JP5060004B2 - 車両用外装部品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に自動車外装部品への適用に好適な導電性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性および良好な成形品の表面外観を兼備した成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる車両用外装部品とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題への意識がますます高まる中、自動車の燃費向上のために軽量化が従来に増して盛んに進んでいる。その一例として、外装部品の金属材料から樹脂材料への代替が活発化している。外装部品に必要な特性として、オンライン塗装やインライン塗装などの塗装工程に耐える耐熱性、衝突時の衝撃に耐える耐衝撃性、熱などによる寸法変化が小さい寸法安定性、およびクラスAの表面外観などが従来から要求されている。また近年、生産性や塗装品位の向上を目的に樹脂製外装部品にも金属製外装部品と同様にオンライン塗装を可能とする導電性が求められるようになっている。
【0003】
成形品の耐衝撃性を改良する手法としては、熱可塑性エラストマーなどの耐衝撃性改良剤を含有せしめる方法が知られているが、かかる成分を用いると耐熱性や寸法安定性が低下する問題があった。
【0004】
また一方、耐熱性や寸法安定性を向上させるために繊維状あるいは非繊維状の充填材を含有せしめる方法が知られているが、かかる成分を用いると耐衝撃性が低下し、加えて、充填材として繊維状充填材を用いた場合は成形品表面に繊維状充填材が浮き出し、成形品の表面外観を悪化させる問題があった。
【0005】
そこで、本発明者らは十分な耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、表面外観を同時に兼備する樹脂組成物として特願2000−286211号において、ポリアミド樹脂、耐衝撃性改良剤および特定のタルクからなる組成物を提案した。しかしながら、この発明では導電性までは検討されていない。
【0006】
熱可塑性樹脂に導電性を付与する方法としては、カーボンブラックを添加する方法が最も一般的に知られている。しかし、熱可塑性樹脂にカーボンブラックを添加すると、耐衝撃性や流動性などが著しく低下する。また、カーボンブラック以外の導電性粒子として、グラファイトや金属粒子を添加する方法も検討されている。しかしながら、グラファイトや金属粒子を用いた場合には耐衝撃性が低下する問題が存在する。
【0007】
そこで、少量の導電性粒子で効果を発現させる発明が、特開昭62−4749号公報、特開平2−113068号公報で開示されている。該発明では、海島構造を形成する多成分系熱可塑性樹脂マトリックス中の海相に導電性粒子を偏在させ、添加量を低減している。しかしながら、耐衝撃性の低下はある程度抑制されるものの、耐熱性や寸法安定性までもが十分な成形品を得ることはできない。
【0008】
また、特開2001−2896号公報では、導電性粒子として炭素繊維やグラファイトを用い、かつ耐衝撃性向上のためエラストマーを添加した組成物が提案されている。しかしながら、炭素繊維を用いた場合には表面外観の低下が起こり、またグラファイトのみで導電性を付与するためには大量に添加する必要があり、その結果、エラストマーを添加していたとしても耐衝撃性は十分ではなく、また流動性の大幅な低下を引き起こす問題がある。
【0009】
このように、導電性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、表面外観といった特性を兼備する樹脂組成物から成形された車両用外装部品はこれまで得られていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、導電性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、および成形品表面外観が均衡して優れる成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる車両用外装部品とその製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題は主として、(a)ポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹脂55〜97重量%、(b)耐衝撃性改良剤3〜45重量%からなる(A)樹脂組成物100重量部と、(B)平均粒径1〜70μmのグラファイト3〜60重量部、(C)ポリアミド単位とポリオキシアルキレン単位を主要構成成分とする共重合体である制電性樹脂3〜30重量部からなり、かつ、前記(B)グラファィトの個数にして30%以上が、前記(C)制電性樹脂中に存在している熱可塑性樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする車両用外装部品を提供することにより達成される。
また、上記課題を達成する本発明の車両用外装部品の製造方法は、(C)ポリアミド単位とポリオキシアルキレン単位を主要構成成分とする共重合体である制電性樹脂と、(B)平均粒径1〜70μmのグラファイトとを溶融混練し、これを、さらに、(a)ポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹脂、ならびに(b)耐衝撃性改良剤と溶融混練して得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて成形することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる(a)成分をなす熱可塑性樹脂は、溶融成形可能な樹脂である必要があるが、結晶性樹脂あるいは非晶性樹脂のいずれでもよい。
【0013】
ただし、200℃以上の融点を有する結晶性の熱可塑性樹脂を用いると、優れた耐熱性を有する成形品が得られるので好ましく、特に、耐熱性や強度などの各物性が優れた成形品が得られることから、本発明では、ポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹脂を用いることが重要である。特に、ポリアミド樹脂を採用することが好ましい。
【0014】
ここで、ポリアミド樹脂とは、アミノカルボン酸、ラクタム、あるいはジアミンとジカルボン酸を主たる構成成分として得られるポリアミドであり、その主要構成成分の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノカルボン酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられる。本発明は、これら構成成分から誘導されるポリアミド単独重合体もしくは共重合体を各々単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0015】
また、200℃以上の融点を有する結晶性のポリアミド樹脂を用いることは好ましい態様であり、その具体的な例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリカプロアミドコポリマー(ナイロン6T/6)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ(2−メチルペンタメチレン)テレフタルアミドコポリマー(ナイロン6T/M5T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、およびこれらの混合物ないしは共重合体などが挙げられる。
【0016】
とりわけ好ましいポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン6T/66コポリマー、ナイロン6T/6Iコポリマー、ナイロン6T/12コポリマー、およびナイロン6T/6コポリマーを挙げることができ、更にこれらのポリアミド樹脂を耐衝撃性、成形加工性、相溶性などの必要特性に応じて混合物として用いることも好適である。
【0017】
このポリアミド樹脂の重合度は成形性を有していれば特に制限はないが、98%濃硫酸にポリアミド樹脂を1重量%溶解した溶液の25℃で測定した相対粘度として、1.5〜5.0の範囲、特に2.0〜4.0の範囲のものを用いることが好ましい。
【0018】
また、上記ポリエステル樹脂とは主鎖中にエステル結合を有する重合体である。具体的には通常、芳香族ジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)および/またはヒドロキシカルボン酸とを主成分とし、縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体が挙げられる。
【0019】
好ましく用いられるポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリへキシレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートのほか、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリ(エチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−4,4’−ジカルボキシレート/テレフタレートなどの非液晶性ポリエステルおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
とりわけ好ましいものとしては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが挙げられ、これらのポリエステル樹脂は成形性、耐熱性、靱性、表面性などの必要特性に応じて混合物として用いることも実用上好適である。
【0021】
該ポリエステル樹脂の重合度には特に制限はないが、例えばポリブチレンテレフタレートの場合は0.5重量%のo−クロロフェノール溶液中、25℃で測定した固有粘度として、0.36〜3.00の範囲、特に0.50〜2.00の範囲のものが好ましい。また、ポリエチレンテレフタレートの場合は0.5重量%のフェノール/テトラクロロエタンの1:1の混合溶媒溶液を用いて25℃で測定した固有粘度として0.25〜3.00、特に0.40〜2.25の範囲のものが好ましい。
【0022】
また、該ポリエステル樹脂のカルボキシ末端基量は、例えばポリブチレンテレフタレート樹脂の場合、m−クレゾール溶液をアルカリ溶液で電位差滴定して求めた値として1〜50当量/t(ポリマ1トン当りの末端基量)の範囲にあるものが耐久性が良好であり、また、異方性が抑制され好ましく用いられる。
【0023】
本発明において、(A)成分の樹脂組成物は、先述の(a)ポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹脂55〜97重量%、(b)耐衝撃性改良剤3〜45重量%を含有する。該(a)ポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹脂の割合は好ましくは、55〜90重量%である。55重量%未満では耐熱性に劣る。また、97重量%を超えると耐衝撃性に劣る。
【0024】
また、本発明においては、後述するように制電性樹脂など他の樹脂を含有しているが、耐熱性に優れた成形品が得やすいため本発明の熱可塑性樹脂組成物に占める樹脂成分全体に対して(a)成分のポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹脂の割合は35重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは40重量%以上、特に好ましくは45重量%以上である。上限には特に制限はないが94重量%程度である。
【0025】
本発明で用いる耐衝撃性改良剤とは、(a)成分のポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹脂とアロイ化した際に耐衝撃性を改良する成分を言い、例えばオレフィン系化合物および/または共役ジエン系化合物を重合して得られる(共)重合体などが挙げられる。
【0026】
上記(共)重合体としては、エチレン系共重合体、共役ジエン系重合体、共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体などが挙げられる。
【0027】
ここで、エチレン系共重合体とは、エチレンと他の単量体との共重合体および多元共重合体をさし、エチレンと共重合する他の単量体としては炭素数3以上のα−オレフィン、非共役ジエン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、α,β−不飽和カルボン酸およびその誘導体などの中から選択することができる。
【0028】
炭素数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチルペンテン−1、オクタセン−1などが挙げられ、プロピレン、ブテン−1が好ましく使用できる。非共役系ジエンとしては5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−クロチル−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−2−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−2−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−メチル−5−ビニルノルボルネンなどのノルボルネン化合物、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、4,7,8,9−テトラヒドロインデン、1,5−シクロオクタジエン1,4−ヘキサジエン、イソプレン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−トリデカジエンなどが挙げられ、好ましくは5−メチリデン−2−ノルブルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどである。α,β−不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸などが挙げられ、その誘導体としてはアルキルエステル、アリールエステル、グリシジルエステル、酸無水物、イミドを例として挙げることができる。
【0029】
また、共役ジエン系重合体とは少なくとも1種以上の共役ジエンを構成成分とする重合体であり、例えば1,3−ブタジエンの如き単独重合体や1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンから選ばれる1種以上の単量体の共重合体などが挙げられる。これらの重合体の不飽和結合の一部または全部が水添により還元されているものも好ましく使用できる。
【0030】
共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体とは共役ジエンと芳香族ビニル炭化水素からなるブロック共重合体またはランダム共重合体であり、これを構成する共役ジエンの例としては前記の単量体が挙げられ、特に1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。芳香族ビニル炭化水素の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、中でもスチレンが好ましく使用できる。また、共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体の芳香環以外の二重結合以外の不飽和結合の一部または全部が水添により還元されているものも好ましく使用できる。
【0031】
さらに、樹脂組成物中の上記耐衝撃性改良剤の分散粒子径を微細に制御するために、さらに種々の不飽和カルボン酸および/またはその誘導体やビニル単量体をグラフト反応あるいは共重合して得られる(共)重合体も好ましく使用できる。耐衝撃性改良剤に対して、グラフト反応あるいは共重合されている不飽和カルボン酸および/またはその誘導体やビニル単量体の量は0.01〜20重量%が好ましい。グラフト反応あるいは共重合に用いる不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸などが挙げられる。また、それらの誘導体としては、アルキルエステル、グリシジルエステル、ジ−またはトリ−アルコキシシリル基を有するエステル、酸無水物またはイミドなどが挙げられ、中では、グリシジルエステル、ジ−またはトリ−アルコキシシリル基を有する不飽和カルボン酸エステル、酸無水物、イミドが好ましい。
【0032】
不飽和カルボン酸またはその誘導体の好ましい例としては、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸ジグリシジルエステル、シトラコン酸ジグリシジルエステル、ブテンジカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテンジカルボン酸モノグリシジルエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸イミド、イタコン酸イミド、シトラコン酸イミドなどであり、特にメタクリル酸グリシジル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸イミドが好ましく使用できる。また、ビニル単量体の例としてはスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン化合物を例示することができ、これらの不飽和カルボン酸またはその誘導体あるいはビニル単量体は2種以上を併用してもよい。なお、これら不飽和カルボン酸またはその誘導体あるいはビニル単量体をグラフトさせる方法については公知の手法を用いることができる。
【0033】
また、ポリアミド系エラストマーやポリエステル系エラストマーを用いることもできる。これらの耐衝撃性改良材は2種以上併用することも可能である。
【0034】
このような耐衝撃性改良剤の具体例としては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/ヘキセン−1共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、未水添または水添スチレン/イソプレン/スチレントリブロック共重合体、未水添または水添スチレン/ブタジエン/スチレントリブロック共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体およびこれら共重合体中のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体、(「g」はグラフトを表わす、以下同じ)、エチレン/メタクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−マレイミド共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−N−フェニルマレイミド共重合体およびこれら共重合体の部分ケン化物、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ビニルアセテート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/グリシジルアクリレート共重合体、エチレン/ビニルアセテート/グリシジルアクリレート共重合体、エチレン/グリシジルエーテル共重合体、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/2,5−ノルボルナジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン−g−N−フェニルマレイミド共重合体、エチレン/ブテン−1−g−N−フェニルマレイミド共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン−g−無水マレイン酸共重合体、水添スチレン/イソプレン/スチレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/ブテン−1−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、ナイロン12/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ナイロン12/ポリトリメチレングリコール共重合体、ポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリブチレンテレフタレート/ポリトリメチレングリコール共重合体などを挙げることができる。この中で、エチレン/メタクリル酸共重合体およびこれら共重合体中のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン−g−無水マレイン酸共重合体がさらに好ましく、エチレン/メタクリル酸共重合体およびこれら共重合体中のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体が特に好ましい。
【0035】
本発明で用いる(B)グラファイトには、いわゆる天然グラファイトと人工グラファイトがあるが、いずれのグラファイトも用いることができる。またこれらを併用してもよい。グラファイトの形状には、鱗片状、鱗状、土状などがあるが、耐熱性や寸法安定性の点から鱗片状または鱗状が好ましい。
【0036】
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物は、平均粒径が1〜70μmのグラファイトを含有している。好ましくは、3〜30μm、さらに好ましくは、5〜20μmである。平均粒径が1μm未満では耐熱性や寸法安定性が不足するなど物性バランスが崩れるだけでなく、微粉の飛散による作業環境の悪化を引き起こし、また製造が困難である。また70μmを超えると表面外観が悪化する。先述したようにカーボンブラックや一般的な導電性付与剤を用いても、また、グラファイトとしても特に特定粒径範囲のものでなくては導電性は改良されても、また、たとえ耐衝撃性改良剤が併用されようとも、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性や成形品の表面外観として十分な成形品が得られないのである。
【0037】
この平均粒径は、樹脂組成物断面を切り出し、透過型電子顕微鏡または光学顕微鏡を用いて撮像して無作為に抽出した100個のグラファイトの最長部分を測定し、その数平均により求められる。
【0038】
また、(B)成分のグラファイトの含有量は(A)樹脂組成物に対し3〜60重量部である。3重量部未満では導電性が発現せず、また60重量部を超えると耐衝撃性が不足し、かつ、表面外観にも劣る。
【0039】
また、(B)グラファイトは本発明の熱可塑性樹脂組成物中、個数にして30%以上、より好ましくは50%以上が、後述する(C)制電性樹脂中に存在していることが重要である。かかる構成とすることで、導電性を効率よく向上できる。
【0040】
本発明では主に制電性や導電性をさらに改良するために(C)制電性樹脂を含有する。ここで、制電性樹脂とは表面固有抵抗として1×1012Ω未満の樹脂を言い、その種類には特に制限はない。この(C)制電性樹脂としては、相溶性が良好で他物性を損なわずに制電効果や導電性の改良効果が得られるため、ポリアミド単位とポリオキシアルキレン単位を主たる構成成分とする共重合体であることが重要である。
【0041】
このポリアミド単位は、炭素原子数10以下のアミノカルボン酸またはラクタムもしくは炭素原子数10以下のジアミンと炭素原子数10以下のジカルボン酸の塩から誘導されるものであり、これらの原料となる化合物の例としては、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸および10−アミノデカン酸等のアミノカルボン酸、カプロラクタム、エナントラクタムおよびカプリルラクタムなどのラクタム、およびエチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどから選ばれる脂肪族、脂環族、芳香族ジアミンとアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、1,3−または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸などから選ばれる脂肪族、脂環族、芳香族ジカルボン酸とからなる塩などを挙げることができ、これらは単独または2種以上の混合物の形で用いることができる。これらの内で、カプロラクタム、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸塩が特に好ましく用いられる。
【0042】
また、ポリオキシアルキレン単位の例としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシペンタメチレン、ポリオキシヘキサメチレン、ポリオキシエチレン/プロピレン、ポリオキシエチレン/テトラメチレンなどが挙げられ、中でもポリオキシエチレン、ポリオキシエチレン/プロピレン、ポリオキシエチレン/テトラメチレンが好ましい。
【0043】
該ポリオキシアルキレン成分の数平均分子量は200〜6000の範囲が好ましく、250〜4000の範囲がより好ましい。数平均分子量が200未満では、得られる制電性樹脂の機械的性質が著しく劣り、数平均分子量が6000を超えると導電性が損なわれるため好ましくない。
【0044】
(C)制電性樹脂の含有量は(A)樹脂組成物100重量部に対し、3〜30重量部であり、好ましくは3〜20重量部である。30重量部を超えると制電効果の改良が小さい割に耐熱性や寸法安定性に低下傾向が現れる。
【0045】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は好ましく(D)無機充填材を含有する。この無機充填材としては一般に樹脂用無機フィラーとして用いられる公知のものが用いられ、本発明の熱可塑性樹脂組成物の強度、剛性、耐熱性、寸法安定性などを改良できる。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維などの繊維状無機充填材、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、モンモリロナイト、アスベスト、アルミノシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどの非繊維状無機充填材が挙げられる。これらは中空であってもよく、さらにはこれら無機充填材を2種類以上用いることも可能である。また、これら無機充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で処理して使用してもよい。また、モンモリロナイトについては、有機アンモニウム塩で層間イオンをカチオン交換した有機化モンモリロナイトを用いてもよい。
【0046】
これら無機充填材の中でも、表面外観に優れる点で非繊維状強化材を用いることが好ましい。さらに、非繊維状強化材の中でも、寸法安定性、耐熱性に優れる点でタルクが好ましい。タルクとしては平均粒径が0.5〜7μmであることが好ましく、0.5〜5μmがさらに好ましい。平均粒径が0.5μm未満のタルクでは凝集がおこりやすく耐衝撃性に劣る場合がある。また平均粒径が7μmを超えるタルクでも耐衝撃性に劣る場合がある。なお、平均粒径は、レーザー回折法により測定した粒径の50%積算値として求めることができる数平均粒径である。
【0047】
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物に含まれる(D)無機充填材の含有量は(A)樹脂組成物100重量部に対し、好ましくは5〜60重量部、さらに好ましくは10〜50重量部である。かかる範囲とすると耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性のバランスが更に良好になる。60重量部を超えると耐衝撃性が低下する場合がある。
【0048】
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの誘導体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、導電性粒子(金属微粒子、カーボンブラック等)、難燃剤(例えば、赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、着色防止剤(次亜リン酸塩等)、他の重合体を含有することができる。
【0049】
次に本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物を製造する方法について例を挙げて説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、(C)ポリアミド単位とポリオキシアルキレン単位を主要構成成分とする共重合体である制電性樹脂と、(B)平均粒径1〜70μmのグラファイトとを溶融混練し、これを、さらに、(a)ポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹脂、ならびに(b)耐衝撃性改良剤と溶融混練して得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて成形する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の方法により、各成分を公知の混練方法により溶融混練して得ることができる。その混練方法としてもバッチ式または連続式のいずれも採用できるが、連続式の方が生産性の面で好ましい。混練装置としては、単軸および二軸押出機、混練機、ニーダーなどが挙げられるが特に制限があるわけではない。二軸押出機が生産性などの面で好ましい。押出機を用いる場合には、(1)各原料を一括して押出機に供給する方法や、(2)任意の複数の成分をあらかじめ溶融混練し、ペレット化しておき、それと残りの成分を押出機に供給する方法が挙げられる。さらに、(3)供給口を2つ以上有する押出機を使用するときには、第一の(上流側の)供給口から任意の1ないし複数の成分を供給し、第二以降の(下流側の)供給口から残りの任意の1ないし複数の成分を供給する方法をとることもできる。生産性の点から、(3)の方法が好ましい。とりわけ、(2)、(3)の方法で、(C)成分の制電性樹脂を用いる場合は、(C)成分の制電性樹脂と(B)成分のグラファイトを予め溶融混練しておく方法、または、両成分を第一の供給口から供給する方法が好ましい。特に、(C)成分の制電性樹脂と(B)成分のグラファイトの2成分のみで先に溶融混練もしくは第一の供給口から供給する方法が好ましい。
【0050】
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物を成形する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、押出成形、射出成形、射出圧縮成形、ブロー成形、プレス成形などが挙げられ、特に限定されないが、生産性などの点から射出成形や射出圧縮成形が好ましい。
【0051】
また、本発明の車両用外装部品とは上述の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られるものであり、具体的には、フューエルリッド、バンパー、フロントフェンダー、リアフェンダー、ドアパネル、テールゲートパネル、ライセンスガーニッシュ、ボンネット、トランクリッドなどである。特に、フロントフェンダー、リアフェンダー、ドアパネル、テールゲートパネルなどの車両用外装部品が有用である。
【0052】
【実施例】
以下、実施例、比較例、参考例等により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。実施例で使用した評価方法は以下のとおりである。
【0053】
a.寸法安定性:30〜80℃の線膨張係数
SEIKO電子社製TMA100を使用し、角板もしくはフューエルリッドの中央付近から切り出して3×3×10mmhの大きさに調製した試験片を30℃から80℃まで2℃/minの速度で昇温させたときの寸法変化から求めた。
【0054】
b.導電性:表面固有抵抗
東亜電波工業社製ULTRA MEGOHMMETER model SM−10Eを使用し、印加電圧500Vで、角板の表面固有抵抗を測定した。
【0055】
c.表面外観:目視
調製した各板もしくは試験片の表面に凹凸が目立つものを×、問題ないものを○、その中間を△とした。
【0056】
d.耐衝撃性:ノッチ付きIzod衝撃強度
東洋精機社製Izod衝撃強度試験機を使用し、厚さ1/8インチの試料を用いて、ASTM D256−87に従って測定した。
【0057】
e.耐熱性:荷重0.46MPa下での荷重たわみ温度
東洋精機社製HDT−TESTERを使用し、高さ1/2インチ、幅1/4インチの試料を用いて、ASTM D648−82に従って測定した。
【0058】
実施例1、参考例1〜9、比較例1〜17
以下の各材料を表1〜4に示す割合で配合し、日本製鋼所社製二軸押出機TEX−30で溶融混練後ペレット化した。
【0059】
A.使用した材料
ポリアミド樹脂(熱可塑性樹脂1):”アミラン”CM1001(製品No.CM1007)(東レ社製)
ポリエステル樹脂(熱可塑性樹脂2):PBT1100S(製品No.1401−X07)(東レ社製)
耐衝撃性改良剤1:”ハイミラン”1706(三井・デュポンポリケミカル社製)
耐衝撃性改良剤2:”N−タフマー”MH5020(三井化学社製)
制電性樹脂:イプシロンカプロラクタム60重量部、平均分子量400のポリエチレングリコール40重量部および該ポリエチレングリコールの末端基量に当量のアジピン酸の混合物を減圧型溶融重合缶に仕込み、撹拌下に溶融減圧重合を行って、融点179℃のN6/PEG共重合体を得た。この試料を射出成形し、下記測定法で求めた表面固有抵抗は1011Ωであった。
グラファイト1:グラファイト3243(Asbury Graphite Mills社製)、平均粒径50μm
グラファイト2:BF−5A(中越黒鉛社製)、平均粒径5μm
グラファイト3:グラファイト(片山化学社製)、平均粒径200μm
カーボンブラック:#3030B(三菱化学社製)
タルク1:LMS300(富士タルク工業社製)、平均粒径4.5μm
タルク2:NK48(富士タルク工業社製)、平均粒径24μm
ガラス繊維:T258DE(日本電気硝子社製)。
【0060】
実施例1では、第一の供給口から制電性樹脂とグラファイトを、第二の供給口からその他の原料をそれぞれ供給し、溶融混練後ペレット化した。その他は、全原料を第一の供給口から供給し、溶融混練後ペレット化した。
【0061】
参考例5では、得られたペレットを110℃、8時間の条件で熱風乾燥した。その他は、得られたペレットを80℃、12時間の条件で真空乾燥した。乾燥したペレットを用いて、住友重機械工業社製射出成形機SG75H−MIVで試験片と80×80×3mmの角板を成形した。耐衝撃性、寸法安定性、導電性、表面外観、耐熱性の評価を行った。
【0062】
また、比較例17、実施例1については、透過型電子顕微鏡を用いて制電性樹脂中に存在するグラファイトの割合を求めた。
【0063】
また、参考例3の材料を用い、射出成形機を用いて14cm×16cm×3mmのフューエルリッドを成形した。得られたフューエルリッドの表面外観の評価を行った。また、該フューエルリッドの中央付近から試料を切り出し、寸法安定性の評価を行った。線膨張係数は5.2×10-5/℃であった。また、極めて優れた外観を有していることが確認された。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、導電性、耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性および成形品表面外観が均衡して優れる成形品を与える熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる車両用外装部品と該車両用外装部品の製造方法を提供することができる。
Claims (8)
- (a)ポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹脂55〜97重量%、(b)耐衝撃性改良剤3〜45重量%からなる(A)樹脂組成物100重量部と、(B)平均粒径1〜70μmのグラファイト3〜60重量部、(C)ポリアミド単位とポリオキシアルキレン単位を主要構成成分とする共重合体である制電性樹脂3〜30重量部からなり、かつ、前記(B)グラファィトの個数にして30%以上が、前記(C)制電性樹脂中に存在している熱可塑性樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする車両用外装部品。
- 前記(A)樹脂組成物中の(b)耐衝撃性改良剤の含有率が10〜45重量%であることを特徴とする請求項1記載の車両用外装部品。
- 前記(a)ポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹脂が、結晶性を有し、かつ、融点が200℃以上のものであることを特徴とする請求項1または2記載の車両用外装部品。
- 前記(A)樹脂組成物100重量部に対し、(D)無機充填材5〜60重量部を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用外装部品。
- 前記(D)無機充填材が、非繊維状無機充填材であることを特徴とする請求項4記載の車両用外装部品。
- 前記(D)無機充填材が、タルクであることを特徴とする請求項4または5記載の車両用外装部品。
- 前記(D)無機充填材が、平均粒径0.5〜7μmのタルクであることを特徴とする請求項6記載の車両用外装部品。
- (C)ポリアミド単位とポリオキシアルキレン単位を主要構成成分とする共重合体である制電性樹脂と、(B)平均粒径1〜70μmのグラファイトとを溶融混練し、これを、さらに、(a)ポリアミド樹脂および/またはポリエステル樹脂、ならびに(b)耐衝撃性改良剤と溶融混練して得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて成形することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の車両用外装部品の製造方法。
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