JP2007070457A - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃性と剛性のバランスに優れ、さらに、バンパーやフェンダーなどの大型成形品を成形するのに十分な流動性をも兼ね備えたポリアミド樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】(A)〜(D)の合計を100重量%として、(A)ポリアミド樹脂35〜90重量%、(B)耐衝撃性改良材5〜35重量%、(C)非繊維状充填材1〜30重量%、(D)液晶性樹脂0.1〜10重量%からなるポリアミド樹脂組成物であって、(C)非繊維状充填材が(C1)膨潤性層状珪酸塩と(C2)膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材からなり、その重量比c1/(c1+c2)が0.03〜1であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物(ここで、c1は膨潤性層状珪酸塩の含有量(重量%)、c2は膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材の含有量(重量%)を示す。)。
【選択図】なし

Description

本発明は耐衝撃性、剛性と成形性を兼備したポリアミド樹脂組成物に関し、特に耐衝撃性、剛性、成形性に加え、さらに、導電性、塗膜密着性をも兼備した自動車外装部品用ポリアミド樹脂組成物に関するものである。
近年、自動車は軽量化による燃費向上を目的にして、自動車部品のプラスチック化が急速に進み、インストルメンタルパネル、コンソールボックス、グローブボックス、ステアリングホイール、トリムなどの内装部品や、モール、ランプハウジング、フロントグリル、マッドガード、サイドバンパーなどの外装部品のみならず、従来は金属製であったバンパー、フェンダーまでが、各種プラスチック材料によって製造されるようになった。
このような自動車部品に用いられるプラスチック材料としては、例えば、RIM・ウレタン、複合ポリプロピレン、ガラス繊維強化ポリアミドなどの無機物強化プラスチック、およびポリカーボネート(PC)/ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンエーテル(PPE)/ポリアミド(PA)などのポリマーアロイ材料などが挙げられる。
これらの材料のうち、バンパーやフェンダーの剛性と衝撃性を兼備することが必要とされる外装部品には、例えば特許文献1に示されるようにPPEとPAの組み合わせに、耐衝撃性改良材として極性基含有化合物変性ゴム質を加えた樹脂組成物が提案されている。しかしながら、この方法では確かに剛性と衝撃性を有してはいるものの、衝撃性については必ずしも満足するものではなかった。一方、剛性と耐衝撃性を兼備した樹脂組成物としては、特許文献2に示されているように、PA、膨潤性層状珪酸塩、耐衝撃性改良材を特定量に配合した樹脂組成物が提案されている。しかしながら、この方法では確かにバンパーやフェンダーに用いるのに十分な剛性と衝撃性を兼ね備えてはいるものの、バンパーやフェンダーの様な大型成形品を成形するのに必要な流動性を持ち合わせるのが困難であった。
特開昭56−49753号公報(特許請求の範囲) 特開2002−338886号公報(特許請求の範囲)
本発明の課題は、耐衝撃性と剛性のバランスに優れ、さらに、バンパーやフェンダーなどの大型成形品を成形するのに十分な流動性をも兼ね備えたポリアミド樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリアミド樹脂、耐衝撃性改良材、非繊維状充填材、液晶性樹脂を特定量の割合に配合した樹脂組成物を用いることにより、前記課題を解決できることを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は、
(1)(A)〜(D)の合計を100重量%として、
(A)ポリアミド樹脂35〜90重量%、
(B)耐衝撃性改良材5〜35重量%、
(C)非繊維状充填材1〜30重量%、
(D)液晶性樹脂0.1〜10重量%
からなるポリアミド樹脂組成物であって、(C)非繊維状充填材が(C1)膨潤性層状珪酸塩と(C2)膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材からなり、その重量比c1/(c1+c2)が0.03〜1であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物(ここで、c1は膨潤性層状珪酸塩の含有量(重量%)、c2は膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材の含有量(重量%)を示す。)、
(2)(C1)膨潤性層状珪酸塩の組成物中における平均分散厚さをLc1、(C2)膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材の平均分散粒径をLc2としたとき、その比Lc2/Lc1が100〜10000であることを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂組成物、
(3)(C1)膨潤性層状珪酸塩が層間に存在する交換性金属陽イオンを有機オニウムイオンで交換してなるものであることを特徴とする(1)または(2)記載のポリアミド樹脂組成物、
(4)(C1)膨潤性層状珪酸塩の板状結晶層の層間距離が1.6〜2.9nmであることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物、
(5)(D)液晶性樹脂がエチレンジオキシ単位を含有することを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物、
(6)さらに(E)導電性付与材を1〜15重量%添加してなる(1)〜(5)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物、
(7)(E)導電性付与材が(E1)導電性カーボンブラックであることを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物、
(8)(E1)導電性カーボンブラックのDBP吸油量が250ml/100g以上であることを特徴とする(1)〜(7)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物、
(9)さらに(F)数平均分子量が10000以下のエポキシ基含有化合物0.1〜10重量%添加してなる(1)〜(8)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物、
(10)(1)〜(9)いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品であって、該成形品表面には焼付塗装された塗膜を有する焼付塗装成形品、
(11)自動車用外装部品であることを特徴とする(10)記載の焼付塗装成形品、
を提供することにある。
本発明によれば、耐衝撃性と剛性のバランスに優れ、さらに、バンパーやフェンダーなどの大型成形品を成形するのに十分な流動性をも兼ね備えたポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる(A)ポリアミド樹脂とは、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとカルボン酸を主たる原料として用いられるアミド結合を有する重合体を言う。本発明において使用するポリアミド樹脂としては特に制限はなく、任意のアミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を原料とするポリアミドを用いることができ、その原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、(2,2,4−または2,4,4−)トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、ノナメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられる。本発明においては、これらの原料から誘導されるポリアミドホモポリマーもしくはコポリマーを各々単独または混合物の形で用いることができる。
本発明において、とくに好適に用いられるポリアミド樹脂は、200℃以上の融点を有するポリアミド樹脂である。かかるポリアミド樹脂を用いることにより、得られる成形体としても優れた耐熱性や強度を持つものを得ることができる。具体的な例としてはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ナイロン6/66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
とりわけ好ましいものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66コポリマーおよびこれらの混合物が挙げられる。
本発明で用いるポリアミド樹脂の重合度は、通常の成形加工が施せる程度であれば、とくに制限はないが、ポリアミド樹脂1重量%の98%濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度として、2.0〜4.0の範囲のものが好ましい。
本発明において(A)ポリアミド樹脂の割合は35〜90重量%であることが必要であり、好ましくは40〜80重量%である。35重量%未満では耐熱性に劣り、また、90重量%を超えると耐衝撃性に劣るためである。
本発明では(B)耐衝撃性改良材を用いることが必要である。耐衝撃性改良材を用いることによって、自動車外装部品に必要な耐衝撃性を得ることができるからである。本発明で用いる(B)耐衝撃性改良材とは、(A)ポリアミド樹脂とアロイ化した際に耐衝撃性を改良する成分を言い、例えばオレフィン系化合物および/または共役ジエン系化合物を重合して得られる(共)重合体などが挙げられる。
上記(共)重合体としては、エチレン系共重合体、共役ジエン系重合体、共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体などが挙げられる。
ここで、エチレン系共重合体とは、エチレンと他の単量体との共重合体および多元共重合体をさし、エチレンと共重合する他の単量体としては炭素数3以上のα−オレフィン、非共役ジエン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、α,β−不飽和カルボン酸およびその誘導体などの中から選択することができる。
炭素数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチルペンテン−1、オタクセン−1などが挙げられ、プロピレン、ブテン−1が好ましく使用できる。非共役系ジエンとしては5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−クロチル−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−2−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−2−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−メチル−5−ビニルノルボルネンなどのノルボルネン化合物、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、4,7,8,9−テトラヒドロインデン、1,5−シクロオクタジエン1,4−ヘキサジエン、イソプレン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−トリデカジエンなどが挙げられ、好ましくは5−メチリデン−2−ノルブルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどである。α,β−不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸などが挙げられ、その誘導体としては、アルキルエステル、アリールエステル、グリシジルエステル、酸無水物、イミドを例として挙げることができる。
また、共役ジエン系重合体とは少なくとも1種以上の共役ジエンを構成成分とする重合体であり、例えば1,3−ブタジエンの如き単独重合体や1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンから選ばれる1種以上の単量体の共重合体などが挙げられる。こられの重合体の不飽和結合の一部または全部が水添により還元されているものも好ましく使用できる。
共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体とは共役ジエンと芳香族ビニル炭化水素からなるブロック共重合体またはランダム共重合体であり、これを構成する共役ジエンの例としては前記の単量体が挙げられ、特に1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。芳香族ビニル炭化水素の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、中でもスチレンが好ましく使用できる。また、共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体の芳香環以外の二重結合以外の不飽和結合の一部または全部が水添により還元されているものも好ましく使用できる。
さらに、樹脂組成物中の上記耐衝撃性改良材の分散粒子径を微細に制御するために、さらに種々の不飽和カルボン酸および/またはその誘導体やビニル単量体をグラフト反応あるいは共重合して得られる(共)重合体も好ましく使用できる。耐衝撃性改良材に対してグラフト反応あるいは共重合されている不飽和カルボン酸および/またはその誘導体やビニル単量体の量は0.01〜20重量%が好ましい。グラフト反応あるいは共重合に用いる不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸などが挙げられる。また、それらの誘導体としては、アルキルエステル、グリシジルエステル、ジ−またはトリ−アルコキシシリル基を有するエステル、酸無水物またはイミドなどが挙げられ、中でも、グリシジルエステル、ジ−またはトリ−アルコキシシリル基を有する不飽和カルボン酸エステル、酸無水物、イミドが好ましい。
不飽和カルボン酸またはその誘導体の好ましい例としては、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸ジグリシジルエステル、シトラコン酸ジグリシジルエステル、ブテンジカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテンジカルボン酸モノグリシジルエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸イミド、イタコン酸イミド、シトラコン酸イミドなどであり、特にメタクリル酸グリシジル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸イミドが好ましく使用できる。また、ビニル単量体例としてはスチレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン化合物を例示することができ、これらの不飽和カルボン酸またはその誘導体あるいはビニル単量体は2種以上を併用してもよい。なお、これら不飽和カルボン酸またはその誘導体あるいはビニル単量体をグラフトさせる方法については公知の手法を用いることができる。
また、ポリアミド系エラストマーやポリエステル系エラストマーを用いることができる。これらの耐衝撃性改良材は2種以上併用することも可能である。
このような耐衝撃性改良材の具体例としては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、未水添または水添スチレン/イソプレン/スチレントリブロック共重合体、未水添または水添スチレン/ブタジエン/スチレントリブロック共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体およびこれら共重合体中のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体(「g」はグラフトを表す、以下同じ)、エチレン/メタクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−マレイミド共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−N−フェニルマレイミド共重合体およびこれら共重合体の部分ケン化物、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ビニルアセテート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/グリシジルアクリレート共重合体、エチレン/ビニルアセテート/グリシジルアクリレート共重合体、エチレン/グリシジルエーテル共重合体、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/2,5−ノルボルナジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン−g−N−フェニルマレイミド共重合体、エチレン/ブテン−1−g−N−フェニルマレイミド共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン−g−無水マレイン酸共重合体、水添スチレン/イソプレン/スチレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、ナイロン12/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ナイロン12/ポリトリメチレングリコール共重合体、ポリブチルテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリブチレンテレフタレート/ポリトリメチルグリコール共重合体などを挙げることができる。この中で、エチレン/メタクリル酸共重合体およびこれら共重合体のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン−g−無水マレイン酸共重合体がさらに好ましく、エチレン/メタクリル酸共重合体およびこれら共重合体中のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体が特に好ましい。
本発明において(B)耐衝撃性改良材の割合は5〜35重量%であることが必要であり、好ましくは5〜30重量%である。5重量%未満では耐衝撃性に劣り、また、35重量%を超えると耐熱性や寸法安定性に劣るためである。
本発明で用いる(C)非繊維状充填材のうち(C1)膨潤性層状珪酸塩とは、粘土ハンドブック41頁(日本粘土学会編、技報堂(昭和42年1月15日発行))に示されるがごときアルミニウム、マグネシウム、リチウム等の金属を含む八面体シートの上下に珪酸四面体シートが重なって1枚の板状結晶層を形成している2:1型の構造を持つものであり、その板状結晶層の層間に交換性の陽イオンを有している化合物である。
その1枚の板状結晶の大きさは、通常幅0.05〜0.5μm、厚さ6〜15オングストロームである。また、その交換性陽イオンの陽イオン交換容量は20〜300meq/100gのものが挙げられ、好ましくは陽イオン交換容量が40〜110meq/100g、より好ましくは60〜95meq/100gである。陽イオン交換容量はメチレンブルー吸着法で測定した値である。
かかる膨潤性層状珪酸塩の具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性雲母等が挙げられ、天然のものであっても合成されたものであっても良い。これらのなかでもモンモリロナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト系粘土鉱物が好ましく用いられ、特にモンモリロナイトが最も好ましく用いられる。
本発明で用いる膨潤性層状珪酸塩は、層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換されていることが好ましい。
有機オニウムイオンとしてはアンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。これらのなかではアンモニウムイオンとホスホニウムイオンが好ましく、特にアンモニウムイオンが好ましい。アンモニウムイオンとしては、一級アンモニウムイオン、二級アンモニウムイオン、三級アンモニウムイオン、四級アンモニウムイオンのいずれであっても良い。
一級アンモニウムイオンとしては、デシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、オレイルアンモニウム、ベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
二級アンモニウムイオンとしては、メチルドデシルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
三級アンモニウムイオンとしては、ジメチルドデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
四級アンモニウムイオンとしては、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニウムイオン、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどのアルキルトリメチルアンモニウムイオン、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムなどのジメチルジアルキルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウムなどのトリアルキルメチルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
また、これらの他にもアニリン、p−フェニレンジアミン、α−ナフチルアミン、p−アミノジメチルアニリン、ベンジジン、ピリジン、ピペリジン、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などから誘導されるアンモニウムイオンなども挙げられる。
上述のアンモニウムイオンの中でも、炭素数が15〜30の四級アンモニウムイオンを用いることが好ましい。かかる四級アンモニウムイオンとしては、具体的にはトリオクチルメチルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられ、特にトリオクチルメチルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムを用いることが最も好ましい。
本発明において層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された膨潤性層状珪酸塩は、交換性の陽イオンを層間に有する膨潤性層状珪酸塩と有機オニウムイオンを公知の方法で反応させることにより製造することができる。具体的には、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中でのイオン交換反応による方法か、層状珪酸塩に液状あるいは溶融させたアンモニウム塩を直接反応させることによる方法などが挙げられる。
本発明において、膨潤性層状珪酸塩中に含有される有機オニウムイオンの量は、膨潤性層状珪酸塩の分散性、溶融時の熱安定性、成形時のガス、臭気の発生抑制などの観点から、層状珪酸塩の陽イオン交換容量に対し、0.4〜2.0当量の範囲であるものを用いることが好ましく、0.8〜1.2当量の範囲のものを用いることが更に好ましい。
本発明において膨潤性層状珪酸塩の板状結晶層の層間距離は1.6〜2.9nmであることが好ましい。ここで層間距離とは、膨潤性層状珪酸塩の乾燥粉末を広角X線回折測定して得られた面間隔を言う。ここで、層間距離が1.6nm未満の場合または2.9nmを超える場合は、ポリアミド樹脂と溶融混練した場合に層状珪酸塩の分散性が低下し、耐熱性が低下する恐れがある。層間距離は、用いる層状珪酸塩のカチオン交換容量、有機オニウムイオンの量によって調整することができる。
また、これら膨潤性層状珪酸塩は上記の有機オニウム塩に加え、反応性官能基を有するカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得られるために好ましく採用される。かかるカップリング剤としてはイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
特に好ましいのは、有機シラン系化合物(以下シランカップリング剤と言うこともある)であり、その具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等の炭素−炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物などが挙げられる。特に炭素−炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物が好ましく用いられる。これらシランカップリング剤での層状珪酸塩の処理は、水、メタノール、エタノールなどの極性溶媒中、あるいはこれらの混合溶媒中でシランカップリング剤を層状珪酸塩に吸着させる方法や、ヘンシェルミキサー等の高速撹拌混合機の中に層状珪酸塩を添加し、撹拌しながらシランカップリング剤あるいは有機溶媒を含む水溶液の形で滴下して吸着させる方法、あるいは層状珪酸塩に直接シランカップリング剤を添加して、乳鉢等で混合して吸着させることによる方法などを挙げることができる。層状珪酸塩をシランカップリング剤で処理する場合には、シランカップリング剤のアルコキシ基の加水分解を促進するために水、酸性水、アルカリ性水等を同時に混合するのは好ましい。また、シランカップリング剤の反応効率を高めるため、水のほかにメタノールやエタノール等の水、シランカップリング剤両方を溶解する有機溶媒を混合してもかまわない。このようなシランカップリング剤で処理した層状珪酸塩を熱処理することによってさらに反応を促進させることも可能である。なお、予め層状珪酸塩をカップリング剤で処理する代わりに、層状珪酸塩とポリアミド樹脂を溶融混練する際に、これらカップリング剤を添加するいわゆるインテグラルブレンド法を用いてもよい。
本発明で用いる(C)非繊維状充填材のうち、(C2)膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材とは、板状、棒状、球状などの形状を持った長径と短径の比率であるアスペクト比が5以下の充填材を言い、このような非繊維状充填材としては、例えば、タルク、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフィライト、アスベスト、アルミノシリケート、珪酸カルシウムなどの非膨潤性珪酸塩、アルミナ、シリカ、珪藻土、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドロマイト、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物、ガラスビーズ、ガラスフレーク、セラミックビーズ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化珪素などが挙げられる。こられは中空であってもよく、さらにはこれら非繊維状充填材を2種類以上用いることも可能である。また、これら非繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で処理して使用してもよい。
これら非繊維状充填材の中でも、表面外観、寸法安定性、耐熱性に優れる点でタルク、ワラステナイト、カオリンが好ましい。平均粒径は0.5〜10μmであることが好ましい。平均粒径が0.5μm未満では凝集が起こりやすく耐衝撃性に劣る場合がある。また平均粒径が10μmを超えると耐衝撃性、表面外観に劣る場合がある。なお、平均粒径は、レーザー回折法により測定した粒径の50%積算値として求めることができる。
本発明において、(C)非繊維状充填材の含有量は本発明のポリアミド樹脂組成物中に1〜30重量%である。好ましくは、5〜20重量%である。含有量が1重量未満であると剛性が劣り、含有量が30重量%を超えると耐衝撃性が劣る。
本発明においては(C)非繊維状充填材として(C1)膨潤性層状珪酸塩と(C2)膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材を特定比率で用いることが特徴である。本発明のポリアミド樹脂組成物中における(C1)膨潤性層状珪酸塩の含有量をc1(重量%)、(C2)膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材の含有量をc2(重量%)とした場合、その比率c1/(c1+c2)が0.03〜1であることが必要であり、好ましくは0.03〜0.5である。その比率が0.03未満であると剛性が劣り好ましくない。
なお、(C1)膨潤性層状珪酸塩の具体的な添加量は上記比率を満足する範囲内であれば特に制限されず、ポリアミド樹脂組成物中に1〜30重量%、好ましくは1〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%である。一方、(C2)膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材の具体的な添加量も、同様に上記比率を満足する範囲内で制限を受けないが、ポリアミド樹脂組成物中に0〜29重量%、好ましくは1〜25重量%、さらに好ましくは1〜20重量%である。
本発明のポリアミド樹脂組成物中では(C1)膨潤性層状珪酸塩および(C2)膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材は、ポリアミド樹脂への分散性の差と粒子径の差により、それぞれ異なった分散状態で存在している。(C1)膨潤性層状珪酸塩は、板状結晶の1枚1枚が独立して分散、あるいは数枚から数十枚が重なった状態で分散して存在しており、(C2)膨潤性層状珪酸塩以外の無機充填材は原料として仕込んだ無機粒径の形状をほぼ保った状態で存在している。本発明のポリアミド樹脂組成物中における(C1)膨潤性層状珪酸塩の平均分散厚さ(板状結晶の厚さ方向の分散厚さ)をLc1、(C2)膨潤性層状珪酸塩以外の充填材の平均粒径をLc2とした場合、その比Lc2/Lc1は100〜10000であることが好ましい。さらに好ましくは100〜5000である。Lc2/Lc1が100未満の場合は剛性が劣り、また10000以上の場合は表面外観が劣る恐れがある。なお、Lc1およびLc2は本発明のポリアミド樹脂組成物の超薄切片を透過型電子顕微鏡で観察し、(C1)および(C2)各々の分散サイズを測定して求めることができる。
(D)液晶性樹脂は、異方性溶融相を形成し得る樹脂であり、エステル結合を有するものが好ましい。例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル、あるいは、上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミドなどである。
芳香族オキシカルボニル単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などから生成した構造単位、芳香族ジオキシ単位としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどから生成した構造単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などから生成した構造単位、アルキレンジオキシ単位としてはエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等から生成した構造単位(なかでもエチレングリコールから生成した構造単位が好ましい。)、芳香族イミノオキシ単位としては、例えば、4−アミノフェノールなどから生成した構造単位が挙げられる。
液晶性ポリエステルの具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
なかでも異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルの例としては、下式(I)、(II)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、または、(I)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが好ましく挙げられる。特に好ましいのは(I)、(II)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルである。
Figure 2007070457
(ただし式中のR1は、下式(V)から選ばれた一種以上の基を示し、R2は、下式(VI)から選ばれた一種以上の基を示す。ただし、式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)
Figure 2007070457
Figure 2007070457
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)は、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸から選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。これらのうちR1が下式(VII)であり、R2が下式(VIII)であるものが特に好ましい。
Figure 2007070457
Figure 2007070457
本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエステルは、上記したように、構造単位(I)、(III)、(IV)からなる共重合体および上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体から選択される1種以上であり、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)の共重合量は任意である。しかし、本発明の特性を発揮させるためには次の共重合量であることが好ましい。
すなわち、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I)および(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して30〜95モル%が好ましく、40〜85モル%がより好ましい。また、構造単位(III)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70〜5モル%が好ましく、60〜15モル%がより好ましい。また、構造単位(I)の(II)に対するモル比[(I)/(II)]は好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位(II)および(III)の合計と実質的に等モルであることが好ましい。
一方、上記構造単位(II)を含まない場合は流動性の点から上記構造単位(I)は構造単位(I)および(III)の合計に対して40〜90モル%であることが好ましく、60〜88モル%であることが特に好ましく、構造単位(IV)は構造単位(III)と実質的に等モルであることが好ましい。
ここで実質的に等モルとは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットが等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
また液晶ポリエステルアミドとしては、上記構造単位(I)〜(IV)以外にp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドが好ましい。
上記好ましく用いることができる液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミドは、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン等の芳香族ジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸などを液晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
本発明において使用する上記(D)液晶性樹脂の製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
例えば、上記液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、4,4’−ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(5)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で、(1)または(2)の方法により液晶性ポリエステルを製造する方法。
また、(D)液晶性樹脂の溶融粘度は特に限定されないが、本発明の効果をより発揮するために、液晶性樹脂の融点+10℃で測定した値が、100Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜50Pa・sであり、最も好ましくは0.5〜30Pa・sである。なおここで溶融粘度は剪断速度1000(1/秒)の条件下でノズル径0.5mmφ、ノズル長10mmのノズルを用い高化式フローテスターによって測定した値である。
ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。
本発明において(D)液晶性樹脂の割合は0.1〜10重量%であることが必要であり、好ましくは1〜5重量%である。0.1重量%未満では流動性向上効果が小さく本発明の目的を達成することができない。また、10重量%を超えると耐衝撃性に劣るため好ましくない。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、さらに(E)導電性付与材を含有することが好ましい。導電性付与材を用いることにより自動車外装部品のオンライン塗装時に必要な静電塗装可能な導電性を得ることができるからである。
本発明で用いる(E)導電性付与材とは(A)ポリアミド樹脂に添加した時にポリアミド樹脂組成物の導電性を改良する成分を意味する。その特性としては、体積固有抵抗1×1010Ω・cm未満、表面固有抵抗1×1012Ω・cm未満のいずれか、または両方を満足する材料が好ましい。
このような導電性付与材としては、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブに代表される炭素フィブリル、カーボンナノファイバー、炭素繊維、グラファイト、カーボンで被覆された無機フィラー、アルミニウムでドープされた金属酸化物、アンチモンでドープされた金属酸化物で被覆された無機フィラー等が挙げられる。これらの導電性付与材の中でも、(E1)導電性カーボンブラックがより好ましく使用される。
本発明で使用できる(E1)導電性カーボンブラックとは、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が250ml/100g以上700ml/100g以下のものが好ましく、より好ましくはDBP吸油量が300ml/100g以上700ml/100g以下、更に好ましくは350ml/100g以上700ml/100g以下のカーボンブラックである。ここで言うDBP吸油量とはASTM D2414に定められた方法で測定した値である。また、本発明で使用できる導電性カーボンブラックはBET比表面積が400m/g以上のものが好ましく、更には600m/g以上のものがより好ましい。市販されているものを例示すると、ライオン(株)のケッチェンブラックECやケッチェンブラックEC−600JD等が挙げられるが本発明に用いる(E1)導電性カーボンブラックはこれに限られるものではない。
本発明において(E)導電性付与材の割合は1〜15重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜10重量%である。1重量%未満では導電性が発現せず、また、15重量%を超えると耐衝撃性、流動性に劣るためである。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、さらに(F)数平均分子量が10000以下100以上のエポキシ基含有化合物を含有することが好ましい。これらのエポキシ基含有化合物を含有することによって優れた塗装密着性を付与することができるからである。塗膜密着性の点でより好ましい数平均分子量は7000以下100以上である。エポキシ基含有化合物とは、1分子中に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物を意味する。中でも塗膜密着性と滞留安定性の点で1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であることが好ましく、1分子中に2個のエポキシ基を有する化合物がさらに好ましい。
このようなエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、レゾルシノール、ハイドロキノン、オロカテロール、サリゲニン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシ−ジフェニルジメチルメタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,5−ジヒドロキシナフタレン、カシューフェノール、2,2,5、5−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサンなどのビスフェノールのグリシジルエーテル系エポキシ基含有化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどのジオールのジグリシジルエーテル系エポキシ基含有化合物、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルジオールのジグリシジルエーテル系エポキシ基含有化合物、グリシジルエステル系エポキシ基含有化合物、グリシジルアミン系エポキシ基含有化合物、フェノール型エポキシ基含有化合物、クレゾール型エポキシ基含有化合物、脂環式エポキシ基含有化合物、シリコン変性エポキシ基含有化合物、ゴム変性エポキシ基含有化合物、エポキシ化ポリオレフィン、エポキシ化大豆油、ナフタレン骨格を持ったエポキシ基含有化合物、ジシクロペンタンジエン骨格を持ったエポキシ基含有化合物、リモネン骨格を持ったエポキシ基含有化合物などを挙げることができ、併用してもよい。これらについては、ハロゲン化されているもの、水素添加されているものでもよい。これらエポキシ基含有化合物は液体、固体いずれも用いることができるが、ハンドリング性の点で固体が好ましい。また、より好ましくは(F)数平均分子量が10000以下のエポキシ基含有化合物としてビスフェノールAが挙げられ、具体的にはエピコート1002(数平均分子量1060、エポキシ当量650)(ジャパンエポキシレジン社製)、エピコート1009(数平均分子量3750、エポキシ当量2850)(ジャパンエポキシレジン社製)等が挙げられるが、本発明においてはこれに限られるものではない。
エポキシ基含有化合物の割合は0.1〜10重量%であることが好ましく、塗膜密着性と諸物性のバランスの点で0.3〜8重量%がより好ましい。0.1重量%未満では塗膜密着性などに劣り、10重量%を越えると耐熱性などが低下するためである。
さらに本発明のポリアミド樹脂組成物では、ポリアミド樹脂組成物全体の重量を1重量部としたときの(F)エポキシ基含有化合物の重量の割合を、該エポキシ基含有化合物のエポキシ当量で徐した値(割合/エポキシ当量)が1.5×10−5〜5.0×10−5とせしめる量で配合してなることが好ましい。ここで、樹脂組成物全体の重量を1重量部としたときのエポキシ基含有化合物の重量の割合をエポキシ当量で除した値(割合/エポキシ当量)について説明する。エポキシ当量とは、1グラム当量のエポキシ基を含むエポキシ基含有化合物のグラム数を意味する。したがって、樹脂組成物全体の重量を1重量部としたときのエポキシ基含有化合物の重量の割合をエポキシ当量で除した値(割合/エポキシ当量)は、樹脂組成物1g中に含まれるエポキシ基のグラム当量を表す。
本発明においては、この値を1.5×10−5〜5×10−5の範囲に調整することが好ましい。この範囲内に調整することにより、塗膜密着性向上効果と共に滞留安定性をも兼備する実用価値の高い材料を設計し得るのである。この値が1.5×10−5未満では塗膜密着性向上効果および滞留安定性向上効果が十分ではない場合があり、またこの値が5×10−5を越えると滞留安定性が低下する場合がある。
ここで言う滞留安定性とは、溶融状態での滞留有無での特性変化の小ささを意味する。すなわち、熱可塑性樹脂を射出成形機中などで溶融状態で滞留させると、熱分解や、アロイ系の場合には反応が起こり、その結果特性変化が生じるのであるが、その際の特性変化の小ささを意味するものである。
エポキシ基含有化合物を含有するポリアミド樹脂組成物の場合、一般に溶融状態で滞留させると両者の反応により特性変化が生じ易い。しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、樹脂組成物全体の重量を1重量部としたときのエポキシ基含有化合物の割合をエポキシ当量で除した値(割合/エポキシ当量)を1.5×10−5〜5×10−5の範囲に調整したポリアミド樹脂組成物においては、エポキシ基含有化合物を含有しない場合よりも特性変化が小さくなる、すなわち滞留安定性が向上することを見出したのである。樹脂組成物全体の重量を1重量部としたときのエポキシ基含有化合物の割合をエポキシ当量で除した値(割合/エポキシ当量)を上記範囲に調整する方法としては、配合するエポキシ基含有化合物のエポキシ当量とエポキシ基含有化合物の配合量とを調整することが挙げられる。
これは、樹脂組成物全体の重量を1重量部としたときのエポキシ基含有化合物の重量の割合をエポキシ当量で除した値(割合/エポキシ当量)を、上記の範囲とすることにより、(1)エポキシ当量が小さく添加量が多い場合には、エポキシ基が多く存在することでエポキシ基含有化合物とポリアミド樹脂の過剰な反応に起因すると考えられる滞留安定性低下が生じること、(2)更に、エポキシ当量が大きく添加量が少ない場合には、エポキシ基が少ないためにポリアミド樹脂と耐衝撃性改良材との反応に起因すると考えられる滞留安定性低下が生じることという問題を効果的に解決できたのである。逆に言えば、この値を1.5×10−5〜5×10−5の範囲とした場合には、エポキシ基含有化合物とポリアミド樹脂の反応が適度に進行することにより、ポリアミド樹脂と耐衝撃性改良材との反応の進行に遅延が生じると考えられ、その結果、滞留安定性低下を効果的に解決できると推定できるのである。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの誘導体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、着色防止剤(次亜リン酸塩等)、他の重合体を含有することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は剛性、耐衝撃性および成形性に優れるため、焼付塗装用に用いるに極めて適している。焼付塗装工程としては、自動車ボディとの一体塗装であるオンライン塗装、インライン塗装や、部品塗装であるオフライン塗装いずれでもよいが、より高い耐熱性がオンライン塗装、インライン塗装に好適に用いることができる。
塗装方法については特に制限はなく、スプレー塗装法、静電塗装法など公知の塗装方法を採用できる。塗料としては、ラッカー系塗料、ウレタン系塗料、アクリル系塗料、アルキッド系塗料、エポキシ系塗料、ポリエステル系塗料、メラミン系塗料などが挙げられる。塗料膜厚については特に限定するものではないが、5〜150μmが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、VTR、テレビ、音響機器、冷蔵庫、エアコン、掃除機などの電気製品部品や、フューエルリッド、バンパー、フロントフェンダー、リアフェンダー、ドアパネル、テールゲートパネル、ライセンスガーニッシュ、ボンネット、フードバルジ、トランクリッド、ホイールキャップ、カウルなどの車両用外装部品など焼付塗装が施される部品に用いることができ、特に車両用外装部品に好適に用いることができる。特に、フロントフェンダー、リアフェンダー、バンパー、ライセンスガーニッシュ、フードバルジなどの自動車用外装部品に用いることが好ましい。
次に本発明のポリアミド樹脂組成物を得る方法について例を挙げて説明する。本発明のポリアミド樹脂組成物は、各成分を公知の混練方法により溶融混練して得ることができる。溶融混練の方法には特に制限はなく、ポリアミド樹脂の溶融状態下で機械的剪断を行うことができればよい。その処理方法もバッチ式または連続式のいずれでも良いが、連続的に製造できる連続式の方が生産性の面から好ましい。具体的な混練装置にも制限はなく、例えば単軸または二軸の押出機、混練機、ニーダーなどが挙げられるが、特に二軸押出機が生産性の面で好ましい。スクリューアレンジにも特に制限は無いが、層状珪酸塩をより均一に分散させるためにニーディングゾーンを設けることが好ましい。押出機を用いる場合には、(i)各原料を一括して押出機に供給する方法や、(ii)任意の複数の成分をあらかじめ溶融混練しペレット化しておき、それと残りの成分を押出機に供給する方法が挙げられる。さらに、(iii)供給口を2つ以上有する押出機を使用する場合には、第一の(上流側の)供給口から任意の1ないし複数の成分を供給し、第二以降の(下流側の)供給口から残りの任意の1ないし複数の成分を供給する方法をとることもできる。生産性の点から、(iii)の方法が好ましい。とりわけ、(ii)、(iii)の方法で、(A)ポリアミド樹脂と(C)膨潤性層状珪酸塩を予め溶融混練しておく、または、両成分を第一の供給口から供給する方法が好ましい。溶融混練後ストランド状に吐出し、カッティング、水冷を行いペレット化し、ポリアミド樹脂組成物ペレットを得ることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物を成形する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、押出成形、射出成形、射出圧縮成形、ブロー成形、プレス成形などが挙げられ、特に限定されないが、生産性などの点から射出成形や射出圧縮成形が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
A.使用した材料
(A)ポリアミド樹脂:(ナイロン6樹脂)“アミラン”CM1017(東レ社製)。
(B)耐衝撃性改良材:(エチレン/ブテン−1共重合体)“N−タフマー”MH7020(三井化学社製)。
(C1)膨潤性層状珪酸塩1:Na型モンモリロナイト(陽イオン交換容量85meq/100g)100gを温水10リットルに撹拌分散し、ここにベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド(BDMS:炭素数27)36g(陽イオン交換容量(CEC)に対して1.0倍)を溶解させた温水2リットルを添加して1時間撹拌し、生じた沈殿を濾別した後、温水で洗浄し(この洗浄と濾別の操作を3回行った)、得られた固体を80℃で真空乾燥して、膨潤性層状珪酸塩を得た。広角X線回折装置(理学電気製RINT1100)を用いて膨潤性層状珪酸塩の粉末試料を2θ=2〜20度の範囲で測定し、d(001)ピークをもって層間距離を求めたところ、層間距離は1.9nmであった。また、得られた膨潤性層状珪酸塩0.1gを600℃の電気炉で3時間灰化して無機灰分量を測定したところ、69重量%だった。
(C1)膨潤性層状珪酸塩2:BDMSの添加量をモンモリロナイトの陽イオン交換容量の0.8倍とする以外は膨潤性層状珪酸塩1と同様にして得た。層間距離は1.5nmであった。また、得られた膨潤性層状珪酸塩0.1gを600℃の電気炉で3時間灰化して無機灰分量を測定したところ、71重量%だった。
(C2)タルク:LMS300(富士タルク工業社製)、平均粒径4.5μm。
(C2)カオリン:トランスリンク445(エンゲルハード社製)、平均粒径1.4μm。
(D)液晶性樹脂:p−ヒドロキシ安息香酸901重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート346重量部及び無水酢酸884重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、重合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位72.5モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位20モル当量、芳香族ジカルボン酸単位27.5モル当量からなる融点265℃、275℃の溶融粘度13Pa・s(オリフィス0.5φ×10mm、ずり速度1,000(1/秒))の液晶性樹脂が得られた。
(E)導電性付与材:(導電性カーボンブラック)ケッチェンブラックEC−600JD(ライオン社製)、DBP吸油量:495ml/100g、BET比表面積:1400m/g。
(F)エポキシ基含有化合物:(ビスフェノールA)エピコート1002(数平均分子量1060、エポキシ当量650)(ジャパンエポキシレジン社製)
B.評価方法
剛性:曲げ弾性率
射出成形により作成した厚さ6.4mmの曲げ試験片をASTM D790に従って測定した。
耐衝撃性:高速面衝撃試験
射出成形により作製した80mm×80mm×3.2mmの角板を、サーボパルサーEHF−U2H−20L型高速面衝撃試験機(島津製作所社製)で23℃の環境下においてポンチ先端径12.7mm、衝突速度1.0m/sで試験を行った。破壊状態(延性破壊、脆性破壊)は目視で判断した。
流動性:スパイラルフロー長
射出速度99%、射出圧力128MPaの条件で射出成形した場合の2.0mmt厚×10.0mm幅の流動長(スパイラルフロー長)を測定した。
導電性:体積固有抵抗
射出成形により作製した厚さ3.2mmの引張試験片(ASTM D638 タイプIダンベル)の両端を精密カットソーで切断し、長さ50mmで両端に均一な断面積(12.4mm×3.2mm)の切断面を持つ、短冊状試験片を得た。この試験片の両端の切断面に銀ペーストを塗布し、充分乾燥させた後、テスターを用いて両端間の抵抗値を500Vの電圧で測定し、下式を用いて体積固有抵抗として算出した。
体積固有抵抗(Ω・cm)=抵抗値×(長さ/断面積)
なお、この測定は5個の異なる試験片に対して実施し、その加算平均をもって体積固有抵抗とした。
表面外観:目視
射出成形により作製した80mm×80mm×3.2mmの角板にスプレーガンを用いて、ポリエステル系塗料で塗装を施し、140℃で20分の焼付処理を行った後、表面に凹凸が目立つものを×、問題ないものを○とした。
塗膜密着性:基盤目剥離試験
表面外観の評価に用いた焼付塗装後の角板を、23℃×50%RHの条件で48時間放置した後、剥離試験を行った。剥離試験は、カッターナイフで1mm間隔で縦横11本の切り込みを入れ、100個の升目を作り、セロハン粘着テープを用いて行い、剥離数を求めた。この測定により得られた測定値が小さいほど、塗膜密着性に優れると言える。
非繊維状充填材の分散状態
射出成形により作製した80mm×80mm×3.2mmの角板から一部を切り出し、ウルトラミクロトーム(REICHERT ULTRACUT S:Leica社製)を用いて超薄切片を作成し、日立製作所社製透過型電子顕微鏡H−7100で観察し、その写真からピアス社製画像解析装置LA−555により樹脂中に分散している100個以上の膨潤性層状珪酸塩の分散厚さを測定し、平均分散厚さLc1を求めた。膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材については、樹脂中に分散している100個以上の非繊維状充填材につき測定を行い平均分散粒径Lc2を求めた。
実施例1〜6、比較例1〜4
各材料を表1に示す割合で配合し、日本製鋼所社製二軸押出機TEX−44で溶融混練後ペレット化した。得られたペレットを80℃、12時間の条件で真空乾燥した。乾燥したペレットを用いて、日精樹脂工業射出成形機PS60E9ASEで試験片と80mm×80mm×3.2mmの角板を成形し、剛性、耐衝撃性、流動性を評価した。
Figure 2007070457
実施例1〜6と比較例1〜4との比較において、実施例1〜6は剛性と耐衝撃性のバランスに優れ、且つ、バンパーやフェンダーなどの大型成形品を成形するのに十分な流動性をも兼ね備えていた。
実施例7〜12、比較例5〜8
各材料を表2に示す割合で実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を製造した。溶融混練の方法は、第一の供給口からポリアミド樹脂と膨潤性層状珪酸塩を、第二の供給口からその他の原料をそれぞれ供給し、溶融混練後ペレット化した。得られたペレットを実施例1と同様に成形し評価を行った。評価項目には体積固有抵抗、表面外観、塗膜密着性の評価を追加した。
Figure 2007070457
実施例7〜12と比較例5〜8との比較において、実施例7〜12は剛性、耐衝撃性、流動性、導電性、表面外観、塗膜密着性全ての結果において優れた結果を示しており、バンパーやフェンダー用として好適なものであった。

Claims (11)

  1. (A)〜(D)の合計を100重量%として、
    (A)ポリアミド樹脂35〜90重量%、
    (B)耐衝撃性改良材5〜35重量%、
    (C)非繊維状充填材1〜30重量%、
    (D)液晶性樹脂0.1〜10重量%
    からなるポリアミド樹脂組成物であって、(C)非繊維状充填材が(C1)膨潤性層状珪酸塩と(C2)膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材からなり、その重量比c1/(c1+c2)が0.03〜1であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物(ここで、c1は膨潤性層状珪酸塩の含有量(重量%)、c2は膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材の含有量(重量%)を示す。)。
  2. (C1)膨潤性層状珪酸塩の組成物中における平均分散厚さをLc1、(C2)膨潤性層状珪酸塩以外の非繊維状充填材の平均分散粒径をLc2としたとき、その比Lc2/Lc1が100〜10000であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. (C1)膨潤性層状珪酸塩が層間に存在する交換性金属陽イオンを有機オニウムイオンで交換してなるものであることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. (C1)膨潤性層状珪酸塩の板状結晶層の層間距離が1.6〜2.9nmであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. (D)液晶性樹脂がエチレンジオキシ単位を含有することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. さらに(E)導電性付与材を1〜15重量%添加してなる請求項1〜5いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  7. (E)導電性付与材が(E1)導電性カーボンブラックであることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  8. (E1)導電性カーボンブラックのDBP吸油量が250ml/100g以上であることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  9. さらに(F)数平均分子量が10000以下のエポキシ基含有化合物0.1〜10重量%添加してなる請求項1〜8いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品であって、該成形品表面には焼付塗装された塗膜を有する焼付塗装成形品。
  11. 自動車用外装部品であることを特徴とする請求項10記載の焼付塗装成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101195708B (zh) * 2007-12-19 2010-08-11 华南理工大学 一种增强耐热尼龙复合材料及其制备方法
JP2012236902A (ja) * 2011-05-11 2012-12-06 Mazda Motor Corp 球状炭素材含有樹脂材及びその製造方法
JP2013506033A (ja) * 2009-09-25 2013-02-21 イートン コーポレーション ナノコンポジット組成物及びシステム

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