には、ユーザーのジェスチャーの内、少なくともスライダーモードのパラメータが格納されている。そのスライダーモードは、前後方向及びその前後方向と直角方向(右方向と±30度の範囲)の2つの方向に指定してある。パラメータの1例としては、タッチジェスチャー操作の予め定められた時間における移動量、タッチジェスチャー操作の速度、又はタッチ時間のいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせに基づいて定められるパラメータである。
例えば、図45に示す「RG手動」という制御メニューの名称の上にタッチされたまま、一定時間以上(例えば、3秒間、又は5秒間)タッチしている状況が続いた場合には、他の表示エリア、例えば第2エリア30M又は第3エリア30Rに、タッチしている制御メニューの解説や、個々の制御メニューの制御条件を決める参考情報、制御メニューに対応した調理の注意事項(鍋等の調理器具を含む)等を、面積が小さい追加画面30ADの形式にして文字や図形等で表示しても良い。図45では、食品を入れる容器について付加情報30Qを、文字で表示させた例である。
更に、音声合成装置95による音声ガイドでユーザーの操作を補うような助言を行っても良い。このように変更するには、前記ジェスチャーモード判別部314のジェスチャー判定データと、参照パラメータ記憶部317のパラメータ情報を拡充又は変更する必要がある。
図45では、第1エリア30Lに指先FGをタッチしたまま、右方向に動かす図であるが、このように右方向に指先FGが動いた場合には、前記ジェスチャーモード判別部314は、1つ前の表示内容に戻すことと判別する。そのため、図45に示した追加画面30ADは、消される。
前記ジェスチャーモード判別部314と参照パラメータ記憶部317は、ユーザーの厳密な右方向だけのタッチジェスチャーを検知するのではなく、一定の検知幅を持って指先FGの軌跡を検知するようにしてある。そのため、多少斜めに指先を動かしても、追加画面30ADのキャンセル指令であると前記ジェスチャーモード判別部314が判別できる。なお、このように右方法のタッチジェスチャーで追加画面30ADを消すのではなく、表示から一定時間で自動的に消す方法または追加画面30Dに、再度タッチした場合には、即座に消す方法等に変更しても良い。
図46は、図40の加熱調理器の統合表示部30の表示動作を示す説明図1である。
この図46から明らかなように、統合制御装置MCは、起動されると最初に加熱動作開始前の初期の自己診断を行い、異常が発生していないことを確認する。また、統合表示部30を起動し、初期情報として、待機時共通情報30Nを表示する。
統合制御装置MCは、前記入力操作部40によって、前記マイクロ波加熱源9と前記オーブン加熱源188の何れかが選択される前においては、前記表示画面30Dにおいて、前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188の待機時共通情報を表示し、前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188の何れかが選択された後においては、前記第1のエリア30L、前記第2のエリア30M及び前記第3のエリア30Rに区画して、「制御メニュー」や「制御条件」の表示をする。
以下、具体的に図46を参照しながら、入力操作部40と統合表示部30の動作について説明する。
主電源スイッチ97をOFFにしている状態では、統合表示部30は起動されていないので、何も情報を表示していない。
主電源スイッチ97をONにした状態では、統合制御装置MCは、前述したように異常有無等の自己診断を行ったあとで、図46の表示画面1を統合表示部30で表示する。
図46の表示画面1は、実施の形態1の図32で説明した表示画面1と同じである。
30Bは、インターネット経由で専用のレシピ掲載サイトに誘導するための二次元情報(二次元コード)である。30Cは、その二次元コードの意味を説明した文章である。この二次元情報30Cと、前記表示文は、「待機時共通情報」30Nの1種である。
表示画面1が表示されたあと、自動的に表示画面2A又は2Bが表示される場合がある。また、表示画面2C~2Eが表示される場合がある。表示画面2Aにおいて、「突沸注意」は、注意表示の1つである。
この実施の形態2では、実施の形態1で説明した表示画面2Aと2Bに加え、表示画面2C~2Eの3つの表示画面を表示できるところが特徴の1つである。
実施の形態1で説明したが、加熱室113を使用して、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理する制御メニューを「レンジグリル調理」と呼んでいた。この実施の形態2においても、レンジグリル調理では、マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。
一般に、耐熱性のプラスッチック容器や食器類に被調理物を入れてマイクロ波加熱を行うことが良く行われるが、このままの状態で、次に上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bを発熱させた場合、上記した容器等が高熱で焼損するおそれがある。
そこで、表示画面2Cでは、制御メニューの「レンジグリル(RG)」では、加熱室113の内部にプラスチック容器を入れて加熱しないよう警告した注意表示文30Eを表示させた例である。つまり、「レンジグリル」という制御メニューの実行にあたり、この注意表示文30Eは、この発明でいう「待機時共通情報」30Nの1種である
表示画面2Dは、加熱室113の内部にマイクロ波を導入して「あたため」の制御メニューの加熱調理をする場合に関するものであり、グリル庫(加熱室113)の温度が高く、「あたため」の制御メニューは選択できないことを告知した例である。30Eが、「レンジ自動」は使えないことを示す注意表示文30Eである。
「あたため」(レンジ自動)の制御メニューでは、非接触(赤外線)温度計測部158が加熱室113内の被調理物の温度や加熱室113壁面温度を検知して、目標温度に到達した段階で自動的にマイクロ波の発振を停止する。そのため、以前行った調理時の熱が残っていて温度が最初から高い場合には、マイクロ波加熱を自動で行うことを統合制御装置MCで禁止している。そこで、図46の表示画面2Dに示すように、「レンジ手動」の制御メニューを選ぶようにユーザーに報知している。「レンジ手動」は、マイクロ波加熱時間を設定して行うものであるので、加熱室113内の被調理物の温度や加熱室113壁面温度が高くても、何ら支障なく調理できる。この表示画面3Dの表示文30Eも、この発明でいう「待機時共通情報」30Nの1種である。
表示画面2Eにおいて、30Eは、トッププレート15が高温度になっていて、不用意に接触しないように警告した注意表示である。トッププレート15の上に金属鍋や金属プレート等の被加熱物Nを置いて、誘導加熱すると、被加熱物Nの温度を受けてトッププレート15も高温度になる。そこで、実施の形態1と同様に、加熱源表示部68の直ぐ後方位置に高温報知部69を設けているが、この高温報知部69に加えて、統合表示部30においても、同様な高温報知を行う場合に、この表示画面2Eが使用される。この表示画面2Eにおいて、のトッププレート15が熱いことを示した表示文30Eも、この発明でいう「待機時共通情報」30Nの1種である。
表示画面2C~2Eは、常に主電源スイッチ97をONにした場合に、表示されるものではなくて良い。
例えば、以下のようなパターン分けをする。
(1)トッププレート15が高温度になっていたときは、表示画面1と表示画面2Eを、数秒間隔で交互に表示させる。
(2)加熱室113が高温度になっていたときは、表示画面1と表示画面2Dを、数秒間隔で交互に表示させる。又は、表示画面1と表示画面2Bを、数秒間隔で交互に表示させる。
(3)主電源スイッチ97を入れる前の、前回の調理、又は過去数回の調理時に「レンジグリル」の制御メニューで調理された実績(履歴)データがある場合には、表示画面1と表示画面2Cを、数秒間隔で交互に表示させる。なお、統合制御装置MCは、1回の加熱調理時の「制御メニュー」の実行回数を自動的に蓄積し、記憶部MMに過去の加熱調理履歴として記憶している。そのため、主電源スイッチ97がONされたあと、上記加熱調理履歴を参照して、レンジグリル調理の実績を把握できる。
なお、トッププレート15が高温度になっていて、しかも加熱室113も高温度になっていたときは、表示画面1を最初に数秒間表示させ、その後は、表示画面2Dと表示画面2Eを、数秒間隔で交互に表示させるようにすればよい。なお、以上のような各表示画面2A~2Eの「待機時共通情報」30Nの内容は、音声合成装置95によって音声で報知しても良い。
図46の表示画面1~表示画面2Eによって明らかなように、これら表示は、表示画面30Dの全体を利用して行っている。つまり、前述した第1エリア30L~第3エリア30Rの何れかで部分的に表示するのではなく、できるだけ広い表示面積を確保するため、第1エリア30L~第3エリア30Rの3つを識別できないように一体化表示をして、ユーザーには統合表示部30の全体で表示しているように見せている。
統合制御装置MCは、マイクロ波加熱動作を制御する制御装置105に駆動指令を発信し、リレー182を閉じ、インバーター回路121Aを駆動してマイクロ波加熱を開始する。また同時に第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の駆動回路177A、177Bに運転指令信号を出して、それら2つの冷却ファン128、129の運転を開始する。さらに、図40には示していないが、アンテナ駆動用モータ126を駆動してアンテナ125を回動させる。これにより加熱室113の内部にはマイクロ波が導入され、食品を加熱調理する。
以上の説明から明らかなように、マイクロ波加熱調理を行っている期間中は、上部ユニット100の第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、全く運転はされない。そのため、加熱調理器1全体の消費電力を少なく抑えることができる。
なお、入力操作部40を構成する右操作部40Rと、左操作部40Lにおけるタッチ式入力キー部は、静電容量の変化を検知する電極を、個々のタッチキーエリアに対応して設けるため、そのような電極と、各タッチキーの部分を光で照らすためのLED(発光ダイオード)等、多数の部品を必要とする。そのため、図40では示していないが、タッチ式入力キー部を構成する部品は、前記中央操作基板32と左側操作基板38に実装されている。なお、電源スイッチ97の入力用キー98の部品もその中央操作基板32に実装されている。
第1エリア30L~第3エリア30Rに、希望する制御メニューが表示されている状態で、ユーザーが入力キー43MSにタッチすれば、その第1エリア30L~第3エリア30Rに表示されている条件が、右側入力制御装置23において確定情報(確定の制御メニュー、確定値)と認識され、統合制御装置MCに送信される。以後、この確定情報に基づいて制御が実行される。
この実施の形態2の加熱調理器1は、
被加熱物を加熱する誘導加熱源9を有し、厨房家具に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100に取り付けられ、加熱室113を内蔵した下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記加熱室を加熱するオーブン加熱装置140と、を配置し、
前記上部ユニットには、前記誘導加熱源17を制御する制御装置90と、前記マイクロ波加熱装置120とオーブン加熱装置140の両者を制御する制御装置105と、これら2つの制御装置(スレーブマイコン)90、105を統合制御する制御装置MC(マスターマイコン)MCと、を備え、
前記上部ユニット100には、商用電源99からの電力を受けるフィルター回路基板55と、前記フィルター回路基板55からの電力を規定の電源電圧に変換する電源回路55(34,36)と、を備え、
前記制御装置105と制御装置90及び前記統合制御装置MCは、前記電源回路55(34,36)で生成した低い電圧の電力が電源として供給され、
前記誘導加熱源17のインバーター回路81と、前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波発生源122と、前記オーブン加熱装置140の上部ヒータ163A、下部ヒータ163Bは、前記フィルター回路54と前記電源回路55(34,36)との間から分配された電力(200V電源)が印加される構成である。
この構成により、加熱調理器1の全体の電源構成が簡略化され、また不要なノイズの伝搬等を抑制して確実な動作が期待できる。
この実施の形態2の加熱調理器1は、以下の形態で、発明を実施していた。
すなわち、マイクロ波加熱源189を内蔵した本体110と、
加熱室113内を加熱するオーブン加熱源188と、
ユーザーの操作を受け付ける入力操作部40と、
前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188に共用され、表示画面を有する統合表示部30と、
前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188を制御する制御部(統合制御装置MC、制御装置105)と、を備え、
前記入力操作部40には、制御メニュー群の中から特定の制御メニューを選択するための入力装置(タッチパネル入力装置301、タッチジェスチャー判定装置302)と、前記第マイクロ波加熱源と前記オーブン加熱源の加熱動作を指令できるスタートキーと、を有し、
前記制御部は、前記入力装置に対するユーザーの操作に応じて、1つの制御メニューと、当該制御メニューに適用される加熱強度又は目標温度、加熱時間等の「制御条件」情報の1つとの組み合わせを示す情報を、前記表示画面に表示させ、
前記制御部は、前記制御メニューと、前記「制御条件」情報の1つとの組み合せとは別の、次に選択できる「制御条件」の情報を(候補表示部30Yに)表示させる構成を備えていた。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱とオーブン加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
しかも、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188に共用される統合表示部30の表示画面30Dにおいて、マイクロ波加熱を行う場合の1つの制御メニューの選定において、その特定の制御メニュー(例えば、「あたため」)を選択して調理開始をスタートさせる前に、その制御メニューと1つ以上の「制御条件」情報(マイクロ波加熱時間と、グリル調理時間情報との組み合せ)とは別の、次に優先的に選択できる制御条件情報(例えば、図42の「RG手動」では、時間「1分」に対して「50秒」と「1分10秒」の組み合せも、表示させる)ので、ユーザーによる制御メニューの確定作業を簡単に行えるように支援できる。このため、複合型加熱調理器であっても使い勝手が良い加熱調理器とすることができる。
さらに、図44で説明したように、入力装置として、タッチパネル入力装置301とタッチジェスチャー判定装置302とを設けて、統合表示部30の表示画面を、ユーザーのタッチ操作によって入力する方式にしているので、タッチ用のキーやボタン等のハードウエア(構造物)を入力操作部40に形成しなくとも、制御メニューの入力が行える。また、複数の入力キーの機能も考えずに、直感的な操作ができる。このため、ユーザーの操作負担感が軽減され、またハードウエア(構造物)が占めるスペースに、別の構造物を配置したり、あるいはそのスペース増加分に応じて統合表示部の表示画面を大きなものにすることが可能となったりするから、結局はユーザーのメリットを増すことができる。
実施の形態2では、前記統合制御装置MCは、電源が供給されると、最初に前記表示画面30Dに、前記待機時共通情報30Nを表示し、その表示状態を数秒から10秒程度継続した後、前記中央操作部40Mと、前記右操作部40Rと、前記左操作部40Lの入力機能を有効にしていた。つまり、主電源スイッチ97をONした直後には、誘導加熱源9と、マイクロ波加熱源189と、前記オーブン加熱源188の選択ができない状態にしていた。
これに対して、前記待機時共通情報30Nを表示した瞬間(例えば、図46の表示画面1参照)から、前記中央操作部40Mと、前記右操作部40Rと、前記左操作部40Lの入力機能を有効にする方式に変更しても良い。これによれば、習熟したユーザーのように使用方法を良く理解したユーザーでは、待機時共通情報の表示が終わる前に、加熱源の選択を終え、早期に調理開始のステップに進めることができる。
以上の通り、この実施の形態2の構成によれば、1つの加熱調理器において、誘導加熱と、マイクロ波加熱とオーブン加熱の3種類の加熱形態が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
しかも、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188に共用される統合表示部30の表示画面30Dにおいて、加熱動作開始前にユーザーに有益な待機時共通情報30Nを表示させる。このため、3種類の加熱形態を使用できる複合型加熱調理器であっても、使い勝手が良い加熱調理器とすることができる。
その他の実施の形態.
実施の形態1~2で示したような上部ユニット100と下部ユニット200の双方を同時に必要でないユーザー(使用者)の場合には、上部ユニット100と下部ユニット200の販売や厨房家具2への設置作業は別個になる。そして、下部ユニット200は例えばオプション品で設定される。このような場合には、例えば、上部ユニット100と下部ユニット200のセット販売の梱包形態と、上部ユニット100だけの販売に備えた梱包形態を別に設定しておけば、販売時の利便性を損なうことがない。
本発明に実施にあたり、実施形態1~2で示したように、上部ユニット100と下部ユニット200を、別々の筐体で構成することは必須ではない。そのため、上部ユニット100と下部ユニット200を最初から1つの筐体(本体ケース)で構成しても良い。
誘導加熱回路は、IHコイル17L、17Rの形態や数等に応じて、ハーフブリッジ回路、フルブリッジ回路等、色々な駆動方式を採用しても良い。例えば、フルブリッジ回路では、日本特許第6130411号特許公報や、日本特許第6173623号公報で提案されている。
また、IHコイルについては、ドーナッツ状の形態だけではなく、例えば日本特許第5538546号公報に示されているように、円環状の主加熱コイルと、この主加熱コイルの両側に近接して配置され、主加熱コイルの半径より小さな横幅寸法を有する扁平形状の第1副加熱コイル及び第2副加熱コイルと、を備えた誘導加熱部でも良い。
更に、実施の形態1では、誘導加熱を開始する際に、火力を設定しなくともデフォルト条件(火力値や火力レベル)で誘導加熱動作に入り、その後に希望する火力をユーザーが決めるという加熱開始操作方法を採用していた。しかしながら、この方法以外でも良い。例えば、主電源投入後に必ず、目的の誘導加熱源と、火力値(ワット)や火力レベル(火力「大」~「小」のような段階の1つ)とを決めて、スタート指令を行う必要がある操作方法を採用しても良く、そのような方法でも本発明の本質的な効果には影響がない。
以上の説明では、加熱調理器1の代表例として、2つの誘導加熱部を備えた加熱調理器の場合で本発明を説明したが、例えば左右と中央の計3個所に誘導加熱部を設けた加熱調理器に変更しても良い。
実施の形態2では、マイクロ波加熱調理を行っている期間中は、上部ユニット100の第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の双方とも運転をしなかったが、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の双方又は何れか一方を運転しても良い。第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の少なくとも何れか一方を運転すると、上部ユニット100の内部空間に外部の空気が連続して導入され、上部ユニット100の温度を低く抑制できる利点がある。
実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。また手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
また図示した各回路、部品、装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくとも良い。さらに特に図15で説明した統合制御装置MC、マイクロ波加熱制御部130、加熱室制御部159、表示部駆動回路63は、これら各装置・回路の機能の分散・統合が可能であり、具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、機能や動作状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
例えば、図15に示した記憶装置MMと記憶装置90Rのデータやプログラムの一部は、加熱調理器1が保持せずに、外部の記録媒体(ストレージサーバ等)に保持されてもよい。この場合、加熱調理器1は、外部の記録媒体(ストレージサーバ)にアクセスすることで、必要なデータやプログラムの情報を取得する。
さらに特に図15で説明した統合制御装置MC、マイクロ波加熱制御部130、加熱室制御部159、表示部駆動回路63の動作プログラムは、ユーザーの希望により、又は加熱調理器1の製造業者等の希望によって、適宜改善されたものに更新するようにしても良い。この場合、例えば、無線通信部49を通じて修正プログラムを入手するようにしても良い。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。