JP4540478B2 - 電荷制御部材 - Google Patents

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Description

本発明は、電荷制御部材に関し、さらに詳しくは、電子部品実装基板などの薄板状の各種基板を収容するための基板用カセットなどとして有用な電荷制御部材に関する。
本発明の基板用カセットは、特にエレクトロニクス実装技術分野における液晶ディスプレイ用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、サーマルヘッド用ガラス基板、薄膜エレクトロルミネッセンス表示ディバイス用ガラス基板、センサ用ガラス基板、光磁気ディスク用ガラス基板、太陽電池用ガラス基板などのガラス基板を収容するためのカセットとして好適である。
本発明において、電荷制御部材(Charge Controlling Members)とは、半導電性領域に属する表面抵抗率を有し、それ自体が帯電防止性を示すことに加えて、電荷制御機能を示すことが可能な部材を意味する。電荷制御機能とは、電荷制御部材の表面と接触する他の物品の帯電量(静電気または電荷の量)を制御することができる機能を意味する。
半導電性領域に属する表面抵抗率とは、好ましくは1.0×10〜1.0×1014Ω/□の範囲内である。表面抵抗率の単位は、一般にΩで表わされているが、Ω/□で表わす場合がある。すなわち、表面抵抗率は、試験片の表面に沿って流れる電流と平行方向の電位傾度を、表面の単位幅当りの電流で除した数値である。この数値は、各辺1cmの正方形の相対する辺を電極とする2つの電極間の表面抵抗に等しい。そこで、従来より、表面抵抗率の単位をΩ/□で表わすことがあり、本発明でも表面抵抗率の単位をΩ/□で表わす。
エレクトロニクス実装技術では、膜技術と微小接続技術を駆使して、半導体や機能部品、回路部品などを配線基板上に配置・接続し、これを他の構成部品とともに組み立てて、所望の電子回路を構成している。基板としては、例えば、ガラス基板、セラミック基板、シリコン基板、複合基板(例えば、樹脂/セラミック基板、樹脂/シリコン基板)、メタルベース・メタルコア基板(絶縁層は、ガラスやポリイミドなど)などの薄板状の基板が用いられている。
これらの基板自体、導体パターンが形成された基板、薄膜トランジスタなどの高機能素子を組み込んだ基板(例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板)などの各種基板は、実装基板や電子回路部品の製造工程等において、搬送、保管、組立作業などのために、複数枚が一緒にまとめられて一つの基板用カセットに収容されて取り扱われている。
基板用カセットには、各基板が互いに接触しないように出し入れすることができ、かつ、各基板を分離して支持・収容することができるような構造を有することが求められている。そのため、基板用カセットは、一般に、箱型枠体から形成されており、該枠体の一対の対向する側面には溝付き側板が配置された構造を有している。各基板は、これらの側板の対応する溝間に収容される。溝付き側板の形状としては、側板の背肉部から多数のリブ状の棚片が張り出した形状のものが一般的である。隣接する棚片間の空隙が溝となり、そこに基板が収容される。このような構造の基板用カセットは、例えば、特開平6−286812号公報、特開平6−247483号公報、特開平5−147680号公報、特開平9−36219号公報などに開示されている。
基板用カセットの具体例について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、基板用カセットの一例の正面図である。この基板用カセットは、底面側フレーム1、上面側フレーム2、側板3,3、これらの側板のそれぞれに設けられたリブ状の棚板4,4、及び受け側フレーム5,5から構成されている。隣接するリブ状の棚板間が溝となって、そこに基板Aが収容される。
図2に、上記の基板用カセットの斜視図を示す。図2に示す基板用カセットでは、箱型枠体の一対の側面に、溝付き側板3,3がそれぞれ3個づつ配置されているが、この個数は、基板の大きさなどに応じて適宜変更することができる。底面側フレーム1及び上面側フレーム2は、いずれも格子状に形成されているが、他の形状であってもよい。
このような構造の基板用カセットは、一般に、高分子材料、金属材料またはこれらの材料を組み合わせた複合材料(例えば、金属インサートまたはアウトサート部材)から形成されているが、多くの場合、高分子材料もしくは少なくとも表面が高分子材料からなる部材により形成されている。前記の各部材が高分子材料から形成されている場合には、一般に、高分子材料を溶融成形(代表的には、射出成形)することにより作製され、次いで、箱型枠体に組み立てられている。
このような構造の基板用カセットに基板を収容すると、基板は、基板用カセットの溝付き側板などの各部材と接触する。基板用カセットを構成する各部材が帯電性または導電性を有するものである場合、あるいは基板用カセットを構成する各部材が基板との接触・脱離により基板を大きく帯電させるタイプの材料から形成されている場合には、基板がこれらの部材によって様々な悪影響を受けることになる。
より具体的に、薄膜トランジスタを形成したガラス基板を例にとって、上記問題を説明する。基板用カセットに、薄膜トランジスタを形成したガラス基板を収容する場合、このガラス基板と接触する部材が極めて高い表面抵抗率を有する絶縁体であると、該部材表面に帯電した静電気によりガラス基板の回路が損傷したり、静電気によって空中に浮遊している塵埃がガラス基板に吸着される。他方、ガラス基板と接触する部材の表面抵抗率が低すぎると、該部材にガラス基板が接触した場合、感電、漏電または帯電していたガラス基板が急激に放電して、回路が破損する。
上記問題を解決するために、基板用カセットの基板と接触する部材の表面抵抗率を適度の範囲内に調整する方法が知られている。具体的には、各種高分子材料に帯電防止剤や電気抵抗の小さな充填材をブレンドした樹脂組成物を用いて、基板用カセットを構成する部材を形成する方法が提案されている。このような方法により、部材の表面抵抗率を10〜1014Ω/□の範囲内に調整すれば、上記問題を解決することができる。
しかし、帯電防止剤を含有する樹脂組成物を用いて部材を成形する方法では、長期間の帯電防止には充分でない。基板用カセットを構成する部材の表面に存在する帯電防止剤は、水洗、摩擦などにより除去されてしまい、帯電防止効果が早期に失われる。帯電防止効果を持続させるために、帯電防止剤の配合量を増大させるなどして、帯電防止剤が部材の表面に移行しやすくすると、部材の表面にブリードした帯電防止剤によって、ゴミや塵埃が付着して基板を汚染することに加えて、帯電防止剤の溶出及び揮散により周囲の環境が汚染される。
電気抵抗の小さな充填材を含有する樹脂組成物を用いて成形した基板用カセットとして、樹脂成分に金属繊維とウイスカー状導電性材料とを含有せしめた樹脂組成物を溶融成形してなる基板用カセット(特開平5−147680号公報)、樹脂成分に金属繊維、金属粒子、カーボン繊維、カーボンブラック、グラファイト等の導電性物質を含有せしめた樹脂組成物を成形してなる部材を用いた基板用カセット(特開平9−36219号公報)などが提案されている。
しかし、これらの導電性充填材を用いた場合、導電性充填材と樹脂の電気抵抗率が大きくかけ離れていることもあって、樹脂成分と導電性充填材とからなる樹脂組成物の電気抵抗率は、導電性充填材の含有量の僅かの変化でも、急激に変化する。特に、基板用カセットに要求される表面抵抗率10〜1014Ω/□の範囲内において、表面抵抗率の変動が急激である。しかも、該樹脂組成物を成形してなる成形物の表面抵抗率は、場所によるバラツキが大きい。したがって、樹脂成分と導電性充填材とを含有する樹脂組成物を用いたのでは、10〜1014Ω/□の範囲内の所望の表面抵抗率を有する部材を安定して成形することが極めて困難である。また、部材の場所による表面抵抗率のバラツキが大きいため、いずれの箇所をとっても一定の帯電防止性や表面抵抗率を示す基板用カセットを製造することが困難である。
さらに、基板用カセットの基板と接触する部材の表面抵抗率を10〜1014Ω/□の範囲内に調整したとしても、例えば、ガラス基板は、絶縁体であるため、基板用カセットと接触したり、基板用カセットから脱離した際に、ガラス基板自体が帯電し、ガラス基板上に形成した回路が破損してしまうことがある。
本発明の目的は、電子部品実装基板などの薄板状の各種基板を収容するための基板用カセットなどとして有用な電荷制御部材を提供することにある。
特に、本発明の目的は、適度の表面抵抗率と安定した帯電防止性を有し、回路を形成したガラス基板などを収容しても、該基板が帯電して回路が破損することがない基板用カセットを提供することにある。
また、本発明の目的は、このように優れた特性を有する基板用カセットなどの電荷制御部材を、溶融流動性、成形性、発塵防止性、機械的特性に優れ、表面への不純物の滲み出しが極めて少ない高分子材料を用いて提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究した結果、ポリアミド樹脂に特定の高分子型帯電防止剤を配合したポリアミド樹脂組成物を用いて、本体またはその表面層の少なくとも一部を形成した部材が、帯電防止性に優れ、それと接触する物品の帯電量を制御できることを見出した。
特に、基板用カセットの少なくとも基板と接触する箇所を該ポリアミド樹脂組成物により形成することによって、前記の如き諸特性に優れた基板用カセットを得ることができる。本発明の基板用カセットは、少なくとも基板と接触する個所が高分子型帯電防止剤を含有するポリアミド樹脂組成物を用いて形成されているため、それ自身帯電することがない。
また、本発明で使用するポリアミド樹脂組成物は、溶融流動性、成形性、発塵防止性、機械的強度に優れ、その成形物は、基板表面を汚染することがない。したがって、本発明の基板用カセットなどの電荷制御部材は、基板などの物品を静電気から保護し、塵埃を寄せ付けず適切なクリーン度を保つとともに、基板などの物品の急激な放電を防ぐことができる。
本発明の基板用カセットは、絶縁体であるガラス基板の帯電を顕著に抑制することができる。その理由は、現段階では必ずしも明らかではないが、帯電列中の位置関係が近い物質同士の摩擦では、帯電量が比較的小さくなるためではないかと推定される。すなわち、本発明の基板用カセットを構成する主成分のポリアミド樹脂の帯電列は、ガラス基板の帯電列と比較的近いため、この基板用カセットにガラス基板が接触したり、基板用カセットからガラス基板を脱離させる際に、ガラス基板に生じる帯電量が小さくなるものと推定される。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして、本発明によれば、本体またはその表面層の少なくとも一部が、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(B1)ポリエーテルエステルアミドである(B)高分子型帯電防止剤を4〜50重量部の割合、及び(C)ガラス繊維を10〜60重量部の割合からなるポリアミド樹脂組成物により形成されている基板用カセットある電荷制御部材であって、温度23℃、相対湿度50%の条件下で、ポリアミド樹脂組成物により形成されている本体またはその表面層の表面とガラス基板とを摩擦させた後、表面電位計で測定したガラス基板の表面電位が150V以下となる電荷制御機能を有する基板用カセットである電荷制御部材が提供される。
本発明の電荷制御部材としては、少なくとも基板と接触する箇所がポリアミド樹脂組成物により形成されている基板用カセットが典型的なものである。本発明の電荷制御部材は、その特性を生かして、基板用カセット以外のその他の電荷制御部材としても有用である。
1.ポリアミド樹脂
本発明で使用するポリアミド樹脂としては、例えば、環状ラクタムの開環重合体、アミノカルボン酸の重縮合体、二塩化酸とジアミンとの重縮合体などが挙げられる。
ポリアミド樹脂の具体例としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46などの脂肪族ポリアミド樹脂;ポリアミドMXD6(ポリメタキシレンアジパミド)、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリアミド4I(ポリテトラメチレンイソフタルアミド)、ポリアミド6T/66(ヘキサメチレンジアミン/アジピン酸/テレフタル酸共重合体)、ポリアミド6T/6I(ヘキサメチレンジアミン/イソフタル酸/テレフタル酸共重合体)、ポリアミド6T/6I/66(ヘキサメチレンジアミン/アジピン酸/イソフタル酸/テレフタル酸共重合体)、ポリアミド6T/M−5T(ヘキサメチレンジアミン/メチルペンタンジアミン/テレフタル酸共重合体)、ポリアミド6T/6(カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸共重合体)などの脂肪族−芳香族ポリアミド樹脂;及びこれら2種以上の混合物などを挙げることができる。
2.高分子型帯電防止剤
電防止剤として、(B1)ポリエーテルエステルアミド、及びアルキレンオキサイド基を有するゴム状幹重合体にエチレン系不飽和単量体をグラフト重合した(B2)グラフト共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の高分子型帯電防止剤を使用する。本発明では、(B1)ポリエーテルエステルアミドを用いる。
(1)ポリエーテルエステルアミド:
本発明で使用するポリエーテルエステルアミドとは、両末端にカルボキシル基を有するポリアミド成分とポリオキシアルキレングリコールなどのポリエーテル成分とがエステル結合したポリマーである。ポリエーテル成分としては、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールとビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物との組み合わせなどが挙げられる。両末端基にカルボキシル基を有するポリアミド成分としては、ラクタム開環重合体、アミノカルボン酸の重縮合体、ジカルボン酸とジアミンの重縮合体などが挙げられる。
ポリエーテルエステルアミドの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、アミド形成性モノマーとジカルボン酸とを反応させて両末端にカルボキシル基を持つポリアミドを形成させ、これにビスフェノール類のエチレンオキシド付加物を加えて、高温、減圧下で重合反応を行う方法が挙げられる。ポリエーテルエステルアミドとしては、市販品を使用することができるが、その具体例としては、三洋化成社製の商品名「ペレスタットNC6321」、アトケム社製の商品名「ヘパックス4011」などが挙げられる。
(2)ゴム状幹重合体のグラフト共重合体:
ラフト共重合体を構成する好ましいゴム状幹重合体は、共役ジエン及びアクリル酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも一種の単量体50〜95重量%と、4〜500個アルキレンオキシド基とエチレン系不飽和結合とを有する少なくとも一種の単量体(以下、「ポリアルキレンオキシド系単量体」という)5〜50重量%、及び必要に応じて前記単量体と共重合可能な少なくとも一種のエチレン系不飽和単量体0〜50重量%、好ましくは0〜40重量%とを共重合してなるゴム状共重合体である。
ゴム状幹重合体は、共役ジエン及びアクリル酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも一種の単量体を主成分とする。共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエンなどが用いられる。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸へキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニルなどが用いられる。
ゴム状幹重合体にグラフト重合させるエチレン系不飽和単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸プロピルなどのメタクリル酸アルキルエステル;スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族化合物;酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリロニトリルなどのその他のビニル単量体などを挙げることができる。
グラフト共重合体は、ゴム状幹重合体50〜90重量%、好ましくは55〜85重量%の存在下に、エチレン系不飽和単量体10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%をグラフト重合させることにより得ることができる。グラフト重合法は、特に限定されないが、通常、乳化重合法が採用される。
3.充填材
リアミド樹脂組成物には、所望により、機械的強度や耐熱性などの向上を目的として、各種充填材を配合することができる。充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維などの無機繊維状物;ステンレス、アルミニウム、チタン、鋼、真鍮などの金属繊維状物;ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などから形成された高融点有機質繊維状物質;等の繊維状補強材が挙げられる。
また、充填材としては、例えば、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、フェライト、クレー、ガラス粉、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等の粒状または粉末状充填材を挙げることができる。
基板用カセットなどの電荷制御部材の表面抵抗率を好ましい範囲内に制御するには、非導電性の充填材を用いることが望ましい。これらの充填材のなかでも、基板用カセットを補強し、かつ、その表面抵抗率を好ましい範囲内に制御するには、繊維状補強材としてガラス繊維を使用することが好ましい。
これらの充填材は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。充填材は、必要に応じて、集束剤または表面処理剤により処理されていてもよい。集束剤または表面処理剤としては、例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物などの官能性化合物が挙げられる。これらの化合物は、充填材に対して予め表面処理または集束処理を施してから用いるか、あるいは樹脂組成物の調製の際に同時に添加してもよい。
4.その他の添加剤
本発明で使用するポリアミド樹脂組成物には、前記以外のその他の添加剤として、例えば、エポキシ基含有α−オレフィン共重合体のような耐衝撃性改質材、エチレングリシジルメタクリレートのような樹脂改良剤、ペンタエリスリトールテトラステアレートのような滑剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤などを適宜添加することができる。
5.ポリアミド樹脂組成物
本発明では、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(B1)ポリエーテルエステルアミドである(B)高分子型帯電防止剤を4〜50重量部の割合、(C)ガラス繊維を10〜60重量部の割合で含有するポリアミド樹脂組成物を使用する。
ポリアミド樹脂の配合割合が小さすぎると、機械的強度が低下するとともに、流動性が悪くなり、射出成形性及び押出成形性が不充分となる。ポリアミド樹脂の配合割合が大きすぎると、帯電防止性が低下する。高分子型帯電防止剤の配合割合は、ポリアミド樹脂100重量部に対して、4〜95重量部、好ましくは5〜90重量部、より好ましくは6〜80重量部である。
高分子型帯電防止剤の配合割合が小さすぎると、帯電防止性が低下する。高分子型帯電防止剤の配合割合が大きすぎると、機械的強度が低下するとともに、流動性が悪くなり、射出成形性及び押出成形性が不充分となる。高分子型帯電防止剤の中でも、グラフト共重合体の配合割合が大きすぎると、成形加工性が低下することに加えて、ポリアミド樹脂組成物の弾性率が低くなりすぎる。
高分子型帯電防止剤がポリエーテルエステルアミドである場合には、ポリアミド樹脂100重量部に対する配合割合が4〜50重量部、好ましくは5〜45重量部でも、多くの場合、所望の範囲内の表面抵抗率を有する電荷制御部材を得ることができる。高分子型帯電防止剤がアルキレンオキサイド基を有するゴム状幹重合体にエチレン系不飽和単量体をグラフト重合したグラフト共重合体である場合には、所望の範囲内の表面抵抗率を有する電荷制御部材を得るには、ポリアミド樹脂100重量部に対する配合割合を好ましくは45〜95重量部、より好ましくは50〜90重量部とすることが望ましい。
ガラス繊維などの繊維状補強材を配合する場合には、その配合割合は、ポリアミド樹脂100重量部に対して、好ましくは80重量部以下、より好ましくは5〜70重量部、特に好ましくは10〜60重量部である。本発明では、10〜60重量部である。繊維状補強材の配合割合が小さすぎると、添加による補強効果を得ることができず、大きすぎると、帯電防止性が低下したり、部材表面の平滑性が低下するおそれがある。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、一般に合成樹脂組成物の調製に用いられる設備と方法により調製することができる。例えば、各原料成分をヘンシェルミキサー、タンブラー等の混合機を用いて予備混合し、必要に応じてガラス繊維等の充填材や添加剤を加えてさらに混合した後、一軸または二軸の押出機を使用して混練し、ダイから溶融押出して成形用ペレットとすることができる。全成分の一部を用いてマスターバッチを作製してから、得られたマスターバッチと残りの成分を混合する方法を採用することもできる。また、各成分の分散性を高めるために、使用する原料の一部を粉砕し、粒径を揃えてから混合し、溶融押出することもできる。
6.電荷制御部材
本発明の電荷制御部材は、ポリアミド樹脂組成物により形成されている本体またはその表面層の表面抵抗率が、好ましくは1.0×10〜1.0×1014Ω/□、より好ましくは1.0×10〜1.0×1014Ω/□、さらに好ましくは、1.0×10〜1.0×1014Ω/□の範囲内である。表面抵抗率の上限は、好ましくは0.5×1014Ω/□である。
電荷制御部材の表面抵抗率が低すぎると、例えば、電荷制御部材が基板用カセットである場合、基板用カセットが基板と接触した際に、基板の急激な放電が生じるおそれがある。この表面抵抗率が高すぎると、基板用カセットなどの電荷制御部材が帯電しやすくなり、基板などの物品を静電気から保護し、塵埃を寄せ付けず適切なクリーン度を保つことが困難になる。また、表面抵抗率が高すぎると、帯電防止性が低下し、帯電防止性が要求される分野での使用が制限される。さらに、表面抵抗率が高すぎると、接触する他の物品の帯電量を制御することが困難になる。
本発明の電荷制御部材は、温度23℃、相対湿度50%の条件下で、ポリアミド樹脂組成物により形成されている本体またはその表面層の表面とガラス基板とを摩擦させた後、表面電位計で測定したガラス基板の表面電位が、好ましくは150V以下、より好ましくは100V以下、特に好ましくは80V以下となる電荷制御機能を有するものであることが望ましい。
また、本発明の電荷制御部材は、スタティック・ディケイ計(STATIC DECAY METER)を用いて、MIL−B‐81705Cに従って測定した5000Vから50Vへのスタティック・ディケイ時間(static decay time)が、好ましくは5秒間以下、より好ましくは3秒間以下、特に好ましくは2秒間以下であることが望ましい。
本発明の電荷制御部材は、基板用カセットであることが好ましく、基板用カセットの少なくとも基板と接触する箇所がポリアミド樹脂組成物により形成されているものであることが好ましい。
本発明の基板用カセットは、特定の構造のものに限定されないが、箱型枠体から形成されたものであって、該枠体の一対の対向する側面には溝付き側板が配置された構造を有しているものが好ましい。前述した通り、このような基板用カセットの具体例は、図1及び図2に示されているような構造を有している。
典型的な基板用カセットは、底面側フレーム1、上面側フレーム2、側板3,3、これらの側板のそれぞれに設けられたリブ状の棚板4,4、及び受け側フレーム5,5から構成されている。リブ状棚板は、側板の背肉部から所定のピッチで平行に多数枚が突き出すように設けられている。隣接するリブ状の棚板間が溝となって、そこに基板Aが収容される。溝付き側板の形状や大きさは、所望に応じて、種々に変えることができる。これらの各部材は、通常、射出成形により製造され、その後、箱型枠体に組み立てられる。各部材は、それぞれ全体が熱可塑性樹脂組成物から成形されていてもよく、あるいは金属インサートまたはアウトサート品であってもよい。
このような構造の基板用カセットは、全部材がポリアミド樹脂組成物から形成されていてもよいが、必要に応じて、基板が接触する部材だけがポリアミド樹脂組成物から形成されていてもよい。基板と接触する部材としては、例えば、溝付き側板3,3、受けフレーム5,5などがある。溝付き側板3,3は、側板本体とリブ状棚板とがポリアミド樹脂組成物により一体的に成形されていてもよく、あるいは、別々に成形されたものを一体的に組み立ててもよい。
側板本体は、骨格を金属で作成し、そのまわりにポリアミド樹脂組成物をインサートまたはアウトサート成形により複合化したものであってもよい。受けフレーム5,5は、1つでもよく、2つ以上であってもよい。受けフレームは、平板状であってもよいが、溝付き側板と同様に、リブ状の棚板を設けたものであってもよい。
本発明の基板用カセットの構造は、前記のもの以外に、この技術分野で、電子部品実装基板などの薄板状の各種基板を収容するための基板用カセットとして使用されているものを広く包含する。
本発明の基板用カセットに収容する基板としては、ガラス基板、セラミック基板、シリコン基板、複合基板(例えば、樹脂/セラミック基板、樹脂/シリコン基板)、メタルベース・メタルコア基板(絶縁層は、ガラスやポリイミドなど)などの薄板状の基板を挙げることができる。これらの基板の用途としては、エレクトロニクス実装技術分野における液晶ディスプレイ用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、サーマルヘッド用ガラス基板、LSIパッケージ用セラミック基板、ハイブリッドIC用セラミック基板など挙げることができる。
本発明の基板用カセットは、ガラス基板の帯電量を顕著に抑制することができるため、液晶ディスプレイ用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板、サーマルヘッド用ガラス基板、薄膜エレクトロルミネッセンス表示ディバイス用ガラス基板、センサ用ガラス基板、光磁気ディスク用ガラス基板、太陽電池用ガラス基板などのガラス基板を収容するためのカセットとして特に好適である。
本発明の電荷制御部材は、基板用カセット以外に、下記のような各種部材として有用である。
(1)電気電子部材(Electronics/electrical):
トートビン(Tote bins)、ウエハボート(Wafer boats)、ウエハキャリア(Wafer carriers)、ウエハカセット(Wafer cassettes)、ICチップトレー(IC chip trays)、ICチップキャリア(IC chip carriers)、IC搬送チューブ(IC shipping tubes)、ICカード(IC cards)、テープ及びリールパッキング(Tape and reel packing)、装置用ケース(Equipment cases)、保存用トレー(Storage trays)、保存用ビン(Storage bins)、搬送容器(Transport enclosures)、磁気カードリーダー(Magnetic card readers)、コンピュータハウジング(Computer housings)、モデムハウジング(Modem housings)、モニターハウジング(Monitor housings)、CR−ROMハウジング(CR-ROM housings)、DVDハウジング(DVD housing)、プリンターハウジング(Printer housings)、コネクタ(Connectors)、ハードディスクキャリア(HD carriers)、MRヘッドキャリア及びトレー(MR head carriers and trays)、GMRヘッドキャリア及びトレー(GMR head carriers and trays)、HSAキャリア及びトレー(HSA carriers and trays)、HGAキャリア及びトレー(HGA carriers and trays)、ボイスコイルモータ用材料(VCM in HDD)、液晶パネルキャリア(Liquid crystal panel carriers)。
(2) 事務機器/コンピュータ(business machines/computers):
サーキットボードカセット(Printed circuit board cassettes)、グラウンディングブッシュ(Grounding bushings)、ペーパートラクタ(Paper tractors)、フォントカートリッジ(Font cartridges)、インクリボンキャニスタ(Ink ribbon canisters)、ガイドピン(Guide pins)、トレー(Trays)、ローラ(Rollers)、ギア(Gears)、スプロケット(Sprockets)、ベルト(Belts)、容器(Electronic enclosures)、帯電ロール(Charging rolls)、転写ロール(Transfer rolls)、現像ロール(Developing rolls)、除電ロール(Static charge eliminating rolls)、帯電ベルト(Charging belts)、転写ベルト(Transfer belts)、現像ベルト(Developing belts)、除電ベルト(Static charge eliminating belts)、画像形成装置におけるその他OA機器部品(Other parts in image forming apparatus of an electrophotographic system)、紙及び紙幣搬送部品(Paper and paper money carring parts)、紙送りレール(Paper feed rails)。
(3) テレトロニクス(Teletronics):
携帯電話部品(Portable telephone parts)、ペーガー(Pagers)、セルラーホーン部品(Cellular phone parts)。
(4) 化学処理等(Chemical and other processing):
トートビン(Tote bins)、ボックス(Boxes)、トレー(Trays)、摺動部品(Wear-resistant)、帯電防止部品(Static-dissipative machine parts)、装置容器(Equipment cases)、パレット(Pallets)、電子機器用筺体(Enclosures for electronics controls)、医薬装置(Medical devices)、試験装置(Test equipment)、電線及び電力ケーブル被覆材(Wire and power cable sheathing materials)、電線支持体(Wire supporters)、電波吸収体(Electromagnetic wave absorbers)、床材(Floor coverings)、カーペット(Carpets)、防虫シート(Insect proofing sheets)、壁材(Wall plate)、靴底(Shoe soles)、テープ(Tapes)、ブラシ(Brushes)、送風ファン(Fan blade)、面状発熱体(Flat heaters)、ポリスイッチ(Polyswitches)。
(5) 自動車構成部品(Automotive components):
電子電気ハウジング(Electronic housings)、ガスタンクキャップ(Gas tank caps)、燃料フィルタ(Fuel filters)、燃料ラインコネクタ(Fuel line connectors)、燃料ラインクリップ(Fuel line clips)、燃料タンク(Fuel reservoirs or tanks)、機器ビージル(Instrument bezels)、ドアハンドル(Door handles)、燃料ライン(Fuel lines)、内装材(Interior)。
以下に実施例、参考例、及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。物性の測定方法は、以下に示すとおりである。
(1)表面抵抗率:
試料の表面抵抗率が1×10Ω/□以上の場合は、JIS K−6911に準拠して、定電圧器(菊水社製300−1A型)、電流計(ケースレー社製616型)、及び試料セル(横河・ヒューレトパッカード社製1608A型)を用い、印加電圧100Vで測定した。試料の表面抵抗率が1×10Ω/□末満の場合には、JIS K−7194に準拠して、三菱化学社製ロレスターHPを用いて測定した。
(2)ガラス基板の帯電量:
温度23℃、相対湿度50%の条件で、試料をガラス基板と摩擦させた後のガラス基板の表面電位を、表面電位計(Model 344、トレックジャパン社製)で測定した。
(3)スタティック・ディケイ時間(static decay time):
ETS社製STATIC DECAY METER−406Cを用い、MIL−B‐81705Cに準拠して、5000Vから50Vへのスタティックディケイ時間を測定した。
[合成例1]グラフト共重合体の合成例
攪拌機、温度計、圧力計を付した耐圧反応容器に、1,3−ブタジエン23重量部、アクリル酸ブチル30重量部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート12重量部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.016重量部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート0.006重量部、エチレンジアミンテトラ酢酸鉄(III)塩0.0015重量部、ピロリン酸ナトリウム0.2重量部、オレイン酸カリウム2.0重量部、及び脱イオン水200重量部を仕込み、60℃で10時間攪拌した。重合後、平均粒子径80nmのゴム状幹重合体ラテックスが、収率99%で得られた。
固形分65重量部の上記ゴム状幹重合体のラテックスに、エチレン系不飽和単量体混合物としてメタクリル酸メチル35重量部、ノルマルオクチルメルカプタン0.3重量部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.018重量部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート0.007重量部、オレイン酸カリウム1.0重量部、及び脱イオン水50重量部を添加し、窒素置換した後、60℃で10時間撹拌してグラフト共重合させた。得られたラテックスを取り出し、濃度0.7重量%の塩酸水溶液200重量部を添加してグラフト共重合体を析出させた。水洗・脱水後、含水率43重量%の粉末状グラフト共重合体を得た。これを気流式瞬間乾燥機により熱風温度100℃の条件で乾燥して、収率97%で白色粉末のグラフト共重合体を得た。得られたグラフト共重合体99重量部とアニオン系界面活性剤1重量部とをヘンシエルミキサーを使用しドライブレンドして、高分子型帯電防止剤として使用した。
[実施例1〜5、参考例1、比較例1〜6]
表1に示す各成分をヘンシエルミキサーで均一にドライブレンドした後、45mmφの二軸混練押出機(池貝鉄工所社製PCM−45)へ供給し、溶融押出しを行いペレットを得た。得られたペレットを乾燥後、射出成形機(東芝機械社製IS−75)により、物性測定用の平板を作成した。結果を表1に示す。
Figure 0004540478
(脚注)
(1)ポリアミド46:DSM JSRエンプラ株式会社製、商品名「Stanyl TS300」、
(2)ポリフタルアミド:ポリアミド6T/6I/66、アモコ社製、商品名「アモデル」、
(3)ポリカーボネート:三菱ガス化学社製、商品名「ユーピロンS−2000」、
(4)ポリエチレンテレフタレート:三井化学株式会社製、商品名「SA135」、
(5)ポリブチレンテレフタレート:ポリプラスチック製、商品名「ジュラネックス2002」、
(6)ポリフェニレンサルファイド:呉羽化学工業株式会社製、商品名「フォートロンKPS W−214」、
(7)ポリエーテルエステルアミド:三洋化成工業株式会社製、商品名「ペレスタットNC6321」、
(8)ガラス繊維:旭ファイバーガラス製、商品名「FT689」、
(9)炭素繊維:東邦レーヨン社製のPAN系炭素繊維、商品名「ベスファイトHTA3000」。
表1の結果から明らかなように、ポリアミド樹脂に高分子型帯電防止剤を特定の配合割合で配合した樹脂組成物を用いると(実施例1〜)、1.0×10〜1.0×1014Ω/□、より好ましくは1.0×10〜1.0×1014Ω/□の範囲内の表面抵抗率を示し、スタティク・ディケイ時間が2秒間以下であり、さらには、ガラス基板と摩擦させた場合のガラス基板の表面電位を極めて低レベルに抑えることができる成形物を得ることができる。この成形物は、空気中を浮遊している塵埃などを吸着することがない。
したがって、これらのポリアミド樹脂組成物は、基板用カセットの成形材料として好適である。本発明の基板用カセットは、薄膜トランジスタを組み込んだガラス基板の回路を破壊するおそれがない。
他方、高分子型帯電防止剤を含有しないポリアミド樹脂組成物(比較例1)を用いて成形した成形物は、表面抵抗率が高く、スタティクディケイ時間も60秒間以上であり、帯電防止機能が十分に発現していない。さらに、ガラス基板と摩擦させた場合のガラス基板の表面電位も1200Vと高く、基板用カセットの樹脂材料としての要求特性を満たすことができない。
ポリアミド樹脂に炭素繊維を充填したポリアミド樹脂組成物(比較例2)を用いて成形した成形物は、表面抵抗率が10Ω/□より低く、該部材にガラス基板が接触した場合、感電、漏電または帯電していたガラス基板が急激に放電して、回路が破損してしまうおそれがある。また、ガラス基板と摩擦させた場合のガラス基板の表面電位も240Vと高く、基板用カセットの樹脂材料としての要求特性を満たすことができない。
ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはポリフェニレンサルファイドと高分子型帯電防止剤とを含有する樹脂組成物から形成された成形物(比較例3〜6)は、10〜1014Ω/□の範囲内の表面抵抗率を示し、かつ、スタティクディケイ時間が1秒間以下であるが、ガラス基板と摩擦させた場合のガラス基板の表面電位を低レベルに抑えることができず、基板用カセットの樹脂材料としての要求特性を十分に満たすことができない。
本発明の電荷制御部材は、電子部品実装基板などの薄板状の各種基板を収容するための基板用カセットなどとして有用である。本発明によれば、適度の表面抵抗率と安定した帯電防止性を有し、回路を形成したガラス基板などを収容しても、該基板が帯電して回路が破損することのない基板用カセットが提供される。
本発明によれば、このような優れた特性を有する基板用カセットを、溶融流動性、成形性、発塵防止性、機械的特性に優れ、基板表面への不純物の滲み出しが極めて少ない高分子材料を用いて提供することができる。さらに、本発明によれば、基板を静電気から保護し、塵埃を寄せ付けず適切なクリーン度を保つとともに、基板の急激な放電を防ぐことができる。本発明の電荷制御部材は、基板用カセット以外にも、帯電防止性や電荷制御特性が要求される前述の如き各種用途に適用することができる。
図1は、基板用カセットの一例を示す正面図である。 図2は、基板用カセットの一例を示す斜視図である。
符号の説明
1:底面側フレーム、
2:上面側フレーム、
3:側板、
4:リブ状の棚板、
5:受け側フレーム、
A:基板。

Claims (11)

  1. 本体またはその表面層の少なくとも一部が、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(B1)ポリエーテルエステルアミドである(B)高分子型帯電防止剤を4〜50重量部の割合、及び(C)ガラス繊維を10〜60重量部の割合からなるポリアミド樹脂組成物により形成されている基板用カセットである電荷制御部材であって、温度23℃、相対湿度50%の条件下で、ポリアミド樹脂組成物により形成されている本体またはその表面層の表面とガラス基板とを摩擦させた後、表面電位計で測定したガラス基板の表面電位が150V以下となる電荷制御機能を有する基板用カセットである電荷制御部材。
  2. ポリアミド樹脂組成物により形成されている本体またはその表面層の表面抵抗率が、1.0×10〜1.0×1014Ω/□の範囲内である請求項1記載の基板用カセットである電荷制御部材。
  3. (A)ポリアミド樹脂が、脂肪族ポリアミド樹脂、脂肪族−芳香族ポリアミド樹脂、またはこれらの混合物である請求項1記載の基板用カセットである電荷制御部材。
  4. 脂肪族ポリアミド樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、またはポリアミド46である請求項3記載の基板用カセットである電荷制御部材。
  5. 脂肪族−芳香族ポリアミド樹脂が、ポリアミドMXD6(ポリメタキシレンアジパミド)、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、ポリアミド4I(ポリテトラメチレンイソフタルアミド)、ポリアミド6T/66(ヘキサメチレンジアミン/アジピン酸/テレフタル酸共重合体)、ポリアミド6T/6I(ヘキサメチレンジアミン/イソフタル酸/テレフタル酸共重合体)、ポリアミド6T/6I/66(ヘキサメチレンジアミン/アジピン酸/イソフタル酸/テレフタル酸共重合体)、ポリアミド6T/M−5T(ヘキサメチレンジアミン/メチルペンタンジアミン/テレフタル酸共重合体)、またはポリアミド6T/6(カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸共重合体)である請求項3記載の基板用カセットである電荷制御部材。
  6. (B1)ポリエーテルエステルアミドが、両末端にカルボキシル基を有するポリアミド成分とポリエーテル成分とがエステル結合したポリマーである請求項1記載の基板用カセットである電荷制御部材。
  7. 両末端にカルボキシル基を有するポリアミド成分が、ラクタム開環重合体、アミノカルボン酸の重縮合体、またはジカルボン酸とジアミンの重縮合体である請求項6記載の基板用カセットである電荷制御部材。
  8. ポリエーテル成分が、ポリオキシアルキレングリコール、またはポリオキシアルキレングリコールとビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物との組み合わせである請求項6記載の基板用カセットである電荷制御部材。
  9. スタティック・ディケイ計(STATIC DECAY METER)を用いて、MIL−B 81705Cに従って測定した5000Vから50Vへのスタティック・ディケイ時間(static decay time)が5秒間以下である請求項1記載の基板用カセットである電荷制御部材。
  10. 基板用カセットが、基板用カセットの少なくとも基板と接触する箇所がポリアミド樹脂組成物により形成されているものである請求項1記載の基板用カセットである電荷制御部材。
  11. 基板用カセットが、ガラス基板用カセットである請求項10記載の基板用カセットである電荷制御部材。
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