JP4533411B2 - 空気調和機 - Google Patents

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Description

本発明は、空気調和機に関し、たとえば、空気清浄機能を備えた業務用の大型空気清浄機に関する。
室内の空気の温度や湿度、汚染度をコントロールする装置として空気調和機が知られている。これら空気調和機にあっては、室内の空気を装置内部に取り込み、取り込まれた空気の物性を変化させて所望の状態の空気とした後、装置外部へ吹き出す仕組みとなっている。特に、近年の住環境の変化に伴い、室内の空気の汚染度を改善する空気清浄機能を備えた空気調和機が注目されている。従来より、集塵機能や脱臭機能を備えた空気清浄機は広く普及しているが、これらの機能に加えて人体に有害な浮遊細菌を制菌または除菌する機能を併せ備えた空気清浄機が近年普及しつつある。ここで、「制菌」とは、繊維状のフィルタに付着した大部分の細菌を死滅させてその絶対数を減少させることをいう。また、「除菌」とは、空気中に浮遊する浮遊細菌を取り除き、空気中の浮遊細菌の絶対数を減少させることをいう。
このような空気清浄機にあっては、集塵機能、脱臭機能および制菌機能は通風路内に設置された各種フィルタによって発揮される。また、除菌機能は、正イオンと負イオンを発生させるイオン発生装置を通風路内に設置することによって発揮される(たとえば、特許文献2参照)。なお、このイオン発生装置を用いて空気中の負イオン濃度を増加させた場合には、リラクゼーション効果を得ることも可能である。
この種の空気清浄機能を備えた空気調和機にあっては、設置される部屋の大きさにあわせて送風機の出力を決定する必要がある。一般家庭などの比較的狭い空間を有する部屋で用いられる家庭用の空気調和機においては、比較的低出力の送風機であっても部屋の隅々にまで空気を対流させることが可能であるため、十分な空気清浄効果を得ることができる。しかしながら、主に飲食店などの店舗、オフィス、病院等の広い空間を有する部屋で用いられる業務用の空気調和機においては、部屋の隅々にまで空気を対流させるために非常に高い出力の送風機を用いることが必要になる。
業務用の大型の空気調和機としては、建物に一体的に組み込まれるビルトインタイプのものと、建物に組み込まれずに自由に設置が可能な据付け式のものとがある。このうち据付け式の空気調和機にあっては、床に設置する床置きタイプのものと、壁に設置する壁掛けタイプのものとがある。従来、業務用の空気調和機としては、壁掛けタイプのものが一般的である。
図12に、高出力の送風機を備えた床置きタイプの業務用の空気清浄機の概略縦断面図を示す。図12に示すように、空気清浄機の機器本体は、箱形状のケーシング101を有している。ケーシング101の前面には、前パネル107が取付けられる。ケーシング101の上面前方には、運転状態を切換えるための操作部120が設けられている。また、ケーシング101の下面には、床に据え付けるためのベース脚116が設けられている。
前パネル107の後方のケーシング101の前面には、空気をケーシング101内部に取り込むための吸込口102が設けられている。ケーシング101の上面には、空気を吹き出す吹出口103が設けられている。ケーシング101内部には、吸込口102から吹出口103にまで至る通風路104が構成されている。
吹込口102の後方の通風路104内には、フィルタ112が配置されている。フィルタ112は、綿埃などの大きい埃を除去するプレフィルタ108と、脱臭機能を有する脱臭フィルタ109と、制菌機能を有する制菌フィルタ110と、細かい粒径の微粒子を捕獲する集塵フィルタ111とからなる。フィルタ112の下流側には、駆動モータ105によって回転駆動される送風ファン106が配置されている。
上記構成の空気清浄機では、送風ファン106が回転することにより、吸込口102からケーシング101内部へ空気が取り込まれる。ケーシング101内部に取り込まれた空気は通風路104内を通過し、フィルタ112によって空気の清浄化が図られる。フィルタ112を通過することにより、所望の状態となった空気は、吹出口103から室内へと吹き出される。
特開平8−112336号公報 特開2002−95731号公報
しかしながら、上記構成の業務用の空気清浄機にあっては、運転時に大きな騒音が生じてしまう。これは、高出力の送風機を用いることによるものであり、送風機を動作させるための駆動モータ自体の騒音と、送風機が風を切る風切り音と、通風路内を空気が流動することによって生じる風音とによる。通常は、送風機の出力を上げるに伴い、これら騒音も比例して増大する傾向にある。また、機器本体を大きくすることにより騒音を抑制することも可能であるが、設置スペースが大型化するなどの問題がある。
したがって、本発明は、上述の問題点を解決すべくなされたものであり、送風出力の増大化に伴う騒音の増大を抑制することが可能な空気調和機を提供することを目的とする。
本発明に基づく空気調和機は、機器本体表面に設けられた吸込口と吹出口との間を連通し、並列に区切られた複数の経路を有する通風路と、吹出口に設けられた可動式ルーバと、前記通風路内に配置され、通過する空気を清浄化するフィルタと、前記フィルタの下流側であって、前記並列に区切られた複数の経路のそれぞれに配置された複数の送風ファンと、前記通風路内の前記フィルタの下流側に配置され、前記通風路中に除菌性物質を送出する除菌手段とを備え、前記通風路は、第1送風ファンが配置された第1経路と、前記第2送風ファンが配置された第2経路とを含み、前記ルーバによって前記吹出口を閉塞した状態において、前記第1送風ファンまたは前記第2送風ファンのいずれかが動作することにより、前記第1経路および前記第2経路中を前記吸込口から取り込まれた空気が循環するよう運転可能なものである。
また、前記第1送風ファンと前記第2送風ファンのそれぞれから前記フィルタまでの距離は互いに異なるものである。
また、前記除菌手段は、前記第1経路および前記第2経路のいずれか一方に設けられているものである。
また、前記除菌手段は、正イオンまたは負イオンの少なくともいずれか一方を送出するイオン発生装置でものである。
本発明によれば、装置の大型化に伴う騒音の増大を抑止することが可能になり、装置内部を清潔な状態に保ち、使用者に不快感を与えない空気調和機を提供することが可能になる。
以下、本発明の一実施の形態について、図を参照して説明する。なお、本実施の形態においては、空気調和機として比較的広い空間を有する部屋で用いることを前提とした業務用の大型空気清浄機を例示して説明を行なう。
図1は、本発明の実施の形態における空気清浄機の斜視図であり、図2は、図1に示す空気清浄機のII−II線に沿った概略縦断面図である。図に示すように、本実施の形態における空気清浄機は、縦長の形状を有する床置きタイプの空気清浄機である。
(全体構造)
図1および図2に示すように、本実施の形態における空気清浄機の機器本体は縦長の箱形状のケーシング1を有している。ケーシング1の前面には、前パネル7が取付けられている。前パネル7の後方に位置するケーシング1の前面には、ケーシング1内部に空気を取り込むための吸込口2が設けられている。ケーシング1の上面には、ケーシング1内部の空気を外部に吹き出すための吹出口3が設けられている。ケーシング1の内部には、吸込口2と吹出口3との間を連通する通風路4が設けられている。
ケーシング1の上面前方には、運転状態を切換えるための操作部20が配置されている。ケーシング1の下面には、床面に空気清浄機を据付けるためのベース脚16a,16bが設けられている。ベース脚16a,16bのうち前方に位置するベース脚16aは、据付け時の安定性を高めるために高さを調節することが可能な構成となっている。なお、空気清浄機の振動が床面に伝播することを防止するために、これらベース脚16a,16bの底面はゴム製となっている。
ケーシング1の下面最後部には、キャスタ17が取付けられている。また、ケーシング1の背面には把手29が設けられている。このキャスタ17や把手29は、機器本体の移動の容易性を図るために設けられたものであり、移動時に把手29を持ってケーシング1を後方に傾けることにより、簡便に機器本体を移動させることが可能になる。
吸込口2の後方には、フィルタ12が配置されている。フィルタ12は、メンテナンス作業の容易化を図るために上下に2分割されており、フィルタ枠13に嵌め込まれて通風路4内に設置されている。フィルタ12a,12bのそれぞれは、上流から順に、プレフィルタ8a,8b、脱臭フィルタ9a,9b、制菌フィルタ10a,10b、集塵フィルタ11a,11bの順で配置されている。
プレフィルタ8a,8bは、金属製の細線を平織りすることによって形成されたフィルタであり、綿埃などの比較的大きい埃を捕獲する。このように、金属製のプレフィルタ8a,8bを最前部に配置することにより、煙草の火種がケーシング1と前面パネル7の間から吸込口2に向かって落下した場合にも、フィルタ12全体に燃え広がることが防止され、安全面で優れたものとなる。
脱臭フィルタ9a,9bは、活性炭などの脱臭機能を有する物質が内包されたフィルタであり、臭気成分を吸着することにより脱臭機能を発揮する。制菌フィルタ10a,10bは、フィルタに付着した細菌の繁殖を抑え、その数を減少させる機能を有する。集塵フィルタ11a,11bには、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタが用いられ、空気中に含まれる細かい粒径の微粒子を捕獲する。
フィルタ12の下流側にはアングル21が配置されており、アングル21の上部には第1吸込口2aが設けられており、アングルの下部には第2吸込口2bが設けられている。これら第1吸込口2aおよび第2吸込口2bは、それぞれ図示しないファンガードによって覆われている。第1および第2吸気口2a,2bが設けられた位置より下流側の通風路4は、隔壁によって仕切られている。これにより、通風路4は第1経路4aと第2経路4bとに区切られている。
第1吸込口2aの下流側には、第1駆動モータ5aが配置されており、この第1駆動モータ5aの回転軸には、送風手段としての第1送風ファン6aが取付けられている。第2吸込口2bの下流側には、第2駆動モータ5bが配置されており、この第2駆動モータ5bの回転軸には、送風手段としての第2送風ファン6bが取付けられている。第1および第2送風ファン6a,6bとしては、たとえば、回転軸方向から進入した空気を回転軸と交差する方向へ吹き出すことが可能なシロッコファンが用いられる。このシロッコファンは比較的風切り音が小さいため、騒音の抑制に適している。
第1経路4aと第2経路4bとは、第1および第2送風ファン6a,6bよりも下流側にて合流し、ケーシング1の上面に設けられた吹出口3へと通じている。吹出口3には、吹き出される空気の方向を調節する可動式のルーバ15が配置されている。この可動式のルーバ15は、前後左右方向に自在に風向を変化させるためのものである。なお、第1経路4aの吹出口3aは、ケーシング1の上面において前方側に位置しており、第2経路4bの吹出口3bは、ケーシング1の上面において後方側に位置している。
第2経路4bの送風ファン6bより下流側には、イオン発生装置14が配設されている。イオン発生装置14は、正イオンと負イオンとを発生させる装置であり、たとえば正負イオンを立方センチメートルあたり各々50,000〜150,000個程度発生させることにより、室内の空気中を浮遊する浮遊細菌を除菌する空気清浄機能を発揮する。また、負イオンのみを発生させることにより、リラクゼーション効果を得ることも期待される。
第1経路4a内に配置される送風ファン6aと、第2経路4b内に配置される送風ファン6bとは、互いにその前方に位置するフィルタ12からの距離が異なるように配置されている。本実施の形態における空気清浄機にあっては、第2送風ファン6aが第1送風ファン6bよりも後方に位置するように配置されている。
(作用・効果)
上記構成のように、業務用の大型の空気清浄機を設計するにあたって、送風手段として高出力の送風ファンを採用するのではなく、低出力の送風ファンを2台組合わせることによって所望の出力が得られるように構成することにより、騒音の発生を抑止することが可能になる。すなわち同一の風量を得るために1台の高出力の送風ファンを用いるのではなく、2台の低出力の送風ファンを用いることにより、送風ファン自体から生ずる騒音をより小さく抑えることが可能になる。
この場合、通風路を2つの経路に並列に区切り、それぞれの経路内に送風ファンを配置することにより、通風路内での気流の混乱が生じ難くなり、乱流の発生が防止されるようになる。このため、圧力損失が増大することが防止され、送風ファンの出力が低くても高効率に室内の空気を循環させることが可能になる。また、通風路を複数の経路に並列に区切ることにより、気流が乱れることが防止されるため、風音の増大も抑制することが可能になり、結果として低騒音化が可能になる。
また、上記構成のように、2台の送風ファンをフィルタからの距離が異なるように配置することにより、低出力動作時に騒音を低く抑えることが可能になる。これは、送風ファンをフィルタからより遠く配置することにより吸気効率が向上するためであり、より遠くに配置した方が所望の風量を確保するのにより低い送風ファンの出力ですむようになるためである。このように、片方の送風ファンを後方に配置し、この後方に配置された送風ファンをメインファンとして使用することにより、低出力動作時においても騒音の発生を低く抑えることが可能になるなど、各種運転モードの実現が可能となる。
上記構成においては、部品の共通化を図って製造コストを削減することが好ましい。共通化可能な部品としては、主に駆動モータや送風ファンが挙げられる。ただし、第1および第2送風ファンを共通の部品とした場合には、nZ音と呼ばれる回転数に比例した周波数の騒音が増大するため、第1および第2送風ファンを同一の回転数にて回転させるのではなく、回転数に差をつけて回転するように制御することが好ましい。また、同一形状のファンを用いることによる共鳴を防止するためには、送風ファンに設けられる羽のピッチを一定のピッチとせず、ランダムなピッチとすることが好ましい。
また、上述のように、2つの送風ファンの回転数に差をつけた場合には、上述のフィルタから送風ファンまでの距離を、この回転数の差に応じて生じる風量差に基づいた距離とすることが好ましい。風量差に基づいた距離とは、フィルタ通過後にファンに到達するまでの圧力損失が第1および第2経路で同じになる距離のことをいう。このように、風量差に基づいた距離とすることにより、第1および第2経路において風量に差が生じなくなるため、2つの経路でバランスよく送風することが可能になる。
なお、駆動モータとしては、DCモータを使用することが好ましい。これは、DCモータがACモータに比べて消費電力が低いためであり、2個の駆動モータとすることによる消費電力量の増大を可能な限り低く抑えるためである。また、DCモータを採用すればマイクロコンピュータなどの制御手段によって簡便にフィードバック制御が行なえるため、高効率に空気を循環させることが可能になる。また、ACモータを用いた場合には、部品の共通化を図るために同一のモータを用いることが好ましいが、回転数が同一となることによる弊害を防止するためにトライアック制御を行うことが好ましい。
以下においては、上述の構成の空気清浄機におけるより好ましい運転制御および構造について、各部ごとに図を参照して詳細に説明する。
(クリーニング運転)
図3および図4は、本実施の形態における空気清浄機において、クリーニング運転をさせたときの状態を示す空気清浄機の概略縦断面図である。ここで、クリーニング運転とは、ケーシング1内部の除菌を行なう運転モードのことであり、定期的にこのクリーニング運転を行うことにより、ケーシング1内部をより清潔に保つことが可能になる運転モードのことである。
図3に示すように、クリーニング運転を行なう場合には、まず、吹出口3に設置された可動式のルーバ15を回転させ、吹出口3を閉塞した状態とする。次に、第2送風ファン6bのみをON動作させ、第1送風ファン6aはOFF状態とする。これにより、図3に示すように吸込口2bから取り込まれた空気は、第2経路4bを通過する際にイオン発生装置14によって正イオンと負イオンとを大量に含んだ状態の空気となる。この空気は第2吹出口3bから上方へ放出されるが、ルーバ15によって吹出口3が閉塞されているため、第1吹出口3aから第1経路4a内へと進入する。第1経路4aを通過した空気は、第1吸込口2aからフィルタ12aに向かって吹き出されるが、第2送風ファン6bによって再び第2吸込口2b内へと吸い込まれる。この結果、図に示すように、通風路4内を正イオンと負イオンとを大量に含んだ空気が循環することになる。この運転状態を所定時間継続する。
以上のような運転モードを行うことにより、正イオンと負イオンとを大量に含んだ空気がケーシング内部の第1経路および第2経路内を循環することになり、ケーシング内部の除菌効果が得られるようになる。定期的にクリーニング運転を行うことにより、常にケーシング内部を清潔な状態に保つことが可能となり、本格的な清掃作業を行なう頻度が低くてすむようになる。
なお、クリーニング運転としては、図4に示すように、第1送風ファン6aをON動作させ、第2送風ファン6bをOFF状態としてもよい。この場合にも、図示の如く、通風路4内を正イオンと負イオンとを大量に含んだ空気が循環することになる。
(ケーシング上面の構造)
図5は、本実施の形態における空気清浄機のケーシング上部の側面図である。また、図6および図7は、他の好ましいケーシング上部の形状を示す側面図である。
図5に示すように、本実施の形態におけるケーシング1の上面は、吹出口3よりも前方に位置する前方領域と、吹出口3が形成された後方領域とを有する。前方領域においては、ケーシング1の上面は後方に向かって高さを減ずる方向に連続して傾斜する曲面を有している。後方領域においては、ケーシング1の上面は後方に向かって高さを減ずる方向に連続して傾斜する傾斜面を有している。
ケーシング上面をこのような形状とすることにより、使用者がケーシング上面に物品を載置することが回避される。ケーシング上面に物品を載置した場合には、何らかの衝撃や振動により、物が吹出口からケーシング内部の通風路に落下するおそれがある。万が一落下した場合には装置の故障の原因となるおそれがあるため、本実施の形態では上記形状とすることにより、使用者が物品をケーシング上面に載置できないようにした。なお、物品としては、使用者が意図的に載置するおそれのある小物品や飲み物が入ったコップなどが挙げられる。
使用者がケーシング上面に物品を載置することが回避されるケーシング上面の形状としては、図6に示す形状や図7に示す形状なども考えられる。図6に示す形状は、ケーシング1上面の全面にわたって、後方に向かって高さを減ずる方向に連続して傾斜する曲面形状を採用した場合である。図7に示す形状は、ケーシング1上面の全面にわたって、後方に向かって高さを減ずる方向に連続して傾斜する傾斜面を形成した場合である。
(吸音材の取付構造)
図8は、本実施の形態における空気清浄機の通風路の構造を示す断面図である。また、図9は、他の好ましい通風路の構造を示す断面図である。
図8に示すように、本実施の形態における空気清浄機の通風路を構成する壁18の内側には、吸音材19が貼付されている。吸音材19としては、たとえば軟質ウレタンフォームが用いられる。吸音材19は、壁面に空気が吹き付けられることによって生ずる風音や送風ファンや駆動モータから生じる騒音が外部に漏れることを防止するものであり、通風路を構成する壁の18の内側に貼ることによって効果的に騒音が外部に漏れることが抑制される。なお、本実施の形態における空気清浄機において吸音材19を貼付する通風路としては、第1経路4aや第2経路4bのみならず、吸込口2から第1および第2吸込口2a,2bに至るまでの通風路や、第1および第2の吹出口3a,3bから吹出口3に至るまでの通風路が考えられる。また、ケーシング1の内壁面に貼付することによっても騒音の外部への漏れが抑制できる。
また、図9に示すように、通風路を構成する壁18に多数の貫通孔18aを設け、この貫通孔18aを覆うように通風路を構成する壁18の外側に吸音材19を貼付してもよい。この場合にも、効果的に騒音が外部へ漏れることが抑制される。
(前パネルの取付構造)
図10は、本発明の実施の形態における空気清浄機の前パネルの取付構造を示す拡大断面図である。なお、図10(a)は、取付け前の状態を示しており、図10(b)は、取付け後の状態を示している。
図10(a)に示すように、前パネル7の背面の上端近傍には、係止部24が突出して設けられている。係止部24は、上下方向に貫通する貫通孔を有している。ケーシング1の前面の所定位置には、上記係止部24に対応して係止受部25が突出して設けられている。係止受部25は、内部にナット32が埋設されており、ナットの穴と同心円上に貫通孔が形成されている。なお、係止部24と係止受部25とは、前パネル7がケーシング1に取付けれた状態にて上下方向に所定の距離の隙間が生じるように構成されている。
係止部24に設けられた貫通孔には、バネ33を介してボルト31が上方から挿し込まれている。バネ33は、ボルト31のねじ頭を上方に向かって押圧付勢する。また、ボルト31の所定位置にはEリング31aが嵌め込まれており、ボルト31が前パネル7から脱落しないように取付けられている。ボルト31のねじ頭は、非締結時に前パネル7の上端よりも突出した位置にある。
前パネル7をケーシング1に取付ける場合には、まず図示しない前パネルの下端をケーシングの前面下方に設けられた受部に挿し込む。つづいて、前パネル7とケーシング1とが平行になるようにセットし、ボルト31をバネ33に抗して下方へ押し下げる。次に、ボルト31を押し下げた状態にてボルト31を回転させ、係止受部25に設けられたナット32に締結する。以上により、図10(b)に示すように、前パネル7がケーシング1に固定される。
上記構成の前パネルの取付構造とすることにより、簡便に前パネルをケーシングに取付けることが可能になる。また、ボルトが前パネルから脱落しない構造となっているため、前パネルの取外し時にボルトを紛失することもない。さらには、非締結時にバネによってボルトのねじ頭が前パネルの上端よりも突き出た位置にまで押し上げられているため、ボルトの固定が確実に行なわれているか確認することが容易となる。
(通風路の構成)
図11は、本実施の形態における空気清浄機の他の変形例を示す概略縦断面図である。具体的には、通風路の構成が上記実施の形態とは異なっている。図11に示すように、本変形例においては、2つのアングル21とフィルタ12との間に隔壁4cが設けられており、この隔壁4cによってフィルタ12の下流側において通風路4が第1経路4aと第2経路4bとに直ちに区切られている。
本構成とすることにより、フィルタからアングルに至るまでの空間が隔壁によって第1経路および第2経路に区切られるため、通風路の断面積が減少し、乱流の発生がより確実に防止されるようになる。これにより、騒音の発生がさらに抑制されるようになる。
上記実施の形態においては、通風路を並列に2つの経路に区切り、送風手段を2つ備えた場合を例示して説明を行なったが、特にこれに限定されるものではなく、通風路が並列に複数に区切られていればよく、その数は限定されるものではない。
また、上記実施の形態においては、上下に分割したフィルタをそれぞれ同じ厚みとした場合を例示して説明を行なったが、上下で厚みを変えてもよい。このように上下のフィルタの厚みを変えることにより、送風能力を自由に設計することが可能になる。
本実施形態では、通風路と、フィルタと、送風手段とを備える。通風路は、機器本体表面に設けられた吸込口と吹出口との間を連通し、並列に区切られた複数の経路を有する。フィルタは、通風路内に配置され、通過する空気を清浄化する。送風手段は、並列に区切られた複数の経路のそれぞれに配置されている。このように、高出力の送風手段を用いるのではなく低出力の送風手段を複数個用いて所望の送風能力を得る構成とすることにより、送風手段1つ当たりに求められる出力が低くてすむため、送風手段が動作することによって生じる騒音を低減することが可能になる。また、それぞれの送風手段に対応して通風路を並列に区切った構成とすることにより、気流の混乱が生じ難く、乱流の発生が大幅に抑制される。このため、気流の乱れによる騒音の発生も抑制される。この結果、所望の送風能力を得るのに高出力の送風手段を用いた場合に比べ、騒音が大幅に小さくなる効果が得られる。
また上述した空気清浄機にあっては、複数の送風手段はフィルタの下流側に配置され、複数の送風手段のそれぞれからフィルタまでの距離が互いに異なるように構成されることが好ましい。このように、送風手段のそれぞれからのフィルタまでの距離が互いに異なる距離となるように構成することにより、各送風手段の吸気効率に変化をもたせることが可能になる。これは、フィルタから送風手段までの距離を変化させることによって通風路内を通過する空気の圧力損失が変化するためである。この結果、複数の送風手段の出力を制御することにより、種々の運転モードが実現できるようになる。
また、フィルタは複数の経路に対応して分割されており、各々のフィルタの厚みは各々の送風手段までの距離に応じて異なっていてもよい。このように、フィルタを通風路の各々の経路およびそこに設置された送風手段に対応して分割し、分割したフィルタを送風手段までの距離に応じた厚みとすることにより、送風能力を自由に設計することが可能になる。たとえば、同じ能力の送風手段を有する場合に、後方に配置された送風手段に対応したフィルタを、前方に配置された送風手段に対応したフィルタよりも適度に厚くすることにより、両経路における送風能力を同等とすることができる。
また、機器本体を縦長の形状とし、機器本体の前面に吸込口を配置し、機器本体の上面に吹出口を配置し、これら吸込口と吹出口を連通する通風路は、機器本体の前面上方に配置された第1吸込口と機器本体の上面前方に配置された第1吹出口との間を連通する第1経路と、機器本体の前面下方に配置された第2吸込口と機器本体の上面後方に配置された第2吹出口との間を連通する第2経路とに並列に区切られていてもよい。このように、縦長の形状を有する機器本体を備えた空気調和機にあっては、並列に区切られた複数の経路を上述の如く構成することにより、装置構成の簡略化と空気清浄効果の向上とが同時に満たされるようになる。
また、通風路を構成する壁の内壁面に吸音材が貼付されていてもよい。また、通風路を構成する壁は複数の貫通孔を有し、複数の貫通孔を覆うように通風路を構成する壁の外壁面に吸音材が貼付されていてもよい。このように、吸音材を通風路に取付けることにより、通風路内にて生じた騒音が吸音材によって吸収されるため、装置外部に漏れる騒音がより少なくなる。このため、さらなる低騒音化が可能になる。
また、機器本体の上面は、物品の載置を阻止する形状を有していてもよい。このように、機器本体の上面を物品が載置できないような形状とすることにより、吹出口から機器本体内部へ物品が落下する可能性が減少するため、故障し難い空気調和機とすることが可能になる。
また、機器本体の上面は、後方に向かって高さを減ずる方向に連続して傾斜していてもよい。上述のような物品の載置を阻止する機器本体上面の形状としては、たとえば本構成のような斜面のみからなる形状が考えられる。
また、フィルタは、集塵機能、脱臭機能または制菌機能のうちの少なくとも1の機能を有していることが好ましい。上述のいずれかの機能をフィルタが備えていることにより、空気の清浄化が図られるようになる。
また、通風路内において、フィルタおよび送風手段よりも下流側に位置し、空気中に正イオンまたは負イオンの少なくともいずれか一方を送出するイオン発生装置を備えていることが好ましい。このように、イオン発生装置を通風路内に設置することにより、除菌効果やリラクゼーション効果を得ることが可能になる。
また、上記実施の形態においては、空気調和機として空気清浄機を例示して説明を行なったが、本発明は空気清浄機に限らず、除湿機、加湿機、冷房機、暖房機、あるいはこれらの機能を複数備えた装置など、空気調和機全般に適用が可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
本発明の実施の形態における空気清浄機の斜視図である。 本発明の実施の形態における空気清浄機の図1中II−II線に沿う概略縦断面図である。 本発明の実施の形態における空気清浄機において、クリーニング運転時の第1段階を示す概略縦断面図である。 本発明の実施の形態における空気清浄機において、クリーニング運転時の第2段階を示す概略縦断面図である。 本実施の形態における空気清浄機のケーシング上部の側面図である。 他の好ましいケーシング上部の形状を示す側面図である。 他の好ましいケーシング上部の形状を示す側面図である。 本発明の実施の形態における空気清浄機の通風路の構造を示す断面図である。 他の好ましい通風路の構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態における空気清浄機の前パネルの取付構造を示す(a)は取付け前の断面図であり、(b)は取付け後の断面図である。 本発明の実施の形態における通風路の構成の変形例を示した概略縦断面図である。 従来の空気清浄機の縦断面図である。
符号の説明
1 ケーシング、2 吸込口、2a 第1吸込口、2b 第2吸込口、3 吹
出口、4 通風路、4a 第1経路、4b 第2経路、5a,5b 駆動モータ
、6a,6b 送風ファン、7 前パネル、8a,8b プレフィルタ、9a,
9b 脱臭フィルタ、10a,10b 制菌フィルタ、11a,11b 集塵フ
ィルタ、12a,12b フィルタ、13 フィルタケース、14 イオン発生
装置、15 ルーバ、16 ベース脚、17 キャスタ、18 (通風路の)壁
、18a 貫通孔、19 吸音材、20 操作部、24 係止部、25 係止受
け部、31 ねじ、31a Eリング、32 ナット、33 バネ。

Claims (4)

  1. 機器本体表面に設けられた吸込口と吹出口との間を連通し、並列に区切られた複数の経路を有する通風路と、
    前記吹出口に設けられ、該吹出口を閉塞可能な可動式ルーバと、
    前記通風路内に配置され、通過する空気を清浄化するフィルタと、
    前記フィルタの下流側であって、前記並列に区切られた複数の経路のそれぞれに配置された複数の送風ファンと、
    前記通風路内の前記フィルタの下流側に配置され、前記通風路中に除菌性物質を送出する除菌手段とを備え、
    前記通風路は、前記第1送風ファンが配置された第1経路と、前記第2送風ファンが配置された下流側に第2経路とを含んでおり、
    前記可動式ルーバによって前記吹出口を閉塞した状態において、前記第1送風ファンを動作、第2送風ファンを非動作にすることで、前記第1経路から第2経路中へと一方向に空気を循環させ、また第1送風ファンを非動作、第2送風ファンを動作にすることで、前記第2経路から前記第1経路中へと前記一方向の循環とは逆方向に空気を循環させる運転可能な、空気調和機。
  2. 前記第1送風ファンと前記第2送風ファンのそれぞれから前記フィルタまでの距離は互いに異なる、請求項1に記載の空気調和機。
  3. 前記除菌手段は、前記第1経路および前記第2経路のいずれか一方に設けられている、請求項1または2に記載の空気調和機。
  4. 前記除菌手段は、正イオンまたは負イオンの少なくともいずれか一方を送出するイオン発生装置である、請求項1から3のいずれかに記載の空気調和機。
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