実施の形態1.
図1~図62は、実施の形態1に係るビルトイン式複合型加熱調理器を示すものである。なお、以下の説明では、特に矛盾が起こらない限り、単に「加熱調理器」と呼ぶ。
各図中、符号RTは、加熱調理器1の右方向を示し、LEは左方向を示す。またFTは前方を示し、BKは後方を示す。
この実施の形態1において「誘導加熱調理器」とは、誘導加熱原理に基づく加熱部を有したものをいう。加熱部が複数ある場合、その中に誘導加熱方式と異なる方式、例えば輻射式電熱源(例えば、シーズヒータ、カーボンヒータ等)の他の方式を利用した加熱源があっても良い。
この実施の形態1において「複合型加熱調理器」とは、マイクロ波加熱源と誘導加熱減のように、異なる加熱原理で加熱する、複数の加熱源を備え、それら2種類の加熱源によって、1つの被調理物の加熱調理ができるものをいう。
1つの被調理物を加熱する場所として、閉鎖された空間の「加熱室」を利用することが好ましい。但し、調理工程の全てを加熱室内において行う必要はない。
また、例えば、加熱室の外部において誘導加熱源で被調理物を加熱し、この後、当該被調理物を加熱室の内部に移し、加熱室の壁面が、輻射式電熱源によって加熱され、またその加熱室の内部がマイクロ波によって加熱される形態は、「複合型加熱調理器」の1種である。
この実施の形態1において、加熱室の『加熱手段(以下の説明では「オーブン加熱源」という)』とは、加熱室の壁面を、その外側から加熱する加熱源でも良く、また前記加熱室の内部空間に設置した加熱源でも良い。これら2つを組み合わせて併用する形態でも良い。
また、誘導加熱方式で高温になる発熱部材を配置し、この発熱部材で加熱室の壁面を外側から加熱したり、又は加熱室内の空気を加熱したりする何れの形態であっても良い。
例えば、日本の特許文献で、特開2017-74305号公報には、加熱室(グリル庫)内に配置されて被調理物を載置する調理皿を、下方から加熱する第2の加熱体(誘導加熱コイル)と、側方から被調理物を加熱する第3の加熱体(誘導加熱コイル)と、を備えた加熱調理器が提案されている。
さらに、特開2016-85996号公報には、加熱室の下方に電気絶縁体を設け、その電気絶縁体の下方空間に誘導加熱コイル(以下、「IHコイル」と呼ぶ)を設け、前記IH熱コイルの上に置いた調理プレートを誘導加熱する構成が提案されている。調理プレートは、誘導加熱可能な素材で形成され、例えば、鉄、ステンレス、カーボン含有率90%以上の炭素材、導電材料としてSi(シリコン)またはFeSi(フェロシリコン)を含有するセラミック素材等が用いられている。
また、誘導加熱方式で高温になる発熱部材を配置した代表的なものとして、特開2005-071695号公報には、IHコイルに高周波電流を供給し、当該IHコイルに高周波磁束を発生させ、その高周波磁束を加熱庫内に配設されたヒータと鎖交させて、ヒータに誘導電流が流れるようにし、ヒータ自身の電気抵抗によって発生するジュール熱で加熱庫内の調理物を加熱調理することが開示されている。
さらに、特開2013-247048号公報には、加熱室の内部に、電気的に閉回路のヒータを配置し、このヒータに、加熱室の外部に配設されたIHコイルから生じる高周波磁束を鎖交させ、ヒータを高温にして加熱室内に放熱させることが提案されている。なお、ここでいうヒータとは、電気的に閉回路を形成しており、ステンレスや高ニッケル合金等の丸棒や丸パイプを所定の形状に曲げて、両端を互いに溶接やロウ付け等によって接合して無端状に形成したものである。
この実施の形態1でいう「IHコイル」の代表的なものとして、0.1mm~0.3mm程度の細い銅線やアルミ線を30本程度束にして、この束を複数本撚りながら渦巻状に巻いて構成したものがある(例えば、日本の特許文献で、特開2012-79580号公報)。
また、別の特許文献である特開2018-32551公報には、平板状の導電材料で、環状に形成した環状導電体を、IHコイルとして使用した誘導加熱調理器が提案されている。
これら何れの形態のものも誘導加熱源の主要部となる「IHコイル」に相当する。
この実施の形態1において、「連携調理」とは、1つの被調理物(食品、肉、野菜等を含む。以下、同じ)に対する加熱場所が異なり、かつ独立して加熱動作条件(以下、「制御条件」という)が設定可能な2種類の加熱源を使用して行う調理をいう。この制御条件の一部分はユーザーが設定しなくとも良く、後述する統合制御装置MC等によって自動的に設定されるものでも良い。
前記制御条件とは、加熱強度又は燃焼火力を示す火力値、発熱量、火力レベル、消費電力、マイクロ波出力値、加熱目標温度、加熱時間の、少なくとも何れか1つを指すが、これに限定されない。被調理物の仕上がりに影響を与える条件であれば、他の物理的な条件でも良い。
前記「連携調理」は、複数の加熱源を、時間差を置いて使用する場合が該当する。例えば1つの調理を完成させる過程で、マイクロ波加熱を終えて予備加熱したあと、被調理物を別の場所に移し、移動後の場所で、後述するIHコイル17Lで加熱して完成させる調理の場合は、ここでいう「連携調理」の一種である。
連携調理については、日本特許第5833699号公報や、同じく特許第5500944号公報において、ビルトイン式加熱調理器の形態で提案されている。
図1~図62において、本実施の形態1の加熱調理器1は、例えば流し台付きの厨房家具(システムキッチンという家具も含む)2に組み込まれる加熱調理器である。2Aは、厨房家具2に形成された設置口である。加熱調理器1には、後述するように商用電源99から、電圧200V、周波数50Hz又は60Hzの交流電力が供給される。
図1と図15に示しているように、本実施の形態1の加熱調理器1は、誘導加熱部を左右に2個所有している。
図15において、CL1は、上部ユニット100の左右の中心点を前後方向に通る中心線、ALは、トッププレート15が上部ユニット100の上面で露出している範囲を示している。
図15において、17HRは、中心線CL1から右側の範囲に設けた右加熱部であり、この真上で誘導加熱できる。
17HLは、中心線CL1から左側の範囲に設けた左加熱部であり、この真上で誘導加熱できる。このように、この加熱調理器1は、トッププレート15の上面に「加熱口」を2つ(2口)設けた調理器である。
なお、左右中心線CL1を跨ぐように、右加熱部17HRと左加熱部17HLの間に、更に別の誘導加熱部を設け、3口の加熱調理器としても良い。または、右加熱部17HR又は左加熱部17HLを構成するIHコイル17L、17R(詳しくは後述する)の、何れか1つを、ラジエントヒータや赤外線ヒータ等の輻射式電熱源に代えても良い。
以下の説明では、「誘導加熱部」という場合は、参照符号として17Hを用いる。
図1と図15に示すように、金属製の鍋やプレート(焼き板)等の被加熱物N(図示せず)を載置する望ましい位置を示すための、円形の位置マーク17LS、17RSを、トッププレート15の上面に設けている。位置マーク17LS、17RSは、トッププレート15の上面に印刷によって形成されている。
前記円形の位置マーク17LS、17RSを見ることによって、加熱調理器1のユーザー(使用者)は、誘導加熱部17Hが左右に2個所あると認識できる。なお、後述する音声合成装置95の音声ガイドによってもユーザーは、誘導加熱部が左右に2個所あることを認識できる。
前記位置マーク17LS、17RSの真下には、後述するIHコイル(誘導加熱コイル)17L、17Rが設置されている。なお、位置マーク17LS、17RSは、円形である必要はなく、例えば被加熱物N(図示せず)を載置する望ましい位置の中心点だけを、図形や「+」のような記号、あるいは文字で示しても良い。
前記位置マーク17LS、17RSは、IHコイル17L、17Rによって誘導加熱できる目安的な位置を表示した円形マークであるため、当該IHコイル17L、17Rの最大外径よりも少し大きな直径で描かれている。
この実施の形態1では、前記IHコイル17L、17Rを総称して、IHコイルと呼ぶ場合、符号は17を用いる。従って、「IHコイル」17と呼んだ場合には、左側のIHコイル17Lと右側のIHコイル17Rの両方と、何れか一方の場合がある。
この実施の形態1で、「誘導加熱源」9とは、前記IHコイル17と、後述するインバーター回路81R、81Lを含んだ構成をいう。
図4に示すように、加熱調理器1は、設置口2Aの口縁部上面2Pに載せて支持されている。厨房家具2は、この実施の形態1では図2に示すように、水道の給水口2Dから出る水を一時的に貯めることができる水槽2CPを備えている。2Bは、厨房家具2の所定の位置に形成した前方開口である。この前方開口2Bは、加熱調理器1を組み込んだ際に、その前面構成部分(後述するドア114と前カバー112)を前方へ露出させるためのものである。
前記厨房家具2の前方開口2Bと設置口2Aの大きさは、標準的なものである場合、業界によって標準化が推進されているため、標準的な寸法で事前に形成されていることが殆どである。これについては、あとで詳しく説明する。
加熱調理器1を厨房家具2に組み込む通常の方法は、図3に示している通りである。この図3は、厨房家具2へ組み込む作業の、途中段階を示す模式図である。
図3のように、加熱調理器1の前方側(手前側)が下になるように傾けたまま、前記設置口2Aの中に加熱調理器1を入れ、その後、加熱調理器1の後方側を、実線の矢印BDで示すように下げると、加熱調理器1が厨房家具2の設置口2Aの周縁部に載せられた状態になる。
この後、ネジを締めて、後述する下部ユニット100の後部周縁部に設置してある固定金具(図示せず)を移動(回動)させ、当該固定金具を厨房家具2に強く押し当てた状態にして設置が完了する。なお、このような設置方法は既に広く採用されているので、詳しい構造については説明を省略する。
加熱調理器1の本体110は、図3に示しているように、上部ユニット100と下部ユニット200を上下に重ねた状態で、結合されて一体化されており、そのような一体化された形態でメーカから出荷されるため、図3の組込作業では、上記ネジで厨房家具2に(直接)固定されるのは、上部ユニット100のみである。前記固定金具(図示せず)を外せば、加熱調理器1の全体を厨房家具2から取り出すことができる。これにより、以後、点検や修理が厨房家具2の外側で行える。なお、上部ユニット100だけの範囲で「本体」と呼ぶ場合は、符号10を付して本体110と区別する。
この実施の形態1において、「本体ケース」HCとは、上部ユニット100の外殻を構成する上部ケース16と、下部ユニット200の外殻を構成する下部ケース101との総称である。なお、上部ケース16と下部ケース101を一体のケース(筐体)で構成しても良い。
厨房家具2に形成された設置口2Aは、図2に示すように平面形状が長方形である。但し、4つの角部は円弧状になっている。
設置口2Aの横幅寸法W1は、560mm~564mmである。また前後方向の寸法D1は、460mm~464mmに形成されている。
図1と図2において、3と4は、厨房家具2の表面を構成する表面材である。5及び6は、厨房家具2に加熱調理器1を組み込んだ場合、その左右両側に隣接する表面材である。
これら表面材3~6の前面は、厨房家具2の中に加熱調理器1を組み込んだ場合、その加熱調理器1の前面と、ほぼ面一状態となる。言い換えると、加熱調理器1を組み込んだ場合、表面材3~6と加熱調理器1は、統一された平面になっているような意匠感覚をユーザーに呈することができる。
図3において、8は、厨房家具2の内部を上下に複数の部屋に仕切る壁であり、この壁の下方は、例えば、台所用品や食料等の保存庫として利用する例が多い。なお、図2では壁8の図示を省略している。また、壁8が、着脱可能なように厨房家具2の内部に設置されている形態でも良い。
以上説明した構成により、厨房家具2の中に加熱調理器1を組み込んだ場合、厨房家具2の前面全体は、略一つの平面を呈する。ユーザーが厨房家具2を見た場合、全体に前面(正面)が、すっきりした統一感のあるデザインであると認識できるように設計されている。
厨房家具2と、加熱調理器1は、同じ製造業者が設計したものでなくとも良く、厨房家具は、厨房家具や住宅設備業者が製造販売し、一方、加熱調理器1は家電機器業者が製造販売している場合が多い。
図1と図2において、7は、表面材3~5の前面に印刷で表示した枠線であり、表面材3~5の前面に物理的な凹凸を形成するものではない。なお、光沢のある金属製の細い化粧板やテープ等を貼り付けて、枠線7の存在を示して高級感を出したものでも良い。逆に、枠線7を省略しても良い。
前記4種類の表面材3~6は同じものであっても良い。またこれら表面材3~6は、扉や引き出しのように、前後に移動するものでなくとも良い。例えば厨房家具2の表面に常に固定状態で存在し、全く移動しないものであっても良い。
前記4種類の表面材3~6は、その前面の色と表面形態(模様や光沢の有無、凹凸状態等)を統一させると、厨房家具2としての統一的意匠感が高まる。例えば、表面材4の正面全体が、単一の色や木目調で統一されている場合、表面材3の前面も、同じ単一の色や木目調デザインで統一すれば良い。
次に図4と図5について説明する。図4は、図1の厨房家具2と加熱調理器1の寸法関係を示す縦断面模式図である。図5は、図4に示す厨房家具2の前方の一部を拡大して示す縦断面模式図である。
厨房家具2等は、日本では日本工業規格(JIS)の他、「長期使用住宅部材標準化推進協議会」(略称:長住協)によって住宅部品・部材の標準(共通)化が推進されている。
前記「長住協」が制定された「IHクッキングヒーター(ビルトイン)に関する「長期使用対応部材基準書」によれば、当該IHクッキングヒーターを取り付けるカウンタートップ(厨房家具2)が具備すべき条件として、以下の通り規定されている。
(1)設置口2Aの寸法は、横幅寸法W1が、560mm~564mm。また前後方向の寸法D1は、460mm~464mmであること。
(2)前下がり部2Fの高さ寸法C1は、40mm以下であること。
(3)前下がり部2Fの奥行(前後方向)寸法D3は、45mm以下であること。
(4)前下がり部2Fの天井部奥行(前後方向)寸法D2は、58mm~70mmであること。
さらに、前記「長期使用対応部材基準書」によれば、ビルトイン式IHクッキングヒーター(誘導加熱調理器)の外形寸法も、以下の通り規定されている。
(1)トッププレート下端から前面パネル下端までの高さ寸法H2は、215mm~223mmであること。
以上のような各種の制約条件を満たすように本発明の加熱調理器1は設計されている。
図4において、A1は、後述するトッププレート15の前後方向の寸法であり、510mmである。A2は、本体110の前面を覆う前カバー112前面から、本体110の最後尾までの前後方向の最大寸法であり、498mmである。A3は、本体110の後部に形成した傾斜部111から前記前カバー112の前面までの前後方向の寸法であり、451mmである。
前カバー112は、プラスチック又は金属の一体成形によって形成されている。また、この前カバー112は、左右対称形状に形成され、装着される背面側には突起状の取付脚112Pが数個所形成されている(図14参照)。この取付脚112Pを、下部ケース101の前板102に形成した複数の縦長の嵌合孔(図示せず)に挿入し、下方へ少し摺動させて当該嵌合孔に取付脚112Pが係合するようにしている。この状態で前カバー112は、固定具(図示せず)によって下部ケース101に固定されている。この固定によって前カバー112は、上方には移動しないようになるので、下部ケース101に装着された状態となる。
図4において、113は、後述する加熱室であり、下部ユニット200の内部に形成されている。前記加熱室113の前面には、フライパン等の調理器具、あるいは被調理物等を出し入れできる開口113A(図11参照)が形成されている。その開口113Aは、ドア114によって開閉自在に覆われている。
ドア114の前面と、前記前カバー112の前面は、面一となるように設計されている。そして前記ドア114は、その前面が、取っ手部115を除いて前記前カバー112前面に面一となるように、2個のヒンジ176(図8参照)と、左右に2本配置したアーム116(図示せず)とにより、本体110に対して回動自在に支持されている。このため、ドア114は、その下端部のヒンジ176を支点(回動中心)として前方に開く「前開き」ドアとして機能する。
前記前カバー112は、加熱調理器1を厨房家具2の中に設置した後で、販売店や設置業者等の専門家が、加熱調理器1の前面に装着する。なお、ドア114は、加熱調理器1を工場で出荷する段階で装着しており、専門業者以外の者、すなわち各家庭のユーザーが事後的に取り外せないようにしている。これは加熱室113の内部からのマイクロ波漏洩を確実に防止するためである。
図4において、H1は、加熱調理器1の最大高さ寸法である。つまり、前記トッププレート15の上面から下部ユニット200の底面までの寸法であり、227mmである。
図4において、H2は、トッププレート15下端から前カバー112の下端までの高さ寸法であり、215mm~223mmである。H3は、前記前カバー112又は前記ドア114の上端から下端までの寸法であり、171mmに設定してある。H4は、前記トッププレート15の高さ方向の寸法であり、11mmである。なお、このような寸法関係にすることで、加熱調理器1を設置した際に、ドア114の下面と前カバー112の下面のそれぞれ下方には、後述する前方空隙302が確保されるようになっている。
次に図6について説明する。図6は、図1と図2に示した厨房家具の斜視図である。この図6において、2Gは、前記前方開口2Bの左右両側角部に形成された段部である。この段部は、後述する下部ユニット200の前カバー112が近接して対面する部分である。W2は、設置口2Aの真下に形成される設置空間の最大横幅寸法である。この最大横幅寸法W2は、560mm程度である。
次に実施の形態1の加熱調理器1の構成について、図7~図20を参照しながら詳細に説明する。
図7は、加熱調理器1の平面図である。図8は、加熱調理器1を、図7のZ-Z線で切断した場合の縦断面図である。図9は、加熱調理器1を、図7のZ-Z線で切断し、冷却風の流れを示した縦断面図である。図10は、加熱調理器1を、図8のW-W線で切断した場合の縦断面図である。図11は、加熱調理器1を、図7のY-Y線で切断した場合の縦断面図である。図12は、加熱調理器1を、図8のV-V線で切断した場合の縦断面図である。図13は、加熱調理器1を、図8のX-X線で切断した場合の縦断面図である。図14は、図1の加熱調理器を、厨房家具に設置した場合の右側要部横断面図である。図15は、加熱調理器1の入力操作部を説明するための簡略平面図である。図16は、加熱調理器1の入力操作部と各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図である。図17は、加熱調理器の中央操作部と統合表示部を示す拡大平面図である。図18は、加熱調理器の右操作部と右側表示部の拡大平面図である。図19は、加熱調理器の左操作部と左側表示部の拡大平面図である。図20は、加熱調理器の上部ユニット内部の冷却風の流れを示す簡略横断面図である。
(上部ユニット100)
この実施の形態1では、前記上部ユニット100単体でも加熱調理器1として機能する。そのために、商用(交流)電源99は上部ユニット100だけに供給される。但し、商用電源99にプラグ106A(図示せず)を介して直接接続するための電源コード106(図示せず)は、下部ユニット200から加熱調理器1の外部に引き出される。
上部ユニット100は、本体10の外郭を構成する箱形形状の上部ケース(上筐体)16と、この上部ケースの上部に固定された金属製の額縁状の補強板(支持枠)22(図8参照)と、この補強板22の上面の、後部を除く略全体を覆うように、その上面に重ねて取り付けられた耐熱強化ガラス又は結晶化ガラス製のトッププレート15とから構成されている。言い換えると、上部ユニット100の本体10は、外殻となる上部ケース16とトッププレート15と、をそれぞれ備えている。
前記上部ケース16は、1枚の亜鉛鋼板等の金属製薄板をプレス加工して形成される。または複数枚の金属製薄板をスポット溶接やネジ等で接合して箱形形状に形成される。
実施の形態1では、この上部ケース16は、後述するように1枚の金属薄板の周辺部を、垂直に折り曲げて、底壁(底壁面)16S、後方壁16B、前方垂直壁16F、(左右の)側方垂直壁16L、16Rを、それぞれ一体に形成している。この底壁16Sは、後で説明するように、「仕切り壁」を兼ねている。
前記上部ケース16は、別の形態で形成しても良い。例えば、1枚の金属製平板をプレス加工して、底壁(底壁面)16S、後方壁16B及び前方垂直壁16Fの3つの面が形成された1つの「胴部」を形成する。一方、これとは別に2つの側方垂直壁16L、16Rを個々に形成する。そしてこれら2枚の側方垂直壁16L、16Rを、ネジやスポット溶接等で、前記した「胴部」の端部に取り付けて、最終的に上面全体が開口した箱形形状にする。
トッププレート15は、全体の厚みが略均等な平板状に形成されており、その下面全体は、可視光線が透過しない塗装面で覆われている。このため、トッププレート15の上方からは、その下方の機能部品、例えばIHコイル17が視認できないようになっている。
右側のIHコイル17Rは、平面形状がドーナッツ状形状を有している。そしてこのIHコイル17Rの最大火力は3200Wである。最大外形寸法(直径)は168mmである。
また、左側のIHコイル17Lも同様にドーナッツ状形状を有している。このIHコイル17Lの最大火力は3200Wである。最大外形寸法(直径)は168mmである。なお、大きな鍋やフライパン等の被加熱物にも対応できるように、180mm程度まで直径を拡大しても良い。
図8において、18は、前記上部ケース16の後部に横に長く形成した開口、19は、この開口の上方に設置される排気カバーであり、通気性を持たせるために鎧戸又は多数の貫通孔が形成されている。20は、前記排気カバー19と開口18の間で形成される排気口である。
図8と図10において、22は、前述したように、上部ケース16の後部上端部に固定された金属製の補強板である。この補強板22は、上部ケース16の後縁部横幅と同等の長さを有している。21は、補強板22の上面に固定された金属製の飾り枠である。この飾り枠は、上部ケース16の後方に張り出しており、また上部ケース16の横幅よりも長く形成されている。つまり、上方から見た場合、排気カバー19の後方と左右両側を一連に囲んでいるように見える(図7参照)
図7、図8と図10において、25は、金属製の飾り枠であり、図7に示すようにトッププレート15の左右端面と前方の端面を、外部からの衝撃から保護するように設置されている。
26は、弾力性に富む素材、例えばシリコンゴム等から形成された環状のクッション材であり、前記飾り枠21、25の下面全周に貼りつけてある。これにより上部ユニット100は、このクッション材26を介して厨房家具2に載置される。なお、トッププレート15の左右端面と前方の端面の3つの部分(辺)又は後方の端面を含む4つの部分(周囲4辺)を、1つの飾り枠25で囲むようなデザインにしても良い。
図7と図15において、30は、統合表示部である。この統合表示部30は、トッププレート15の前方部で、かつ左右中心部の下方に設置されている。31Lは、左側表示部であり、31Rは右側表示部である。これら左右表示部31L、31Rも、トッププレート15の前方部左側と、右側の下方に、それぞれ1つずつ設置されている。
前記統合表示部30と、左右の表示部31L、31Rは、液晶表示画面(図示せず)を主体に構成されており、これら統合表示部30、左右の表示部31L、31Rは、左右方向に設置している水平な操作基板41の上に設置されている。なお、これら統合表示部30、左右の表示部31L、31Rの真上の位置に対応して、前記トッププレート15の下面には、前記したような可視光線を遮断する塗装面を設けていない。このため、統合表示部30、左右の表示部31L、31Rの表示内容は、トッププレート15の上方から視認できる。
前記統合表示部30は、加熱調理器1の共通的な情報や警報を表示する。例えば、この加熱調理器1の3種類の加熱源の選択結果や、それら加熱源の動作状態を示す注意情報、警告情報を表示する。すなわち、前記統合表示部30は、誘導加熱源17と、後述するオーブン加熱源188と、マイクロ波加熱源189の、3つの加熱源に関係する情報を表示する場合があるため、統合表示部30と称している。
また、前記統合表示部30は、後述する「連携調理メニュー」に対応した各種調理の名称や、その制御条件等を表示する機能もある。
左側表示部31Lは、左側のIHコイル17Lの動作に関する情報を表示する。例えば、後述するように、タイマー調理をセットする場合には、1分単位で設定でき、その設定した時間を表示できる。また加熱動作を開始してからの経過時間や、タイマー設定時間が終了するまでの「残時間」も表示する。更に、予熱調理を選択した場合には、自動的に設定された温度(デフォルト温度)や、現在の温度などを表示する。なお、上記「残時間」は、10分未満になった段階から9分59秒という表示が行われ、1秒単位で残時間が表示される。
同様に、右側表示部31Rは、右側のIHコイル17Rの動作に関する情報を表示する。この右側表示部31Rは、基本的に左側表示部31Lと同様に、右側のIHコイル17Rのタイマー設定時間や、予熱温度、経過時間等の各種制御条件に関する情報を表示する。
図15において、40は、入力操作部である。この入力操作部40は、前記飾り枠25の最前部後方においてトッププレート15の前端縁部に沿って、横に長く配置されている。
前記入力操作部40は、横に長く、かつ帯状に設置してある操作基板41の上面に配置されている。
前記操作基板41には、各種の電子部品類を実装している。前記操作基板41は、電気絶縁性に富むプラスチック材料で形成されている。上部ユニット100の操作基板41の後方側には、ホルダー50に支持された中央操作基板32がある。後述する統合制御装置MCは、前記中央操作基板32の裏面側に実装されている。
前記操作基板41の下方には、この操作基板41と空隙を置いて対面するように、平板状の補助支持板(図示)が上下に重なるように設置されている。つまり、間隔を置いて対面する上下2層(2枚)構造になっており、できるだけ多くの電気部品や回路を実装できるようになっている。
F2は、後述する第2冷却ファン61からの冷却風が流れる第2風路であり、後述するカバー70と、前記上部ケース16の前方にある前方垂直壁16Fとの間の空間によって形成される(図8、図20参照)。
図8において、16Bは、前記上部ケース16の後方垂直壁である。後述する下部ケース101と上部ケース16は、複数個所において、それぞれネジ51によって一体化されている。
図8から明らかなように、上部ケース16の後方垂直壁16Bと下部ケース101の上端部とは、20mm~30mm程度の範囲で、緊密に対面しており、その対面部分を前記ネジ51によって締め付けて固定されている。
図8において、104は、深さも平面積も大きな空洞である。この空洞104は、上部ケース16の底壁(底面)16S下面から、後述する下部ユニット200の後部の底板101U上面までの空間である。BHは、その空洞104の深さ(垂直方向)寸法を示している。
この図8に示す構造から明らかなように、この実施の形態1では、前記トッププレート15によって上面の開口部が閉鎖された扁平な(本体10の外殻を構成する)上部ケース16を有している。そして、この上部ケース16を後述する下部ケース101の上に載置した状態では、当該上部ケース16の底壁16Sが前記下部ケース101の天井面を兼ねている構成である。
図8で説明したように、上部ケース16の底壁16Sと、下部ケース101の底板101Uとの対向間隔が最も大きい空間が、前記空洞104である。
前記空洞104には、後述するマイクロ波加熱装置120の一部を構成する導波管123が、前記加熱室113の背後において左右方向に長く配置されている。
さらに導波管123よりも後方には、マイクロ波加熱制御部130に電力を供給する回路部品を実装した電源回路基板127の収容用ケースC154が、左右方向に長く配置されている。
マイクロ波加熱制御部130は、マイクロコンピューターを主体に構成されており、前記ケースC154の内部の、前記電源回路基板127に実装している。言い換えると、ケースCの内部に格納された電源回路基板127は、マイクロ波加熱制御部130を実装した制御基板を兼ねている。なお、このような制御基板と電源回路基板127を、別々に設けても良いが、この実施の形態1では、設置スペースを最小にするため、一体化している。
図8において、101Tは、下部ケース101の前方側に設けた金属板製の前方水平壁である。この前方水平壁101Tは、下部ケース101の前板101F(図11参照)上端を後方に折り曲げて形成したものである。
198は、金属製板から形成された連結用の支持金具であり、水平部198Hと垂直部198Vとを備えている。そして、その水平部198Hは、前記下部ケース101の前方水平壁101Tに固定されている。
上部ケース16と下部ケース101の一方又は双方が、薄い金属製板で形成された箱状であり、前記ネジ51、51Fの締結によって、上部ケース16と下部ケース101とは、強固な1つの箱形構造物になっている。
この実施の形態1では、上部ケース16と、前記下部ケース101は、以下の通り、緊密な状態で嵌合している。
すなわち、前記下部ケース101の上面開口の縦横寸法(内側最大縦横寸法)は、上部ケース16の前後方向最大幅寸法D5(図示せず)と、左右方向最大幅寸法W4(図示せず)と、設計上では同じ寸法である。左右の垂直壁101L、101Rや後壁面(後方垂直壁)101Bの上端部に、外側方向へ少し力を加えると、下部ケース101の上面開口が少し広がるので、その内側に上部ケース16を緊密に(ぴったりと)嵌めることができる。
この実施の形態1でいう「嵌合」とは、必ずしも上記実施の形態1のように、緊密に嵌り合う状態をいうのではない。外側になる下部ケース101の内側(前後・左右方向の)寸法に対し、内側に挿入される上部ケース16の外側寸法が、最大で1mm程度異なっていても良く、全体で緊密に密着している状態でなくとも良い。また、そのように若干の寸法差がある場合でも、ネジ51等で固定して強固な本体ケースHCにすることができる。
上部ケース16と下部ケース101は、強固な1つの箱形構造物になっているため、後述するドア114の支持構造も強固に実現でき、ドア114部分におけるマイクロ波漏洩防止に有益である。
特に上部ユニット100のトッププレート15は、厨房家具2の上面に支持されて下部ユニット200の全荷重を受けるので、上部ケース16と下部ケース101の全体が歪んだり、変形したりしない構造にすることは重要である。なお、前記クッション26が、前記飾り枠21、25の下面全周に貼りつけてあるため、実際に厨房下部2の上面に接触するのは、前記クッション材26である。
図8において、80は、インバーター回路基板であり、上部ケース16の中央部に設置されている。前記インバーター回路基板80は、平面形状が左右方向に長い長方形である。
前記インバーター回路基板80の上に実装されているインバーター回路81は、左側のIHコイル17Lに対して高周波電力を供給するインバーター回路81Lと、前記右側のIHコイル17Rに対して高周波電力を供給するインバーター回路81Rと、から構成されている。これらについては、図21と図24を参照しながら後で説明する。
前記インバーター回路基板80の上面には、アルミニウム製のヒートシンク(放熱シンク)82が合計4個取り付けられている。前記ヒートシンク82は、図8、図11に示すように2つの放熱フィン82F同士が向かい合うように、2列並べ、かつ数mm~10mm程度まで接近させて設置されている。
前記ヒートシンク(放熱シンク)82には、図8から分かるように、互いに向かい合っている側と反対側にある傾斜面の上に、前記インバーター回路81L、81Rの一部を構成する電力制御用スイッチング素子83が取り付けてある。そのため、スイッチング素子83の動作時に発生する熱を、放熱フィン82Fの周囲を通過する冷却風RF1によって冷却できる。
前記電力制御用スイッチング素子83は、例えばIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)である。一方の前記インバーター回路81L側の電力制御用スイッチング素子83は、前後2列あるヒートシンク82の後方側、また他方のインバーター回路81R側の電力制御用スイッチング素子83は、前後2列あるヒートシンク82の前方側に取り付けてある。なお、この逆の側に取り付けるようにしても良い。
図8において、70は、前記インバーター回路基板80の上方全体を覆う金属製薄板又はプラスチック材料から形成されたカバーである。このカバー70の左右両側端部は開放されており、図20に示すようにカバー70の左側端面側が、後述する冷却風RF1の入口FIとなり、カバー70の右側端面側が冷却風RF1の出口FOを構成する。
前記カバー70は、前記IHコイル17L、17Rの最も下に位置している下面との間に、一定の空隙(直線距離で、数mm程度)を確保している位置にあり、また前記ヒートシンク82の最上面とも一定の空隙を確保する大きさである。
前記カバー70が、IHコイル17Lの真下にあって、かつそれと接近している状態になるから、カバー70に防磁効果を期待する場合には、カバーをアルミニウム等の金属製にして、更に上部ケース16に電気的に繋がるようにすると更に良い。例えば、カバー70を取り付けるためのネジ(図示せず)が、直接カバー70のネジ孔まで届いている状態にする。
上部ケース16は、後述する下部ケース101と金属製ネジ等で連結されるので、下部ケース101に設けているアース端子(図示せず)にも電気的に繋がり、アースにノイズが吸収される。このようにすると、カバー70の防磁効果により、インバーター回路基板80の上に実装した各種電気部品に対するノイズ遮蔽効果が期待できる。
また、カバー70をプラスチック材料で射出成形するようにすれば、カバー70の断面形状も比較的自由に決定できる。このため、第1風路F1を流れる冷却風RF1の流れ(方向)を調整することもできる利点がある。例えば、特にヒートシンク82の特定部位へ多くの冷却風RF1が流れるように、リブ状の風向板等をカバー70の下面に、一体に形成しても良い。
2つのIHコイル17L、17は、耐熱性プラスチックで形成されたコイルベース17C(図示せず)という部品で下方から支持されている、コイルベース17Cは、2つのIHコイル17L、17Rの個々に設けても良いし、2つのIHコイル17L、17Rに共通に1つの構造物で形成しても良い。
前記、コイルベース17Cは、カバー70の上面に直接載せられて、カバー70にネジ等の固定具で固定する構造である。あるいは、カバー70の上面との間に圧縮バネ等の弾性体を介在させて、前記トッププレート15側に常に押し上げられた形で支持された構成である。これら支持構造の詳細な説明は省略する。何れにしても、IHコイル17L、17Rは、トッププレート15の裏面(下面)との対向間隔(距離)が、長期間に亘り変化しない。
上記構成のため、誘導加熱調理時においては、トッププレート15の上に載置される被加熱物Nである調理容器とIHコイル17L、17Rとの距離が変化しない。この結果、IHコイル17L、17Rに高周波電流を供給するインバーター回路81L、81Rに発生する高周波電圧および高周波電流の変化を抑制でき、誘導加熱性能を安定化することができる。
前記IHコイル17L、17Rは、1つの水平線(第2の水平線HL2)の上にある。言い換えると、第2の水平線で確定される1つの平面(第2の水平面HL2)上に存在している(図10参照)。
前記カバー70は、IHコイル17L、17Rの下方に配置されている前記コイルベースと、ヒートシンク82の両方に接触していない位置にある。
前記カバー70は、このカバー70の平面形状よりも大きな平板状の支持板71の上面に密着するように固定されている。そしてインバーター回路基板80とカバー70との間には、図8、図19に示しているように左右方向に長い第1風路F1が区画形成される。なお、支持板71は、絶縁性材料、例えば耐熱性プラスチックから形成されている。
図8と図11において、102は、下部ユニット200からの排気流が案内される金属製の排気ダクトである。この排気ダクト102の排出口側末端部102Eは、後述する仕切り板52と上部ケース16の後方垂直壁16Bとの間に形成された空隙GP1の中を貫通している(図9参照)。つまり、排気ダクト102は、空隙GP1の中を煙突のように垂直に貫通している。
図10において、16Aは、前記上部ケース16の側方垂直壁16L、16Rの上端部から一連に、外側へ直角に折り曲げて形成された水平なフランジである。
101Aは、後述する下部ケース101の側方垂直壁101L、101Rの上端部から一連に、外側へ直角に折り曲げて形成された水平なフランジである。
上部ケース16と、下部ケース101は、前記したフランジ16Aがフランジ101Aの上に重なっている。この重合状態で、上部ケース16側壁面と下部ケース101の側壁面とは、前述したネジ51(図8参照)で固定されている。そのためネジ51による固定と、このフランジ16Aとフランジ101Aとの密着固定によって、上部ケース16と、下部ケース101は、強固な一体構造物となっている。言い換えると、上部ケース16の総重量は、下部ケース101のフランジ101Aの上面が受けるので、仮に上部ケース16と、下部ケース101が、薄い金属製板で形成された場合でも、一体化された状態では、機械的な強度を備えた箱形構造物にできる。
フランジ16Aとフランジ101Aとが重なった状態で固定する手段は、前記ネジ51ではなく、ボルトとナット等のような、他の締結手段でも良い。なお、前記フランジ16Aとフランジ101Aは、厨房家具2の上面には接触しない。これらフランジ16Aとフランジ101Aは固い材料(金属)で形成されているので、厨房家具2を傷つける懸念がある。またこのフランジ16Aとフランジ101Aが厨房家具2に当たってしまうと、クッション材26を圧縮したまま設置することができないことになる。クッション材26が密着した状態になっていないと、水等の侵入防止効果を損なう懸念がある。
次に、加熱調理器1の外殻(筐体)である本体ケースHCと、厨房家具2との間の空隙について説明する。
図4、図8~図11において、311は、本体ケースHCの外殻を構成する下部ケース101の底板101Uと厨房家具2との間に形成された下部空隙であり、約10mmの大きさである。
301Rは、同じく下部ケース101の右側の側方垂直壁101Rと厨房家具2との間に形成された右側空隙であり、約5mmの大きさである。
301Lは、同じく下部ケース101の左側の側方垂直壁101Lと厨房家具2との間に形成された左側空隙であり、約5mmの大きさである。
302は、ドア114を閉じた状態で、そのドア114の下面又はヒンジ部176の下面と、厨房家具2との間に形成された前方空隙であり、10mm程度の大きさである。なお、前カバー112の下面の位置も、ドア114の下面の位置とは、水平面上で一致しているので、前カバー112の下方にも前方空隙302と同等に大きさの空隙が確保されている構成である。
前記前方空隙302は、ドア114の開閉によって大きさが変化するが、図8に示すように、ドア114を閉じた状態で外気の吸引が可能なような大きさ(例えば5mm~10mm程度)が確保されれば良い。なお、以下の説明で「外気」とは、加熱調理器1の外部に存在する空気をいうもので、屋外の空気を指すものではない。
前記下部空隙311、右側空隙301R、左側空隙301L及び前方空隙302は、相互に連通している。このため、加熱調理器1の運転開始によって、前方空隙302から外気が吸い込まれると、下部空隙311、右側空隙301R及び左側空隙301Lに、吸込まれた外気がそれぞれ適宜分配される。なお、図14で説明する空隙303も、それら各空隙311、右側空隙301R、左側空隙301L及び前方空隙302に連通する。
次に図14について説明する。
W3は、加熱調理器1の前面部における最大横幅寸法である。この横幅寸法W3は、前記厨房家具2の設置空間の最大横幅寸法W2(560mm)よりも大きく、例えば595mmである。303は、厨房家具2の設置空間の右側に存在する右側壁面材の内面(以後、「右側面」という)と、前記、前カバー112の右端面との間に形成される空隙である。この空隙は、加熱調理器1を設置する際に厨房家具2と衝突しないように確保されるものである。大きさは1~2mm程度で良い。
左側の前カバー112においても、厨房家具2の設置空間の左側に存在する左側壁面材の内面(以後、「左側面」という)との間に、前記空隙303と同じような空隙が形成される。なお、加熱調理器1の設置によっては、左右の空隙303の大きさは多少異なることがある。また、厨房家具2のタイプによっては、弾力性のあるシール材(クッション材)を段部2G(図6参照)に配置していて、空隙303が殆ど塞がれた状態で設置される場合もあるが、そのような状態でも、この加熱調理器1の内部冷却機能には何ら支障はない。
前記前カバー112が、図14に示しているように右側空隙301Rと左側空隙301Lよりも、厨房家具2の前カバー112が外側まで伸びている。このため、加熱調理器1を設置した状態では、左右2つの前カバー112によって、前記右側空隙301Rと左側空隙301Lの前方側が覆われる。このため、ユーザーが正面側から厨房家具2を見た場合、加熱調理器1と厨房家具2との間に、大きな隙間が存在するような感覚を与えることはない。そして、加熱調理器1の設置状態では、前記右側空隙301Rと左側空隙301Lが確保されるので、後述する上部ユニット100の上部風路AHと下部ユニット200の下部風路UHのための外気の導入が確実に行える。
図14において、WSは、ドア114が前記下部ケース101の前板101Fに対面する横幅寸法である。この横幅寸法は、ドア114と下部ケース101が密着してマイクロ波の漏洩防止をするため、及び開口113Aの前後・左右の位置に、後述するチョーク室194を形成するためにも必要である(図11参照)。
図20に示しているように、上部ケース16の左側にある側方垂直壁16Lの近くには、第1冷却ファン60(上部冷却ファン)と第2冷却ファン61が、それぞれ設置されている。これら第1冷却ファン60、第2冷却ファン61の回転翼(図示せず)の中心部にある回転軸60T(図示せず)は、鉛直(垂直)方向に伸びており、前記回転翼は、1つの水平面(第1の水平面HP1)上を回転する。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、遠心ファン(ブロワー)が採用されている。この理由は、静圧が高く、高実装密度の空間で通風抵抗が大きいことを考慮したためである。なお、一般的に遠心ファンには、吸込み口が1個所で、吹き出し(吐き出し)方向が全半径方向となっているタイプも存在する。しかし、この実施の形態1のものは、吹き出し方向が1つだけのタイプである。
図20において、60Aは、第1冷却ファン60のファンケース60Cと一体に形成された吹出口、61Aは、第2冷却ファン61のファンケース61Cと一体に形成された吹出口である。吹出口60Aは、前記インバーター回路基板80に向けられている。また、吹出口61Aは、前記操作基板41の下方にあるホルダー50の方向に向けられている。つまり2つの吹出口60A、61Aは、何れも共通な水平面(HP1)上に存在し、かつ右方向に向けられている。この水平面HP1は後述する第1の水平面である。
前記ホルダー50は、絶縁性のある材料、例えばプラスチック材料で形成されている。このホルダー50は、入力操作部40の全域と前記統合表示部30、右側表示部31R、左側表示部31Lの範囲に対応した大きさを有し、左右方向に長く帯状に設けてある。このホルダー50の下面に少し間隙を保って、中央操作基板32が重なるように取り付けてある。
前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、全く同じ構造、同じ形状、同じ「定格仕様」であり、平常な誘導加熱動作時は、同じ回転数で運転されることを想定している。しかしながら、本実施の形態1では、IH制御部90によって回転数を異ならせて、送風量を変化させている。例えば、IHコイル17L、17Rに加える駆動電力を大きくして加熱能力を上げる場合や、前記統合表示部30や入力操作部40の温度が平常時よりも上昇していることが検知された場合、冷却効果を上げるために回転数を増加させて、送風量を増加させる場合がある。また、後述する「うなり音」対策によって第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、互いに回転数を異ならせて運転する場合がある。
定格仕様とは、例えば、定格電圧、使用電圧範囲、定格電流、定格回転数、最大風量、最大静圧、音圧レベル等である。使用電圧範囲の中で印加する電圧又は電圧印加時間(オンDUTY時間)を変化させれば、回転数を変化させることができる。
これに対し、本実施の形態1では、PWM制御(Pulse Width Modulation)方式を採用しており、入力信号(DCレベル)の大きさに応じて、パルス幅のデュ-ティ・サイクル(パルス幅のHとLの比)を変え、第1冷却ファン60のモータを制御している。このPWM制御は、第2冷却ファン61でも採用している。
前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、回転翼(図示せず)の周囲をファンケース60C、61Cで囲った構成であり、そのファンケースの下面には、円形の吸込口(図示せず)を設けている。
前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の、それぞれの前記吸込口(図示せず)の直下になる位置には、多数の丸孔又は楕円形の孔から構成される通気孔64(図10と図12参照)がある。この通気孔64は、下ケース16の底壁面に形成してある。この通気孔64は、後述する下部ケース101の左側側壁面に形成した通気孔164に連通している。そのため、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、その通気孔164を介して、下部ケース101の外部から直接外気を導入できる。
図10において、165は凹部(吸気ダクト)であり、前記通気孔64を下部ケース101の通気孔164に直接連通させるために設けている。この凹部165は、左側から一定の深さ(寸法)DP1だけ凹ませて形成してある。なお、この寸法DP1は99mmである。
図10に示すように、前記第1冷却ファン60の吹出口60Aの上下方向の中心点と、前記ヒートシンク82の上下方向の中心点、及び後述する電源回路基板55の上面に実装された電気部品85の上下方向の中心点は、1つの水平線HL1の位置にある。言い換えると、第1冷却ファン60の吹出口60Aから吹き出された冷却風RF1が、真っすぐに右側方向に進行すると、ヒートシンク82と電気部品85に到達するような位置関係になっている。この水平線HL1で確定される水平面を、以後、「第1の水平面」HP1と呼ぶ。
図10において、前記電源回路基板55には、商用交流電源99からの交流電力が、後述するフィルター回路基板54を介して供給される。そして、この電源回路基板55において、交流から直流に変換する。そのため、交流から直流に変換するためのダイオード、トランス57(図示せず)等の電気部品85が実装されている。
インバーター回路基板80のヒートシンク82の温度が異常に上がった場合、誘導加熱調理を制御するIH制御部90は、前記IHコイル17L、17Rの加熱量を低減させる。なお、この動作に加えて第1冷却ファン60の単位時間あたりの送風量を、一時的に増加させるようにしても良い。ヒートシンク82の温度は、ヒートシンク82の表面に密着状態に固定されたサーミスタ等のような接触型の温度センサーTS8、TS9(図20参照)によって検知している。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61を、全く同じ構造、同じ形状、同じ定格仕様で揃えた場合、製造時の調達コストを安価にできる。
同一仕様の冷却ファンを並列配置し運転させると、うなり音が発生する可能性が高い。このため、この実施の形態1では、うなり音対策として、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の回転数は、うなり音が発生しやすい範囲では、異なる値になるような制御を行っている。つまり、常に異なる回転数で運転している訳ではない。
図20において、52は、上部ケース16の後部において左右に長く設置している金属製の仕切り板であり、上部ケース16に固定されている。この仕切り板52は、上部ケース16の内部空間を、前後に区画するように垂直に伸びた壁となっている。なお、ここでいう「区画する」とは、空気の流通を完全に遮断するような厳密な遮蔽を意味していない。仕切り板52の上端面を越えて、前記第1冷却ファン60、第2冷却ファン61からの冷却風が後方へ流れることを、ある程度抑制できる程度であれば良い。
後述する上部風路AHは、前記上部ユニット100の内部において、前記通気孔64から仕切り板52までの範囲の風路をいう。この仕切り板52の背後側に形成された前記空隙GP1の中には、前記した下部ユニット200からの排気ダクト102が存在している。このため、後述する下部風路UHは、前記上部通路AHの中を通過せず、実質的に加熱調理器1の外部に連通する構造となっている。
図20において、52Aは、前記仕切り板52の左半分に形成した排気窓、53は、その排気窓52Aの前方側を覆うように設置した排気口板であり、多数の貫通孔53Aが形成され、仕切り板52の排気窓52Aに向かう冷却風が通過するようになっている。なお、この排気窓52Aを通過した冷却風は、前記排気カバー19を介して加熱調理器1の外部空間へ放出される。
図20において、LFは、IHコイル17L、17Rの設置空間CKから排気される排気の範囲(横幅寸法)を示した排気口寸法である。この排気口寸法は、前記貫通孔53Aの形成範囲と、排気窓52の横幅寸法によって定まる。排気窓52の横幅寸法の方が貫通孔53Aの形成範囲よりも狭い場合(図20に示した形態)では、その排気窓52の横幅寸法によって排気範囲LFが定まる。
図20において、54は、上部ケース16の後部の右隅部に配置したフィルター回路基板である。このフィルター回路基板では、商用電源99からの電源の中のノイズを除去して出力端子側へ供給し、また逆にノイズを、入力端子側にある商用電源側へ流出(逆流)させないようにしており、抵抗とインダクタ(チョークコイル)、ライン間コンデンサー、リレー、電流ヒューズ等の電気部品(図示せず)を実装している。なお、商用電源99にプラグを介して接続された電源ケーブル(図示せず)の末端部は、後述する下部ユニット200の内部を経由して、このフィルター回路基板54に接続されている。
前記電源回路基板55は、前記インバーター回路基板80を挟んで前記第1冷却ファン60と反対側(右側)にある。言い換えると、この電源回路基板55は、前記インバーター回路基板80とカバー70との間に形成された第1風路F1の出口FOの右側にあるため、第1風路F1から出た直後の冷却風によって冷却される。
図20において、CL3は、左側のIHコイル17Lの中心点を前後方向に通る中心線、CL4は、右側のIHコイル17Rの中心点を前後方向に通る中心線である。
CL5は、2つのIHコイル17L、17Rの各中心点を左右方向に横切る中心線である。CL2は、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61における、各回転翼(図示せず)の回転中心を前後方向に貫通する中心線である。この図20から明らかなように、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、前後方向の一直線上に並んでいる。
図20において、RF1は、第1冷却ファン60から吹出された冷却風を示す。RF2は、第2冷却ファン61から吹出された冷却風を示す。
RF3は、第1風路F1の出口FOから出たあとの冷却風を示す。また、RF4は、第2風路F2を通過したあとの冷却風を示す。なお、出口FOから出たあとの冷却風RF3と第2風路F2を通過したあとの冷却風RF4は、その一部が途中で合流する。つまり、排気口板53の貫通孔53Aに至る前に、冷却風RF3と冷却風RF4は合流する。
図20において、GP1は、仕切り板52と上部ケース16の後方垂直壁16Bとの間に形成された空隙である。この空隙GP1の前後方向の幅は、30mm~50mm程度である。
(入力操作部と表示部)
次に図15と図16に戻り、前記入力操作部40の主要部について説明する。
図15と図16において、40は、トッププレート15の前方側上面に形成された入力操作部であり、以下述べるように、使用者が指等で軽く触れた時の静電容量の変化を利用して入力できる方式の各種入力キーを、横方向に一直線状に配置している。
入力操作部40は、右操作部40R、中央操作部40M及び左操作部40Lの3つを含んでいる。98は、後述する商用電源99を供給すること、及び遮断することができる主電源スイッチ97の操作ボタン又は操作キー(タッチ入力式)である。この操作ボタン又は操作キー98は、右操作部40Rの右端部に隣接した位置に配置されている。なお、この操作ボタン又は操作キー98は、入力操作部40の範囲内(図15参照)にあるという前提で以下説明する。
前記右操作部40Rは、誘導加熱源だけの入力操作を行うものであるため「個別操作部」と呼ぶ場合がある。同様に左操作部40Lも、「個別操作部」と呼ぶ場合がある。
これに対して、前記中央操作部40Mは、マイクロ波加熱源189と、オーブン加熱源188の2つに共通して使用されることから「共用操作部」と呼ぶ場合がある。なお、この「共用操作部」は、後述する連携調理メニューを実行するための「連携操作部」40MCも含んでいる。これらについては、図17で詳しく説明する。
前記主電源スイッチ97は、図20と図21に示すように上部ユニット100のフィルター基板54に取り付けてある。商用電源99は、電源回路基板55、インバーター回路81、下部ユニット200の電源回路部(図21では図示せず)に供給されている。
図16と図18に示すように、前記右操作部40Rには、合計5つのタッチ式入力キー43R1~43R4、44Rを配置してある。これら入力キー43R1~43R4、44Rは、以下に述べるように、1つ又は複数の入力機能が割り当てられている。
43R1は、右加熱部17HRでの加熱を選択する入力キーである。また、加熱動作を開始した右側のIHコイル17Rの動作を、停止することができる。このため、最初に1回押した場合には、右加熱部17HRの選択機能を発揮し、その次に1回押した場合には、瞬時に加熱動作の停止指令を発する機能がある。このように、この入力キー43R1は、1回タッチする毎に、後述するIH制御部90に対する指令の内容が自動的に切り替わる。
42R2と42R3は、誘導加熱時の火力(消費電力)を指定する1対の入力キーである。
左側の入力キー42R2にタッチすると、その操作の度に、1段階ずつ火力が下げられる。例えば、3200W(定格最大火力:火力レベル9)である場合、この入力キー42R2に1回タッチすると、2500W(火力レベル:8)になる。
右側の入力キー42R3にタッチすると、その操作の度に、1段階ずつ火力が上げられる。例えば、2500W(火力レベル8)の火力である場合、この入力キー42R3に1回タッチすると、3200W(定格最大火力:火力レベル9)を選択できる。
43R4は、タイマー調理の制御メニューを選択する入力キーである。タイマー調理とは、ユーザーが調理時間を設定すると、その設定時間の間だけ誘導加熱動作が行える制御方法である。例えば、10分間を指定してタイマー調理を開始した場合、10分経過時に所定の表示が右側表示部31Rで行われ、また後述する音声合成装置95からも、音声で調理終了の報知が自動的に行われる。設定時間(例えば、10分間)の経過時には自動的に誘導加熱が停止するが、設定時間経過前に延長操作をして、誘導加熱時間を延長することもできる。
この実施の形態1では、統合表示部30や右表示部31R等の表示部と、音声合成装置95の両者を総称して報知手段と呼ぶ場合がある。
44Rは、誘導加熱調理の「制御メニュー」を選択するタッチ式入力キーであり、タッチ操作する毎に複数の制御メニューの中から1つを選択できる。なお、この誘導加熱調理において「制御メニュー」とは、図28に示しているような、例えば、湯沸し、煮込み、揚げ物(自動調理)等のように、誘導加熱源9の制御モード、言い換えると制御の種類である。つまり、湯沸しや煮込み、揚げ物等は、IHコイル17Rの駆動時間や、火力、火力を変化させる駆動パターン等が異なるのである。
右加熱部17HRのための「制御メニュー」とは、誘導加熱して得られる最終的な被調理物の名称や食材の名称とは異なる。例えば「ハンバーグ」や「天ぷら」は被調理物の名称であり、ここでいう「制御メニュー」ではない。言い換えると、「制御メニュー」とは、調理を完成させるまでの加熱の種類、調理方法や条件等を総括的に表現したものとも言える。
誘導加熱源9の制御メニューは、他の加熱源の制御メニューと区別するため、「IH制御メニュー」と呼ぶ場合がある。
次に図16と図19を参照しながら、左操作部40Lについて説明する。左操作部40Lには、合計5つのタッチ式入力キー43L1~43L4、44Lを備えている。
43L1は、左加熱部17HLによる調理を選択する入力キーである。また、左側のIHコイル17Lの加熱動作が開始された後は、その動作を随時停止させることができる。つまり、最初に1回押した場合には、左加熱部17HLを選択する機能を発揮し、誘導加熱が開始されてから次に1回押した場合には、瞬時にその加熱動作を停止できる。
43L2と43L3は、前記右操作部40Rの入力キー43R2~43R3と同様に、左加熱部17HLにおける火力(消費電力)を指定する1対の入力キーである。前記右操作部40Rの入力キー43R2、43R3と同様に、1回タッチする度に、規定されている火力値のデータテーブルの中で、1段階上げた火力を選択し、又は1段階下げた特定の火力を選択できる。
43L4は、タイマー調理を選択する入力キーである。この入力キー43L4は、右操作部40Rの入力キー43R4と同様に、誘導加熱調理の時間を指定することができる。また、タイマー調理終了時には、入力キー43R4と同様に、左側表示部31Lにおいてタイマー調理の終了が表示され、音声合成装置95によっても報知される。
44Lは、誘導加熱調理の「制御メニュー」を選択できるタッチ式入力キーである。前記右操作部40Rの入力キー44Rと同様に、複数の「制御メニュー」の中から1つの制御メニューを選択できる。なお、左側の入力キー44Lで選択できる制御メニューは、右側の入力キー44Rで選択できる制御メニューと全く同じである。但し、後述する「連携調理メニュー」を中央操作部40Mで選択した場合には、右操作部40Rでは実行できない調理メニューを、左操作部40Lでは選択できる。つまり、特定の調理(例えば、ハンバーグを焼くこと)を、連携調理メニューによって実行することができる。
この左操作部40Lに配置された合計5つのタッチ式入力キー43L1~43L4、44Lは、図16と図19から明らかなように、左右方向に1直線上に並んでいる。
図16と図17において、前記中央操作部40Mには、合計10個のタッチ式入力キーを配置してある。これら入力キーは、1つ又は複数の入力機能が割り当てられている。
以下、10個のタッチ式入力キーについて説明する。
最も左側にある入力キー43KPは、加熱調理器1全体の各種動作や表示等を、ユーザーの希望通りに設定できるようにするためのものである。
入力キー43KPを押すと、後述する統合制御装置MCは「機能モード」に切り替わり、統合表示部30の表示画面30Dに以下のような「機能設定メニュー」を表示する。
(1)チャイルドロック設定(各種入力キーの操作無効化設定)
(2)換気扇連動モード設定
(3)お掃除ガイド設定(加熱室113と排気カバー19の清掃時期自動報知機能設定)
(4)ピークカット設定(最大消費電力を、5700W、4800W及び4000Wの3段階から1つ選択)
(5)音声ガイドの音声設定
(6)音声ガイドの音量設定
(7)加熱室113からの被調理物、調理器具等の出し忘れを防止する設定(音声合成装置95と統合表示部30での警報の要否)
(8)HEMS登録設定(家庭用電力制御装置による電力使用制限機器にする設定)
(9)タイマー調理の時間単位(1分単位設定を、5分や30分単位へ変更)設定
入力キー43KPを押して、統合表示画面を「機能モード」に切り替えた上で、前記中央操作部40Mに配置された後述するタッチ式入力キー43M1~43M3を操作すれば、加熱調理器1の「機能設定メニュー」に定めてある上記9種類の個別機能を、個々に変更することができる。
統合表示部30において、マイクロ波加熱源189やオーブン加熱源188の制御モードや制御条件(温度や火力、時間など)を選択している段階では、機能モードの切り替えをしないように、入力キー43KPの入力機能は無効にしてある。そのため、入力キー43KPに対応する発光部27M1は、制御モードや制御条件の設定作業中には発光しない(図40参照)。
例えば、加熱調理器1のピークカット値の設定について述べる。メーカからの出荷時点のデフォルト値が、仮に5400Wであったとしても、ユーザーの自宅に設置した際に、4800W又は4000Wの何れにも設定できる。このように、加熱調理器1の機能を、ユーザーの希望や使用環境(設置家庭の電力事情)等に合わせて変更することができる。
図17に示しているように、前記中央操作部40Mの範囲には、マイクロ波加熱源189と、オーブン加熱源188の2つに共通して使用される共用操作部又は個別操作部40M2と呼ぶ範囲を含んでいる。中央操作部40Mの範囲は、図17に一点鎖線で囲んだ範囲である。
一方、その個別操作部40M2の範囲で、入力キー43MCを除いた範囲は、後述する連携調理メニューを実行するための連携操作部40MCである。
なお、以下の説明では、前記「個別操作部」40M2は、マイクロ波加熱源189(第2の加熱手段)の入力操作部を兼ねているため、「第2操作部」40M2と呼ぶ場合がある。
また、前記「個別操作部」40M2は、オーブン加熱源188(第3の加熱手段)を操作する入力操作部を兼用しているため、「第3操作部」40M2と呼ぶ場合がある。
43MCは、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189によって、加熱室113において加熱調理することを選択する入力キーである。オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189の両方を使用する「複合加熱調理」の制御メニューも選択できる。なお、入力キー43MCを操作した場合、後述するように、「RG制御メニュー」の実行により、マイクロ波加熱又はオーブン加熱の何れか一方の単独加熱調理も可能である。
前記入力キー43MCが操作されると、前記統合表示部30は、特別な表示画面構成に切り替わる。この点については、図39~図42を参照して後で説明する。
前記統合表示部30の表示画面30Dは、ハードウエア上は1枚の液晶表示画面であるが、図17に示しているように、表示部駆動回路63によって最大で3つの表示エリア30L、30M、30Rに分けて表示される。
3つの表示エリアの内、左側に位置する表示エリア30Lを、以後、「第1エリア」という。また中央に位置する表示エリア30Mを、以後、「第2エリア」という。右側に位置する表示エリア30Rを、以後、「第3エリア」という。なお、このように1つの表示画面の中を、複数に区分して表示させる方法は、例えば日本の特許第5425171号公報や特開2017-172940号公報で提案されているため、詳細な説明は省略する。
43M1は、前記入力キー43MCを操作した後、前記表示画面30Dの第1エリア30Lに表示された画面を切り替えるための、左右で1対の入力キーである。第1エリア30Lに表示される情報は、統合制御装置MCの表示プログラムに従って前記表示部駆動回路63で選択される。
一方、前記入力キー43MCを操作せずに、先に入力キー43M1を操作した場合、本発明の特徴である「連携調理メニュー」を前記表示画面30Dに表示させることができる。これについては、図26を参照して後で詳しく説明する。
次に、前記入力キー43MCを操作して、統合表示部30に「制御メニュー」を示す個別の名称が表示された状態について説明する。
左右に並んだ2つの入力キー43M1の内、左側の入力キー43M1が操作されると、第1エリア30Lの表示画面は前方に移動して、後方側に表示されている情報が前後中央に表示されるイメージで表示画面が切り替わる。つまり、左側の入力キー43M1が1回操作されると、統合制御装置MCに記憶させてある「制御メニュー」等の表示情報群の中から、希望する表示情報の1つ(例えば、制御メニューの1つを特定する名称)を選択できる。なお、表示画面自体が、実際に前方に移動する訳ではなく、視覚上で前方に移動したように見えるだけである。
逆に、右側の入力キー43M1が1回操作されると、第1エリア30Lの表示画面は後方に移動し、代わりに別の情報が、今度は第1表示エリアの前後中央に表示されるイメージで、表示画面が切り替わる。つまり、右側の入力キー43M1を操作しても、統合制御装置MCの表示プログラムで規定されている「表示情報群」の中の1つが選択されるが、表示される情報の選択方向(選択順位)が逆となる。ここでいう「表示情報群」とは、第1エリア30Lの場合、「制御メニュー群」である。
このように、ユーザーは、右側の入力キー43M1と左側の入力キー43M1の何れかを操作すれば、表示情報群の中から、希望する情報を第1エリア30Lの中央部に表示させることができる。
43M2は、前記表示画面30Dの第2エリア30Mに表示された画面を切り替える1対の入力キーである。この入力キー43M2の何れか1つを操作すれば、前記入力キー43M1と同様に、第2エリア30Mの表示情報を1つずつ順次切り替えることができる。
43M3は、前記表示画面30Dの第3エリア30Rに表示された画面を切り替える1対の入力キーである。この入力キー43M3の何れか1つを操作すれば、前記入力キー43M1と同様に、第3エリア30Rの表示情報を1つずつ順次切り替えることができる。
43MSは、加熱室113を利用したマイクロ波加熱調理とオーブン加熱調理の動作開始を指令することができるタッチ式入力キーである。
45MTは、逆にマイクロ波加熱とオーブン加熱の動作を停止させることができるタッチ式入力キーである。なお、この中央操作部40Mに配置された10個の入力キーは、図17からも明らかなように、左右方向に1直線上に並んでいる。
主電源スイッチの操作キー98を押して、加熱調理を開始する場合、例えば、右操作部40Rにおいては、5つのタッチ式入力キー43R1~43R4、44Rは、常に入力機能が必要ではない。
同様に、左操作部40Lにおいても、5つのタッチ式入力キー43L1~43L4、44Lは、常に入力機能が必要ではない。中央操作部40Mにおいても同じである。ユーザーが認識しないまま触れた場合等、不必要な入力を避けるために、統合制御装置MCでは、加熱調理器1の起動直後から、調理条件の入力過程や、調理の進行度合い等に応じて、入力が必要な入力キーを除いて、その他の入力キーの入力機能は一時的に無効にし、入力を受け付けないようにしている。
そこで、以上のような各入力キーの入力機能が有効であることを示すために、図16~図19に示すように、3つの操作部40R、40L、40M毎に、発光表示部27R、27L、27Mを設けている。
図16と図18に示しているように、右操作部40Rにおいては、5つのタッチ式入力キー43R1~43R4、44Rの直ぐ後方に個別発光部27R1~27R4を配置している。入力キー43R2と43R3は、1対であるので、個別発光部27R2は、1つを共用している。
個別発光部27R1~27R4は、右操作部40Rの下方に発光ダイオードを1つ又は複数個ずつ配置してあり、表示部駆動回路63によって個々の個別発光部27R1~27R4は発光と消灯が制御される。あるいは発光色を変化させるように制御される。
例えば、右操作部40R(右加熱部17HR用の個別操作部)の入力キー43R1(図18参照)が操作される前には、その入力キー43R1の直ぐ後方に隣接している個別発光部27R1は、青く発光している。これにより、操作入力を受け付けることができる状態であることが分かる。
ユーザーが入力キー43R1を操作し、統合制御装置MCが当該入力を受け付けた場合には、個別発光部27R1は、統一された色(赤色)で発光して、ユーザーに操作を受け付けていることを表示する。この表示のための制御は、統合制御装置MCの指令に基づき、表示部駆動回路63が行う。なお、1つの色で発光させず、例えば青色から赤色に発光色を変えて、ユーザーに操作を受け付けていることを表示するようにしても良い。これは、後で述べる個別発光部27M1~27M6、27L1~27L4についても言える。
なお、入力キー43R1が操作される前には、その入力キー43R1の直ぐ後方に隣接している個別発光部27R1を発光させず、操作を受け付けた時点で発光開始し、発光を継続する方式でも良い。また、操作入力が可能であることだけを事前(操作前の段階)に発光で示し、操作入力を受け付けたことは、光で表示させない方式にしても良い。さらには、操作入力が可能で入力待ちの状態では点滅させ、操作入力を受け付けた段階で連続発光に変化させるような形態を採用しても良い。
同様に、図16と図19に示しているように、左操作部40Lにおいても、5つのタッチ式入力キー43L1~43L4、44Lの直ぐ後方に、個別発光部27L1~27L4を配置している。入力キー43L2と43L3は、1対であるので、個別発光部27L4は、1つを共用している。
図16と図17に示しているように、中央操作部40Mにおいても、10個のタッチ式入力キー43KP、43MC、43M1~43M3、43MS、43MTの直ぐ後方に、個別発光部27M1~27M6を配置している。
入力キー43MTは、制御メニューや連携調理メニューの入力を取り消すことができる入力キーである。例えば、連携調理メニューの調理工程が開始された場合、この入力キー43MTを押すと、途中で連携調理メニューの設定は取り消され、後述するような左加熱部17HLの占有状態は即時解除される。
入力キー43M1や、入力キー43MCを操作して連携調理メニューや制御メニューを統合表示部30に表示させた段階で、調理工程開始前に入力キー43MTを操作すると、それ以前の入力設定はすべて解除されるので、連携調理メニューを表示させるには、再度入力キー43M1を操作する必要がある。
個別発光部27M1~27M6は、中央操作部40Mの下方に発光ダイオードを1つ又は複数個ずつ配置してあり、表示部駆動回路63によって個々の個別発光部27M1~27M6は、統一された発光色での発光と消灯が制御される。さらには、操作入力が可能で入力待ちの状態では点滅させ、操作入力を受け付けた段階で連続発光に変化させるような形態を採用しても良い。図43を参照して後で詳しく説明する。
1対の入力キー43M1は、1つの個別発光部27M3を共用している。2つの入力キー43M2と43M3についても、それぞれ1対であるので、個別発光部27M4と27M5は、1つずつ共用している。以下の説明で、中央操作部40Mにおける個別発光部を総称する場合には、符号は27Mを用いる。
図18に示すように、右操作部40Rの右端部に隣接した位置にある前記主電源スイッチ97の操作キー(又は操作ボタン)98の真後ろにも、個別発光部27R5を配置してある。
以上のような発光表示部27R、27L、27Mの発光形態(連続発光、点滅、発光色等)は、ユーザーの無用な混乱、誤解を避けるため、3つの操作入力部で統一することが望ましい。そこで、この実施の形態1では、右操作部40R、左操作部40L及び中央操作部40Mにおいて、発光表示部27R、27L、27Mの発光形態を統一している。
各入力キーの入力機能が有効であることを示すために、入力キーの操作部自体を発光させる方法もあるが、その場合、入力キーの操作部真下に発光部を配置し、かつ当該操作部を、光透過性の材料で製造する必要もあり、入力キーの操作部の感度を確保する課題もあるので、構造やコスト面で課題が多い。そこで、この実施の形態1では、上記のように発光表示部27R、27L、27Mを、入力キーの操作部を避けて、隣接した位置に設けている。ここでいう「隣接」とは、例えば入力キー43R1と発光表示部27Rの関係のように、ユーザーの視点から見て両者が接近しており、1対1の関係が瞬時に分かる位置関係をいう。そのため、例えば入力キー43R1と発光表示部27Rの間が、入力キー43R1の表面を基準にして、上方に突出した壁等の構造物で仕切られている場合を除く。
図16において、右操作部40Rと左操作部40Lの後方位置には、誘導加熱調理時の火力段階を示すように火力表示部67L、67Rを設けている。
これら火力表示部67L、67Rは、右加熱部17HRと左加熱部17HLにおける火力段階を発光(赤色)によって示すものである。定格最小火力(火力レベル1:150W)~定格最大火力(火力レベル9:3200W)までの、9段階を光で示す。
火力表示部67L、67Rは、右操作部40Rと左操作部40Lの下方空間に設置した複数の発光ダイオード(LED)によって構成されている。発光色は、火力の大きさによって変化させても良い。この実施の形態1では、例えば火力レベル1と2は、以下のように構成している。
(1)(最小)火力レベル1:赤色点灯1個、残り8個は青色点灯
(2)火力レベル2:赤色点灯2個、残り7個は青色点灯
なお、火力表示部67L、67Rの左端部には、最小火力レベル1よりも小さな火力で被加熱物を加熱する「保温モード」(図38の「表示画面3A」参照)で動作させた場合に、LEDを発光させて表示する保温表示部67Hを設けている。
前記左表示部31Lには、左加熱部17HLの火力レベル値が、数字の1~9で表示される。最小火力レベル1のときは「1」、最大火力レベル9のときは「9」が表示される。この左表示部31Lでの火力表示は、火力表示部67Lによって表示される火力段階と合致しており、同じタイミングで表示される。
また、右表示部31Rでも、右加熱部17HRの火力レベル値が、数字の1~9で表示される。表示の条件は、左表示部31Lの場合と全く同じである。
図16から分かるように、前記3つの発光表示部27L、27M、27Rと、2つの火力表示部67L、67Rは、それぞれが左右方向に1直線上に並んでいる。しかも、前記3つの発光表示部27L、27M、27Rと、2つの火力表示部67L、67Rは、左右方向において並んでいる。
このように、前記3つの発光表示部27L、27M、27Rと、2つの火力表示部67L、67Rが、3つの入力操作部40L、40M、40Rに対して、その後方において左右方向に1直線上に並んでいるため、操作性と視認性が良い。更に統合表示部30と、左側表示部31L及び右側表示部31Rも、横方向に一直線上に並んでおり、加熱調理器1の前方側に立って操作するユーザーの立場から見て、全体の操作性と視認性が良いデザインとなっている。
図16において、68は、前記統合表示部30の後方に配置した加熱源表示部である。
この加熱源表示部68は、中央操作部40Mを使用して複数の加熱源を使用するため、実際に動作している加熱源をLEDの光で表示するものである。
加熱源表示部68は、図17に示しているように、3つの表示部から構成されている。最も左端の表示部68Lは、マイクロ波加熱源189を使用していることを示す表示部であり、手前側近傍には文字で「レンジ」という表示をし、マイクロ波加熱であることが容易に分かるようにしてある。
中央の表示部68Mは、加熱室113にて、上部ヒータ163A又は下部ヒータ163Bの両方又は何れか一方を使用して「グリル調理」をしている場合を示す表示部である。手前側に「グリル」と記載し、グリル調理であることが容易に分かるようにしてある。
最も右側の表示部68Rは、加熱室113にて、上部ヒータ163A又は下部ヒータ163Bの両方又は何れか一方を使用して「オーブン調理」をしている場合を示す表示部である。
「オーブン調理」は、グリル調理とは異なり、加熱室113の中の温度を把握して上部ヒータ163A、下部ヒータ163Bの通電制御に反映させる(フィードバックさせる)ものである。これらについては、後で詳しく説明する。最も右側の表示部68R近傍には、文字で「オーブン」という表示をしており、オーブン調理であることが容易に分かるようにしてある(図17参照)。
図16と図17において、69は、前記加熱源表示部68の直ぐ後方位置に設けた高温表示部である。この高温表示部69は、統合制御装置MCからの指令に基づきLED発光部を発光させて、温度監視対象部分が高温であることを表示する。
統合制御装置MCは、後述するように各種温度センサーからの温度検出信号を受ける温度検出回路93や加熱室制御部159からの温度情報に基づき、高温表示を指令する。
高温表示部69は、図15には示していない。
高温表示部69は、温度監視対象部分として、左加熱部17HLと、加熱室113と、右加熱部17HRの3つを定めてあり、これら温度監視対象部分の状況を個別に表示する。そのため、例えば、左加熱部17HLで誘導加熱調理をした後、左加熱部17HLに対応しているトッププレート15の中央から左側範囲が高温になっていることを報知し、ユーザーに注意喚起できる。
高温表示部69で高温表示している期間を可能な限り短くするため、例えば1つの誘導加熱調理が終わった直後の時点で、まだトッププレート15の温度が高い場合には、前記IH制御部90は、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の運転を継続し、外気によって上部ユニット100の内部空間、つまり上部空間300Aを冷却するようにしている。
図15に戻って説明する。46L、46Rは、外部に設置された換気装置(図示せず)に対して、運転開始用の指令信号となる赤外線信号を送信する窓である。この窓の下方には、赤外線発信部48(図21参照)が設置されている。なお、実際には、この窓46L、46Rは、トッププレート15の上方からは視認できないように、目立たないような表面シートで覆っている。そのシートは、当然ながら赤外線信号を透過させる材料から形成されている。
図15において、49は、無線通信部(通信モジュール)であり、外部からの電波を受信し、また外部へ電波を送信するアンテナ(図示せず)と送受信回路(図示せず)を備えている。この無線通信部49は、前記表示基板41の右側端部の下方で、上部ケース16の底壁面16Sと少し間隔を保って設置してある。このように間隔を保っている目的は、上部ケース16の底壁面16Sに接近しすぎると、電波の受信感度が低くなる懸念があるためである。
図15において、ALは、前述したようにトッププレート15が上部ユニット100の上面で露出している範囲を示している。なお、厨房家具2に設置された状態では、加熱調理器1の上面は、当該厨房家具2の上に露出する。このため、入力操作部40も上方から操作でき、また排気ダクト102の排出口側末端部102E(図11参照)からの排気も、同様に厨房家具2の上方に放出できる。
次に、上部ユニット100の制御手段について、図21と図22を参照しながら説明する。
この図21と図22では、一部構成については記載を省略しており、前記フィルター回路基板54のフィルター回路は記載していない。
図21は、上部ユニット100の制御手段と下部ユニット200の制御手段を示している。図22では、図21の中の主要な制御手段だけを抽出して、制御指令信号の授受や、電力の供給関係等を、矢印によって示している。
図21において、97は、使用者によって開閉操作される主電源スイッチで、200Vの商用電源99に電源コードと電源プラグ(図示せず)介して接続されている。91は、前記主電源スイッチ97を介して電気エネルギーが供給される電源回路、92は、商用電源からの交流電力を直流に変換する直流電源変換部である。この電源回路91が、前記電源回路基板55(図20参照)の上に実装されている。
MCは、統合制御装置であり、メインコントローラ又はホストコンピュータの機能を有する。マイクロコンピューターを中心に構成されている制御装置である。この統合制御装置MCは、前記電源回路91から所定の定圧電流が供給される。またこの統合制御装置MCは、前述したように、前記中央操作基板32の下面にある(図20に破線の枠で示している)。しかし、これを前記操作基板41の裏(下)面側に配置しても良い。何れにしても、統合制御装置MCは、上部ユニット100に内蔵されており、下部ユニット200には設けていない。
前記統合制御装置MCは、入力部と、出力部と、記憶部と、CPU(演算制御部)の4つの部分から構成され、その記憶部には、3つの加熱源の通電制御プログラムが予め記憶(格納)されている。また、前記マイクロコンピューターの記憶部(ROM、RAM)とは別に、異常監視情報を記録する大容量の記憶装置(メインメモリー)MMを内蔵している。この記憶装置MMに、3つの加熱源の通電制御プログラムを記憶させても良い。
90は、誘導加熱時の制御を司るIH制御部であり、マイクロコンピューターを中心に構成されている。このIH制御部90には、誘導加熱時の、各種調理メニューに対応した通電制御プログラムが予め記憶(格納)されている。また、異常監視情報を記録する記憶装置(図示せず)を内蔵している。
なお、このIH制御部90の機能の一部を第2のIH制御部90A(図示せず)に担当させても良い。例えば、前記インバーター回路基板80の上に、マイクロコンピューターを実装して、当該マイクロコンピューターでインバーター回路81L、81Rの入力と出力制御を担当させても良い。
誘導加熱調理やマイクロ波加熱調理等、全ての加熱調理動作中は、電気的な異常状態の有無の監視が、統合制御装置MCによって集中して実施されている。
96は、リアルタイム・クロックとも呼ばれている時計回路であり、前記主電源スイッチ97に繋がる電源回路91とは別の専用電源(内蔵電池)BT1から電源が供給され、長期間に亘って駆動されるようになっている。これは例えば電波時計でも良く、常に統合制御装置MCから求めがあれば、現在の日にちと正確な時刻を秒単位で知らせるものであり、この加熱調理器1の製造段階で正しい日時にセットされている。従って、加熱調理器1の主電源を切り、その後再度主電源を投入しても、この時計回路の時刻情報は影響受けず、常に最新の正しい時刻を統合制御装置MCに伝える機能がある。このため、前記統合制御装置MCの記憶装置MMに記録される異常監視情報も、常に正確な時間が同時に記録されて保存されることになる。
図21において、72は、電力制御部(「デマンド制御部」ともいう)である。この電力制御部72は、統合制御装置MCによる誘導加熱やマイクロ波加熱を行う指令信号を解析し、加熱調理器1の総電力消費量が、規定値又は使用者が個別に設定した上限値を超えないように監視する機能があり、また総電力消費量が、規定値又は任意設定値を超えないよう、誘導加熱やマイクロ波加熱、オーブン加熱時の火力(消費電力)を自動的に制限する機能がある。
一般に、「デマンド制御装置」又は「デマンドコントロール装置」とは、デマンド(需要電力)の値を制御するものをいう。自動的に電力の使用状況をチェックし、設定した値を超過しそうな場合は、警報等で報知し、停止可能な機器の自動停止を設定しておけば、装置自体が決められたとおりに停止可能な電気機器を自動的に停止する。その後、一定の時間が経過すればその電気機器を自動的に復帰させるものとして知られており、各家庭においても電力会社との契約電力管理に大きな威力を発揮すると言われている。
この実施の形態1の電力制御部72は、加熱調理器1自体に上記したような消費電力の抑制機能を持たせるために設けている。なお、電力制御部72は、特別なハードウエアを設けず、前記統合制御装置MCの中の制御機能として設けても良く、デマンド用の制御プログラムを統合制御装置MCの中に最初から組込み、あるいはあとから追加したものでも実現できる。
この実施の形態1の電力制御部72は、加熱調理器1全体の最大消費電力を、3段階(5700W、4800W、4000W)の中から1つだけ設定できる。なお、この設定は、入力操作部40の中の特定のキーを複数個同時に押した場合に、統合表示部30に表示される上記3段階の数値を見ながら、その入力操作部40で設定できる。このような簡単な設定方法は、例えば、日本特許第6012780号公報で紹介されている。なお、図16、図17で説明したように、中央操作部40Mの入力キー43KPを押すと、統合制御装置MCは「機能モード」に切り替わり、統合表示部30の表示画面30Dには、「ピークカット設定」や「HEMS登録設定」をできる表示が行われるので、上記したような加熱調理器1の総電力消費量の抑制機能は、簡単に追加設定したり、機能の変更・取消し等を設定したりすることができる。
73は、上部ユニット100と下部ユニット200との間で、各種制御信号を伝達するために設けた信号伝達部である。例えば、有線で信号を伝達できる信号線とコネクターが該当する。また、無線で信号を授受できるように例えば、赤外線通信部であっても良い。なお、信号伝達部73は、前記統合制御装置MCとIH制御部90の間にも設けている。
前記IH制御部90は、温度検出回路93から温度情報を得て、上部ユニット100の主要な部分が異常な高温度になっていないかどうかを監視している。例えば前記中央操作部40Mには、前記した各種入力キー43M1~43M3、43MS、43MT等に対応する電子部品や半導体部品を配置してあるが、それら部品類は比較的熱に弱いので、所定温度(例えば60℃)を超えないように温度検出回路93を通じて監視している。
計測された温度が、前記所定温度を超えた時点で「異常予備状態」であるとIH制御部90によって判定される。なお、異常予備状態は、検出温度が60℃~65℃の範囲にある場合に限る。65℃を超えると危険度高まり、IH制御部90は本当の異常状態と認定する。
この異常予備状態では直ちに誘導加熱動作は停止せず、誘導加熱の火力を下げる制御を行う。しかし65℃を超えた時点で異常状態とIH制御部90によって判定され、直ちに誘導加熱動作を停止する。具体的には、例えば、駆動されているIHコイルが、右側のIHコイル17Rである場合、当該IHコイル17Rに高周波電力を供給しているインバーター回路81Rの電源供給を遮断する。そしてIHコイル17Rや共振用コンデンサー等を含む誘導加熱回路94Rの動作を停止させる。なお、94Lは、左側のIHコイル17L用の誘導加熱回路である。
上記した異常予備状態では誘導加熱の火力を維持したまま、上部ユニット100のIHコイル設置空間CKを冷却している第2冷却ファン61のモータ61Mの送風能力を上げることで改善しても良い。更に、誘導加熱の火力を下げる対策と併用しても良い。
そして、少なくともこのような異常予備状態から緊急停止までの期間における誘導加熱時の主要な部分の電気的、物理的(一例として前記した統合表示部30の温度)な変化状況を示す(異常監視)情報が、IH制御部90の記憶装置90Rの中に格納される。
前記した異常予備状態では直ちに誘導加熱動作は停止せず、また第2冷却ファン61のモータ61Mの送風能力を上げることもせず(回転翼の回転数を変化させず)、IHコイウル17L、17Rの火力を、強制的に下げることで改善するようにしても良い。
前記IH制御部90の記憶装置に記憶される異常監視情報は、統合制御装置MCから起動指令を受けた時点から調理を正常に終了するまで期間中に取得される。そのため、前記「制御メニュー」(例えば、左操作部40Lの場合の、「湯沸し」、「煮込み」、「揚げ物」など)や、誘導加熱の火力の情報も、時系列で記録される。途中で異常状態が原因で緊急停止した場合は、その時点まで異常監視情報と制御メニューを識別する情報が、前記記憶装置90Rに時系列で保存されることになる。
更に、この実施の形態1では、より広範囲にわたって加熱調理器1の動作を監視してデータを取得するため、主電源スイッチ97をONにしてから、上部ユニット100と下部ユニット200側における全ての加熱調理状態に関する監視情報を、統合制御装置MCが取得している。前記加熱室制御部159とマイクロ波加熱制御部130から、信号伝達部73を介して、異常有無の監視情報を統合制御装置MCが取得する。
前記インバーター回路基板80の中には、右側のIHコイル17R専用のインバーター回路81Rと、左側のIHコイル17L専用のインバーター回路81Lが、1つずつ実装されている。
そしてこれら2つのインバーター回路81L、81Rは、前記IH制御部90によって互いに独立して駆動されるようになっている。なお、これらインバーター回路を総称する場合、符号は「81」を使用する。
2つのインバーター回路81L、81Rの詳細は、図24を参照しながら後で説明する。
図21において、95は、電子的に作成した音声を合成する音声合成装置であり、使用者に対する操作の案内や、異常発生時の報知などをスピーカー95Sから音声でその都度報知する。
前記した温度検出回路93は、少なくとも7個の温度センサーTS3~TS9に接続されている。具体的には、トッププレート15の温度や、IHコイル設置空間CKの雰囲気温度、インバーター回路基板80のヒートシンク82の温度、統合表示部30等の温度を検知するため、温度センサーTS3~TS9がある。温度検出回路93は、前記温度センサーTS3~TS9から、それぞれ温度検知情報を受け取り、それら温度検出結果をIH制御部90に送る。
前記温度センサーTS3~TS9は、赤外線センサーのような非接触型、あるいはサーミスタのような接触型の何れであっても良く、それらを単独で、又は組み合わせて使用している。
前記温度センサーTS3~TS9の内、2つの温度センサーTS5、TS6は、赤外線センサーのような非接触型センサーである。これら2つの温度センサーTS5、TS6は、図15に示しているように前記IHコイル17L、17Rの中の、それぞれの空隙部に配置されており、トッププレート15方向からの赤外線信号を受信する。つまり、これによって鍋やフライパン等の加熱物Nの底面の温度を計測できる。
前記温度センサーTS3~TS9の内、2つの温度センサーTS3、TS4は、接触型センサーとしてサーミスタを使用しており、図15に示しているように前記IHコイル17L、17Rの、それぞれの中心部の空洞の中に配置されている。これら温度センサーTS3、TS4は、トッププレート15の下面に直接接触し、又は熱伝導性のある介在物を介してトッププレート15の下面に接触している。これにより、トッププレート15の温度を計測できる。
前記温度センサーTS3~TS9の内、1つの温度センサーTS7(図15参照)は、接触型センサーとしてサーミスタを使用しており、ホルダー50の上面に設置されている。そして統合表示部30や入力操作部40の雰囲気温度を検知する。また2つの温度センサーTS8、TS9は、サーミスタを使用したものであり、前述したようにヒートシンク82の上面に取り付けてある。
下部ユニット200側にも、下部ユニット200の内部空間温度を検出するため、少なくとも2つの温度センサーTS1、TS2を備えているが、詳細は後で説明する。
図21において、62は、冷却ファン駆動回路であり、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の駆動用モータ60M、61Mの駆動用電力を制御する。つまり、冷却ファン駆動回路62による制御によって第1冷却ファン60と第2冷却ファン61との、送風能力が互いに独立して、それぞれ多段階に変更される。
図21において、63は、表示部駆動回路であり、前記統合表示部30、左側表示部31L、右側表示部31Rの動作を制御でき、必要な情報を表示させる機能がある。
表示部駆動回路63は、専用のマイクロコンピューターによって構成しても良い。またこの表示部駆動回路63の機能を発揮する制御プログラム(ソフトウエア)は、統合制御装置MCの中に組み込んでも良い。表示部駆動回路63は、前記操作基板41の上面に実装されている(図20参照)。
84は、地震発生時の揺れを検知する感振機器であり、所定の震度(加速度)以上を感知した場合、振動感知信号を前記統合制御装置MCに送り、統合制御装置MCではその信号を受けて地震発生と判断し、使用中の全ての加熱手段の電源を瞬時に遮断する動作を行う。
図21において、49は、図15にも示した無線通信部49であり、前記統合制御装置MCからの指令を受けて情報を発信する。また、前記統合制御装置MCからの指令を受けて外部からの情報を取得する。
(下部ユニット200)
次に下部ユニット200について説明する。
図8~図11において、101は、下部ユニット200の本体110の外殻を構成する下部ケース(下筐体)である。この下部ケース101は、1枚の亜鉛鋼板等の金属製薄板をプレス加工して形成されるか、または複数枚の金属製薄板をスポット溶接やネジ等で接合して形成される。実施の形態1では、以下説明する通り、3枚の金属製薄板から構成されている。
101Hは、下部ケース101の後方と左右部分の3つの面(垂直面)を構成する胴部、101Uは、前記胴部101Uの底面開口部を完全に閉鎖する平板状の底板である。101Cは傾斜部であり、加熱調理器1を厨房家具2に設置する際に、厨房家具2の設置口2Aに当たらないよう、下方に行くに従って前方へ傾斜した壁面である。
101Fは、下部ケース101の前面を構成する前板であり、全体が1枚の平らな板である。この前板101Fの前面には、前記ドア114の閉鎖時に、そのドア114の後面が密着し、前板101Fとドア114の間の隙間からマイクロ波が漏洩しないようにしている。101Bは、下部ケース101の傾斜部101Cの上端に連続して垂直に立ち上がっている後壁面(後方垂直壁)である。
下部ユニット200は、2つの独立した加熱源を備えている。その内の1つはマイクロ波加熱装置120のマイクロ波加熱源189である。もう1つはオーブン加熱装置140のオーブン加熱源188である。オーブン加熱源188は、加熱室(オーブン庫)113を、その壁面の外側から加熱するものであるが、加熱室113の内部に存在して、被調理物を直接加熱するものでも良い。なお、以下の説明では、特に矛盾が起こらない限り、「マイクロ波加熱源189」とは、後述する「インバーター回路基板121」を含まないという前提で説明する。
図8、図10、図11は、マイクロ波加熱装置120の主要部分を示している。
前方側から、以下の順番で順次設置している。
最も前方側には、インバーター回路121A(図21参照)を実装したインバーター回路基板121(図10参照)を配置している。
このインバーター回路基板121の後方には、マイクロ波の発生源となるマグネトロン122、当該マグネトロン122の発振部122Aを包囲した導波管123を配置している。
さらに、導波管123の後方には、導波管123に接続されているアンテナケース124と、アンテナケースの中にあるアンテナ125とを、それぞれ配置している。
アンテナケース124の後方には、マイクロ波加熱時にアンテナ125を回転又は回動させるモータ126を配置している(図11参照)。
127は、マイクロ波加熱の出力や前記マグネトロン122に電力を供給する電源回路基板であり、前記フィルター回路54からの商用電源を受ける電源回路部120P(図示せず)と、後述するマイクロ波加熱制御部130とを、実装している。
図7図、図8において、128は、第3冷却ファン(下部冷却ファンの1つ。「冷却ファンA」と呼ぶ場合がある)であり、前記インバーター回路基板121を収容した箱形形状のケースA150の真下に配置されている。ケースA150は、下面全体が開放されている。つまり、底面が無い箱形形状である。
129は、第4冷却ファン(下部冷却ファンの1つ。「冷却ファンB」と呼ぶ場合がある)であり、前記マグネトロン122の放熱部122Hを載置した箱形形状のケースB151の真下に配置されている。放熱部122Hには、第4冷却ファン129からの冷却風が通過するための、数枚の放熱フィンが並列状に形成されている。ケースB151は、下面全体が開放され、底面が無い箱状である。
前記ケースA150は、下部風路の入口端部の1つを構成する。
ケースA150には、図9と図10に示すように、前記吸気口152Fの真上の位置で前記加熱室113の側壁面から離れて上下方向に伸びている垂直部308がある。
前記マイクロ波加熱源188用のインバーター回路基板121は、前記垂直部308の中に、縦方向に収容されている構成である。
前記第3冷却ファン128と第4冷却ファン129は、例えば、軸流型ファンである。そして回転翼の中心部にある回転軸が鉛直(垂直)方向になるように、下部ケース101の底板101Uに支持されている。
第3冷却ファン128と第4冷却ファン129を、全く同じ構造、同じ形状、同じ定格仕様で揃えた場合、製造時の調達コストを安価にできる。なお、同一仕様の冷却ファンを並列配置し運転させると、うなり音が発生する可能性が高いため、うなり音対策として、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の回転数は、異なる値にする制御を行う場合がある。
前記ケースA150と、ケースB151は、前述したように底面全体が開口しており、その開口の内側に、前記第3冷却ファン128と第4冷却ファン129が、それぞれ横たわるように配置されている。
図8において、ケースA150の内部に2列に設けた風向板199は、前記ケースA150の内側に一体又は別個に形成されたものである。この風向板199は、インバーター回路基板121と、後述する2つの連通口138A、138Bに対して、前記第3冷却ファン128からの冷却風を効率良く流すために設置してある。
152Fは、前方側の吸気口であり、下部ケース101の底板101Uに形成されている。この吸気口は、多数の小さな円形の貫通孔、または長方形や楕円形の貫通孔から構成されている。この吸気口152Fは、前記第3冷却ファン128用である。
152Bは、後方側の吸気口であり、下部ケース101の底板101Uに形成されている。この吸気口は、多数の小さな円形の貫通孔、または長方形や楕円形の貫通孔から構成されている。この吸気口152Bは、前記第4冷却ファン129用である。
前記誘導加熱源9の冷却用の外気を前記上部ユニット100の内部に導入する通気孔(第1の吸気口)164と、前記マイクロ波加熱源189の冷却用の外気を下部ユニット200の内部に導入する第2の吸気口152B、152Fは、前記加熱室113を挟んで、互いに反対側に配置されている。すなわち、図10から明らかなように、加熱調理器1を前方側から見た場合、加熱室113を挟んで、右側には第2の吸気口152B、152Fがあり、反対に左側には通気孔(第1の吸気口)164と通気孔64がある。
153は、前記放熱部122Hの上部に設置されたダクトであり、放熱部122Hを通過した第4冷却ファン129からの冷却風RF6を、図12に示すように下流側へ案内するものである。
図8と図9において、154は、ケースCであり、電源回路基板127とマイクロ波加熱制御部130とを密封状態に収容している。このケース154は、電気絶縁性に富むプラスチック材料から形成されている。
ケースC154は、後方側の蓋154Aと、前方側にある容器状又は箱形状の本体154Bと、の2者を重ね合わせて構成している。本体154Bの前面側に形成した大きな開口部を、前記蓋154Aが後方から塞いでいる。
ケースC154は、前方側にある本体154Bに、電源回路基板127と、マイクロ波加熱制御部130を取り付けた基板(図示せず)を取り付けてある。保守点検時には、この蓋154Aを開けて内部にある電源回路基板127や、マイクロ波加熱制御部130の各種点検や修理ができるようにしている。
このケースC154は、加熱室113からの熱の影響を受けないように、加熱室113の背面からできるだけ離して設置されている。また前記底板101Uからも離して設置してあり、万一、下部ケース101内部に、上部ユニット100側から水や調理液などの液体が浸入した場合でも、電気絶縁性を損なうことが無いようにしている。
図8で説明したように、上部ケース16の底壁16Sと下部ケース101の底板101Uとの対向間隔が最も大きい空間が、前記空洞104である。
前記空洞104には、後述するマイクロ波加熱装置120の一部を構成する導波管123が、前記加熱室113の背後において左右方向に長く配置され、前記導波管123よりも後方には、マイクロ波加熱制御部130に電力を供給する回路部品を実装した電源回路基板127の収容用ケースC154が、左右方向に長く配置されている。
図8で説明したように、下部ケース101の前方側に設けた金属板製の前方水平壁101Tは、下部ケース101の前板101F上端を後方に折り曲げて形成したものである。そして、下部ケース101側の支持金具198は、前記上部ケース16に固定されている。
図8と図9において、131は、マイクロ波加熱時の電波漏洩対策として設けているドア開閉検知機構である。
マイクロ波加熱装置の安全性を担保するため、ドア開閉検知機構131の搭載が法的に要求されている。この種の代表的なドア開閉検知機構131は、日本特許第4372099号公報、特開平11-214147号公報等の特許文献で知られている。
前記特許文献によれば、ドア開閉検知機構131として、ラッチスイッチ、ドアスイッチ、モニタースイッチの3種類のスイッチを内蔵させ、これらのスイッチをドアの開閉に連動して、時間差をつけて開閉検知することが提案されている。
また特開平11-214147公報では、第1インターロックスイッチと、第2インターロックスイッチとにより、インバーター回路の電源を開閉し、また、第1インターロックスイッチが短絡故障した時に、電源回路に挿入されているヒューズをOFF状態するため、モニタースイッチを設けることが提案されている。
図8と図9には、実施の形態1で採用しているドア開閉検知機構131の主要部分を示している。これら図において、132Aは、ラッチスイッチ、132Bは、ドアスイッチである。なお、前記ラッチスイッチ132Aと、ドアスイッチ132Bの何れか一方、又は双方が異常によって開放されない場合、前記インバーター回路基板121に実装されたインバーター回路121Aの電源を遮断するための、モニタースイッチ133(図示せず)も設けてある。
前記ラッチスイッチ132Aは、ドア114側に固定されて突出しているピン134で押されて、内蔵した接点が開閉される。前記ドアスイッチ132Bは、ドア114側に固定されて突出しているピン135に押され、内蔵した接点が開閉される。
136Aは、ドア114の動きをラッチスイッチ132Aに伝える連動棒であり、常にドア側へ復帰するように圧縮バネでドア方向に付勢されている。
136Bは、ドア114の動きをドアスイッチ132Bに伝える連動棒であり、常にドア側へ復帰するように圧縮バネでドア方向に付勢されている。
137は、前記ラッチスイッチ132A、ドアスイッチ132B、モニタースイッチ133(図示せず)、連動棒136A、136B等を、一括して取り付けてある支持板である。この支持板137は、下部ケース101に対して、複数個のネジによって固定されている。ドア開閉検知機構131は、このように支持板137の上に装着された各種スイッチを中心として構成されている。
前記ラッチスイッチ132Aやドアスイッチ132Bの製造過程における取付け位置にバラツキが発生した場合、各々のスイッチを動作させるタイミングが規定値から外れることが懸念させる。そこで、この実施の形態1では、前記支持板137に、後述するドア114の閉鎖検知部139を取り付け、この支持板137の全体を取外し可能にしている。具体的には、前記したように複数のネジで支持板137に下部ケース101を強固に固定している。製造時やアフターサービス時において、閉鎖検知部139の動作確認や調整、交換等を行える。
図8図と図10において、138Aは、インバーター回路基板121を収容したケースA150の上部に形成した連通口、138Bは、ケースA150の上下中間部に形成した連通口である。
前記連通口138Aは、図10に示しているように第3冷却ファン128からの冷却風RF5の一部分を、後述する空間141に案内するものである。
前記連通口138Bは、図10に示しているように第3冷却ファン128からの冷却風RF5の一部分を、後述する空間142に案内し、後述する赤外線式温度センサー160の冷却用に利用している。
温度センサー160は、中空状のセンサーケースと、センサーケースの内部に収納されるセンサー基板と、このセンサー基板の表面に搭載される1つ又は複数個の赤外線検出素子と、この赤外線検出素子に臨んで前記センサーケースに取付け固定されるレンズと、を主な構成要素として構成させている。なお、温度センサー160を、加熱室113の複数個所に設けて広い範囲の温度検知ができるようにしても良く、また温度センサー160の方向を固定せず、自動的にある角度範囲で揺動させて、広い角度の温度を検知させる形態でも良い。例えば、日本の特許文献として特開2018-54250公報には、複数の温度センサーを利用することが提案されている。
図10において、161は、前記温度センサー160を臨ませた検知窓であり、前記温度センサー160の外周面との間に、冷却風が通過するような間隙を形成しても良い。実施の形態1では、数mm程度の間隙が形成されている。
162は、磁器や耐熱性プラスチックで形成された調理皿である。この調理皿162は、加熱室113の前面開口113Aから出したり、入れたりできるような外形寸法に形成されている。
図10において、HVは、前記調理皿162の上面から加熱室113の天井面までの有効高さ寸法である。HXは、調理皿162の上面から加熱室113の中央に形成した凹部113Tの天井面までの最大高さ寸法である。この実施の形態1では、前記有効高さ寸法HVは、94mm、最大高さ寸法HXは100mmである。これは1例であって、本発明はこの寸法の構成に何ら限定されたものではない。
図10において、WHは、加熱室113の内側横幅寸法である。加熱室113は、この内側横幅寸法で前方の開口113Aまで形成してあるので、被調理物やフライパン等の調理器具が挿入できるかどうかを決定する間口寸法とも言える。この内側横幅寸法WHは、310mmである。
図11において、WBは、加熱室113の奥行寸法である。前記横幅寸法WH(図10参照)と同様に、被調理物Nや調理皿162、フライパン等の調理器具が挿入できるかどうかを決定する寸法と言える。この奥行寸法WBは、約310mmである。
163は、加熱室113を外部から加熱する電気輻射式のヒータであり、例えばシーズヒータである。あるいは、薄いマイカ製の支持板全体にヒータ線を巻き付けた形態の、マイカヒータである。
ヒータ163は、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの、2つから構成されている。これら2つのヒータ163A、163Bは、互いに独立して通電が制御される。
163Aは、加熱室113の天井面の上に密着又は近接して固定されている上部ヒータであり、163Bは、加熱室113の底面の下に密着又は近接して固定されている下部ヒータである。
上部ヒータ163Aは、最大火力1000W~最小火力50Wまでの範囲で、多段階の火力を選択できる。また下部ヒータも、最大火力1000W~最小火力50Wまでの範囲で、多段階の火力を選択できる。
図10において、166Rは、前記加熱室113の右側壁面との間に、空隙GP5Rを形成するように垂直に設置された右側仕切板であり、金属製薄板から形成されている。
166Lは、前記加熱室113の左側壁面との間に、空隙GP5Lを形成するように垂直に設置された左側仕切板であり、金属製薄板から形成されている。
加熱室113の左側と右側にある前記空隙GP5L、GP5Rには、断熱材(図示せず)が挿入されており、加熱室113からの熱伝導(放熱)を抑制している。
167は、前記上部ヒータ163Aの上方全体を覆う上部遮熱板であり、金属製の薄板又は耐熱性プラスチックから形成されている。
GP6は、前記上部遮熱板167と上部ヒータ163Aとの間に形成した空隙であり、大きさは数mm~10mm程度である。この空隙GP6は外部と空気の流通がないように、密閉空間になっている。上部遮熱板167の周縁部は、前記右側仕切板166R及び左側仕切板166Lとの上端縁を間に挟んだ形で、加熱室113の天井面に密着状態に固定されている。
168は、前記上部遮熱板167と上下対称形の縦断面形状を有する下部遮熱板である。この下部遮熱板は、下部ヒータ163Bの下方全体を覆っており、金属製の薄板又は耐熱性プラスチックから形成されている。
GP7は、前記下部遮熱板168と下部ヒータ163Bとの間に形成した空隙であり、大きさは数mm~10mm程度である。この空隙は外部との空気の流通をしないように、密閉空間になっている。下部遮熱板168の周縁部は、前記右側仕切板166R及び左側仕切板166Lの下端縁を間に挟んだ形で、加熱室113の底壁面に密着状態に固定されている。
169は、前記上部遮熱板167の上方全体を覆うように、その上部遮熱板167の周辺部に重ねてある上部ケースである。170は、前記下部遮熱板168の下方全体を覆うように、その下部遮熱板168の周辺部に重ねてある下部ケースである。
上部ケース169と下部ケース170は、図10に示すように、縦断面形状が上下対称形状であり、金属製薄板又は耐熱性プラスチックで形成されている。GP8は、前記上部ケース169と上部遮熱板167との間に形成した空隙であり、大きさは数mm~10mm程度である。この空隙GP8は外部との間で空気の流通がないように、密閉空間になっている。
GP9は、前記下部ケース170と下部遮熱板168との間に形成した空隙であり、大きさは数mm~10mm程度である。この空隙GP9も空気の流通がないように、密閉空間になっている。
前記空隙GP6の中には、シート又は板状の断熱材175A(図示せず)を配置している。同じく空隙GP8の中には、シート又は板状の断熱材175B(図示せず)を配置している。
前記空隙GP7の中には、シート又は板状の断熱材175C(図示せず)を配置している。同じくGP9の中には、シート又は板状の断熱材175D(図示せず)を配置している。これらの各断熱材175A~175Dは、1層構造ではなく、複数層を重ねた形態にすると、更に断熱性能が向上する。なお、各断熱材175A~17Dの平面的な大きさ(縦・横寸法)は、少なくとも上部ヒータ163と下部ヒータ163Bの、それぞれの設置範囲よりも大きい。
図10において、171は、前記上部ケース169の上方に、冷却風RF5が流れる通路172を区画形成した仕切板である。前記仕切板171後方壁面上部には、連通口173が開口しており、この連通口173に前記排気ダクト102の入口端部が接続されている。
174は、加熱室113の天井面の後部に形成した連通口であり、この連通口174に前記排気ダクト102の入口部が接続されている。102Eは、冷却風の最終出口となる終端部である。
図11に示しているように、前記排気ダクト102は、上下に2つの独立した内部通路102A、102Bを備えており、その内、上側にある内部通路102Aには、前記インバーター回路基板121を冷却したあとの冷却風RF5が流れる。
また、もう一方の内部通路102Bには、前記加熱室113内部に導入されて温度の上がった冷却風RF6が流れる。
図23で詳しく説明するが、前記排気ダクト102は、加熱室113の外部を経由している内部通路(内部経路)102Aと、加熱室113内部を経由している内部通路(内部経路)102Bが合流する部分である。
風路の開口面積を絞った冷却風RF5の排出口により、冷却風RF5の風速は大きくなる。このため、排出口付近において冷却風RF6が、前記冷却風RF5によって誘引される。このような作用により、加熱室113内部の気体が、内部通路102Bに吸引される。
これにより、2つの冷却風RF5、RF6が、ともに前記排気口20から加熱調理器1の外部へ効率良く排出される。なお、このような誘引構造を採用せず、排気ダクト102に入る前の上流段階で合流させる方式を採用しても良い。
図11において、180は、前記加熱室113の背面壁(後壁面)113Bに形成した大きな給電口、181は、この給電口180を外側から閉鎖するカバーであり、マイクロ波を透過させる耐熱性プラスチックや耐熱性ガラスから板状に形成されている。カバー181は、背面壁(後壁面)113Bの外側に固定されている。
カバー181は、背面壁(後壁面)113Bに密着している。このカバー181の背面側全体を覆うように、前記アンテナケース124が前記加熱室113の背面壁113Bに固定されている。カバー181は、図11に示しているようにアンテナケース124の前面開口部の内側に挿入されている。
図11において、123は、前記カバー181の更に背面側に接続された導波管である。前記アンテナ駆動用のモータ126は、このように導波管123の背面側に、耐熱性シール材184を介して固定されている。
126Aは、アンテナ駆動用モータ126の回動軸であり、前後方向に向けて水平に設置されている。回動軸126Aの自由端側(前方端部)には、前記アンテナ125が固定されている。なお、回動軸126Aは、プラスチックやセラミック材から形成されているが、アンテナ125側から一定の範囲だけを金属製にし、そこからアンテナ駆動用モータ126まではプラスチック、セラミック等の耐熱性と絶縁性に富む材料で形成しても良い。
図11において、185は、前記回動軸126Aを中心として、その周囲に所定の寸法で形成されている電波封印室である。この電波封印室は、いわゆるチョーク室構造になっている。また更に効果的なマイクロ波漏洩防止のために、チョーク構造物よりもアンテナ駆動用モータ126に近い側に、電波吸収体(図示せず)を配置し、前記回転軸126Aの周囲からのマイクロ波漏洩防止を図っても良い。なお、マイクロ波加熱装置におけるチョーク構造は、日本の特許文献として、例えば特開2011-174669号公報、特開2010-255978号公報、特開昭63-172828号公報(4分の1波長のチョーク室と電波吸収体の併用)等があるので、詳しい説明は省略する。
図11において、LAは、加熱室113の背面壁(後壁面)113Bを起点にして、前記アンテナ駆動用モータ126の最後尾までの寸法を示している。以後、この寸法を「突出寸法」と呼ぶ。この突出寸法LAを小さくすることが望ましいが、現実には上述したように、アンテナケース124、電波封印室185の寸法も必要であり、アンテナ駆動用モータ126の外形寸法を小さくしても、限界がある。この突出寸法LAは70mmである。
図11において、GP10は、前記アンテナ駆動モータ126の背面から下部ケース101の傾斜部101Cまでの間の空隙であり、モータ126の上端では69mm、逆に下端と下部ケース101Cとの空隙は、53mm程度である。この空隙GP10の中に、前記ケースC154を配置することは寸法上無理である。そのため、この実施の形態1では、前記ケースC154を、前記アンテナ駆動モータ126の真後ろ(背後)から右方向にずらして配置している。
これにより、マイクロ波加熱装置120を加熱室113の背後の狭い空間に内蔵させることが可能となった。
次に、ドア114の内部構造について説明する。
図11において、190は、ドア114の外殻を構成する金属製又はプラスチック製のフレームであり、前方側から見ると額縁状に形成されている。192は、内枠であり、金属製板から形成されている。この内枠192の中央部には、覗き窓192Wとなる開口が形成されている。
191は、前記内枠192の前方側全体を覆うように、当該内枠192と前記フレーム190との間に外周縁部を固定されたカバーであり、加熱室113を覗けるように透明な耐熱性プラスチックやガラス等で形成してある。
193は、前記覗き窓192Wに対応する部分に、マイクロ波が透過しない寸法の、無数の小孔を形成した内側シール枠である。この内側シール枠は、全体が金属製薄板をプレス成形して形成され、外周縁部には、加熱室113側に入口(スリット)を形成したチョーク室194を形成している。
195は、金属製の薄板からなるシール板である。このシール板195の外周縁部は、図11に示すように内側シール枠193側に一連に曲がっている。前記チョーク室194は、このシール板195の外周縁部と前記内側シール枠193で囲まれた空間である。
ドア114を完全に閉じた状態では、前記シール板195の外周縁部と前記内側シール枠193の両者が、前記下部ケース101の前板101F表面に接触した状態となる。そのため、加熱室113内部に供給されたマイクロ波が、このドア114と加熱室113の前面の開口113Aから漏洩しない。
196は、前記内枠192の覗き窓192Wに対応する部分の内側に設けた透明なシール板であり、耐熱性ガラスで製造されている。197は、前記ドア114の上面に沿って、少なくともドア114の横幅と同等な横幅寸法を有する金属製の上部遮蔽板である。この上部遮蔽板197は、ドア114の上面に近接して庇状に設けてあり、かつ下部ケース101に電気的に繋がるよう金属製ネジ等の固定具で下部ケース101に固定されている。
前記ドア114は、その下部が下部ケース101にヒンジ176(図8参照)によって支持されているため、取っ手部115を持って手前に引けばドア114を、水平位置まで開けることができる。
このような開放の初期においてドア114と下部ケース101との重合部が、瞬間的に空隙が生じてマイクロ波の一部分が漏洩する懸念があるが、この実施の形態1では、前記上部遮蔽板197によって、そのような不要なマイクロ波の漏洩をドア114の上方で抑制できる。
図13において、201は、前記加熱室113の右側壁面の前方部に形成した導入口であり、マイクロ波が漏洩しないような口径の、多数の貫通した孔から形成されている。この導入口201を加熱室113の右側壁面の前方部に設けた理由は、ドア114の内側付近へ前記冷却風RF6の一部を供給し、ドア114の覗き窓192Wの曇りを抑制するためである。
前記導入口201には、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却した後の冷却風RF6が、空隙GP5Rによって案内される。
導入口201よりも冷却風RF6の流れで上流側には、前記温度センサー160があり、その温度センサー160の部分で、一部の冷却風RF6は、加熱室113の内部へ吹き出されるので、導入口201に至る冷却風RF6の量は、少ない。しかし、この導入口201から空気を入れている目的は、前記ドア114の内側にあるシール板196の「曇り抑制」であり、少ない風量で何ら問題はない。なお、この温度センサー160の周囲にある狭い間隙から空気を供給することを採用しなくとも良い。
次に、再び図21に示すブロック図を参照しながら、下部ユニット200における各種制御手段の詳細について説明する。
マイクロ波加熱制御部130は、前記インバーター回路基板121のインバーター回路121Aや前記マグネトロン122、アンテナ駆動用モータ126、及び2つの冷却ファン128、129に供給される電力を制御し、それらの動作の開始、停止や動作条件等を制御するものである。
このマイクロ波加熱制御部130の電源回路は、前記電源回路基板55に実装されている電源回路91と別に用意されており、マイクロ波加熱装置120の専用回路である。なお、電源回路91から電源を供給しても良い。
マイクロ波加熱制御部130の電源回路は、電源回路基板127(図8参照)の上に実装されている。この電源回路基板127の上には、交流電源を直流に変換する各種電気部品(ダイオード等)が実装され、ケースC154の中に密封状態に収容されている。
マイクロ波加熱制御部130は、前記電力制御部72からの指令信号を受信した場合、その指令信号に応じて、マイクロ波加熱装置120の総電力消費量を減らすように動作し、マグネトロン122の出力を下げるような指令信号を、インバーター回路121Aへ送信する機能がある。
前記マイクロ波加熱制御部130には、マグネトロン122の放熱部122Hの温度を検出する温度センサーTS1を備えている。マイクロ波加熱調理が終わっても、マグネトロン122の放熱部122Hの温度が規定値よりも高い場合には、温度が下がるまで第4冷却ファン129の運転を継続させるための指令信号を当該第4冷却ファン129に対して発信する。
139は、ドア114の閉鎖検知部である。この閉鎖検知部139は、ラッチスイッチ132A、第2ドアスイッチ132B、モニタースイッチ133のいずれかまたは2つ以上の開閉状況を各回路に流れる電流または開閉信号によって電気的に検知するものである。つまり、前記したドア開閉検知機構131の動作に対応した検知部である。
この閉鎖検知部139を構成する回路基板は、前記支持板137に取り付けてあるので、支持板137を取り外して検査したり、設置したまま計測したりして、正常に動作するものであるかどうかの検査ができる(図8参照)。
158は、加熱室113の中に置かれた食品や調理器具等の温度を検出する非接触温度計測部(赤外線温度計測部)であり、前記温度センサー160と、この温度センサーからの計測信号を解析して温度情報に変換する回路(図示せず)等から構成されている。
加熱室制御部159は、前記上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bに供給される電力を制御し、それらの動作の開始、停止や動作条件(火力、すなわち発熱量)等を制御するものである。この加熱室制御部159の制御回路は、電源回路基板127(図9参照)に実装されている。
加熱室制御部159は、前記電力制御部72からの指令信号を受信した場合、その指令信号に応じて、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの総電力消費量を減らすように動作し、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163の出力を下げるような指令信号を送信する機能がある。なお、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163の出力を下げるために単位時間あたりの通電率を変化させて実質的な火力を変化させることも行う。
次に加熱調理器1のIHコイル17L、17Rの駆動回路の構成例について説明する。説明を簡潔にするため、図24では、1つのIHコイル17Rだけを示した回路の例で説明する。
加熱調理器1では、駆動回路74により高周波電力が各IHコイル17L、17Rに供給されることで、誘導加熱動作が行われる。
前記駆動回路74は、IHコイル毎に備える。図24では、IHコイル17Rの駆動回路74の構成例を示す図である。左側のIHコイル17Lでも駆動回路は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
駆動回路74は、図24に示すように、直流電源回路75、インバーター回路81R、共振コンデンサー76、入力電流検出部77aおよび出力電流検出部77bを備える。
入力電流検出部77aと出力電流検出部77bの電流検出データは、IH制御部90へ送られる。
入力電流検出部77aは、交流電源99から直流電源回路22へ入力される電流、すなわち駆動回路74へ入力される電流を検出し、検出した値すなわち入力電流値を示す電圧信号をIH制御部90へ出力する。99は、商用交流電源である。
直流電源回路75は、ダイオードブリッジ78a、リアクタ78b、平滑コンデンサー78cと、を備え、交流電源99から入力される交流電圧を直流電圧に変換して、インバーター回路81Rへ出力する。
インバーター回路81Rは、前記スイッチング素子83としてのIGBT79a、79bが直流電源回路75の出力に直列に接続された、いわゆるハーフブリッジ型のインバーターである。インバーター回路81Rでは、フライホイールダイオードとしてダイオード79c、79dがそれぞれIGBT79a、79bと並列に接続されている。
インバーター81Rは、直流電源回路75から出力される直流電力を、20kHz~80kHz程度の高周波の交流電力、いわゆる高周波電力に変換して、IHコイル17Rと共振コンデンサー76とからなる共振回路に供給する。
共振コンデンサー76を含む共振回路は、IHコイル17Rのインダクタンスおよび共振コンデンサー76の容量等に応じた共振周波数を有する。
このように構成することで、IHコイル17Rには数十A程度の高周波電流が流れ、流れる高周波電流により発生する高周波磁束によってIHコイル17Rの直上のトッププレート15上にある被加熱物Nが誘導加熱される。
IGBT79a、79bは、例えばシリコン系からなる半導体で構成されているが、炭化珪素、あるいは窒化ガリウム系材料などのワイドバンドギャップ半導体を用いた構成でも良い。
図8で説明した電力制御用スイッチング素子83は、この図23でいうIGBT79a、79bである。
このIGBTに、ワイドバンドギャップ半導体を用いることで、スイッチング素子としての通電損失を減らすことができる。またスイッチング周波数すなわち駆動周波数を高周波にしても、すなわち高速にスイッチングしても放熱が良好となる。このため、スイッチング素子(IGBT)79a、79bを取り付けたヒートシンク82の放熱フィンを小型にすることができ、駆動部の小型化および低コスト化を実現することができる。
出力電流検出部77bは、IHコイル17Rと共振コンデンサー76とからなる共振回路に接続されている。出力電流検出部77bは、例えば、IHコイル17Rに流れる電流、すなわち駆動回路74から出力される電流を検出し、検出した値に相当する電圧信号をIH制御部90に出力する。本構成ではハーフブリッジ型のインバーターで説明したが、IHコイル17Rを駆動する回路は、フルブリッジ型のインバーターでも良い。また、図24で説明した回路は、電流共振型であったが、電圧共振型を採用しても良い。
無線通信部49は、図15でも説明したが、家庭内の家電機器類の電力使用量や運転情報等を統合的に管理している家庭内制御機器(図示せず)と無線通信を行うための無線通信手段であり、無線信号を送受信することができる。
前記家庭内制御機器は、インターネット等の公衆無線通信網を介して、スマートホンと呼ばれるような高性能な携帯用情報端末やタブレット型端末機器等にも接続できる。なお、家庭内制御機器の1例として、HEMSコントローラと呼ばれる電力管理装置がある。この実施の形態1では、図15、図16で説明したように、中央操作部40Mの入力キー43KPを押して、統合制御装置MCを「機能モード」に切り替え、「HEMS登録設定」が統合表示画面30を見ながら実行できる。
前記無線通信部49は、統合制御装置MCと通信用配線により接続されているが、配線が長いほどノイズの影響を受けやすいため、無線通信部49と統合制御装置MCは近くに配置し、無線通信部49と統合制御装置MCを接続する配線を短くすることが望ましい。
前記したノイズの影響を考えて、この実施の形態1では、無線通信部49は、入力操作部40の右端部に設置してある。具体的には、無線通信部49は操作基板41の右端部に設置してある。また、統合制御装置MCは、入力操作部40の左右中央部に設置してある(図15参照)
無線通信部49は、内部に無線信号を送信または受信、または送受信するアンテナ部を有しており、より無線信号を送受信しやすくするため、無線通信部49のアンテナ部がトッププレート15の直下となるように配置することが望ましい。
(冷却風路)
次に冷却風路の構成について説明する。
実施の形態1の加熱調理器1は、厨房家具2の中に設置された本体ケースHCの内部が、金属製の上部ケース16の底面16Sによって上部空間300Aと、前記仕切り壁の下方に形成された下部空間300Bと、の2つの空間に区画されている。つまり前記底面が「仕切り壁」16Sとして機能し、本体ケースHCの中を上下2つの空間に区画している(図8参照)。
前記上部空間300Aに収容されたIHコイル17L、17Rと、当該IHコイル用のインバーター回路基板80に冷却用空気を導く上部風路AHは、前記仕切り壁16Sを貫通している前記通気孔64を介して、前記下部ケース101の外側から外気が導入される。
一方、マイクロ波加熱装置120用の冷却用空気を導く下部風路UHは、前記下部空間300Bに形成されている。そして、前記マイクロ波加熱装置120の放熱部122Hは、前記下部風路UHに配置されている。この放熱部122Hは、下部ケース101の底面の右端部に形成した第2の吸気口152Bから導入された空気によって冷却される。また、マイクロ波加熱装置120のインバーター回路基板121は、下部ケース101の底面の右端部に形成した第2の吸気口152Fから導入された空気によって冷却される。
そして、上部風路AHの中を流れた冷却用空気と、下部風路UHを流れた冷却用空気は、途中で合流することはない。上部ユニット100内部の冷却風は、仕切り板52よりも背後側にある空隙GP1の中に排出され、排気口20から加熱調理器1の外部に放出される。
一方、下部ユニット200からの冷却風は、同じ空隙GP1の中に上下に伸びた排気ダクト102の中を経由し、最終的に前記排気口20から加熱調理器1の外部に放出される。
次に冷却風路の全体の経路を、図23を参照して説明する。
図23から明らかな通り、加熱調理器1の外部空間の空気(外気)は、2つの経路で加熱調理器1の本体ケースHC内部を通過する。
第1の経路:下部ケース101の左側面に形成した通気孔164から、上部ケース16の底面の通気孔64を経由し、第1冷却ファン60からインバーター回路基板80と、IHコイル17L、17Rを冷却し、排気口20に至る経路。図23では、これを「上部風路」と記載している。
第2の経路:下部ケース101の底板101Uの右端部に形成した2つの吸気口152F、152Bから外気が吸引される。そして、その外気の一方は、第3冷却ファン128を経由してインバーター回路基板121を冷却する。他方の外気は、第4冷却ファン129を経由し、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却するものである。このように第2の経路は、2つあるが、最終的には共通の排気ダクト102に入り、排気口20に至る。図23では、これを「下部風路」と記載している。
以上のように、この実施の形態1では、本体ケースHCの内部が、金属製の上部ケース16の底面16Sによって上部空間300Aと、前記仕切り壁の下方に形成された下部空間300Bと、の2つの空間に区画され、それぞれに、お互いに独立した風路(上部風路と下部風路)を備え、かつそれら各風路毎に専用の冷却ファン60、128、129を備えている構成である。
なお、上部ユニット100では、第2冷却ファン61もあり、前記第1冷却ファン60と協同して上部ユニット100内部の冷却を行っている。
(中央操作部の制御メニュー)
次に、中央操作部40Mによって統合表示部30に表示され、選択できる制御メニューについて、図25を参照しながら説明する。
前述したように、誘導加熱源9を使用する左操作部40Lと右操作部40Rで選択できる「制御メニュー」は、図28に示しているような、例えば、湯沸し、煮込み、揚げ物(自動調理)等である。
しかしながら、中央操作部40Mによって選択できる制御メニューは、図25に示しているように11種類ある。これら11種類の制御メニューを総称して、中央操作部40Mの「制御メニュー群」という場合がある。これら制御メニュー群を実行するための命令となるものが「制御メニュープログラム」であり、前記統合制御装置MCの記憶装置MMの格納されている。
中央操作部40Mによって選択できる制御メニューは、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の一方又は双方を使用する。このため、鍋等の被加熱物Nを介して間接的に食材が加熱される誘導加熱の制御メニューとは基本的に異なる。
(制御メニュー)
中央操作部40Mによって選択できる「制御メニュー」とは、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱源188で加熱して得られる最終的な調理の名称や食材の名称とは異なる。例えば「ハンバーグ」や「天ぷら」は加熱調理された食品の名称であり、ここでいう「制御メニュー」ではない。
「制御メニュー」とは、調理を完成させるまでの加熱の種類、方法や条件等を考えて、大きく分類したものとも言えるため、制御メニューの名称は、例えば「あたため」や「オーブン(調理)」などのように概念的、総括的である。以下の説明では、この中央操作部40Mによって選択される制御メニューを、「RG制御メニュー」と呼ぶ場合がある。これにより、前記「IH制御メニュー」との違いを明確にする。
図25を参照しながら中央操作部40Mによって選択できる制御メニューについて、以下詳しく説明する。
図25の「左表示エリア」とは、統合表示部30の第1エリア(表示エリア)30Lを意味している。「中央表示エリア」とは、同じく第2エリア30Mのことであり、「右表示エリア」とは、同じく第3エリア30Rを意味している。
中央操作部40Mの入力キー43MCが操作されると、前記統合表示部30の第1エリア30Lには、図25の左表示エリアの「あたため」という制御メニューが必ず最初に表示される。この「あたため」というRG制御メニューがデフォルト設定してあるからである。
図25の「左表示エリア」から明らかなように、「あたため」以外には、「レンジ手動」や「葉菜下ゆで」、「RG調理」「グリル」、「オーブン」など合計11個のRG制御メニューがある。但し、図25の「左表示エリア」の最下段に記載の「中央ヒータ」は、上記上部ユニット100では対応していないので、実際には表示されない。この「中央ヒータ」とは、上部ユニット100において、右加熱部17HRと左加熱部17HLの間に、更に別の誘導加熱部(中央の誘導加熱部)を増設した場合に対応するものである。また「RG」とは、レンジグリルの略称である。
図25の「中央表示エリア」に記載された内容は、統合表示部30の第2エリア(表示エリア)30Mに表示される内容を示している。「中央表示エリア」のデフォルト設定の内容は、その「中央表示エリア」の右の列に列挙している。
図25の「右表示エリア」に記載された内容は、統合表示部30の第3エリア(表示エリア)30Rに表示される内容を示している。「右表示エリア」のデフォルト設定の内容は、その「右表示エリア」の右の列に列挙している。空白の部分は、何も表示されないことを意味している。
以上のようなルールで、RG制御メニューのデータベースが作成されている。
このため、中央操作部40Mの入力キー43MCが操作されると、前記統合表示部30の第1エリア30Lには、「あたため」、第2エリア30Mには、温度条件を示す「80℃」、第3エリア30Rには、制御条件は何も表示がされないことになっている。そこで、この実施例では、第3エリア30Rに、加熱調理に参考となる案内情報(以下、「参考情報30P」という)が表示される。これについては、後で図39等を参照しながら説明する。
中央操作部40Mの「RG制御メニュー群」の中から、ユーザーが1つの「RG制御メニュー」を第1エリアの中央部に表示すると、このRG制御メニューに対応する「制御条件」(温度や火力、時間など)が、第2エリア30Mと第3エリア30Rに同時に表示される。その後に加熱動作開始を指令する入力キー43MSがユーザーによって操作されると、マイクロ波加熱源189やオーブン加熱源188による加熱動作が開始される。
図25に示したRG制御メニューの具体的な内容、制御条件、付加情報等の詳細なデータと表示プログラム等は、統合制御装置MCの記憶装置MMに格納されている。
以下、主なRG制御メニューの概要について説明する。
(1)あたため:マイクロ波加熱源189を使用して食品を加熱することをいう。食品の再加熱の場合も、この「あたため」が適する。デフォルト設定で「80℃」となっているので、食品が加熱されて80℃になった時点で自動的にマイクロ波の照射が停止する。なお、「80℃」は、目標温度であり、この温度は加熱開始前にユーザーが調節できる。図25に示すように、0℃~90℃の範囲では5℃刻みで設定できる。冷凍品の加熱では-10~0℃の範囲において、2℃刻みで設定可能である。なお、マイクロ波加熱出力は、500Wで固定されている。
(2)レンジ手動:マイクロ波加熱源189を使用して食品を加熱することをいうが、加熱時間を設定して行うものである。また、マイクロ波加熱出力も、500W、200W、100Wの3段階から選べる。加熱時間もデフォルト値は1分間であるが、500W出力では、10秒から15分間までの間で設定できる。
(3)葉菜下ゆで:マイクロ波加熱源189を使用して食品、特に、葉を食用とする野菜、例えば、ほうれん草、白菜などの葉菜類を茹でることに適するものである。マイクロ波加熱出力値は表示されず、第2エリアには、デフォルト表示として「標準」と表示される。非接触温度計測部(赤外線温度計測部)158が温度上昇を計測し、自動的に加熱を停止する。
(4)根菜下ゆで:マイクロ波加熱源189を使用して食品、特に、根や地下茎等を食べるじゃが芋などの根菜類を茹でることに適するものである。マイクロ波加熱出力値は表示されず、第2エリアには、デフォルト表示として「標準」と表示される。なお、火力値は、加熱調理器1側で事前に決めているので、火力を調整する場合には、第2エリアのデフォルト表示の「標準」を、「弱め」や「強め」等に変える(選択する)必要がある。
(5)肉解凍:冷凍した各種の肉類を解凍する場合に適するRG制御メニューである。
(6)RG調理:加熱室113を使用した調理に適するものであり、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理するものである。なお、マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。マイクロ波加熱時の火力値(ワット)は、表示されず、ユーザーは第2エリア30Mの表示を見て、「弱め」、「強め」等の何れか1つを選択して加熱強度を選択できる。
(7)RG再調理:加熱室113を使用して、調理済の食品を再度加熱する場合に適するものである。
(8)RG手動:加熱室113を使用した調理に適するものであり、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理するものである。なお、マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。
(9)グリル:加熱室113を使用して、食品を加熱するものであり、加熱源としては、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの一方又は両方が使用される。前述したように加熱室113の温度管理は行わず、また食品の温度上昇を検知して加熱動作を停止するという制御も行わない。上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの火力は、加熱調理器1側の加熱室制御部159で事前に決めている。代表的な適用調理としては、焼き魚がある。因みに、上部ヒータ163Aの定格火力は、1000Wであり、下部ヒータ163Bの定格火力も1000Wである。
(10)オーブン:加熱室113を使用して、食品を加熱するものであり、加熱源としては、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの一方又は両方が使用される。加熱室113の温度は、温度計測部158によって計測され、設定した目標温度になるように加熱室制御部159により通電制御が行われる。図25に示すように、デフォルト温度は180℃であるので、ユーザーは必要であれば、この目標温度を変更できる。なお、「グリル」のところで説明したように、上部ヒータ163Aの定格火力は、1000Wであり、下部ヒータ163Bの定格火力も1000Wである。そして、これら上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bに対する通電率を加熱室制御部159で制御し、それら2つのヒータ163A、163Bの発熱量を制御している。
(連携調理メニュー)
次に、図26と図27を参照しながら、本発明の特徴の1つである「連携調理メニュー」について説明する。
図26は、統合制御装置MCの記憶装置MMと、中央操作部40Mとの関係を示す説明図1である。図27は、同じく統合制御装置MCの記憶装置MMと、中央操作部40Mとの関係を示す説明図2である。
統合表示部30の第1エリア30Lに表示させることができる合計10個の「RG制御メニュー」の名称(例えば「あたため」、「レンジ手動」等)を示すデータは、前記記憶装置MMの第1層に記憶させてある。
統合表示部30の第2エリア30Mに表示させることができる「制御条件」(例えば「マイクロ波出力値」、「通電時間」等)を示すデータは、前記記憶装置MMの第2層に記憶させてある。
統合表示部30の第3エリア30Rに表示させることができる「制御条件」(例えば「グリル調理の加熱時間」等)を示すデータと、参考情報30Pは、前記記憶装置MMの第3層に記憶させてある。
一方、図26と図27に示すように、記憶装置MMの内部には、前記入力キー43M1を操作して呼び出すことができる「連携調理メニュー」の制御用データと動作プログラム(以下、これらを総称して「連携動作プログラム」と呼ぶ場合がある)とが、前記RG制御メニューとは別の記憶エリアに格納されている。
ここで、「連携調理メニュー」のデータと動作プログラム(連携動作プログラム)とは、個々の被調理物(例えば、ハンバーグ)を実行するために使用する複数の加熱源を特定する情報、各種制御条件(火力や、標準の加熱温度など)や制御パラメータ、調理工程の情報等を含む。つまり、統合制御装置MCの各機能を実現する内部の処理回路やプロセッサーの制御手順を、マイクロコンピュータに実行させるために必要なものである。連携調理メニューの1つを特定すると、使用する加熱源とその順番が自動的に決定される。例えば、連携調理メニューの1つである「ハンバーグ」については、最初に左加熱部17HLで誘導加熱し、その後、加熱室113の中で加熱するための一連の調理工程の情報が、記憶装置MMに記憶させてある。
また、「連携調理メニュー」のデータの「付加情報」として、例えば、後述する調理工程の情報、使用する加熱源の情報、制御条件(予熱完了温度等)、次の調理工程に進むためにユーザーの入力操作を促す誘導情報や指示情報等が、個々の連携調理メニュー毎に対応させて記憶させてある。
(加熱調理器の動作)
次に、上記の構成からなる加熱調理器1の動作の概要を、図28~図35を中心に説明する。
図28は、加熱調理器1の調理開始前の制御動作の全体を説明するためのフローチャートである。図29は、加熱調理器1における誘導加熱調理時の制御動作を説明するためのフローチャートである。図30は、加熱調理器1で、誘導加熱調理中にマイクロ波加熱を行う場合の制御動作を説明するためのフローチャートである。図31は、図1の加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。図32は、加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。図33は、加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。図34は、加熱調理器1の冷却ファンと、加熱調理の種類との対応関係を示す一覧表である。
図28について説明する。
電源投入から調理準備開始までの基本動作プログラムが、統合制御装置MCの内部にある記憶装置MMに格納されている。
ビルトイン型の加熱調理器1では、電源プラグ106A(図示せず)は厨房家具2の設置時から常に商用(交流)電源99に接続されているので、使用者は、主電源スイッチ97の操作ボタン98(図16、図21参照)を押して電源を投入する(図28のステップST1)。
電源回路基板55の中の直流電源変換部92を介して所定の低い電源電圧が統合制御装置MCに供給され、統合制御装置MCは起動される。統合制御装置MC自身の制御プログラムにより自己の異常有無の診断を開始する。
そして誘導加熱源9を集中制御するIH制御部90、加熱室制御部159及びマイクロ波加熱制御部130の異常有無をチェックする。
上部ユニット100の温度検出回路93には、トッププレート15の温度、インバーター回路81L、81Rの温度、統合表示部30の近傍等の温度を検知するために、合計7個の温度センサーTS3~TS9を接続しているので、それら温度センサーの検出温度は、前記温度検出回路93に伝達される。これによって、IH制御部90は、異常の有無を判定できる(ST2)。
また、加熱室制御部159とマイクロ波加熱制御部130においても、温度センサーTS1、TS2からの検出温度を取得して異常有無を判定できる。
ステップST2で「外部に起動情報送信」とあるが、これは無線通信部49から、キッチン等の居住空間にある「統合情報管理装置」又は「統合電力制御装置」(HEMSコントローラ)等と呼ばれる「家庭内制御機器」(図示せず)に、加熱調理器1の運転開始の予告を行うことをいう。これについては、あとで説明する。
IH制御部90には、上部ユニット100に内蔵した主要な構成部分の温度情報が集まるので、IH制御部90は、調理開始前の異常監視制御として、異常加熱判定処理を行う。例えば、温度センサーTS7が検出した温度が、統合表示部30における液晶表示画面30D等の電子素子の耐熱温度(例えば70℃)よりも高い場合、IH制御部90は異常高温と判定する。そして、統合制御装置MCに異常を報知し、運転開始できないことを表示したり、報知したりする等の処理を実行する。なお、この処理を、統合制御装置MCによって実行させても良い。
異常が発見されない場合、IH制御部90は、統合制御装置MCに信号送信する。すると、統合表示部30が起動され、「異常がないので、調理を開始できること」旨を表示する(ST3)。なお、この初期時点での表示画面は、図36を参照して後で説明する。
これと同時に、音声合成装置95によって、統合表示部30で表示した内容と同様な内容を音声で報知する(ST3)。
ステップST3では、無線通信部49は、前記「家庭内制御機器」にアクセスし、健康管理に有益な調理メニュー、レシピ情報等の情報を、事前に使用者が設定していた範囲で取得する。例えば、事前にこの加熱調理器1の使用者が、携帯情報端末機器等を使ってインターネット回線経由で「家庭内制御機器」に送信していた情報も、この統合表示部30の起動時に取得できる。なお、何らかの情報を取得した場合には、上部ユニット100の入力操作部40の近くに設けた専用の注意情報ランプ(図示せず)を点灯させて使用者へ報知する。
次に上記のように異常判定が完了したあと、統合制御装置MCは、統合表示部30と音声合成装置95によって、加熱手段の選択を促すための報知と、音声ガイドを行う(ST4)。
そして、入力キー43M1が操作されずに、個別操作部である左操作部40L又は右操作部40Rによる、個別加熱調理が選択されたかどうかを判別する(STC)。
一定の猶予時間(例えば30秒間)内に入力キー43M1の選択も、入力キー43MCの選択も行われなかった場合、あるいは、ステップST4の直ぐ後で、使用者が左操作部40L又は右操作部40Rの、少なくとも何れか1つを操作した場合、上部ユニットST6の加熱源、すなわちIHコイル17L、17Rだけが選択されたものと判断する(ステップST6で、「Yes」)。
一方、前記ステップSTCにおいて、入力キー43M1が操作された場合、連携調理メニューの処理ステップSTR1に進む。連携調理メニューの処理ステップSTR1は、図48を参照して後で詳しく説明する。
以上のようにステップST6が「Yes」であった場合には、次のステップST10に進む。以後の誘導加熱の制御ステップについては、あとで図29を参照しながら説明する。
一方、ステップST5において、下部ユニット200の加熱源の選択が行われた場合、統合制御装置MCは、下部ユニット200が備えている2つの加熱源のメニュー選択ステップST8に進む。なお、このステップST5は、中央操作部40M(入力キー43MC)を操作した場合である。
ステップST8では、図28に示しているように、3種類のメニュー(ST9A~ST9D)が前記統合表示部30に一覧状態で表示される。又は一定の順番で順次表示される。この3種類のメニューとは、前記した第1エリア30Lに表示される計10個の制御メニュー(図25参照)である。
図28のステップST8の段階で表示されるメニューは、下部ユニット200の加熱源を使用することを前提にして、以下の3種類の制御メニューが表示される。
(1)上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの少なくとも何れか一方を使用する調理のメニュー(ST9A)。図25で示した制御メニューの「グリル」や「オーブン」が該当する。
(2)上記(1)に加え、マイクロ波加熱装置120を併用する調理メニュー(ST9B)。これは、図25で示した制御メニューの「RG調理」が該当する。
(3)マイクロ波加熱装置120のみを使用する調理メニュー(ST9C)。これは、図25で示した制御メニューの「レンジ手動」や「葉菜下ゆで」等が該当する。
なお、ここでは、前記「連携調理メニュー」は表示されない。
なお、途中から連携調理メニューの方が良いと分かった場合には、中央操作部40Mの取り消し用入力キー43MTを操作すれば、ステップSTCの段階まで戻ることができる。つまり、連携調理メニューに進めることができる。
図29は、誘導加熱のメニューを選択したステップ(ST11)以後の、統合制御装置MCの動作ステップを示したものである。
次に、誘導加熱時の制御動作について図29を参照しながら説明する。
なお、以下は右加熱部17HRを使用する例で説明する。
右側にある入力キー43R1に触れると、IH制御部90は加熱準備動作を使用者が指令したと判定する。
IHコイル17Rの上方に被加熱物(金属製の鍋やフライパン等)N(図示せず)が載置されているか否か、または被加熱物の底部面積が所定値より大きいか否かが推定され、この推定結果がIH制御部90に伝達され、標準の径の鍋に適する加熱処理にするか大径鍋に適する加熱処理にするか等が決定される(ステップMS1)。
適合鍋であるが大径鍋である場合、あるいは加熱不適合等の場合は、標準鍋とは別の処理になる。
IH制御部90からの指令を受けて、統合制御装置MCは、統合表示部30の表示画面30Dに対し、希望する調理の「制御メニュー」(IH制御メニュー)を選択するように促す表示をする(MS2)。
使用者が調理の「IH制御メニュー」や火力、調理時間などを右操作部40Rで選択、入力した場合(MS3)、本格的に右加熱部17HRにおいて誘導加熱動作が開始される(MS4)。
統合表示部30に表示される「IH制御メニュー」としては、「高速加熱」、「揚げ物」、「湯沸し」、「予熱」、「炊飯」、「茹で」、「湯沸し+保温」という7つである。但し、操作性を簡略化するため、前述した「機能設定」で上記7つのIH制御メニューの一部又は全部の選択をできないように設定しても良い。
使用者がこれら7つのIH制御メニューの中の何れか一つを選択した場合、それらIH制御メニューに対応した制御条件がIH制御部90の内蔵プログラムによって自動的に選択され、IHコイル17Rの通電量(火力)、通電時間などが設定される。IH制御メニューによっては使用者に任意の火力や通電時間等を設定するように促す表示を表示部に行う(MS5)。なお、IH制御メニューに対応した制御条件の動作プログラムは、IH制御部90ではなく、統合制御装置MCに格納していても良い。
以上のような表示を行ってから一定の時間(例えば、15秒又は30秒)内に、使用者が入力キー43R1を操作して使用中止しない限り、その時間経過後、IH制御部90は誘導加熱回路94Rのインバーター回路81Rを駆動し、誘導加熱を開始する(MS6)。
「大径鍋」の場合も基本的には上記ステップMS1~MS7と同様であるが、IH制御メニューとしては、図29のステップMS3で示した7つのIH制御メニューの一部は選択できない。「高速加熱メニュー」は、左側にある大径のIHコイル17Lを使って、「通常鍋」又は「大径鍋」だけの場合しか加熱できない。なお小型鍋とはこの実施の形態1では鍋底面の直径が10cm未満のものをいい、誘導加熱に適さないものとして検知され、誘導加熱できない。
次に、誘導加熱とマイクロ波加熱などのように、異なる種類の加熱源を2つ以上同時に使用した場合の、統合電力制御動作について図30~図31を参照しながら説明する。なお、これら図30~図31で説明する例は、前記した「連携調理メニュー」の場合ではない。
図30に示した例は、最初に上部ユニット100で誘導加熱調理を行っている期間中に、使用者が下部ユニット200の加熱室113を使って、マイクロ波加熱を行おうとした場合である。なお、誘導加熱調理を行っている期間中に、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの両方又は何れか一方を使用して、オーブン調理やグリル調理等を行う場合でも、この図30で説明したような基本的な(加熱調理器1全体での)総電力制御が、統合制御装置MCと電力制御部72によって行われる。
誘導加熱調理を行っている期間中に、使用者が下部ユニット200の加熱室113を使って、マイクロ波加熱を行おうとすると、最初に入力操作部40の中央操作部40Mで、下部ユニット200の加熱源を選択する方法がある。
しかしながら、簡単に行う方法はそのままドア114を開けることである。つまり、この実施の形態1では、上部ユニット100が運転されている場合(主電源スイッチ97がON状態である場合)は、そのまま下部ユニット200による調理を開始できる。従って。上部ユニット100のような主電源スイッチ97を入れる操作は必要ではない。
ドア114を開けると、ドア開閉検知機構131の主要部分で説明したように、ドア114の開閉に応じて開閉されるラッチスイッチ132Aとドアスイッチ132Bがあるので、前記主電源スイッチ97を投入した段階で、前記ラッチスイッチ132Aとドアスイッチ132Bの双方又は何れか一方の開放を、統合制御装置MCが(前記ドア開閉検知機構131の働きで)検知できる。
図30において、上記したように加熱室113のドア114が開放されたことを示す信号を受信した場合(ステップS1)、統合制御装置MCは、使用者に対して音声ガイドを行う(ステップS2)。音声ガイドの内容は、例えば、「加熱を開始するためには、スタートボタンを押して下さい」等である。
マイクロ波加熱のデフォルト設定では、目標温度80℃であるので、ドア114を閉めて、そのまま加熱開始しても被調理物温度が80℃になったと検知された段階で自動的に停止する。なお、80℃を変更(例えば75℃)する場合には、温度条件を変更してから入力キー43MS(図17参照)を押せば良い。
使用者が、「加熱開始」という指示を中央操作部40Mの入力キー43MSで行った場合、マグネトロン122で定まっている定格消費電力値に、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129等の消費電力も反映して事前に分かっている消費電力値を使用し、統合制御装置MCはステップS3において総電力規制値を超過するかどうかの判定を行う。
例えば、先に開始している誘導加熱調理の火力値や第1冷却ファン60、第2冷却ファン61の消費電力量もデータとして統合制御装置MCは保有しているので、上部ユニット100の消費電力とマイクロ波加熱装置120の消費電力の合計値が算定できる。なお、統合制御装置MCが、中央操作部40Mの操作があった段階で、インバーター回路81の消費電力データを取得しても良い。
ステップS3が「Yes」の場合には、稼働しているIHコイル17Rの出力を下げるか、マイクロ波加熱の火力の何れかを下げる必要ある。ステップS3では、誘導加熱の制御メニューと調理工程から、その時点の誘導加熱の調理の優先度を判定する。例えば、上部ユニット100で炊飯(特に、「沸騰工程」)を行っている場合には、その炊飯(沸騰工程)を優先し、上部ユニット100の加熱源の火力を削減しない。
また、上部ユニット100で「揚げ物」を行っている場合には、その揚げ物は、食材の投入等に合わせて食用油の温度が過度に低下しないように自動的に火力を増加させる制御を行っているので、このような場合も、上部ユニット100の加熱源の火力を削減しない。
ステップS5で、誘導加熱が優先すると判定された場合、マイクロ波加熱の電力消費量を減らすため、マイクロ波定格出力が仮に500W(消費電力が900W)であった場合、消費電力を一時的に下げて、例えば出力300Wにする。そして、このような制限を行うことを使用者に報知する。報知は、統合表示部30と音声合成装置95によって行う(S6)。
そして、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に指令信号を出し、マイクロ波加熱を低火力で開始する(S7)。
加熱室113の中に置かれた食品や調理器具等の温度を検出する非接触温度計測部(赤外線温度計測部)158を有しているので、食品が加熱されて、目標温度に至ったかどうかを、マイクロ波加熱制御部130は監視している(S8)。
目標温度に到達しない場合には、上部ユニット100の誘導加熱動作が終了したかどうかの判定をする(S9)。当該誘導加熱動作が終了しない限り、目標温度に至るまでは上記ステップS8、S9が繰り返し行われる。
目標温度に至った場合には、マイクロ波加熱制御部130から統合制御装置MCに信号を出る。すると次のステップS12に進み、マイクロ波加熱が終了した旨を報知する。
一方、上部ユニット100の誘導加熱が終了した場合、ステップS10に進み、マイクロ波加熱制御部130に対して指令を出し、初期に使用者が意図した設定火力に復帰させてマイクロ波加熱を継続させる。そして、被調理物の温度の監視を継続させる(S11)。
そして、目標温度に至った場合には、マイクロ波加熱制御部130から統合制御装置MCは信号受け、ステップS12に進み、マイクロ波加熱が終了した旨を報知する。
図30に示した例は、マイクロ波加熱調理と誘導加熱調理の2者の間の電力優先度は、誘導加熱調理で実行している制御メニュー(例えば、「揚げ物」)と調理の工程(例えば、炊飯の「沸騰工程」)から、その時点で誘導加熱との優先度を判定するという前提であった。
従って、マイクロ波加熱調理と誘導加熱調理の2者の間の電力優先度を、常に誘導加熱側に設定しておいた場合には、マイクロ波加熱の開始という指示を中央操作部40Mの入力キー43MSで行う前に、例えば、統合表示部30において警告メッセージが表示され、さらに、音声合成装置95からも警報メッセージが出る。また、その後マイクロ波加熱を開始しても、上記した例のように火力値が強制的に下げられるケースがあり得る。
加熱調理器1全体の中での、誘導加熱源9と、オーブン加熱源188及びマイクロ波加熱源189の電力優先度は、前述した「機能設定」の中で設定しておくことができ、一度設定すれば、主電源スイッチ97を切っても、統合制御装置MCに設定条件が記憶され、次の加熱調理以降にも引き継がれる。
この図30に示した例では、被加熱物の温度を監視し、目標温度になった場合に、マイクロ波加熱を終了させていた。しかし、マイクロ波の照射時間を計測し、設定した時間が経過したときに調理を終了させる制御方法もあるので、次に図31について説明する。
図31は、マイクロ波の照射時間で調理を終了させる制御方法を採用している場合の例である。
ステップS6までは図30と同じなので説明は省略する。
マイクロ波加熱制御部130は、ステップ7でマイクロ波加熱を開始する場合、マグネトロン122の出力を、ある値まで下げた場合の加熱時間の補正(延長)を算出する。そして、ステップS8では、その延長後の時間を「設定時間1」と決めて(S8)、ステップ9、ステップ8を繰り返す。
その過程で、上部ユニット100の誘導加熱が終了した場合、加熱開始(ステップS7)からの経過時間も考慮し、再度運転所要時間(設定時間2)を計算し直す。
そして、設定時間2を経過した場合、マイクロ波加熱を終了し、これを報知する(S12)。なお、この設定時間2が経過するまでの間、非接触温度計測部(赤外線温度計測部)158による温度監視を併用しても良い。
次に図32と図33について説明する。
図32と図33は、加熱調理器1の制御動作を説明するためのフローチャートである。この図32と図33に示した例は、最初に上部ユニット100で誘導加熱調理を行っている期間中に、使用者が下部ユニット200の加熱室113を使って、マイクロ波加熱を行おうとした場合である。この場合でも、図30で説明したような基本的な(加熱調理器1全体での)総電力制御が、統合制御装置MCと電力制御部72によって行われる。
図32と図33では、図30、図31とは異なり、統合制御装置MCとマイクロ波加熱装置120、IHコイル17L、17Rやインバーター回路81等からなる誘導加熱装置と、の3者の間の信号の授受も示している。
図32と図33において、L1~L10は、各動作信号や指令信号等の発生タイミングを示している。上部ユニット100で、主電源スイッチ97を入れると、起動信号が統合制御装置MCに送信される(L1)。
その後、入力操作部40においてIHコイル17L、17Rの火力や制御メニュー等(図29のステップMS2、MS3参照)を決定すると、その内容を示す情報が統合制御装置MC経由に送信される(L2)。つまり、誘導加熱時の最大火力や運転時間等の条件を示す情報を、統合制御装置MCからIH制御部90が受ける。そして入力操作部40から誘導加熱開始指令があれば、IH制御部90は、誘導加熱回路94L、94Rによって加熱動作を開始させる。
このようにして誘導加熱調理が開始された場合で、マイクロ波加熱も開始されるケースについて説明する。なお、誘導加熱は、左側のIHコイル17Lの最大火力3200Wで開始されたものと仮定する。
使用者がドア114を開けると、図30で説明したようにラッチスイッチ132Aとドアスイッチ132Bの双方又は何れか一方が開放するので、これを監視しているドア開閉検知機構131(閉鎖検知部139)から、ドア114の開放を示す信号が統合制御装置MCに送信される(L3)。
使用者が、中央操作部40Mで火力を入力した場合には、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に運転開始の指令信号を出す。そして次のステップS3に進む。
又は、使用者が単に「加熱開始」という指示を中央操作部40Mで行った場合、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に運転開始の指令信号を出す。
マイクロ波加熱制御部130側で何の異常もなければ、統合制御装置MCに対して、マイクロ波加熱制御部130から調理開始の「予告信号」が発信される(L4)。例えば、マイクロ波出力500Wの場合では、マイクロ波加熱装置全体の定格消費電力が1000Wである場合には、この図32のように、1000Wを使用する情報を含んだ「予告信号」になる。
次に統合制御装置MCからの情報を受けて電力制御部72は、マグネトロン122で定まっている定格消費電力値に、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129等の消費電力も反映して事前に分かっている消費電力値を使用して、マイクロ波加熱と誘導加熱を同時に行った場合の、消費電力の合計値を求め、この合計値が総電力規制値を超過するかどうかの判定を行う(図30、図31のステップS3と同じ)。そして結果を、統合制御装置MCへ送信する。
なお、別の方法として、下部ユニット200(のマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188)の総電力量の上限値を決め(例えば、2000W)、下部ユニット200と上部ユニット100(誘導加熱源9)を同時に使用した場合に、総電力規制値を超過するかどうかの判定を行うことでも良い。
ステップS3が「Yes」の場合には、稼働しているIHコイル17Rの出力を下げるか、マイクロ波加熱の火力の何れかを下げる必要ある。次のステップS4では、統合制御装置MCは、誘導加熱の制御メニューと加熱工程から、その時の誘導加熱の調理の優先度を判定する。
この図32の例では、マイクロ波加熱が優先すると設定されている場合であるから、マイクロ波加熱の火力を削減しない。
ステップS5で、マイクロ波加熱が優先すると判定された場合、誘導加熱の電力消費量を減らすため、マイクロ波加熱制御部130に対して、IHコイル17Rの目標火力を下げる制御を指令し、消費電力を一時的に下げる。このような制限を行うことを使用者に報知する。報知動作は、統合表示部30と音声合成装置95によって行う。
そして、マイクロ波加熱制御部130は、マイクロ波加熱を低い火力に変更するようにインバーター回路81Rに指令する(L5)。
インバーター回路81R側での電力削減処理が終わると、マイクロ波加熱制御部130は、入力電流検出部77aと出力電流検出部77bの電流値から、電力削減されたことを判別する。そして電力削減完了した旨を統合制御装置MCへ送信する(L6)。この送信を受けて、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱装置120に対して加熱動作開始の許可信号を送信する(L7)。
インバーター回路121Aには、上部ユニット100のインバーター回路81Rで使用している入力電流検出部77aや出力電流検出部77bのような、電流検出部(図示せず)がある。
そのため、マイクロ波加熱が終了した場合、インバーター回路121Aの電流検出値から、マイクロ波加熱制御部130は加熱動作終了したことを判別し、加熱動作を統合制御装置MCに特定の信号で通知する(L8)。また、マイクロ波加熱は、タイマー設定によってある時間だけ行われる場合もあり、その場合は、その時間経過をマイクロ波加熱制御部130が検知して、加熱動作終了したことを通知する(L8)。
統合制御装置MCはマイクロ波加熱が終了したあと、使用者が最初に希望した設定火力に復帰させるようにマイクロ波加熱制御部130に対し、指令信号を出す(L9)。そして火力を最初の目標レベルまで上げて誘導加熱を継続させる(S10)
そして、設定した調理時間や目標温度に至った場合には、マイクロ波加熱制御部130は、誘導加熱を終了させる。そして運転終了した旨を統合制御装置MCに報知する(L10)。
(誘導加熱調理の基本動作)
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器1において、誘導加熱を行う場合の、各部分の基本動作について説明する。
入力操作部40において、誘導加熱調理の開始が指令されると、IH制御部90は、指定された加熱部に対応する誘導加熱回路94L、94Rに対して駆動指令を出し、IHコイル17L、17Rのインバーター回路81L、81Rを駆動する。
冷却ファン駆動回路62に対してIH制御部90から運転指令信号が出される。
インバーター回路81L、81Rの駆動開始と同時、又は少し遅れたタイミングで、前記第1冷却ファン60と、第2冷却ファン61の運転を開始する。
第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の送風能力は固定したものでなくとも良い。例えば、ヒートシンク82の温度センサーTS8と、統合表示部30の近傍の温度を検知する温度センサーTSの温度に応じて、弱運転から強運転の間で自動的に送風能力を変更しても良い。
一般的に冷却ファンを、弱運転から強運転に変更すると、ファンの風切り音が大きくなるため、ノイズとなる懸念がある。そこで、2つの温度センサーTS7、TS8による検出温度と、冷却ファン60、61の運転強度を、事前の送風試験等のデータから、対応表(データテーブル)にして決定しておき、この対応表をIH制御部90の記憶装置90Rに記憶させておく。そしてそのデータテーブルに従ってIH制御部90が、随時第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の運転条件を、変更するようにしても良い。
なお、冷却ファン60、61の運転強度を決める対応表(データテーブル)は、IH制御部90の記憶装置90Rではなく、統合制御装置MCに格納していても良い。
第1冷却ファン60が運転されると、第1冷却ファン60の真下の位置にある通気孔64から空気が吸引される。吹出口60Aから図20に矢印で示すように冷却風RF1が第1風路F1に押し込まれる。
第2冷却ファン61が運転されると、第2冷却ファン61の真下の位置にある通気孔64から空気が吸引される。吹出口61Aから図20に矢印で示すように冷却風RF2が第2風路F2に押し込まれる。
第1冷却ファン60の真下の位置にある通気孔64と、第2冷却ファン60の真下の位置にある通気孔64とは、上部ケース16の底面において隣接して個々に設けているが、多数の小孔群を設けて、その小孔群を共用しても良い。
インバーター回路基板80の上面には、ダイオード79c(図24参照)や、その他電気部品が実装されているが、それらは前記冷却風RF1により冷却される。
1つのIHコイル17Lには、2つのIGBT79a、79b(電力制御用スイッチング素子83)を使用している。また、もう1つのIHコイル17Lにも、同様に電力制御用スイッチング素子83を使用している。
それら2つの電力制御用スイッチング素子83は、誘導加熱動作時に発熱するが、前記冷却風RF1によって連続的に冷却される。
前記冷却風RF3は、入力操作部40に配置された入力操作を受ける各種スイッチ、液晶表示画面、表示部駆動回路63等の部品を冷却しながら、右側方向に進む。
図20に矢印で示すように、冷却風RF1は、カバー70の出口FOを出た段階で、上方に方向を変えるものがあるが、前方側から合流する冷却風RF2の勢いもあるため、冷却風RF3のようにカバー70の上を左側に反転して進行するものと、冷却風RF4に示すようにフィルター回路基板54の方向に進行するものに大きく分かれる。
冷却風RF3は、右側のIHコイル17Rの下方を流れて、その後左側のIHコイル17Lの真下まで流れる。この過程においてそれら2つのIHコイル17R、17Lを冷却する。一般にこの種のIHコイルは、誘導加熱動作時に250℃~300℃付近まで温度が上昇する。そこで、上記のように2つの冷却風RF1、RF2を合わせた冷却風RF3、RF4で冷却する。
図15、図20で説明したように、排気窓52Aは、左右の中心線CL1から左側の範囲に、符号LFで示す長さだけに存在している。そのため、冷却風RF4は前記フィルター回路基板54を通過した後は左側方向に進行し、貫通孔53Aを通過し、排気窓52Aから排出される。
IHコイル17L、17Rを冷却した冷却風RF3も、最終的な排気口となる排気窓52Aの方向に向きを変えて進み、貫通孔53Aを通過し、排気窓52Aから排出される。
これによって上部ケース16内部を流れる冷却風RF3、RF4は、排気口20に到達する。そして排気カバー19から室内へ放出される。
前述したように、IHコイル17L、17Rやインバーター回路基板80等の部品群は、上部ユニット100の内部において冷却すべき部品群である。これら部品群を冷却するための空間は、前記排気窓52Aよりも手前の位置である。言い換えると、この排気窓52Aよりも下流では、排気口20まで連通する空隙GP1が存在するが、この空隙GP1内部には、上記したような冷却すべき部品群は存在しないので、上部ユニット100の冷却空間とはなっていない。
排気窓52Aを、前記フィルター回路基板54から離れた位置だけに設置しているため、運転中に排気カバー19の上に、鍋等から溢れた調理液や水(以下、これらを「異物」という)が流れた場合でも、当該異物が前記排気口20を通過して前記フィルター回路基板54まで至ることを防止できる。このため、漏電や故障の原因になることを防げる。なお、前述したように前記フィルター回路基板54と空隙GP1との間は、前記排気窓52Aの部分を除き、仕切板52によって分離されている。なお、ここでいう「分離」とは、空気の流通を完全に遮断できるような分離ではなく、上方から滴下又は流下した異物の侵入が阻止できる程度の分離をいう。
(マイクロ波加熱調理時の基本動作)
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器1において、マイクロ波加熱を行った場合の、各部分の基本動作について説明する。
前記主電源スイッチ97をONにした場合、上部ユニット100において実際に誘導加熱調理を実行していなくても、そのままマイクロ波調理を開始できる。しかし、主電源スイッチ97を一旦OFFにした場合には、マイクロ波加熱調理を開始するためには、最初に主電源スイッチ97を入れる必要がある。
安全上、前記主電源スイッチ97は、マイクロ波加熱、オーブン(加熱室113)加熱及び誘導加熱の何れかを使用が終了した最後のタイミングから、一定時間(例えば、30分)後に自動的にリセットされて開放される。または、トッププレート15や加熱室113等の温度が全て規定値以下に下がった場合に、主電源スイッチ97は、自動的に開放される。このような安全対策を採用している。
次に、ドア114を開けて、食品等の被調理物を加熱室113に入れ、ドア114を占めた後で、入力操作部40の中央操作部40Mにおいて、入力キー43MS(図16参照)によってマイクロ波加熱調理の開始が指令されると、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に対して駆動指令を出し、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129の運転を開始させる。
マイクロ波加熱制御部130は、マグネトロン122のインバーター回路121Aを駆動して、発振部122Aからマイクロ波を放射させる。なお、ここでいうマイクロ波とは、2450MH±50MHzの電波のことである。
発生したマイクロ波は、導波管123からアンテナケース124の中に導かれる。アンテナ125の駆動用モータ126は、マイクロ波が発振されたタイミングで運転開始しているので、アンテナケース124の中に導入されたマイクロ波は、回転するアンテナ125と、回転軸126Aの作用により、加熱室113の内部に均等に伝搬させることができる。なお、この種のアンテナと回転軸126Aの作用は、例えば日本特許第4836965号及び特許第5674914号によって詳細に説明されているので、詳しい説明は省略する。
第3冷却ファン128が運転されると、下部ケース101の底板101Uに形成した吸気口F152Fから空気がケースA150の内部に吸引され、冷却風RF5となる。そして冷却風RF5は、最初にインバーター回路基板121を冷却し、当該回路基板に実装している各種電気部品を冷却する。
冷却風RF5は、次にケースA150の上下2個所に設けた連通口B138Bと連通口A138Aの中を通過し、連通口B138Bを通過した冷却風RF5は、温度センサー160の背面に当る。
温度センサー160は、右側仕切板166Aの取付孔の中に設置してある。温度センサー160の外殻ケースと取付孔の口縁との間には、数mm以下の微小な間隙が存在する。この間隙を、前記冷却風RF5が通過して、温度センサー160の検知窓161から加熱室113内部へ吹き出される。
一方、インバーター回路基板121を冷却した冷却風RF5の大部分は、連通口A138Aの方から通路172へ案内される。つまり、加熱室113の上方を覆っている上部ケース169と、仕切板171との間に形成された通路172へ案内される。この通路は、加熱室113の上方にある上部ヒータ163Aが300℃を超えるような高温になっても、その高熱を上部ユニット100側へ伝わらないようにする効果がある。
連通口A138Aから連通口173の位置を平面的に見ると、通路172を斜め後方に横切った位置に連通口173がある。つまり、最も遠い位置に連通口がある。
このため、通路172の全体の空気は連通口173に案内され、連通口173を通過して後方に水平に伸びる排気ダクト102の中に導入される(図11参照)。
冷却風RF5は、排気ダクト102を出た段階で、下側から上昇してくる冷却風RF6と合流して、排気口20から室内へ放出される。
次に、第4冷却ファン129による冷却風RF6の流れについて説明する。
第4冷却ファン129が運転されると、図8と図9に示したように下部ケース101の底板101Uに形成した吸気口B152Bから空気がケースA151の内部に吸引され、冷却風RF6となる。そして冷却風RF6は、最初にマグネトロン122の放熱部122Hを冷却し、当該放熱部122Hを通過してダクト153の中に至る。
冷却風RF6は、次にダクト153から加熱室113の右側に隣接している空隙GP5Rに入り、前方側へ進む。そして図13に示したように導入口201から加熱室113の中に導入される。
前記導入口201は、加熱室113の開口113Aに近い位置にあるため、冷却風RF6の一部は、ドア114の内側にも到達し、シール板196の加熱室113側に生ずる曇りを解消させる。
加熱室113の中に導入された冷却風RF6は、加熱室113の内部で食品等の被加熱物から発生する水蒸気や煙等を排出する目的がある。具体的には、冷却風RF6は、図11に示しているように加熱室113の前部から後方に移動し、最終的には後部の天井部に形成された連通口174に至る。
冷却風RF6は、連通口174から後方に水平に伸びる排気ダクト102の中に導入される。そして冷却風RF6は、排気ダクト102を出た段階で、冷却風RF5の上昇気流に誘引されるように合流して、排気口20から室内へ放出される。
冷却風RF5と冷却風RF6の最初の風量が同等であった場合でも、この実施の形態1のような経路の違いによって、冷却風RF5の方がダクト102から放出される際、風速が早かった。そのため、下方から放出された冷却風RF5を誘引する作用がある。
冷却風RF5、RF6を排気ダクト102から強制的に放出するため、排気ダクト102の途中に排気ファンを設けても良い。この実施の形態1では、そのような排気ファンを省略しているので、コスト的に安価で実現でき、また上部ユニット100内部への部品配置を考える上で有利である。
(オーブン加熱調理時の基本動作)
次に、本実施の形態1に係る加熱調理器1において、オーブン加熱装置140の基本動作について説明する。
前記主電源スイッチ97をONにした場合、統合制御装置MCは、何らかの調理が開始されるものと推定して予備起動する。このため、上部ユニット100において実際に誘導加熱調理やマイクロ波加熱調理を実行していなくても、そのままオーブン加熱調理を開始できる。しかし、主電源スイッチ97を一旦OFFにした場合には、オーブン加熱調理を開始するためには、最初に主電源スイッチ97を入れる必要がある。
次に、ドア114を開けて、食品等の被調理物を加熱室113に入れ、その後入力操作部40の中央操作部40Mにおいて、加熱室113を使用した調理の制御メニューを選択する。例えば、魚や肉を焼き上げる調理の場合には、加熱時間や火力を設定する。但し、自動的に焼き上げる制御メニューを選択した場合には、火力は加熱室制御部159によって自動で設定される。なお、この制御メニューを選択することについては、この後の図39~図43で説明する。
加熱室制御部159は、統合制御装置MCからの指令信号を受けて、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの通電の有無、通電の時間帯、通電パターン(間欠加熱)、火力等を制御する。
温度センサーTS2は、加熱室113の中の温度を赤外線信号で検知し、検知温度データを前記加熱室制御部159に送信する。加熱室制御部159は、目標温度と検出された温度との差を見て、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの双方、又は何れか一方の通電を制御する。
また、タイマー調理の制御方法が中央操作部40Mで入力された場合、設定時間だけ上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの双方、又は何れか一方の通電が行われる。つまり、加熱室制御部159は、温度センサーTS2の検知温度データに従って、通電時間を制限しない。
ドア114を閉めた後で、入力操作部40の中央操作部40M(入力キー43MS)において、オーブン(加熱室113)加熱調理の開始が指令されると、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱制御部130に対して駆動指令を出し、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の運転を開始する。なお、加熱室制御部159から直接第3冷却ファン128と第4冷却ファン129に駆動指令信号を出すようにしても良い。
第3冷却ファン128が運転されると、下部ケース101の底板101Uに形成した吸気口F152Fから空気がケースA150の内部に吸引される。しかし、マイクロ波加熱調理の場合と異なり、インバーター回路基板121の発熱はない。そのため冷却風RF5は、インバーター回路121基板を冷却することなく、連通口B138Bと連通口A138Aの中に、それぞれ入る。
そして、連通口A138Aの中を通過した冷却風RF5は、温度センサー160の外殻ケースと取付孔の口縁との間の間隙から検知窓161を経て、加熱室113内部へ吹き出される。
連通口A138Aを通過した冷却風RF5は、通路172へ案内される。そして、上部ケース169を冷却しながら連通口173に至り、その後は排気ダクト102の中に導入される(図11参照)。
一方、第4冷却ファン129による冷却風RF6は、マグネトロン122の放熱部122Hを通過し、ダクト153の中に至る。しかし、マグネトロン122は駆動されていないので、発熱していない。そのため、冷却風RF6は殆ど温度上昇せずに空隙GP5Rに入る。
そして冷却風RF6は、図13に示したように導入口201から加熱室113の中に導入される。そのため、ドア114の内側部分に冷却風RF6が到達する。
加熱室113の中においた食品等の被調理物は、上部ヒータ163A又は下部ヒータ163Bの輻射熱により水蒸気や油煙等を発生する場合がある。そのような水蒸気、油煙等は、図11に示しているように加熱室113の前部から後方に移動する冷却風RF6によって連通口174まで運ばれる。
その後、冷却風RF6は、連通口174から後方に水平に伸びる排気ダクト102の中に導入される。そして、冷却風RF6は排気ダクト102を出た段階で、上方へ上昇していく冷却風RF5に誘引されながら、排気口20を通過して室内へ放出される。
以上説明した実施の形態1では、主電源スイッチ97をONにしたあと、統合制御装置MCが、ある段階まで加熱調理器1の全体の状況を制御し、その後、仮に左操作部40L又は右操作部40Rが操作された場合には、以後の誘導加熱制御をIH制御部90に委ねていた。しかしながら、統合制御装置MCが制御する範囲を、IH制御部90との間で変更しても良い。
また、同様に統合制御装置MCが制御する範囲を、加熱室制御部159やマイクロ波加熱制御部130との間で変更しても良い。
例えば、誘導加熱、マイクロ波加熱又はオーブン(加熱室)加熱の何れかの調理メニューの選択がされた以後は、IH制御部90、加熱室制御部159又はマイクロ波加熱制御部130の何れかで基本的に加熱に関する制御動作をすることでも良い。
その場合、入力操作部40にて新たな入力が行われた場合(加熱停止を含む)には、一旦は統合制御装置MCにて制御するが、入力が行われない場合には、そのままIH制御部90、加熱室制御部159又はマイクロ波加熱制御部130の何れかで調理を実行させることで良い。
具体的な例について、図35を参照して以下説明する。
図35は、加熱調理器1において、誘導加熱調理の1種である揚げ物調理(自動)を行った場合の、IH制御部90の動作を説明したフローチャートである。
左操作部40L又は右操作部40Rを操作して誘導加熱調理の調理メニューで、「揚げ物(自動調理)」が選択された場合、鍋の中に入れた食用油の温度は、温度検出回路93によって監視され、自動的にIHコイル17L、17Rの火力は制御される。
揚げ物調理(自動)の制御メニューを使用者が選択すると、IH制御部90は、図35に示すように、予熱工程、揚げ物調理工程、火力アップ工程を順次実行する。また前記統合表示部30の表示画面30Dには、必要な情報、参考情報(例えば、予熱に要する予想時間など)を示す情報が文字や図形等で現れる。また電力制御部72によって電力が制限(抑制)されない優先調理である旨も、表示される。
このため、この揚げ物調理中には、マイクロ波加熱やオーブン加熱の使用があっても、電力が優先的に確保されることを、ユーザーは認識できる。
予熱工程では、ユーザーが設定した目標の油温度が180℃である場合、予熱工程では所定の火力値(最大1500W)で、インバーター回路81R(又は81L)が駆動開始され、急速に油の温度は室温(例えば20℃)から目標温度T1の180℃まで上昇する。
この温度上昇は、前記した温度検出回路93によってリアルタイムで監視されているので、目標温度T1(第1の温度)の180℃になったことが温度検出回路93によって検出されると、IH制御部90は、誘導加熱量、つまりインバーター出力を調節して、目標温度をそのまま維持しようとする(このような温度検出情報に基づいて、目標温度に近づけようと高周波火力を自動的に調節する制御動作を以下、「温度フィードバック制御」という)。
その後、統合制御装置MCへ表示要請指令を出し、音声合成装置95を介してユーザーに「油の温度が適温になりました。具材を投入してください」というような音声ガイドを行う。
ユーザーが具材、例えば冷凍されていたコロッケを油の中に入れると、その油は冷たい具材によってその投入時点から急速に冷やされるので、図35に示すように温度が急降下する。しかし、温度検出回路93はこのような温度降下の動きを監視しているので、直ちにインバーター回路81R(81L)の火力を所定の火力1500W又は1800Wに上げて駆動するので、油の温度は再び上昇する(温度フィードバック制御)。このようにしてして再び目標温度T1に至った段階で直ちに(または所定時間経過したら)揚げ物工程から火力アップ工程に移行する。
火力アップ工程では、前記目標温度T1よりも高い第2の温度T2の225℃と、これより更に高い上限温度(第3の温度)T3の230℃間に油の温度が維持されるように制御装置90はインバーター回路81R(81L)を制御する。
図35に示すように火力値は900W程度で間欠駆動される。
第1の温度T1になった以降の工程を「揚げ物仕上げ工程」と呼び、揚げ物をカラッと仕上げるために重要な工程である。このような火力アップ工程で十分な火力を投入して調理しないと、揚げ物がうまくできないことになる。なお、揚げ物工程は所定の時間内に制限されていないので、使用者が入力キー44R(又は入力キー45L)を押下すれば、揚げ物調理は全て終了する。
図35に示すように(自動)揚げ物調理の制御メニューにおいて、前記揚げ物調理工程から火力アップ工程までを「優先調理メニューの実行時間帯」と定義しており、この実行時間帯には、他の加熱源の開始や運転条件変更によって、電力の削減が行われないようにしている。つまり、この誘導加熱のIH制御部90は、実行中の調理メニューが、前記「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかを常に把握し、もしその実行時間帯にある場合には、その旨を外部に報知する機能を有している。
以上の説明で明らかなように、特定の加熱工程に入った場合には、その都度統合制御装置MCがIH制御部90に対して制御信号を発することなく、加熱工程の進捗は、全てそのIH制御部90の制御に委ねている。
次に、統合表示部30と、中央操作部40M、右操作部40R及び左操作部40Lの各種入力キーとの関係について図36~図42を参照して説明する。
図36は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図である。図37は、誘導加熱調理の開始の前後における左操作部40Lと左側表示部31Lの平面図である。図38は、統合表示部30と左側表示部31Lの表示内容の変化を示す説明図である。図39は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図1である。図40は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図2である。図41は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図3である。図42は、統合表示部30の表示内容の変化を示す説明図4である。
図36について説明する。主電源スイッチ97をOFFにしている状態では、統合表示部30は起動されていないので、何も情報を表示していない。
主電源スイッチ97をONにした状態では、統合制御装置MCは、前述したように異常有無等の自己診断を行ったあとで、図36の表示画面1を統合表示部30で表示する。
図36の表示画面1において、30Aは、電源が入っていることを報知した表示文である。30Bは、インターネット経由で専用のレシピ掲載サイトに誘導するための二次元情報(二次元コード)である。30Cは、その二次元コードの意味を説明した文章である。この二次元情報30Cと、前記表示文30Aは、「待機時共通情報」30Nの1種である。
図36の表示画面1が表示されたあと、自動的に表示画面2A又は2Bが表示される場合がある。表示画面2Aにおいて、「突沸注意」は、注意表示の1つである。この「突沸」とは、例えばカレーやシチューのような粘性のある被調理物(液体)を加熱している場合、その被調理物の内部が沸点以上の過熱状態になっていて、突発的に激しい沸騰を起こす現象をいう。熱せられた液体から蒸気が噴き出すことに伴い、熱い液滴が飛散して危険な場合がある。突沸が発生するタイミング、原因は、外部からの異物の混入又は衝撃であると言われている。そのため、この表示画面2に表示しているように、被調理物を入れた金属鍋等をトッププレート15の上に置いて誘導加熱する際に、その被調理物をかき混ぜる際の注意喚起をしている。この注意喚起で表示している情報は、「待機時共通情報」30Nの1種である
表示画面2Bにおいて、30Eは、加熱室113の内部が高温度になっていて、不用意に接触しないように警告した注意表示である。加熱室113でオーブン調理を実施したあとで、まだ加熱室113が十分冷え切っていないことを統合制御装置MCが検知した場合、この表示画面2の状態に自動的に切り替わる。なお、表示画面2Aと2Bは、同時に表示できないが、数秒間隔で交互に表示することにより、突沸と高温表示の両方について注意喚起するようにしても良い。なお、音声合成装置95によって、表示画面2Aと2Bの注意喚起を音声でも並行して行っても良い。
図36の表示画面1~表示画面2A、2Bによって明らかなように、これら表示は、表示画面30Dの全体を利用して行っている。つまり、前述した第1エリア30L~第3エリア30Rの何れかで部分的に表示するのではなく、できるだけ広い表示面積を確保するため、第1エリア30L~第3エリア30Rの3つを識別できないように一体化表示をして、ユーザーには統合表示部30の全体で表示しているように見せている。
前記表示画面1~表示画面2A、2Bは、図28の動作ステップでいうと、ST3の段階である。
この表示画面1~表示画面2A、2Bの表示時点から一定時間、例えば10秒経過すると、加熱源(加熱手段)の選択を促す表示内容に変化する(図28の動作ステップST4の段階に相当)。
そこで、次に上部ユニット100において、誘導加熱する場合について説明する。
図37は、左加熱源17HLのための左側表示部31Lと左操作部40Lを平面的に見た図である。左加熱部17HLによる調理を選択するための入力キー43L1を押さない前は、図37(A)に示した状態である。
入力キー43L1を押すと、統合制御装置MCは、左加熱源17HLをユーザーが選択したことを検知し、図37(B)に示しているように、個別発光部27L3を発光させ、操作入力を受け付けたことを表示する。
タイマー調理を選択する入力キー43L4も入力待ちの状況であるため、個別発光部27L1を点滅させる。また、制御メニューの選択も入力待ちの状況であるため、入力キー44Lの真後ろにある個別発光部27L2を点滅させる。図37(B)で、星印の図形は、発光表示部27によって点灯したこと又は点滅していることを示すものである。
誘導加熱調理時の火力段階を示す火力表示部67Lは、デフォルト火力が「3」に設定してあれば、火力3を示すまで火力表示部67Lの発光部を左側から連続して発光させ(又は青色を赤色に変更させ)、ユーザーに火力の大きさを表示する。
ユーザーがデフォルト設定の火力ではない火力に変更する場合、入力キー43L2又は43L3を押せば、1回押す毎に1段階火力が小さくなり、または大きくなり、それに応じて火力表示部67Lの発光部(又は赤色発光部)の範囲が左側から右に拡大し、又は左側へ縮小して、火力の調節状態をユーザーに表示する。
次に図38について説明する。
図38は、加熱調理器1の左操作部40Lと左側表示部31Lの動作説明図である。
図38において、左側に描いた(A)~(C)の図は、左操作部40Lと左側表示部31Lの模式図であり、操作開始前の状態を示したものは、図38(A)である。
図37で説明したように、入力キー43L1を操作すると、図38(B)に示しているように、発光表示部27L3が発光する。
図38(B)の状態では、発光表示部27L4も点灯しており、入力キー43L2と43L3の双方とも入力機能は有効であることが分かる。そこで、この左側の入力キー43L2を2回押すと火力が下がる。なお、火力の増減は、直ぐ後方にある火力表示部67Lの発光状態で分かる。
更に火力レベル1の段階で、入力キー43L2を1回押すと火力レベル1の下まで指定されたことになるが、統合制御装置MCでは、「保温」の制御モードを指定したと判断し、図38の表示画面3Aを、表示画面30Dで表示する。
表示画面30Dは、表示画面3Aから分かるように、第1エリア30Lに「鍋等の容器の図」を表示し、第2エリア30Mと第3エリア30Rは結合されて、横長の広い表示エリアになっており、その第2エリア30Mと第3エリア30Rの結合されたスペースに、「保温(左IH)」という文字を表示し、保温の温度は約80℃であることを表示している。そして、スープなどにお薦めの制御メニューであることを説明文30Fで示している。なお、この表示画面3Aの段階では、左側表示部31Lには何も表示されない。
次に、図38(B)の状態で、入力キー44Lを押すと、押す度に、制御メニュー群の中から1つの制御メニューが選択されて、表示画面3Bのように表示される。表示画面3Bの例では「揚げ物」が選択されたことを示している。この図38(B)の状態で、一定時間経過すると、左加熱部17HLの制御メニューは「揚げ物」で確定し、IHコイル17Lの駆動が開始される。
表示画面3Bのケースでは、デフォルト温度は180℃に設定されているので、左側表示部31Lには、図38に示すように「揚げ物 180℃」という文字が表示される。
この「180℃」という温度は、食用油をIHコイル17Lで加熱して、180℃近傍に維持するということであり、その180℃に到達した際には、音声合成装置95によって音声で報知され、それに加えて、この統合表示部30によって「予熱温度に到達」したことが表示され、食材の投入等が促される。
仮に、この揚げ物の予熱(目標)温度を、変更したい場合には、入力キー43L2によって温度を下げたり、入力キー43L3によって温度を上げたりすることができる。
表示画面30Dは、表示画面3Bから分かるように、第2エリア30Mと第3エリア30Rは結合されて、横長の広い表示エリアになっており、その第2エリア30Mと第3エリア30Rの結合されたスペースに、予熱の開始と、予熱動作中は、加熱調理器1の傍から離れないことの注意文30Gを表示している。
次に、図38(B)の状態で、入力キー44Lを押して、別の制御メニューとして「適温」を選択すると、表示画面3Cのように表示される。この表示画面3Cに示しているように、「適温」という制御メニューは、鍋等を設定温度(デフォルト温度は、180℃)に温めることと、玉子焼きなどにお薦めの制御モードである。このような意味が理解できるように推奨文30Hで示される。なお、この表示画面3Cの段階では、左側表示部31Lには「予熱 180℃」という文字情報が表示される。
次に図39について説明する。
図39は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作した場合の、統合表示部30の表示動作を説明した模式図である。
表示画面4STは、統合制御装置MCによって定められたデフォルト表示画面である。
図17で説明したように、入力キー43MCを操作すると、図39の表示画面4STが統合表示部30に表示される。
表示画面4STから明らかなように、第1エリア30Lの前後方向の中央には、「あたため」という制御メニューの名称を示す特定文30Jが大きく表示される。
第1エリア30Lの中央に表示された「あたため」の特定文30Jの後方には、「オーブン」という文字が、また逆に前方側には「レンジ手動」という文字が、少し小さく表示される。
そして、ユーザーが制御メニューを選択する場合、次の候補は「オーブン」と「レンジ手動」であることが分かる。仮にこの段階で、第1エリア31Lに対応した位置にある(左側)入力キー43M1を1回押すと、「あたため」という文字(特定文30J)は「レンジ手動」に変わる。
また、第1エリア31Lに対応した位置にある(右側)入力キー43M1を1回押すと、「あたため」という文字は「オーブン」に変わる。
図39において、デフォルト表示の画面である表示画面4STは、第2エリア30Mに「80℃」という目標温度情報30Tが表示される。この目標温度でマイクロ波加熱した場合には、食品の温度が80℃であると、温度センサーTS1が80℃を検知した際に、マイクロ波加熱は自動的に停止される。
この第2エリア30Mの目標温度(80℃)を上げて85℃にするためには、第2エリア30Mの直前位置にある、右側の入力キー43M2を1回操作する。逆に温度を下げて75℃にしたい場合には、左側の入力キー43M2を1回操作すれば良い。
第2エリア30Mの目標温度(80℃)の数字の上には、山型の記号30UPが表示されている。また、同じく80℃の数字の下には、下方に尖った(V字形状の)記号30DNが表示されている。
この記号30UPと、中央操作部40Mの(右側の)入力キー43M2の形状を類似させているので、温度や火力等を上げる場合には、右側の入力キー43M2を操作すれば良いことがユーザーには理解しやすい。
逆に、30DNと中央操作部40Mの(左側の)入力キー43M2の形状を類似させているので、温度や火力等を下げる場合には、左側の入力キー43M2を操作すれば良いことがユーザーには理解しやすい。この対応ルールは、第3エリア30Rの表示と左右1対の入力キー43M3との関係でも適用される。このように、ユーザーの入力操作時における操作ミス(入力キーの間違い)を避ける工夫を採用している。
図39において、30Kは、加熱源がマイクロ波加熱源189であることを文字で表示した加熱源表示部である。なお、30Pは、前記したように、おかず等の温めにお薦めの制御メニューであることを示した参考情報である。なお、この参考情報の内容は、別の付加情報30Qであっても良く、2種類以上の情報を表示画面30Dで、数秒間ずつ交互に表示しても良い。
次に図40について説明する。
図40は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作した場合の、統合表示部30の表示動作を説明した別の模式図である。
制御メニューを「レンジ手動」にした場合は、表示画面5STが、統合制御装置MCによって定められたデフォルト表示画面である。
図17と図39で説明したように、入力キー43MCを操作すると、図39の表示画面4STが統合表示部30に表示される。その次に、中央操作部40Mの左側の入力キー43M1を何回か操作した場合、特定文30Jは、「レンジ手動」に変化し、この図40の表示画面5STが統合表示部30に表示される。
表示画面5STから明らかなように、第1エリア30Lの前後方向の中央には「レンジ手動」というRG制御メニューの特定文30Jが大きく表示される。
表示画面5STにおいて、第2エリア30Mには「500W」というマイクロ波出力値(ワット値)情報30Xが表示される。また、隣接した第3エリア30Rには、「1分00秒」というマイクロ波加熱時間情報30MYが表示される。この表示画面5STから分かるように、この「レンジ手動」のRG制御メニューでは、最初からマイクロ波加熱源189を使用することが分かっているので、図39に示したような(マイクロ波加熱源189であることを文字で表示した)加熱源表示部30Kは、表示しないで良い。
この表示画面5STの第2エリア30Mのマイクロ波出力値(ワット値)500Wを、1段階下げて200Wにしたい場合には、左側の入力キー43M2を1回操作すれば良い。
同様に、第2エリア30Rの加熱時間を長くして1分10秒にするためには、第3エリア30Mの直前位置にある、右側の入力キー43M3を1回操作する。逆に加熱時間を1段階短くして50秒にしたい場合には、左側の入力キー43M3を1回操作すれば良い。
図40の表示画面5STにおいて、第2エリア30Mの出力(500W)の数字の上には、前記山型の記号30UPが表示されていない。また、同じく500Wの数字の下には、下方に尖った(V字形状の)記号30DNが表示されている。
図40における表示画面5DNNは、最小火力(100W)と最短時間(10秒間)を示したものであり、第1エリア30Lの表示内容は省略している。
この表示画面5DNNの最小火力(100W)の上側だけに、前記記号30UPが表示されており、この火力より大きな火力しか選択できないことを示している。また、同じく、最短時間(10秒)の数字の上側だけに記号30UPが表示されており、記号30DNは表示されていない。つまり、ここでも記号30UPによって、これより短い時間の選択は出来ないことを示している。
次に図41について説明する。
図41は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作した場合の、統合表示部30の表示動作を説明した更に別の模式図である。
図40で示した表示画面の状態で、第1エリア30Lに対応した左側の入力キー43M1を1回操作すると、図41に示したように、RG制御メニューは「レンジ手動」から「葉菜下ゆで」に変更できる。
図41の、表示画面6STがデフォルト表示画面である。第1エリア30Lには制御メニューの特定文(名称)30Jである「葉菜下ゆで」が大きく表示される。
第2エリア30Mには、マイクロ波出力レベルを示す情報30Vが「標準」と表示され、このまま調理スタートすると500Wで加熱されることになる。なお、この「標準」という場合のマイクロ波出力値は、500Wの場合もあるが、これ以外であっても良い。つまり、マイクロ波加熱源9を使用する場合の、火力レベルの「標準」とは、個々の制御メニューで異なり、常に同じ出力(例えば、500W)ではない。
図41の第1エリア30Lには、図39で説明したように、加熱源がマイクロ波加熱源189であることを文字で表示した加熱源表示部30Kを表示する。なお、30Pは、前記したように、おかず等の温めにお薦めの制御モードであることを示した推奨文(参考情報)である。なお、この推奨文の内容は、別の付加情報30Qであっても良く、2種類以上の情報を表示画面30Dで、数秒間ずつ交互に表示しても良い。
次に図42について説明する。
図42は、加熱調理器1の中央操作部40Mを操作した場合の、統合表示部30の表示動作を説明した更に別の模式図である。
図42は、「RG調理」というRG制御メニューを選択する場面を示したものである。
前記「RG調理」とは、前述したが、加熱室113を使用して、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理する「レンジ&グリル調理」のことである。マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。なお、ここでいう「同時」とは、加熱開始と終了の両方のタイミングが全く同じであるという意味ではなく、加熱動作が重なる時間帯のある場合も含む。
図42に示した表示画面7ST1では、最初にマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の両方を同時に駆動して1分間加熱し、その後、オーブン加熱源188だけで5分間加熱するという加熱制御(時間制御)パターンであることが分かる。
なお、「レンジ&グリル」の用語を使用せず、短縮形の「RG」を使用しているのは、第1の表示エリア30Lに表示できる文字数を最小限にするためものである。より多くの文字数を表示させようとすると、第1エリア30Lの専有面積が増えてしまうからである。
この図42に示す表示の例では、第2エリア30Mには加熱時間の情報30Sが分単位で表示され、またその後のグリル調理の加熱時間情報30GYも、分単位で表示される(但し、短い時間になった場合は、10秒単位で表示)。
これら第1エリア30Lに示された加熱時間情報30Sと、第3エリア30Rの加熱時間情報30GYは、中央操作部40Mの入力キー43M2、43M3によって、適宜変更できる。
図42において、表示画面7ST2は、最初にマイクロ波加熱源189単独で、1分間加熱(マイクロ波出力500W)し、その後、オーブン加熱源188だけで5分間加熱するという加熱制御(時間制御)パターンの場合である。この表示画面7ST2は、デフォルト表示画面である。
次に図43について説明する。
図43は、図41に示した表示画面6STの表示内容と、中央操作部40Mとの動作を説明した平面模式図である。
図43に示しているように、中央操作部40Mにおいて、個別発光部27M1~27M6を配置しており、主電源スイッチ97を投入した段階では、表示部駆動回路63によって個々の個別発光部27M1~27M4は、統一された発光色で発光する。
その後、さらには、制御メニューの選択用入力キー43MCを操作すると、第1エリア30Lには、図41に示した表示画面6STがデフォルトで表示される。
この表示段階では、第1エリア30Lと第2エリア30Mに対応している合計4つの入力キー43M1~43M2は、何れも入力を受け付けることができる。そのため、それら4つの入力キー43M1~43M2に対応する2つの個別発光部27M3、27M4は、発光を継続する。
一方、図43に示しているように表示画面6STや表示画面6UP1、6DN1等が表示された後は、スタート用の入力キー43MSと対応している個別発光部27M6は、連続発光から点滅に変化する。そして、入力キー43MSの存在を光で強調する。ユーザーがこの入力キー43MSにタッチすれば、加熱調理動作が開始される。
このように、この実施の形態1では、メニュー選択部となる入力キー43M1と、スタート選択部となる入力キー43MSの、それぞれの入力機能が有効である場合に第1の発光形態(連続発光)で個々の発光部27M1~27M6を発光させる発光手段(表示部駆動回路63)を備えている。
前記統合制御部MCは、前記参考情報30Pを表示させた場合、前記スタート選択部(入力キー43MS)に対応している発光部27M6だけを、第2の発光形態(点滅)で発光させる構成である。
上記構成であるため、加熱調理の開始指令を待っている状態が、前記発光部27M6の点滅によってユーザーは容易に識別できる。なお、発光部27M6は、マイクロ波加熱とオーブン加熱の動作を停止させることができるタッチ式入力キー43MTにも対応しているので、発光部27M6が発光している場合には、入力キー43MTも入力機能は有効であり、タッチ操作すれば、加熱停止の指令を発信できる。
なお、主電源スイッチ97を投入した段階では、表示部駆動回路63によって、スタート選択部となる入力キー43MSに対応した発光部27M6だけを、最初から点滅させるようにしても良い。また、その他の発光部27M1~27M4は、連続発光をさせ、スタート選択部の入力キー43MSとは異なる形態で発光させても良い。
(連携調理メニューの加熱調理時の基本動作)
次に、本発明の連携調理メニューについて、図44~図47を参照しながら説明する。
図44は、加熱調理器1の中央操作部40Mと統合表示部30の周辺部を示す拡大平面図である。図45は、連携調理メニューと単独調理メニューの、それぞれの入力操作と動作のステップを示す説明図である。図46は、連携調理メニューと誘導加熱源による単独調理メニューの関係を示す説明図である。また、図47は、加熱調理器の連携調理の調理工程と単独調理メニューとの関係を示す変形例の説明図である。
中央操作部40Mの入力キー43M1にタッチすると、図44に示しているように、統合表示部30の第1エリア30Lには、複数の連携調理メニューの対象となる被調理物を特定する識別情報(図形マーク、調理物の名称を含む)330が表示される。なお、この図44では、統合表示部30に表示されている連携調理メニューの数は3つである。すなわち、ハンバーグ、グラタン及びローストビーフの3つであり、このように被調理物の数に対応した数を「連携調理メニューの数」と呼ぶ。
図44において、330が識別情報であり、この実施の形態1では、被調理物(例えば、ハンバーグ)の名称を示す情報である。331は、被調理物(例えば、ハンバーグ)を加熱調理することに関してユーザーに提示された付加情報であり、この図44では、中央操作部40Mの入力キー43MSを押せば、誘導加熱が開始できることを表示している。
図44に示している通り、識別情報330の上には、別の調理物(例えば、グラタン)の名称を示す識別情報330Aが表示されている。
また、前記識別情報330の下には、別の調理物(例えば、ローストビーフ)の名称を示す識別情報330Bが表示されている。なお、以下の説明では、識別情報を総称する場合には、符号は330を用いる。
図39~図42で説明したRG制御メニューの表示の切り替えと同様に、前記した2つの入力キー43M1を操作することにより、連携調理メニューで調理できる被調理物(例えば、ハンバーグ)の名称を示す識別情報330は、順次上方向又は下方向に移動する形で表示が変化する。
この実施の形態1では、全部で被調理物の種類が10個あるため、例えば左側の入力キー43M1を10回操作すれば、全ての被調理物の識別情報330が一巡する。逆に右側の入力キー43M1を10回操作すれば、全ての被調理物の識別情報330が一巡する。これについては、図53において詳しく説明する。
以上のように、デフォルト表示は、図44に示しているように「ハンバーグ」という被調理物の名称を示す識別情報330が(第1エリア30Lの)前後方向の中央に表示された表示画面である。この状態で、前記入力キー43M1を操作すれば、別の被調理物の識別情報を中央に表示させることができる(図48のステップSR4に相当)。
目的の被調理物(例えば、ハンバーグ)の識別情報330を、第1エリア30Lの中央に表示させた状態で、入力キー43MSを押すと、その被調理物を加熱調理するための、連携調理メニューの実行指令が、統合制御装置MCに対して行われたことになる(図45のステップSR4に相当)。
前記付加情報331は、調理工程の進行に応じて変化し、また被調理物によっても変化する。この図44に示した例は、誘導加熱調理を開始するためには入力キー43MSを操作する必要があることを説明しているものである。
次に図45について説明する。
図28に示した加熱調理器の制御動作を説明するためのフローチャートにおいて、ステップST4以降の動作が、図45に示されている。
加熱手段の選択を促す表示・報知のステップ(ST4)では、右操作部40Rによって右加熱部17HRによる加熱調理を選択することができる(SP1)。また、左操作部40Lによって左加熱部17HLによる加熱調理も選択することができる(SP2)。
更に、そのステップ(ST4)では、中央操作部40Mによってマイクロ波加熱源189による加熱調理を選択できる(SS1)。また、中央操作部40Mによってオーブン加熱源188によって加熱室113を利用した加熱調理も選択できる(SS2)。
更に、そのステップ(ST4)では、中央操作部40Mの入力キー43M1を操作することにより、連携調理を選択できる(SR1)。
前述した通り、「連携調理」とは、1つの被調理物(食品、肉、野菜等を含む。以下、同じ)に対する加熱場所が異なり、かつ独立して加熱動作条件(以下、「制御条件」という)が設定可能な2種類の加熱源を使用して行う調理をいう。
この実施の形態1における「連携調理」は、1つの被調理物に対する加熱場所が、トッププレート15の上と、加熱室113の内部である。そして独立して加熱動作条件が設定可能な2種類の加熱源とは、誘導加熱源9と、マイクロ波加熱源189である。なお、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188とは同時に加熱動作するので、このオーブンオーブン加熱源188と誘導加熱源9の2者であるとも言える。
この実施の形態1における「連携調理」は、「第1の連携調理」と「第2の連携調理」の2つから構成されている。
「第1の連携調理」とは、最初に誘導加熱源9によって左加熱部17HLで加熱調理し、その後、加熱室113の内部でマイクロ波による加熱調理を行うものである。この「第1の連携調理」の調理工程、すなわち調理のシーケンスを規定するものが「第1の連携調理メニュー」(SR2A)である。
一方、「第2の連携調理」とは、最初に加熱室113の内部でマイクロ波加熱、又はオーブン加熱源188により、あるいはこれら2つの加熱源による(協働)加熱調理を行い、その後、誘導加熱源9によって左加熱部17HLで加熱調理を行うものである。この「第2の連携調理」の調理工程、すなわち調理のシーケンスを規定するものが「第2の連携調理メニュー」(SR2B)である。この「第2の連携調理メニュー」の場合、通常(デフォルト設定条件)は、最初に使用される加熱源であるマイクロ波加熱源189又はオーブン加熱源188の何れか一方又は両方について、特定の期間は前記連携調理メニュー以外のメニューに対応した動作を制限する処理を、前記統合制御装置MCが行う。
「第1の連携調理メニュー」と「第2の連携調理メニュー」の選択(SR2A、SR2B)は、ユーザーがその都度判断して選択操作を行うものではなく、連携調理メニューにて識別情報330(例えば、「ハンバーグ」という調理の名称)を選択した段階で、統合制御装置MCが自動的に選択(判別)する。
この実施の形態1では、「連携調理」メニューの実行時に使用される誘導加熱源9の加熱部は、左加熱部17HLだけである。従って、連携調理メニューの実行中も、右加熱部17HRは、連携調理とは無関係に自由に使用することができる。但し、連携調理時の消費電力と、個別に使用する右加熱部17HRの消費電力との合計値が、制限値を超えることが電力制御部72によって判明した場合には、右加熱部17HRの使用を禁止し、あるいは、火力を強制的に下げるという指令を統合制御装置MCが行う。
図45に示しているように、誘導加熱調理が開始された段階(SR5)では、ユーザーは左操作部40Lの入力キー43L2、43L3を操作して左加熱部17HLにおける火力(消費電力)を指定することができる(SR6)。また入力キー43L1を操作すれば、加熱動作を任意のタイミングで停止することもできる(SR7)。
なお、連携調理メニューにおいては、基本的に左加熱部17HLの加熱調理時間は、事前に設定されていないので、ユーザーが希望する時間だけ加熱調理できる。
入力キー43L1によって、左加熱部17HLによる加熱調理工程を終了させた場合、連携調理メニューの調理工程は次の工程に進む(図46において詳しく説明する)。
第1の連携調理の調理工程の中で、誘導加熱の工程を終えた場合には、中央操作部40Mの入力キー43MSを再度操作する必要がある(SR8)。この連携加熱調理の再開指令が行われた場合(SR9)、中央操作部40Mの入力キー43M2又は43M3を操作することにより、マイクロ波加熱時のマイクロ波出力値を増減できる場合もある(SR10)。しかし、マイクロ波出力は例えば500Wで固定されたまま調理工程が進むような調理メニューもある。
マイクロ波加熱調理を、入力キー43MTによって終了させた場合、連携調理メニューの全調理工程は終了する(SR11)。なお、連携調理メニューの調理工程ではないが、これ以降はユーザーが中央操作部40Mを操作して、(RG制御メニューにより)マイクロ波加熱調理を更に行っても良い。
引き続き図45について説明する。
図45のSS1~SS11が、中央操作部40Mによってマイクロ波加熱調理とオーブン加熱調理をする際の動作ステップを示したものである。
前述したように、中央操作部40Mの入力キー43MCを操作すれば、マイクロ波加熱とオーブン加熱のための各種制御メニュー(図25参照)が統合表示部30に表示され、入力キー43M1を押せば、1つの単独制御メニューを選択できる(SS3)。そして入力キー43MSを押せば、1つの制御メニューの実行が指令され(SS4)、「単独調理モード」の調理を開始できる(SS5)。
この実施の形態1でいう「単独調理」とは、前記した「連携調理」と区別するための用語であり、使用する加熱源が必ず単独であるという意味ではない(単独の場合もある)。
例えば、前記入力キー43MCを操作すると前記した「RG調理」というRG制御メニューが統合表示部に表示できるが、この「RG調理」は、マイクロ波加熱調理とグリル調理を組み合わたものである(被調理物に対し、マイクロ波と輻射熱による加熱が同時に行える)。この「RG調理」は、「単独調理」の1種である(RG制御メニューの1種である)。
マイクロ波加熱又はオーブン加熱の開始後に、加熱条件(例えば、加熱時間)を変更するようにしても良い(SS6)。
入力キー43MTを押せば、1つの制御メニューの実行の停止が指令され(SS7)、マイクロ波加熱又はオーブン加熱の動作が停止される(SS8)。
この直後、再度マイクロ波加熱又はオーブン加熱の動作を、同一の火力で継続したい場合、前記入力キー43MSを押せば、マイクロ波加熱又はオーブン加熱を再開できる。
引き続き図45について説明する。
図45のSP1~SP8は、右操作部40Rと左操作部40Rによって誘導加熱調理を行う際の動作ステップを示したものである。
例えば、左操作部40Lの入力キー43L1を押せば、右加熱部17HLによる加熱調理を選択することができる(SP2)。そして、入力キー43L2または43L3を操作しなくとも、一定時間後に自動的に誘導加熱制御メニューが確定する(SP3)。なお、ここでいう「誘導加熱制御メニュー」は、IH制御メニューのことである。
言い換えると、誘導加熱制御メニューは、前記入力キー43MCを操作して統合表示部30に表示される「RG制御メニュー」とは、全く別のものである。
1つの制御メニューの実行が指令され(SP4)、「単独調理モード」の調理を開始できる(SP5)。
このステップSP5でいう「単独調理」とは、前記した「連携調理」と区別するための用語であり、使用する加熱源が誘導加熱源9単独であるという意味である。
もし、誘導加熱が開始された後で、ユーザーが入力キー43R2又は43R3を操作して誘導加熱の火力の変更を指令した場合、統合制御装置MCは、加熱条件の1つである火力を変更する(SP6)。なお、この実施の形態1では、誘導加熱の開始をユーザーが指令するスイッチのボタンや入力キーを備えていないが、加熱開始の指令を与える専用のスイッチや入力キーを設けても良い。
入力キー43R1を押せば、1つの誘導加熱制御メニューの実行の停止が指令され(SP7)、誘導加熱の動作が停止される(SS8)。
次に図46について説明する。図46は、連携調理メニューと誘導加熱源による単独調理メニューの優先関係を示す説明図である。また、連携調理の際に、使用される加熱源が動作の制限を受けることを示す図である。
なお、この図46に示す連携調理メニューは、図45で説明した「第1の連携調理メニュー」である。
この事例の「第1の連携調理メニュー」は、誘導加熱源9を第1の加熱源として先に動作させ、その加熱動作終了後に、第2の加熱源としてマイクロ波加熱源189を動作させる。また、第2の加熱源と同時に、第3の加熱源としてオーブン加熱源188を動作させる、という場合である。
図46に示すように、1つの連携調理メニューは、4つの段階から構成されている。
P1は、第1の段階(準備期間)であり、連携調理メニューを実行しようと、入力キー43M1を操作してから、入力キー43MSによって加熱調理が開始されるまでの期間である。
P2は、加熱調理期間(調理工程1)である。
P3は、第1の加熱手段による調理から、第2の加熱手段の調理に切り替わるため、第1の加熱手段の動作を一旦停止し、第2の加熱手段の調理が開始されるまでの休止期間である。
P4は、第2の加熱手段(又はこれに加えて第3の加熱手段)による加熱調理期間(調理工程2)である。
この図46から明らかなように、連携調理メニューの選択をする段階、すなわち、連携調理メニューの調理の名称を示す識別情報330を統合表示部30に表示させた時点で、左加熱源17HLの左側操作部40Lは、使用できないようになる。
具体的には、左側操作部40Lの各種入力キーの内、少なくとも入力キー43L1は、統合制御装置MCによって無効化される。この「無効化」という意味は、入力キー43L1から、有効な指令信号が統合制御装置MCに発信されないという意味と、有効な指令信号が発信されても、統合制御装置MCが、その指令信号を有効な指令信号として処理しないこと、の両方の意味がある。何れにしても、左加熱部17HLを選択できないことになる。
従って、左加熱部17HLは、連携調理メニューの選択によって「占有」された状態となる。また誘導加熱源9の全体から見れば、2つの加熱部の一部分(左側)だけ使用が「制限」されたことになる。なお、右加熱部17HLを同様に占有した状態にしても良く、左右両方の加熱部17HL、17HRをそれぞれ占有した状態にしても良い。
図46に示すように、調理工程1(P2)において、誘導加熱が開始された後から、ユーザーは左側操作部40Lの入力キー43L2、43L3を操作して、火力を増大させたり、減少させたりすることができる。
また、調理工程1(P2)において、ユーザーは左側操作部40Lにおいて、入力キー43L1にタッチすれば、誘導加熱動作を即時停止することができる。
この加熱動作停止の操作を行うと、調理工程1は即時に終了する。そのため、左側操作部40Lの入力キー43L1は、統合制御装置MCに対して無効化が解除される。このため、この後で、入力キー43L1を押せば、左加熱部17HLによる加熱動作が開始できる。つまり、一旦、調理工程1(P2)の加熱動作を終了しても、その後で、追加の加熱も行うことができる。
図46に示すように、調理工程1(P2)の後において、誘導加熱した被調理物を加熱室113に移動する。なお、誘導加熱時に使用した金属皿を、そのまま加熱室113に収容してマイクロ波加熱することも可能であるが、被調理物(食品)の周囲が全て金属で覆われている場合には、内部の食品等のマイクロ波加熱できないので、蓋の無い金属容器や耐熱ガラス、磁器製の容器に移し替える必要がある。
加熱休止期間(P3)において、ドア114を閉めて、入力キー43MSを押すと、マイクロ波加熱源189のマグネトロン122で発生させたマイクロ波が、加熱室113の内部へ案内され、加熱調理期間(調理工程2)(P4)が始まる。
入力キー43MSによって開始された後は、マイクロ波加熱の制御条件は、中央操作部40Mの各種入力キー43M2、43M3を操作して、ユーザーが任意に設定できる(デフォルト値を、変更することができる)。但し、連携調理メニューが対象にしている個々の被調理物によっては、制御条件の変更が一部制限されている場合もある。例えば、マイクロ波加熱の出力は、基本的に500Wであるため、調理工程の途中では、これを増減できないような制御プログラムになっている。
図46に示すように、調理工程2(P4)の後において、マイクロ波加熱の制御条件(例えば、加熱時間)を設定しなくとも、制御プログラムにて規定された所定の時間(デフォルト時間)を経過した段階で、自動的に調理工程を終了する場合と、ユーザーが中央操作部40Mの入力キー43MTを操作して、任意の段階で終了する場合の、2つのタイプがある。
また、一旦停止させた場合でも、単独調理メニューを実施する場合と同様に、再び入力キー43MCを操作して、「レンジ手動」等の制御メニューを設定して、追加で加熱調理をすることもできる。
図46に示すように、準備期間(P1)~調理工程2(P4)の間、右加熱部17HRの使用は何ら制限を受けないので、これら調理工程の期間中に、右加熱部17HRで別の加熱調理も同時並行的に行うことができる。例えば、右操作部(右側の第1操作部)40Rを使用してIH制御メニューの中の、例えば「湯沸かし」を右加熱部17HRで行っても良い。
次に図47について説明する。図47は、連携調理メニューと誘導加熱源による単独調理メニュー(IH制御メニュー)の優先関係を示す説明図であり、図46の構成を少し変更した事例である。
図47に示すように、連携調理の際に、使用される加熱源(この場合、誘導加熱源9)が動作の制限を受ける開始時期を変更しても良い。
この図47で示した例は、連携調理メニューの選択をする段階、すなわち、連携調理メニューの調理の名称を示す識別情報330を統合表示部30に表示させた時点では、左加熱源17HLの左側操作部40Lは、単独調理メニュー(IH制御メニュー)で使用できる。
連携調理メニューの調理開始を、入力キー43MSで指令した時点で、左側操作部40Lの各種入力キーの内、少なくとも入力キー43L1は、統合制御装置MCによって無効化される。この点が図46のものと異なっている。なお、この図47における「無効化」という意味は、図46で説明したものと同じである。
次に、連携調理メニューの調理を実行する場合の、統合制御装置MCの制御動作を説明する。図48は、加熱調理器1の連携調理メニューを選択した場合の、統合制御装置MCの制御動作を示すフローチャート1である。図49は、図48に示す制御の変形例(別の連携調理メニューの場合)を示すフローチャートである。図50は、統合制御装置MCの制御動作を示すフローチャート2である。図51は、統合制御装置MCの制御動作を示すフローチャート3である。
ステップST2~ST4は、図28の説明の際に説明したので、簡単に説明する。
ステップST2は、IH制御部90が、異常の有無を判定するステップである。
ステップST3は、異常が発見されない場合、IH制御部90が、統合制御装置MCに信号送信する段階である。
ステップST3の段階で、統合表示部30が起動され、「異常がないので、調理を開始できること」旨を表示する。
ステップST4では、統合制御装置MCが、統合表示部30と音声合成装置95によって、加熱手段の選択を促すための報知と、音声ガイドを行う。
このステップST4では、統合表示部30には、初期画面が表示され、また注意情報の表示も行われる。
そして、入力キー43M1が操作されずに、個別操作部である左操作部40L又は右操作部40Rによる、個別加熱調理が選択されたかどうかを判別する(STC)。
一定の猶予時間(例えば30秒間)内に入力キー43MCの操作が行われた場合には、前述したように「制御メニュー」の表示が開始される。
一方、入力キー43MCの操作が行われず、入力キー43M1がタッチ操作された場合には、ステップSTCは「Yes」の判定となり、ステップSTR2に進む。
ステップSTCが「No」であった場合には、図28で説明したステップST5に進む。
ステップSTR1では、連携調理メニューで使用される加熱源の使用状態についてチェックをする。
図48においては、連携調理メニューで使用される加熱源は、最初が誘導加熱源9の左加熱部17HLであり、その次に使用される加熱源は、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188である。
ステップSTR1では、最初に使用する予定の誘導加熱源9の左加熱部17HLが使用されているかどうかを判定する。このステップSTR1の段階で、別の調理のために左加熱部17HLが仮に使用されていることが判明した場合、ステップSTR1は「Yes」となり、統合表示部30において、連携調理メニューは(左加熱部が使用されているため)実施できない旨を表示する(STR2)。そしてステップST4に戻る。
一方、左加熱部17HLが使用されていない場合、ステップSTR1は「No」となり、統合表示部30において、連携調理のステップを解説する表示を行う(STR3)。例えば、左加熱部17HLにおいて誘導加熱し、その後、左加熱部17HLを停止した後、加熱室113の内部へ被調理物を移動させて、加熱室113の内部で加熱調理するという調理工程を、文字や図形等の表示部332で示す(図56、図58参照)。なお、この調理工程の表示部332は、工程の進捗に合わせて適宜更新された形態で、連携調理の期間中、表示が継続される。
次のステップSTR4では、図44に示したように統合表示部30において、連携調理メニューの情報を表示する。図44に示したように、個々の連携調理メニューの識別情報の1種として「調理物の名称」(例えば、「ハンバーグ」)を表示する。
次のステップSTR5では、入力キー43M1が操作されたかどうかを判定する。図44で説明した通り、前記した2つの入力キー43M1を操作することにより、連携調理メニューで調理できる被調理物(例えば、ハンバーグ)の名称を示す識別情報330は、順次上方向又は下方向に移動する形で表示が変化する。この実施の形態1では、全部で被調理物の種類が10個あるため、例えば左側の入力キー43M1を1回操作すれば、識別情報330は「ハンバーグ」から「グラタン」に切り替わる(STR4)。
入力キー43M1の操作がなければ、ステップSTR5は「Yes」と判定され、次のステップSTR6に進む。
ステップSTR6~STR7は、前述した図44では説明していないが、第2エリア30M又は第3エリア30Rの中に何らかの選択できる制御条件の情報(例えば、加熱時間)が表示された場合に、その表示内容を選択するためのステップである。
もし、何らかの制御条件の情報が表示された場合には、上記入力キー43M2と43M3の操作を受けて、ステップSTR4に戻り、表示内容が更新される。
ステップSTR8では、連携調理メニューの選択を取り消すための入力操作がされたかどうかを判定する。入力キー43MTが操作された場合には、「No」と判定され、ステップST4に戻る。
一方、入力キー43MTが操作されていない場合には、「Yes」と判定され、次のステップSTR9に進む。
入力キー43MSが操作された場合、動作プログラム通り、誘導加熱源9の左加熱部17HLの動作開始のモードに進み、左側表示部31Lが起動され、その左側表示部31Lには、必要な制御条件の情報、例えば予熱温度を示す情報が「適温 180℃」のように表示される。そして、誘導加熱調理が開始される。入力キー43MSが操作されていない場合には、「No」と判定され、ステップSTR4に戻る。
次に図49について説明する。
図49の制御形態は、図48の(第1の)連携調理メニューとは別の(第2の)連携調理メニューの場合である。この図49の連携調理メニューで使用される加熱源は2つあり、最初に使用されるのはマイクロ波加熱源189であり、その次に使用される加熱源は、誘導加熱源9の左加熱部17HLである。この図49の制御形態が図48のものと異なっている部分は、ステップSTR11である。
前述したRG制御メニュー「あたため」(レンジ自動)では、非接触(赤外線)温度計測部158が加熱室113内の被調理物の温度や加熱室113壁面温度を検知して、「目標温度」に到達した段階で自動的にマイクロ波の発振を停止する。そのため、以前行った調理時の熱が加熱室113の内部に残っていて温度が最初から高い場合には、マイクロ波加熱を自動で行うことを統合制御装置MCで禁止している。なお、ここでいう「目標温度」のデフォルト値は80℃であるが、これを中央操作部40Mによって更に高温側に設定したり、低温側に設定したりすることができる。
ステップSTR11は、そのように加熱室113の温度が基準温度(例えば70℃)よりも高い場合には、温度計測部158が早期に高温度を検知し、加熱調理が不完全な状態でマイクロ波加熱を停止してしまう懸念がある。
そこで、この図49に示す制御では、加熱室113の温度が基準温度を超過している場合には、その時点で連携調理が実行できないことを、左側表示部31Lで表示する(STR2)。さらには、統合表示部30でも表示しても良い。また、音声合成装置95によって音声で報知すると更に確実である。
このようにして、連携調理メニューの選択段階で、最初に使用する加熱源(この場合は、マイクロ波加熱源189)が、使用できないことをユーザーに報知することができる。
なお、ステップSTR2の段階で、加熱室113の温度が高すぎて調理開始できないことを表示又は報知する際に、ドア114を開ければ加熱室113の温度が早く下がることなど、ユーザー側に有益な情報を合わせて伝えるようにしても良い。
図50は、連携調理メニューの実行途中において、左加熱部17HLを使用する場合の、統合制御装置MCの制御動作を示すフローチャートである。
この図50の実施の形態1においては、連携調理メニューで使用される加熱源は、図48で説明したように、最初が誘導加熱源9の左加熱部17HLであり、その次に使用される加熱源は、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188である。
上記連携調理メニューの調理工程が、既にマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の加熱段階に進んでいる段階で、ユーザーが別の調理を行うため、左加熱部17HLを使用したいと思って、左操作部40Lを操作した場合、その操作信号を統合制御装置MCが受信する(ステップSH1)。
次のステップSH2では、ユーザーの入力操作結果を分析し、所定の禁止された制御メニュー(以下、「禁止制御メニュー」という)に該当した内容であるかどうかを判定する。
「禁止制御メニュー」とは、使用する(調理に必要な)電力量のことを考慮して事前に決めてあり、例えば、図35で説明した「(自動)揚げ物」と、炊飯の2つが指定されている。
(自動)揚げ物と炊飯の何れも、調理工程の中で大きな電力を使用する場面が想定される制御方法を採用するため、その電力の確保のために、連携調理メニューの実行中の加熱源(マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188)の電力供給に支障が出る懸念がある。
以上のような理由から、ステップSH2では「禁止制御メニュー」に該当しないかどうかの判定が行われる。言い換えると許可された制御メニュー(例えば、「湯沸かし」)であるかどうかのチェックが行われる。
ステップSH2で「No」の判定を受けると、ステップSH8に進み、左加熱部17HLの不許可処理が行われる。具体的には、左側表示部31Lにおいて使用できないことの表示が行われ、また音声合成装置95によって音声で報知される。
一方、ステップSH2で「Yes」の判定を受けると、ステップSH3に進み、左加熱部17HLを使用した場合の最大電力量と、連携調理中の加熱源(マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188)の電力量との合計値を、電力制御部72によって判定させ、許容された最大電力値を超えるような場合には、この段階で、最大電力値を制限して左加熱部17HLの使用を許可する。
なお、連携調理メニューの調理を実行中である加熱源の状態から、左加熱部17HLで使用する電力(誘導加熱の火力)を下げることでも、許容された総電力量を超えてしまう場合には、前記したステップSH8に進み、左加熱部17HLの不許可処理が行われる。具体的には、左側表示部31Lにおいて使用できないことの表示が行われ、また音声合成装置95によって音声で報知される。使用できない理由は、音声合成装置95でも報知される。
ステップSH3で「Yes」の判定を受けると、ステップSH4に進み、左加熱部17HLのIHコイル17Lの駆動形態が自動的に決定し、ユーザーが設定した火力値又はIH制御部90が選定した火力値等が決定される。
次にインバーター回路81Lの駆動が開始され、誘導加熱調理が開始される(SH5)。この後、ユーザーからの停止指令が入力キー43L1であるかどうかの監視が行われ(SH6)、停止指令を受けた場合には、即時に誘導加熱動作を停止する。そして、左側表示部31Lで、調理の終了が表示される。また、音声合成装置95によって音声で調理終了が報知される(SH7)。
図51は、1つの連携調理メニューの調理工程で、最初に使用した加熱源の加熱を終えた段階で、追加の加熱を行う場合の、統合制御装置MCの制御動作を示すフローチャートである。
この図51に示した制御は、連携調理メニューで、2番目に使用されるマイクロ波加熱源189を、ユーザーが設定した時間(例えば、5分間)だけ駆動する調理の場合である。説明の都合上、オーブン加熱源188の動作については省略する。
この図51の実施の形態1においては、連携調理メニューで使用される加熱源は、図48で説明したように、最初が誘導加熱源9の左加熱部17HLであり、その次に使用される加熱源は、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188である。
ユーザーが、図48で説明した1つの連携調理メニューによる調理を行うため、マイクロ波加熱源189を使用する場面について説明する。
左加熱部17HLでの調理工程を終えたあと、次に中央操作部40Mの入力キー43MSを操作した場合、その操作信号を統合制御装置MCが受信する(ステップSJ1)。
次のステップSH2では、インバーター回路121Aの駆動が開始され(SJ2)、タイマー調理(この場合、5分間)の設定時間の計測を開始する(SJ3)。
マイクロ波加熱の出力値は、デフォルト値のまま(500W)であるが、ユーザーが中央操作部40Mを操作して、火力の変更もできる(SJ4、SJ5)。
一方、オーブン加熱源188を構成する上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bは、加熱室制御部159によって通電が開始される。
この実施の形態1では、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの通電開始は、マイクロ波加熱源189のマグネトロン122の発振動作開始と同時である。
そして、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bは、前記マグネトロン122の発振中に通電が行われる。言い換えると、被調理物は、マイクロ波と電気輻射熱によって同時に加熱される。
以上の通り、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの通電期間は、マイクロ波加熱期間と同一であるので、以下の説明では、マイクロ波の加熱時間だけについて説明し、上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの加熱時間の説明を省略する。
ステップSJ6では、加熱停止を指令する入力キー43MTが操作された場合(SJ6)、インバーター回路121Aの駆動を停止し、時間計測もリセットされる(SJ7)。
加熱停止を指令する入力キー43MTが操作されない場合、タイマー調理の設定時間内に、ステップSJ4~SJ6、SJ10が繰り返し行われる。タイマー調理の設定時間が経過した場合、ステップSJ7に進む。
ステップSJ8では、一旦停止したマイクロ波加熱調理を、更に所定時間又はユーザーが指定した時間だけ実行するかどうか、ユーザーに判断してもらうための表示を行う。具体的には、統合表示部30に、例えば「時間を延長して加熱しますか? 延長する場合、時間キーを押して下さい」のように文字で表示する。
このような延長を認めている理由は、被調理物の加熱状態を見た結果、まだ加熱が不足しているとユーザーが判断した場合、迅速に加熱(この場合、マイクロ波加熱と電気輻射式加熱)を再開し、被調理物をより良好な状態に仕上げるためである。
ユーザーが中央操作部40Mの入力キー43MSを押した場合、その操作信号があったことをステップSJ9で判定し、操作信号があった場合には「Yes」の判定を行う。
そしてステップSJ3に戻る。なお、入力キー43MSを押す前に、入力キー43M3を1回操作した場合には、固定時間(例えば3分間)だけ調理時間が延長される設定、又は入力キー43M3を1回押したら3分間、2回続けて押したら5分間のように、プログラムを設定しても良い。また、再度加熱調理が開始されても、入力キー43MTを押せば、即時に加熱動作を停止できる。
一方、ユーザーが中央操作部40Mの入力キー43MSを押さない場合(例えば、「保留時間:15秒」以内に押さない場合)、ステップSJ11に進み、連携調理メニューの最終調理工程の動作を終了する。そして、その旨、統合表示部30で表示し、また音声合成装置95でも報知動作をする(SJ11)。なお、ステップSJ8からドア114の開放が1回も行われず、前記保留時間を経過した場合には、音声合成装置95で警報を出して、ユーザーに注意喚起しても良い。
前記統合制御装置MCは、連携調理メニューの調理工程を終えた場合、前記マイクロ波加熱源9と前記マイクロ加熱源及びオーブン加熱源188が動作した制御条件を、前記記憶装置MMに時系列で自動的に記憶する(この記憶時に、調理工程の終了日時が同時に記録される)。そして、その後、中央操作部40Mから、所定の指令信号を受けた場合、その記憶した直前の連携調理メニューと制御条件を前記記憶装置から呼び出して統合表示部30に表示させ、次の連携調理メニューの実施に利用する再現機能を有している。なお、直前の1回の連携調理メニューだけではなく、過去数回又は一定の期間(例えば、1ケ月)における全ての調理履歴を(調理実施日時の情報も含めて)呼び出し、その中から所望のものをユーザーが選択するという構成にしても良い。入力キー43KPを押して、「機能モード」に切り替えれば、ユーザーが調理履歴の再現性について設定できる。
なお、上述したように、RG調理工程の開始によってオーブン加熱源189についても通電が開始されているため、統合表示部30には、このオーブン加熱源189単独での加熱時間の延長を行うかどうかの情報を表示しない。しかしながら、最初にマイクロ波加熱源189を動作させ、その後オーブン加熱源188を動作させるシーケンスである場合には、あるいはこの逆の順番で動作させる場合には、マイクロ波加熱の時間延長とオーブン加熱源188の時間延長を、別々に設定できるようにしても良い。
(連携調理時の表示と入力操作部)
次に図52~図65について説明する。
これら図面は、連携調理メニューを選択した場合の、入力操作部40と表示部(統合表示部30・左側表示部31L)の制御動作を示すものである。
図52は、連携調理メニューを選択した場合の、入力操作部40と表示部(統合表示部30・左側表示部31L)の制御動作を示す平面図である。
図中、符号FGは、ユーザーの指先である。
中央操作部40Mの入力キー43M1を押すと、統合表示部30には図52に示すように、3つの連携調理メニューの識別情報330、330A、330Bとして、被調理物の名称の「ハンバーグ」、「グラタン」、「ローストビーフ」の3つの識別情報330、330A、330Bが同時に表示される。
また、それらの識別情報330の右側には、付加情報331が表示されている。この図52の例では、前記付加情報は「左加熱部17HLにおいて誘導加熱が開始できること」を表示したものである。
入力キー43MSと近接している個別発光部27M6は、図52に破線の円で示すように点滅しており、ユーザーにこの入力キー43MSを操作するように誘導している。
一方、連携調理メニューにおいて最初に使用される加熱源が、誘導加熱源9であり、その左加熱部17HLである場合には、この図52に示すように、発光表示部27L3が発光する。そして、入力キー43MSを操作すると、左側加熱部17HLでの加熱調理が実行されることを示している。
同時に、左加熱部17HLにおける誘導加熱調理時の火力段階を示す火力表示部67Lが点灯する(点灯する火力表示部の数は、デフォルト値によって決まっている)。
仮に、連携調理メニューを実行中に、この左加熱部17HLを個別に使用する場合、前記したように統合制御装置MCによって左加熱部17HLの動作が制限されている場合には、図52に示しているような、発光表示部27L3の発光もない。また火力表示部67Lも点灯していない。
更に上記のように、左加熱部17HLが一時的に使用できないことは、統合表示部30によって表示される。例えば、「連携調理中のため、左IHは使えません」という表示や、「連携調理中のため、左IHと加熱室は現在使えません」という表示がされる。
以上の説明から明らかなように、連携調理メニューの実行を開始させる操作部(入力キー43MS)は、トッププレート15の上面において左右の中央部であるため、ユーザーの目線は自然と中央へ集まる。そして、連携調理メニューの選択や、調理開始までの誘導表示も中央部の統合表示部30で集中して行っている。
更に、最初の加熱源である左加熱部17HLの調理工程を終えた段階で、次の加熱源に進むための入力キー43MSも、中央操作部40Mにある。
つまり、連携調理メニューの選定、最初の調理工程の開始、次の調理工程の開始という主要な入力操作は、全て加熱調理器1の前方の左右中央部(中央操作部40M)で集中して行える。
次に図53について説明する。
図53は、加熱調理器1の連携調理メニューを選択した場合の、中央操作部40Mと統合表示部の動作と表示内容を示す平面図である。
中央操作部40Mの一対の入力キー43M1の内、左側の入力キー43M1を押すと、統合表示部30には図53(B)に示すように、3つの連携調理メニューの識別情報330、330A、330Bとして、被調理物の名称の「ハンバーグ」、「グラタン」、「ローストビーフ」の3つが同時に表示される(表示画面8A)。
また、それらの識別情報330、330A、330Bの右側には、付加情報331が表示されている。この図52の例では、前記付加情報331は「左加熱部17HLにおいて誘導加熱が開始できること」を表示している。
左側の入力キー43M1を、更に1回押すと、統合表示部30の第1エリア30Lの中央に表示されていた被調理物の名称(ハンバーグ)が後方に移動し、代わりに前方に表示されていた「ローストビーフ」の識別情報が中央部に表示される(表示画面8B)。
左側の入力キー43M1を、以上のように1回押す度に、統合表示部30の第1エリア30Lに表示される(被調理物の名称を示す)識別情報330は、1つずつ一定の順番で更新される。
図53の左側の入力キー43M1を押した例であったが、逆に右側の入力キー43M1を押した場合には、1回押す度に図53(B)の表示画面8Dから表示画面8Cへ、というように逆回りで選択されることになる。
次に図54について説明する。
図54は、加熱調理器1の連携調理メニューを選択した場合の、入力操作部40、統合表示部30、左側表示部31Lの制御動作と表示内容を示す平面図である。
中央操作部40Mの入力キー43M1を押し、統合表示部30には図52と図53に示したように、3つの連携調理メニューの識別情報330を表示させた状態で、入力キー43MSを押すと、図54に示しているように、前記統合表示部30の第1エリア30Lの前後方向中央に表示されていた「ハンバーグ」の識別情報300と、付加情報331及び調理工程の表示部(調理工程情報部)332が、統合表示部30に一覧状態で表示される。
統合表示部30に連携調理メニューの識別情報330を表示させた時点(図46参照)又は入力キー43MSを押した時点(図47参照)で、左加熱部17HLは、連携調理メニューの実行のために占有状態となる。
具体的には、図54に示すように、左加熱部17HLを選定する入力キー43L1は、既に押された状態となり、また左側表示部31Lには、「適温 180℃」という温度が表示される。
そこで、ユーザーは、フライパン等の被加熱物Nを左加熱部17HLの上方に置く。すると誘導加熱が自動的に開始される。
前記「適温 180℃」は、この場合の被調理物である「ハンバーグ」を入れる容器である金属鍋やフライパン等の被加熱物N(図示せず)を予熱する温度が180℃であるという意味である。つまり、IH制御部90は、インバーター回路81Lと温度検出回路93等の働きにより、被加熱物N(図示せず)の底面部の温度が180℃になるように自動で火力レベルを制御する。
前記予熱温度の上昇と共に、誘導加熱調理時の火力段階を示すための火力表示部67Lは、火力レベルを表示するのではなく、予熱温度の上昇度合いと、目標の予熱温度までの到達度合い(接近度合い)を表示する機能を発揮する。
図54で破線の円で示すものは、現時点の温度の範囲を示すものであり、温度が上昇するに伴って順次右側へ移動していく。詳しくは図55で説明する。
付加情報331では、図54に示しているように「設定温度になるとお知らせします」と表示する。
一方調理工程の表示部(調理工程情報部)332は、統合表示部30の第2エリアと第3エリアを横に横断するように帯状に文字で表示される。
図54の調理工程の表示部332から分かるように、ハンバーグを連携調理する場合には、誘導加熱源9により予熱工程を行い、次に調理工程1、最後にはレンジグリル加熱(RG加熱)を行う調理工程2である。
この図54に示しているように、連携調理メニューを開始する瞬間まではユーザーの指先FGと目線は、入力キー43MSを操作するために、統合表示部30の右前方、言い換えると中央操作部40Mにある。
その後、ユーザーの目線は、矢印で示すように左加熱部17HLの方に移る。つまり、加熱すべき被調理物を収容した被加熱物N(図示せず)を左加熱部17HLの上方に置く際に、左方向に移動する。
連携調理メニューを開始した後は、図54の中に横に長く大きな矢印で示しているように、中央部から左側にユーザーの目線や体が移動することになる。しかし、この左方向への動きは大きなものではなく、ユーザー自身に移動の負担を掛ける程でもない。
次に図55について説明する。
図55は、連携調理メニューを選択した場合の、左側操作部40Lと左側表示部31Lの制御動作を示す平面図であり、予熱温度の変化を時系列で表示している。
図55の(A)は、左側の火力表示部67Lの部分を示したものである。図55で破線の円で示すものは、現時点の温度の範囲を示すものである。例えば、目標の予熱温度が180℃である場合、誘導加熱の調理工程の最初から、図に示すように4つの火力表示部67Lが発光している。最も左側の発光部は、破線の円で示すように点滅している。この点滅状態は、現在の温度のレベルを示すものである。
予熱温度が上昇するに伴って、現在温度は上昇するから、上記した「点滅部分」の位置は順次右側へ移動していく。そして予熱温度に到達した場合には、点滅部分はなくなる。
一方、図55の(B)に示すように、誘導加熱の調理工程が始まった初期には、左側操作部40Lの入力キー43L2と43L3の何れかを操作すれば、前記した予熱温度の目標値を変更できる。
例えば、図55の(B)に示すように左側の入力キー43L2を1回押す度に、1段階ずつ予熱温度を下げることができる。逆に右側の入力キー43L3を1回押す度に、1段階ずつ予熱温度を上げることができる。このように、予熱温度を変更する過程は、図55の(C)に示すように、その都度左側表示部31Lに表示されるので、ユーザーがこの表示内容を容易に確認できる。
次に図56について説明する。
図56は、連携調理メニューを選択した場合の、左操作部40Lと左側表示部31Lの制御動作を示す平面図である。
左側加熱部17Lの上に置いた被加熱物N(図示せず)が、設定された予熱温度になると、図56に示すように火力表示部67Lの点滅はなくなる。
このように予熱温度まで加熱されると、統合表示部30には図56に示しているように、付加情報331では予熱が終わったことを表示する。
また、調理工程の表示部(調理工程情報部)332は、表示内容が変化する。具体的には、IH予熱という表示から次の調理工程の「IH加熱」の段階が白抜き文字で表示される。
これらの情報から、ユーザーは誘導加熱を本格的に実施する段階になったことが容易に理解できる。つまり、左加熱部17HLの上に置いたフライパン等の被加熱物が、被調理物を加熱するのに適する温度になった段階であることが分かる。
左側操作部40Lの1対の入力キー43L2、43L3は、左加熱部17HLにおける火力(消費電力)を指定する機能がある。そのため、予熱工程から本格的な加熱工程(調理工程1)への移行にあたり、これら入力キー43L2、43L3を1回タッチする度に、規定されている火力値のデータテーブルの中で、1段階上げた火力を選択し、又は1段階下げた特定の火力を選択できる。これにより、誘導加熱する際の被加熱物の温度を上げたり、下げたりすることがユーザーは自由に行える。
次に図57について説明する。
図57は、連携調理メニューを選択した場合の、統合表示部の表示内容の変化を示す説明図である。
図57の(A)に示したように予熱工程が終わった段階で、統合表示部30は、ユーザーに対して、調理工程1(本格的な誘導加熱)が始まったことを表示し、また、その調理工程1は、図57の(B)に示すように、左側操作部40Lの入力キー43L1を押せば、随時停止させることができる。
この図57の(A)と(B)の表示の切り替えは、例えば5秒間隔で自動的に繰り返し行われる。そして、本格的な誘導加熱の調理工程1が開始された後は、図57の(B)だけの表示となる。
図58は、連携調理メニューを選択した場合の、統合表示部30の表示内容を示す平面図である。図57の表示内容とは少し変化させてあり、付加情報331の中に予熱温度値(例えば、180℃)を含めている点が図57と異なる。図57(A)に示す表示内容は、この図58のように変更しても良い。
図57と図57の状態において、仮に入力キー43MCを操作しても、統合表示部30には、「レンジ手動」や「レンジ自動」等を含む制御メニューは表示できない。この段階で連携調理メニューを中止するには、入力キー43MTを押すことが必要である。言い換えると、左側操作部40Lの入力キー43L1を押しても、最初に使用する左側加熱部17HLの調理工程1を終了できるだけであり、連携調理メニューの設定を全部解除(取り消し)したことにはならない。
次に図59について説明する。
図58は、連携調理メニューを選択した場合において、誘導加熱の調理工程1が未だ完了していない段階であった。
図59は、誘導加熱の調理工程1をユーザーが左操作部40Lの入力キー43L1で終了させた場面を示している。すでに加熱動作が終了しているので、火力表示部67Lは、何も発光していない。
一方、統合表示部30において、調理工程情報(調理工程情報部)332により、「レンジ&グリル調理」(RG調理)の段階まで進んでいることを表示する。具体的には、IH加熱という白抜きの表示から、最終の調理工程2であるRG調理の段階に進んだことを、白抜き文字で表示する。
これらの情報から、ユーザーはマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188を組みわせた調理工程2を実施する段階になったことが容易に理解される。
連携調理メニューのRG調理工程(調理工程2)を開始する指令も、中央操作部40Mの入力キー43MSで行う必要がある。このため、図59に示しているように、入力キー43MSと対応した個別発光部27M6は、点滅状態になり、ユーザーに対して入力キー43MSの操作を促す。
一方、図59の段階は、誘導加熱の調理工程1をユーザー自身が左側操作部40Lの入力キー43L1で終了させた後であるから、左加熱部17HLの占有状況は解除されている。そのため、左側操作部40Lの入力キー43L1を操作すれば、左加熱部17HLを、連携調理メニューとは別の調理メニューの実施のために使用開始できる。つまり、この段階では、IH制御メニューによる調理を左操作部17HLで入力して、調理開始できる。
次に図60について説明する。
図60は、連携調理メニューを選択した場合において、「レンジ&グリル調理」(RG調理)の段階に進んでいる際に、マイクロ波加熱の出力レベルを調節できることを示している。
具体的には、統合表示部30の第2エリア30Mにマイクロ波加熱の出力レベルが、「やや弱め」、「弱め」等のように5段階で表示される。この表示情報は、図44で説明した「マイクロ波出力レベルを示す情報30V」と同じものである。このため、一対の入力キー43M2を操作すれば、マイクロ波加熱の出力レベルをユーザーが選択できる。
次に図61について説明する。
図61は、図60と同様に、連携調理メニューを選択した場合において、「レンジ&グリル調理」(RG調理)の段階に進んだ際に、マイクロ波加熱の出力レベルを調節できることを示している。
図61の(B)で示すように、統合表示部30の第2エリア30Mにマイクロ波加熱の出力レベルが、「強め」~「弱め」まで合計5段階で表示される。このようなマイクロ波出力レベルは、入力キー43M2を操作してユーザーが選択できる。
このため、最終工程(調理工程2)となるRG調理工程において、ユーザーが被調理物の仕上り状態に応じて加熱強度を調整することができる。
この図61で説明した最終の調理工程2では、ユーザーの操作や目線は、統合表示部30と中央操作部40Mの範囲に集中する。このため、ユーザーは、加熱調理器1の正面中央部に居て、調理工程2の終了に集中できる。
調理工程2の途中で、加熱室113の内部の被調理物を加熱室113の中から取り出して直接確認したい場合には、ドア114をユーザーは任意のタイミングで開ければ良い。ドア114を開けた場合、ドア開閉検知機構131の働きで瞬時にマイクロ波の発信が停止し、また上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bの通電も停止される。
ドア114を再び閉めて、再度入力キー43MSを押せば、再びマイクロ波加熱が瞬時に開始される。なお、ドア114を上記のように調理工程2の途中で開けた場合、前記第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の運転は、継続したままである。
次に図62について説明する。
図62は、図61の調理工程2の後の最終段階における操作と統合表示部30の表示内容を示す説明図である。
加熱調理の最終工程(調理工程2)となるRG調理工程を、ユーザーが任意で終了させる場合には、入力キー43MTを操作する。これを押すと、連携調理メニューの一連の制御シーケンスは取り消される。そのため、このように一旦、停止させたあと、再びマイクロ波加熱又はオーブン加熱を行うには、中央操作部40Mで加熱源を選択して再度入力キー43MSを押すという操作が必要になる。
そこで、この実施の形態1では、追加の加熱を簡単に行えるように、RG調理を終了させた場合には、一定の時間内に、再度入力キー43MSを押せば、再びマイクロ波加熱が瞬時に開始されるようにした。
ユーザーが、加熱調理の最終工程となるRG調理工程を終了するタイミングを知ることができるように、図62の(B)に示すように、表示画面10Aの後で、表示画面10Bを表示する。そして、RG調理工程が間もなく終了することを表示させる構成にしている。
この表示画面10Bは、加熱室113の内部の温度上昇の推移を温度検出回路93が検出し、被調理物である食品等の負荷を判定し、終了できるまでの到達時間を統合制御装置MCが予測する処理を行って、その結果として表示される。
なお、被調理物や加熱室113の温度上昇を検知して調理の仕上がり時期を予測するのではなく、ユーザーが事前にタイマー設定して、時間制御により調理工程2を終えるようにしても良い。この場合は、上記したような負荷判定は必要ない。
図62の(B)の表示画面10Cは、調理工程2を終了した直後から一定時間(例えば、30秒間。但し、ドア114を開けた場合には15秒間)内に、再度加熱を開始できることを示した例である。
この表示画面10Cでいう「時間ボタン」とは、入力キー43M3のことである。なお、加熱室113は、この直前までの調理で高温になっているので、「グリル高温注意」等の付加情報331を表示しており、ユーザーの安全性を高めている。
実施の形態1の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1のビルトイン式複合型加熱調理器は、第1の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
第1の加熱手段である誘導加熱源9と、
前記誘導加熱源9と離れた場所にある第2の加熱手段であるマイクロ波加熱源189と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、
表示手段である統合表示部30と、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を使用して複数の被調理物を個別に調理するための連携調理メニューを有し、
前記統合制御装置MCは、前記連携調理メニューの少なくとも1つを前記統合表示部30に選択可能に表示させて、1つの連携調理メニューの選択が行われた場合、先に使用する前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の何れか一方について、特定の期間は前記連携調理メニュー以外のメニューに対応した動作を制限する構成であった。
この構成であるため、誘導加熱源9やマイクロ波加熱源189等の複数の加熱源を効果的に利用できる加熱調理器を提供できる。
また、連携調理メニューを実行できるため、各種の加熱調理に幅広く対応でき、しかも、連携調理メニューに使用する加熱源を優先的に使用できるので、ユーザーの操作性を損なうことがなく、利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
また、先に使用する誘導加熱源9又はマイクロ波加熱源189が、連携調理メニュー以外のメニューに対応した動作をしないように、その動作を制限する「特定の期間」は、前記連携調理メニューの1つを選択した時点又は当該連携調理メニューの実行を指示したときから開始される構成であった。
このため、連携調理メニューの実行に伴って、必要な加熱源を確実に確保することができる。
前記「特定の期間」は、前記誘導加熱源9又はマイクロ波加熱源189の内、先に加熱調理動作を開始した加熱手段が、加熱調理動作を停止したときに終了する期間である構成であった。
このため、先に加熱調理動作を開始した加熱手段が、加熱調理動作を停止したタイミングで自動的に加熱源の動作制限を解除できる。
更に、前記連携調理メニューは、互いに異なる識別情報(被調理物の名称)で被調理物を識別できるように、前記統合表示部30において表示され、
前記統合制御装置MCは、前記識別情報の1つを、ユーザーによって選択されるまで前記統合表示部30で表示する待機段階と、この待機段階において、1つの前記識別情報を選択する指令を受け、又は前記連携調理メニューでの調理開始の指令を受ける受付段階と、前記誘導加熱源9又はマイクロ波加熱源189の何れかを先に動作させて加熱調理を実行する制御段階と、を順次行う構成であった。
このため、識別情報によって目的の被調理物の連携調理メニューを、統合表示部30に表示させて、希望する連携調理メニューをユーザーが容易に選定できる。これにより、ユーザーの操作性を向上させることが期待できる。
更に、前記誘導加熱源9又はマイクロ波加熱源189の内、先に加熱調理動作を開始した加熱手段の調理工程1が終了した場合、別の加熱手段による次の調理工程2に移行できることが、前記統合表示部30によって表示される構成であった。
このため、ユーザーは統合表示部30の表示によって次の調理工程2への移行を知ることができ、ユーザーの操作性向上や誤認の解消を図ることが期待できる。
更に、前記連携調理メニュー以外のメニューを実行する場合、前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9又はマイクロ波加熱源189の加熱調理が開始される前の段階で、各加熱手段のRG制御メニューと、個々の当該RG制御メニューに適用できる制御条件とを、前記統合表示部の第1エリア30L~第3エリア30Rにおいて、それぞれ表示する構成であった。
このため、ユーザーは誘導加熱源9又はマイクロ波加熱源189の加熱調理が開始される前の段階で、各加熱手段のRG制御メニューと、個々のRG制御メニューに適用できる制御条件とを、前記統合表示部30によって確認でき、ユーザーの操作性を向上させることが期待できる。
更に、前記統合制御装置MCに指令を与える入力操作部40と、前記統合制御装置MCの動作プログラムを格納した不揮発性の記憶装置MMと、を備え、
前記記憶装置MMには、前記連携調理メニューの連携動作プログラムが記憶されている構成である。
このため、記憶装置MMに格納した連携動作プログラムを活用して、連携調理メニューを実行することができる。
更に、前記記憶装置MMには、図26で説明したように、前記誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189の制御に利用するための、複数の異なる種類別のRG制御メニュー(図25参照)のデータを、更に記憶させてあり、
前記入力操作部40を操作して、前記RG制御メニューを前記統合表示部30に表示させる構成であった。
このため、入力操作部40の操作により、RG制御メニューを随時確認でき、複数の加熱源を使用するRG制御メニューの選択の間違いを無くすことが期待できる。
更に、前記統合制御装置MCは、連携調理メニュー又はこれ以外のメニューの調理工程を終えた場合、前記誘導加熱源9又はマイクロ波加熱源18による調理に適用するためユーザーが入力した制御条件を前記記憶装置MMに自動的に記憶し(格納し)、その後、再び加熱調理を開始する場合には、直前に記憶させた前記制御条件(例えば、火力値や加熱時間)を再現する機能を備えた構成である。
このため、前記誘導加熱源9又はマイクロ波加熱源18による調理を開始する前に、記憶装置MMに記憶させた前記制御条件を、呼び出して調理に利用できるから、便利である。
更に、前記統合表示部30には、表示画面30Dを有し、
前記表示画面30Dには、連携調理メニューの実行中に、前記被調理物の調理工程の情報が、文字や図形等の表示部332によって表示され、
前記表示部332における調理工程の情報は、当該調理工程の進行に伴って前記統合制御装置MCによって更新される構成である。
このため、ユーザーは、表示部332によって調理工程を容易に知ることができる。また次の調理工程に備えて準備を行うこともできるから、スムーズに調理を進めることができる。
更に、前記連携調理メニューは、互いに異なる識別情報(調理物の名称を含む)で被調理物を識別できるように、前記統合表示部30において表示され、
前記入力操作部40には、前記RG制御メニューの名称を、前記表示画面30Dに表示させる第1の入力キー43MCと、前記連携調理メニューの識別情報330を前記表示画面30Dに表示させる第2の入力キー43M1と、を有している構成である。
このため、入力操作部40を中心にRG制御メニューの表示と、連携調理メニューの識別情報の表示を行うことができ、1つの操作部で集中した入力が行え、操作性が向上する。
更に、前記統合表示部30には、表示画面30Dを有し、
前記表示画面30Dには、前記RG制御メニューを特定する制御モードの名称(例えば、「レンジ自動」や「あたため」等)と、当該制御モードに適用できる個別の制御条件(例えば、「調理時間」、「火力値」など)とが、並んだ状態で表示される構成である。
このため、ユーザーは前記表示画面30Dを見て、制御モードと個別の制御条件とを、容易に対比させることができる。
更に、前記統合制御装置MCは、前記第1の入力キー43MCが1回操作される毎に、前記RG制御メニューの名称を表示させている1つの表示画面30Dが、一定の順番で別の表示画面30Dに切り替わって、前記統合表示部30で表示される構成である。
このため、入力キー43M1を1回操作する毎に、次々とRG制御メニューを表示させることができ、操作性が向上する。
更に、前記統合制御装置MCは、前記第2の入力キー43M2が1回操作される毎に、前記識別情報330を表示させている1つの表示画面30Dが、一定の順番で別の表示画面30Dに切り替わって、前記統合表示部3で表示される構成である。
このため、入力キー43M2を1回操作する毎に、次々と連携制御メニューを表示させることができ、操作性が向上する。
更に、実施の形態1では、
前記第1の加熱手段(誘導加熱源9)と前記第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)は、トッププレート15を有する本体110の内部に設置され、
前記誘導加熱源9は、前記トッププレート15の中央部から右側にある右加熱部17HRと、左側にある左加熱部17HLと、を備え、
前記連携調理メニューを実行させた場合、前記統合制御装置MCは、前記右加熱部17HR又は前記左加熱部17HLの何れか一方のみを、当該連携調理メニューの調理工程で使用し、使用する前記右加熱部17HR又は前記左加熱部17HLの何れか一方の動作を制限する構成である。
このため、連携調理メニューに使用する右加熱部17HR又は左加熱部17HLの一方を優先的に使用できるので、ユーザーの操作性を損なうことがなく、利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
前記第1の加熱手段(誘導加熱源9)と前記第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)は、トッププレート15を有する本体110の内部に設置され、
前記誘導加熱源9は、前記トッププレート15の中央部から右側にある右加熱部17HRと、左側にある左加熱部17HLと、を備え、
前記本体110には、前記右加熱部17HRの右操作部40Rと、前記左加熱部17HLの左操作部40Lと、を備え、
前記右操作部40Rと前記左操作部40Lの間には、前記マイクロ波加熱源189の入力操作部40Mが配置されている構成である。
このため、連携調理メニューに使用する誘導加熱源9は、右加熱部17HRと左加熱部17HLの2つの場所で加熱調理に使用できるので、利便性が高い。
また右加熱部17HRと左加熱部17HLの2つに対応して、それぞれ右操作部40Rと左操作部40Lを配置し、かつそれらの間に、マイクロ波加熱源9の入力操作部40Mを配置しているので、各加熱源・各加熱部に対応した入力操作部により、的確な入力操作を期待できる。
更に、前記統合表示部30には、表示画面30Dを有し、
前記表示画面30Dには、連携調理メニューの実行中に、前記被調理物の調理工程情報332が表示され、
前記入力操作部40Mの近傍に、前記統合表示部30の表示画面30Dを配置している構成である。
このため、入力操作部40Mを操作する際に、近傍にある表示画面30Dによって、調理工程を容易に確認でき、ユーザーの操作性と調理工程の理解を向上させることが期待できる。
更に、前記加熱室113を加熱する第3の加熱手段としてのオーブン加熱源188を備え、
前記第3の加熱手段(オーブン加熱源188)は、前記第1の加熱手段(誘導加熱源9)及び前記第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)の少なくとも何れか一方とは異なる原理で発熱し、かつ前記第1の加熱手段及び前記第2の加熱手段とは独立して前記統合制御装置MCにより通電が制御されるものであり、
前記第3の加熱手段(オーブン加熱源188)は、前記連携調理メニューを実行させた場合、前記第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)と協働して被調理物を加熱する構成である。
このため、第1~第3の3つの加熱手段の利用によって、より幅広い多種類の調理に対応できる利便性の高い加熱調理器となる。
この実施の形態1のビルトイン式複合型加熱調理器は、第2の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
トッププレート15の上の被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源9)と、
加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)と、
前記加熱室113をマイクロ波以外の手段で加熱する第3の加熱手段(オーブン加熱源188)と、
前記誘導加熱源9、前記マイクロ波加熱源189及びオーブン加熱源188を制御する統合制御装置MCと、
統合表示部30と、を備え、
前記統合制御装置MCには、前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を所定の順番で使用する連携調理メニューのプログラムが記憶されている。
前記連携調理メニューは、複数の被調理物毎に設けられ、前記誘導加熱源9だけを先に動作させ、当該加熱調理を終えた後、再度実行を指示された場合は、前記マイクロ波加熱源189を動作させるシーケンスが規定されており、
前記統合制御装置MCは、
(1)1つの連携調理メニューが選択されて、又は当該連携調理メニューでの調理開始の指令を受けた場合、前記誘導加熱源9は前記連携調理メニュー以外のプログラムで動作することを制限され、
(2)前記誘導加熱源9の調理工程を終え、又は途中で終了させた場合、前記誘導加熱源9に対する前記連携調理メニュー以外のプログラムによる動作の制限を解除し、
(3)前記マイクロ波加熱源189による前記連携調理メニューでの調理開始の指令を受けた場合、マイクロ波加熱源189の加熱調理を開始し、更にこのマイクロ波加熱源189と協働してオーブン加熱源188により加熱する構成である。
このため、3つの加熱手段により、幅広い調理に対応した利便性の高い加熱調理器を提供できる。
また、連携調理メニューで最初に使用する誘導加熱源9(左加熱部17HL)を、当該連携調理メニューの調理で優先して使用できるため、連携調理メニューの実行にあたり、必要な加熱源を確保し、スムーズに連携調理を実行できる。
この実施の形態1のビルトイン式複合型加熱調理器は、第3の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
トッププレート15を備え、かつ加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれた被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源9)と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)と、
前記第1の加熱手段と前記第2の加熱手段を制御する統合制御装置MCと、
前記統合制御装置MCに指令を与える入力操作部40と、
統合表示部30と、
前記加熱室113前面開口部を開閉自在に閉鎖するドア114と、
前記ドア114の開放を検知するドア開閉検知機構131と、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9を先に動作させて調理工程1を実施し、当該調理工程1が終了した場合、前記マイクロ波加熱源188で調理工程2を行う連携調理メニューと、前記誘導加熱源9又は前記第マイクロ波加熱源189の何れか1つのみを実行する単独調理メニューと、を選択的に実行する機能を有し、
前記入力操作部40から前記連携調理メニューの開始を指令した場合、前記統合制御装置MCは、前記ドア114の開閉状態に関係なく、前記連携調理メニューの前記誘導加熱源9による加熱調理(調理工程1)を開始し、
更に前記統合制御装置MCは、前記調理工程1を終えるまでは、前記単独調理メニューによって前記誘導加熱源9が駆動されることを制限し、
前記調理工程1が終了した場合、前記統合制御装置MCは、前記ドア114が閉鎖されている場合であって、かつ前記マイクロ波加熱源189による加熱調理の開始指令が、前記入力操作部40から行われた場合、前記調理工程2を開始する構成である。
このため、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189を効果的に利用できる加熱調理器を提供できる。
また、連携調理メニューを実行できるため、各種の加熱調理に幅広く対応でき、しかも、連携調理メニューに使用する誘導加熱源9を優先的に使用できるので、ユーザーの操作性を損なうことがなく、利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
更に、前記加熱室113を加熱する第3の加熱手段(オーブン加熱源188)を備え、
前記オーブン加熱源188は、前記マイクロ波加熱源189とは独立して前記統合制御装置MCにより制御され、
前記オーブン加熱源188は、前記連携調理メニューを実行させた場合、前記マイクロ波加熱源189と協働して被調理物を加熱することを特徴とする構成である。
このため、更に幅広い調理に対応できる利便性の高い加熱調理器を実現できる。
更に、前記連携調理メニューの選択が行われた場合、前記入力操作部40からの前記単独調理メニューに関する入力が制限され、
前記統合表示部30には、単独調理メニューに関する入力が制限されていることを示す情報を、表示する構成である。
このため、前記連携調理メニューの実行をスムーズに実施でき、また、連携調理メニューではない「単独調理メニュー」(例えば、IH制御メニュー)の選択が行われた場合にも、それをユーザーに知らせ、ユーザーの混乱を招かないような工夫を行っている。
更に、前記統合表示部30は、前記第1の加熱手段(誘導加熱源9)と第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)の動作情報を個々に、又は統合して表示するものであり、
前記統合表示部30は、前記連携調理メニューと前記単独調理メニューとの選択が行われる前の段階で、2つの加熱源に共通な注意事項の情報を示した初期画面(図36参照)の表示を行う構成であった。
このため、ユーザーによる加熱調理開始前に安全性等に関する注意事項を知らせて、安全な使用を促すという効果が期待できる。
更に、前記誘導加熱源9による調理工程が終了した場合、前記統合制御装置MCは、前記統合表示部30において、前記マイクロ波加熱源189による調理工程を開始するために前記ドア114の閉鎖が必要であることを表示する構成であった。
このため、ユーザーに対してマイクロ波加熱を安全に行うためのガイドを行い、ユーザーの正しい使用を支援できるものである。
更に、前記誘導加熱源9による調理工程1が終了した場合、前記統合制御装置MCは、前記統合表示部30において、マイクロ波加熱に適さない調理器具や食品の容器の情報を表示する構成であった。
このため、ユーザーが誤って不適当な調理器具や食品容器を加熱室113の中に入れて、マイクロ波加熱を行うことを未然に防止し、調理器具等の焼損や変形等を防止できるという効果が期待できる。
更に、前記誘導加熱源9は、前記トッププレート15の下方にIHコイル17(17L、17R)を配置したものであり、
前記本体110内部には、前記IHコイル17等の高温部を冷却するための上部風路AHと上部冷却ファン60、61を有し、
前記本体110内部には、前記マイクロ波加熱源189の放熱部122Hを冷却するための下部風路UHと下部冷却ファン128、129を有し、
前記上部風路AHと下部風路UHは、前記本体110の異なる位置にそれぞれ配置された通気孔164、吸気口152Bから外気が導入され、かつ途中で交差することなく前記本体110の外部に前記外気を排出する構成である。
この構成によれば、マイクロ波加熱時と誘導加熱時の双方において、互いに干渉しない冷却構造(冷却風の風路)が実現でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
更に、前記統合制御装置MCは、
(1)前記第1の加熱手段(誘導加熱源9)を使用して「単独調理メニュー」を実行している期間中は、前記上部冷却ファン60、61を運転し、かつ、前記下部冷却ファン128、129は運転せず、
(2)前記誘導加熱源9を使用して「単独調理メニュー」の調理工程を終え、その後前記マイクロ波加熱源189を使用する「単独調理メニュー」を実行している期間中は、前記下部冷却ファン128、129を運転し、かつ、前記上部冷却ファン60、61は、前記誘導加熱源9のIHコイル等の高温部の温度が高い期間中は運転継続し、
(3)前記連携調理メニューを実行する場合は、前記誘導加熱源9の調理工程1を実行している期間は、前記上部冷却ファン60、61を運転し、かつ、前記下部冷却ファン128、129は運転せず、前記誘導加熱源9の調理工程1が終了した以降、調理工程2においては前記下部冷却ファン128、129の運転を開始する、構成である。
この構成によれば、マイクロ波加熱時と誘導加熱時の双方において、各冷却ファンの運転を効率良く行うことができる。
この実施の形態1のビルトイン式複合型加熱調理器は、第4の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
トッププレート15を有し、加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれる被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源9)と、
前記加熱室113の内部にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)と、
これら2つの加熱手段を制御する統合制御装置MCと、
加熱調理の情報を表示する表示手段(統合表示部30)と、
加熱調理の情報を報知する報知部(音声合成装置95)と、
前記加熱室113の温度を計測する温度センサーTS2と、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9を先に使用し、後から前記マイクロ波加熱源189を使用する複数の連携調理メニューの内から、ユーザーが選択した1つを実行するものであり、
前記統合制御装置MCは、前記導加熱源9とマイクロ波加熱源189を規定の順に動作させる連携調理メニューと、前記マイクロ波加熱源189を単独で動作させるレンジ制御メニュー(制御メニューの1つの種類)と、にそれぞれ対応した制御機能を有し、
前記連携調理メニューと前記レンジ制御メニューには、前記マイクロ波加熱源189による加熱動作を、前記温度センサーTS2の働きで自動的に停止させる自動制御機能を有し、
前記連携調理メニューを実行する場合、前記誘導加熱源9又は前記マイクロ波加熱源189の何れか一方について、特定の期間は前記連携調理メニュー以外のメニューに対応した動作を制限し、
前記統合制御装置MCは、前記温度センサーTS2からの温度計測結果が上限値を超えているときには、前記「連携調理メニュー」の選択過程で、前記報知部(音声合成装置95)によって加熱調理不可を報知し、連携調理メニューを実行しない構成である(図49のステップSTR2を参照)。
この構成によれば、連携調理メニューの選択過程で、マイクロ波加熱を行う加熱室113の温度が過剰に高い場合には、その旨報知し、連携調理メニューを実行しないため、ユーザーに混乱を招くおそれがない。
この実施の形態1において、第5の発明に関する厨房家具2は、上面に設置口2Aを有し、当該設置口の中に以上述べたような第1の発明~第4の発明に係る加熱調理器1を設置した構成である。
このため、複数の加熱源を連携させて各種の加熱調理に幅広く対応できる、利便性の高い複合型加熱調理器を備えた厨房家具を実現できる。
この実施の形態1の複合型加熱調理器の制御用プログラムは、第6の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
トッププレート15を備え、かつ加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれた被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源9)と、
前記加熱室113を加熱する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)と、
ユーザーの操作を受け付ける入力操作部40と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の動作に関する情報を表示する統合表示部30と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、を備えた複合型加熱調理器の制御用コンピュータで実行されるものであって、
前記入力操作部40から連携調理メニューを選択するための指令信号1を受信するステップ1と、
複数の前記連携調理メニューの対象となる被調理物を特定する識別情報(調理物名称)を前記統合表示部30において表示するステップ2と、
前記連携調理メニューで最初に使用される前記誘導加熱源9又は前記マイクロ波加熱源189について、前記入力操作部40から前記連携調理メニュー以外のメニューの入力を制限するステップ3と、
前記連携調理メニューに関する前記識別情報を前記統合表示部30に表示させた状態で、前記入力操作部40からの加熱動作の開始用指令信号2を待つステップ4と、
を含むことを特徴とする構成である。なお、指令信号1と指令信号2は、この発明の説明のために番号を付けたものであり、指令信号自体の波形や長さ等の電気的条件が、必ず異なるという意味ではないので、電気的条件が同じ指令信号であっても良い。
本発明によれば、複数の加熱源を連携させて各種の加熱調理に幅広く対応できる、利便性の高い複合型加熱調理器の制御用プログラムを提供することができる。
この実施の形態1の複合型加熱調理器の制御用プログラムは、第7の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
トッププレート15を備え、かつ前面開口部を開閉自在に閉鎖するドア114を有する加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれた被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源9)と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)と、
ユーザーの操作を受け付ける入力操作部40と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の動作に関する情報を表示する統合表示部30と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、を備えた複合型加熱調理器の制御用コンピュータで実行されるものであって、
前記連携調理メニューは、前記誘導加熱源を先に動作させ、当該動作の終了後に、前記マイクロ波加熱源189による動作をさせるものであり、
前記入力操作部40から連携調理メニューを選択するための指令信号1を受信するステップ1と、
複数の前記連携調理メニューが対象とする、それぞれの被調理物を特定する識別情報330を前記統合表示部30において表示するステップ2と、
前記連携調理メニューで使用される前記誘導加熱源9又は前記マイクロ波加熱源189について、前記入力操作部40から前記連携調理メニュー以外のメニューの入力を制限するステップ3と、
前記連携調理メニューの対象となる被調理物に対応した識別情報を前記統合表示部30に表示させた状態で、前記入力操作部40からの加熱動作の指令信号2を待つステップ4と、
前記入力操作部40から加熱動作の指令信号を受けた場合、前記ドア114が閉鎖されているかどうかに関係なく、前記誘導加熱源9に対し、加熱動作の開始を指令するステップ5と、
前記誘導加熱源9の加熱動作の終了信号を受けて、前記統合表示部30には次に使用されるマイクロ波加熱源189の調理工程が開始できることを表示し、前記入力操作部40から加熱動作の開始用指令信号3を待つステップ6と、
前記入力操作部40から加熱動作の開始指令信号を受けた場合、前記ドア114が閉鎖されている場合に限り、前記マイクロ波加熱源189に対し、加熱動作の開始を指令するステップ7と、を含むことを特徴とする構成である。なお、指令信号1~指令信号3は、説明のために番号を付けたものであり、信号の波形や長さ等の電気的条件が異なるという意味ではない。これは、以下の発明の説明でも特に明示しないが、同じである。
この構成によれば、複数の加熱源を連携させて各種の加熱調理に幅広く対応できる、利便性の高い複合型加熱調理器の制御用プログラムを提供することができる。
この実施の形態1の複合型加熱調理器の制御用プログラムは、第8の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
トッププレート15を備え、かつ前面開口部を開閉自在に閉鎖するドア114を有する加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれた被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源9)と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)と、
ユーザーの操作を受け付ける入力操作部40と、
前記第1の加熱手段と前記第2の加熱手段の動作に関する情報を表示する統合表示部30と、
前記第1の加熱手段と前記第2の加熱手段を制御する統合制御装置MCと、を備えた複合型加熱調理器の制御用コンピュータで実行されるものであって、
前記連携調理メニューは、前記マイクロ波加熱源189を先に動作させ、当該動作の終了後に、前記誘導加熱源9による動作をさせるものであり、
前記入力操作部40から連携調理メニューを選択するための指令信号1を受信するステップ1と、
前記連携調理メニューの対象となる被調理物に対応した識別情報330を前記統合表示部30において表示するステップ2と、
前記連携調理メニューで使用される前記誘導加熱源9又は前記マイクロ波加熱源189の少なくとも何れか一方について、前記入力操作部40から前記連携調理メニュー以外のメニューの入力を制限するステップ3と、
前記連携調理メニューに関する前記識別情報330を前記統合表示部30に表示させた状態で、前記入力操作部40からの加熱動作の指令信号2を待つステップ4と、
前記入力操作部40から加熱動作の指令信号を受けた場合、前記ドア114が閉鎖されているかどうかを判定し、前記ドアが閉鎖されている場合には前記マイクロ波加熱源189に対し、加熱動作の開始を指令し、かつ前記統合表示部30における前記識別情報330の表示を消すステップ5と、
前記マイクロ波加熱源189の調理工程の表示部332を前記統合表示部30に表示するステップ6と、
前記第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)の調理工程の終了信号を受けて、前記統合表示部30に前記誘導加熱源9の加熱動作が開始できることを表示し、前記入力操作部40から加熱動作の開始用指令信号3を待つステップ7と、
前記入力操作部40から前記開始用指令信号3を受けた場合、前記ドア114が閉鎖されているかどうかに関係なく、前記マイクロ波加熱源189に対し、加熱動作の開始を指令するステップ8と、
を含むことを特徴とする構成である。
この構成によれば、複数の加熱源を連携させて各種の加熱調理に幅広く対応できる、利便性の高い複合型加熱調理器の制御用プログラムを提供することができる。
この実施の形態1の複合型加熱調理器の制御用プログラムは、第9の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
トッププレート15を備え、かつ前面開口部を開閉自在に閉鎖するドア114を有する加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれた被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源9)と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)と、
ユーザーの操作を受け付ける入力操作部40と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の動作に関する情報を表示する統合表示部30と、
前記第1の誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、を備えた複合型加熱調理器1の制御用コンピュータで実行されるものであって、
前記入力操作部40から連携調理メニューを選択するための指令信号1を受信するステップ1と、
複数の前記連携調理メニューが対象とする、それぞれの被調理物を特定する識別情報330を前記統合表示部30において表示するステップ2と、
前記連携調理メニューで最初に使用される前記誘導加熱源9と、次に使用する前記マイクロ波加熱源189の少なくとも何れか一方について、前記入力操作部40から前記連携調理メニュー以外のメニューの入力を制限するステップ3と、
前記識別情報330を前記統合表示部30に表示させた状態で、前記入力操作部40からの加熱動作の指令信号2を待つステップ4と、
前記入力操作部40から加熱動作の指令信号を受けた場合、前記ドア114が閉鎖されているかどうかに関係なく前記誘導加熱源9対し、加熱動作の開始を指令するステップ5と、
前記誘導加熱源9の調理工程の終了信号を受けて、前記統合表示部30に前記マイクロ波加熱源189の調理工程が開始できることを表示し、前記入力操作部40から加熱動作の開始用指令信号3を待つステップ6と、
前記入力操作部40から前記開始用指令信号3を受けた場合、前記ドア114が閉鎖されている場合に限り、前記マイクロ波加熱源189に対し、加熱動作の開始を指令するステップ7と、
前記マイクロ波加熱源189による調理工程の途中で、前記ドア114が開放されたことを検知すると、前記マイクロ波加熱源189によるマイクロ波の発振を一時的に停止し、前記連携調理メニューの設定は維持するステップ7と、
前記ステップ7の後で、前記入力操作部40から前記マイクロ波加熱源189について、加熱動作の開始用指令信号4を受けた場合、前記ドア114が閉鎖されている場合に限り、前記マイクロ波加熱源189に対し、加熱動作の開始を指令するステップ8と、
を含むことを特徴とする構成である。なお、指令信号1~指令信号4は、この発明の説明のために番号を付けたものであり、信号の波形や長さ等の電気的条件が異なるという意味ではない。
以上の通り、この構成によれば、複数の加熱源を連携させて各種の加熱調理に幅広く対応できる、利便性の高い複合型加熱調理器の制御用プログラムを提供することができる。
実施の形態1のその他の特徴.
(1)その1:
本体ケースHCの上部に、厨房家具2の上面へ露出するトッププレート15を備え、
前記本体ケースHCの内部には、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記トッププレート15の上方に置かれた被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、を備え、
前記誘導加熱源9の冷却用の外気を前記本体ケースHCの内部に導入する第1の吸気口164と、前記マイクロ波加熱源189の冷却用の外気を前記本体ケースHCの内部に導入する第2の吸気口152(153F、152B)とを、前記加熱室113を挟んで、互いに反対側に配置していた。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱と誘導加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
また、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9用の冷却用外気を導入する位置は、互いに離れているので、お互いの外気導入が悪影響を受けたり、干渉されたりすることが避けられる。また送風ファンの回転数が仮に同じとなった場合でも唸り音の発生も回避でき、運転音が静かな加熱調理器を提供できる。
(2)その2:
誘導加熱源9を収容した上部ユニット100と、マイクロ波加熱装置120を収容した下部ユニット200の間は、仕切り壁(上部ケース16の底面16S)によって上下に区画されていると更に良い。このように上下を構造物によって区画すれば、上部ユニット100と下部ユニット200の間で、冷却風の一部が意図しない方向に流れ込むことが回避でき、目的とする部位の冷却効果を損なうことがない。
(3)その3:
上部ユニット100に、中央操作部40Mや統合制御装置MCを配置している場合、前記仕切り壁16Sを金属製材料で形成すると更に良い。すなわち、金属製仕切り壁16Sの存在によって、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9の間では、その一方から他方に対して不要なノイズや電波で悪影響を及ぼす懸念がなくなる。このため、例えば、マイクロ波発振部122の周辺から、マイクロ波が漏洩しても、そのマイクロ波の悪影響を上部ユニット100側の電子部品が受けることを防止できる。このため、例えば、上部ユニット100側の重要な制御手段である統合制御装置MCを構成するマイクロコンピューターや、入力操作部40を構成するタッチスイッチの検知回路等が、漏洩したマイクロ波によって動作不良や検知不良を起こしたり、動作が不安定化したりすることが避けられる。
(4)その4:
本体ケースHCは、仕切り壁16Sによって上部空間300Aと下部空間300Bとに区画され、
前記上部空間300Aには、加熱源を選択する入力操作部40と、この入力操作部からの入力信号を受ける統合制御装置MCとを、更に有し、
前記入力操作部40は、前記右加熱部17HRの動作条件を指定する右操作部40Rと、前記左加熱部17HLの動作条件を指定する左操作部40Lと、前記オーブン加熱源188及び前記マイクロ波加熱源189の双方の動作条件を指定する中央操作部40Mと、を備えており、
前記入力操作部40の下方には、第2冷却ファン61によって前記第1の吸気口164から導入された外気が通過する構成である。
この構成によれば、前記オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189の双方で、中央操作部40Mを利用するため、狭い設置空間であっても中央操作部40Mにおける入力キー等の操作面積を確保できる。
更に、その入力操作部40の下方に外気が通過するので、入力操作部40を構成する電気部品類の過熱や、それに起因する故障や損傷等が防止できる。
なお、仕切り壁16Sは、実施の形態1では金属製であるため、下部空間でマイクロ波の漏洩や電磁ノイズの発生があった場合でも、下部空間300B側への伝搬を抑制でき、上部空間300Aの制御部分、例えば統合制御装置MCへの悪影響を防止できるなどのメリットがある。
(5)その5:
本体ケースHCの上部に、厨房家具2の上面へ露出するトッププレート15を備え、
前記本体ケースHCの内部には、ドア114によって前面開口部が開閉自在に閉鎖される加熱室113と、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱装置120と、前記トッププレート15の上方に置かれた被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、を備え、
前記本体ケースHCの内部は、上部ケース16の底壁面16Sによって上下2つに区画されていた。つまり、金属製の上部ケース16の(仕切り壁となる)底面16Sが、上部空間300Aと、下部空間300Bとを区画していた。
更に、前記上部空間300Aには、前記誘導加熱源9のIHコイル17L、17Rと、当該IHコイル17L、17R用のインバーター回路81を実装したインバーター回路基板80と、を収容し、
前記下部空間300Bには、前記マイクロ波加熱装置120を収容し、
前記誘導加熱源9用の冷却用空気を導く上部風路AHは、前記仕切り壁となる底面16Sを貫通して(通気孔64を介して)前記冷却用の外気が導入され、
前記マイクロ波加熱源189用の冷却用空気を導く下部風路UHは、前記下部空間300Bに形成され、
前記マイクロ波加熱源189の放熱部122Hは、前記下部風路UHに配置された構成である。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱と誘導加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
(6)その6:
前記本体ケースHCの内部は、金属製の仕切り壁(上部ケース16の底面16S)によって上部空間300Aと、前記仕切り壁16Sの下方に形成された下部空間300Bと、の2つの空間に区画され、
前記上部空間300Aには、前記誘導加熱源9の加熱コイル17L、17Rと、当該加熱コイル用のインバーター回路を実装したインバーター回路基板80と、を収容し、
前記下部空間300Bには、前記マイクロ波加熱源120を収容し、
前記上部空間300Aに冷却用空気を導く上部風路AHは、前記仕切り壁(通気孔64)を貫通して前記下部空間の外側から外気を導入するものであり、
前記下部空間300Bに冷却用空気を導く下部風路UHは、前記下部空間300Bに形成され、前記上部風路AHと異なる位置から外気を導入するものであり、
前記下部風路UHは、外気の導入口(第2の吸気口152F、152B)の下流側に前記マイクロ波加熱源120の放熱部122Hを配置し、かつ前記放熱部122Hを冷却した後の冷却風を、前記上部風路AHと隔離された排気ダクト102を介して外部に放出する構成である。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱と誘導加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
また、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9は、金属製の仕切り壁(上部ケース16の底面16S)によって上下に区画されているので、専用の仕切り板を設けることが不要であり、しかも、当該仕切り壁の存在によって、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9の間では、その一方から他方に対して不要なノイズや電波で悪影響を及ぼす懸念がなくなる。更に、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9においては、お互いに外気導入が悪影響を受けたり、干渉されたりすることが避けられる。
更に、上部空間300Aと下部空間300Bの双方に、個別に上部風路と下部風路を確保しているので、マイクロ波加熱装置120と誘導加熱源9双方の電気回路部品や発熱部等の過熱を防止でき、長寿命化が期待できる。
(7)その7:
前記本体ケースHCの内部は、金属製の仕切り壁16Sによって上部空間300Aと、下部空間300Bと、の2つの空間に区画され、
前記上部空間300Aには、IHコイル17L、17Rと、当該IHコイル用のインバーター回路基板80と、を収容し、
前記下部空間300Bには、前記マイクロ波加熱装置120を収容し、
前記上部空間300Aには、前記下部空間300Bの外側から前記誘導加熱源9冷却用の外気を導入する上部第1冷却ファン60を有し、
前記下部空間300Bには、前記マイクロ波加熱装置120冷却用の外気を導入する下部冷却ファン128,129を有し、
前記下部冷却ファン128,129の運転は、前記誘導加熱装置120による加熱動作と無関係に独立して行われることを特徴とする構成である。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱と誘導加熱の両方が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
本体ケースHCの内部には、前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源188を更に備え、前記オーブン加熱源188の加熱動作時に、前記下部空間300Bを冷却するために、前記下部冷却ファン128、129を運転する構成であった。
このため、オーブン調理もでき、しかも、下部ユニット200の冷却構成を共用化できるため、設置する空間に制約がある厨房家具2であっても、利便性の高い複合型加熱調理器を提供できる。
(8)その8:
誘導加熱源9を制御するIH制御部90と、前記マイクロ波加熱源189のマイクロ波発振部122Aを制御するマイクロ波加熱制御部130とを、更に備え、
前記マイクロ波加熱源189による加熱動作のみを実行している期間中は、前記マイクロ波加熱制御部130は、前記下部冷却ファン128、129を運転し、かつ前記IH制御部90は、前記上部冷却ファン60と、第2冷却ファン61を運転せず、
前記誘導加熱源9による加熱動作を実行している期間中、前記IH制御部90は、前記(上部)第1冷却ファン60を運転し、かつ前記マイクロ波加熱制御部130は、前記下部冷却ファン128、129を運転しない。
このため、加熱調理器1全体の消費電力を最小限度に抑制でき、また加熱調理器の運転音も静かなものにすることができる。
(9)その9:
加熱室113と、
マイクロ波加熱源189と、
前記加熱室113内を加熱するオーブン加熱源188と、
入力操作部40と、
前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188に共用され、表示画面30Dを有する統合表示部30と、
前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188及び前記統合表示部30を制御する制御部(統合制御装置MC、加熱室制御部159及びマイクロ波加熱制御部130)と、を備え、
前記入力操作部40には、RG制御メニュー群の中からマイクロ波加熱源を使用する第1の(特定の)RG制御メニュー(例えば、「あたため」)と、オーブン加熱源を使用する第2の(特定の)RG制御メニュー(例えば、「オーブン」)を選択するためのメニュー選択手段(入力キー43MC)を有し、
前記制御部は、前記表示画面30Dにおいて、前記第1のRG制御メニュー(例えば、「あたため」)を前記表示画面30Dに表示させた場合、前記マイクロ波加熱源189を識別できる表示30Kと、当該制御メニュー(例えば、「あたため」)に適用される加熱強度情報又は目標温度情報30T(例えば、80℃)の両者又は何れか一方との組み合わせ(1つ以上の「制御条件」)を示す情報を、対応させて表示(例えば、図37の表示画面4ST)させる構成であった。
この構成によれば、1つの加熱調理器において、マイクロ波加熱とオーブン加熱の2種類が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
しかも、2種類の加熱源に共用される統合表示部では、前記表示画面30Dにおいて、前記RG制御メニュー群の中から前記第1のRG制御メニュー(例えば、「あたため」)を前記表示画面30Dに表示させた場合、マイクロ波加熱源189を識別できる表示30Kと、当該第1のRG制御メニュー(例えば、「あたため」)に適用される目標温度情報30T(例えば、80℃)の組み合わせ示す情報を表示させるので、ユーザーによる加熱源の動作開始前に、制御メニューに関係する加熱源と目標温度等の制御条件を確認でき、ユーザーの入力操作の負担を軽減できる。このため、複合型加熱調理器であっても使い勝手が良い加熱調理器とすることができる。
(10)その10:
被加熱物を加熱する誘導加熱源9を有し、厨房家具2に支持される上部ユニット100と、
前記上部ユニット100に取り付けられ、加熱室113を内蔵した下部ユニット200と、を備え、
前記下部ユニット200には、前記加熱室113にマイクロ波を供給するマイクロ波加熱源189と、前記加熱室113を加熱するオーブン加熱源188と、を配置し、
前記上部ユニット100には、前記誘導加熱源9、前記マイクロ波加熱源189及び前記オーブン加熱源188の3者を集中して制御する統合制御装置MCを備え、
前記上部ユニット100には、前記統合制御装置MCによって制御される誘導加熱回路94L、94Rと、商用電源99からの電力を受ける電源回路基板55と、(第1の)インバーター回路81を実装したインバーター回路基板80と、を有し、
前記下部ユニット200には、前記マイクロ波加熱源189のマイクロ波加熱制御部130と、前記オーブン加熱源188の加熱室制御部159と、(第2の)インバーター回路基板121とを配置し、
前記電源回路基板55は、前記(第1の)インバーター回路81を冷却する冷却ファン60の冷却風通路(第1風路F1)の下流側に配置されており、
前記マイクロ波加熱源189の制御部130と、前記オーブン加熱源188は、前記上部ユニット100のフィルター回路基板54の下流側(非商用電源側)に設けた電源回路基板55から、それぞれの制御用の低電圧の電力を供給する構成である。
この構成によれば、上部ユニット100と下部ユニット200に、3種類の加熱源を備えていることにより、従来よりも幅広い複合調理を行うことができる。
また、総合制御装置MCによる集中制御により、上部ユニット100と下部ユニット200にそれぞれ配置したインバーター回路基板80、121を連携させることができる。
更に、電源回路基板55からIH制御部90、制御部130、制御部159に対して、規定の低電圧の電力を分配する構成とし、かつ第1冷却ファン60の冷却風通路(第1風路F1)の下流側に電源回路基板55が配置されているため、電源回路基板55の過熱も防止でき、制御装置90等に安定した電源を供給できる。
実施の形態2.
図63~図72は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器を示すものである。
図63は、本発明の実施の形態2に係るビルトイン式複合型加熱調理器において、ドアを閉じた状態を示す斜視図である。図64は、図63の加熱調理器において、ドアを開放した状態を示す斜視図である。図65は、図63の加熱調理器において、トッププレートを取り外した状態の上部ユニットの斜視図である。図66は、図63の加熱調理器において、トッププレートとIHコイルを取り外した状態の上部ユニットの斜視図である。図67は、図63に示す加熱調理器において、トッププレート、IHコイル及びカバーを取り外した状態の上部ユニットの斜視図である。図68は、図67に示した加熱調理器において、冷却風の流れを示した参考斜視図である。図69は、図63に示した加熱調理器の、上部ユニットの底面(下面)図である。なお、図1~図62に説明した実施の形態1の構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
この実施の形態2では、加熱調理器1の外気の吸入口を増設(変更)し、また制御関係の構成も変更した点が、実施の形態1と大きく異なる。
また、入力操作部40の構成も、実施の形態1と大きく異なる。更に、連携調理メニューを実施する際に、使用する加熱源の動作の制限を行う内容が、異なっている。
実施の形態1と特に異なる点を中心に、各図面を参照しながら説明する。まず、図63について説明する。
図63において、118は、上部ユニット100と下部ユニット200を一体化するための連結部材であり、補強の目的もあるので、「補強部材」とも呼ぶ場合がある。
連結部材118は、下部ユニット200の右側面から下面、更に左側面を一連に覆う形状を有している。
連結部材118には、図示していないが、下部ユニット200の前方部の左側面に密着状態に重なり、固定される左垂直部118Lと、前記右垂直部118Rと左垂直部118Lに一連に形成されている中央平坦部118Mとを、更に有している。その中央平坦部118Mは、下部ケース101の前方部の底板101Uの下面に密着状態に重なって固定されている。
図64に示すように、後述するヒンジ部176の取付部分は、ドア114の開閉時の荷重等を受けても、湾曲等の変形を生じない堅牢な構造になっている。そして、結果的にドア114の開閉時の支持が確実にできる。
このため、長期間使用しても、加熱室114の開口部114Aの前面周囲部分にドア114が密着して、開口部114Aを確実に閉鎖でき、電波漏れのない安全性の高い加熱調理器を実現している。
前記連結部材118は、1枚の金属製薄板(例えば、板厚1mm)をプレス加工して、前記右垂直部118R(図示せず)、中央平坦部118M(図示せず)及び右垂直部118Lを一体に形成している。
図63、図64において、101RPは、下部ケース101の側方垂直壁101Rに一体に形成した凸部である。この凸部は、下部ケース101の内側から外側方向へ側方垂直壁101Rをプレス加工することによって形成されており、側方垂直壁101Rの機械的強度アップを目的にしたものである。同様に下部ケース101の左側にある側方垂直壁101Lも、一定の面積を外側に突出させて凸部101LP(図示せず)を形成している。
116は、ドア114を水平状態に支えるとともに、ドア114を閉じる際にドア閉鎖方向に引っ張る金属製のアームである。このアーム116は、下ケース101の前板101Fに形成された透孔(ガイド孔)117に案内されて、その透孔117を前後方向に移動する。なお、アーム116を利用した高周波加熱装置のドア構造は、例えば、特開2002-39541号公報、特開2010-181106号公報及び特開2007-218544号公報等で紹介されているので、詳しい説明は省略する。
図64において、176は、左右に1対設けたヒンジであり、前記ドア114と下部ケース101の底板101Uとの双方に固定されている。これにより、ドア114を下部ケース101に回動自在に支持している。なお、ヒンジ176は、前記連結部材(補強部材)118と底板101Uとの間にサンドイッチ状態で、複数個所の固定具(ボルトとナットの組合せ、またはネジ等)により固定されている。
以上の構造により、ドア114はヒンジ176を支点として開閉する。なお、前記した左右一対のアーム116は、前記透孔117の裏側下方に回転自在に設けたローラー(図示せず)又は滑動部材(図示せず)によって下方から支持されており、ドア114の開閉時には、アーム116は当該ローラー又は滑動部材の上面に接しながら前後に移動する。
112は、下部ユニット200の前面の左右両側に設けた前カバーであり、プラスチック製又は金属製である。
前記前カバー112は、左右対称形状であり、それぞれが下部ケース101の横幅よりも左右に大きく張り出して下部ケース101に固定されている。この前カバー112は、加熱調理器1を厨房家具2に設置した場合、その厨房家具2との隙間(右側空隙301Rと、左側空隙301L)の前方全体を、可能な限り覆うことで、前方から目視した場合、それら空隙301R、301Lが目立たないようにする役目を果たすものである。
198は、金属製の支持金具であり、下部ケース101の横幅全体に及ぶ長さを有している。そしてこの支持金具198は、下部ケース101の前方水平壁101Tにネジ186で固定されている。
146は、右側の前カバー112の前面(表面)側に固定された箱状の前面操作部である。この前面操作部146は、加熱室113を利用したマイクロ波加熱とオーブン加熱時に使用するものである。
入力操作部40は、前記前面操作部146と、中央操作部40M、右側操作部40R及び左側操作部40Lの、4つの部分から構成されている。
147は、液晶画面を備えた表示部であり、前記前面操作部146の天井面に配置されており、加熱調理を行う際に、ユーザーが上方から表示内容を目視確認できるようになっている。なお、この前面操作部146は、従来から知られている「カンガルーポケット機構」の操作部のように、加熱調理器1の内部には回動して格納されず、常に前カバー112の前方に露出している。
前面操作部146の上面には、前記表示部147の近傍に、複数の入力キーが配置されている。それら入力キーを操作することで、マイクロ波加熱とオーブン加熱時の、制御条件の入力や、加熱動作の開始と停止を指令することができる
図64において、145は、前記加熱室113の内部において使用される専用の受け皿であり、耐熱性の高いプラスチックや磁器、ガラス等で形成されている。この受け皿145は、加熱室113の開口113Aから出し入れ自在となるような外形寸法を有している。
前記受け皿145の上には、通常は磁器や耐熱性の高い材料で形成された食器を置いて、その食器の中に入れた食材をマイクロ波で加熱調理する。しかし、マイクロ波加熱を使用しない場合には、前記食器は、金属製でも良い。例えば、トッププレート15の上で、フライパン(図示せず)等の磁性金属製の調理器具を置き、この調理器具の上で食品(例えば、ハンバーグ)をある程度だけ誘導加熱し、その後その調理器具を加熱室113の中に移動させ、上部ヒータ163A、下部ヒータ163Bによって、更に加熱を加えて調理を完成させても良い(この調理の方法は、連携調理メニューの1種である)。
図63と図64において、152S1と152S2は、多数の小孔から構成される補助吸気口であり、前記下部ケース101の右側面を構成している側方垂直壁101Rの下端部に設けてある。
前記補助吸気口152S1は、インバーター回路基板121を外気で冷却するための吸気口(第2の吸気口)152Fの補助吸気口である。
同じく補助吸気口152S2は、マグネトロン122の放熱部122Hを外気で冷却するための吸気口(第2の吸気口)152Bの補助吸気口である。なお、これら補助吸気口152S1、152S2の最大口径は、マイクロ波の漏洩防止効果も考慮して、3mm程度である。
マイクロ波加熱源189のインバーター回路基板121を外気で冷却するため第3冷却ファン(冷却ファンA)128の吸込口は、図示していないが、前記補助吸気口152S1の近傍に位置している。同様に、マグネトロン122の放熱部122Hを外気で冷却するための第4冷却ファン(冷却ファンB)129の吸込口も、補助吸気口152S2の近傍に配置してある。
図65は、トッププレート15を外した状態を示している。この図65において、30Wは、表示窓であり、ホルダー50において前記統合表示部30の外形形状に対応した大きさで形成している。
31LW、31RWは、それぞれ表示窓である。この表示窓は、ホルダー50において前記左側表示部31Lと右側表示部31Rに、それぞれ対応した位置に形成している。
56は、チョークコイルであり、フィルター回路基板54の中の重要な電気部品の1つである。17Cは、コイルベース(コイル支持枠)であり、2つのIHコイル17L、17Rを上面に載置している。
左側のIHコイル17Lは、最大外形寸法(直径)が236mmである。これにより、大きな鍋やフライパン等の被加熱物にも対応できる。そのため、連携調理メニューを実施する場合、加熱室113で使用する金属製の大型の容器や調理器具(何れも、蓋が無い形態)をそのまま左加熱部17HLに移動して加熱する場合に、左加熱部17HLで効率良く加熱できる。
または、連携調理メニューを実施する場合、大きな面積又は数の多い被調理物を加熱室113で加熱したあと、金属製の大型の容器や調理器具に当該被調理物を移して、左加熱部17HLの上で加熱する場合にも、左加熱部17HLで効率良く加熱できる。このような理由から、この実施の形態2においては、連携調理メニューのために左加熱部17HLを占有したい理由がある。なお、右側のIHコイル17Rは、実施の形態1と同じで、直径168mmである。
コイルベース17Cは、耐熱性の高いプラスチック材料で一体に形成されている。またコイルベース17Cは、IHコイル17L、17Rの形状に合わせて、全体が円形であるが、中心部から放射状に伸びる腕17CHを複数本備えている。この実施の形態2では、腕17CHは8本である。各腕17CHの間には大きな通風空間となる空隙が形成されている。
17Fは、隣り合う2つの腕17CHの間に、1本ずつ設置されたフェライト板である。左側のIHコイル17Lにおいて、TS3は、サーミスタのような接触型の温度センサーである。
1つの温度センサーTS3は、IHコイル17Lの中心部に設置されている。他の2つの温度センサーTS3は、IHコイル17Lの中心部から少し離れて、その外側位置にそれぞれ設置してある。
TS5は、赤外線センサーのような非接触型温度センサーである。右側のIHコイル17Rにおいて、TS4は、サーミスタのような接触型の温度センサーである。1つの温度センサーTS4は、IHコイル17Rの中心部に設置されている。他の2つの温度センサーTS4は、IHコイル17Rの中心部から少し離れて、その外側位置にそれぞれ設置してある。
TS6は、赤外線センサーのような非接触型の温度センサーである。これら各温度センサーTS3~TS6からの計測データは、温度検出回路(温度検出処理部)93に入力される。
図65において、66は、アルミニウム等の金属製の防磁リングであり、前記コイルベース(コイル支持枠)17Cを囲むように、当該コイルベース17Cに固定されている。
41Rは、実施の形態1の操作基板41に相当する右側タッチキー基板である。41Lは、同じく操作基板41に相当する右側操作基板である。これら2つのタッチキー基板41L、41Rも前記ホルダー50の上面部に支持されている。
図66において、57は、トランスであり、電源回路基板55の中の重要な電気部品の1つである。この図66では、カバー70の左側端部を横幅寸法W11の範囲で切欠いている。この切欠いている部分には、IHコイル17L側のコイルベース17Cに支持された温度センサーTS5が配置される。つまり、当該温度センサーTS5とカバー70が接触しないように切欠いている。
次に図67について説明する。58は、コンデンサーであり、インバーター回路基板80の中の重要な電気部品の1つである。
この図67から明らかなように、アルミ製のヒートシンク82は、左右に2個(2列)で、前後に2つあるため、合計で4つある。4つのヒートシンク82は、前後で2個ずつが近接して向かい合うように設置してある。59は、1つのヒートシンク82に取り付けたダイオードブリッジ回路(ダイオードモジュール)である。ダイオードブリッジ回路(ダイオードモジュール)59は、動作時に発生する熱が、ヒートシンク82によって放熱され、過熱状態にならない。
図67から明らかなように、第1冷却ファン60の吹出口60Aと、前記ヒートシンク82との間は、50~100mm程度の距離LDだけ離れている。
次に図69は、上部ユニット100の底面(下面)図である。D5は、上部ユニット100の前後方向最大幅寸法であり、432mmである。W4は、上部ユニット100の左右方向最大幅寸法であり、544mmである。
前記下部ケース101の上部開口の縦横寸法(内側最大縦横寸法)は、上記した上部ケース16の前後方向最大幅寸法D5と、左右方向最大幅寸法W4とを考慮し、この上部ケース16が内側に嵌るような大きさに設定されている。
構造的には、以上の説明したように構成されているから、上部ユニット100において誘導加熱調理を行った場合には、図68に太い矢印で示すように、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61から吹き出された冷却風RF1、RF2、RF3、RF4によって、インバーター回路基板80、入力操作部40、電源回路基板55、及びフィルター回路基板54が、それぞれ冷却される。
次に図70について説明する。
図70は、図63に示した加熱調理器の、全体の制御機能を説明するブロック図である。図70において、破線で示す矢印は、制御用の指令信号を示している。
この本発明の実施の形態2を示す加熱調理器1では、マイクロコンピューターを主体にした制御装置が、合計6つある。この点が実施の形態1と大きく異なる個所である。
前記した6つの制御装置の中で、加熱調理器1の全体の制御を司るものが統合制御装置MCである。この統合制御装置MCからの指令を受けて、誘導加熱調理を制御するのは、IH制御部90である。またマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の双方を制御するのが、制御装置105である。この制御装置105は、実施の形態1で説明した加熱室制御部159とマイクロ波加熱制御部130を集合させたものである。
前記した2つの制御装置90、105は、統合制御装置MCに指令に従って規定の制御を行い、処理結果を統合制御装置MCへ返信するため、スレーブ(SLAVE)マイコンと呼ばれる場合がある。この場合、前記統合制御装置MCは、マスターマイコンと呼ばれる。
前記した6つの制御装置の中の、残りの3つについて以下説明する。
まず1つ目は、入力操作部40において、右操作部40Rに配置された右側のタッチキー群の入力と、表示部31Rの表示を処理する右側入力制御装置23である。この右側入力制御装置23は、更に中央操作部40Mのタッチキー群の入力と統合表示部30の表示を処理する。
2つ目は、左操作部40Lに配置された、左側のタッチキー群の入力と表示部31Lの表示を処理する左側入力制御装置24である。
3つ目は、電源スイッチ制御装置28である。
電源スイッチ制御装置28は、入力操作部40に配置された主電源スイッチ97の操作ボタン(操作部)98の操作を検知して電源のON-OFFを決めるものである。
図70において、106Aは、商用(交流)電源99に接続されたプラグである。電圧が200V、周波数が50Hz又は60Hzの電力は、電源コード106を介してフィルター回路基板54まで導かれる。なお、フィルター回路基板54は、上部ユニット100に内蔵されている。
フィルター回路基板54には、加熱調理器1の主電源をON-OFFするメインリレー107と、サブリレー(図示せず)を有している。図70には、メインリレーだけを模式的に記載している。
前記メインリレー107は、加熱調理器1の全体の制御を司る統合制御装置MCから、所定のリレー制御信号を受けて開閉動作が実行される。なお、サブリレーは、後述するように、電源スイッチ制御装置28からのリレー制御信号を受けて開閉動作が実行される。電源スイッチ制御装置28は、主電源スイッチ97の操作ボタン98の操作を検知して電源のON-OFFを決める機能を有している。これらメインリレー107とサブリレーによって主電源スイッチ97が構成されている。
前記統合制御装置MCは、前記IH制御部90と、制御装置105、右側入力制御装置23、左側入力制御装置24及び電源スイッチ制御装置28からの動作情報を常に取得し、それらを統合して処理を決定し、制御する。
前記統合制御装置MCは、前記中央操作部40Mと、統合表示部30の表示動作と、音声合成装置95及び無線通信部49を制御するものである。この統合制御装置MCと、右側入力制御装置23及び電源スイッチ制御装置28は、入力操作部40を構成する中央操作基板32に取り付けられている。
前記中央操作基板32は、右側操作基板32Rと左側操作基板32Lから構成されており、右側操作基板32Rに、統合制御装置MCと、右側入力制御装置23及び右側表示部31Rを実装している。2つの操作基板32L、32Lは、電気絶縁性に富むプラスチック材料で形成されている。左側操作基板32Lには、左側入力制御装置24と左側表示部31Lを実装している(図70参照)。なお、右側操作基板32Rと左側操作基板32Lは、前記ホルダー50の下面側に装着されているので、図65~図68では表示さていない。
前記中央操作基板32の上方で、前記ホルダー50前方位置には、各種のタッチ式入力キーを実装したタッチキー基板(操作基板)41L、41Rが設置されている。
55は、フィルター回路54から、商用電源の電力が供給される電源回路基板であり、図70に示すように、整流回路33を経由して電力が印加される電源回路A34と、整流回路35を経由して電力が印加される電源回路B36、とを備えている。この2つの電源回路A34と電源回路B36により、電圧200Vの電力は、例えば24V、18V、6V、5V等のような、低い電圧の直流に変換される。
前記した5Vの電力は、前記統合制御装置MC、前記IH制御部90、制御装置105、右側入力制御装置23、左側入力制御装置24及び電源スイッチ制御装置28の電源として供給される。
また、6Vの電力は、統合表示部30、右表示部31R、左表示部31Rの電源(バックライト電源含む)として使用される。
電源回路基板55は、上部ユニット100に設置されており、上記したように、その電源回路A34と、電源回路B36で生成された電力は、上部ユニット100の中の制御や各種表示部の電源として使用されている。
80は、上部ユニット100の内部に設置されている誘導加熱源9のインバーター回路基板である。
このインバーター回路基板80には、直流電源部75Rを備えた右側のインバーター回路81Rと、別の直流電源部75Lを備えた左側のインバーター回路81L、を備えている。
前記フィルター回路54から、インバーター回路基板80には200Vの電圧の交流電力が印加される。90は、誘導加熱の制御全般を司るIH制御部であり、マイクロコンピューターを主体にして構成されている。
前記IH制御部90は、インバーター回路81L、81Rの中のIGBT79a、79bを駆動する駆動回路37L、37Rに対し、駆動信号を発信する。2つの駆動回路37L、37Rは、前記電源回路A34、電源回路B36から供給された18Vの電力で動作し、IGBT79a、79を制御する。これによりインバーター回路81L、81Rの駆動周波数が制御される。
例えば、駆動回路A37Rは、電力用スイッチング素子83(半導体スイッチング素子)(IGBT79a、79b)の導通時間を検知し、導通時間を切り替えることにより、インバーター回路81Rの駆動周波数を低下させて火力を低下させ、又は逆に駆動周波数を上げて火力を上げる制御をする。これら駆動周波数の指令は、IH制御部90から出される。
77aは、インバーター回路81L、81Rの商用電源側に設置した入力電流検出部、77bは、インバーター回路81L、81Rの出力側の電力を検出する出力電流検出部である。
これら入力電流検出部77aと出力電流検出器77bの検出値は、前記IH制御部90に入力される。
誘導加熱調理時の初期段階では、IH制御部90が被加熱物の材質判定を行う。
例えば、ある駆動周波数から別の駆動周波数まで変更させた時に、前記入力電流値の変化を見て、鍋等の被加熱物の材質が、磁性金属であるか、非磁性ステンレス、アルミニウム等と判別し、前記スイッチング素子(IGBT)79a、79bの駆動周波数を適正な値に自動調整する。そして、被加熱物の材質が非磁性ステンレスであると判別した場合は、鉄と判別した場合の駆動周波数(例えば、23kHz)よりも高い駆動周波数(例えば31kHz)で駆動させる。
TS5、TS6は、IHコイル17L、17Rの空隙部に設置した非接触形温度センサー、TS3、TS4は、IHコイル17L、17Rの中心部に設置した接触形温度センサーである。また、TS8、TS9は、インバーター回路基板80のヒートシンク82に設置した接触形温度センサーである。これら各温度センサーの温度検出データは、統合制御装置MCに入力される。
実施の形態1では、温度検出回路93を備えていたが、この実施の形態2では、そのようなハードウエア形式での温度検出回路93を備えていない。統合制御装置MCの中のソフトウエア(温度検出処理部)によって温度検知や温度比較、異常有無等の処理が実行される。
131は、ドア開閉検知機構である。このドア開閉検知機構131は、ドア114の開閉動作に応じて開閉される1つのスイッチと、そのスイッチが正しく開閉していることを検知するモニタースイッチとを備えている。この点は、実施の形態1で説明したものと同じである。
120Pは、マイクロ波加熱装置120の電源回路部であり、フィルター回路54から供給される商用電圧(200V)の電力から、低電圧(例えば24Vと5V)の電源となる交流電力を生成する。
電圧5Vの電力は、前記制御装置105の電源として供給され、また24Vの電力は、第3冷却ファン128、第4冷却ファン129の駆動回路177に対して、それぞれ供給される。なお、図70には示していないが、アンテナ駆動用モータ126の駆動電源には、200Vの電力が供給される。
加熱室113を加熱する上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bは、前記制御装置105によってリレー178A、178Bが開閉されることで通電が制御される。前記リレー178A、178Bは、細かい通電率制御ができるような半導体スイッチング素子を使用しても良いが、この実施の形態2では、ON-OFF制御するだけであるので、リレーを採用している。上部ヒータ163Aと下部ヒータ163Bには、商用電源と同じ200Vの電圧が加わり、動作する。
132Mは、ドア開閉検知機構131の一部を構成するドア開放検知スイッチである。このスイッチ自体は、前記ドア開閉検知機構131の内部に設置してあるが、この図70では、開閉信号が制御装置105に入力されることを示すために、別の位置に描いている。
160は、加熱室113の中の被調理物等の温度を計測する赤外線センサー、TS1は、前記マイクロ波加熱装置120のマグネトロン122の温度を計測する接触式センサーである。これらセンサー160、TS1の温度検出データは、全て制御装置105に入力される。
121Aは、マグネトロン122に高周波電力を供給するインバーター回路であり、電源側回路に挿入されたリレー182によって発振が制御される。前記リレー182の開閉は、前記制御装置105によって行う。
60P、61Pは、前記第1冷却ファン60と第2冷却ファン61をそれぞれ駆動する駆動回路である。この駆動回路60P、61Pは、前記IH制御部90の指令を受けて動作する。
この図70では、統合表示部30や入力操作部40の温度を監視する温度センサーを図示していないが、実際にはそのような温度センサーを設置し、加熱調理中において、常に(一定時間毎に)温度計測データを統合制御装置MCが取得して、異常な温度にならないように監視している。
以上のようにこの実施の形態2の加熱調理器1は構成されているので、加熱調理を開始する場合には、最初に主電源スイッチ97を入れるために、入力操作部40の操作キー98を例えば数秒間押し続けると、この操作を電源スイッチ制御装置28が検知し、フィルター回路基板54の中にあるメインリレー107を閉じる。
このため、フィルター回路基板54から電源回路基板55に商用電源の電力が供給される。そして電源回路基板55の電源回路A34と電源回路B36によって、所定の電圧の電源が生成され、統合制御装置MCに印加される。
統合制御装置MCは、起動されると最初に加熱動作開始前の初期の自己診断を行い、異常が発生していないことを確認する。また、統合表示部30を起動し、初期情報を表示する。
この状態で、マイクロ波加熱装置120を使用するために、ユーザーが加熱室113のドア114を開けると、ドア開閉検知機構131がドア114の開放を示す信号を、制御装置105に送信する。このため、制御装置105は、ドア114の開放を示す信号を統合制御装置MCへ送信する。統合制御装置MCは、ユーザーがマイクロ波加熱調理を行うものと推定して、統合表示部30にマイクロ波加熱を開始するための必要な情報を表示し、加熱開始のための入力を促す。
ユーザーが、被調理物を加熱室113に入れてドア114を閉めると、再びドア開閉検知機構131がドア114の閉鎖を示す検知信号を、前記制御装置105を経由して統合制御装置MCに送信する。そのため、この状態で入力操作部40から加熱開始の指令が行われると、右側入力制御装置23は、マイクロ波加熱用の入力キーのタッチ入力有無を検知する。このため、右側入力制御装置23から統合制御装置MCに加熱開始指令を示す信号が送信される。
実施の形態1で説明したが、加熱室113を使用して、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理する制御メニューを「レンジグリル調理(RG調理)」と呼んでいた。この実施の形態2においても、レンジグリル調理では、マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。
一般に、耐熱性のプラスッチック容器や食器類に被調理物を入れてマイクロ波加熱を行うことが良く行われるが、このままの状態で、次に上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bを発熱させた場合、上記した容器、食器等が高熱で焼損するおそれがある。
そこで、統合表示部30では、制御メニューの「レンジグリル(RG)」では、加熱室113の内部にプラスチック容器を入れて加熱しないよう警告した注意表示文を表示させた例である。つまり、「レンジグリル」という制御メニューの実行にあたり、この注意表示文は、実施の形態1で説明した「待機時共通情報」30Nの1種である
「あたため」(レンジ自動)の制御メニューでは、非接触(赤外線)温度計測部158が加熱室113内の被調理物の温度や加熱室113壁面温度を検知して、目標温度に到達した段階で自動的にマイクロ波の発振を停止する。そのため、以前行った調理時の熱が残っていて温度が最初から高い場合には、マイクロ波加熱を自動で行うことを統合制御装置MCで禁止している。
そこで、この実施の形態2では、「レンジ手動」の制御メニューを選ぶようにユーザーに報知している。「レンジ手動」は、マイクロ波加熱時間を設定して行うものであるので、加熱室113内の被調理物の温度や加熱室113壁面温度が高くても、何ら支障なく調理できる。そのような統合表示部30に表示した表示文も、実施の形態1で説明した「待機時共通情報」30Nの1種である。
ユーザーから加熱開始指令が入力操作部40を通じて行われると、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱動作を制御する制御装置105に駆動指令を発信し、リレー182を閉じ、インバーター回路121Aを駆動してマイクロ波加熱を開始する。また同時に第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の駆動回路177A、177Bに運転指令信号を出して、それら2つの冷却ファン128、129の運転を開始する。さらに、図70には示していないが、アンテナ駆動用モータ126を駆動してアンテナ125を回動させる。これにより加熱室113の内部にはマイクロ波が導入され、食品を加熱調理する。
以上の説明から明らかなように、マイクロ波加熱調理を行っている期間中は、上部ユニット100の第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、「非平常時」でない限り、全く運転はされない。そのため、加熱調理器1全体の消費電力を少なく抑えることができる。
この実施の形態2の加熱調理器1は、以上の説明から明らかなように、前記上部ユニット100には、前記誘導加熱源9を制御するIH制御部90と、前記マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の両者を制御する制御装置105と、これら2つの制御装置(スレーブマイコン)90、105を統合制御する統合制御装置MC(マスターマイコン)MCと、を備え、
前記上部ユニット100には、商用電源99からの電力を受けるフィルター回路基板54と、前記フィルター回路基板54からの電力を規定の電源電圧に変換する電源回路(34,36)と、を備え、
前記制御装置105と制御装置90及び前記統合制御装置MCは、前記電源回路34、36で生成した低い電圧の電力が電源として供給され、
前記誘導加熱源17のインバーター回路81と、前記マイクロ波加熱装置120のマイクロ波発生源122と、前記オーブン加熱装置140の上部ヒータ163A、下部ヒータ163Bは、前記フィルター回路54と前記電源回路34、36との間から分配された電力(200V電源)が印加される構成である。
この構成により、加熱調理器1の全体の電源構成が簡略化され、また不要なノイズの伝搬等を抑制して確実な動作が期待できる。
また、この構成によれば、1つの加熱調理器において、誘導加熱と、マイクロ波加熱及びオーブン加熱の3種類の加熱が実施でき、幅広い調理に対応できる利便性が高い加熱調理器となる。
図71は、図63に示した加熱調理器の、入力操作部40と統合表示部30を示した拡大平面図である。この実施の形態2では、前記中央操作部40Mは、連携調理メニューの各種入力キー43MC、43M1、43M2、43MS及び43MTを、それぞれ備えている。これら各入力キーは、ユーザーが指等で軽く触れた時の静電容量の変化を利用して入力できる方式の入力キーである。実施の形態1で説明した入力キー43M3に対応する入力キーは、設けていない。
この実施の形態2では、入力操作部40は、右操作部40R、中央操作部40M、左操作部40L及び前記前面操作部146の4つを含んでいる。なお、図示していないが、実施の形態1と同様に、主電源スイッチ97の操作キー(タッチ入力式)98は、中央操作部40Mと同様に、本体110の上面にあって、トッププレート15よりも前方側で、かつ、トッププレート15の右側端部近くに配置されている。
前記右操作部40Rは、誘導加熱源だけの入力操作を行うものであるため「個別操作部」と呼ぶ場合がある。同様に左操作部40も、「個別操作部」と呼ぶ場合がある。
これに対して、前記中央操作部40Mの一部分は、マイクロ波加熱源189と、オーブン加熱源188を利用した連携調理メニューの実施時に共通して使用されることから「連携用操作部」40MCと呼ぶ場合がある。
図71において、43MSは、加熱室113を利用した連携調理メニューの際に、当該連携調理メニューによる加熱動作の開始を指令することができるタッチ式入力キーである。この入力式キー43MSは、第1の実施形態の入力式キー43MSの機能とは少し異なり、加熱調理開始と停止の2つの2つの機能がある。
入力式キー43MSは、ユーザーが1回押すと、統合制御装置MCに対して加熱動作開始の指令信号を発信し、その後に更に1回押すと、加熱動作停止の指令信号を発信する。この順番で操作した回数に応じて、異なる信号を発信する。この点が実施の形態1の入力キー43MSと異なっている。
統合表示部30の画面構成も実施の形態1と少し異なり、第1エリア(左側エリア)30Lと第2エリア(中央エリア)30Mの2つで構成されている。
このように2つのエリア30L、30Mに限定した理由は、この統合表示部30では、連携調理メニューの識別情報330を第1のエリア30Lに表示し、第2エリア30Mには、付加情報331と調理工程情報(調理工程情報部)332を表示するからである。
43MCは、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189を使用した加熱調理をすることを選択する(RG制御メニューの選択用の)入力キーではない。この入力キー43MCは、連携調理メニューの表示だけを指令する入力キーである。この点が実施の形態1と大きく異なる点である。
引き続き図71について説明する。
一対の入力キー43M1は、統合表示部30の第1エリア30Lに表示された複数個の識別情報330の中から、目的の識別情報330、言い換えると被調理物を選択する入力キーである。左側の入力キー43M1を押す度に、図53で説明したように表示画面8A~8Aを一定の順番で切り替えることができる。また右側の入力キー43M1を押す度に、表示画面8Aを逆の順番で切り替えることができる。なお、表示画面の数は、被調理物の数によって変化するので、図53で説明したように表示画面8A~8Aを一定の順番で切り替えることができる。
次に図72について説明する。
図72は、連携調理メニューと誘導加熱源による単独調理メニューの関係を示す説明図である。連携調理の際に、使用される加熱源の動作が制限を受けることを示す図である。
なお、この図72に示す連携調理メニューは、実施の形態1の図45で説明した「第2の連携調理メニュー」である。
この事例の「第2の連携調理メニュー」は、マイクロ波加熱源189(第2の加熱源189)を先に動作させ、その加熱動作終了後に、第1の加熱源として誘導加熱源9を動作させる。なお、第2の加熱源と同時に、第3の加熱源としてオーブン加熱源188を動作させても良い。
図72に示すように、第2の連携調理メニューは、4つの段階から構成されている。
P1は、第1の段階(準備期間)であり、連携調理メニューを実行しようと、入力キー43MCを操作してから、入力キー43MSによって加熱調理が開始されるまでの期間である。
P2は、第2の加熱手段による加熱調理期間(調理工程1)である。
P3は、第2の加熱手段(この場合は、マイクロ波)による調理から、第1の加熱手段(この場合、誘導加熱)の調理に切り替わるため、マイクロ波加熱手段189の動作を一旦停止し、誘導加熱手段9の調理が開始されるまでの休止期間である。
P4は、マイクロ波加熱手段189による加熱調理期間(調理工程2)である。
この図72から明らかなように、連携調理メニューの選択をする段階、すなわち、連携調理メニューの調理の名称を示す識別情報330を統合表示部30に表示させた時点ではなく、入力キー43MSによって調理開始を決定した時点から、左加熱源17HLの左側操作部40Lは、使用できないようになる。また、前面操作部146の入力操作も、制限される。
具体的には、統合制御装置MCが、以下の機能制限処理を行う。
(1)前面操作部147からの入力信号の内、「あたため」や「RG自動」等の制御メニューを選択する信号は、無効化する処理を行う。これにより、加熱調理期間(調理工程1)に入っても、前面操作部147は使用できるが、「停止」と「加熱開始」の2つの入力しかできなくなる。そして加熱室113を使用して、実質的に連携調理メニューと関係しない調理が、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188では実行できない状態になる。なお、オーブン加熱時の火力(消費電力)の増減は、前面操作部147にある入力キー(図示せず)で行えるように変更しても良い。
(2)左側操作部40Lからの入力信号を有効な信号として認識しない処理を行う。これにより、加熱調理期間(調理工程1)に入ると、左側操作部40Lは使用できなくなる。そして左加熱部17HLでの誘導加熱調理ができない状態になる。
このように、加熱調理期間(調理工程1)に入ると、統合制御装置MCは、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188を、自由に使用できないようにする。
従って、左加熱部17HLは、連携調理メニューの選択によって「占有」された状態となる。また誘導加熱源9の全体から見れば、2つの加熱部の一部分(左側)だけ使用が「制限」されたことになる。
また前面操作部147は、連携調理メニューの選択によって機能が「制限」された状態となる。従って、連携調理メニューの「調理工程1」が開始されると、前面操作部146を使用して、個々の加熱源による単独調理メニュー(RG制御メニュー)を実行することができない状態になる。
図72に示すように、加熱調理期間(調理工程1)が終わると、制限状態が解除されるので、前面操作部147を操作して単独調理メニューを実行することができる状態になる。但し、加熱調理期間(調理工程1)が終わった後では、そのまま前面操作部147を操作して単独調理メニューを開始することを制限している。その理由は、連携調理メニューによって加熱された被調理物が加熱室113の中に存在するためである。
そこで、加熱調理期間(調理工程1)が終わった後、ドア114が開放されたことが統合制御装置MCで検知した場合に限り、統合制御装置MCは、前面操作部147からのマイクロ波加熱やオーブン加熱調理の開始指令を受けて、加熱調理を開始する。
なお、加熱調理期間(調理工程1)が終わった後、ドア114が開放されたことが統合制御装置MCで検知した場合であっても、加熱室113の中の温度が基準値よりも高い場合には、統合制御装置MCや非接触(赤外線)温度計測部158が、単独調理メニューを実行する前から異常な高温度を誤って調理完了と認識してしまう懸念がある。
このため、加熱調理期間(調理工程1)が終わった後も、直ぐにはマイクロ波加熱(特に「レンジ自動」の制御メニュー)は実施できないようにしている。
実施の形態2の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態2のビルトイン式複合型加熱調理器は、以下の構成である。すなわち、
第1の加熱手段である誘導加熱源9と、
前記誘導加熱源9と離れた場所にある第2の加熱手段であるマイクロ波加熱源189及びオーブン加熱源188と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、
表示手段である統合表示部30と、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を使用して1つの被調理物を調理する連携調理メニューを、複数個有し、
前記統合制御装置MCは、前記連携調理メニューの少なくとも1つを前記統合表示部30に選択可能に表示させて、1つの連携調理メニューの選択が行われた場合、当該連携調理メニューで使用する前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の双方について、特定の期間は前記連携調理メニュー以外のメニューに対応した動作を制限する構成であった。
この構成であるため、誘導加熱源9やマイクロ波加熱源189等の複数の加熱源を効果的に利用できる加熱調理器を提供できる。
また、連携調理メニューを実行できるため、各種の加熱調理に幅広く対応でき、しかも、連携調理メニューに使用する加熱源を優先的に使用できるので、ユーザーの操作性を損なうことがなく、利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
また、使用する誘導加熱源9又はマイクロ波加熱源189が、連携調理メニュー以外のメニューに対応した動作をしないように、その動作を実質的に禁止できる「特定の期間」は、前記連携調理メニューの実行を指示したときから開始される構成であった。
このため、連携調理メニューの実行に伴って、必要な加熱源を確実に確保することができる。
この実施の形態2のビルトイン式複合型加熱調理器は、以下の構成である。すなわち、
トッププレート15の上の被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源)9と、
加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源)189と、
前記加熱室113をマイクロ波以外の手段で加熱する第3の加熱手段(オーブン加熱源)188と、
前記第1の加熱手段9、前記第2の加熱手段189及び前記第3の加熱手段188を制御する統合制御装置MCと、
統合表示部30と、を備え、
前記統合制御装置MCには、前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を使用して、複数の被調理物の調理をするための連携調理メニューの連携動作プログラムが記憶されており、
前記連携動作プログラムは、前記マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188を、誘導加熱源9よりも先に動作させて加熱調理するシーケンスが規定されており、
前記統合制御装置MCは、
(1)1つの連携調理メニューが選択され、又は当該連携調理メニューでの調理開始の指令を受けた場合、前記誘導加熱源9、マイクロ波加熱源189及びオーブン加熱源188が前記連携調理メニュー以外のプログラムで動作することを制限し、
(2)前記マイクロ波加熱源189及びオーブン加熱源1の調理工程1を終え、又は途中で終了させた場合、前記マイクロ波加熱源189及びオーブン加熱源188が前記連携調理メニュー以外のプログラムで動作することの制限を解除し、
(3)前記誘導加熱源9による前記連携調理メニューでの調理開始の指令を受けた場合、前記誘導加熱源9による調理工程2を開始する、構成である。
このため、3つの加熱手段により、幅広い調理に対応した利便性の高い加熱調理器を提供できる。
また、連携調理メニューで最初に使用する加熱源を、当該連携調理メニューの調理で優先して使用できるため、連携調理メニューの実行にあたり、必要な加熱源を確保し、スムーズに連携調理を実行できる。
この実施の形態2のビルトイン式複合型加熱調理器は、以下の構成である。すなわち、
トッププレート15を備え、かつ加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれた被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源)9と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源)189と、
前記第1の加熱手段9と前記第2の加熱手段189を制御する統合制御装置MCと、
前記統合制御装置MCに指令を与える入力操作部40と、
統合表示部30と、
前記加熱室113前面開口部を開閉自在に閉鎖するドア114と、
前記ドア114の開放を検知するドア開閉検知機構131と、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記ドア114が閉鎖されている状態にある場合、前記連携調理メニューの開始の指令を受けると、前記連携調理メニューの前記マイクロ波加熱手段189による調理工程1を開始し、
前記統合制御装置MCは、前記マイクロ波加熱手段189の前記調理工程1を終えるまでは、前記誘導加熱源189が駆動されることを制限し、
前記マイクロ波加熱手段189による調理工程が終了した場合、前記統合制御装置MCは、前記ドア114が閉鎖されているかどうかに関係なく、前記誘導加熱源9による加熱調理の開始指令が、前記入力操作部40から行われた場合、前記誘導加熱源9による調理工程2を開始する構成である。
このため、誘導加熱とマイクロ波加熱を効果的に利用できる加熱調理器を提供できる。
また、連携調理メニューを実行できるため、各種の加熱調理に幅広く対応でき、しかも、連携調理メニューに使用する加熱源を優先的に使用できるので、ユーザーの操作性を損なうことがなく、利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
この実施の形態2のビルトイン式複合型加熱調理器は、以下の構成である。すなわち、
トッププレート15を有し、加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれる被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源)9と、
前記加熱室113の内部にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源)189と、
これら2つの加熱手段を制御する統合制御装置MCと、
加熱調理の情報を表示する統合表示部30と、
加熱調理の情報を報知する音声合成装置95と、
前記加熱室113の温度を計測する温度センサーTS2と、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記マイクロ波加熱源189を先に使用し、後から前記誘導加熱源9を使用する複数の連携調理メニューの内から、ユーザーが選択した1つを実行するものであり、
前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を規定の順に動作させる連携調理メニューと、前記マイクロ波加熱源を単独で使用するレンジ制御メニュー(RG制御メニュー)と、にそれぞれ対応した制御機能を有し、
前記連携調理メニューと前記レンジ制御メニューには、前記マイクロ波加熱源189による加熱動作を、前記温度センサーTS2の働きで自動的に停止させる自動制御機能を有し、
前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の双方について、特定の期間は前記連携調理メニュー以外のメニュー(RG制御メニュー、IH制御メニュー)に対応した動作を制限し、
前記統合制御装置MCは、前記温度センサーTS2からの温度計測結果が上限値を超えているときには、前記「連携調理メニュー」の選択過程で、前記報知部(音声合成装置95)によって加熱調理不可を報知し、連携調理メニューを実行しない構成である。
この構成によれば、連携調理メニューの選択過程で、マイクロ波加熱を行う加熱室113の温度が過剰に高い場合には、その旨報知し、連携調理メニューを実行しないため、ユーザーに混乱を招くおそれがない。
この実施の形態2においては、複数の加熱源を連携させて各種の加熱調理に幅広く対応できる、利便性の高い複合型加熱調理器を備えた厨房家具を実現できる。
この実施の形態2の複合型加熱調理器の制御用プログラムは、以下の構成である。すなわち、
トッププレート15を備え、かつ加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれた被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源)9と、
前記加熱室113を加熱する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源)189と、
ユーザーの操作を受け付ける入力操作部40と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の動作に関する情報を表示する統合表示部30と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、を備えた複合型加熱調理器の制御用コンピュータで実行されるものであって、
前記入力操作部40から連携調理メニューを選択するための指令信号1を受信するステップ1と、
複数の前記連携調理メニューの対象となる被調理物を特定する識別情報(調理物名称)を前記統合表示部30において表示するステップ2と、
前記連携調理メニューで最初に使用される前記マイクロ波加熱源189について、前記入力操作部40から前記連携調理メニュー以外のメニューの入力を制限するステップ3と、
前記連携調理メニューに関する前記識別情報を前記統合表示部30に表示させた状態で、前記入力操作部40からの加熱動作の開始用指令信号2を待つステップ4と、
を含むことを特徴とする構成である。
本発明によれば、複数の加熱源を連携させて各種の加熱調理に幅広く対応できる、利便性の高い複合型加熱調理器の制御用プログラムを提供することができる。
この実施の形態2の複合型加熱調理器の制御用プログラムは、以下の構成である。すなわち、
トッププレート15を備え、かつ前面開口部を開閉自在に閉鎖するドア114を有する加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれた被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源)9と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源)189と、
ユーザーの操作を受け付ける入力操作部40と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の動作に関する情報を表示する統合表示部30と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、を備えた複合型加熱調理器の制御用コンピュータで実行されるものであって、
前記入力操作部40から連携調理メニューを選択するための指令信号1を受信するステップ1と、
複数の前記連携調理メニューが対象とする、それぞれの被調理物を特定する識別情報330を前記統合表示部30において表示するステップ2と、
前記連携調理メニューで最初に使用される前記マイクロ波加熱源189について、前記入力操作部40から前記連携調理メニュー以外のメニューの入力を禁止又は制限するステップ3と、
前記連携調理メニューの対象となる被調理物に対応した識別情報を前記統合表示部30に表示させた状態で、前記入力操作部40からの加熱動作の指令信号2を待つステップ4と、
前記入力操作部40から前記指令信号2を受けた場合、前記ドア114が閉鎖されているかどうかを判定し、前記ドア114が閉鎖されている場合には前記マイクロ波加熱源189に対し、調理工程1の開始を指令するステップ5と、
前記調理工程1の終了信号を受けて、前記統合表示部30に前記誘導加熱源9の加熱動作が開始できることを表示し、前記入力操作部40から加熱動作の開始用指令信号3を待つステップ6と、
前記入力操作部40から前記開始用指令信号3を受けた場合、前記ドア114の開閉に関係なく、前記誘導加熱源9に対し、調理工程2の開始を指令するステップ7と、を含むことを特徴とする構成である。
この構成によれば、複数の加熱源を連携させて各種の加熱調理に幅広く対応できる、利便性の高い複合型加熱調理器の制御用プログラムを提供することができる。
この実施の形態2の複合型加熱調理器の制御用プログラムは、以下の構成である。すなわち、
トッププレート15を備え、かつ前面開口部を開閉自在に閉鎖するドア114を有する加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれた被加熱物Nを加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源)9と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源)189と、
ユーザーの操作を受け付ける入力操作部40と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の動作に関する情報を表示する統合表示部30と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、を備えた複合型加熱調理器の制御用コンピュータで実行されるものであって、
前記入力操作部40から連携調理メニューを選択するための指令信号1を受信するステップ1と、
前記連携調理メニューの対象となる被調理物に対応した識別情報330を前記統合表示部30において表示するステップ2と、
前記連携調理メニューで使用される前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189について、前記入力操作部40から前記連携調理メニュー以外のメニューの入力を禁止又は制限するステップ3と、
前記連携調理メニューに関する前記識別情報330を前記統合表示部30に表示させた状態で、前記入力操作部40からの加熱動作の指令信号2を待つステップ4と、
前記入力操作部40から前記指令信号2を受けた場合、前記ドア114が閉鎖されているかどうかを判定し、前記ドアが閉鎖されている場合には前記第2の加熱手段189に対し、調理工程1の開始を指令し、かつ前記統合表示部30における前記識別情報330の表示を消すステップ5と、
前記調理工程1の表示部332を、前記統合表示部30に表示するステップ6と、
前記調理工程1の終了信号を受けて、前記統合表示部30に前記誘導加熱源9の調理工程2が開始できることを表示し、前記入力操作部40から調理工程2の開始用指令信号3を待つステップ7と、
前記入力操作部40から調理工程2の前記開始用指令信号3を受けた場合、前記ドア114が閉鎖されているかどうかに関係なく、前記誘導加熱源9に対し、前記調理工程2の開始を指令するステップ8と、
を含むことを特徴とする構成である。
この構成によれば、複数の加熱源を連携させて各種の加熱調理に幅広く対応できる、利便性の高い複合型加熱調理器の制御用プログラムを提供することができる。
この実施の形態2の複合型加熱調理器の制御用プログラムは、以下の構成である。すなわち、
トッププレート15を備え、かつ前面開口部を開閉自在に閉鎖するドア114を有する加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれた被加熱物を加熱する第1の加熱手段(誘導加熱源)9と、
前記加熱室113にマイクロ波を供給する第2の加熱手段(マイクロ波加熱源)189と、
ユーザーの操作を受け付ける入力操作部40と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の動作に関する情報を表示する統合表示部30と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、を備えた複合型加熱調理器1の制御用コンピュータで実行されるものであって、
前記入力操作部40から連携調理メニューを表示させるための信号を受信するステップ1と、
複数の前記連携調理メニューが対象とする、それぞれの被調理物を特定する識別情報330を前記統合表示部30において表示するステップ2と、
前記連携調理メニューで最初に使用される前記誘導加熱源9について、前記入力操作部40から前記連携調理メニュー以外の動作を禁止又は制限するステップ3と、
前記識別情報330を前記統合表示部30に表示させた状態で、前記入力操作部40からの加熱動作の指令信号1を待つステップ4と、
前記入力操作部40から加熱動作の指令信号を受けた場合、前記ドア114が閉鎖されている場合に限り、前記マイクロ波加熱源189に対し、調理工程1の開始を指令するステップ5と、
前記調理工程1の終了信号を受けて、前記統合表示部30に前記マイクロ波加熱源189の加熱動作が開始できることを表示し、前記入力操作部40からの加熱動作の開始用指令信号2を待つステップ6と、
前記入力操作部40から前記開始用指令信号2を受けた場合、前記ドア114が閉鎖されている場合に限り、前記マイクロ波加熱源189に対し、前記調理工程2の開始を指令するステップ7と、
前記マイクロ波加熱源189による調理工程2の途中で、前記ドア114が開放されたことを検知すると、前記マイクロ波加熱源189によるマイクロ波の発振を一時的に停止し、前記連携調理メニューの設定は維持するステップ8と、
前記入力操作部40から前記マイクロ波加熱源189について、加熱動作の開始用指令信号3を受けた場合、前記ドア114が閉鎖されている場合に限り、前記マイクロ波加熱源189に対し、前記調理工程2の開始を指令するステップ9と、
を含むことを特徴とする構成である。
この構成によれば、複数の加熱源を連携させて各種の加熱調理に幅広く対応できる、利便性の高い複合型加熱調理器の制御用プログラムを提供することができる。
実施の形態3.
図73~図74は、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器を示すものである。
図73は、実施の形態3に係る加熱調理器1の、統合制御装置MCの記憶装置MMと、中央操作部40Mとの関係を示す説明図である。図74は、図73の加熱調理器1の連携調理メニューを選択した場合の、統合制御装置MCの制御動作を示すフローチャートである。なお、図1~図62に説明した実施の形態1の構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
図73は、実施の形態1の図26と図27に対応したものである。
この実施の形態3では、中央操作部40Mに配置した入力キー43MCによって、「RG制御メニュー」を表示させる表示指令信号1と、「連携調理メニュー」を表示させる表示指令信号2、とを発信させる構成になっている。
すなわち、図73に示すように、統合制御装置MCの記憶装置MMの内部には、前記入力キー43MCを操作した際の、表示指令信号1によって呼び出すことができる「RG制御メニュー」の記憶データ(動作プログラムを含む)と、入力キー43MCを操作した際の、表示指令信号2によって呼び出すことができる「連携調理メニュー」の記憶データ(連携動作プログラムを含む)とが、別々の記憶エリアに格納されている。
前記入力キー43MCは、1回操作(例えば、タッチ操作)すると前記表示指令信号1を発信し、その次に1回操作(例えば、タッチ操作)すると今度は、前記表示指令信号2を発信し、更にもう1回操作(例えば、タッチ操作)すると前記表示指令信号1を発信する。つまり、操作した回数に応じて、2種類の表示指令信号1と2が、順番に繰り返し発信される形態である。このため、入力キー43MCを2つ設置しなくとも、2つの表示指令機能を発揮できる。
この実施の形態3の入力キー43MCは、前記表示指令信号1によりRG連携メニューを呼び出し、また前記表示指令信号2により連携調理メニューを呼び出すことができるから、「包括表示用入力キー」43MCと呼ぶ場合がある。
統合表示部30の第1エリア30Lに表示させることができる合計11個の「RG制御メニュー」の名称(例えば「あたため」、「レンジ手動」等)を示すデータは、前記記憶装置MMの第1層に記憶させてある。
統合表示部30の第2エリア30Mに表示させることができる「制御条件」(例えば「マイクロ波出力値」、「通電時間」等)を示すデータは、前記記憶装置MMの第2層に記憶させてある。また、統合表示部30の第3エリア30Rに表示させることができる「制御条件」(例えば「グリル調理の加熱時間」等)を示すデータと、参考情報30Pは、前記記憶装置MMの第3層に記憶させてある。これらは、実施の形態1で説明した構成と同じである。
一方、「連携調理メニュー」のデータの「付加情報」として、調理工程の情報と、使用する加熱源の情報、制御条件(予熱完了温度等)、次の調理工程に進むためにユーザーの入力操作を促す誘導情報や指示情報等が、個々の連携調理メニュー毎に対応させて記憶させてある。これらの点も、実施の形態1で説明した構成と同じである。
図74は、実施の形態1の図50に対応したものである。
図74は、第2の連携調理メニュー(SR2B)(図45参照)における動作を示すものである。被調理物によって識別情報は異なるので、ある識別情報(被調理物)の名称を選択した場合、統合制御装置MCが第2の連携調理メニュー(SR2B)(図45参照)を自動的に選択する。
図74に示した第2の連携調理メニューの基本的な動作プログラムでは、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188による調理工程1を実行し、その後、調理工程2は、誘導加熱源9の左加熱部17HLで行うというシーケンスが規定されている。
図74のケースは、連携調理メニューにおいて、前記マイクロ波加熱源189による調理工程1を実行している途中で、左加熱部17HLの使用のための左側操作部40Lの操作があった場合である。
連携調理メニューの調理工程が、既にマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の加熱段階に進んでいる段階で、ユーザーが別の調理を行うため、左加熱部17HLを使用したいと思って、左操作部40Lを操作した場合、その操作信号を統合制御装置MCが受信する(ステップSK1)。
次のステップSK2では、ユーザーの入力操作結果を分析し、所定の禁止された制御条件に該当した内容であるかどうかを判定する。この事例では、制御条件の内、加熱調理時間の長短を判断する。言い換えると、「最長調理時間の制限」に該当するかどうかを判断する。
例えば、30分を超える時間、左加熱部17HLを使用する調理をすることが、タイマー調理の設定等の情報から判明した場合、このステップSK2の判定は「No」となり、ステップSK8の不許可理由通知に進む。
ステップSK2の「最長調理時間の制限」は、左加熱源17HLを使用する時間が、連携調理の実行に障害となる可能性を考慮して事前に決めてある。例えば、加熱室113における調理が、30分以上要する設定であれば、加熱室113を使用した連携調理を実行中に、左加熱部17HLでの(非連携調理メニューによる)調理(最長、30分間)が終わっていることになる。従って、30分より短い時間の左加熱部17HLの使用は、第2の連携調理メニューの実施と干渉しないということになる。
加熱室113における調理が、その都度、どの程度の時間を要するのか不明である場合、全ての連携調理メニューに関係する調理の時間設定や制御条件等から、一定の基準時間を設けて、その基準時間を前記「最長調理時間の制限」の最長時間に利用しても良い。
以上のような理由から、ステップSH2では「最長調理時間の制限」に該当した場合には、ステップSK8に進み、左加熱部17HLの不許可処理が行われる。具体的には、左側表示部31Lにおいて使用できないことの表示が行われ、また音声合成装置95によって音声で報知される。
一方、ステップSH2で「Yes」の判定を受けると、ステップSK3に進み、左加熱部17HLを使用した場合の最大電力量と、連携調理中の加熱源(マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188)の電力量との合計値を、電力制御部72によって判定させ、許容された最大電力値を超えるような場合には、この段階で、最大電力値を制限して左加熱部17HLの使用を許可する。そのため、ステップSK8とSK9を経由する処理ルートを設けている。
ステップSK9は、左加熱部17HLの不許可通知後、当該通知を知ったユーザーが、誘導加熱の最長時間を短く変更するケースがある。
あるいは、ステップSK8の段階で電力オーバーになることを通知された場合、火力設定値や火力レベルを下げると、再度ステップSK2で判定することになる。
ステップSK3で「Yes」の判定を受けると、ステップSK4に進み、左加熱部17HLのIHコイル17Lの駆動形態が自動的に決定し、ユーザーが設定した火力値又はIH制御部90が選定した火力値等が決定される。また、許可を受けた加熱時間が制御条件として確定する(SK4)。
次にインバーター回路81Lの駆動が開始され、誘導加熱調理が開始される(SK5)。この後、ユーザーからの停止指令が入力キー43L1であるかどうかの監視が行われ(SK6)、停止指令を受けた場合には、即時に誘導加熱動作を停止する。そして、左側表示部31Lで、調理の終了が表示される。また、音声合成装置95によって音声で調理終了が報知される(SK7)。タイマー調理を設定し、左側加熱部17HLでの調理を、設定した時間(例えば、25分間)以内に制限しても良い。
実施の形態3の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態3のビルトイン式複合型加熱調理器は、第3の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
第1の加熱手段である誘導加熱源9と、
前記誘導加熱源9と離れた場所にある第2の加熱手段であるマイクロ波加熱源189及びオーブン加熱源188と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、
表示手段である統合表示部30と、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を使用して1つの被調理物を調理する連携調理メニューを、複数個有し、
前記統合制御装置MCは、前記連携調理メニューの少なくとも1つを前記統合表示部30に選択可能に表示させて、1つの連携調理メニュー(第2の連携調理メニュー)の選択が行われた場合、先に使用する前記マイクロ波加熱源189について、特定の期間は前記連携調理メニュー以外のメニューに対応した動作を制限する構成であった。
この構成であるため、誘導加熱源9やマイクロ波加熱源189等の複数の加熱源を効果的に利用できる加熱調理器を提供できる。
また、連携調理メニューを実行できるため、各種の加熱調理に幅広く対応でき、しかも、連携調理メニューに使用する加熱源を優先的に使用できるので、ユーザーの操作性を損なうことがなく、利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
また、先に使用するマイクロ波加熱源189による調理工程1の途中で、連携調理メニューの「調理工程2」で使用する予定の誘導加熱源9の使用情報を統合制御装置MCで入手するから、当該誘導加熱源9の最長調理時間や、消費電力の大きさ等の条件を、統合制御装置MCが判断して、誘導加熱源9の左加熱部17HLの動作を禁止又は制限する構成であった。
このため、連携調理メニューの実行に伴って、調理工程2で必要な誘導加熱源9の左加熱部17HLを確実に確保することができる。
更に、実施の形態3では、
前記第1の加熱手段(誘導加熱源9)と前記第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)は、トッププレート15を有する本体110の内部に設置され、
前記誘導加熱源9は、前記トッププレート15の中央部から右側にある右加熱部17HRと、左側にある左加熱部17HLと、を備え、
第2の連携調理メニューを実行させた場合、前記統合制御装置MCは、調理工程1で、マイクロ波加熱源189を使用し、調理工程2では、左加熱部17HLのみを使用するため、当該左加熱部17HLの動作を制限する構成である。
このため、第2の連携調理メニューを実行できるため、各種の加熱調理に幅広く対応でき、しかも、連携調理メニューに使用する左加熱部17HLを優先的に使用できるので、ユーザーの操作性を損なうことがなく、利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
その他構成で実施の形態1と同じ部分については、実施の形態1で説明したような効果が得られる。
実施の形態4.
図75~図76は、本発明の実施の形態4に係る加熱調理器を示すものである。
図75は、実施の形態4に係る加熱調理器の、入力操作部と各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図1である。図76は、図75の入力操作部と中央操作部との関係を示す平面図2である。なお、図1~図62に説明した実施の形態1の構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
この実施の形態4では、中央操作部40Mが、RG操作部40MGと、連携操作部40MCの2つに分けている点が実施の形態1と異なっている。RG操作部40MGは、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188を使用する場合の共用操作部である。つまり、RG操作部40MGは、RG制御メニューで調理する場合に使用する。
一方、連携操作部40MCは、連携調理メニューを実行するための専用の操作部である。連携操作部40MCには、統合制御装置MCに対して連携調理メニューの識別情報330を表示させる指令を与える入力キー350と、この入力キー350の右側近傍にある入力キー340を備えている。
前記入力キー340は、連携調理の開始と停止を指令するためのものであり、1回目のタッチ操作では加熱調理を開始し、2回目の操作では加熱調理動作を停止する機能がある。
これら2種類の入力キー340、350が有効である場合に点灯する個別発光部27M6、27M7が、それぞれ配置されている。
前記入力キー340、350は、RG操作部40MGにおける入力キー43MS、43MCと明確に識別できるように、入力操作部40の表面上に、四角の枠線で囲まれ、さらに「連携調理」という文字での表示が行われている。
43MCは、「RG制御メニュー」を統合表示部30に表示させる表示指令信号を発信する入力キーである。また43MSは、タッチ操作に応じてRG制御メニューの調理工程の開始と停止の指令信号を出す入力キーである。
右操作部40Rは、誘導加熱源だけの入力操作を行う個別操作部である。同様に左操作部40Lも、個別操作部である。つまり、右操作部40Rと左操作部40Lは、IH制御メニューによる調理を行うためのものである。
右操作部40Rと左操作部40Lには、各種入力キー43R1、43L1、44R、44L等を配置しており、この点は実施の形態1と全く同じである。
更に、右加熱部17HRには、加熱動作開始を指令する入力キー43RSを有している。また、左加熱部17HLには、加熱動作開始を指令する入力キー43LSを有している。
前記RG操作部40MGには、入力キー43M1、43M2、43M3を、それぞれ配置している。
前記入力キー43M1、43M2、43M3は、連携調理メニューを表示させる指令を与える入力キー350が押されることにより、連携調理メニューの識別情報330が表示された時点から、連携操作部40MCのための入力キーとして機能する。
前記入力キー350は、1回押すと連携調理メニューの識別情報330を表示させる指令を与える入力キーとして機能するが、その後、再び押すと連携調理メニューの実行が取り消され、また統合表示部30における連携調理メニューの識別情報330や調理工程の情報332の表示も消える。
右操作部40Rと左操作部40L及び中央操作部40Mのそれぞれに、発光表示部27R、27L、27Mを設けている。例えば、中央操作部40Mにおいては、10個のタッチ式入力キー43MC、43M1、43M2、43M3、350、340の直ぐ後方に個別発光部27R1~27R7を配置している。なお、入力キー43M1のように、タッチ操作部が左右2つある入力キーは、1つの個別発光部27M3を共用している。
図75に示した状態は、連携調理メニューを選択する直前の段階のものである。このため、前記入力キー340、350の直ぐ後方に隣接している個別発光部27R6、27M7は、発光している。
また、被調理物と1対1の関係で対応している識別情報330を、順次統合表示装置30の第1エリア30Lの所定位置に表示させる機能がある入力キー43M1は、その後方にある個別発光部27M3が発光しており、入力操作可能であることを示している。
図75に示した段階では、入力キー340の操作を待っている状態である。そのため、ユーザーに操作を促すため、個別発光部27M7の発光は、連続発光ではなく、図74に破線の円で示すように点滅している。
次に図76について説明する。
図76に示した状態は、連携調理メニューの実施とは無関係な、オーブン加熱調理と左加熱部17HLを選択する直前の段階のものである。このため、前記入力キー43MS、43L4の直ぐ後方に隣接している個別発光部27M2、27L1は、発光している。
図76に示した段階は、入力キー43MSの操作を待っている状態である。そのため、ユーザーに操作を促すため、個別発光部27M2の発光は、連続発光ではなく、図76に破線の円で示すように点滅する形態である。
入力キー43MCを操作してRG制御メニューを統合表示部30に表示させた段階で、調理工程1の開始前に、再び入力キー43MCを操作すると、それ以前の入力設定はすべて解除される。
連携調理メニューを統合表示部30に表示させるには、入力キー350を操作する必要がある。更に、前記入力キー350を、1回押すと連携調理メニューの表示が取り消され、統合表示部30における連携調理メニューの識別情報や調理工程の表示が消える。
実施の形態4の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態4のビルトイン式複合型加熱調理器は、第3の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
第1の加熱手段である誘導加熱源9と、
前記誘導加熱源9と離れた場所にある第2の加熱手段であるマイクロ波加熱源189及びオーブン加熱源188と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、
表示手段である統合表示部30と、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を使用して1つの被調理物を調理する連携調理メニューを、複数個有し、
前記統合制御装置MCは、前記連携調理メニューの少なくとも1つを前記統合表示部30に選択可能に表示させて、1つの連携調理メニューの選択が行われた場合、先に使用する前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の何れか一方について、特定の期間は前記連携調理メニュー以外のメニューに対応した動作を制限する構成であった。
この構成であるため、誘導加熱源9やマイクロ波加熱源189等の複数の加熱源を効果的に利用できる加熱調理器を提供できる。
また、連携調理メニューを実行できるため、各種の加熱調理に幅広く対応でき、しかも、連携調理メニューに使用する加熱源を優先的に使用できるので、ユーザーの操作性を損なうことがなく、利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
更に、実施の形態4では、
前記第1の加熱手段(誘導加熱源9)と前記第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)は、トッププレート15を有する本体110の内部に設置され、
前記誘導加熱源9は、前記トッププレート15の中央部から右側にある右加熱部17HRと、左側にある左加熱部17HLと、を備え、
第2の連携調理メニューを実行させた場合、前記統合制御装置MCは、調理工程1で、マイクロ波加熱源189を使用し、調理工程2では、左加熱部17HLのみを使用するため、当該左加熱部17HLの動作を(連携調理メニュー以外のメニュー実施の目的では)制限する構成である。
このため、第2の連携調理メニューを実行できるため、各種の加熱調理に幅広く対応でき、しかも、連携調理メニューに使用する左加熱部17HLを優先的に使用できるので、ユーザーの操作性を損なうことがなく、利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
更に、実施の形態4では、入力操作部40の中に、連携調理メニューを実施するための入力を行う連携操作部40MCを配置しているので、入力操作部40の中から連携操作部40MCを容易に識別できる。このため、多数の入力キーが並んでいる入力操作部40の中で、連携調理を行う操作部の位置に迷うことがない。これにより、操作性を向上させることが期待できる。
その他構成で実施の形態1と同じ部分については、実施の形態1で説明したような効果が得られる。
実施の形態5.
図77~図86は、本発明の実施の形態5に係るビルトイン式複合型加熱調理器を示すものであり、図77は、実施の形態5に係る加熱調理器の簡略平面図である。図78は、図77の加熱調理器において、中央操作部と各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図1である。図79は、図77の加熱調理器の、中央操作部と各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図2である。図80は、図77の加熱調理器の、中央操作部と各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図3である。図81は、図77の加熱調理器の変形例であり、中央操作部と各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図である。図82は、図77の加熱調理器において、中央操作部の構成を示すブロック図である。図83は、図77の加熱調理器の統合表示部の表示動作を示す説明図1である。図84は、図77の加熱調理器の統合表示部の表示動作を示す説明図2である。図85は、図77の加熱調理器の統合表示部の表示動作を示す説明図である。図86は、図77の加熱調理器の統合表示部の表示動作の変形例を示す説明図である。なお、図1~図62に説明した実施の形態1の構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
図77に示す加熱調理器1は、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却したあとの冷却風の全部又は一部分を、そのまま加熱室113の内部を経由せずに、加熱調理器1の外部へ放出するという構成にした点が、実施の形態1と大きく異なる。
更に、この実施の形態5の加熱調理器1は、誘導加熱部17Hが、左加熱部17HLと右加熱部17HRに加えて、中央加熱部17HMを備えている点が、実施の形態1と大きく異なる。なお、この中央加熱部17HMを設けたため、左加熱部17HLと右加熱部17HRの位置は、実施の形態1の場合よりも前方に少し移動している。
TS10は、接触型の温度センサーとしてサーミスタであり、前記中央IHコイル17Mの中心部の空洞の中に配置されている。この温度センサーTS10は、実施の形態1の温度センサーTS4と同じように、トッププレート15の下面に直接接触し、又は熱伝導性のある介在物を介してトッププレート15の下面に接触している。これにより、トッププレート15の温度を計測する。そして温度計測結果を示す信号を、IH制御部90に送信するようになっている。
17MSは、金属製の鍋などの被加熱物Nを載置する望ましい位置を示すためにトッププレート15の上面に印刷等で表示している円形の位置マークである。
中央加熱部17Mを構成する中央IHコイル17Mは、右加熱部17HRのインバーター回路81Rで駆動される。つまり、右側IHコイル17Rと中央IHコイル17Mは、IH制御部90によって制御される切替部(図示せず)により、択一的に駆動されるようになっている。なお、中央IHコイル17Mの専用のインバーター回路を設けるようにしても良い。
中央操作部40Mには、中央加熱部17HMを選択できる入力キー43MC(図79参照)を備えている。当該入力キー43MCを操作すると、実施の形態1の図25で説明したように、統合表示部30にて「RG制御メニュー」の1つである「中央ヒータ」を選択できる。これにより、中央加熱部17HMでの加熱動作を指定できる。
この図77に示した実施の形態5の加熱調理器1では、実施の形態1の制御メニューの1つであった「RG調理」を、以下のように変更している。
すなわち、加熱室113を使用した調理に適するRG制御メニューの1つとして「RG連続調理」が設定されている。
前記「RG連続調理」は、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理するものである。次の2種類がある。
(1)マイクロ波加熱を先に一定時間だけ行い、その時間経過後、自動的に上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターン。
(2)80℃又はユーザーが設定した温度(但し、80℃~100℃以下の中で、任意の1つの温度を設定可能)になるまでマイクロ波加熱を行い、その後、使用が予約されているオーブン加熱に自動的に切り替わり、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで設定された時間又はユーザーが設定した温度に至るまでの期間だけ加熱するパターン。
以上のように、「RG連続調理」はユーザーが途中で再度加熱調理開始の指令を与えなくとも、調理が進行するものであり、ユーザーが加熱調理器1の傍に常に居なくとも良いので、ユーザーの負担軽減になる。
RG連続調理の制御メニューでは、マイクロ波加熱時の火力値(ワット)は、ユーザーは選択できず、「弱め」、「強め」等の何れか1つを選択して加熱強度を選択できる。
このような「RG連続調理」は、入力操作部40の中央操作部40Mによって選択できる。
また、この「RG連続調理」において、マイクロ波加熱とオーブン加熱の何れを先に行うかどうかをユーザーが選択できるように、前記中央操作部40Mには順番の選択キー(図示せず)を備えている。
実施に形態1で説明したように、この実施の形態5においても、中央操作部40Mには、入力キー43KPを設けてある。このためこの入力キー43KPを押すと、統合制御装置MCは「機能モード」に切り替わる。
次に、この実施の形態5の1つの特徴である前記中央操作部40Mと統合表示部30について説明する。
図78に示すように、統合表示部30の表示画面部300は、第1エリア30L~第3エリア30Rに加え、第4エリア303を有している。第1エリア30L~第3エリア30Rは、実施の形態1で説明したものと同じであり、実質的な表示面積が可変できる表示エリアである。しかし、第4エリア303は、面積は固定であり、第1エリア30L~第3エリア30Rの後方に接して横たわるように細長く形成されている。
統合表示部30の表面は、ガラス板で覆われており、周縁部を除く、略全域がユーザーの指の接触を感知する静電容量タッチ式パネルになっている。そこで、そのタッチ式パネル部分を、以下、「操作パネル」311と呼ぶ。なお、トッププレート15の下側に統合表示部30を配置した場合には、前記ガラス板は、トッププレート15である。
前記操作パネル311の全体は、前記第4エリア303に対応した「タッチ規制部分」と、第1エリア30L~第3エリア30Rとして機能する部分(タッチ推奨部分)に分かれている。
310は、前記タッチ規制部分の裏側に、蒸着や印刷等で形成されている電極である。操作パネル311がトッププレート15の一部で構成されている場合には、そのトッププレート15の裏側に、蒸着や印刷等の手段によって、前記電極310が形成されている。
前記電極310は、接触検知部(図示せず)に接触検知信号を送信するものであり、入力操作部40が、統合制御装置MCによって起動されている期間中、前記電極310の上方にユーザーがタッチしたことを、静電容量の変化から検知する。
金属鍋等の被加熱物N(図示せず)が統合表示部30の位置まで突出して置かれている場合(異常な状態)も、その被加熱物Nの過剰接近を、前記電極310で検知できる。このため、被加熱物Nが統合表示部30に異常に接近したり、上に覆い被さったりしたような異常な載置を統合制御装置MCで検知して警報を出すことができる。特に、天ぷら等の食用油を用いて調理をした場合、その天ぷら鍋(被加熱物)は高温になっているので、不用意に統合表示部30の上方を覆う形で置かれると、統合表示部30が過熱状態になり、故障の原因にもなり得る。しかし、この実施の形態5では、そのような事態も前記電極310で検知でき、ユーザーに警報を発することができる。
また、前記電極310と接触検知部(図示せず)は、前記「タッチ規制部分」にユーザーが触れないような安全装置として機能する。つまり、誘導加熱時に高温になるトッププレート15への、ユーザーの接触を最小限度に抑制できる。
68Tは、表示部68L、68Rと同様に、中央加熱部17HMを使用して誘導加熱調理をしている場合を示す表示部である。中央加熱部17HMを使用すると、赤色の光を放射する。
図78から明らかなように、実施の形態1の中央操作部40Mに具備していた各種入力キー43M1~43M3は、この実施の形態2では不要であるため、削除している。
その代わり、図80以降にて説明するタッチパネル入力装置301と、当該タッチパネルにおける操作情報を受け取るタッチジェスチャー判定装置302とを具備している。
次に図79について説明する。
統合表示部30は、実施の形態1の統合表示部30よりも大きなサイズのものが使用されている。一般に、この種の表示部に採用されている、TFT液晶モジュールの標準ラインナップを見ると、3.5インチ、3.97インチ、4.3インチ、4.6インチ、5.0インチ等の大きさのものが提供されている。実施の形態1のものが、例えば3.5インチ又は3.97インチであって場合、この実施の形態5では、それよりも1段階、2段階大きな画面サイズのものを使用できる。但し、図80に示しているように、トッププレート15は、左加熱部17HLや右加熱部17HR、中央加熱部17HMに接近する程、温度が高くなる傾向にある。そこで、高温表示部69(図示せず)に接近しないように、実施の形態1より前方FR側に統合表示部30を配置している。
前記高温表示部69(図示せず)は、高温になっている加熱源又は部位を、LEDの発光によって表示するものである。加熱源又は部位は、トッププレート15と、加熱室113の2か所である
実施の形態5では、実施の形態1で説明した各種入力キー43M1~43M3を省略できることにより、表示面積の大きな統合表示部30にできる。このため、図79に示すように第2エリア30Mと第3エリア30Rにおいても、制御メニューの中の条件の1つである目標温度や加熱時間等の情報を、より多く表示できる。
図79において、30Yは、目標温度や加熱時間等の「制御条件」の表示部である。30Y1と30Y2は、目標温度や加熱時間等の「制御条件」の次の候補を表示できる候補表示部である。
図79では、候補表示部30Yには、制御条件の1つとして、加熱時間の情報30Tが表示され、また選択できる2つの候補の加熱時間情報30T1、30T2も同時に表示される(図79では、表示省略している)。
図79において、361は、メニューの名称・種類を表示する制御メニュー表示部である。これは、前記第4エリア303の位置にある。
次に図80について説明する。
362は、前記制御メニュー表示部361に文字で表示された連携調理メニューの表示情報である。連携調理メニューを実施しない場合には、図79のような「メニュー」という表示に自動的になる。
図80に示しているように、第2エリア30Mにおいて表示された目標温度情報30Tが「180℃」であった場合、候補表示部30Yには、「185℃」という目標温度情報30T1と、「175℃」という目標温度情報30T2が表示される。
また、第3エリア30Rにおいては、表示された加熱時間情報が「10分」であった場合、候補表示部30Yには、「10分30秒」という(グリル調理時の)加熱時間情報30GY1と、「9分30秒」という加熱時間情報30GY2が表示される。
図80に示しているように、ユーザーは、指先FGで第1エリア30L~第3エリア30Rに触れたまま、前方FR又は後方BKに指先FGを動かすことで、表示された制御メニューを、次の候補の制御メニューに変えることができる。
図80~図83において、27M7は発光表示部27Mの一部を構成する発光部である。実施の形態1では、スタート選択部(入力キー43MS)に対応している発光部27M6を、加熱停止用入力キー43MTが共用していたが、この実施の形態5では、加熱停止用入力キー43MT専用に発光部27M7を設けている。
この発光部27M7は、加熱開始前は通常の連続的な点灯を行い、加熱動作が開始された後は、点滅に変更して発光させても良い。なお、発光部27M7は、加熱動作開始前は、入力キー43MTによる入力は不要であるので、入力機能は無効にしてあり、加熱動作開始時点から、上記したように連続発光や点滅等の形態によって発光させて、ユーザーが容易に目視で確認できるようにしている。
図81において、360は、統合表示部30の第2エリア30Mと第3エリア30Rに跨るように表示されるアイコンである。ここでいう「アイコン」とは、表示画面上に表示される図形であり、その部分をタッチすることにより、統合制御装置MCに対して支援情報を表示する指令信号が出されるものである。
図81に示しているように、ユーザーが指先でアイコン360に触れると、そのタッチ時点の調理工程や被調理物に応じた調理の仕方や注意事項等が、統合表示部30の第2エリア30Mや第3エリア30Rに、文字や図形で表示される。なお、音声合成装置95によって、調理の仕方や注意事項等を音声で報知しても良い。また、付加情報30Qのように、枠で囲まれた範囲に、調理の仕方や注意事項等を表示しても良い。
図81において、361は、前述したように、連携調理メニューを表示していることを表示する連携調理メニュー表示情報である。連携調理メニューを実施しない場合には、図79や図80のような表示に変化する。
次に図82を参照しながら、タッチパネル入力装置301と、タッチジェスチャー判定装置302について説明する。
操作パネル311を構成している第1エリア30L~第3エリア30Rは、ユーザーが行うタッチスチャー操作を受け付けるタッチジェスチャー入力手段である。また、タッチジェスチャー操作は、ユーザーの指先FGなどの特定の動きによる情報入力操作である。
タッチジェスチャー操作は、操作パネル311の表面を指先で軽く叩く操作であるタップ、操作パネル311の表面を指ではじく操作であるフリック、操作パネル311表面を指でなぞる操作(指を滑らす操作)であるスワイプを含むことができる。しかし、この実施の形態5は、ユーザーの指先FGを前後方向に移動させるタッチジェスチャー操作と、左右方向に移動させるタッチジェスチャー操作の、2つだけが有効であると判定される。これについては、後で詳しく述べる。
タッチジェスチャー操作は、指先FGを引きずる操作であるドラッグ、操作パネル311の表面において複数本の指先でつまみながら指先の間隔を狭める操作であるピンチイン、操作パネル311の表面において複数本の指の間隔を広げる操作であるピンチアウトなどもあるが、これらも、無効なタッチジェスチャー操作であると操作判定部313に識別される。
操作パネル311は、ユーザーによって行われる特定のタッチジェスチャー操作を受け付け、タッチジェスチャー操作に対応する入力操作情報(以下、「タッチ情報」と言う)IP1を出力する。
操作パネル部311の真下には、操作パネル部311と重ねて配置され、RG制御メニューと連携調理メニューとの、2つのメニューにそれぞれ関する各種情報(温度や火力等の、制御条件を含む)を示した操作用画像を表示する表示画面を配置している。表示画面は、例えば、液晶ディスプレイである。
図82に示されるように、タッチジェスチャー判定装置302は、操作判定部313と、通知部318と、を有している。
操作情報入力部312は、操作パネル部311から出力されたタッチ情報IP1を受け取る。操作情報入力部312は、受け取ったタッチ情報IP1に対応する入力情報IP2を操作判定部313に出力する。入力情報IP2は、タッチ情報IP1に対応する情報であり、タッチ情報IP1と同じ情報であってもよい。
操作判定部313は、操作情報入力部312からタッチ情報IP1を受け取り、出力情報としての選択値信号IP3を、通知部318に対して出力する。操作判定部313から出力される選択値信号IP3は、操作判定部313がタッチ情報IP1を基礎にして決定した選択値の信号である。この実施の形態5では、選択値の信号は、制御メニューと連携調理メニューを決定する情報となる。
操作判定部313は、受け取ったタッチ情報IP1から、ユーザーによるタッチジェスチャー操作の種類及び内容を判定する。
操作判定部313は、ジェスチャーモード判別部314と、ジェスチャー入力情報判定部315と、ジェスチャーエリア判定部316と、を有している。
参照パラメータ記憶部には、ユーザーのジェスチャーの内、少なくともスライダーモードのパラメータが格納されている。パラメータの1例としては、タッチジェスチャー操作の予め定められた時間における移動量、タッチジェスチャー操作の速度、又はタッチ時間のいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせに基づいて定められるパラメータがある。
ジェスチャーモード判定部314は、参照パラメータ記憶部の各種パラメータを参照して、入力情報IP2のジェスチャーモードを特定する。ジェスチャー入力情報判定部315は、ジェスチャーモード判定部314で特定されたジェスチャーモードでの値設定方式に従って選択値信号IP3を決定する。
ジェスチャーエリア判定部316は、ユーザーが第1エリア30L~第3エリア30Rの何れのエリアで、タッチジェスチャー操作を行ったのかどうかを識別する。
通知部318は、操作判定部313によって、第1エリア30L~第3エリア30Rの個々のエリア毎に、操作判定部313から選択値信号IP3を受ける。このため、通知部318は、第1エリア30L~第3エリア30Rの個々の表示情報を切り替え、また、そのような切り替えについて報知するように音声合成装置95に出力する。
表示部駆動回路63は、タッチジェスチャー判定装置302から、選択値信号IP4を受ける。この選択値信号IP4は、選択値信号IP3と同じ内容になる。
表示部駆動回路63は、タッチジェスチャー判定装置302の判定結果に従い、統合表示部30の前記表示パネル部311の表示内容を切り替える。つまり、表示部駆動回路63は、図82に示されるように、表示パネル部311に表示されるべき操作用画像の画像信号IP5を、表示パネル部311に対して出力する。
なお、図82においては、タッチパネル入力装置301とタッチジェスチャー判定装置302は、ハードウエア(H/W)構成の形で図示した。しかし、図82に示されるタッチジェスチャー判定装置302は、実施の形態2で説明した右側入力制御装置23(図70参照)によって実現している。右側入力制御装置23のソフトウエア記憶装置に、前記タッチジェスチャー判定プログラムを格納する記憶部を設けており、当該記憶部に格納されたタッチジェスチャー判定プログラムを、この右側入力制御装置23のマイクロコンピューターにより実行させている。
図82において、319は、参考情報記憶部である。この参考情報記憶部319の中には、実施の形態1で説明した参考情報30Pや付加情報30Qが格納されている。なお、この実施の形態5の制御回路(統合制御装置MCを含む)等の構成は、実施の形態2の図70で説明したものと同じである。
以上のようにこの実施の形態5の加熱調理器1は構成されているので、加熱調理を開始する場合には、最初に主電源スイッチ97を入れるために、入力操作部40の操作キー98を例えば数秒間押し続けると、この操作を電源スイッチ制御装置28が検知し、フィルター回路基板54の中にあるメインリレー107を閉じる。
このため、フィルター回路基板54から電源回路基板55に商用電源の電力が供給される。そして電源回路基板55の電源回路A34と電源回路B36によって、所定の電圧の電源が生成され、統合制御装置MCに印加される。
統合制御装置MCは、起動されると最初に加熱動作開始前の初期の自己診断を行い、異常が発生していないことを確認する。また、統合表示部30を起動し、初期情報を表示する。
この状態で、マイクロ波加熱装置120を使用するために、ユーザーが加熱室113のドア114を開けると、ドア開閉検知機構131がドア114の開放を示す信号を、制御装置105に送信する。このため、制御装置105は、ドア114の開放を示す信号を統合制御装置MCへ送信する。統合制御装置MCは、ユーザーがマイクロ波加熱調理を行うものと推定して、統合表示部30にマイクロ波加熱を開始するための必要な情報を表示し、加熱開始のための入力を促す。
ユーザーが、食品等の被調理物を加熱室113に入れてドア114を閉めると、再びドア開閉検知機構131がドア114の閉鎖を示す検知信号を、前記制御装置105を経由して統合制御装置MCに送信する。そのため、この状態で入力操作部40から加熱開始の指令が行われると、右側入力制御装置23は、マイクロ波加熱用の入力キーのタッチ入力有無を検知する。このため、右側入力制御装置23から統合制御装置MCに加熱開始指令を示す信号が送信される。
前記右側入力制御装置23は、中央操作部40Mの入力も検知している。そのため、前記統合表示部30の操作パネル311におけるタッチ情報に応じた選択値信号IP4を、表示部駆動回路63に対して発信する。
ここで再び図80を参照しながら、ユーザーが、オーブン加熱源188とマイクロ波加熱源189を使用した加熱調理を行う操作について説明する。
図80は、ユーザーが、オーブン加熱源188を使用して、制御メニュー「オーブン」を選択する場面を示している。
図80では、ユーザーの指先FGが3本同時に描かれているが、3本の指先FGで同時にタッチジェスチャー操作していることを示したものではない。左側の第1エリア30Lから順次右側にタッチジェスチャー操作を、3回していることを示している。
ユーザーが、第1エリア30Lにタッチジェスチャー操作(以下、「タッチ操作」と省略する)した場合、タッチジェスチャー判定装置302の操作判定部313は、操作パネル部311の一部を構成する第1エリア30Lからのタッチ情報IP1、このタッチ情報に対応した入力情報IP2を受ける。
前記第1エリア30Lに、制御メニュー「オーブン」が表示されている状態で、ユーザーが第1エリア30Lにおいて、指先FGを第1エリア30Lに触れたまま、前方FR又は後方BKに(一定の速度範囲で)動かすと、ジェスチャーモード判別部314によって正規の(特定)タッチジェスチャー操作であると認識され、タッチ情報が生成される。
そして、前方FRに操作したことを示すタッチ情報である場合、操作判定部313は、表示部駆動回路63を介して第1エリア30Lの表示を変更する。そして、次の候補である「グリル」又は「あたため」を第1エリア30Lに表示させることができる。
同様に、第2エリア30Mにおいても、目標温度を選択できる。図80では、デフォルト値で「180℃」と表示されているが、候補表示部30Y2に表示されている「185℃」という目標温度情報30T1に変更することができる。また、後方BKにタッチ操作すると、「175℃」という目標温度情報30T2を中央部に表示させることができる。
同様に、第3エリア30Rにおいても、ジェスチャーモード判別部314によって認識されるようなタッチジェスチャー操作であれば、その都度、タッチ情報が生成され、第3エリア30Rの表示情報を変更できる。
この実施の形態5では、ジェスチャーモード判別部314によって認識されるようなタッチジェスチャー操作は、タッチしてからの移動方向が、前方FR又は後方BKの何れか一方であるように設定されているため、前述したような、「ピンチイン」や「ピンチアウト」のようなタッチジェスチャー操作では、表示の切り替えはできない。
後述する参照パラメータ記憶部317には、ユーザーのジェスチャーの内、スライダーモードに限定したパラメータが格納されている。そのため、スライダーモードとは判別できない状態では、表示の切り替えはできない。例えば前記した「ピンチイン」や「ピンチアウト」のタッチジェスチャー操作では、予め定められた時間における移動量、タッチジェスチャー操作の速度、又はタッチ時間等の組み合わせに基づくパラメータに合致しない結果になるからである。
図83は、図77~図82の実施の形態5の変形例を示したもので、中央操作部40Mと各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図である。
この図83の変形例における参照パラメータ記憶部317には、ユーザーのジェスチャーの内、少なくともスライダーモードのパラメータが格納されている。そのスライダーモードは、前後方向及びその前後方向と直角方向(右方向RTと、この右方向に対し±30度の範囲)の2つの方向に指定してある。つまり、角度60度の範囲でスライダーモードが検知される。パラメータの1例としては、タッチジェスチャー操作の予め定められた時間における移動量、タッチジェスチャー操作の速度、又はタッチ時間のいずれか1つ又は2つ以上の組み合わせに基づいて定められるパラメータである。
図83に示す「RG手動」というRG制御メニューの名称の上にタッチされたまま、一定時間以上(例えば、3秒間、又は5秒間)タッチしている状況が続いた場合には、他の表示エリアに情報を表示する。例えば第2エリア30M又は第3エリア30Rにおいて、タッチしているRG制御メニューの解説や、個々の制御メニューの制御条件を決める参考情報、RG制御メニューに対応した調理の注意事項(鍋等の調理器具を含む)等を表示しても良い。その場合、面積が小さい追加画面(又は、吹き出し)30ADの形式にして文字や図形等で表示しても良い。図83では、食品を入れる容器について付加情報30Qを、文字で表示させた例である。
更に、音声合成装置95による音声ガイドでユーザーの操作を補うような助言を行っても良い。このように変更するには、前記ジェスチャーモード判別部314(図82参照)のジェスチャー判定データと、参照パラメータ記憶部317のパラメータ情報を拡充又は変更する必要がある。
図84では、第1エリア30Lに指先FGをタッチしたまま、右方向に動かす図であるが、このように右方向に指先FGが動いた場合には、前記ジェスチャーモード判別部314は、1つ前の表示内容に戻すことと判別する。そのため、図83に示した追加画面30ADは、消される。
前記ジェスチャーモード判別部314と参照パラメータ記憶部317は、ユーザーの厳密な左右方向と、これに直交するような前後方向だけのタッチジェスチャーを検知するのではなく、一定の検知幅(前記したように、角度60度の範囲)を持って指先FGの軌跡を検知するようにしてある。そのため、多少斜めに指先を動かしても、追加画面30ADのキャンセル指令であると前記ジェスチャーモード判別部314が判別できる。なお、このように右方法のタッチジェスチャーで追加画面30ADを消すのではなく、表示から一定時間で自動的に消す方法または追加画面30Dに、再度タッチした場合には、即座に消す方法等に変更しても良い。
図85は、図77の加熱調理器の統合表示部30の表示動作を示す説明図である。
この図85から明らかなように、統合制御装置MCは、起動されると最初に加熱動作開始前の初期の自己診断を行い、異常が発生していないことを確認する。また、統合表示部30を起動し、初期情報として、待機時共通情報30Nを表示する。
統合制御装置MCは、前記入力操作部40によって、前記マイクロ波加熱源9と前記オーブン加熱源188の何れかが選択される前においては、前記表示画面30Dにおいて、前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188の待機時共通情報30Nを表示する。そして、前記マイクロ波加熱源189と前記オーブン加熱源188の何れかが選択された後においては、前記第1のエリア30L、前記第2のエリア30M及び前記第3のエリア30Rに区画して、「RG制御メニュー」や「制御条件」の表示をする。
また連携調理メニューの表示指令を受ければ、「連携調理メニュー」を示す情報を、前記第1のエリア30Lに表示する。
以下、具体的に図85を参照しながら、入力操作部40と統合表示部30の動作について説明する。
主電源スイッチ97をOFFにしている状態では、統合表示部30は起動されていないので、何も情報を表示していない。
主電源スイッチ97をONにした状態では、統合制御装置MCは、前述したように異常有無等の自己診断を行ったあとで、図85の表示画面1を統合表示部30で表示する。
図85の表示画面1は、実施の形態1の図36で説明した表示画面1と同じである。
30Bは、インターネット経由で専用のレシピ掲載サイトに誘導するための二次元情報(二次元コード)である。30Cは、その二次元コードの意味を説明した文章である。この二次元情報30Cと、前記表示文は、待機時共通情報30Nの1種である。
表示画面1が表示されたあと、自動的に表示画面2A又は2Bが表示される場合がある。また、表示画面2C~2Eが表示される場合がある。表示画面2Aにおいて、「突沸注意」は、注意表示の1つである。
この実施の形態5では、実施の形態1で説明した表示画面2Aと2Bに加え、表示画面2C~2Eの3つの表示画面を表示できるところが特徴の1つである。
実施の形態1で説明したが、加熱室113を使用して、マイクロ波加熱とオーブン加熱を組み合わせて加熱調理する制御メニューを「レンジグリル調理」(RG調理)と呼んでいた。この実施の形態5においても、レンジグリル調理(RG調理メニュー)では、マイクロ波加熱を先に行い、ある程度食品を加熱してから、上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bで加熱するパターンと、この逆の順序で加熱するパターン、及びマイクロ波加熱とヒータ加熱を同時に行うパターンの3種類がある。
また、連携調理メニューでも、「レンジグリル調理」に相当する調理が行われる場合がある。
一般に、耐熱性のプラスッチック容器や食器類に被調理物を入れてマイクロ波加熱を行うことが良く行われるが、このままの状態で、次に上部ヒータ163Aや下部ヒータ163Bを発熱させた場合、上記した容器等が高熱で焼損するおそれがある。
そこで、表示画面2Cでは、制御メニューの「レンジグリル(RG)」では、加熱室113の内部にプラスチック容器を入れて加熱しないよう警告した注意表示文30Eを表示させた例である。つまり、「レンジグリル」という制御メニューの実行にあたり、この注意表示文30Eは、「待機時共通情報」30Nの1種である。
また連携調理メニューの実施においても、前記注意表示文30Eが表示されるので、有益である。
表示画面2Dは、加熱室113の内部にマイクロ波を導入して「あたため」のRG制御メニューの加熱調理をする場合に関するものであり、グリル庫(加熱室113)の温度が高く、「あたため」のRG制御メニューは選択できないことを告知した例である。30Eが、「レンジ自動」は使えないことを示す注意表示文30Eである。
「あたため」(レンジ自動)のRG制御メニューでは、非接触(赤外線)温度計測部158が加熱室113内の被調理物の温度や加熱室113壁面温度を検知して、目標温度に到達した段階で自動的にマイクロ波の発振を停止する。そのため、以前行った調理時の熱が残っていて温度が最初から高い場合には、マイクロ波加熱を自動で行うことを統合制御装置MCで禁止している。
そこで、図85の表示画面2Dに示すように、「レンジ手動」のRG制御メニューを選ぶようにユーザーに報知している。「レンジ手動」は、マイクロ波加熱時間を設定して行うものであるので、加熱室113内の被調理物の温度や加熱室113壁面温度が高くても、何ら支障なく調理できる。この表示画面3Dの表示文30Eも、この発明でいう「待機時共通情報」30Nの1種である。
表示画面2Eにおいて、30Eは、トッププレート15が高温度になっていて、不用意に接触しないように警告した注意表示である。トッププレート15の上に金属鍋や金属プレート等の被加熱物Nを置いて、誘導加熱すると、被加熱物N(図示せず)の温度を受けてトッププレート15も高温度になる。そこで、実施の形態1と同様に、加熱源表示部68の直ぐ後方位置に高温表示部69を設けているが、この高温表示部69に加えて、統合表示部30においても、同様な高温表示を行う場合に、この表示画面2Eが使用される。この表示画面2Eにおいて、トッププレート15が熱いことを示した表示文30Eも、待機時共通情報30Nの1種である。
表示画面2C~2Eは、常に主電源スイッチ97をONにした場合に、表示されるものではなくて良い。
例えば、以下のようなパターン分けをする。
(1)トッププレート15が高温度になっていたときは、表示画面1と表示画面2Eを、数秒間隔で交互に表示させる。
(2)加熱室113が高温度になっていたときは、表示画面1と表示画面2Dを、数秒間隔で交互に表示させる。又は、表示画面1と表示画面2Bを、数秒間隔で交互に表示させる。
(3)主電源スイッチ97を入れる前の、前回の調理、又は過去数回の調理時に「レンジグリル」のRG制御メニューで調理された実績(履歴)データがある場合には、表示画面1と表示画面2Cを、数秒間隔で交互に表示させる。また、連携調理メニューの実施における調理された実績(履歴)データがある場合にも、同様に表示させる。なお、統合制御装置MCは、1回の加熱調理時の「RG制御メニュー」と「連携調理メニュー」の実行回数を自動的に蓄積し、記憶部MMに過去の加熱調理履歴として記憶している。そのため、主電源スイッチ97がONされたあと、上記加熱調理履歴を参照して、加熱室113の加熱実績(加熱回数、累積加熱時間等)や、レンジグリル調理の実績(累積マイクロ波加熱時間等)を把握できる。
トッププレート15が高温度になっていて、しかも加熱室113も高温度になっていたときは、表示画面1を最初に数秒間表示させ、その後は、表示画面2Dと表示画面2Eを、数秒間隔で交互に表示させるようにすればよい。なお、以上のような各表示画面2A~2Eの待機時共通情報30Nの内容は、音声合成装置95によって音声で報知しても良い。
図85の表示画面1~表示画面2Eによって明らかなように、これら表示は、表示画面30Dの全体を利用して行っている。つまり、前述した第1エリア30L~第3エリア30Rの何れかで部分的に表示するのではなく、できるだけ広い表示面積を確保するため、第1エリア30L~第3エリア30Rの3つを識別できないように一体化表示をして、ユーザーには統合表示部30の全体で表示しているように見せている。
統合制御装置MCは、マイクロ波加熱動作を制御する制御装置105に駆動指令を発信し、リレー182を閉じ、インバーター回路121Aを駆動してマイクロ波加熱を開始する。また同時に第3冷却ファン128と第4冷却ファン129の駆動回路177A、177Bに運転指令信号を出して、それら2つの冷却ファン128、129の運転を開始する。さらに、図示していないが、アンテナ駆動用モータ126を駆動してアンテナ125を回動させる。これにより加熱室113の内部にはマイクロ波が導入され、食品を加熱調理する。
以上の説明から明らかなように、マイクロ波加熱調理を行っている期間中は、上部ユニット100の第1冷却ファン60と第2冷却ファン61は、全く運転はされない。そのため、加熱調理器1全体の消費電力を少なく抑えることができる。
なお、図示していないが、入力操作部40の一部を構成する右操作部40Rと、左操作部40Lも備えている。
右操作部40Rと左操作部40Lにおけるタッチ式入力キー部は、静電容量の変化を検知する電極を、個々のタッチキーエリアに対応して設けるため、そのような電極と、各タッチキーの部分を光で照らすためのLED(発光ダイオード)等、多数の部品を必要とする。そのため、図示していないが、タッチ式入力キー部を構成する部品は、前記中央操作基板32と左側操作基板38に分散させて実装されている。なお、電源スイッチ97の入力用キー98の部品もその中央操作基板32に実装されている。
中央操作部40Mに設けた統合表示部30において、第1エリア30L~第3エリア30Rに、希望するRG制御メニューが表示されている状態で、ユーザーが入力キー43MSにタッチすれば、その第1エリア30L~第3エリア30Rに表示されている条件が、右側入力制御装置23において確定情報(確定の制御メニュー、確定値)と認識され、統合制御装置MCに送信される。以後、この確定情報に基づいてRG調理メニューの制御が実行される。前述したように、中央操作部40Mの統合表示部30に対応して設けた前記タッチジェスチャー判定装置302(図82参照)は、右側入力制御装置23(図70参照)によって実現している。
第1エリア30Lに、希望する連携調理メニュー(の識別情報330)が表示されている状態で、ユーザーが入力キー43MSにタッチすれば、その第1エリア30Lに表示されている連携調理メニューの制御条件が、右側入力制御装置23において確定情報(確定の制御メニュー、確定値)と認識され、統合制御装置MCに送信される。以後、この確定情報に基づいて連携調理メニューの制御が実行される。
図86は、図77の加熱調理器の統合表示部の表示動作の変形例を示す説明図である。
この変形例では、統合表示部30の表示画面30Dに、制御メニューの名称(特定文30J)を表示させた状態から、連携調理メニューの識別情報330を表示させた状態への切り替えをタッチ操作で簡単にできるようにしたものである。
また逆に連携調理メニューから制御メニューを表示した画面への切り替えも簡単に行えるようにしたものである。
タッチジェスチャー操作は、この変形例においても、ユーザーの指先FGを前後方向に移動させるタッチジェスチャー操作と、左右方向に移動させるタッチジェスチャー操作の、2つだけが有効であると判定される構成である。
図86に太い矢印で示す指先FGの前後方向の移動によって、第1エリア30Lに表示した特定文30Jを、前方FR又は後方BKに移動させるような表示画面に切り替えることができる。これにより所望のRG制御メニューと制御条件を、個々に選択できる。例えば、図86では、第2エリア30Mでは加熱(目標)温度が180℃、加熱時間が10分間と表示されているので、これら制御情報を指先FGの前後方向の動きで、所望の条件に変更できる。
更に、第1エリア30Lに指先FGを触れたまま、左側LEの方向にその指先FGを移動させると、図86の右半分に示したような連携調理メニューの表示画面30Dに切り替わる。その後、識別情報330に指先FGを触れたまま、前方FR又は後方BKに移動させると、次々と別の被調理物の識別情報を表示画面30Dに表示させることができる。
従って、このように所望の制御メニューの特定文30Jや連携調理メニューの識別情報330を、第1エリア30Lの中央に表示させて、加熱調理開始の指令をユーザーが与えれば、所望の制御メニュー又は連携調理メニューによる調理工程を実行できる。
実施の形態5の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1のビルトイン式複合型加熱調理器は、第1の発明を以下の形態で実施していた。すなわち、
第1の加熱手段である誘導加熱源9と、
前記誘導加熱源9と離れた場所にある第2の加熱手段であるマイクロ波加熱源189及びオーブン加熱源188と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、
表示手段である統合表示部30と、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を使用して1つの被調理物を調理する連携調理メニューを、複数個有し、
前記統合制御装置MCは、前記連携調理メニューの少なくとも1つを前記統合表示部30に選択可能に表示させて、1つの連携調理メニューの選択が行われた場合、先に使用する前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の何れか一方について、特定の期間は前記連携調理メニュー以外のメニューに対応した動作を制限する構成であった。
この構成であるため、誘導加熱源9やマイクロ波加熱源189等の複数の加熱源を効果的に利用できる加熱調理器を提供できる。
また、連携調理メニューを実行できるため、各種の加熱調理に幅広く対応でき、しかも、連携調理メニューに使用する加熱源を優先的に使用できるので、ユーザーの操作性を損なうことがなく、利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
更に、前記連携調理メニューは、互いに異なる識別情報(被調理物の名称)で被調理物を識別できるように、前記統合表示部30において表示され、
前記統合制御装置MCは、前記識別情報の1つを、ユーザーによって選択されるまで前記統合表示部30で表示する待機段階と、この待機段階において、1つの前記識別情報を選択する指令を受け、又は前記連携調理メニューでの調理開始の指令を受ける受付段階と、前記誘導加熱源9又はマイクロ波加熱源189の何れかを先に動作させて加熱調理を実行する制御段階と、を順次行う構成であった。
このため、識別情報によって目的の被調理物の連携調理メニューを、統合表示部30に表示させている期間中、ユーザーは所望の連携調理メニューを選定できるため、ユーザーの操作性と確実性を向上させることが期待できる。
更に、前記連携調理メニューは、互いに異なる識別情報(調理物の名称を含む)で被調理物を識別できるように、前記統合表示部30において表示され、
前記入力操作部40は、前記連携調理メニューの識別情報(被調理物の名称)を、前記表示画面30Dに表示させた状態で、ユーザーの指先の動きに応じて、目的とする1つの連携調理メニューを選択して加熱動作を開始することができる構成である。
このため、入力操作部40を中心に連携調理メニューの識別情報の表示と選択を行うことができ、1つの操作部で集中した入力が行え、操作性が向上する。
更に、前記統合表示部30では、前記制御メニューを特定する制御モードの名称(特定文30J)と、当該制御モードに適用できる個別の制御条件とが、並んだ状態で表示される構成である。
このため、ユーザーは前記表示画面30Dを見て、制御モードと個別の制御条件とを、容易に対比させることができる。
更に、前記統合制御装置MCは、ユーザーの指先FGで一定の方向に操作する度に、前記連携調理メニューの識別情報や、RG制御メニューの名称(特定文30J)等を順次表示させる構成である。
このため、ユーザーの選択操作が簡単に行え、指先FGの操作によって直観的な表示画面の切り替えや、各種メニューの選択が行え、操作性が向上する。
更に、第3の加熱手段(オーブン加熱源188)は、前記連携調理メニューを実行させた場合、前記第2の加熱手段(マイクロ波加熱源189)と協働して被調理物を加熱する構成である。
このため、第1~第3の3つの加熱手段の利用によって、より幅広い調理に対応できる利便性の高い加熱調理器を提供できる。
この実施の形態5においても、その他構成で実施の形態1と同じ部分については、実施の形態1で説明したような効果が得られる。
実施の形態6.
図87~図90は、本発明の実施の形態6に係るビルトイン式複合型加熱調理器を示すものであり、図87は、入力操作部と中央操作部との関係を示す平面図である。図88は、連携調理メニューを選択した場合の、左操作部と左側表示部の動作を示す平面図である。図89は、連携調理メニューを選択した場合の、左操作部と左側表示部の別の表示動作例を示す平面図である。図90は、加熱調理器1の連携操作部40MCの入力動作と、統合表示部30及び左側表示部30Lの表示情報の関係を示す説明図である。なお、図1~図62に説明した実施の形態1の構成と同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
この実施の形態6の連携操作部40MCは、実施の形態4の図76で説明したように、連携調理メニューを実行するための専用の操作部を有している。その連携操作部40MCには、統合制御装置MCに対して連携調理メニューのコースを選択するために、識別情報330を表示させる指令を与える入力キー350と、この入力キー350の右側近傍にある、調理工程開始の指令を発する入力キー340と、を備えている。
図88は、連携調理メニューを選択した場合において、誘導加熱の段階に進んでいる際に、誘導加熱の火力レベルを調節できることを示している。
この実施の形態6の左側表示部31Lは、実施の形態1の統合表示部30のように、表示画面の中が、第1エリア31D1、第2エリア31D2、第3エリア31D3の、3つに区画されて表示されるようになっている。
第3エリア31D3に誘導加熱の火力レベルが、「強め」、「やや強め」等のように5段階で表示される。この表示情報は、図60で説明した「誘導加熱の火力レベルを示す情報30V」と同じ性格のものである。このため、一対の入力キー43L2を操作すれば、誘導加熱の火力レベルをユーザーが選択できる。なお、デフォルト値は、「標準火力」にしてある。
第3エリア31D3には、「火力ボタンで火力を調節できます」と表示(331L)されているが、この火力ボタンとは、この場面では、入力キー43L2である。
第2エリア31D2には、実施の形態1(図60)で示した調理工程情報(調理工程情報部)332に相当する調理工程情報332Lが表示される。
43L3は、左加熱部17HLを選択するための入力キーであり、実施の形態1の入力キー43L1に相当する。
43STは、左加熱部17HLにおける加熱調理を開始するための入力キーであり、また、加熱調理を停止するための入力キーを兼ねている。1回押すと加熱調理開始し、調理工程の途中で押せば停止指令を発する。このように押した回数に応じて停止と開始が交互に指令できる。この左操作部40Lに配置した前記入力キー43STは、連携調理メニューの調理工程を開始するための入力キーではない。
本体110の左右中央部に配置した連携操作部40MCにおいて、入力キー43M1が操作されると、この図88に示すように、統合制御装置MCは、左側表示部31Lにおいて、連携調理メニューの識別情報330を表示する。この図87では、識別情報330は1つの被調理物の名称を示す「ハンバーグ」という文字情報である。
そのハンバーグを「連携調理メニュー」によって調理させるための入力キーは、43STではなく、入力キー340である(図87参照)。
調理個別発光部27L4(図88参照)が発光するタイミングは、一旦、入力キー340が操作された段階、又はその後連携調理メニューやその他メニューによって調理工程が開始された以降である。
この実施の形態6では、調理個別発光部27L4は、入力キー43STが操作入力を受け付ける段階になると点灯する。
入力キー340が操作された以降は、左加熱部17HLの火力を調節できる入力キー43L2も入力できる状況であるため、個別発光部27L2を点灯させる。なお、この左加熱部17HLは、選択用の入力キー43L3によって選択されるのではなく、連携調理メニューの「ハンバーグ」調理の場合で、左加熱部17HLと決まっている。このため、入力キー43L3の真後ろにある個別発光部27L3は、点灯していない(入力キー43L3の入力機能が無効化されているため)。
そして、この場合の連携調理メニューの動作プログラムが、最初に誘導加熱源9(左加熱部17HL)を先に動作させて調理工程1を実施し、この調理工程1が終了した場合、前記マイクロ波加熱源189で調理工程2を行うことを規定している。
このため、調理工程1が終了する直前(30秒程度前)には、統合表示部30において調理工程2を事前に確認できるするような案内文が表示される。その後に、左側表示部31Lでの調理情報、調理工程1と調理工程2の表示は終了する。
次に、図89について説明する。
図87に示した連携操作部40MCにおいて、入力キー350が操作されると、この図89に示すように、統合制御装置MCは、左側表示部31Lにおいて、1つの連携調理メニューの識別情報330を表示する。この点が、実施の形態1~5と大きく異なっている。識別情報330は1つの被調理物の名称又は略称を示す文字情報である。
この図89では、第3エリア31D3に誘導加熱の予熱工程の「目標温度」が、「180℃」と表示される。この予熱温度値331Tは、図58で説明したように、連携調理メニューを選択した場合、統合表示部30に表示される付加情報331の中にの一部である。なお、この被調理物についての予熱温度のデフォルト値は、180℃にしてある。
以上のように、この実施の形態6では、連携調理メニューで使用する誘導加熱源9専用の表示部(左側表示部)31Lにおいて、特定の被調理物のための目標温度や火力等の制御情報、予熱温度値331Tと、調理工程情報(調理工程情報部)332Lが表示される(図89参照)。
表示された1つの連携調理メニューが、ユーザーの希望するものと異なる場合には、左側操作部40Lの1対の入力キー43L1を押して次の連携調理メニューを表示させるのではない。図89に示しているように、個別発光部27L1は、点灯していない(従って、入力キー43L1の入力機能が無効化されている)。
別の連携調理メニューを表示させるには、図87に示した連携操作部40MCの入力キー43M1を操作する。1回押す毎に、一定の順番で連携調理メニューの識別情報330や予熱温度値331T等の情報の組合せ(セット)が、同時に次々と表示される。
次に、図90について説明する。
図90は、加熱調理器1の連携操作部40MCの入力動作と、統合表示部30及び左側表示部30Lの表示情報の関係を示す説明図である。
ステップSC1からSC8の順序で動作する。これら各ステップSC1~SC8は、統合制御装置MCの制御プログラムにて決定されている。
この実施の形態6の加熱調理器1では、調理のコースは、大きく分けて「RG制御メニュー」を選択するコースと、「連携調理メニュー」を選択するコース、の2つがある。
RG制御メニューで調理するコースを選ぶには、左加熱部17HL又は右加熱部17HRを選ぶ誘導加熱源9の単体を使用するコースと、中央操作部40Mを使ってマイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の何れか一方又は双方を使用するコースがある。
連携調理メニューのコースを選択して調理する場合について、以下説明する。
まず、連携操作部40Mの入力キー350を押して連携調理メニューのコースを選択する指令信号を発信する(SC1)。次に、この信号受け、統合制御装置MCは、統合表示部30に連携調理メニューを表示する(SC2)。
前記ステップSC2では、統合表示部30の表示画面30Dにおいて、次の3つの情報を同時に表示する。一覧表のような形態で表示しても良い。
(1)複数の連携調理メニュー(複数の被調理物の識別情報)
(2)調理工程
(3)使用される加熱源や加熱部(誘導加熱源9の場合)
ユーザーは、連携操作部40Mの入力キー43M1を操作して、1つの連携調理メニューを選定する(SC3)。
次に、選定された特定の連携調理メニューの調理を行うために使用される加熱源の表示部を起動する。この実施の形態6では、連携調理メニューの動作プログラムでは、実施の形態1と同様に、被調理物に応じて以下の2種類のシーケンスが規定されている。
(1)誘導加熱源9を先に使用し、この後の加熱は、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱手段188が行うというパターン。
(2)マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱手段188の少なくとも何れか一方又は双方を先に使用し、この後の加熱は、誘導加熱源9が行うというパターン。
この図90の事例は、誘導加熱源9を先に使用する(第2の連携調理メニューの)パターンである。
連携操作部40Mの入力キー43M1を操作して、1つの被調理物の連携調理メニューが選択されると、統合制御装置MCは、左加熱部17HLの専用の表示部31Lを起動する(SC4)。なお、左加熱部17HLが、別の調理のために既に使用されている場合には、この選択段階(SC3)において、統合表示部30を通じてユーザーには、連携調理ができない理由を報知する(音声合成装置95でも同様な報知をする)。
ユーザーは、ステップSC3の段階で、左加熱部17HLで最初の調理工程が行われることを知る。ユーザーは、専用のフライパンや鍋等の調理器具の上に被加熱物Nを載せたものを置くよう、表示部31Lによってガイドされる。
このため、ユーザーは、左加熱部17HLに被調理物等を載せた後、連携操作部40Mの入力キー43STを操作する(SC5)。これにより、1つの連携調理メニューの調理工程の開始が指令される(SC5)。
統合表示部30は、連携調理メニューの調理工程1が開始されたことを表示する。また、以後は左側表示部31Lによって調理工程1に必要な表示を行うことも表示する(SC6)。
これら統合表示部30における表示は、一定時間(例えば30秒間)継続し、その後、所定の初期画面に戻る。但し、初期画面の中には「現在、連携調理中」等の表示を追加している。例えば、実施の形態4(図85)で説明した表示画面1、表示画面2A~2D等のような表示内容になる。
一方、左側表示部31Lにおいては、連携調理メニューの調理工程1(第1の調理工程)が開始されたことを表示する。
また、調理工程1の後の調理工程2についても表示する。この際、調理工程1の制御条件を表示する。例えば、誘導加熱の火力値を、「1500W」と表示したり、又は火力レベルで「火力7」と表示したりする。
更に、それら制御条件の中で、ユーザーで変更可能なものがある場合には、それを表示する。例えば、「火力は、火力キーによって調節できます」というような案内文を表示する(SC7)。
連携調理メニューによっては、調理工程1の終了が、ユーザーによって任意のタイミングで行えるパターンと、被加熱物N(図示せず)の温度上昇の状況や、調理工程1の開始時間からの経過時間によって、統合制御装置MCによって決めるパターン、の2つがある。
後者の場合には、ステップSC7の段階で、調理工程1の所要時間の目安を表示したり、調理工程1の終了までの残り時間を表示したりしても良い。その際に、ユーザーに次の調理工程2の準備を促すような表示を加えても良い。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態6の加熱調理器1は、第1の発明を以下の構成によって実現していた。すなわち、
トッププレート15及び加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれる被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、
前記加熱室113の内部に置かれる被調理物を加熱するマイクロ波加熱源189と、
統合表示部30と、
誘導加熱源9の左側表示部31Lと、
前記誘導加熱源9、マイクロ波加熱源189、統合表示部30及び左側表示部31Lを制御する統合制御装置MCと、
ユーザーからの指令を統合制御装置MCに与える中央操作部40Mと、左操作部40L及び右操作部40Rと、を備え、
前記左操作部40Lは、前記誘導加熱源9の左加熱部17HL専用の操作部であり、
前記中央操作部40Mは、マイクロ波加熱源のための第2操作部40M2と、前記連携調理メニューのための連携操作部40MCと、を有し、
前記連携操作部40MCは、前記統合表示部30に前記連携調理メニューを表示させる機能(ステップSC1)と、表示させた連携調理メニューの中の1つを、前記統合制御装置MCに選択させる機能(ステップSC2)と、連携調理メニューを開始させる機能(ステップSC3)、とを有している。
更に、統合制御装置MCは、実行すべき連携調理メニューについて、調理工程1で使用する加熱源(左加熱部17HL)の専用の表示部31Lに、前記連携調理メニューに関する表示情報を表示させる機能を備えている構成であった。
これにより、連携操作部40MCの役割が、連携調理メニューの決定と調理開始段階までと明確になり、一旦調理工程1が開始されると、以後の制御メニューの変更や調理工程1の終了、また関連する表示等を、全て左操作部40Lと左側表示部30Lに実行させていた。
このため、実施の形態1と同様に、使い勝手の良い加熱調理器1を提供できるという効果が得られる。
なお、前記統合表示部30と左加熱部17HL専用の表示部31Lにおいて表示する連携調理メニューの内容や表示形態を同じにすれば、ユーザーの誤解を招く懸念がなくなるが、必ずしも同一でなくとも良い。統合表示部30と表示部31Lの表示面積の差異や、物理的な表示原理等が異なるケースも想定されるからである。
なお、前記連携操作部40MCの機能を変更し、前記統合表示部30に前記連携調理メニューを表示させる機能(ステップSC1)と、表示させた連携調理メニューの中の1つを、前記統合制御装置MCに選択させる機能(ステップSC2)と、を有し、
前記ステップSC2の段階以降、連携調理メニューを開始させる機能(ステップSC3)を、前記左操作部40Lに保有させても良い。つまり、左加熱部17HLに被加熱物N(図示せず)を載せた段階から、ユーザーは左操作部40Lに臨んだ位置で調理開始や調理工程の進捗監視、調理の停止等に集中できる。
このような変更案を、具体的に示したものが図91である。
図91は、加熱調理器1の連携操作部40MCの入力動作と、統合表示部30及び左側表示部30Lの表示情報の関係を示す変形例の説明図である。
この図91に示しているように、左操作部17HLにて、連携調理メニューを開始させる段階(ステップSC5)から担当させても良い。なお、連携調理メニューによっては、右加熱部17HRが、調理工程1で指定される場合もあるが、その場合は、右操作部40Rによって、加熱開始を指令することになる。なお、加熱開始は、右操作部40Lに設けた入力キー43STで行う。左操作部40Lの場合には、図89で示したように入力キー43STで調理工程1の開始指令を発信する。
このようにすれば、被加熱物Nを左加熱部17HLの上に置いた段階で、ユーザーの体が本体110の左右中央より、やや左側、すなわち、左操作部40Lの前方にあるはずであるので、そのまま連携調理メニューを、左操作部40Lの操作によって開始させることができ、調理工程1の開始時点から左操作部40Lや左側表示部31Lに臨んだ位置でユーザーは操作できる利点がある。
実施の形態6の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態6の加熱調理器は、以下の構成を備えていた。すなわち、
第1の加熱手段である誘導加熱源9と、
前記誘導加熱源9と離れた場所にある第2の加熱手段であるマイクロ波加熱源189と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、
表示手段である左側表示部31Lと、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を使用して1つの被調理物を調理する連携調理メニューを、複数種類の被調理物の数だけ(複数個)有し、
前記統合制御装置MCは、前記連携調理メニューの1つを前記左側表示部31Lにおいて、他の連携調理メニューの1つと変更可能に表示させて、その表示された1つの連携調理メニューでの調理開始の指令を受けた場合、先に使用する前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の何れか一方について、特定の期間は前記連携調理メニュー以外のメニューに対応した動作を制限する構成であった。
この構成であるため、誘導加熱源9やマイクロ波加熱源189等の複数の加熱源を効果的に利用できる加熱調理器を提供できる。
また、連携調理メニューを実行できるため、各種の加熱調理に幅広く対応でき、しかも、連携調理メニューに使用する加熱源を優先的に使用できるので、ユーザーの操作性を損なうことがなく、利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
また、実施の形態6では、トッププレート15の左右中心部にある連携操作部40MCにおいて、連携調理を行うことが選択されると、その連携調理メニューの動作プログラムに従って最初に使用される加熱源(左加熱部17HL)専用の左側表示部31Lと左操作部40Lにおいて、以後の調理工程の確認や制御条件(例えば、火力)の入力、調理工程の進行を制御できる。このため、ユーザーは左操作部30Lの正面において、確認や操作に集中できる。
更に、この実施の形態6の加熱調理器は、以下の特徴を有していた。すなわち、
トッププレート15及び加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれる被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、
前記加熱室113の内部に置かれる被調理物を加熱するマイクロ波加熱源189と、
統合表示部30と、
誘導加熱源9の左側表示部31Lと、
前記誘導加熱源9、マイクロ波加熱源189、統合表示部30及び左側表示部31Lを制御する統合制御装置MCと、
ユーザーからの指令を統合制御装置MCに与える中央操作部40Mと、左操作部40L及び右操作部40Rと、を備え、
前記左操作部40Lは、前記誘導加熱源9の左加熱部17HL専用の操作部であり、
前記中央操作部40Mは、マイクロ波加熱源のための第2操作部40M2と、前記連携調理メニューのための連携操作部40MCと、を有し、
前記連携操作部40MCは、前記統合表示部30に前記連携調理メニューを表示させる機能(ステップSC1)と、表示させた連携調理メニューの中の1つを、前記統合制御装置MCに選択させる機能(ステップSC2)と、連携調理メニューを開始させる機能(ステップSC3)、とを有している。
更に、統合制御装置MCは、実行すべき連携調理メニューについて、調理工程1で使用する加熱源(左加熱部17HL)の専用の表示部31Lに、前記連携調理メニューに関する表示情報を表示させる機能を備えている構成であった。
これにより、連携操作部40MCの役割が、連携調理メニューの決定と調理開始段階までと明確になり、一旦調理工程1が開始されると、以後の制御メニューの変更や調理工程1の終了、また関連する表示等を、全て左操作部40Lと左側表示部30Lに実行させていた。
このため、実施の形態1と同様に、使い勝手の良い加熱調理器1を提供できるという効果が得られる。
実施の形態7.
図92と図93は、本発明の実施の形態7に係る加熱調理器を示すものであり、図92は、加熱調理器1の、入力操作部と各種表示部の配置を説明するための前方部分の平面図である。図93は、図92の加熱調理器1の連携調理メニューの実行動作と、各種表示部の表示情報の関係を示す説明図である。なお、実施の形態1~6で説明した加熱調理器と同一又は相当する構成については、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
この実施の形態7に係る加熱調理器1は、本体110の上面に、中央表示部370と、左側表示部31L及び右側表示部31Rを配置している。
実施の形態1の統合表示部30の位置に、中央表示部370が配置され、また実施の形態1の左側表示部31Lと右側表示部31Rの位置に、この実施の形態7の左側表示部31Lと右側表示部31Rを配置している。これら中央表示部370、左側表示部31L及び右側表示部31Rは、互いに同じ大きさの液晶表示画面を有している。
右加熱部17HRに関する表示を行うのは、右側表示部31Rである。また、左加熱部に関する表示を行うのは左側表示部31Lである。但し、この実施の形態7では、連携調理メニューは、中央表示部370、左側表示部31L及び右側表示部31Rに表示される場合がある。これについては、後で説明する。
43R5は、右加熱部17HRを使用してIH制御メニューによる加熱調理をする際に、当該IH制御メニューを呼び出して前記右側表示部31Rに表示させる入力キーである。
43L5は、左加熱部17HLを使用してIH制御メニューによる加熱調理をする際に、当該IH制御メニューを呼び出して前記左側表示部31Lに表示させる入力キーである。
43MSは、マイクロ波加熱源189(図示せず)とオーブン加熱源188(図示せず)を使用するRG制御メニューの調理を行う場合、その調理開始を指令する入力キーである。43MTは、RG制御メニューの調理動作を停止させる入力キーである。
44Rは、誘導加熱源9を使用した「IH制御メニュー」を選択するタッチ式入力キーであり、タッチ操作する毎に複数のIH制御メニューの中から1つを選択できる。例えば、右側表示部31Rの表示画面の中の所定の位置に、被調理物の名称等の識別情報330(図示せず)を表示させると、その時点から一定時間後に、右加熱部17HRによって誘導加熱が開始される。
44Lは、誘導加熱源9を使用した「IH制御メニュー」を選択するタッチ式入力キーであり、タッチ操作する毎に複数のIH制御メニューの中から1つを選択できる。左側表示部31Rの表示画面の中の所定の位置に、被調理物の名称等の識別情報330(図示せず)を表示させると、その時点から一定時間後に、左加熱部17HRによって誘導加熱が開始される。
前記中央表示部370は、本体110の左右中央部に配置された加熱室113のためのオーブン加熱源188と、マイクロ波加熱源189の、2つの表示部を兼ねており、共用表示部ともいう。
前記中央表示部(共用表示部)370は、実施の形態1~6の統合表示部30と異なり、必ずしも連携調理メニューが表示されない。
この実施の形態7では、連携調理メニューのコースを選択する入力キー(操作ボタン)は、実施の形態6(図87)のように入力操作部40の左右中央部には配置されていない。
前述したように連携調理メニューのコースを選択する入力キー43R5、43L5は、入力操作部40の左右両端部に、1つずつ配置されている。
以上の構成であるから、次に動作を説明する。
図92と図93において、主電源スイッチの操作ボタン98を押し、主電源スイッチ97(図示せず)を閉じた後、前記入力キー43R5を押すと、デフォルト設定されている特定(1つ)の連携調理メニュー(例えば、「ハンバーグ」)を実行するのに適当な最初の加熱源が判別される。そして判別された加熱源に対応した表示部に、当該連携調理メニューが表示される。
例えば、連携調理メニューM1と、連携調理メニューM2が統合制御装置MCに記憶されていると仮定する。
ここで、連携調理メニューM1は、左加熱部17HLが調理工程1を担当し、調理工程2は、マイクロ波加熱源189が担当するものである。
一方、連携調理メニューM2は、右加熱源17HRが調理工程1を担当し、調理工程2は、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188が担当するものである。このような動作プログラムを統合表示装置MC(図示せず)が保有している。
上記のような状況で、右側にある入力キー43R5を押された場合(ステップSC1)について説明する。なお、図93の「連携操作部」40MCは、図92における前記入力キー43R5と43L5の配置部分をいう。つまり、この実施の形態7では、連携操作部40MCが左右に2か所あることになる。
最初に、連携調理メニューM1の調理工程1で指定されている左加熱部17HLが統合制御装置MCにより判別される。そこで、この左加熱部17HLに対応した左側表示部31Lに、図93のステップSC2のような表示が行われる。
ステップSC2では、連携調理メニューM1の識別情報330(図示せず)が表示される。
また、ステップSC2では、連携調理メニューM1の調理工程情報332(図示せず)が表示される。ここでいう調理工程情報332とは、例えば図60に示すような文字と図形の情報である。
更に、ステップSC2では、使用される加熱源の名称が表示される。この事例では「左側IH加熱部」と「マイクロ波加熱源」であることが文字や図形で表示される。
図93に破線で示しているように、中央表示部370においても、上記ステップSC2の情報が同時に表示される。つまり、調理工程1を担当する左側表示部31Lだけではなく、マイクロ波加熱源189の動作を表示する中央表示部370においても、連携調理メニューM1に関する情報が、ステップSC2で示しているように表示される。一方、右側表示部31Rには、ステップSC2のような情報は何ら表示されない。
ユーザーは、前記ステップSC2の段階で、表示動作が行われている表示部が、左側表示部31Lと中央表示部370の2つであることから、目的の調理を行うための連携調理メニューM1は、左加熱部17HLと、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱源188の組合せで行われることが理解できる。
このステップSC2の段階で、更にもう1回だけ前記入力キー43R5を押した場合には、連携調理メニューM2が、右側表示部31Rと中央表示部370の2か所に表示される。つまり、連携調理メニューM2は、調理工程1を右側加熱部17HRで行い、調理工程2は、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188の片方か両方が担当するものであることをユーザーはこの段階で認識できる。
この後、更にもう1回だけ前記入力キー43R5を押した場合には、連携調理メニューM2は、右加熱源17HRが調理工程1を担当し、調理工程2は、マイクロ波加熱源189とオーブン加熱源188が担当するため、今度は右側表示部31Rと中央表示部370に連携調理メニューM2が表示される。以下、入力キー43R5を押す毎に上記した順番で(連携調理メニューM1とM2が交互に)表示される。
一方、左側にある前記入力キー43L5を押した場合には、前記したように連携調理メニューM1とM2の違いによって、連携調理メニューの識別情報やステップSC2の情報が表示される表示部が異なる。しかし、同じ連携調理メニューであれば、右側の入力キー43R5を操作した場合と、左側の入力キー43L5を操作した場合で、表示動作を行う表示部が変化することはない。
この後、左側表示部30Lに対応した左操作部40Lか、又は中央表示部370に対応した中央操作部40Mの何れかを操作しなくとも、ステップSC2の段階から一定時間(例えば、15秒後)に、調理工程1が自動的に開始される。なお、このような誘導加熱調理を開始する前に、IH制御部90(図示せず)は、金属鍋等の被加熱物の載置を検知し、異常状態でないことを自己チェックする。また、音声合成装置95(図示せず)から加熱動作が開始されることを報知しても良い。
図93のステップSC3は、ステップSC2の段階から15秒後に自動的に行われる。なお、ユーザーが調理工程1の開始を直接指示できるように、図75に示した入力キー43RS、43LSを設けても良い。
次に図93のステップSC4の通り、左側表示部31Lには、連携調理メニューM1の調理工程1の開始指令を受けたことが表示され、更に調理工程1を開始したことが表示される(ステップSC5)。
そして図93のステップSC6の通り、左側表示部31Lには、連携調理メニューM1の識別情報(例えば、被調理物の名称の「ハンバーグ」という情報)が表示される。
また、この調理工程1と次の調理工程2を示す情報332も表示される。
更に、調理工程1に適用された制御条件(例えば、火力値や火力レベル等)を表示し、これに加えて、当該制御条件がユーザーにより左側操作部40Lで変更可能であることが表示される。
一方、中央表示部370では、ステップSC2が一定時間(例えば、15秒間)表示されるものの、それ以後、自動的に表示は消える(表示画面全体を消す訳ではない)。
そして、工程1が終了する少し前の段階で、自動的に中央表示部370には、図93に示すステップSC6以降の調理工程2の情報が表示される。
以上の説明から分かるように、仮に左操作部40Lで操作すべきところを、右操作部40Rで操作しても、連携調理メニューM1の選択や動作開始・停止等の入力はできない。
図93は、左操作部40Lを操作した場合を示しており、左操作部40Lで連携調理メニューの選択(ステップSC3)が行われ、次に連携調理メニューの開始指令を待つ段階になる。
一方、左操作部40Lにおいて前記ステップSC2の表示が行われた時点から一定時間後に、中央表示部370における連携調理メニューM1に関係する表示は自動的に消える。従って、中央表示部370では、以後はステップSC4~SC5の表示は行われない。
このように、この実施の形態7では、連携調理メニューの表示は、右側表示部31Rと、左側表示部31L及び中央表示部370の何れでも行われる。どの表示部で最初に連携調理メニューが表示されるかどうかは、連携調理メニューの動作プログラムによって決まる。但し、この実施の形態7では、ユーザーが比較的良く実行すると思われる連携調理メニューをデフォルト設定メニューにして、その連携調理メニューに相応しい表示部に優先的に表示が行われるようにしても良い。
例えば、前記した連携調理メニューが、M1~M10の10種類あると仮定した場合、ユーザーが比較的良く選択する連携調理メニューは、M1であるとする。
そして、実施の形態1で説明した「機能設定」に、「利用頻度によるメニュー表示」という機能を追加しておけば、調理に使った累積回数(頻度)によって、入力キー43L5、43R5を押した際に最初に表示される連携調理メニューを、M1にすることができる。
あるいは、直接、「優先的なメニュー設定」という機能を追加し、連携調理メニューM1が常に最初に表示されるような手動設定を可能としても良い。
表示される連携調理メニューの設定方法は、他の方法でも良いが、ステップSC2の段階は、必ず全部の表示部で表示し、その後で、(特定の)連携調理メニューに適当な表示部が決まるという制御プログラムにすると便利である。
実施の形態7の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態7の加熱調理器は、以下の構成を備えていた。すなわち、
第1の加熱手段である誘導加熱源9と、
前記誘導加熱源9と離れた場所にある第2の加熱手段であるマイクロ波加熱源189と、
前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を制御する統合制御装置MCと、
前記マイクロ波加熱源189の情報を表示する中央表示部370と、
前記誘導加熱源9の表示手段である左側表示部31Lと、を備え、
前記統合制御装置MCは、前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を使用して1つの被調理物を調理する連携調理メニューを、複数種類の被調理物の数だけ(複数個)有し、
前記統合制御装置MCは、入力キー43R5又は43L5によって連携調理メニューの表示指令を受けた場合、前記連携調理メニューの1つを中央表示部370と前記左側表示部31Lにおいて表示させ、その表示された1つの連携調理メニューで調理工程を開始する場合、当該調理工程で使用する前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189の何れか一方について、特定の期間は前記連携調理メニュー以外のメニューに対応した動作を制限する構成であった。
この構成であるため、誘導加熱源9やマイクロ波加熱源189等の複数の加熱源を効果的に利用できる加熱調理器を提供できる。
また、連携調理メニューを実行できるため、各種の加熱調理に幅広く対応でき、しかも、連携調理メニューに使用する加熱源を優先的に使用できるので、ユーザーの操作性を損なうことがなく、利便性の高い複合型加熱調理器を実現できる。
また、実施の形態7では、トッププレート15の右側前方部と左側前方部にある連携操作部40MCに配置されている入力キー43R5、43L5により連携調理メニューを選択すると、その連携調理メニューの動作プログラムに従って最初の調理工程1で使用される加熱源(左加熱部17HL)専用の左側表示部31Lと、調理工程2で使用されるマイクロ波加熱源189の中央表示部370において、連携調理メニューの内容や調理工程をユーザーが確認できる。
更に、それ以後は、調理工程1の進捗確認や制御条件(例えば、火力)の入力、調理工程の進行を、調理工程1の操作部(左側操作部17HLなど)で制御できる。このため、ユーザーは左操作部17HLの正面において、各種の確認や操作に集中できる。
更に、この実施の形態7の加熱調理器は、以下のような特徴的な構成を備えていた。すなわち、
トッププレート15及び加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれる被加熱物を加熱する誘導加熱源(第1の加熱手段)9と、
前記加熱室113の内部に置かれる被調理物を加熱するマイクロ波加熱源(第2の加熱手段)189と、
前記誘導加熱源(第1の加熱手段)9の左側表示部31L及び右側表示部31Rと、
前記マイクロ波加熱源189の表示部370と、
前記誘導加熱源9、前記マイクロ波加熱源189、前記左側表示部31L及び右側表示部31Rを、それぞれ制御する統合制御装置MCと、
ユーザーからの指令を前記統合制御装置MCに与える入力操作部40と、を備え、
前記入力操作部40は、前記誘導加熱源9のための第1操作部(左操作部40L、右操作部40R)と、前記マイクロ波加熱源189のための第2操作部(中央操作部)40Mと、前記誘導加熱源9と前記マイクロ波加熱源189を使用する連携調理メニューのための連携操作部40MCと、を有し、
前記連携操作部40MCは、前記統合表示部30に前記連携調理メニューを(入力キー44L、44Rにより)表示させる機能と、表示させた1つの連携調理メニューを前記統合制御装置MCに実行させる機能と、を備えた構成である。
このため、ユーザーは連携操作部40MCを操作して、誘導加熱源9とマイクロ波加熱源189の両方を順次使用した加熱調理を実施でき、ユーザーの操作性を向上させることが期待できる。
また、実施の形態7では、トッププレート15の右側前方部と左側前方部の2か所に配置した連携操作部40MC(入力キー43R5、43L5)の何れを操作しても、全ての連携調理メニューを選択的に表示させることができる。
しかも、選択表示させた1つの連携調理メニューで使用する(最初の調理工程1で使用される)加熱源の表示部では、必ず当該連携調理メニューが表示されるので、連携調理メニューの内容や調理工程をユーザーが容易に確認できるという利点がある。
更に、この実施の形態7の加熱調理器は、以下のような特徴的な構成を備えていた。すなわち、
トッププレート15及び加熱室113を内蔵した本体110と、
前記トッププレート15の上に置かれる被加熱物を加熱する誘導加熱源9と、
前記加熱室113の内部に置かれる被調理物を加熱するマイクロ波加熱源189と、
中央表示部370、左側表示部31L及び右側表示部31Rと、
誘導加熱源9の左側表示部31Lと、
前記誘導加熱源9、マイクロ波加熱源189、中央表示部370、左側表示部31L及び右側表示部31Rを制御する統合制御装置MCと、
ユーザーからの指令を統合制御装置MCに与える中央操作部40Mと、左操作部40L及び右操作部40Rと、を備え、
前記左操作部40Lは、前記誘導加熱源9の左加熱部17HL専用の操作部であり、
前記中央操作部40Mは、マイクロ波加熱源のための第2操作部40M2を有し、
更に、前記本体110には、連携調理メニューのための連携操作部40MCと、を有し、
前記連携操作部40MCは、前記中央表示部370、左側表示部31L及び右側表示部31Rに前記連携調理メニューを表示させる機能(ステップSC1)を有し、
前記連携調理メニューが、前記中央表示部370、左側表示部31L又は右側表示部31Rの何れかに表示された場合、その連携調理メニューが表示された表示部に対応する前記左操作部40L、右操作部40R又は中央操作部40Mの何れか1つにおいて、表示させた連携調理メニューを、前記統合制御装置MCに選択させる機能(ステップSC2)と、連携調理メニューを開始させる機能(ステップSC3)、とを有している。
これにより、連携操作部40MC(入力キー43R5、43L5)の役割が、1つの連携調理メニュー(の識別情報を)表示させる段階までと明確になり、一旦連携調理メニューが表示されると、連携制御メニューによる調理工程の開始や終了、制御条件の変更、確認等を、関係する加熱源用の操作部と当該加熱源用の表示部において実行できるようにさせていた。
このため、実施の形態1と同様に、使い勝手の良い加熱調理器1を提供できるという効果が得られる。
その他の実施の形態.
実施の形態1では、(第1の)連携調理メニューで最初に使用される誘導加熱源9について、入力操作部40から連携調理メニュー以外の動作を禁止又は制限されるのは左加熱部17HLであったが、右加熱部17HRでも良く、また実施の形態5に示した中央加熱部17HMでも良い。
更に、第2の連携調理メニューでは、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱源188、あるいはこれら両者が同時に駆動されて調理工程を開始するので、この場合には、マイクロ波加熱源189又はオーブン加熱源188、あるいはこれら両者を、連携調理メニュー以外メニューによって動作させることを禁止又は制限しても良い。第1の連携調理メニューでも第2の連携調理メニューでも、調理工程で必要となる加熱源を優先して確保することにより、連携調理メニューで複数の加熱手段を利用した幅広い調理を行うことができる。
以上の説明では、連携調理メニューは、調理工程1と調理工程2の2つで構成されていたが、更に調理工程3を必要とする連携調理メニューにしても良い。
例えば、調理工程1を誘導加熱源9の左加熱部17HLで行い、調理工程2をマイクロ波加熱源189で行った被調理物を、最後にトッププレート15の上に戻し、加熱不足を補う目的、調節や調味料や他の調理液の添加等を行う目的等ための調理工程3を設ける。
1つの例としては、右加熱部17HRの上で、直接目視で確認しながら最終的な調理の仕上げまでを行うためである。言い換えると、調理工程2で略完成した被調理物を右加熱源17HRの上に移して、弱い加熱を長時間行い、肉や野菜等の具材や煮汁等の熟成度を上げるケースである。
以上の説明では、連携調理メニューは、1つを特定すると、使用する加熱源とその順番が自動的に決定されるものであったが、ユーザーの意思を優先する形態に変更しても良い。
例えば、連携調理メニューの1つである「被調理物A」と「被調理物B」については、比較的ユーザーが使用する頻度があり、それら2つは、共に調理工程1は右加熱部17HRで行うものであるので、ユーザーは右加熱部17HRでの調理に慣れている場合を想定する。
この後、連携調理メニューの1つである「被調理物C」をユーザーが選択した場合、左加熱部17HLが指定されると、ユーザーが普段使い慣れていないことから、操作に戸惑うことも想定される。
そこで、最初に連携調理メニューを選択する際に、ユーザーからの加熱源指定を求めるステップを追加すると良い。例えば、連携調理メニューを選択する際に、「被調理物C」を選択し、この後に、右加熱部17HRを指定する入力を行うことでも良い。又は、先に右加熱部17HRを指定してから、連携調理メニューで「被調理物C」を選択しても良い。
一方、被調理物を加熱調理するための火力値や、誘導加熱の通電制御パターン等の制約から、ユーザーの希望する加熱部では、加熱が適正にできない場合には、統合制御装置MC側の動作プログラムで指定(デフォルト設定)の加熱部しか調理を実行できないようにすると、ユーザーの誤使用や誤解を招くことがない。例えば、実施の形態5で説明した中央加熱部17HMのような比較的火力の弱い加熱部をユーザーが選択した場合、加熱調理器1側で、ユーザーに報知し、是正する(鍋等の被加熱物を、別の加熱部へ移動させること)案内を行うと良い。
実施の形態1では、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却したあと、加熱室113の内部を経由する内部経路と、インバーター回路基板121を冷却したあと加熱室113の外部を通る外部経路と、の2つがあったが、この経路を入れ替えて、以下のように変更しても良い。
(1)内部経路:第2の吸気口152Fから第3冷却ファン128で吸引された外気によってインバーター回路基板121を冷却し、その冷却風を加熱室113に導入し、排気ダクト102に至る経路。
(2)外部経路:第2の吸気口152Bから第4冷却ファン129で吸引された外気によって、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却し、その冷却風を加熱室113の外側に案内し、最終的に排気ダクト102に至る経路。
一般的に、マグネトロン122の放熱部122Hは、複数の放熱板(放熱フィン)が積層されて、その放熱板相互の狭い空間を冷却風が通過して熱交換(放熱)する構造になっているため、冷却風の圧力損失が大きい。言い換えると風路抵抗が大きい。
そのため、マグネトロン122の放熱部122Hを経由する冷却風を、加熱室113の中に入れずに(風路の長さも短くして)排気することで、内部経路と外部経路のバランスを取るという改善である。これは、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129が同等の性能である場合に有効である。つまり、実施の形態1で説明したように、第3冷却ファン128と第4冷却ファン129を、全く同じ構造、同じ形状、同じ定格仕様で揃えて、製造時の調達コストを安価に実現するために有望な1つの案である。
また、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却したあと、加熱室113の内部を経由する冷却風RF6のための内部経路を廃止し、実施の形態5で説明したように、インバーター回路基板121を冷却したあとの冷却風RF7を、そのまま全量、ダクト307を介して加熱調理器1の外部へ放出し、下部ユニット200内部の冷却風路を簡略化しても良い。風路抵抗を減らすことで、第4の冷却ファン129の定格送風能力を、より低レベルのものに変更できる。これによってコスト的にも有利になる等の利点がある。
実施の形態1~7で示したような上部ユニット100と下部ユニット200の双方を同時に必要でないユーザー(使用者)の場合には、上部ユニット100と下部ユニット200の販売や厨房家具2への設置作業は別個になる。そして、下部ユニット200は例えばオプション品で設定される。このような場合には、例えば、上部ユニット100と下部ユニット200のセット販売の梱包形態と、上部ユニット100だけの販売に備えた梱包形態を別に設定しておけば、販売時の利便性を損なうことがない。
本発明に実施にあたり、実施形態1~7で示したように、上部ユニット100と下部ユニット200を、別々の筐体で構成することは必須ではない。そのため、上部ユニット100と下部ユニット200を最初から1つの筐体(本体ケースHC)で構成しても良い。
実施形態1~7では、上部ケース16と、下部ケース(下筐体)101が、金属製薄板で形成されていた。しかし、上部ケース16や下部ケース101の何れか一方、又は双方をプラスチック材料で形成しても良い。例えば、熱可塑性のプラスチック材料で形成しても良い。1つの材料例として、PET又はPA、PP又はABSなどである。「PET」とは、ポリエチレンテレフタレートのことをいう。また「PA」はポリアミド、「PP」は、ポリプロピレンのことを意味する。耐熱温度や構造物としての耐久性等を考慮して決めれば良い。また、上部ケース16と、下部ケース(下筐体)101の、一部分だけをプラスチックで形成し、残りの部分を金属製板材で形成しても良い。
誘導加熱回路は、IHコイル17L、17Rの形態や数等に応じて、ハーフブリッジ回路、フルブリッジ回路等、色々な駆動方式を採用しても良い。例えば、フルブリッジ回路では、日本特許第6130411号特許公報や、日本特許第6173623号公報で提案されている。
また、IHコイルについては、ドーナッツ状の形態だけではなく、例えば日本特許第5538546号公報に示されているように、円環状の主加熱コイルと、この主加熱コイルの両側に近接して配置され、主加熱コイルの半径より小さな横幅寸法を有する扁平形状の第1副加熱コイル及び第2副加熱コイルと、を備えた誘導加熱部でも良い。
更に、実施の形態1では、誘導加熱を開始する際に、火力を設定しなくともデフォルト条件(火力値や火力レベル)で誘導加熱動作に入り、その後に希望する火力をユーザーが決めるという加熱開始操作方法を採用していた。しかしながら、この方法以外でも良い。例えば、主電源投入後に必ず、目的の誘導加熱源と、火力値(ワット)や火力レベル(火力「大」~「小」のような段階の1つ)とを決めて、スタート指令を行う必要がある操作方法を採用しても良く、そのような方法でも本発明の本質的な効果には影響がない。
実施の形態1では、マイクロ波加熱調理だけを行っている期間中は、上部ユニット100の第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の双方とも運転をしなかったが、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の双方又は何れか一方を運転しても良い。第1冷却ファン60と第2冷却ファン61の少なくとも何れか一方を運転すると、上部ユニット100の内部空間に外気が連続して導入され、上部ユニット100の温度を低く抑制できる利点がある。
実施の形態1では、図23に示したように、マイクロ波加熱時の下部風路は、マグネトロン122の放熱部122Hを冷却した冷却風の風路(内部経路)と、インバーター回路基板121を冷却した冷却風の風路(外部経路)との、2つあり、この2つの風路は、最後に1つの排気ダクト102の中に集合してから、共通の排気口20を経由して、加熱調理器1の外部へ放出されていた。
しかしながら、必ずしもそのように1つ(共通)の排気ダクトを経由する必要もなく、また1つの排気口20に集まる必要もない。例えば排気口20と別の第2の排気口を別の位置(排気カバー19の真下の位置)に設けて、その第2の排気口から、内部経路又は外部経路の何れか一方の冷却風を排気するようにしても良い。特に仕切り板52によって上部ユニット100の後部を前後に仕切っている形態(実施の形態1)では、その仕切り板52の背後側に形成された空隙GP1の中に排気口を臨ませると良い。
実施の形態1で説明したように、例えば1つの誘導加熱調理が終了した直後、マイクロ波加熱調理を開始した場合には、まだトッププレート15の温度が高温であった場合(非平常時)には、第1冷却ファン60と第2冷却ファン61を、マイクロ波加熱調理時にも同時に運転することがある。このような形態でも本発明の基本的な目的と趣旨に合致している。
実施の形態1~7では、主電源スイッチ97の操作ボタン又は操作キー98は、前記本体ケースHCの上面に露出している入力操作部40に配置し、本体ケースHCの上方方向から操作する形態であった。
しかしながら、本発明はこの入力操作部40の形態には何ら限定されない。例えば、入力操作部40は、本体ケースHCの上方から見て常時露出している必要はなく、使用しない場合は、本体ケースHCの内部へ格納する形態でも良い。格納する形態には、引き出しのように水平方向に移動するものと、1つの支点を中心に回動する方式が従前から知られている。
回動して格納する方式は、カンガルーポケット機構の操作部と呼ばれており、例えば、特開2004-28569号公報、特開2004-3845号公報、特開平3-233226号公報等にて提案されている。また、主電源スイッチ97は、特開2004-3845号に示されたような、シーソー式のスイッチを用いても良い。
このような回動して格納される入力操作部40であっても、使用時には、本体ケースHCの上方(方向)から操作できる。つまり、ユーザーが加熱調理器1の主電源を、その加熱調理器1の前方近傍に立ったまま行えるので、本発明を実施する上で、何ら支障はない。また、ユーザーに無理な姿勢を強いることもなく、操作性が良い。
このような回動して格納される入力操作部40は、例えば実施の形態1で説明した右側の前カバー112に設けると良い。
また、トップテーブル上の加熱部(ガスバーナ等)と、加熱室(グリル庫)の加熱部とを備え、それぞれの操作部を回動して格納するカンガルーポケット機構の操作部を採用した加熱調理器も、例えば、特開2017-172941号公報で提案されている。
実施の形態1~7では、マイクロ波発生源122としてマグネトロンを使用した例で説明したが、他の手段でマイクロ波を発生させても良い。例えば、半導体発振器を用いた加熱調理器としては、特表2019-509587や特開昭51-9562号公報等で提案されている。
特表2019-509587号公報では、マイクロ波発生器は、第1の電力レベルで高周波信号を生成するように構成された小信号発生器(1つ又は複数個)と、この小信号発生器からの高周波信号を増幅する固体高周波信号増幅器(固体増幅器。1つ又は複数個)と、を含んでいる。そして、その固体増幅器は、第1低電力レベルを有する第1高周波信号を、第2高電力レベルを有する第2高周波信号に増幅して、被調理物(食品)を収容した加熱室内へ供給していた。
本発明の実現の際には、このような半導体素子で構成されたマイクロ波発生源を使用しても良い。
実施の形態1においては、下部(第3、第4)冷却ファン128,129の運転は、前記上部ユニット100の誘導加熱源9による加熱動作と独立して行われる旨説明した。つまり、誘導加熱源9を使用する場合、その冷却用の上部(第1)冷却ファン60の運転の際に、下部(第3、第4)冷却ファン128、129の運転はされないことを説明したが、(第1)冷却ファン60と、下部(第3、第4)冷却ファン128、129が同時に運転されることが無いという意味ではない。
例えば、実施の形態1の図28で説明したように、使用する加熱源の選択の前の、起動時の異常有無チェックの段階(図28のステップST2参照)で、全ての冷却ファンを短時間だけ試運転し、回路上に異常電流や電圧等が発生しないかどうかを統合制御装置MCがチェックする方法を採用しても良く、その場合には、一定の短い時間帯は、各冷却ファン60、61、128、129が一斉に起動される場合も有り得るし、順次1つずつ短時間起動する場合も有り得る。このようにしても、本発明の本質的効果を何ら損なうことはない。
実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。また手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
実施の形態1~7では、誘導加熱部17Hが、左加熱部17HLと右加熱部17HRの2つあり、インバーター回路81L、81Rも、それら2つの加熱部に対応して1つずつ配置していた構成であったが、これを以下のような形態に変更しても良い。
(1)隣り合う2つの加熱部の上に跨るような大きな被加熱物を加熱する場合に、それら隣接する2個所の加熱部のIHコイルを協調させて駆動する方式(代表例として、日本特許第5188215号参照)。
(2)トッププレート15の下方に、略同一の形状およびサイズを有し同一方向に巻かれ、前記トッププレートの下方に略同一平面に近接して配置された4つのIHコイルと、前記4つのIHコイルに電力を供給する2つのインバーター回路と、を具備し、前記4つのIHコイルを、2つのコイル群(グループ)に分け、前記2つのインバーター回路から、前記2つのIHコイル群の各々にそれぞれ電力を供給する方式(代表例として、日本特許第5299590号公報参照)。
(3)トッププレート15の下方に配置された円形状のIHコイル(中央IHコイル)と、前記円形状のIHコイルの周囲を取り囲むように配置された(複数個の)補助IHコイルと、を有し、中央IHコイルに電力を供給する第1のインバーター回路と、前記補助コイル群に電力を供給する第2のインバーター回路と、を具備した方式(代表として、日本特許第5257542号公報参照)。
(4)トッププレート上に載置された被加熱物を加熱する主IHコイルと、この主IHコイルの外側にそれぞれ隣接して設置された複数個の副IHコイルからなる副IHコイル群と、前記主IHコイルに高周波電流を供給する主インバーター回路と、前記副IHコイル群に対し、その副IHコイル毎に高周波電流を独立して供給する副インバーター回路群と、前記主IHコイルと前記複数の副IHコイルの内の少なくとも1つの上に同じ被加熱物が載置されているか否かを判断する被加熱物載置判断部と、前記主インバーター回路と副インバーター回路群の出力を制御する通電制御回路と、を備え、前記副IHコイルは、前記主IHコイルの周囲に所定の絶縁用空間を置いて互いに所定の間隔を保って複数設けられ、前記副IHコイルの外径形状は、前記主IHコイルの外周縁に隣接する側縁部が前記主IHコイルの外周縁に沿って湾曲した形状であり、前記通電制御回路は、使用者の設定した火力値となるように、前記主インバーター回路の出力と前記副インバーター回路群の出力とを所定の配分に制御して協同加熱動作を行わせ、その後協同加熱動作する副IHコイルの数が増加、減少、又は他の副IHコイルに切り替わった場合には、変化前の出力配分を維持する方式(代表として、日本特許第特許5642168号公報参照)。
また図示した各回路、部品、装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくとも良い。さらに特に図21で説明した統合制御装置MC、マイクロ波加熱制御部130、加熱室制御部159、表示部駆動回路63は、これら各装置・回路の機能の分散・統合が可能であり、具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、機能や動作状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
統合制御装置MC、IH制御部90の各機能は、処理回路によって実現される。各機能を実現する処理回路は、専用のハードウエアであっても良いし、メモリーに格納されるプログラムを実行するプロセッサであっても良い。
処理回路がプロセッサである場合、統合制御装置MC、IH制御部90の各機能は、ソフトウエア、ファームウエア又はソフトウエアとファームウエアの組合せによって実現される。ソフトウエアとファームウエアは、プログラムとして記述され、メモリーである記憶装置MMに格納される。プロセッサは、記憶装置MMに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、統合制御装置MC、IH制御部90の各機能を実現する。
これらプログラムは、統合制御装置MC、IH制御部90の制御手順を、マイクロコンピュータに実行させるものである。なお、記憶装置MMとは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリーが代表的なものである。
更に、図21に示した記憶装置MMと記憶装置90Rのデータやプログラムの一部は、加熱調理器1が保持せずに、外部の記録媒体(ストレージサーバ等)に保持されてもよい。この場合、加熱調理器1は、外部の記録媒体(ストレージサーバ)にアクセスすることで、必要なデータやプログラムの情報を取得する。
さらに特に図21で説明した統合制御装置MC、マイクロ波加熱制御部130、加熱室制御部159、表示部駆動回路63の動作プログラムは、ユーザーの希望により、又は加熱調理器1の製造業者等の希望によって、適宜改善されたものに更新できるようにしても良い。この場合、例えば、無線通信部49を通じて修正プログラムを入手するようにしても良い。
前記トッププレート15の上で加熱調理する前記誘導加熱源(第1の加熱手段)9は、ガス燃焼バーナに変えても良い。この場合、ガス流量弁が制御部によって制御される構成となる。
実施の形態1~7では、入力操作部40、左側(の第1)操作部40L、連携操作部40MC、RG操作部(第2操作部・第3操作部)40MG、右側(の第1)操作部40Rは、何れも入力キーにユーザーが触れて入力指令を行う「接触式入力」の操作部で説明したが、ユーザーの指や手の動きを非接触で検知して入力する非接触方式でも良い。更には、ユーザーの声を認識して入力する音声入力方式に変えても良い。音声入力方式の場合には、ユーザーの声を受信して音声認識信号に変換するためのマイクや音声受信部が、入力操作部に相当するものとなる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。