JP4539387B2 - ベルト端面の検査装置および検査方法 - Google Patents

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本発明は、2つのローラに例えば複数層に積層されたベルトを掛け渡した姿勢でそれぞれのベルトの端面を検査するベルト端面の検査装置と、該検査装置を使用してなるベルト端面の検査方法に係り、特に、複数のベルト端面に照射する光や反射する光が隣接するベルトに干渉されないようにすることで、それぞれのベルト端面を効率的かつ高精度に検査することのできるベルト端面の検査装置および検査方法に関するものである。
ベルト式無段変速装置(以下、CVTという)に使用される高負荷伝動用の金属製のCVTベルトは、環状のベルトを積層させてベルト積層体を形成し、このベルト積層体をベルトの幅方向に並ぶように配置させ、各ベルト積層体を複数のブロック(エレメント)にて係止固定させることによって形成されている。例えば、図8に示すように、環状のベルトa,a,…が積層されて積層体bが構成され、この積層体b、bを複数のブロックc、c、…に嵌め込んでCVTベルトdが形成される。
ところで、上記するベルトは、サブアッシーの最終工程にてその端部に疵がつき易く、かかるベルト端部は過大な引張りを受けた状態でブロックと直接接する箇所であるために、端部の疵からベルトの磨耗が発生し、ベルト破断の直接的な原因となりかねない。そこで、従来はベルト端部の疵の有無を全数検査することが余儀なくされていたが、かかる検査は自動認識が困難であることから拡大鏡などを使って目視検査がおこなわれている状況であった。CVTベルトの場合には、例えば9層に積層されたベルトの端面を1つ1つ目視検査し、その中で許容できない疵が発見された際にはそのベルトのみを抜き出し、疵のない別途のベルトと交換してCVTベルトを構成させるものである。したがって、許容できる疵であるか否かの判断は検査員の技量に左右されることが大きく、さらには、検査員の検査量が400〜500本/日程度に及ぶこともあってその検査手間は多大なものであった。
上記する従来の問題を解決し得る発明が特許文献1に開示されている。かかる発明は、回転テーブルに駆動伝達ベルトをセットし、高輝度光源を備えた照明装置からの照明が正反射する位置に設置された二次元カメラなどでベルト端面の疵を撮影する検査方法に関するものである。かかる撮影画像は、補正処理され、ベルト端面プロフィルと画像輝度との関係を利用した疵自動検出ロジックを用いて、端面の疵を検出することができる。
特開2004−12596号公報
特許文献1の駆動伝達ベルトの検査方法によれば、検査員の技量に左右されることなく、高精度にベルト端面の疵の有無を検査することが可能となる。しかし、回転テーブルにセットされた複数層のベルトの端部は、それぞれが均一に積層されておらず、高輝度光源からそれぞれのベルト端部に入射する照明が隣接するベルトによって阻害されることで照明が入射しないベルトも生じる可能性が極めて高くなってしまう。さらには、反射される光も同様に、隣接するベルトによって反射が阻害されることによりカメラで撮影できない場合が生じてしまう。したがって、検査員による検査は解消できたとしても、結局、ベルトを一層々検査する手間は解消できず、検査に要する手間はやはり多大なものである。また、特許文献1の駆動伝達ベルトの検査方法では、ベルト端面に照射する光の角度(ベルト端面の法線からの角度がα)と反射する光を撮影する二次元カメラの角度(ベルト端面の法線からの角度がα)がともに同じ角度となるように二次元カメラが設けられている。しかし、入射角と同じ反射角の光をカメラで撮影したとしても、ベルト端面の疵のない部分から反射される光をカメラが取り込んでしまい、本来撮影したい疵(凹凸)による乱反射光を効果的に撮影することはできない。さらに、1基のカメラではその撮影精度にも限界があり、カメラの撮影角度と相俟って未撮影の疵が生じる可能性が高い。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、例えば、複数のベルト端面に照射する光や反射する光が隣接するベルトに干渉されないようにすることで、それぞれのベルト端面の検査を効率的かつ高精度に検査することのできるベルト端面の検査装置および検査方法を提供することを目的としている。また、照明装置からベルト端面へ入射する光の入射角度とベルト端面から反射する光の反射角度を勘案してカメラの配設位置や照明装置の台数を調整することで、疵部分を精度よく撮影することのできるベルト端面の検査装置および検査方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による積層ベルト端面の検査装置は、2つの並行な軸心まわりを回転可能な2つのローラと、該2つのローラに掛け渡された積層ベルトまたは単層ベルトのそれぞれの端面に光を照射する照明装置と、ベルトの端面で反射する光を撮影するカメラと、から少なくとも構成されており、前記ローラのうち、該ローラがベルトに接する端面には、該端面の中央付近が端部に対して相対的に径方向外側へ突出するようなクラウニングが設けられていることを特徴とする。
2つのローラは、双方のローラが同一平面内で同期回転できるように構成されている。ここで、双方のローラの端面には、その中央付近が端部に対して相対的に径方向外側へ突出するようなクラウニングが設けられており、かかるクラウニングによって、ローラに掛け渡されたベルトをローラの回転に応じて該ローラ端面の中央付近に自然に移動させることができる。
例えば、検査対象となるベルトにもその両側にクラウニングが施されている場合(その断面視形状が三日月状に湾曲した形状の場合)には、ベルトのクラウニング形状とローラ端面のクラウニングが相俟って、該ベルトをローラ端面の中央付近に移動させ易くできる。特にかかるベルトが複数層に積層構成されている場合には、各ベルトがそれぞれローラ端面の中央付近に移動されることで、ベルトの端面に凹凸が生じ難くなり、ベルト端面への光の照射と反射する光の撮影に際しては、それぞれのベルトが隣接するベルトによって光の照射や反射が遮断される可能性が極めて低くなる。
本発明における照明装置としては高輝度のLEDランプを使用でき、カメラとしてはCCDカメラを使用できるが、かかる実施形態に限定されるものではない。
また、検査対象となるベルトは、金属製のベルトやゴムベルトなどがあり、それらが単層の場合や多層に積層された場合などがあるが、特に、積層ベルトの端面の検査において本発明の検査装置は好適である。
また、本発明による積層ベルト端面の検査装置の他の実施形態において、前記ローラは、駆動ローラと従動ローラとからなり、一方のローラが他方のローラから離反できるように、いずれか一方または双方のローラが可動式に構成されていることを特徴とする。
2つのローラの一方を駆動ローラ、他方を従動ローラとすることで、双方のローラの同期回転が可能となる。ここで、双方のローラは、その軸心間距離を適宜変更できるように、一方または双方のローラが可動式に構成されている。これは、2つのローラにベルトを掛け渡す際に、ベルトの掛け渡し作業が容易となる適度の離隔に2つのローラを配設できるようにしておくことと、ベルトが掛け渡された後は、ローラを回転させてベルトをローラ端面の適宜の位置に移動させるために(センタリング力をベルトに作用させるために)該ベルトにその長手方向に適宜の張力を与える必要があることから、2つのローラを離反できる構成とするものである。
例えば、台座上に回転可能に固定され軸心(モータの駆動軸)に駆動ローラを装着し、台座に対して移動可能な可動式台座を台座に取り付けるとともにかかる可動式台座に回転可能に固定された軸心に従動ローラを装着した形態などがある。
また、本発明によるベルト端面の検査装置の他の実施形態は、2つのローラの軸心が、並行の姿勢から所定角度ずれた捩れの姿勢を形成できるように、一方または双方の軸心が傾斜可能に構成されていることを特徴とする。
例えば、一方のローラ(従動ローラ)を他方のローラ(駆動ローラ)に対して傾斜させた姿勢で、双方のローラを同期回転させることにより、特に検査対象のベルトが積層ベルトの場合においては、従動ローラ側にあるそれぞれのベルトの端面が階段状に並べられることとなる。より具体的には、はじめに双方の軸心が並行な状態で2つのローラを回転させ、ローラのクラウニングを利用して複数のベルトをローラ端面の中央付近に集めた後で、従動ローラのみを一定角度傾斜させて双方のローラの回転を継続させる。このようなローラの作動により、複数のベルト端面は従動ローラの端部付近にて階段状に並べることにより、各ベルトの端面への光の入射や反射は、隣接するベルトの端面に阻害されることがなくなる。
既述する実施形態においては、回転可能な従動ローラが装着された可動式台座が適宜のアクチュエータ(シリンダユニットなど)によって傾斜できる構成とすることにより、水平面内に配設された駆動ローラに対して従動ローラを適宜の角度だけ傾斜させることができる。
また、本発明によるベルト端面の検査装置の他の実施形態において、ベルト端面への光の入射角とベルト端面からの光の反射角をともにθとした場合に、反射する光を撮影するカメラの位置はθから所定角度オフセットされた位置に配設されていることを特徴とする。
光の入射角と同じ反射角上にカメラを設置した場合、カメラに入射してくる光(反射光)は、ベルト端面の中でも疵部分ではない適正箇所で反射された光である可能性が極めて高くなる。疵部分は微視的には端面に生じる凹凸であることから、かかる凹凸による乱反射光を撮影するためには、該凹凸への光の入射角とは異なる反射角線上にカメラを設置するのが望ましい。例えば、ベルト端面の法線に対して45度の角度上に高輝度ランプを設置して光を照射させた場合には、CCDカメラの撮影レンズの角度を、45度の反射角線上から適宜の角度だけずらした位置にくるようにCCDカメラを配設するものである。
また、本発明によるベルト端面の検査装置の他の実施形態において、前記ベルト端面の検査装置には、ベルト端面への光の入射角度が異なる複数の照明装置が設けられていることを特徴とする。
複数の照明装置からそれぞれ異なる入射角にて光をベルト端面へ照射させ、反射する光(それぞれ異なる反射角度を有する)をカメラにて撮影することにより、疵部分にて乱反射する複数の光を撮影することができ、したがって、疵の未撮影の防止と撮影精度の向上を図ることができる。ここで、複数の照明装置はそれぞれの配設位置が適宜調節できるように構成されている。また、カメラの配設位置は、それぞれの光の反射角(入射角と同じ角度の反射角)から一定角度だけオフセットされた位置となるように調節されている。
本発明の検査装置の一実施形態としては、LEDアンプに繋げられた複数のLEDカメラと、駆動ローラおよび従動ローラを備えた台座(従動ローラは駆動ローラに離反可能に取り付けられている)と、1台のCCDカメラと、CCDカメラからの撮影データを画像処理するコンピュータと、から少なくとも構成された形態がある。
また、本発明によるベルト端面の検査装置の他の実施形態において、前記ベルトは、複数の金属製のベルトが積層されてなるCVTベルトであることを特徴とする。
CVTベルトは、一般に9層程度に金属ベルト(フープ)が積層されて構成されており、各ベルトの両側にはクラウニングが施されている。したがって、既述するように、金属ベルト側面のクラウニング形状とローラ端面のクラウニングが相俟って、該金属ベルトをローラ端面の中央付近に移動させ易くすることができるため、本発明の検査装置による検査対象としては特に望ましいものである。
また、本発明によるベルト端面の検査方法は、2つの並行な軸心まわりを回転する2つのローラと、該2つのローラに掛け渡され、複数の金属ベルトが積層されてなるCVTベルトの端面に光を照射する照明装置と、CVTベルトの端面で反射する光を撮影するカメラと、から少なくとも構成されており、前記ローラのうち、該ローラがベルトに接する端面には、該端面の中央付近が端部に対して相対的に径方向外側へ突出するようなクラウニングが設けられているベルト端面の検査装置を使用してCVTベルトの端面を検査するベルト端面の検査方法であって、前記ベルト端面の検査方法は、2つのローラにCVTベルトを掛け渡し、2つのローラの一方または双方を動かして双方のローラを離反させ、ローラを回転させながらそれぞれのベルトをローラ端面の適宜の位置に調整配置させ、CVTベルトを構成する複数の金属ベルトそれぞれの端面に1つまたは2つ以上の照明装置から光を順次照射させ、反射する光をカメラで順次撮影し、さらに2つのローラを所定角度回転させて金属ベルト端面への光の照射と反射する光の撮影をおこなうことを繰返し、カメラにて撮影された画像に基づいてCVTベルトの端面を検査することを特徴とする。
CVTベルトには、クラウニングが設けられるとともに、ベルト(フープ)の厚み方向にそれぞれのフープの中心線を揃えた姿勢で並べた際に、フープ端面が順次階段状となるようにそれぞれのフープの幅が調整されている。例えば、9層に積層されたベルト(フープ)は、その内側のフープの幅が最も大きく、外側の層のフープにいくにしたがってその幅が小さくなるように成形されている。2つのローラ端面間に積層構造のCVTベルトを掛け渡して双方を離反させることでベルトに張力を作用させ、ローラを回転させることによって、ローラ端面のクラウニングに案内されるようにベルト(フープ)がローラの中央付近に移動される。かかる移動に伴い、それぞれのベルトの端面がほぼ階段状になった段階でローラの回転を休止させる。
ここで、1つまたは複数の照明装置(高輝度LEDランプ)からベルト端面に光を照射させ、反射する光を1台のCCDカメラにて撮影する。なお、既述するように、CCDカメラの配設位置は、光の入射角と同じ反射角上にない位置(入射角と同じ反射角線から適宜の角度オフセットされた位置)に調整されている。
撮影された画像データは、CCDカメラから画像処理装置(コンピュータ)へ送られて画像処理がなされる。複数のLEDランプを使用する場合には、各ランプからの光の照射を順次おこない、それぞれの反射光がCCDカメラを介して画像処理装置へ送られる。
上記する一連の操作が終了したら、ローラを所定角度回転させて休止させ、次の検査部位に光を照射させて反射光を撮影するといった一連の操作を繰返す。かかる繰返し操作によってCVTベルトの一端面の画像処理が終了したら、CVTベルトの他端面の撮影も同様におこなう。
画像処理された撮影画像を検査員が検証し、ベルト端面での疵の有無やその許容性の可否を判断して1つのCVTベルト端面の検査が終了する。
さらに、本発明によるベルト端面の検査方法の他の実施形態は、2つのローラの軸心を、並行の姿勢から所定角度ずれた捩れの姿勢にして2つのローラを回転させることを特徴とする。
2つのローラの軸心を相互に捩れの姿勢にして双方のローラを回転させることにより、CVTベルトを構成する積層ベルトのそれぞれの端面を、容易に階段状に並べることが可能となる。
以上の説明から理解できるように、本発明のベルト端面の検査装置および検査方法によれば、ローラ端面に設けられたクラウニングにより、ローラの回転に伴って積層ベルトをローラの中央付近に移動させることができ、さらにそれぞれのベルトの端面の凹凸(偏差)が極端に大きくなることを効果的に防止することができ、したがって、ベルト端面への照明装置からの光の入射と該端面からの光の反射が隣接するベルトによって阻害されることを防止できる。したがって、積層ベルト端面の効率的かつ高精度な検査を実現することができる。また、本発明のベルト端面の検査装置および検査方法によれば、2つのローラを相互に捩れの姿勢にしながら回転させることにより、積層ベルトのそれぞれの端面をより効率的に検査し易い状態にすることができる。さらに、本発明のベルト端面の検査装置および検査方法によれば、反射光を撮影するカメラ(複数のカメラであることが望ましい)の配設位置を光の入射角とは相違する反射角線上の位置に調整することにより、ベルト端面の疵の未撮影を防止することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の検査装置の一実施形態を示した斜視図であり、図2は、図1のII−II矢視図であり、図3は、図1のIII−III矢視図である。図4は、従来のローラを使用した場合の積層ベルト端部の状態を示した模式図である。図5は、本発明の検査装置におけるローラを回転させることにより、整列された積層ベルト端部の状態を示した模式図を、図6は、2つのローラの軸心を捩れの状態とした際の従動ローラとベルトの断面図を、図7は、図6のVII部分を拡大した断面図をそれぞれ示している。なお、図示する実施形態においては、照明装置としてLEDランプを、カメラとしてCCDカメラを示しているが、本発明の検査装置はかかる実施形態に限定されるものではなく、さらには、LEDランプも3台に限定されるものでないことは勿論のことである。また、可動台座は、図示する手動にてスライドさせる実施形態以外にも自動スライドの実施形態であってもよい。さらに、検査対象としてCVTベルトを図示しているが、本発明の検査装置はかかる無端金属ベルトのみを検査対象とするものではなく、単層または複数層のゴムベルトなども検査対象とするものである。
図1は、検査装置の一実施形態(検査装置1)を示している。9層に積層組付けされたフープbは、順次移動する(矢印r方向)搬送箱73,73,…にそれぞれ収容された姿勢で台座71前方に送られてくる。台座71上にはスライド(矢印p、q)と反転が可能な移載クランプ74,74が備えられており、フープbを移載クランプ74,74にて把持した姿勢で搬送箱73から取り出し、駆動ローラ21と従動ローラ22の端面にフープbを取り付ける。駆動ローラ21は後述するサーボモータによって回転可能となっており、従動ローラ22は、双方のローラに掛け渡されたベルトを介して駆動ローラ21に同期回転可能となっている。ここで、従動ローラ22は可動台座72に取り付けられている。可動台座72にはレバー72cが取り付けられており、このレバー72cを押し引きすることにより、金具72bを介して取り付けられたばね72aの付勢に抗して可動台座72をスライドさせることができる(矢印s)。フープbを2つのローラに取り付ける際には、双方の離間を相対的に短くしておき、CVTベルトがローラ端部に装着された後で、可動台座72をスライドさせることによって従動ローラ22をスライドさせ、駆動ローラ21と従動ローラ22とを離反させてフープbに一定の張力を作用させる。
フープbを緊張させた後、制御盤4のスイッチをオンして駆動ローラ21を回転させる。駆動ローラ21と従動ローラ22の双方の端部には後述するクラウニングが設けられているため、2つのローラの回転に伴ってフープbを構成する複数のフープはローラ端面の中央付近に集められることとなる。
台座71上には、3台の高輝度のLEDランプ3a,3b,3cが載置されており、それぞれのランプはLEDアンプ3a1,3b1,3c1に繋げられている。LEDランプ 3a,3b,3cはそれぞれ別途の入射角にてベルト端面の適宜箇所に順次光を照射し(x1、x2、x3)、反射光(y1、y2、y3)をCCDカメラ5にて撮影することができる。3台のLEDランプでの照射と反射光の撮影が終了したら、駆動ローラ21を一定角度回転させ(矢印z)、次のベルト端面部位を適宜の照明箇所にセットする。CCDカメラ5にて撮影されたデータはコンピュータ6に送られ、CPUにて画像処理された後に検査員によってベルト端面の疵の有無やその程度がコンピュータ画面上で検査される。
図2は、図1をトラック状に延びたベルトの長手方向から見た側面図であるが、駆動ローラ21はその下方に配設されたサーボモータ23の駆動軸に回転可能に装着されている。一方、従動ローラ22は、その下方のエンコーダ24の回転軸に装着されており、回転角度の検知(ベルト端面の検査部位の位置測定)がおこなわれる。また、従動ローラ22とエンコーダ24は既述する可動台座72に固定されており、可動台座72のスライド(矢印x)に伴ってスライドできるように構成されている。
一方、図3は、図2と直交する側面図であるが、エンコーダ24と従動ローラ22を繋ぐ回転軸には、シリンダユニット25から伸縮するピストンロッドが当接しており、ピストンロッドが矢印x方向に伸張することによって従動ローラ22の軸心が傾斜できるようになっている(鉛直方向の軸心が角度θで傾斜)。
次に、図4と図5を比較しながら、従動ローラ22の端面のクラウニングの作用について説明する。図4は、従来の従動ローラaを示したものであるが、この従動ローラaの端面にはクラウニングは設けられておらず、従動ローラaの断面図における側面と端面とは直交するとともに該端面が直線状を成す。この場合、複数の金属ベルトからなるフープbが従動ローラaの端面に巻きまわされた姿勢で該フープbが回転しても、それぞれのベルト(フープ)の端面b1,b1,…の凹凸は修正されず、例えば、図4に示すように左から3番目のフープの端面b1にLEDランプ3から光を照射しても隣接するフープによって光の照射が阻害されてしまう。したがって、光を照射させるために逐一LEDカメラの位置を調整する必要が生じ、効率的かつ精度のよいベルト端面の検査をおこなうことはできない。
それに対し、図5は、本発明の従動ローラ22の端面を示したものである。この従動ローラ22の端面にはその径方向外側に湾曲するクラウニング22aが設けられており、フープbを回転させた際には、このクラウニング22aの形状に沿ってベルトがローラ端面の中央に移動させられる。ところで、フープb自体の断面形状は、後述するように全体が湾曲した形状に成形されているため、従動ローラ22端面のクラウニング22a形状に沿ってその中央に移動され易く、さらに、それぞれのフープも断面中心が揃い易くなっているために図4に示す整列状態を形成し易い。なお、図示する従動ローラ22に加えて、駆動ローラ21の端面にもクラウニングは施されている。
フープbを構成する複数のフープの端面を図5のように揃えた状態でローラの回転を休止させ、LEDランプ3から角度θ1にて光を照射させ、フープ端面に成形された疵で乱反射した反射光(入射角θ1とは異なる反射角θ2)をCCDカメラ5にて撮影することにより、効率的で高精度な疵の撮影が可能となる。
図6は、従動ローラ22の回転軸心を駆動ローラ21の回転軸心と並行な状態から所定の捩れ角度θに傾斜させた模式図である。まず、駆動ローラ21と従動ローラ22の双方の軸心を並行な状態で双方を回転させることで、CVTベルトを構成する各フープb、b、b、…をローラ端面の中央付近に集めた後に、従動ローラ22の軸心を所定の角度θ傾斜させて双方のローラをさらに回転させる。従動ローラ22が回転することによって各フープb、b、…は図6およびその拡大図である図7に示すように階段状にずらされた姿勢となる。これは、一方のローラの回転軸心を他方のローラの回転軸心に対して捻った姿勢でローラを回転させたことと、ローラ端面のクラウニング形状によってもたらされる効果である。図7からも明らかなように、一方のローラの回転軸心を捻ることでそれぞれのフープの端面を階段状とすることができ、隣接するフープの端面の凹凸によって光の照射や反射を阻害されることがなくなる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
本発明の検査装置の一実施形態を示した斜視図。 図1のII−II矢視図。 図1のIII−III矢視図。 従来のローラを使用した場合の積層ベルト端部の状態を示した模式図。 本発明の検査装置におけるローラを回転させることにより、整列された積層ベルト端部の状態を示した模式図。 2つのローラの軸心を捩れの状態とした際の従動ローラとベルトの断面図。 図5のVII部分を拡大した断面図。 CVTベルトの一部を示した模式図。
符号の説明
1…検査装置、21…駆動ローラ、22…従動ローラ、22a…クラウニング、23…サーボモータ、24…ロータリエンコーダ、25…シリンダユニット、3a,3b,3c…LEDランプ(照明装置)、3a1,3b1,3c1…LED発光用アンプ、4…制御盤、5…CCDカメラ、6…コンピュータ、71…台座、72…可動台座、73…搬送箱、74…移載クランプ、b…フープ、b1…端面

Claims (6)

  1. 2つの並行な軸心まわりを回転可能な2つのローラであって、2つのローラの該軸心が、並行の姿勢から所定角度ずれた捩れの姿勢を形成できるように、一方または双方の軸心が傾斜可能に構成されている2つのローラと、該2つのローラに掛け渡された積層ベルトのそれぞれの端面に光を照射する照明装置と、ベルトの端面で反射する光を撮影するカメラと、から少なくとも構成されており、
    前記ローラのうち、該ローラがベルトに接する端面には、該端面の中央付近が端部に対して相対的に径方向外側へ突出するようなクラウニングが設けられており、
    前記2つのローラの軸心が前記所定角度ずれた捩れの姿勢とされて、前記積層ベルトのそれぞれの端面で反射する光が撮影されるようになっていることを特徴とするベルト端面の検査装置。
  2. 前記ローラは、駆動ローラと従動ローラとからなり、一方のローラが他方のローラから離反できるように、いずれか一方または双方のローラが可動式に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト端面の検査装置。
  3. ベルト端面への光の入射角とベルト端面からの光の反射角をともにθとした場合に、反射する光を撮影するカメラの位置はθから所定角度オフセットされた位置に配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト端面の検査装置。
  4. 請求項に記載のベルト端面の検査装置には、ベルト端面を平面的に見た際に該ベルト端面への光の入射方向が異なる複数の照明装置が設けられていることを特徴とするベルト端面の検査装置。
  5. 前記ベルトは、複数の金属製のベルトが積層されてなるCVTベルトであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のベルト端面の検査装置。
  6. 2つの並行な軸心まわりを回転する2つのローラと、該2つのローラに掛け渡され、複数の金属ベルトが積層されてなるCVTベルトの端面に光を照射する照明装置と、CVTベルトの端面で反射する光を撮影するカメラと、から少なくとも構成されており、前記ローラのうち、該ローラがベルトに接する端面には、該端面の中央付近が端部に対して相対的に径方向外側へ突出するようなクラウニングが設けられているベルト端面の検査装置を使用してCVTベルトの端面を検査するベルト端面の検査方法であって、
    前記ベルト端面の検査方法は、2つのローラにCVTベルトを掛け渡し、
    2つのローラの一方または双方を動かして双方のローラを離反させ、
    2つのローラの軸心を、並行の姿勢から所定角度ずれた捩れの姿勢にして、ローラを回転させながらそれぞれのベルトをローラ端面の適宜の位置に調整配置させ、
    CVTベルトを構成する複数の金属ベルトそれぞれの端面に1つまたは2つ以上の照明装置から光を順次照射させ、
    反射する光をカメラで順次撮影し、
    さらに2つのローラを所定角度回転させて金属ベルト端面への光の照射と反射する光の撮影をおこなうことを繰返し、
    カメラにて撮影された画像に基づいてCVTベルトの端面を検査することを特徴とするベルト端面の検査方法。
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