JP4540276B2 - 感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents

感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルムの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱孔版印刷原紙用フィルムの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、穿孔感度、印刷時の解像度(階調性)、印字品位性、耐刷性(印刷耐久性)に優れ耐カール性、フィルムタルミの改良された感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムに多孔性薄葉紙をラミネートした感熱孔版印刷用原紙が知られている。ところで、感熱孔版印刷用原紙に使用される上記のフィルムの要求特性としては、穿孔感度、耐カール性、印刷時の画像の解像度および濃度などに加え、ラミネートの際に接着剤を均一にするために、良好なフィルムタルミを有することなどがある。
しかしながら、これらのフィルムは、上記の要求特性の一方を満足するために他方の特性を犠牲としており、数多くの要求特性を同時にかつ十分に満足するものではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、フィルムタルミが改良され、感熱孔版印刷用原紙とした際に穿孔感度、印刷時の解像度、印字品位性、耐刷性、耐カール性に優れた感熱孔版印刷用のベースフィルムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の条件で熱処理することにより製造されたフィルムによれば、上記課題を容易に解決し得るとの知見を得、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明の要旨は、融点が240℃以下であり、ガラス転移温度が40〜68℃であり、厚みが0.8〜10μmの範囲である二軸延伸ポリエステルフィルムを、処理温度40℃以上で、かつ下記式(1)〜(3)式を同時に満足する条件で熱処理することを特徴とする感熱孔版印刷原紙用フィルムの製造方法に存する。
Tg−30≦処理温度(℃)≦Tg+10 …(1)
昇温速度(℃/hr)≦20 …(2)
5≦熱処理時間≦200(hr) …(3)
(上記式中、Tgは、二軸延伸ポリエステルフィルムのガラス転移温度(℃)を意味し、昇温速度とは、常温より処理温度に達するまでの単位時間あたりの上昇温度を意味する)
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルを構成する二官能性酸成分は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を主とするものであり、具体的にはテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、そのエステル形成誘導体としてはテレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルなどが挙げられ、これらの中でもテレフタル酸、テレフタル酸ジメチルが好ましい。
また、ポリエステルを構成するグリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられ、これらの中でもエチレングリコール、ブチレングリコールが好ましい。
【0007】
かかるポリエステルは、1種の芳香族ジカルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体と、1種のアルキレングリコールとを出発原料とするポリエステルでもよいが、2種以上の成分を含む共重体であることが好ましい。共重合する成分として、上記のほかに、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成分、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。また、それぞれ単一成分で構成されるホモポリマー同士、ホモポリマーと2種以上の成分を含む共重合体および当該共重合体同士のブレンドポリエステルが好ましく、それらの中でもポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートまたはイソフタル酸を共重合成分とするポリエチレンテレフタレート共重合体とのブレンドポリエステルがさらに好ましい。
【0008】
通常、感熱孔版印刷用原紙は、ポリエステルフィルムと多孔性支持体を貼り合わせて製造されるが、貼り合わせ後に原紙のカールが大きな問題となるため、貼り合わせ工程の前に、ポリエステルフィルムを熱処理してカールの防止を計っている。しかしながら、熱処理により耐カール性の向上は計ることができるが、ポリエステルフィルムにタルミが発生してしまう。ポリエステルフィルムにタルミが発生した場合は、接着剤をポリエステルフィルムに塗布した際、タルミのある部分に接着剤が多量に塗布されるため、接着剤が均一に塗布されず接着剤の塗布ムラが発生してしまう。
感熱孔版印刷原紙は、サーマルヘッドの熱によって穿孔するが、サーマルヘッドの熱は、多孔性支持体と接着剤を介してポリエステルフィルムに伝わるため、接着剤の塗布量が多い場所ではサーマルヘッドの熱がポリエステルフィルムまで伝わらず、そのまま穿孔感度の低下となってしまう。
【0009】
本発明の最大の特徴は、特定の熱処理条件を用いることにより、耐カール性を改良し、かつフィルムタルミの発生も防止できるポリエステルフィルムを製造することである。
すなわち、本発明における熱処理条件は、下記式▲1▼〜▲3▼
Tg−30≦処理温度(℃)≦Tg+10 …▲1▼
昇温速度(℃/hr)≦20 …▲2▼
5≦熱処理時間≦200(hr) …▲3▼
【0010】
好ましくは、下記式▲4▼〜▲6▼
Tg−25≦処理温度(℃)≦Tg+5 …▲4▼
昇温速度(℃/hr)≦15 …▲5▼
10≦熱処理時間≦150(hr) …▲6▼
さらに好ましくは、下記式▲7▼〜▲9▼
Tg−20≦処理温度(℃)≦Tg+5 …▲7▼
昇温速度(℃/hr)≦10 …▲8▼
20≦熱処理時間≦150(hr) …▲9▼
の範囲内で行う。なお、上記式中、Tgは、熱処理前の二軸延伸ポリエステルフィルムのガラス転移温度(℃)を意味する。
【0011】
熱処理温度が低すぎたり、熱処理時間が短すぎたりする場合は、ポリエステルフィルムと多孔性支持体を貼り合わせ後に原紙がカールしてしまい、好ましくない。また、熱処理温度が高すぎる場合は、ポリエステルフィルムが持っている感熱孔版印刷原紙用として備えている本来の特性が失われたり、局所タルミが発生したりして好ましくない。また、昇温速度が早すぎる場合も同様に局所タルミが発生し好ましくない。熱処理時間が長すぎる場合は、フィルム特性への悪影響は少ないが、生産効率が落ちるため好ましくない。
【0012】
本発明におけるフィルムの熱処理は、通常、ロールに巻かれたフィルムに対して行われるため、昇温速度が早すぎる場合は、ロールの外側と内側で温度分布ができてしまい、均一な熱処理が行われず本願の効果が十分発揮できず好ましくない。特に、フィルムの生産性を上げるために、フィルムを長尺として採取した場合は、フィルムロールの径が大きくなり、フィルムロールの外側と内側での温度差が出やすくなるため、昇温速度が早い場合は、昇温速度の影響を受けやすくなる。
【0013】
なお、本発明における熱処理条件は、フィルムの熱処理を実施するオーブンや恒温室の温度条件を指す。昇温速度や処理温度は、オーブンや恒温室の昇温速度や温度であり、熱処理時間はオーブンや恒温室の温度が所定の温度に到達した時点より、降温を開始するまでの時間を指す。
本発明の対象となるポリエステルフィルムの融点は、240℃以下、好ましくは220℃以下の範囲である。融点が240℃より高い場合には、本発明の目的とする高度な穿孔感度が得られない。
本発明の対象となるフィルムの厚みは、0.8〜10μm、好ましくは0.8〜7μm、さらに好ましくは0.8〜5μmである。フィルム厚みが薄くなれば熱伝導距離が短縮され、穿孔時に必要な熱エネルギーも減少するため穿孔性が向上し、印刷時の解像度や印字品位性が向上するが、厚み0.8μm未満では、印字が不鮮明で濃淡むらが生じやすく、かつ耐刷性も低下する。また、厚みが10μmを超えると、穿孔性が悪化するため印刷時にむらが生じる。
【0014】
また、本発明の対象となるフィルムのガラス転移温度は、通常30℃以上、好ましくは35℃以上、さらに好ましくは40℃以上である。ガラス転移温度が30℃未満では、耐熱寸法安定性が悪化して、フィルム搬送、マスターフィルム保管中のカール、局部タルミが発生し、印刷画像の階調性が劣ることがある。
なお、本発明において、製膜に供するポリエステル全量に対し、10重量%程度以下の他のポリマー(例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリイミド等)を含有させることができる。また必要に応じ、酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、染料、顔料等の添加剤を配合してもよい。
【0015】
上記の添加剤の配合方法は、特に限定されず、例えば、添加剤とポリエステルチップとを直接ブレンドする方法、添加剤を予めポリエステル中に高濃度に配合したマスターバッチチップを得、それを再度ポリエステルにブレンドする所謂マスターバッチ法などを採用することができる。
本発明のフィルムは、フィルム製造時の巻き上げ工程、フィルムマスター作成時のコーテング、および印刷時の作業性を向上させたり、あるいは、サーマルヘッドとフィルムとの融着を防止したりするため、フィルムに適度な滑り性を付与する。
具体的には、表面を適度に粗面化するために、例えば平均粒径0.05〜2.0μmの微粒子を0.01〜2.0重量%、好ましくは0.1〜1.5重量%、フィルム中に含有させる。
【0016】
かかる微粒子の例として、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、カオリン、タルク、カーボンブラック、窒化ケイ素、窒化ホウ素、および特公昭59−5216号公報に記載されているような架橋高分子微粉体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
この際、配合する微粒子は、単成分でもよく、また、2成分以上を同時に用いてもよい。2成分以上用いる場合は、それらの全体の平均粒径および含有量が上記した範囲内にあることが好ましい。
【0017】
用いる微粒子の平均粒径が0.05μm未満、または微粒子の含有量が0.01重量%未満である場合は、フィルム表面の粗面化が不足し、十分に効果が得られないことがある。また、平均粒径が2.0μmを超える場合や含有量が2.0重量%を超える場合には、フィルム表面の粗面化の度合いが大きすぎて熱伝達にムラが生じ、穿孔が不均一となり、解像度が劣ったり、印字品位性が損なわれたりすることがある。
【0018】
原料ポリエステルに対する前記各粒子の配合方法は、特に限定されないが、例えば、ポリエステルの重合工程に各粒子を添加する方法または原料ポリエステルと各粒子を溶融混練する方法などが好適である。
本発明で得られるフィルムは、作業性、印刷時の解像度、印字品位性などの特性を高度に満足させるため、中心線平均粗さ(Ra)が0.01〜0.20μmの範囲であることが好ましく、0.02〜0.15μmの範囲であることがさらに好ましい。Raが0.01μm未満の場合は、フィルムの巻き取り時にフィルムにシワが入りやすくなる傾向があり、また、Raが0.20μmを超える場合は、フィルム表面の平面性が損なわれ、熱伝達にムラが生じ、穿孔が不均一となり、解像度が劣り、印字品位性が損なわれる傾向がある。
【0019】
次に、本発明のフィルムの製造方法について説明する。
本発明においては、まず、エクストルーダーに代表される周知の溶融押出装置に原料ポリマーを供給し、当該ポリマーの融点以上の温度に加熱して溶融する。次いで、スリット状のダイから溶融ポリマーを押し出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0020】
本発明においては、上記のようにして得られた未延伸シートを2軸方向に延伸してフィルム化する。具体的には、まず、ロールまたはテンター方式の延伸機により、前記未延伸シートを一方向に延伸する。この一段目において、延伸温度は、通常40〜120℃、好ましくは50〜100℃、延伸倍率は、通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜7倍とする。次に、テンター方式の延伸機により、一段目と直交する方向に延伸する。この二段目において、延伸温度は、通常20〜100℃、好ましくは25〜90℃、延伸倍率は、通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜7倍、さらに好ましくは4.0〜7倍とする。
【0021】
一方向の延伸を2段階以上で行う方法も採用することができるが、その場合も最終的な延伸倍率が上記した範囲に入ることが好ましい。また、前記未延伸シートを面積倍率が10〜40倍になるように同時二軸延伸することも可能である。得られたフィルムの熱処理は、任意に行うことができ、また、必要に応じ、熱処理を行う前または後に再度縦および/または横方向に延伸してもよい。
本発明においては、前記した熱収縮特性を有するフィルムを得るため、延伸倍率を面積倍率として15倍以上とし、延伸後の熱処理を実質的に行わないか、または、熱処理を行う場合は次の条件を採用するのが好ましい。すなわち、熱処理温度は、通常110℃以下、好ましくは90℃以下とし、熱処理時間は1秒から5分間とする。そして、定長下または30%以内の伸長下のフィルムについて熱処理を施しロールに巻き取る。ロールに巻き取る際は必要に応じて所定の巾にスリットを行う。
【0022】
ロールに巻かれたフィルムは、オーブンや温度コントロール可能な部屋等に入れ熱処理を行う。熱処理されたフィルムは、必要に応じてスリットを行い感熱孔版印刷原紙用フィルムとなる。
本発明のフィルムは、常法に従い、公知の接着剤によって所定の多孔性薄葉紙をラミネートされるか、あるいはポリエステルフィルム単体で用いられ、優れた熱穿孔性を有しかつ印刷時の解像度および階調性に優れた感熱孔版印刷用原紙とすることができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明で使用した物性測定法は以下のとおりである。
【0024】
(1)微粒子の平均粒径
遠心沈降式粒度分布測定装置((株)島津製作所製「SA−CP3型」)を使用し、ストークスの抵抗則に基づく沈降法によって粒子の大きさを測定した。測定により得られた粒子の等価球形分布における積算(体積基準)50%の値を平均粒径とした。なお、粒度分布値(r)は下記式から算出した。
粒度分布値(r)=d25/d75
(上記式中、d25、d75は、粒子群の積算体積を大粒子側から計測し、それぞれの総体積の25%、75%に相当する粒径(μm)を示す)
【0025】
(2)融点(Tm)およびガラス転移温度(Tg)
パーキンエルマー製示差走査カロリーメーターDSC7型を用いて測定した。DSC測定条件は以下のとおりである。すなわち、試料フィルム6mgをDSC装置にセットし、300℃の温度で5分間溶融保持した後、液体窒素にて急冷した。急冷試料を0℃より10℃/分の速度で昇温し、ガラス転移温度(Tg)および融点(Tm)を検知した。
【0026】
(3)常温カール
所定厚みのポリエステルフィルムに支持体としてマニラ麻の繊維からなる和紙を用い、接着剤としてビニル系樹脂をトルエンに溶解したものを用い、フィルムと和紙をラミネートし、50℃のエアーオーブンで10秒間乾燥し、感熱孔版原紙を得た。得られた原紙をB4サイズに切り、これをフラットな台上にフィルム面を上に置き25℃で24時間後のカール径を測定した。
【0027】
(4)50℃カール
常温カール測定時と同様の方法で感熱孔版原紙を作成し、得られた原紙をB4サイズに切り、これをフラットな台上にフィルム面を上に置き50℃−湿度90%の恒温恒湿中で1週間処理した後のカール径を測定した。
【0028】
(5)感熱孔版印刷原紙実用特性(感度)
フィルムに和紙をラミネートとして作製した感熱孔版印刷原紙原紙に、サーマルヘッドにより、印加エネルギー0.09mJおよび0.12mJにて文字画像および16段階の階調画像を製版した。製版された原紙のフィルム側から顕微鏡で階調画像部の穿孔状態を観察して次の4段階に分けて評価した。
◎:所定の穿孔が確実に行われ、穿孔の大きさも十分であり非常に良好
○:所定の穿孔がほぼ確実に行われ、穿孔の大きさも十分であり良好
△:稀に所定の穿孔が得られない部分や穿孔の大きさが不十分な部分がある
×:所定の穿孔が得られない部分が数多くあり、穿孔の大きさも不十分であり、実用上支障がある
【0029】
(6)感熱孔版印刷原紙実用特性(印字品位性)
感度測定で得た製版原紙を使用し、印刷機(理想科学工業(株)製「リソグラフAP7200」)によって実際に印刷し、得られた文字、画像について、次の4段階に分けて評価した。
◎:濃度のムラ、滲みが全くなく、鮮明に印字でき、非常に良好
○:濃度のムラ、滲みがなく、鮮明に印字でき、良好
△:僅かに濃淡のムラ、滲みが認められ、やや鮮明さに欠ける
×:濃淡のムラ、滲み、かすれが明らかに出ている
【0030】
実施例1
テレフタル酸ジメチル78重量部とイソフタル酸ジメチル22重量部とエチレングリコール60部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去と共に徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応の終了したこの反応混合物に平均粒径が1.1μm、粒度分布値(r)が1.2の球状架橋高分子粒子1.0重量部を含有するエチレングリコールスラリー10重量部を添加し、エチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。
すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルの極限粘度は0.65であった。
【0031】
得られたポリエステルを265℃にて押出機よりシート状に押出し、表面温度を30℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用して急冷固化させ、厚み16μmの実質的に非晶質のシートを得た。得られたシートを縦方向に65℃で3.7倍、横方向に70℃で4.2倍に延伸し、さらに90℃で6秒間熱処理を施し、ロール状で、厚み1.0μmの二軸配向フィルムを製造した。
得られたフィルムの融点は174℃、ガラス転移温度は66℃であった。
【0032】
得られたロールフィルムを温度調節器付きの部屋に入れ、常温より3℃/hrの昇温速度で50℃まで昇温した。部屋の温度を50℃に保持した状態で、72時間の熱処理を施した後、徐々に温度を常温まで戻し、ロールフィルムを部屋より取り出した。次いで得られたフィルムを常法に従い、多孔性薄葉紙に貼り合わせ、感熱孔版印刷用原紙を作成し、カールの評価、謄写印刷を行った。得られた評価結果をまとめて下記表1に示す。
【0033】
実施例2〜4、比較例1〜4
実施例1において、熱処理条件を下記表1および2に示すように変更した以外は、実施例1の製造と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作成し、謄写印刷を行った。得られた評価結果をまとめて表1および表2に示す。
実施例5
実施例1において、テレフタル酸ジメチル78重量部とイソフタル酸ジメチル22重量部を、テレフタル酸ジメチル85重量部とイソフタル酸ジメチル15重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルを製造し、実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作成し、謄写印刷を行った。得られた評価結果を表1に示す。
【0034】
比較例5
実施例1において、テレフタル酸ジメチル78重量部とイソフタル酸ジメチル22重量部を、テレフタル酸ジメチル97重量部とイソフタル酸ジメチル3重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルを製造し、実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作成し、謄写印刷を行った。得られた評価結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004540276
【0036】
【表2】
Figure 0004540276
【0037】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、耐カール性に優れ、かつフィルムタルミのないポリエステルフィルムが得られ、その結果、少量の熱量での高感度な穿孔感度に優れた感熱孔版印刷原紙を得ることができ、その工業的価値は高い。

Claims (1)

  1. 融点が240℃以下であり、ガラス転移温度が40〜68℃であり、厚みが0.8〜10μmの範囲である二軸延伸ポリエステルフィルムを、処理温度40℃以上で、かつ下記式(1)〜(3)式を同時に満足する条件で熱処理することを特徴とする感熱孔版印刷原紙用フィルムの製造方法。
    Tg−30≦処理温度(℃)≦Tg+10 …(1)
    昇温速度(℃/hr)≦20 …(2)
    5≦熱処理時間≦200(hr) …(3)
    (上記式中、Tgは、二軸延伸ポリエステルフィルムのガラス転移温度(℃)を意味し、昇温速度とは、常温より処理温度に達するまでの単位時間あたりの上昇温度を意味する)
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