JPH11199768A - 難燃性のポリカーボネートースチレン系(又はアクリレート系)ポリマー混合物 - Google Patents

難燃性のポリカーボネートースチレン系(又はアクリレート系)ポリマー混合物

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JPH11199768A
JPH11199768A JP10303178A JP30317898A JPH11199768A JP H11199768 A JPH11199768 A JP H11199768A JP 10303178 A JP10303178 A JP 10303178A JP 30317898 A JP30317898 A JP 30317898A JP H11199768 A JPH11199768 A JP H11199768A
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JP10303178A
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Yasuo Hirano
康雄 平野
Naoki Kikuchi
直樹 菊池
Morihiko Sugino
守彦 杉野
Fanihoff Alan
ファニホフ アラン
Martin Thomas Davies
トーマス デービス マーチン
Toy Philip
トーイ フィリップ
Angelo Capiteri Joseph
アンジェロ キャピテリ ジョセフ
John Ives Peter
ジョン アイブス ピーター
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K3/00Use of inorganic substances as compounding ingredients
    • C08K3/34Silicon-containing compounds
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K5/00Use of organic ingredients
    • C08K5/49Phosphorus-containing compounds
    • C08K5/51Phosphorus bound to oxygen
    • C08K5/52Phosphorus bound to oxygen only
    • C08K5/521Esters of phosphoric acids, e.g. of H3PO4
    • C08K5/523Esters of phosphoric acids, e.g. of H3PO4 with hydroxyaryl compounds

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は難燃性熱可塑性成形用コンパウンド
に関する。本発明の目的はコンパウンドの有用な特性を
減少させない難燃性の増加である。 【解決手段】 コンパウンドは、芳香族ポリカーボネー
トを含むポリマー混合物(A)、スチレン(若しくは
(メタ)アクリレート)を含有するコポリマーおよび/
またはスチレン(若しくは(メタ)アクリレート)を含
有するグラフトポリマー(B)、ホスフェートまたはホ
スホネートをベースにした難燃剤(C)、無機添加剤
(D)、並びに他の難燃剤または抗ドリップ剤(E)、
並びに任意に他の添加剤を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族ポリカーボネ
ート(A);スチレン(またはスチレン誘導体および/
または(メタ)アクリレート)を含有するポリマー若し
くはコポリマーおよび/またはスチレン(またはスチレ
ン誘導体および/または(メタ)アクリレート)を含有
するグラフトポリマー(B);ホスフェートまたはホス
ホネートをベースにする難燃剤(C);無機添加剤
(D);および別の難燃剤または抗ドリップ剤(E);
並びに任意に他の添加剤を含むポリマー混合物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート、スチレン−含
有コポリマーおよび/またはグラフトポリマー、例えば
ABS、並びに難燃剤を含むポリマー混合物は例えば米
国特許第4, 692, 488号、米国特許第5, 20
4, 394号、および米国特許第5, 061, 745号
から公知である。この先行技術によると、有機ホスフェ
ートエステル、例えば燐酸トリフェニル、燐酸トリクレ
ジル、燐酸ジフェニルクレジル、および/またはオリゴ
マー状ホスフェート類を該混合物用の難燃剤として使用
することができる。テトラフルオロエチレンポリマーが
しばしば該ホスフェートエステル類と組み合わせて使用
され、典型的には1. 6mm厚さにおけるUL−94垂
直燃焼試験においてUL−V0の難燃性評価を良好な衝
撃強度と一緒に達成し得る難燃性混合物および成形品を
与える。他の先行技術では、例えばアラミド繊維(米国
特許第5, 272, 193号)の如き他の添加剤が抗ド
リップ性または難燃性を補助する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技
術に記載されたタイプの熱可塑性成形用コンパウンド
は、比較的薄い部分または比較的薄い成形品においてU
L−V0の難燃性評価が求められる場合、そして一般的
に比較的薄い部分で難燃性を得ることは比較的難しく、
また、該組成物がそのような特性を獲得して且つ他の有
用な特性を依然として保持できるかは不明である点で、
不利である。ホスフェート難燃性添加剤の比率が増加す
ると、成形品が標準的な厚さより薄い場合には、所望す
る難燃性が得られない可能性があり、そしていずれの場
合にも例えば衝撃強度および/または荷重たわみ温度
(HDT)の如き他の有用な特性がかなり低下すると思
われる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、本発明に従う
ポリマー混合物またはコンパウンドから製造または成形
される成形用コンパウンド並びに製品にも関する。本発
明に従うポリマー混合物は下記の成分を含む: (A)芳香族ポリカーボネート、および(B)スチレン
−含有ポリマー/コポリマーおよび/またはスチレン−
含有グラフトポリマー、(または置換されたスチレン同
族体/誘導体)、および/または(メタ)アクリレート
をベースにしたポリマー、コポリマー、グラフトポリマ
ー/コポリマー(ここで「(メタ)アクリレート」はア
クリレート、メタクリレートのいずれかまたは両者を包
括すると理解される)および(C)ホスフェートまたは
ホスホネートエステルをベースにした燐化合物、および
(D)タルク、カオリン、雲母、および水酸化マグネシ
ウムから選択される無機充填剤、および(E)テトラフ
ルオロエチレンポリマー若しくはコポリマー、ポリビニ
リデンジフルオライド、他のフルオロポリマー、或いは
赤燐、アラミド繊維若しくはアラミド粉末またはポリイ
ミド繊維若しくはポリイミド粉末から選択される他の難
燃剤および/または抗ドリップ剤、並びに、任意に他の
添加剤。
【0005】
【発明の実施の形態】ここでの組成物は、%を使用する
場合を除いて上記で定義しているように100重量部の
(A)+(B)当たりの重量部を採用し、%を使用する
場合には(A)+(B)+(C)+(D)+(E)成分
の合計の重量%を記載している。
【0006】先行技術では、スチレンおよび/または
(メタ)アクリレートをベースにしたポリマーをも含有
する、多くの難燃性のポリカーボネートをベースにした
成形用コンパウンドが1. 5mm若しくは1. 6mmま
たはそれ以上の厚さにおいてUL94−V0を示すこと
が報告されており、そしてそれらは上記の(A)、
(B)、(C)、および(E)を含有するコンパウンド
をベースにしている。
【0007】本発明で、単に特別に指定された無機添加
剤(D)の導入または添加によって、この厚さ水準より
実質的に薄い厚さでUL94−V0難燃性能を達成する
ことは、驚異的なことである。
【0008】本発明の組成物は、薄肉成形品そして特に
成形品または組立て部品の部分において、1. 5mmよ
り薄い厚さにおけるUL−94−V0の性能条件に合致
する難燃性が要求または望まれるような成形品または部
品中での使用を、特に意図したものである。特に、1.
2mm、1. 1mm、1. 0mm、0. 9mm、0.8
mm、0. 7mm、0. 6mm、0. 5mm、0. 4m
mで、またはそれ以下で、および/またはこれらの厚さ
範囲内のいずれかの厚さにおけるUL−V0性能が、こ
こで定義されているような(A)、(B)、(C)およ
び(E)の混合物に対する上記の無機添加剤(D)の添
加または導入により、驚くべきことに有用な他の特性を
保持しながら達成されるのである。本発明組成物はこれ
らより厚い厚さにおいてもUL−V0性能を得ることが
できる。
【0009】1. 5mmまたはそれ以上の厚さにおける
UL−V0性能を達成するための組成物は上記のように
公知である。しかしながら、多様な用途のため薄肉成形
品における最近の傾向は、1. 5mmより薄い厚さ、例
えば1. 2mm若しくは1.1mm若しくは1. 0mm
若しくは0. 9mm若しくは0. 8mm若しくは0.7
mm若しくは0. 6mm若しくは0. 5mm若しくは
0. 4mmの厚さ、またはその値の範囲内、若しくはそ
れより薄い厚さの成形または組み立て部品の一部または
部分においてUL−V0難燃性能が要求または所望され
る。さらに、塩素または臭素を含有する難燃剤を含まな
いことが、環境理由または規制により望まれており、そ
して本発明の組成物は、塩素または臭素をベースにした
難燃剤を使用しないで上記のような薄い部分における難
燃性を実現するように設計されている。
【0010】本発明の組成物は、難燃性成形品用に、若
しくは、コンピューター、モニター、キーボード、プリ
ンター、ファックス機器、電話、事務機器、オーディオ
ビジュアル装置を含む電子装置やビジネス機器、並びに
特に携帯用または小型のまたは軽量の製品若しくは改良
品、例えばノートブックコンピューター、パームトップ
若しくは携帯コンピューター、または電子手帳若しくは
パーソナルオーガナイザー、自動車電話、カメラおよび
ビデオカメラ、携帯用オーディオ製品並びに関連付属装
置の、部品またはハウジング中で使用するため、難燃性
を要求若しくは所望するような部分における成形品用に
設計されている。
【0011】このような用途の多くが、難燃性の他に、
衝撃強度(しばしばノッチ付きアイゾット衝撃試験によ
り測定される)および/または例えばHDT(荷重たわ
み温度:heat distortion temperature)により一般的に
測定されるようなある水準の耐熱性といった他の条件も
要求する。
【0012】実際の仕様は、もちろん種々の用途に応じ
てまた実際に種々の用途モデルに応じて変動するであろ
う。しかしながら本発明の組成物は、上記のように1.
5mmより薄い厚さ水準におけるUL−94V試験によ
るUL−V0を有する難燃性を示し、且つノッチ付きア
イゾット衝撃試験(ISO180−1A)およびHDT
試験(1. 8MPaにおけるISO75)により測定さ
れる、そのような用途の使用に適当な衝撃強度および適
当なHDTを示すように設計される。
【0013】ポリカーボネートをベースにした組成物並
びにポリカーボネートおよびスチレンおよび/または
(メタ)アクリレートをベースにしたポリマー、コポリ
マーまたはグラフトコポリマーを含有する配合物をベー
スにした組成物では、ホスフェートエステルをベースに
した難燃剤が例えば衝撃強度およびHDTの如き特性を
減少させることが知られている。一般に、そのような添
加剤の充填量が増加すればするほど、これらの特性の低
下は大きくなる。そのようなホスフェート類の比較的高
い充填量は難燃性能をある点までは与えうるが、例えば
(ここに記載されているような100重量部の(A)+
(B)当たり)16重量部または17若しくは18若し
くは18. 4重量部若しくはそれ以上のような非常に高
い充填量は、例えば本発明の主題である薄肉成形品中で
の使用にとっては、衝撃強度および/またはHDTが低
くなりすぎ、そして非常に高いホスフェート充填量がホ
スフェートの移行に伴う別の問題や相対的に劣った化学
的耐性を与えうるため、特に有効ではない。
【0014】成形用コンパウンド中の無機充填剤または
添加剤の使用は公知であり、そしてそれらは強化若しく
は剛性を与えるためおよび/または価格を下げるために
日常的に使用されている。多くの刊行物および特許中
に、充填剤の使用については、ポリカーボネートをベー
スにした難燃剤並びにポリカーボネートとスチレンおよ
び/または(メタ)アクリレート混合物をベースにした
調合物を含む成形用コンパウンドの任意成分として記載
されている。
【0015】しかしながら、本発明者らは、ある種の特
定の無機充填剤を有利に使用して、上記のような1. 5
mmより薄い厚さでUL−94−V0性能が得られるよ
うな、薄い部分での難燃性を普通に達成することがで
き、同時に上記の用途における使用に適する適当な衝撃
強度およびHDTをも達成できることを見いだした。こ
れによると、特定の無機充填剤は強化用に選択されるも
のではなく、むしろ組成物に対して難燃性および/また
は抗ドリップ性の増加を与えるという明確な能力のため
に選択される。そのような特定の無機充填剤と組成物の
他の成分、特に用いた他の難燃剤または抗ドリップ添加
剤との間に、多分ある程度の相乗作用があることが認め
られる。
【0016】この性質の組み合わせを与える有用性が見
いだされた特別な充填剤は、タルク、カオリン、水酸化
マグネシウムおよび雲母である。他の一般的に使用され
る充填剤または強化剤では、同様な厚さ水準の薄い部分
のUL−V0性能(UL−94V試験により測定される
難燃性は一般的に比較的薄い試験片では得られにくい)
を達成し、且つ他の良好な特性も保持するという、この
同じ能力を示さない。このため、全て一般的な充填剤で
ありそしてプラスチック成形品用の一般的な充填剤また
は強化剤として例示されている、例えばガラスビーズ、
炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、珪
灰石、およびバーミキュライトは、ここで記載されてい
るような1. 5mm以下そして特に1. 2mm若しくは
それ以下または1. 0mm若しくはそれ以下の薄い部分
におけるUL−94−V0を達成し、且つ例えば衝撃強
度およびHDTといった適当な他の特性も達成するとい
う、同じ能力を示さない。
【0017】実施例の表では、本発明の実施例と、充填
剤を加えていない調合物、並びにUL−94V試験を測
定して上記の薄い部分でV0を達成するような難燃特性
が認められなかった一部の充填剤を用いた例とを比較し
たデータを示している。
【0018】非常に高い充填剤量を含有する組成物の衝
撃強度は、多くの薄肉成形用途において有用ではないよ
うである。本発明者らの実験によれば、携帯用ノートブ
ックコンピューター、自動車電話、ビデオカメラ、携帯
用オーディオ機器および一般的な事務機器用部品の薄肉
成形品において、実用的に適切なノッチ付きアイゾット
値の下限値は6〜7そして好適には7〜8KJ/sqm
の範囲内、また望ましくは70℃以上のHDT値であ
る。ノッチ付きアイゾット衝撃強度は約8KJ/sqm
若しくはそれ以上が最も好ましく、そしてHDT値は7
0℃若しくはそれ以上または72℃若しくはそれ以上が
最も好ましい。
【0019】本発明の組成物例では、これらの特性の適
当な下限値は、1.0mmの薄い部分のUL−V0難燃
性と共に達成可能である。実際に本発明の調合物は、臭
素または塩素をベースにした難燃剤を使用せずに、1.
0mm若しくはそれ以下の薄い部分におけるUL−V0
の難燃性能を達成しつつ、8KJ/sqm以上のそして
10KJ/sqmを越えるアイゾッド値と、70℃若し
くはそれ以上のそして72℃または74℃若しくはそれ
以上のHDT値と共に達成した。
【0020】無機添加剤の非常に高い充填量はあまり有
用ではなく(例えば実施例の表中の実施例10−56を
参照のこと)、そして同様に、ホスフェートエステル類
の非常に高い充填量もあまり有用ではない。実施例の表
中で、実施例番号11−86および11−83並びに他
の実施例では高いホスフェート充填量の影響を示してお
り、そのような高い比率は適当なHDTの達成をもたら
さず、しかも衝撃強度も幾分低くなる。
【0021】一般的には組成物中で適当なHDTおよび
/または衝撃強度を得るためには(100重量部の
(A)+(B)当たり)約16重量部以下のホスフェー
トまたは燐化合物(成分C)の比率であることが必要で
ある。特定の無機充填剤が本発明で特定したように存在
する時には、成分(C)の添加剤は、薄肉難燃性を得る
のに望ましい低比率の存在でよく、そしてこれにより衝
撃強度およびHDTの良好なバランスが達成できる。こ
のため、100重量部の(A)+(B)当たり16重量
部若しくはそれ以下そして好適には15重量部若しくは
それ以下または14重量部若しくはそれ以下の成分
(C)の比率を使用することができる。要求される成分
(C)の最少比率は約8重量部であり、本発明の組成物
から製造される薄肉成形品は要求される難燃性を満足す
る。このため、本発明の組成物中、成分(C)が100
重量部の(A)+(B)当たり8〜16または8〜15
または8〜14または8〜13重量部で、特定の無機充
填剤(D)がここに記載されているように存在している
とき、1. 0mm厚さにおけるUL−V0の難燃性およ
び70℃または72℃または74℃またはそれ以上の荷
重たわみ温度(HDT)を達成できる組成物を与えるの
に最も有用である。
【0022】本発明の組成物において(100部の
(A)+(B)当たり)12重量部までの特定の無機充
填剤(D)の存在が、薄い部分における適当な衝撃強度
および70℃若しくはそれ以上の良好なHDTと共に難
燃性を可能にし、それはここに記載されているような薄
肉用途に適しており、且つこれらの特性の組み合わせは
特定成分の範囲内でのホスフェートエステル難燃剤の比
率を単に増加させることによっては得られないものであ
る。さらに、100部の(A)+(B)当たり10、
9、6、5、3、2、1およびわずかに0. 6重量部を
含むような比較的低比率の無機充填剤(D)であっても
有効であり、且つこれら特性の良好なバランスを得るこ
とができる。特定の充填剤(D)は、(A)+(B)+
(C)+(D)+(E)の9、7. 5、5、4. 9、
4. 4、3. 0、2. 5、2. 0、1. 5、1. 0およ
びわずかに0. 5重量%でさえ、そしてこの範囲内の充
填量において有効である。これは実施例11−70ない
し11−80および11−88および10−55および
他に示した実施例で説明されている。
【0023】無機添加剤(D)を使用することにより、
相対的に低比率の有機ホスフェートエステル系難燃剤を
用いて、こうしたV−0の達成が可能になる。これは適
当な実使用可能温度または荷重たわみ温度(HDT)を
維持するのを助け、および/または成形品の剛性を維持
若しくは改良するのを助け、および/または成形中およ
び/または実使用時に高い充填量のホスフェートエステ
ルの存在のためにしばしば起きる可塑化および/または
移行問題を減ずるのを助ける。本発明のコンパウンドの
流動性は、上記の厚さ位薄い部分を少なくとも部分的に
含有する複雑な部品の射出成形を十分に可能にするもの
である。さらに、本発明の調合物は低比率の難燃剤また
は抗ドリップ剤(E)の追加で、これらの薄い部分の難
燃性能を達成しており、そしてこのことは、例えばポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)のように非常に高
価な添加物では有利である。
【0024】ポリカーボネートおよび他のポリマーの比
がこれらの特性に影響を与えるであろうが、本発明の組
成物はむしろ、上記のような薄肉成形部品における有用
な特性の組み合わせの達成および下記の限度内で定義さ
れる組成物の使用に特に目標をおいている。
【0025】ポリマー混合物は従来の製造技術に従い、
例えば、該成分を押出機または連続的混合機若しくは混
練機中で混和することにより得られる。これらの組成物
は各成分を公知の方法で混合し、そして次に生じた混合
物を標準的な装置、例えば内部混練機またはシングルス
クリュー若しくはツインスクリュー押出機の中で、例え
ば190〜330℃若しくは更に好適には200℃〜2
80℃の範囲内の温度において溶融−混和または溶融−
押出することにより製造される。個別成分を公知の方法
で徐々にまたは一時に、室温付近でまたはそれより高い
温度若しくは低い温度において混合してもよい。
【0026】本発明に従う成形用コンパウンドは成形品
の製造用に使用できる。特に、成形品は射出成形または
ブロー成形により製造できる。他の加工形態としては予
備製造されたシートまたはフィルムからの深絞りによる
成形品の製造がある。
【0027】このタイプの組成物、特にPC−ABS系
をベースにしたものにおいては、1.6/1.5mm以
下の厚さにおけるUL−V0の達成は普通ではない。上
記の1種若しくは複数種の無機添加剤と1種若しくは複
数種の有機燐化合物(例えばホスフェートエステル)、
任意に弗素化されたポリマー(例えばPTFE)との組
み合わせを、ポリカーボネート(PC)およびアクリロ
ニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS−または他の
スチレンコポリマー/スチレングラフトポリマーの組み
合わせ)と一緒に使用する本発明の組成物は、通常知ら
れているかまたは予期されるものより薄い成形厚さにお
いてUL−V0を達成することができる。さらに、その
ような調合物は驚くべきことに良好な流動性を保持する
ために、例えば射出成形によりそのような薄い部分また
はそのような薄肉を有する領域若しくは部分を含有する
部品も、容易に成形することができる。
【0028】本発明により特定される(合計100重量
部の成分(A)+(B)の全て当たりの)組成物の範囲
は、(A)73〜85重量部、好適には75〜85重量
部の芳香族ポリカーボネート、(B)合計15〜27重
量部そして好適には15〜25重量部で存在するスチレ
ン若しくはスチレン誘導体および/またはアクリレート
若しくはメタクリレートを含有する1種若しくはそれ以
上のポリマーおよび/またはコポリマーおよび/または
グラフトポリマー、(C)100重量部の(A)+
(B)当たり8〜16重量部、そして好適には8〜15
または8〜14または8〜13重量部、のホスフェート
エステルまたはホスホネートまたはオリゴマー状若しく
はポリ−ホスフェートである燐化合物、(D)タルク、
カオリン、雲母、および水酸化マグネシウムから選択さ
れそして100重量部の(A)+(B)当たり0.5若
しくは0.6〜12重量部、好適には0.5若しくは
0.6〜5、または0.5若しくは0.6〜4.9重量
部で存在するか、或いは成分(A)+(B)+(C)+
(D)+(E)の合計の少なくとも0.5重量%で且つ
10重量%以下または8重量%以下または5重量%以下
で存在する、薄肉成形品中で難燃性および/または抗ド
リップ性の増加を与える作用をする無機充填剤、(E)
100重量部の(A)+(B)当たり0.1〜3または
0.1〜2.5重量部、好適には0.2〜2.5重量部
で存在する、テトラフルオロエチレンポリマー若しくは
コポリマー、ビニリデンポリマー若しくはコポリマー、
他のフルオロポリマー、或いは赤燐またはアラミド繊維
若しくは粉末またはポリイミド繊維若しくは粉末、好適
にはテトラフルオロエチレンポリマーまたは赤燐から選
択される、少なくとも1種の他の難燃性添加剤または抗
ドリップ剤、を含むものである。なお、他の添加剤を任
意に含んでもよい。
【0029】A.芳香族ポリカーボネート類 熱可塑性芳香族ポリカーボネート類は公知の物質であ
り、そして一般的には二価フェノール化合物とカーボネ
ート前駆体との反応により製造される。芳香族ポリカー
ボネートの製造で使用できる二価フェノールは、各々が
芳香族核と直接結合されている2個のヒドロキシ基を含
む単核または多核芳香族化合物を含む。該二価フェノー
ルは1個若しくはそれ以上のアルキル基で置換されてい
てもよい。二価フェノールの混合物を使用してもよい。
ハロゲンを含まないポリカーボネートが好ましい。ビス
フェノール−Aおよび/またはそのアルキル置換された
誘導体、他のビスフェノール類、例えばビスフェノール
−S、ビスフェノール−F、または1,1−ビス−(4
−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン若しくはフェ
ノールフタレインを、有用なポリカーボネートの製造に
使用してもよい。
【0030】分枝鎖状ポリカーボネート類は公知であ
り、そしてこれらも適する。コポリカーボネート類も好
適であり、また、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸類、脂環式二酸類等の二官能性カルボ
ン酸等のエステル前駆体、またはそれらのエステル形成
誘導体の存在下で、重合反応を行うことにより得られる
いわゆるポリエステルカーボネート類も本発明に適す
る。エステル結合およびカーボネート結合をポリマー鎖
中に有するこれらのポリエステルカーボネート類を使用
してもよい。
【0031】種々のポリカーボネート類および/または
コポリカーボネート類の混合物も使用でき、異なる分子
量範囲や、市販のグレード、または普通のポリカーボネ
ートを単に混ぜたような混合物であってもよい。
【0032】B.スチレン(および/または(メタ)ア
クリレート)含有ポリマー、コポリマー並びに/または
スチレン(および/または(メタ)アクリレート)含有
グラフトポリマー/コポリマー スチレン含有ポリマーは、スチレンおよび/またはアル
ファ−メチルスチレンおよび/または芳香環中で1個若
しくはそれ以上の有機基で置換されているスチレン化合
物から誘導される単位を含有するポリマー、またはコポ
リマー若しくは三元コポリマー若しくは多元コポリマー
またはグラフトポリマーである。これらは、アクリロニ
トリルおよび/またはメタクリロニトリルおよび/また
は無水マレイン酸および/または無水マレイン酸の誘導
体および/または(メタ)アクリルモノマーまたは他の
コモノマーから誘導される単位を含有していてもよい。
【0033】無水マレイン酸の好適な誘導体は、マレイ
ミド類およびN−置換されたマレイミド類、例えばN−
フェニルマレイミドである。好適なアクリル系モノマー
は、例えば、メタクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸ブチル、および他のアルキル、また
はアルコキシ、脂環式、若しくはアリール、またはフェ
ノキシアルキルアクリレート類である。これらのコポリ
マーは、このようなポリマーやコポリマーの一般的な製
造方法により得ることができる。
【0034】本発明に従うポリマー混合物は、スチレン
含有コポリマーとして、(1)スチレン、および/また
はアルファ−メチルスチレンおよび/または芳香環中で
1個若しくはそれ以上の有機基で置換されているスチレ
ン、並びに(2)メタクリロニトリルおよび/またはア
クリロニトリルおよび/または無水マレイン酸および/
または無水マレイン酸の誘導体(例えばN−フェニルマ
レイミド)および/または(メタ)アクリル系モノマ
ー、とから構成されている。
【0035】(メタ)アクリレート含有ポリマーは、ア
クリレートまたはメタクリレート単位を含有する、ポリ
マー、コポリマー若しくは三元コポリマーまたはグラフ
ト若しくは多元コポリマーである。このポリマーは、例
えばメタクリル酸メチルおよび/または脂肪族、アルコ
キシ、脂環式、芳香族、メタ(アクリレート)エステル
類等のアクリル/メタクリル酸の他のエステル類、およ
び/またはアクリル/メタクリル酸および/またはビニ
ルエステル類および/または無水マレイン酸およびその
誘導体および/またはアクリロニトリル/メタクリロニ
トリル、並びに任意にスチレン若しくはスチレン誘導体
/置換スチレン類または他のコモノマーから製造され
る。
【0036】スチレンおよび/または(メタ)アクリレ
ート含有グラフトポリマーは、モノマーをゴムにグラフ
ト化することにより得られる。適するゴムの例はポリブ
タジエン、ブタジエン−スチレン、ブタジエン−アクリ
ロニトリルコポリマー並びに他のゴム、例えばアクリレ
ートゴム、シロキサンゴム、弗素化されたゴム/エラス
トマーおよびEPDMゴムである。モノマーの混合物を
これらのゴムにグラフト化することができる。適するモ
ノマーにはビニル官能性モノマー、例えばアクリレート
/メタクリレートエステル類、スチレンおよびその誘導
体、アクリロニトリル/メタクリロニトリル、マレイミ
ド類、無水マレイン酸および無水マレイン酸の他の誘導
体、アクリル/メタクリル酸、または他のラジカル重合
可能な構造体が包含される。
【0037】本発明に従うポリマー混合物は、好適に
は、グラフトポリマーとして、スチレンおよび/または
アルファメチルスチレンおよび/または芳香環中で1個
若しくはそれ以上のハロゲン原子またはアルキルおよび
/または他の有機基で置換されたスチレンとメタクリロ
ニトリルおよび/またはアクリロニトリルおよび/また
は無水マレイン酸および/または無水マレイン酸の誘導
体、例えばマレイミド類、および/または(メタ)アク
リルモノマー/(メタ)アクリレートエステルとの混合
物をゴムにグラフト化することにより得られる生成物を
含む。
【0038】本発明に従うポリマー混合物は、スチレン
コポリマーとスチレングラフトポリマー、例えばスチレ
ン−アクリロニトリル(SAN)およびアクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン(ABS)、との混合物を含
んでいてもよい。或いは、またはそれに加えて、ポリマ
ー混合物は、スチレンまたは(メタ)アクリレート系ポ
リマーとして、コアシェル耐衝撃性改良剤、例えばロー
ム・アンド・ハース(Rohm & Haas) 社から「パラロイド
(Paraloid)」の品名で市販されているものおよび同様な
生成物を含有してもよい。そのような原料の混合物を使
用することもできる。
【0039】C.燐化合物 本発明のポリマー混合物は、ホスフェートまたはホスホ
ネートエステルである燐化合物を含むものである。これ
はモノ−ホスフェート、例えばトリアリールまたはトリ
アルキルまたはトリ−(アリール−アルキル)ホスフェ
ート、または混合ホスフェートおよび/またはホスホネ
ートエステル、および/またはジホスフェート、例えば
レゾルシノール−、ヒドロキノン−、ビスフェノール−
A−または他のビスフェノールジホスフェートまたは多
価化合物の他のジホスフェートおよび/またはオリゴマ
ー状ホスフェートまたは二価若しくは多価化合物から誘
導されるホスホネート、または他のポリホスフェートで
あってよい。
【0040】本発明に従う使用に適する成分(C)の燐
化合物としては、例えば、ジホスフェート類、トリフェ
ニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリ−
ブチルホスフェート、ジフェニル−2−エチルクレジル
ホスフェート、トリ−(イソプロピル−フェニル)−ホ
スフェート、メチルホスホン酸ジフェニルエステル、フ
ェニルホスホン酸ジエチルエステル、ジフェニルクレジ
ルホスフェート、トリブチルホスフェート、およびオリ
ゴマー状ホスフェート類が包含される。
【0041】本発明に従うポリマー混合物中で使用でき
るオリゴマー状ホスフェート類は別個の化合物としてま
たは数種のオリゴマー類の配合物の形態で使用すること
ができる。モノホスフェート、または他のホスフェー
ト、エステル類およびオリゴマー状ホスフェート類の混
合物を使用してもよい。一部のオリゴマー状ホスフェー
ト類の例は米国特許第5, 204, 394号に示されて
いるが、他のオリゴマー状構造も適する。ホスフェート
類および/またはオリゴホスフェート類が液体であるか
または低融点固体である場合には、それらは直接(押出
機中に供給されて)使用してもよく、または別のポリマ
ー、例えばポリカーボネートまたはスチレン系若しくは
アクリル系ポリマー、コポリマー、三元コポリマー、グ
ラフトポリマー、またはエチレンコポリマー、例えばエ
チレン酢酸ビニルコポリマーを含む他のポリマー中のマ
スターバッチとして使用してもよく、あるいは、それら
を例えば、シリカまたは多孔性ポリマーまたは他の多孔
性若しくは高表面積粒子のような適当な基質上に予備吸
収若しくは吸着させて、自由流動性粉末を製造してもよ
い。
【0042】D.無機添加剤 無機充填剤および添加剤はプラスチックコンパウンドに
おいて公知である。本発明で適する無機充填剤/添加剤
は、タルク、雲母、カオリン(か焼された等級を含む)
または水酸化マグネシウムのような一般的に公知である
ものから選択される。これらの充填剤の混合物、あるい
は種々の等級の充填剤/添加剤も使用できる。主として
これらのタイプの鉱物も有用である。
【0043】好適な特定の無機添加剤または充填剤は、
入手可能なら比較的微細な等級のものであるが、このこ
とはコンパウンド中で、難燃性および/または抗ドリッ
プ性を増加させる有効な添加剤として機能するために、
必須ではない。タルクは比較的微細な粒子等級の特に好
適な添加剤である。ある場合には、無機添加剤を未希釈
の粉末状で使用してもよく、またはそれを別のポリマー
または結合剤または担体中でマスターバッチとして使用
してもよい。
【0044】例えば、8ミクロン以下の粒子が50重量
%以上、または8ミクロン以下の粒子が70重量%以
上、または8ミクロン以下の粒子が90重量%以上のよ
うな粒度分布のものが有用である。例えば、充填剤粒子
が、8ミクロン以下の粒子が95または98重量%のよ
うな粒度分布のものが有用である。10ミクロン以下の
粒子が90重量%または95重量%または99重量%の
粒度分布が有用である。4または5ミクロン以下の充填
剤粒子が70または80または90重量%の粒度分布も
適する。これら以外の他の範囲も有用である。
【0045】無機添加剤は、結晶水または他の形態の吸
収若しくは吸着された水分を含有していてもよい。希望
により、種々の表面処理剤またはコーテイングまたはカ
ップリング剤が充填剤上に存在していてもよい。そのよ
うなコーテイング剤はカップリング剤または接着促進剤
を含んでいてもよい。
【0046】E.他の難燃剤 上記のホスフェート類またはホスホネート類の他に、本
発明に従うポリマー混合物は、弗素含有ポリマー、特に
1種若しくは複数種のテトラフルオロエチレンポリマー
またはビニリデンジフルオライドポリマー、赤燐、また
はアラミド粉末若しくは繊維、またはポリイミド繊維若
しくは粉末から選択される、難燃性または抗ドリップ性
を有する他の1種若しくは複数種の添加剤を含んでいて
もよい。
【0047】本発明に従う使用に適するフルオロポリマ
ーには、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロ
エチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマーまたは
少量の弗素を含まない共重合可能なエチレン系不飽和モ
ノマーを含有するテトラフルオロエチレンコポリマー、
またはポリビニリデンジフルオライドまたはビニリデン
ジフルオライドを含有するコポリマーが包含される。テ
トラフルオロエチレンポリマーが好適に使用される。適
するテトラフルオロエチレンポリマーは、粉末または繊
維状である。また、テトラフルオロエチレンポリマーの
エマルジョンと、グラフトおよび/または他のポリマー
成分の1種若しくは複数種のエマルションを凝集させた
混合物の形態で使用してもよい。
【0048】赤燐は、マイクロ−カプセル化されたまた
はコーテイングされたまたは安定化された物質(例えば
オルブライト・アンド・ウィルソン社製の「アムガード
CRP」)として使用してもよく、そして注意して使用
すべきである。赤燐は入手したままの状態で使用しても
よく、または赤燐を別のポリマー、例えばポリカーボネ
ート、熱可塑性ポリエステル樹脂、例えばポリエチレン
テレフタレート若しくはポリブチレンテレフタレートの
中に、またはスチレン若しくはアクリレート含有ポリマ
ー(上記の(B)で挙げられているようなホモポリマ
ー、コポリマー、三元コポリマー、およびグラフトポリ
マーを含む)の中に、またはエチレン若しくはプロピレ
ンポリマーまたはコポリマー若しくは三元コポリマー、
例えばエチレン−酢酸ビニル、エチレン−アクリル酸エ
チレン、アイオノマー類の中に、または配合物、例えば
ポリカーボネート−アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン(PC−ABS)の中に、または他のポリマー若
しくは担体の中に予備分散させたマスターバッチとして
使用してもよい。
【0049】アラミド繊維または粉末は公知であり、そ
して、切断された繊維、フロック若しくはフィブリルと
して、または粒子(球形若しくは不規則形)として使用
することができる。有用なアラミド繊維または粉末は、
例えばデュポン(Du Pont) 社の「ケブラー(Kevlar)」、
またはアクゾ(Akzo)社の「ツワロン(Twaron)」として供
給されている。
【0050】他の添加剤 他の添加剤も、任意に含まれていてもよい。上記の成分
の他に、本発明に従うポリマー混合物は、1種若しくは
それ以上の一般的な添加剤、例えば他の充填剤、強化用
繊維、安定剤、流動助剤、顔料および染料、耐衝撃性改
良剤、可塑剤、離型剤および帯電防止剤を含有していて
もよい。このため、例えば、本発明に従う熱可塑性成形
用コンパウンドは、他の公知の添加剤、例えばポリカー
ボネート類、またはスチレンおよび/若しくはメタ(ア
クリレート)系のホモポリマー、コポリマー、三元コポ
リマー、およびグラフトポリマーあるいは他の熱可塑性
ポリマーを含有していてもよい。
【0051】流動性改良剤、例えばシロキサンまたは他
の珪素含有ポリマーが存在していてもよい。他の流動用
添加剤、例えばアイオノマー状ワックスまたは低分子量
ポリマーを含むポリオレフィンまたは官能性ポリオレフ
ィン類またはポリオレフィンコポリマーが存在していて
もよい。ポリエステルワックス、合成および/または天
然ワックス、またはポリエーテルワックスまたは添加剤
を使用することもできる。
【0052】カップリング剤または接着促進剤が含まれ
ていてもよい。カップリング剤の例として、種々の反応
性有機官能基を有するシラン類;ネオアルコキシチタネ
ート類および混合アルミノ−若しくは珪素−チタネート
類および燐含有チタネート類を含むチタネート類;アル
ミネート類およびジルコニウムアルミネート類およびジ
ルコネート類が包含される。好適なカップリング剤はシ
ラン類および/またはチタネート化合物、例えば米国、
ベイオンのケンリッヒ・インコーポレーテッド社により
供給される「ケン・リアクト/リカ」のようなものであ
る。そのようなカップリング剤は、通常低比率で、例え
ば無機充填剤に対し0.1〜5重量部で使用される。顔
料、例えば二酸化チタンおよび/またはカーボンブラッ
クを使用してもよい。他の顔料を使用してもよい。
【0053】
【実施例】表に示されている成分を、ツインスクリュー
押出機の中で、200〜280℃で、ほとんどは230
〜250℃で混和した。粒状化して、乾燥した後、得ら
れたペレットを、UL−94−V燃焼試験で指定されて
いる試験片に射出成形した。すなわち、tmm〔ここで
tは厚さ(例えば1. 2mm若しくは1. 0mmまたは
他の厚さ)〕を有するUL指定寸法のサンプルを射出成
形し、コンディショニングし、そしてUL規格に則り、
試験した。
【0054】指定された試験において、 個別の各試験片の残炎時間t1 またはt2 が10秒間
であり; 5個の試験片に対する全ての処理による各組の残炎時
間(t1 +t2 )の合計が50秒間であり、 2回目の接炎後の各試験片の残炎時間と残燼時間との
合計(t2 +t3 )が30秒間であり、 各試験片の、保持クランプまでの残炎と残燼がなく、 試験片の発炎物質または滴下物による、標識用綿の着
火がない、 場合には、UL−94−V−0等級が達成される。
【0055】他のUL−94等級(例えばV−1、V−
2)はV−0より難燃性が低く、そして上記の基準を満
たさない系に適用される。「不合格」は試験片が30秒
間にわたり燃焼し続ける場合である。
【0056】ある厚さにおけるUL評価を取得したこと
は、一般的に、その特定の厚さよりも厚い場合において
も同一の評価を得られるであろうことを示している。そ
して、3. 2mm以内の2種(若しくはそれ以上の)の
厚さの試験片について、UL試験を行うことにより確認
される。このため、一例では、所望する比較的薄い厚さ
およびその比較的薄い厚さより2〜3mm厚い別の厚さ
を使用することができる。これにより、UL−94試験
に関する全ての基準が合致するなら、試験した比較的薄
い厚さが「最小厚さ」であるとの評価が可能になる。
【0057】表中のデータで報告されるUL結果は、U
L−94垂直燃焼試験の指針および推奨に従った発明者
らの研究室における評価のものである。燃焼試験「V−
0」という結果は、V−0に関する(UL−94試験規
格における)上記の基準に、本発明者らの評価が合致し
たものである。「V−1」、「V−2」および「不合
格」に関しても同様である。
【0058】ノッチ付きアイゾットおよびHDT試験に
関しては、サンプルをノッチ付きアイゾット試験および
1. 8MPaにおけるISO75用の仕様ISO180
−試験片タイプ1A(4mm厚さ)の寸法に従って射出
成形した(120℃/時間の加熱速度、10mm×4m
m×120mmのサンプル、100mmスパン使用)。
【0059】実施例の表中の物質 PC−26およびPC−28は、塩化メチレン中0. 5
重量%において、25℃でウベローデ粘度計を使用して
測定した結果、それぞれ1. 28および1. 29の相対
粘度であったビスフェノール−Aのポリカーボネートで
ある。ABS−Fは、通常28〜37部のブタジエンを
含有する高衝撃性グレードのアクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレングラフトポリマーである。ABS−Cは
高流動性−高衝撃性のアクリロニトリル−ブタジエン−
スチレングラフトポリマーである。通常、約30kg−
cm/cmのアイゾット衝撃強度(ASTMD−25
6)および約4.8g/10分のメルトフロー指数(A
STMD−1238、200℃×5kg、条件G)を示
す。SANはスチレンとアクリロニトリルのコポリマー
である。市販の射出成形グレードとして、バイエル社製
「ルストランSAN32」が使用された。
【0060】タルクは、例えば98重量%が8ミクロン
以下の粒度分布を有するノルウェイジアン・タルク社製
「ウェストミンタルク」、または99重量%が10ミク
ロン以下の粒度分布を有するノルウェイジアン・タルク
社製「ミクロタルクITエクストラ」、または90重量
%が4ミクロン以下の粒度分布を有するナインツシュ社
製「ミクロラインA−3」等の市販品を用いた。
【0061】使用されたバーミキュライトは、デュプレ
・バーミキュライト社製「ミクロナイズド・バーミキュ
ライト」または「ミクロン・バーミキュライト」であっ
た。
【0062】使用されたカオリンは、イングリッシュ・
チャイナ・クレイ(ECC)社製の「デヴォライト」で
あった。雲母は、例えばミクロファイン・ミネラルズ社
の「SX−300」および「SX−400」を用いた。
ワラストナイトは、R.T.ヴァンデルビルト・カンパ
ニー・リミテッド社製の「ヴァンシルEW−10」また
は「ヴァンシルG」等の市販品を用いた。二酸化チタン
は、チオキシド社製の「R−TC30」等の市販品を用
いた。水酸化マグネシウムは、デッド・シイ・ペリクラ
ーゼ社製の「FR20」を用いた。
【0063】ガラスビーズは、クロキシトン・アンド・
ガリイ社製の「スフェリグラス5000CP03」を用
いた。酸化アルミニウムおよび炭酸カルシウムは、シグ
マ・アルドリッチ社から入手可能な市販品を用いた。
【0064】Silox.は50%マスターバッチ状の
ポリシロキサン添加剤である(示されている含有量はマ
スターバッチに関するものであるため、実際のシロキサ
ン含有量は示されているものの半分である)。残りの内
容物は、実施例ではポリプロピレン担体である。他のポ
リマーをこのマスターバッチ用に使用してもよい。
【0065】IMは耐衝撃性改良剤であって、ローム・
アンド・ハース社製「パラロイドコアシェル改良剤」で
ある。
【0066】TPP=燐酸トリフェニル。 オリゴマー=ホスフェートオリゴマーで、「アクゾ・フ
ィロフレックスRDP」または「FMCレオフォスRD
P」または他のオリゴマー(類)。 RP=安定化された赤燐であり、実施例ではABSであ
る担体樹脂中での50%赤燐含有量のマスターバッチと
して使用される(マスターバッチ含有量が示されている
ため、実際の赤燐含有量はこの50%である)。他のポ
リマーをこのマスターバッチ用に使用してもよい。 PTFE=「フルオン」グレードのようなポリテトラフ
ルオロエチレン。 CB=カーボンブラック。 WAXは、ポリカーボネート系の混合物中において、流
動性改良および/または離型に適するポリエステル系ワ
ックスを用いた。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
【表7】
【0074】
【表8】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アラン ファニホフ イギリス ジーユー2 5エーエフ サリ ー州 ギルフォード サリー リサーチ パーク ヌージェント ロード 10 コウ ベ スチール ヨーロッパ リミテッド リサーチ ラバラトリィー内 (72)発明者 マーチン トーマス デービス イギリス ジーユー2 5エーエフ サリ ー州 ギルフォード サリー リサーチ パーク ヌージェント ロード 10 コウ ベ スチール ヨーロッパ リミテッド リサーチ ラバラトリィー内 (72)発明者 フィリップ トーイ イギリス ジーユー2 5エーエフ サリ ー州 ギルフォード サリー リサーチ パーク ヌージェント ロード 10 コウ ベ スチール ヨーロッパ リミテッド リサーチ ラバラトリィー内 (72)発明者 ジョセフ アンジェロ キャピテリ イギリス ジーユー2 5エーエフ サリ ー州 ギルフォード サリー リサーチ パーク ヌージェント ロード 10 コウ ベ スチール ヨーロッパ リミテッド リサーチ ラバラトリィー内 (72)発明者 ピーター ジョン アイブス イギリス ジーユー2 5エーエフ サリ ー州 ギルフォード サリー リサーチ パーク ヌージェント ロード 10 コウ ベ スチール ヨーロッパ リミテッド リサーチ ラバラトリィー内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄肉プラスチック部品または該部品の部
    分の成形において有用であり、かつ成形時に1. 0mm
    厚さにおいてUL−94垂直燃焼試験によるUL−V0
    難燃性能を達成することができ、また(A)73〜85
    重量部の1種または複数種の芳香族ポリカーボネート、
    (B)合計15〜27重量部のスチレン若しくはスチレ
    ン誘導体および/またはアクリレート若しくはメタクリ
    レート誘導体を含有する1種若しくはそれ以上のポリマ
    ーおよび/またはコポリマーおよび/またはグラフトポ
    リマー、(C)100重量部の(A)+(B)当たり、
    8〜16重量部の1種若しくは複数種のホスフェートエ
    ステルおよび/またはホスフェートオリゴマーおよび/
    またはホスホネートである1種若しくは複数種の燐化合
    物、(D)100重量部の(A)+(B)当たり、合計
    で0. 5〜12重量部存在する、タルク、カオリン、雲
    母、および水酸化マグネシウムから選択される1種若し
    くは複数種の無機充填剤、(E)100重量部の(A)
    +(B)当たり、合計で0. 1〜2. 5重量部存在す
    る、テトラフルオロエチレンポリマー若しくはコポリマ
    ー、または他のフルオロポリマー、或いは赤燐またはア
    ラミド繊維若しくはアラミド粉末から選択される少なく
    とも1種の他の難燃性添加剤または抗ドリップ剤、を含
    むことを特徴とする難燃性熱可塑性成形用組成物。
  2. 【請求項2】 成分(A)が75〜85重量部存在し、
    そして成分(B)が25〜15重量部存在する請求項1
    に記載の成形用組成物。
  3. 【請求項3】 成分(C)が8〜16重量部存在する請
    求項1または2に記載の成形用組成物。
  4. 【請求項4】 成分(C)が8〜15重量部存在する請
    求項1または2に記載の成形用組成物。
  5. 【請求項5】 成分(C)が8〜14重量部存在する請
    求項1または2に記載の成形用組成物。
  6. 【請求項6】 成分(D)が成分(A)+(B)+
    (C)+(D)+(E)の合計の0. 5重量%以上10
    重量%未満である請求項1〜5のいずれかに記載の成形
    用組成物。
  7. 【請求項7】 成分(D)が成分(A)+(B)+
    (C)+(D)+(E)の合計の0. 5重量%以上5重
    量%未満である請求項1〜5のいずれかに記載の成形用
    組成物。
  8. 【請求項8】 成分(D)が成分(A)+(B)+
    (C)+(D)+(E)の合計の0. 5〜4. 9重量%
    である請求項1〜5のいずれかに記載の成形用組成物。
  9. 【請求項9】 成分(E)が0. 2〜2. 5重量%存在
    する請求項1〜8のいずれかに記載の成形用組成物。
  10. 【請求項10】 薄肉プラスチック部品または該部品の
    部分の成形において有用であり、かつ成形時に1. 0m
    m厚さにおいてUL−94垂直燃焼試験によるUL−V
    0難燃性能を達成することができ、また(A)75〜8
    5重量部の1種または複数種の芳香族ポリカーボネー
    ト、(B)合計15〜25重量部のスチレン若しくはス
    チレン誘導体および/またはアクリレート若しくはメタ
    クリレート誘導体を含有する1種若しくはそれ以上のポ
    リマーおよび/またはコポリマーおよび/またはグラフ
    トポリマー、(C)100重量部の(A)+(B)当た
    り、8〜14重量部の1種若しくは複数種のホスフェー
    トエステルおよび/またはホスフェートオリゴマーおよ
    び/またはホスホネートである1種若しくは複数種の燐
    化合物、(D)成分(A)+(B)+(C)+(D)+
    (E)の合計重量の0. 5重量%以上5重量%未満であ
    る、タルク、カオリン、雲母、および水酸化マグネシウ
    ムから選択される1種若しくは複数種の無機充填剤、
    (E)100重量部の(A)+(B)当たり、合計で
    0. 2〜2. 5重量部存在する、テトラフルオロエチレ
    ンポリマー若しくはコポリマー、または他のフルオロポ
    リマー、或いは赤燐から選択される少なくとも1種の他
    の難燃性添加剤または抗ドリップ剤、を含むことを特徴
    とする難燃性熱可塑性成形用組成物。
  11. 【請求項11】 成分(D)がタルクである請求項1〜
    10のいずれかに記載の成形用組成物。
  12. 【請求項12】 成分(B)がスチレンおよび/または
    (メタ)アクリロニトリルおよび/または(メタ)アク
    リレートを含有する1種若しくはそれ以上のポリマー若
    しくはコポリマー並びに該ポリマー若しくはコポリマー
    のいずれかとブタジエン若しくはブタジエン−スチレン
    若しくはブタジエン−アクリロニトリルを含有するゴム
    またはイソプレン若しくはシリコーンゴムとのグラフト
    ポリマーの混合物である請求項1〜11のいずれかに記
    載の成形用組成物。
  13. 【請求項13】 成分(C)が燐酸トリフェニル、また
    は他の燐酸トリアリールエステル、またはホスフェート
    オリゴマーまたは二価フェノールをベースにしたポリホ
    スフェート、またはこれらの成分の混合物である請求項
    1〜12のいずれかに記載の成形用組成物。
  14. 【請求項14】 成分(E)がテトラフルオロエチレン
    ポリマーである請求項1〜13のいずれかに記載の成形
    用組成物。
  15. 【請求項15】 成形された組成物が70℃若しくはそ
    れ以上の荷重たわみ温度を示す請求項1〜14のいずれ
    かに記載の成形用組成物。
  16. 【請求項16】 成形された組成物が72℃若しくはそ
    れ以上の荷重たわみ温度を示す請求項1〜15のいずれ
    かに記載の成形用組成物。
  17. 【請求項17】 さらに、有効量のカップリング剤、顔
    料、安定剤、流動助剤、離型剤、帯電防止剤、強化添加
    剤を含有する請求項1〜16のいずれかに記載の成形用
    組成物。
  18. 【請求項18】 請求項1〜17のいずれかに記載の組
    成物から製造される成形品。
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