JP4545014B2 - 燃料電池セル及びこれを用いた燃料電池セルスタック、燃料電池 - Google Patents
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Description
広の多孔性内側電極(空気電極)31と、この多孔性内側電極31の外周面に一部を除き積層された固体電解質層32と、この固体電解質層32の外側に積層された外側電極(燃料電極)33と、露出する多孔性内側電極(空気電極)31を覆うように設けられた電子伝導性相互接続材料(インターコネクタ)34から構成されている。
本発明の燃料電池セルは、図1に示すように、長手方向に沿って内部に複数のガス流路211を有し、対向する両平坦部と該両平坦部同士を接続する一対の円弧状部とからなる支持板21を具備するとともに、該支持板21の一方側平坦部に内側から順次形成された内側電極(燃料極22)、固体電解質層23、外側電極(空気極24)の積層構造からなる発電部を具備し、前記支持板21の他方側平坦部にLaCrO 3 系酸化物を含んでなるインターコネクタ25を具備してなる細長平板状の燃料電池セル本体20と、円弧状部上に、支持板21の長手方向に沿って固着された補強材11とからなることを特徴とするものである。
支持板21は、図1及び図3に示すように、細長平板状であって、その横断面形状からわかるように平坦部Aと、平坦部A両端の円弧状部Bとから構成されている。そして、支持板21の内部には、複数のガス流路211が適当な間隔で長手方向に沿って設けられており、本実施形態においてはガス流路211には燃料ガスが通過するようになっている。
内側電極としての燃料極22は、図3に示すように、支持板21の一部を残して被覆するように支持板21の外側に積層されている。具体的には、支持板21の平坦部Aの一方側とその両端の円弧状部Bを被覆するように燃料極22が積層され、支持板21の平坦部Aの他方側は被覆されずに露出している(ただし、露出する部分は、後述のインターコネクタ25で被覆され、図面上は燃料極22がインターコネクタ25の両サイドまで延びるように形成されている)。燃料極22は、後述の式(2)の電極反応を生じせしめるものであり、多孔質の導電性セラミックス、例えば、希土類元素が固溶しているZrO2と、Ni及び/またはNiOとから形成される。この希土類元素が固溶しているZrO2(安定化ジルコニア)としては、後述の固体電解質層23の形成に使用されているものと同様のものを用いるのがよい。燃料極22中の安定化ジルコニア含量は、35〜65体積%の範囲にあるのが好ましく、またNi或いはNiO含量は、65〜35体積%であるのが好ましい。さらに、この燃料極22の開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのが好ましい。尚、燃料極22の厚みは、固体電解質層23と燃料極22との間の熱膨張差による剥離のおそれや燃料極22の性能を考慮して、1〜30μmであることが望ましい。
固体電解質層23は、燃料極22の外側にこれを被覆するように積層されている。具体的には、支持板21の平坦部Aの一方側主面とその両端の円弧状部Bを被覆するように積層された燃料極22の外側に、燃料極22と同様に固体電解質層23が積層され、支持板21の平坦部Aの他方側主面は被覆されずに露出している(ただし、露出する部分は、後述のインターコネクタ25で被覆され、図面上は固体電解質層23がインターコネクタ25の両サイドまで延びるように形成されている)。
外側電極としての空気極24は、一方側の平坦部Aに設けられている。これにより、この一方側の平坦部A、すなわち、空気極24と、燃料極22の固体電解質層23を介して空気極24に対向する部分との間で発電がなされる。
インターコネクタ25は、支持板21の燃料極22及び固体電解質層23で被覆されていない露出部分(他方側の平坦部A)を被覆するように設けられている。このインターコネクタ25は、燃料ガス(水素)及び酸素含有ガスと接触するため(図面上はインターコネクタの外側をP型半導体で被覆しているがこのものは多孔質であるため、インターコネクタが酸素含有ガスと接触する)、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)が使用される。また、支持板21の内部を通る燃料ガス及び支持板21の外部を通る酸素含有ガスのリークを防止するため、かかるインターコネクタ25は緻密質でなければならず、例えば93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好適である。また、ガスのリーク防止と電気抵抗という観点から、厚みが10〜200μmであることが望ましい。一方、反り抑制という観点からは、100μm以下が望ましい。
インターコネクタ25の外面(上面)には、P型半導体層26が設けられている。図4に示す集電部材27を、P型半導体層26を介してインターコネクタ25に接続させることにより、両者の接触がオーム接触となり、電位降下を少なくし、集電性能の低下を有効に回避することが可能となり、例えば、一方の燃料電池セルの空気極24からの電流を、他方の燃料電池セルの支持板21に効率良く伝達できる。このようなP型半導体としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物を例示することができる。
図1に示す補強材11は、燃料電池セル本体20に円弧状部Bに沿って固着されている。その形状は横断面が所定厚みの半円筒状若しくは長手方向に延びた瓦のような形状になっている。より具体的な形状は、図3に示してある。
本発明は、燃料電池セル本体20の長さが120mm以上、平坦部Aの長さが20〜35mm、弧状部Bの長さ(弧の長さ)が3〜8mm程度であり、燃料電池セル本体20の厚みが2.5〜8mmである場合に好適に用いることができる。このように細長く薄い(対向する平坦部A間の距離が短い)場合には、インターコネクタ25側を背にして弓なりに反り易いからである。
上記のような構造の燃料電池セルでは、燃料極22における空気極24と対向する部位が発電に寄与する。即ち、空気極24の外側に空気等の酸素含有ガスを流し、且つ支持板21内のガス流路211に燃料ガス(水素)を流し、所定の作動温度まで加熱することにより、空気極24で下記式(1)の電極反応を生じ、また燃料極22の発電に寄与する部分では例えば下記式(2)の電極反応を生じることによって発電する。
燃料極: O2− (固体電解質)+ H2 → H2O+2e− …(2)
かかる発電によって生成した電流は、支持板21に取り付けられているインターコネクタ25を介して集電される。
以上のような構造を有する燃料電池セル1は、以下のようにして製造される。
先ず、Ni等の鉄族金属或いはその酸化物粉末と、希土類酸化物(例えばY2O3粉末)と、有機バインダーと、溶媒とを混合して坏土を調製し、この坏土を用いての押出成形及び乾燥することにより、支持板成形体を作製する。
(燃料電池セルスタック)
燃料電池セルスタックは、図4に示すように、上述した燃料電池セル20を複数集合させて、隣接する一方の燃料電池セル20と他方の燃料電池セル20との間に、金属フェルト及び/又は金属板からなる集電部材27を介在させ、両者を互いに直列に接続することにより構成されている。即ち、一方の燃料電池セル20の支持板21は、インターコネクタ25、P型半導体層26、集電部材27を介して、他方の燃料電池セル20の空気極24に電気的に接続されている。また、このような燃料電池セルスタックは、図4に示すように、サイドバイサイドに配置されており、隣接するセルスタック同士は、導電部材28によって直列に接続されている。
本発明の燃料電池は、図4に示す燃料電池セルスタックを、収納容器内に収容して構成される。この収納容器には、外部から水素等の燃料ガスを燃料電池セル1に導入する導入管、及び空気等の酸素含有ガスを燃料電池セル1の外部空間に導入するための導入管が設けられており、燃料電池セル1が所定温度(例えば、650〜1000℃)に加熱されることにより発電し、使用された燃料ガス、酸素含有ガスは、収納容器外に排出される。
11,121,122,123,13・・・補強材
20・・・燃料電池セル本体
21・・・支持板
211・・・ガス流路
A・・・平坦部
B・・・円弧状部
22・・・燃料極
23・・・固体電解質層
24・・・空気極
25・・・インターコネクタ
26・・・P型半導体
27・・・集電部材
28・・・導電部材
Claims (4)
- 長手方向に沿って内部に複数のガス流路を有し、対向する両平坦部と該平坦部同士を接続する一対の円弧状部とからなる支持板を具備するとともに、該支持板の一方側平坦部に少なくとも固体電解質層と外側電極とをこの順に積層してなり、前記支持体の他方側平坦部にLaCrO 3 系酸化物を含んでなるインターコネクタを具備してなる細長平板状の燃料電池セル本体と、前記円弧状部上に、前記支持板の長手方向に沿って固着された補強材とからなることを特徴とする燃料電池セル。
- 前記補強材の少なくとも表面が絶縁性セラミックスからなることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セル。
- 請求項1または請求項2に記載の燃料電池セルを、集電部材を介して直列に複数個接続してなることを特徴とする燃料電池セルスタック。
- 請求項3に記載の燃料電池セルスタックを収納容器内に収納してなることを特徴とする燃料電池。
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