JP3491267B2 - 高感度感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム - Google Patents

高感度感熱孔版印刷原紙用ポリエステルフィルム

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JP3491267B2 JP24136894A JP24136894A JP3491267B2 JP 3491267 B2 JP3491267 B2 JP 3491267B2 JP 24136894 A JP24136894 A JP 24136894A JP 24136894 A JP24136894 A JP 24136894A JP 3491267 B2 JP3491267 B2 JP 3491267B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、感熱孔版印刷原紙用ポ
リエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、本発明
は特定の融点を有する2種以上のポリエステル樹脂から
なり、特定の収縮特性を有することにより、穿孔感度お
よび耐カール性に優れ、印刷時の画像の解像度、濃度に
優れた高感度感熱孔版印刷原紙用フィルムに関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、感熱孔版印刷用原紙としては、ポリエステル等の熱
可塑性樹脂フィルムに多孔性薄葉紙をラミネートしたも
のが知られており、かかる用途に用いられるフィルムに
は、以下のような特性が要求される。 (1)フィルム製造時および原紙作成時の取扱い性およ
び生産性にも優れていること。具体的には、フィルム製
造時には、延伸性が良好で、破断等のトラブルを起こさ
ず、また巻取性、スリット性も良好で、巻取時にシワが
入ったり、巻きずれを起こしたりしないことが必要であ
る。原紙作成時においても、フィルムの巻出しや、工程
内でのフィルム走行等でのトラブルが発生しないことが
必要である。 (2)多孔性薄葉紙とのラミネートおよび印刷時の作業
に十分耐え得る強度、弾性率を有すること。また、かか
るラミネート条件あるいは保存中の温湿度変化によりカ
ールが生じないこと。カールが大きくなると、取り扱い
および孔版印刷機内で原紙の搬送性が不良となり、原紙
詰り等のトラブルが生じ大きな問題となる。 (3)熱穿孔感度が良いこと。すなわち、少量の熱量で
溶融し、かつ、印刷時の画像が鮮明になるような適度な
大きさの穿孔が得られるよう十分な熱収縮特性を有する
こと。 【0003】(4)多数回製版時においても熱穿孔感度
が低下しないこと。すなわち離形層の界面活性剤やシリ
コンオイル、フィルムの溶融カス等が感熱ヘッドの汚れ
として付着しないことが必要である。 (5)熱穿孔の階調性が良いこと。原紙として使用する
際、穿孔されるべき部分以外が周囲の穿孔の影響で溶融
してしまうと、印刷画像の階調性が劣るようになり、好
ましくない。すなわち、穿孔される部分と穿孔されない
部分とがはっきり区別できるような熱穿孔特性を有する
ことが必要である。 従来、かかる用途に用いるフィルムとして熱可塑性樹脂
を対象とした二軸延伸フィルムであって、その熱的特性
を規定することにより印刷特性を改善したフィルム(特
開昭62−149496号公報)、表面の粗度および突
起個数を規定したフィルム(特開昭63−227634
号公報)、あるいは熱収縮特性を規定したフィルム(特
開昭62−282983号公報、特開昭63−1608
95号公報、特開昭63−312192号公報、特開平
3−30996号公報)等が提案されているが、上記し
た課題をすべて解決できるものではなかった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み鋭意検討した結果、特定の融点を有する2種以上
のポリエステル樹脂からなり、特定の収縮特性、特定の
表面粗度を有する二軸配向フィルムが高感度感熱孔版印
刷原紙用フィルムとして好適であることを見いだし、本
発明を完成するに至った。 【0005】すなわち、本発明の要旨は、融点が200
〜260℃のポリエステル樹脂(a)70〜95重量%
と融点が100〜200℃のポリエステル樹脂(b)5
〜30重量%との混合物から得られる厚み0.5〜5μ
mの二軸延伸フィルムであって、下記式(1)〜(5)
を同時に満足することを特徴とする高感度感熱孔版印刷
原紙用フィルムに存する。 【数2】 30≦ΔTm≦150 ……(1) 16≦S≦40 ……(2) 80≦F≦270 ……(3) 3000≦S×F≦7500 ……(4) 0.02≦Ra≦0.3 ……(5) (上記式中、ΔTmはポリエステル樹脂(a)とポリエ
ステル樹脂(b)の融点の差(℃)、Sは100℃で1
0分間処理後の加熱収縮率(%)、Fは100℃で10
秒間処理後の加熱収縮応力(g/mm2 )、Raは中心
線平均粗さ(μm)を表す) 【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
いうポリエステル樹脂とは二官能性酸成分が芳香族ジカ
ルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体を主とする
ものであり、具体的にはテレフタル酸、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、そのエステル形成誘導体としてはテ
レフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸
ジメチルなどが挙げられ、これら中でもテレフタル酸、
テレフタル酸ジメチルが好ましい。またグリコール成分
としてはエチレングリコール、ブチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4
−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられ、これら
の中でもエチレングリコール、ブチレングリコールが好
ましい。かかるポリエステル樹脂は、1種の芳香族ジカ
ルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体と、1種の
グリコール成分とを出発原料とするポリエステルでもよ
いが、2種以上の成分を含む共重体であることが好まし
い。共重合する成分として上記のほかに例えば、ジエチ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキ
レングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバ
シン酸、フタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸成
分、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられ
る。 【0007】本発明の目的は、耐熱寸法安定性と少量の
熱量でも高度な穿孔感度が得られる感熱孔版印刷原紙用
ベースフィルムを提供することである。本発明の目的を
達成するために、ポリエステル樹脂(a)の融点を20
0〜260℃、好ましくは200〜250℃、さらに好
ましくは200〜240℃の範囲から選択する。樹脂
(a)の融点が260℃を超えると、少量の熱エネルギ
ーでフィルムが溶融せず、その結果、十分な大きさの穿
孔が得られなくなるので好ましくない。樹脂(a)の融
点が200℃未満では、フィルムとした際の耐熱寸法安
定性が悪化して、原紙を製造する工程や原紙の保存中に
カールが発生したり、印刷画像の階調性が劣るようにな
ったりするので好ましくない。 【0008】樹脂(a)の配合量は70〜95重量%、
好ましくは75〜90重量%の範囲である。樹脂(a)
の配合量が95重量%を超えると少量の熱エネルギーで
十分な穿孔感度が得られなくなるので好ましくない。樹
脂(a)の配合量が70重量%未満では、フィルムとし
た際の耐熱寸法安定性が悪化して原紙を製造する工程や
原紙の保存中にカールが発生するようになるので好まし
くない。ポリエステル樹脂(b)の融点は100〜20
0℃、好ましくは120〜180℃、さらに好ましくは
130〜170℃の範囲である。樹脂(b)の融点が2
00℃を超えると、少量の熱エネルギーでの穿孔が不十
分となり本発明の目的とする高度な穿孔感度が得られな
くなるので好ましくない。樹脂(b)の融点が100℃
未満では印字が不鮮明になり濃淡むらが生じやすく、か
つ耐刷性も著しく低下するようになり好ましくない。 【0009】樹脂(b)の配合量は5〜30重量%、好
ましくは10〜25重量%の範囲である。樹脂(b)の
配合量が30重量%を超えるとフィルムとした際の耐熱
寸法安定性が悪化して、原紙を製造する工程や原紙の保
存中にカールが発生するようになるので好ましくない。
樹脂(b)の配合量が5重量%未満では少量の熱エネル
ギーで十分な穿孔感度が得られなくなるので好ましくな
い。さらに本発明の最大の特徴はポリエステル樹脂
(a)とポリエステル樹脂(b)との融点の差(ΔT
m)が30〜150℃、好ましくは40〜120℃、さ
らに好ましくは50〜100℃である。ΔTmが150
℃を超えるとフィルムとした際の耐熱寸法安定性が悪化
して、原紙を製造する工程や原紙の保存中にカールが発
生するようになるので好ましくない。ΔTmが30℃未
満では、短時間で均一な穿孔が起こらず、印刷画像の階
調性が劣るようになるので好ましくない。 【0010】本発明のフィルム厚みは0.5〜5μm、
好ましくは0.5〜3μm、さらに好ましくは0.5〜
2μmである。フィルム厚みが薄くなれば熱伝導距離が
短縮され、穿孔時に必要な熱エネルギーも減少するため
穿孔性が向上し、印刷時の解像度や印字品位性は向上す
るが、フィルム厚みが0.5μm未満では、印字が不鮮
明で濃淡むらが生じやすく、かつ耐刷性も著しく低下す
るようになり好ましくない。またフィルム厚みが5μm
を超えると、穿孔性が悪化するため印刷時にむらが生じ
るようになるため好ましくない。 【0011】本発明のフィルムは、100℃で10分間
処理後の加熱収縮率(S)が16〜40%、好ましくは
18%〜30%である。S値が16%未満では、穿孔感
度が不足して印刷的の画像濃度が低下するようになるた
め好ましくない。またS値が40%を超えると、穿孔む
らが生じやすくなるため好ましくない。また、100℃
で10秒間処理後のフィルムの加熱収縮応力(F)は8
0〜270g/mm2 、好ましくは100〜250g/
mm2 である。F値が80g/mm2 未満では、穿孔時
に穴が広がる力が不足して、印刷時に鮮明な画像が得ら
れるほどの十分な大きさを有する穿孔が得られなくなる
ので好ましくない。F値が270g/mm2 を超える
と、太さむら、濃淡むらあるいは寸法変化が生じるので
好ましくない。 【0012】本発明の最大の特徴である少量の熱エネル
ギーで良好な穿孔を与え、さらに良好な耐カール性を有
する高感度感熱原紙用フィルムを得るには、前述のフィ
ルム特性とともに収縮特性(加熱収縮率と加熱収縮応
力)のバランスが重要である。すなわち、収縮特性のバ
ランスの尺度である加熱収縮率と加熱収縮応力の積(S
×F)値は3000〜7500、好ましくは3500〜
7000である。S×F値が3000未満では、穿孔時
に穴が広がる力が不足して、印刷時に鮮明な画像が得ら
れるほどの十分な大きさを有する穿孔が得られなくなる
ので好ましくない。またS×F値が7500を超える
と、ラミネート条件あるいは保存中の温湿度変化により
カールが生じ、取り扱い性および孔版印刷機内での原紙
の搬送性が不良となり、原紙詰り等のトラブルが生じた
り、穿孔時に太さむら、濃淡むらあるいは寸法変化が生
じるので好ましくない。 【0013】また本発明のフィルムの常温カール径およ
び50℃カール径は18mm以上、さらには20mm以
上が好ましい。常温カール径および50℃カール径が1
8mm未満では、孔版印刷機内での原紙の搬送性が不良
となる恐れがあり、原紙詰り等のトラブルが生じる可能
性がある。さらに常温カール径と50℃カール径の比は
1.0〜2.0、さらには1.0〜1.7が好ましい。
この値が2.0を超えると、ラミネート条件あるいは保
存中の温湿度変化によりカールが生じやすくなる傾向が
ある。本発明のフィルムは、フィルム製造時の巻上げ工
程、原紙作成時のコーティング、貼合せ工程および印刷
時の作業性を向上させるため、あるいは、熱穿孔時のサ
ーマルヘッドとフィルムとの融着を防止するため、製膜
に供するポリエステル全量に対し、10重量%程度以下
の他のポリマー(例えばポリエチレン、ポリスチレン、
ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンスル
フィド、ポリアミド、ポリイミド等)を含有させること
ができる。また必要に応じ、酸化防止剤、熱安定剤、潤
滑剤、帯電防止剤、染料、顔料等の添加剤を配合しても
よい。特に前述の目的を達成するためには、フィルム表
面を粗面化してフィルムに適度な滑り性が付与させるこ
とが好ましく、そのためには微細な不活性粒子をフィル
ムに添加することが通常行われる。 【0014】本発明で用いる微細な不活性粒子として
は、平均粒径が0.05〜3.0μm、粒度分布値
(r)が1.5以下、さらには平均粒径が0.1〜2.
0μm、粒度分布値(r)が1.4以下のものが好まし
い。平均粒径が0.05μm未満では、フィルム巻き特
性が劣る傾向がある。また平均粒径が3.0μmを超え
たり、粒度分布値(r)が1.5を超える場合は、フィ
ルム表面の平面性が損なわれて熱伝達にムラが生じ、穿
孔が不均一となり、解像度が劣ったり、印字品位性を損
なったりする恐れがある。 【0015】さらに上記粒子の添加量は0.05〜3重
量%、さらには0.1〜2重量%の範囲が好ましい。粒
子の添加量が0.05重量%未満では、フィルムの巻き
特性が劣る傾向がある。また粒子の添加量が3重量%を
超えると、フィルム表面の粗面化の度合いが大きすぎる
傾向がある、熱伝達にムラが生じ、穿孔が不均一とな
り、解像度が劣ったり、印字品位性を損なったりする恐
れがある。本発明で用いる不活性粒子の例としては、酸
化ケイ素、酸化チタン、ゼオライト、窒化ケイ素、窒化
ホウ素、セライト、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグ
ネシム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ
素、酸化チタン、カオリン、タルク、カーボンブラッ
ク、窒化ケイ素、窒化ホウ素および特公昭59−521
6号公報に記載されたような架橋高分子微粉体を挙げる
ことができるが、もちろんこれらに限定されるものでは
ない。この際、配合する不活性粒子は単成分でもよく、
また2成分以上を同時に用いてもよい。 【0016】本発明においてポリエステルに不活性粒子
を配合する方法としては、特に限定されないが、例えば
不活性粒子をポリエステルの重合工程に添加する方法、
またはフィルム化前に溶融混練りする方法が好ましく用
いられる。本発明においては上記したような方法により
表面を適度に粗面化したフィルムを得るが、作業性や印
刷時の解像度、印字品位性を高度に満足させるために、
フィルム表面の中心線平均粗さ(Ra)を0.02〜
0.3μmとする必要があり、好ましくは0.05〜
0.2μmの範囲とする。Raが0.3μmを超えると
フィルム表面の粗面化の度合いが大きくなり過ぎて熱伝
達にムラが生じ、穿孔が不均一となり、解像度が劣った
り、印字品位性を損なうので好ましくない。またRaが
0.02μm未満では巻き特性が劣り、作業性が悪化す
るので好ましくない。本発明のフィルムは、極めて薄い
フィルムであるので、フィルムの長手方向と幅方向の引
張弾性率をともに通常200kg/mm2 以上、好まし
くは250kg/mm2 以上とすることにより、取り扱
い作業性や耐刷性がさらに良好となる。 【0017】次に本発明のポリエステルフィルムの製造
方法について説明する。本発明においては、ポリマーを
エクストルーダーに代表される周知の溶融押出装置に供
給し、当該ポリマーの融点以上の温度に加熱し溶融す
る。次いで、溶融したポリマーをスリット状のダイから
押し出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温
度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向
シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させる
ため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めること
が好ましく、本発明においては静電印加密着法および/
または液体塗布密着法が好ましく採用される。なお、静
電印加密着法とは、通常、シートの上面側にシートの流
れと直交する方向に線状電極を張り、該電極に約5〜1
0kVの直流電圧を印加することによりシートに静電荷
を与え、ドラムとの密着性を向上させる方法である。ま
た、液体塗布密着法とは、回転冷却ドラム表面の全体ま
たは一部(例えばシート両端部と接触する部分のみ)に
液体を均一に塗布することにより、ドラムとシートとの
密着性を向上させる方法である。本発明においては必要
に応じ両者を併用してもよい。 【0018】本発明においてはこのようにして得られた
シートを二軸方向に延伸してフィルム化する延伸条件に
ついて具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましく
は縦方向に20〜100℃で2〜4倍に延伸し、次いで
横方向に2〜4倍延伸を行い、二軸に配向したフィルム
を得る。さらに好ましくは、前記未延伸シートをまず2
0〜80℃で2〜3倍、さらに40〜100℃で1.1
〜1.5倍延伸する。その際縦延伸後のΔnは0.08
0以下、好ましくは0.070以下である。横方向に5
0〜100℃で2〜4倍延伸を行い、二軸に配向したフ
ィルムを得る。また、前記未延伸シートを面積倍率が6
〜40倍になるように同時二軸延伸することも可能であ
る。かくして得られたフィルムを熱処理してもよく、ま
た必要に応じ熱処理を行う前または後に再度縦および/
または横方向に延伸してもよい。 【0019】本発明においては、上記した熱収縮特性を
有するフィルムを得るために、延伸倍率を面積倍率とし
て6倍以上、延伸後の熱処理を実質的に行わないか、行
ったとしても110℃以下、さらには90℃以下とし、
熱処理時間は1秒〜5分間でフィルムを30%以内の伸
長または定長下で行うことが好ましい。また常法に従っ
て所定の多孔性薄葉紙を公知の接着剤を用いてラミネー
トして感熱孔版印刷用原紙を製造する際の40〜50℃
程度の乾燥工程、および夏場を経る長期保存中にフィル
ムの収縮に起因すると考えられるカールが発生すること
がある。したがって、本発明においてはカール防止のた
め、得られたフィルムを40〜70℃で5時間から5日
間、好ましくは50〜60℃で12時間〜3日間エージ
ング処理すると当該環境下での耐カール性が良好とな
る。 【0020】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用い
た物性測定法は以下に示すとおりである。 (1)融点 セイコー電子工業(株)製差動熱量計SSC580DS
C20型を用いて測定した。DSC測定条件は以下のと
おりである。すなわち、試料フィルム10mgをDSC
装置にセットし、10℃/分の速度で昇温し、0℃〜3
00℃の範囲で測定し、融点を融解吸熱ピークの頂点と
して測定した。 (2)加熱熱収縮率(S) 試料を無張力状態で100℃に保ったオーブン中、10
分間熱処理し、その前後の試料の長さを測定して次式に
て熱収縮率を算出した。 【数3】 フィルム縦方向と横方向に5点ずつ測定し、平均値を求
めた。 【0021】(3)加熱収縮応力 フィルムを幅10mmの短冊状に切り出し、一端を荷重
検出器のチャックに、もう一方を固定チャックにセット
し、チャック間距離を50mmとした。初期荷重をかけ
ない状態で、フィルムを100℃のオイルバス中に浸漬
し、浸漬開始から10秒後の応力値を測定した。浸漬前
のフィルム断面積から加熱収縮応力(g/mm2 )を算
出した。 (4)常温カール フィルムに支持体としてマニラ麻の繊維からなる和紙を
用い、接着剤としてビニル系樹脂をトルエンに溶解した
ものを用い、フィルムと和紙をラミネートし、50℃の
エアーオーブンで10秒間乾燥し感熱孔版原紙を得た。
得られた原紙をB4サイズに切り、これをフラットな台
上にフィルム面を上に置き25℃で24時間後のカール
径を測定した。 (5)50℃カール 常温カール測定時と同様の方法で感熱孔版原紙を作成
し、得られた原紙をB4サイズに切り、これをフラット
な台上にフィルム面を上に置き、50℃、湿度90%の
恒温恒湿中で1週間処理した後のカール径を測定した。 【0022】(6)微粒子の平均粒径 (株)島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−
CP3型を用いてストークスの抵抗則に基づく沈降法に
よって粒子の大きさを測定した。測定により得られた粒
子の等価球形分布における積算(体積基準)50%の値
を用いて平均粒径とした。なお粒度分布値(r)は下記
式から算出した。 【数4】粒度分布値(r)=d25/d75 (上記式中、d25、d75は粒子群の積算体積を大粒子側
から計測し、それぞれの総体積の25%、75%に相当
する粒径(μm)を示す) (7)中心線平均粗さ(Ra) (株)小坂研究所製表面粗さ測定機(SE−3F)を用
いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲
線からその中心線の方向に基準長さL(2.5mm)の
部分を抜きとり、この抜き取り部分の中心線をx軸、縦
倍率の方向をy軸として粗さ曲線y=f(x)で表した
とき、次式で与えられた値を〔μm〕で表した。中心線
平均粗さは、試料フィルム表面から10本の断面曲線を
求め、これらの断面曲線から求めた抜き取り部分の中心
線平均粗さの平均値で表した。なお、触針の先端半径は
2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08
mmとした。 【数5】Ra=(1/L)∫0 L|f(x)|dx 【0023】(8)感熱孔版印刷原紙実用特性 フィルムに和紙を貼り合わせて原紙を作製した。得られ
た原紙をサーマルヘッドにより、印加エネルギー0.0
9mJおよび0.12mJにて文字画像および16段階
の階調画像を製版した。製版された原紙のフィルム側か
ら顕微鏡で階調画像部の穿孔状態を観察し、以下の項目
について評価した。 穿孔感度 ◎;所定の穿孔が確実に行われ、穿孔の大きさも十分で
あり非常に良好 ○;所定の穿孔がほぼ確実に行われ、穿孔の大きさも十
分であり良好 △;まれに所定の穿孔が得られない部分や穿孔の大きさ
が不十分な部分がある ×;所定の穿孔が得られない部分が数多くあり、穿孔の
大きさも不十分であり、実用上支障がある 印字品位性 また、製版原紙を用い、理想科学工業(株)製リソグラ
フAP7200印刷機を用いて実際に印刷し、得られた
文字、画像について、下記の特性を目視で判定した。 ◎;濃度のムラ、にじみが全くなく、鮮明に印字でき、
非常に良好 ○;濃度のムラ、にじみがなく、鮮明に印字でき、良好 △;わずかに濃淡のムラ、にじみが認められ、やや鮮明
さに欠ける ×;濃淡のムラ、あるいはにじみ、かすれがはっきり出
ている 【0024】実施例1 (ポリエステル−Aの製造)テレフタル酸ジメチル10
0重量部とエチレングリコール60部とを出発原料と
し、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量
部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタ
ノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時
間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交
換反応の終了したこの反応混合物に、平均粒径が1.2
1μm、粒度分布値(r)が1.2の架橋有機粒子を
1.0重量部を含有するエチレングリコールスラリー1
0重量部を添加し、エチルアシッドフォスフェート0.
04部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間
重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐
々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々
に減じ最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、
4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマー
を吐出させた。得られたポリエステルの極限粘度は0.
75、融点は257℃であった。 【0025】(ポリエステル−Bの製造)テレフタル酸
ジメチル100重量部、1,4−ブタンジオール56重
量部、テトラブチルチタネート0.005重量部を反応
機にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの
留去と共に反応温度を徐々に上昇させ、3時間後に21
0℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応が終
了したこの反応混合物にテトラブチルチタネート0.0
05重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すな
わち、温度を210℃から徐々に昇温し260℃とし
た。一方、圧力は常圧より徐々に減じ最終的には0.3
mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応
を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られた
ポリエステルの極限粘度は0.90、融点は 230℃
であった。 (ポリエステル−Cの製造)ポリエステルの製造−Aに
おいてテレフタル酸ジメチル100重量部の替わりにテ
レフタル酸ジメチル60重量部、イソフタル酸ジメチル
40重量部とし、架橋有機粒子を添加しない以外はポリ
エステルの製造−Aと同様の方法でポリエステル−Cを
得た。得られたポリエステルの極限粘度は0.73、融
点は151℃であった。 【0026】(ポリエステル−Dの製造)ポリエステル
の製造−Aにおいてエチレングリコール60重量部の替
わりにエチレングリコール54重量部、1,4ブタンジ
オール5.6重量部、平均粒径が1.21μm、粒度分
布値(r)が1.2の架橋有機粒子を0.5重量部とす
る以外はポリエステルの製造−Aと同様の方法でポリエ
ステル−Dを得た。得られたポリエステルの極限粘度は
0.75、融点は235℃であった。 【0027】(ポリエステル−Eの製造)ポリエステル
の製造−Aにおいてテレフタル酸ジメチル100重量部
の替わりにテレフタル酸ジメチル85重量部、イソフタ
ル酸ジメチル15重量部とする以外はポリエステルの製
造−Aと同様の方法でポリエステル−Eを得た。得られ
たポリエステルの極限粘度は0.72、融点は215℃
であった。 (ポリエステル−Fの製造)ポリエステルの製造−Aに
おいてテレフタル酸ジメチル100重量部の替わりにテ
レフタル酸ジメチル85重量部、イソフタル酸ジメチル
15重量部とし、架橋有機粒子を添加しない以外はポリ
エステルの製造−Aと同様の方法でポリエステル−Fを
得た。得られたポリエステルの極限粘度は0.72、融
点は215℃であった。 【0028】(ポリエステルフィルムの製造)ポリエス
テル−F 50重量部とポリエステル−B 50重量部
とを均一にブレンドし265℃で二軸押出機により溶融
混練しチップ状に押出した。得られたブレンドポリエス
テルの融点は216℃、222℃であった。当該ポリエ
ステルの融点は平均の219℃としポリエステル(a)
とした。ポリエステル−B 10重量部をポリエステル
(b)としてポリエステル(a) 90重量部と均一に
ブレンドし265℃でシート状に押出し、表面温度を3
0℃に設定した回転冷却ドラムで静電印加冷却法を利用
して急冷固化させ、厚み13.5μmの実質的に非晶質
のシートを得た。得られたシートを縦方向に65℃で
2.5倍、さらに75℃で1.2倍延伸し、次いで横方
向に80℃で3.0倍に延伸した後、90℃で6秒間熱
処理を施し、厚み1.5μmの二軸配向フィルムを製造
した。次いで得られたフィルムを常法に従い、多孔性薄
葉紙に貼り合わせ感熱孔版印刷用原紙を作成し、謄写印
刷を行った。 【0029】実施例2 実施例1において、ポリエステル(a)としてポリエス
テル−Dを90重量部とする以外は実施例1と同様の方
法で感熱孔版印刷用原紙を作成し、謄写印刷を行った。 実施例3 実施例1において、ポリエステル(a)としてポリエス
テル−Fを90重量部とする以外は実施例1と同様の方
法で感熱孔版印刷用原紙を作成し、謄写印刷を行った。 【0030】比較例1 実施例1において、ポリエステル(a)としてポリエス
テル−Aを100重量部、ポリエステル(b)を用い
ず、押出機の温度を280℃、得られたシートを縦方向
に80℃で3.0倍、横方向に90℃で3.0倍に延伸
し後、210℃で6秒間熱処理をする以外は実施例1と
同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作成し、謄写印刷を
行った。 比較例2 実施例1において、ポリエステル(b)としてポリエス
テル−Eを10重量部とする以外は実施例1と同様の方
法で感熱孔版印刷用原紙を作成し、謄写印刷を行った。 【0031】比較例3 比較例1において、ポリエステル(a)としてポリエス
テル−Aを97重量部、ポリエステル(b)としてポリ
エステル−Cを3重量部とする以外は比較例1と同様の
方法で感熱孔版印刷用原紙を作成し、謄写印刷を行っ
た。 比較例4 実施例1において、24μmの未延伸シートを作成し、
縦方向の延伸倍率を4.0倍、横方向の延伸倍率を4.
0倍とする以外は実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷
用原紙を作成し、謄写印刷を行った。 比較例5 実施例1において、140℃で6秒間熱処理した以外は
実施例1と同様の方法で感熱孔版印刷用原紙を作成し、
謄写印刷を行った。 以上、得られた結果をまとめて下記表1および2に示
す。 【0032】 【表1】 【0033】 【表2】 【0034】 【発明の効果】本発明のフィルムによれば、穿孔感度、
印字解像度および耐カール性に優れた高感度感熱孔版原
紙用フィルムが提供でき、その工業的価値は高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41N 1/24 102

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 融点が200〜260℃のポリエステル
    樹脂(a)70〜95重量%と融点が100〜200℃
    のポリエステル樹脂(b)5〜30重量%との混合物か
    ら得られる厚み0.5〜5μmの二軸延伸フィルムであ
    って、下記式(1)〜(5)を同時に満足することを特
    徴とする高感度感熱孔版印刷原紙用フィルム。 【数1】 30≦ΔTm≦150 ……(1) 16≦S≦40 ……(2) 80≦F≦270 ……(3) 3000≦S×F≦7500 ……(4) 0.02≦Ra≦0.3 ……(5) (上記式中、ΔTmはポリエステル樹脂(a)とポリエ
    ステル樹脂(b)の融点の差(℃)、Sは100℃で1
    0分間処理後の加熱収縮率(%)、Fは100℃で10
    秒間処理後の加熱収縮応力(g/mm2 )、Raは中心
    線平均粗さ(μm)を表す)
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