JP3942326B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、充分に短いスタチック・ディケイ時間(印加された電圧が所定の電圧値まで減衰する時間)を示す成形体を形成することができ、ESD(electrical static dissipative、静電気拡散性)材料として適合し得る非黒色熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
106〜1011Ω/□の表面抵抗率をもつ合成樹脂は、ESD材料として、静電気を除去する必要がある分野で強く求められている。
【0003】
従来から、静電対策用の合成樹脂として、帯電防止剤あるいはシリコン系化合物を表面塗布する方法、帯電防止剤や電気抵抗の小さい充填材を添加して成形する方法、が用いられてきた。
【0004】
このうち、帯電防止剤あるいはシリコン系化合物を表面塗布する方法は、洗浄あるいは、摩擦により帯電防止効果が激減してしまい、実用上大きな問題がある。
【0005】
一方、帯電防止剤を添加して成形する方法は、永久的な帯電防止には充分でなく、表面に存在する帯電防止剤を水洗、摩擦等の手段で除去してしまうと帯電防止効果が失われること、帯電防止剤が表面にブリードしすぎると、ゴミや埃の粘着が起こるばかりでなく、帯電防止剤に溶出及び揮発により周囲の環境を汚染するおそれがあること、等の問題点があった。特公昭59−2462号公報には、アルキレンオキサイド基を有するゴム状幹重合体のグラフト共重合体を含む熱可塑性樹脂にアニオン系界面活性剤を配合することにより永久帯電防止機能を有する熱可塑性樹脂が開示されているが、ESD材料として使用するには、帯電防止機能が不十分である。
【0006】
電気抵抗の小さい充填材を添加して成形する方法では、一般に導電性カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、金属繊維、金属粉末などの電気抵抗率の小さい良導電性充填材と合成樹脂とを混合物を成形して合成樹脂組成物を製造する方法が用いられる。この場合は、充填材と合成樹脂の電気抵抗率が大きくかけ離れているため、得られる樹脂組成物の電気抵抗率は充填材の含有量に対して急激に変化する。特に、樹脂組成物の表面抵抗率が106〜1011Ω/□程度の領域において充填材の含有量に対する樹脂組成物の電気抵抗率の変化が急激である。そのため、106〜1011Ω/□の表面抵抗率を有する合成樹脂組成物を、安定して製造することは、困難であった。上記良導電性充填材のなかでは、導電性カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維等の炭素材料が比較的106〜1011Ω/□の領域での表面抵抗率を与える適性を有するが、この場合には合成樹脂組成物の色調が黒に限定されるため、その用途に制限があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主要な目的は、ESD材料として要求される充分に短いスタチック・ディケイ時間を示し、且つ任意の色に着色可能な非黒色熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究によれば、上述の目的は、(A)結晶性熱可塑性樹脂30〜84.9重量%、(B)共役ジエン及びアクリル酸エステルから選ばれた1種以上の単量体50〜95重量%、4〜500個アルキレンオキサイド基を有しエチレン系不飽和結合を有する1種以上の単量体5〜50重量%及び必要により共重合可能な1種以上のエチレン系不飽和単量体からなるゴム状幹重合体にエチレン系不飽和単量体をグラフト重合したグラフト共重合体15〜65重量%および(C)アニオン系界面活性剤0.1〜5重量%からなる非黒色熱可塑性樹脂組成物により達成されることが見出された。これにより、別の観点に従えば、5000Vから50Vへのスタチック・ディケイ時間が10秒以下と極めて短く、表面抵抗率が10Ω/□以上である成形体を与える非黒色熱可塑性樹脂組成物が得られる。
【0009】
本発明者等が、上述の目的で研究して、本発明に到達するに至った経緯について、若干付言する。
【0010】
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、優れた帯電防止性が発現するのは、グラフト共重合体(B)のゴム状幹重合体に選択的に吸着したアニオン系界面活性剤(C)の作用によるものと解されている。この点は前記特公昭59−2462号公報に開示される制電性樹脂組成物におけるものと同じである。同特公昭59−2462号公報には、更にグラフト共重合体の一部を、これと相溶し得る熱可塑性樹脂で置きかえてもよいとされ、その熱可塑性樹脂のなかには、本発明で用いる結晶性熱可塑性樹脂の具体例も含まれている。しかしながら、同特公昭59−2462号公報に実施例として開示される31の組成物は、本発明者らの測定によれば、5000Vから50Vへのスタチック・ディケイ時間および表面抵抗率が、本発明組成物に比べて、それぞれ一桁以上大きく、必要なESD特性は示していない(後記実施例、比較例参照)。すなわち本発明は、上記特公昭59−2462号公報に開示されたグラフト共重合体と相溶し得る熱可塑性樹脂に例示はされていたが、具体的に意識されていなかった結晶性熱可塑性樹脂を選択することにより、極めて顕著なESD特性の向上に成功した選択発明に相当するものである。
【0011】
上記特公昭59−2462号公報において、本発明のように結晶性熱可塑性樹脂がグラフト共重合体との組合せにおいて選択して使用されなかったことには一つの理由がある。すなわち、上記公報の発明においては、例えば電気製品等のカバー等の列挙される製品用途からも明らかなように、透明性の良好な制電性樹脂組成物を与えることを一つの目的としている(事実、実施例に記載される組成物は全光線透過率が約90%前後、ヘイズ値が3〜5%程度の値を与えるものである)。そして、このような透明性の観点からいえば、相溶性のより良好な非晶性熱可塑性樹脂を用いるか、グラフト共重合体と屈折率を合わせた非晶性熱可塑性樹脂を用いる方が、結晶性熱可塑性樹脂よりも好ましいものである。本発明で用いる結晶性熱可塑性樹脂は、グラフト共重合体に対して熱的に混和し得るという意味での相溶性(compatibility)は有するが、良好な透明性を与えるに充分な微視的な相溶性(miscibilityあるいは良好なレベルのcompatibility)は有さない。このため、得られる組成物は半透明あるいは乳白色、乳黄色、乳褐色などとなるが、もちろんカーボンブラックを混入してある場合等とは異なり、任意の着色剤の混入により、任意の色に着色可能なものである。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ある意味で上記公報の発明が一つの目的とした透明性と決別したところから、生まれた発明ともいえる。
【0012】
上記特公昭59−2462号公報においては、単にグラフト共重合体の希釈剤あるいはマトリクス樹脂としてしか意識のされていなかった熱可塑性樹脂を、結晶性熱可塑性樹脂に変えることにより、非晶性熱可塑性樹脂を用いた場合はおろか、グラフト共重合体(B)のみをアニオン系界面活性剤(C)と組合せた場合に比べても、飛躍的なESD特性の向上が得られた理由については未だ明らかになっていないが、少なくとも結晶性熱可塑性樹脂がグラフト共重合体と熱的に混和されたのち、成形、冷却される過程で再度生成した結晶がESD特性の発現機構に深く関与していることは確かと考えられる。このような結晶中には、添加したアニオン系界面活性剤(C)が相溶せず、優先的にグラフト共重合体中のゴム状幹重合体に吸着すること、あるいは、結晶界面に存在するアニオン系界面活性剤(C)、がESD特性の発現に寄与しているのかとも推定される。
【0013】
【発明の実施の形態】
<結晶性熱可塑性樹脂(A)>
本発明の熱可塑性樹脂組成物の第1の特徴成分である、結晶性熱可塑性樹脂(A)としては、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気中、10℃/分の昇温速度で測定を行った際に、結晶融点に基づく吸熱ピークのエンタルピー(結晶融解エンタルピーΔHc)が10J/g以上、特に15J/g以上のものを用いることが好ましい。特に融点(Tm)が300℃以下の、更には290℃以下のものが好ましい。より高融点のものは、後述するアニオン系界面活性剤(C)との混練の過程でアニオン系界面活性剤(C)を熱的に劣化させるおそれがある。
【0014】
結晶性熱可塑性樹脂(A)の具体例としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等の結晶性ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の結晶性ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、全芳香族ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素樹脂、またはこれらの変性物が挙げられる。また、上記合成樹脂から選ばれた2種以上の混合物も使用することができる。
【0015】
熱可塑樹脂組成物中の結晶性熱可塑性樹脂(A)の配合割合は、30〜84.4重量%であり、好ましくは30〜79.9重量%であり、特に好ましくは35〜75重量%である。熱可塑樹脂(A)の配合割合が多すぎると、スタチック・ディケイ時間が長くなり、充分な帯電防止機能を有した樹脂組成物が得られなくなる。結晶性熱可塑性樹脂の配合割合が少なすぎると所望のESD特性発現効果が乏しくなるとともに熱可塑性樹脂組成物の弾性率が低くなり、また射出成形及び押出し等のプロセッシングが困難になる場合がある。
【0016】
<グラフト共重合体(B)>
本発明の熱可塑性樹脂組成物の第2の成分であるグラフト共重合体(B)は、ゴム状幹重合体を有するものであり、好ましくはアルキレンオキサイド基を有するゴム状幹重合体にエチレン系不飽和単量体をグラフト重合したグラフト共重合体からなる。特に好ましくは、前記特公昭59−2462号公報に記載のものと基本的に同様のものが用いられる。
【0017】
すなわち、本発明のグラフト共重合体を構成する好ましいゴム状幹重合体は共役ジエン及びアクリル酸エステルから選ばれた1種以上の単量体50〜95重量%と、4〜500個アルキレンオキサイド基を有しエチレン系不飽和結合を有する1種以上の単量体(以下、「ポリアルキレンオキサイド単量体」という)5〜50重量%、及び必要により共重合可能な1種以上のエチレン系不飽和単量体0〜50重量%好ましくは0〜40重量%からなるゴム状の共重合体である。
【0018】
ゴム状幹重合体は、共役ジエン及びアクリル酸エステルから選ばれた1種以上の単量体を主成分とする。共役ジエンとしては1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン等が用いられ、またアクリル酸エステルとしてはアクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル等が用いられる。
【0019】
共役ジエンとアクリル酸エステルは、単独又は合計量でゴム状幹重合体の50重量%以上ないと、ゴム状幹重合体のガラス転移温度を充分に低くすることができず、帯電防止効果が小さくなる。また95重量%以下でないと、必然的にポリアルキレンオキサイド単量体の添加量が少なくなるため、所望のESD特性が得られなくなる。
【0020】
ポリアルキレンオキサイド単量体は、エチレン不飽和基に結合し
【0021】
【化1】
で表せられるアルキレンオキサイド鎖を持つ(ここでR2、R3は水素又は炭素数1〜4のアルキル基で同じか又は異なる基;m、nは4≦m+n≦500を満たす整数)ものであり、特にR2、R3の少なくとも一方が水素であるエチレンオキサイド基を4個以上からなるエチレンオキサイドブロックを有するものが好ましい。
【0022】
またポリアルキレンオキサイド単量体としては次に示す構造式(2)または(3)で表せられる1種以上の単量体が好ましい。
【0023】
【化2】
式中R1は水素又は炭素数1〜4のアルキル基、Xは、水素又は炭素数1〜9のアルキル基、フェニル基、SO3Me、SO2Me、PO3Me2、
【0024】
【化3】
であって、R4、R5、R6は水素又は炭素数1〜9のアルキル基、Meは水素、またはアルカリ金属、R2、R3ならびにm、nは式(1)におけると同一の意味を表わす。あるいは、
【0025】
【化4】
式中Zは水素又は炭素数1〜40のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、フェニル基、又は、
【0026】
【化5】
であって、p、qは4≦p+q≦500を満たす整数。
【0027】
上述したように式(2)、式(3)で表わされる単量体中でも、R2、R3の少なくとも一方が水素であり、4個以上のエチレンオキサイド基を有するものが特に好ましく用いられる。もちろん式(2)、式(3)で表わせられる単量体以外でもエチレン系不飽和結合とポリアルキレンオキサイドを有し且つ共役ジエン又は及びアクリル酸エステルとの共重合により得られるゴム状幹重合体の体積電気抵抗率を下げうる類似の単量体の使用も可能である。
【0028】
ポリアルキレンオキサイド単量体中のアルキレンオキサイド基は4〜500個が必要であり、6〜50個、特に9〜50個である場合にはより好ましい。アルキレンオキサイド基の数が4より少ない場合には制電性を付与しにくく、また500より多い場合には重合する際に水又はモノマーに溶解しにくく、また重合性も悪くなる。
【0029】
また、ポリアルキレンオキサイド単量体がゴム状幹重合体に5重量%以上含まれないと充分な制電性を付与することはできない。また50重量%以下でないと、ゴム状幹重合体の形成あるいはグラフト共重合における重合及び得られた重合体の酸析による後処理が困難となる。
【0030】
ゴム状幹重合体の製造に必要に応じて用いられる共役ジエン又はアクリル酸エステルと共重合可能なエチレン系不飽和単量体としては、公知の単量体を用いることができる。例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、酢酸ビニル、不飽和ニトリル、芳香族ビニル、アルキルビニルエーテル、アルキルビニルケトン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル、ダイアセトンアクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イタコン酸、イタコン酸アルキルエステル、イソブテン、2−アッシドホスフォキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アッシドホスフォキシプロピルメタクリレート、スチレンスルフォン酸ソーダ等の1種以上の単量体を用いることができる。上記共重合可能なエチレン系不飽和単量体としてアクリロニトリルのように極性の大きな単量体、あるいはスルフォン酸基、リン酸基、カルボン酸基等のようなアニオン性置換基を含む単量体を選ぶと制電性はさらに向上する。
【0031】
これら共重合可能なエチレン系不飽和単量体は、ゴム状幹重合体のうち40重量%以下の範囲で用いられる。この範囲を超えるとガラス転移温度が高くなり、ゴム状特性が失われる。
【0032】
またゴム状幹重合体には、必要により架橋剤として、例えばビニル基、1,3−ブタジエニル基、アクリル基、メタクリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基の1種以上を2個以上有する多官能性単量体も使用することができる。特に4〜500個好ましくは9〜50個のポリアルキレングリコール基を更に有する多官能性単量体は架橋剤として働くと同時に制電性付与剤としても働くので好ましい。
【0033】
本発明に用いるゴム状幹重合体の重合は、カルボン酸系界面活性剤の存在下での乳化重合により行われることが好ましい。カルボン酸系界面活性剤は、後述する塩酸等の強酸による酸析に際して、効果的に作用し、また、アルキルリン酸塩およびアルキルエーテルリン酸塩を含む有機リン酸塩系等の他の弱酸塩系の界面活性剤に比べて環境面への配慮からも好ましく用いられる。好ましいカルボン酸系界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、ロジン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等が挙げられる。これらカルボン酸系界面活性剤は、ゴム状幹重合体の乳化重合に際して、例えば0.5〜25g/リットルの割合で水系分散媒に配合されることが好ましい。
【0034】
かかるゴム状幹重合体に、グラフト重合する際に用いられるエチレン系不飽和単量体としては、公知の単量体を用いることができる。例えば、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、不飽和ニトリル、芳香族ビニル、共役ジエン、アルキルビニルエーテル、アルキルビニルケトン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル、(アルコキシ)ポリエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ダイアセトンアクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イタコン酸、イタコン酸アルキルエステル、イソブテン等の1種以上の単量体を用いることができる。このグラフト重合の際に、必要に応じて追加の水分散媒および界面活性剤が追加される。この際追加使用される界面活性剤の酸析に対する影響は、ゴム状幹重合体の乳化重合時の界面活性剤ほどではないが、やはり、カルボン酸系界面活性剤を使用することが好ましい。
【0035】
グラフト重合体中のゴム状幹重合体と枝重合体の割合は、前者が5〜95重量%、好ましくは8〜80重量%、後者が5〜95重量%、好ましくは20〜92重量%の範囲が使用される。ゴム状幹重合体が5重量%より少ない時は帯電防止性を付与することが困難となり、結晶熱可塑性樹脂と熱的に混和して熱可塑性樹脂組成物を与えることが困難となる。
【0036】
上記のようにして得られたグラフト共重合体(B)のラテックスに、撹拌下で、好ましくは強酸、特に好ましくは塩酸、の水溶液を添加することによりグラフト共重合体(B)を析出させ、固体粉末として回収する。カルボン酸系界面活性剤で安定化されたラテックス状のグラフト共重合体(B)は、強酸水溶液の添加撹拌により、急速に系が中和され、分散安定性を失い、強く凝集した含水率の低い固体粉末として回収される。例えば固形分濃度が20〜40重量%のグラフト共重合体(B)のラテックス100重量部に対して、比較的低い濃度である0.1〜2重量%の塩酸水溶液を100〜500重量部添加することにより効果的な酸析が実現され、気流式瞬間乾燥機や流動層式乾燥機等の大量生産に適した乾燥機により効率的に乾燥されて、固体粉末状のグラフト共重合体(B)として回収される。
【0037】
熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(B)の配合割合は、15〜65重量%であり、好ましくは20〜65重量%であり、特に好ましくは25〜60重量%である。グラフト共重合体(B)の配合割合が多すぎると、熱可塑性樹脂組成物の弾性率が低くなりすぎるとともに、射出成形及び押出し等のプロセッシングが困難になる場合がある。ゴム状幹重合体のグラフト共重合体の配合割合が少なすぎると、熱可塑性樹脂組成物の帯電防止機能が不十分になる。
【0038】
<アニオン系界面活性剤>
本発明で使用するアニオン系界面活性剤(C)としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩および脂肪酸塩からなる群より選ばれ少なくとも1種であるアニオン系界面活性剤が好ましく用いられる。特に、必要な耐熱性を確保するために、JIS−K7120に定める熱重量減少開始温度(以下「Tng」と略記することがある)が250℃以上のものが好ましく用いられる。熱重量減少開始温度は、アニオン系界面活性剤の構造とある程度の相関性が認められており、熱重量減少開始温度が250℃以上であるアニオン系界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などが挙げられる。
【0039】
アニオン系界面活性剤を構成する金属種の選択もアニオン系界面活性剤帯電防止剤としての効果に関係があり、特に、原子番号が19(カリウム相当)以上であるアルカリ金属塩は、比較的少量の添加で必要な帯電防止効果が得られるので、グラフト共重合体(B)および結晶性熱可塑性樹脂(A)とのブレンド時間の短縮、成形品物性の向上等の点で好ましく用いられる。
【0040】
アニオン系界面活性剤(C)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物中に、0.1〜5重量%の割合で用いられる。0.1重量%未満では、ESD特性改善効果が乏しく、また5重量%を超えて用いると成形体表面へのブリードアウトが顕著となり、成形体の特性上好ましくない。
【0041】
<非晶性熱可塑性樹脂>
上記成分(A)〜(C)の含有量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の樹脂分中に占める割合として規定される。(後述の非樹脂質充填剤等は、その割合に関与しない。)従って、上記成分(A)〜(C)の存在割合が満たされ、且つ必要なESD特性が維持される限りにおいて、比較的少量の非晶性熱可塑性樹脂が混入されることは差し支えない。
【0042】
<充填剤>
本発明の樹脂組成物には、さらに機械的強度や耐熱性を上げることを目的に、各種充填剤を配合することができる。特に繊維状補強材を配合することがしばしば好ましく、その例としては、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維などの無機繊維状物;ステンレス、アルミニウム、チタン、鋼、真録等の金属繊維状物;ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質;等の繊維状充填剤が挙げられる。他の充填剤としては、例えば、マイカ、シリカ、タルク、アルミナ、カオリン、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、フェライト、クレー、ガラス粉、酸化亜鉛、炭酸ニッケル、酸化鉄、石英粉末、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等の粒状または粉末状充填剤を挙げることができる。
【0043】
特に、金属繊維、金属粉末、あるいは半導体粉末等の比較的良導電性の充填剤を配合することも、より低下した表面抵抗率の成形体を与える上で好ましい。特に本発明の熱可塑性樹脂組成物により、特に制御困難な106〜1011Ω/□の領域の表面抵抗率の制御が可能となっているので、良導電性充填剤を配合することにより、より低い表面抵抗率を与えることは容易である。但し、表面抵抗率を10Ω/□より低下することは、放電等により製品歩留りが低下する原因となるので好ましくない。
【0044】
上述した充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、充填剤は、必要に応じて、集束剤または表面処理剤により処理されていてもよい。集束剤または表面処理剤としては、例えば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物の官能性化合物が挙げられる。これらの化合物は、フイラに対して予め表面処理または集束処理を施して用いるか、あるいは組成物の調製の際に同時に添加してもよい。
【0045】
<その他の添加剤>
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、前記以外のその他の添加剤として、例えば、エポキシ基含有αオレフィン共重合体のような衝撃改質剤、エチレングリシジルメタクリレートのような樹脂改良剤、ペンタエリスリトールテトラステアレートのような滑剤、熱硬化性樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ポロンナイトライドのような核剤、難燃剤、染料や顔料等の着色剤等を適宜添加することができる。特に、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、非黒色であり、必要に応じて着色剤、好ましくは耐熱性の顔料、を加えて任意の色に着色できることが重要な特徴である。
【0046】
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、一般に合成樹脂組成物の調製に用いられる設備と方法により調整することができる。例えば、各原料成分をヘンシェルミキサー、タンブラー等により予備混合し、必要があればガラス繊維等の充填剤を加えてさらに混合した後、1軸または2軸の押出機を使用して混練し、押し出して成型用ペレットとすることができる。必要成分の一部をマスターバッチとしてから残りの成分と混合する方法、また、各成分の分散性を高めるために、使用する原料の一部を粉砕し、粒径を揃えて混合し溶融押出することも可能である。
【0047】
本発明の樹脂組成物は、射出成形や押し出し成形などの一般的溶融成形加工法によりシート、フィルム、チューブ、その他の成型品に成形加工することができる。
【0048】
<用途>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、射出成形や押し出し成形などの一般的溶融成形加工法により繊維、シート、フィルム、チューブ、パイプ、その他の成形品に成形加工することができる。成形品は、帯電防止性が要求される分野で広範に使用できる。
【0049】
具体的な用途としては、電気電子分野及び半導体関連分野では、ウエハキャリア、ウエハカセット、トートビン、ウエハーボート、ICチップトレー、ICチップキャリア、IC搬送チューブ、ICカード、テープ、リールパッキング、各種ケース、保存用トレー、保存用ビン、軸受や搬送ローラー等の搬送装置部品、磁気カードリーダー、OA機器分野では、記録装置用転写ロール、転写ベルト、現像ロール、記録装置用転写ドラム、プリント回路基板カセット、ブッシュ、紙及び紙幣搬送部品、紙送りレール、フォントカートリッジ、インクリボンキャニスター、ガイドビン、トレー、ローラー、ギア、スプロケット、コンピュータ用ハウジング、モデムハウジング、モニターハウジング、CD−ROMハウジング、プリンターハウジング、コネクター、コンピュータースロット、通信機器分野では、携帯電話部品、ベーガー、各種摺動材、自動車分野では内装材、アンダーフード、電子電気機器ハウジング、ガスタンクキャップ、燃料フィルター、燃料ラインコネクター、燃料ラインクリップ、燃料タンク、機器ビージル、ドアハンドル、各種部品、その他の分野では、電線及び電力ケーブル被覆材、電線支持体、電波吸収体、床材、カーペット、防虫シート、パレット、靴底、テープ、ブラシ、送風ファン、などが挙げられる。
【0050】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によって、更に具体的に説明する。なお、実施例中の「部」は「重量部」を意味し、記載される物性は、代表的に以下の方法で測定したものである。
【0051】
(1)表面抵抗率
JIS K6911に準拠して測定を行った。その概略は以下の通りである:
成形試験片(100mm×127mm×3mm厚さ)の表面及び裏面に導電性ペイント(藤倉化成(株)製「ドータイトD−550」)を円状に塗布することにより電極とした。すなわち、表面電極は径50mmの内円と内径70mm外径80mmの環状円からなり、裏面電極は径83mmの円からなる。測定は、表面電極の内円と環状円間に100Vの電圧を印加し、裏面電極をガード電極として、内円と環状円間の抵抗値を求め、所定の計算式により表面抵抗率を求めた。
【0052】
(2)スタチック・ディケイ時間の評価
MIL−B−81705に準拠して測定を行った。その概略は以下の通りである:
装置としてSTATIC DECAY METER−406C(Electro−Tech Systems,Inc.製)を用い、成形試験片(平板100mm×127mm×3mm厚さ)に5000Vの電圧を印加後、その印加電圧を除去してから試験片の電位が50Vになるまでの減衰時間を測定しスタチック・ディケイ時間とした。このスタチック・ディケイ時間は、短いほど良好な帯電防止効果を示す。
【0053】
<グラフト共重合体の製造>
撹拌機、温度計、圧力計を付した耐圧反応容器に、1,3−ブタジエン23部、アクリル酸ブチル30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート12部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.016部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート0.006部、エチレンジアミンテトラ酢酸鉄(III)塩0.0015部、ピロリン酸ナトリウム0.2部、オレイン酸カリウム2.0部、脱イオン水200部を仕込み、60℃で10時間撹拌した。
平均粒子径80nmのゴム状幹重合体ラテックスが、収率99%で得られた。
【0054】
固形分65部の上記ゴム状幹重合体のラテックスにエチレン系不飽和単量体混合物として、メタクリル酸メチル35部、ノルマルオクチルメルカプタン0.3部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.018部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート0.007部、オレイン酸カリウム1.0部、脱イオン水50部を添加し、窒素置換し、60℃で10時間撹拌グラフト共重合した。このラテックスを取り出し、濃度0.7重量%の塩酸水溶液200部を添加し析出させた。脱水洗浄後、含水率43重量%の粉末状グラフト共重合体を得た。これを気流式瞬間乾燥機により熱風温度100℃の条件で乾燥することにより収率97%で白色粉末のグラフト共重合体を得た。
【0055】
[実施例1〜14、比較例1〜3]
後記表1に示す割合で、上記グラフト共重合体、下記熱可塑性樹脂およびアニオン系界面活性剤(更に場合によりグラスファイバー)を配合し、ヘンシェルミキサーで均一にドライブレンドし、30mmφの2軸混練押出し機(プラスチック工学研究所社製「BT−30」)へ供給し、溶融押出しを行いペレット状物を得た。得られたペレット状物を乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製「IS−75」)により、平板試料を作成し、表面抵抗率およびスタチック・ディケイ時間を測定した。なお押出機のシリンダー温度は、熱可塑性樹脂の種類により、PBTとPA6が230℃〜250℃、PETが260℃〜280℃、PPが205℃〜225℃、POM(単独の場合、およびTPUを添加した場合)が190℃〜200℃、PMMAとPSが180℃〜200℃、PCが280℃〜300℃、PVDFが200℃〜250℃と調整した。
【0056】
<熱可塑性樹脂>
(結晶性熱可塑性樹脂)
PBT:ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチックス社製「ジュラネックス」、Tm(融点)=226℃、ΔHc(結晶融解エンタルピー)=50J/g)
PET:ポリエチレンテレフタレート(東洋紡社製「パイロペット」、Tm=252℃、ΔHc=57J/g)
PA6:ナイロン6(宇部興産社製「UBEナイロン」、Tm=225℃、ΔHc=95J/g)
PP:ポリプロピレン(日本ポリケム社製「ノバテックスPP」、Tm=169℃、ΔHc=93J/g)
POM:ポリアセタール(ポリプラスチックス社製「ジュラコン」、Tm=165℃、ΔHc=140J/g)
PVDF:ポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業社製「KFポリマー」、Tm=177℃、ΔHc=56J/g)
(非晶性熱可塑性樹脂)
PMMA:ポリメチルメタクリレート(住友化学社製「スミベックス」、ΔHc=0J/g)
PS:ポリスチレン(旭化成社製「スタイロン」、ΔHc=0J/g)
PC:ポリカーボネート(帝人化成社製「レキサン」、ΔHc=0J/g)
TPU:熱可塑性ポリウレタン(クラレ社製「クラミロンU1190」、ΔHc=0J/g)
【0057】
<アニオン系界面活性剤>
ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム(熱重量減少開始温度(JIS−K7120)=430℃)
【0058】
<ガラスファイバー>
日本電気硝子社製「Eガラス」(直径13μm)
【0059】
【表1】
【0060】
【0061】
上記表1に示されるように、結晶性熱可塑性樹脂を用いて得られた本発明の熱可塑性樹脂組成物からの成形物(実施例1〜14)は、非晶性熱可塑性樹脂を用いて得られた熱可塑性樹脂組成物からの成形物(比較例1〜3)と比較して、スタチック・ディケイ時間が極めて短く、帯電防止効果に明確な差が見られる。また表面抵抗率に関しても実施例では、比較例に比べて、約1桁小さい値が得られており、ESD特性が得られていることがわかる。
【0062】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、グラフト共重合体(B)およびアニオン系界面活性剤(C)と組み合わせて、結晶性熱可塑性樹脂(A)を配合することにより、ESD(静電気拡散性)材料として適合し得、任意の色に着色可能な非黒色熱可塑性樹脂組成物が与えられる。
Claims (6)
- (A)結晶性熱可塑性樹脂30〜84.9重量%、(B)共役ジエン及びアクリル酸エステルから選ばれた1種以上の単量体50〜95重量%、4〜500個アルキレンオキサイド基を有しエチレン系不飽和結合を有する1種以上の単量体5〜50重量%及び必要により共重合可能な1種以上のエチレン系不飽和単量体からなるゴム状幹重合体にエチレン系不飽和単量体をグラフト重合したグラフト共重合体15〜65重量%および(C)アニオン系界面活性剤0.1〜5重量%からなる非黒色熱可塑性樹脂組成物。
- 該結晶性熱可塑性樹脂(A)を30〜79.9重量%、該グラフト共重合体(B)を20〜65重量%および該アニオン系界面活性剤(C)0.1〜5重量%からなる請求項1の熱可塑性樹脂組成物。
- ゴム状幹重合体(B)がカルボン酸系界面活性剤を重合用乳化剤として得られたものである請求項1または2の熱可塑性樹脂組成物。
- アニオン系界面活性剤(C)が250℃以上の熱重量減少開始温度を有する請求項1〜3のいずれかの熱可塑性樹脂組成物。
- 5000Vから50Vへのスタチック・ディケイ時間が10秒以下、表面抵抗率が10Ω/□以上である成形体を与える請求項1〜4のいずれかの熱可塑性樹脂組成物。
- 更に繊維状補強材を含む請求項1〜5のいずれかの熱可塑性樹脂組成物。
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