JP4533325B2 - 対物レンズ駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光ディスク装置において光ディスク記録面に対して記録再生光を集光する対物レンズを駆動するための対物レンズ駆動装置に関するものである。
ディスク状の光記録媒体上に対して情報の記録再生を行う光ディスク装置は、ディスク上に比較的大容量の情報を記録でき、また、媒体も剛性が大きく取り扱いが容易なため、コンピュータの外部記録装置や映像音声の記録装置として広く用いられている。このような光ディスク装置において、光ディスク上の記録面に対して記録再生光を集光する対物レンズをフォーカシング方向(光ディスク面に接近/離遠する方向)、トラッキング方向(光ディスクの半径方向)、ラジアルチルト方向(光ディスク半径方向に傾く)、タンジェンシャルチルト方向(光ディスク接線方向に傾く)に駆動する装置が対物レンズ駆動装置である。特許文献1等において、従来の光ディスク装置における対物レンズ駆動装置が開示されている。
特許文献1の図1等に示すように、一般的な対物レンズ駆動装置は、対物レンズを含む可動部と、この可動部を支持する支持部材と、ヨーク及び永久磁石からなる磁気回路で構成される。可動部にはフォーカシングコイルとトラッキングコイルが取り付けられており、フォーカシングコイルに駆動電流を印加することにより、永久磁石からの磁束との作用により生じる電磁力で可動部をフォーカシング方向に駆動し、同様にトラッキングコイルに駆動電流を印加することにより、永久磁石からの磁束との作用により生じる電磁力で可動部をトラッキング方向に駆動する。また、可動部にはラジアルチルトコイルあるいはタンジェンシャルチルトコイルが取り付けられており、ラジアルチルトコイルに駆動電流を印加することにより、永久磁石からの磁束との作用により生じる電磁力で可動部をラジアルチルト方向に駆動し、同様にタンジェンシャルチルトコイルに駆動電流を印加することにより、永久磁石からの磁束との作用により生じる電磁力で可動部をタンジェンシャルチルト方向に駆動する。
この対物レンズ駆動装置では、一端を可動部に他端を固定部に固定された金属芯線等からなる支持部材が複数本平行リンクを構成するように配置されている。また、支持部材の固定部側に変形可能な基板などを介することにより、支持部材軸方向の剛性を小さくして、対物レンズをタンジェンシャルチルト方向に駆動できるようにしている。
特開2004−95133号公報(第14−25頁、第1図)
上記したように、従来の対物レンズ駆動装置では、対物レンズのタンジェンシャルチルト方向への駆動を可能にするために支持部材の軸方向の剛性を小さくしているが、これにより、対物レンズがタンジェンシャル並進方向に変位することもできるようになってしまう。対物レンズ駆動装置の組み立てのばらつきなどにより駆動力にアンバランスが生じる場合があるが、上記のような支持状態で、フォーカシング方向やトラッキング方向の駆動力にアンバランスが生じてしまうと、対物レンズは容易にタンジェンシャル方向に変位してしまう。このような対物レンズのタンジェンシャル方向への不要な変位は、光スポットの集光状態を劣化させる原因となり、このような光スポット品質の劣化は、記録再生時の信号劣化につながってしまう。
特に、近年ではディスクの高記録密度化が進み、記録再生光のレーザ波長が短くなり、対物レンズの開口が大きくなってきている。このため、光ディスクに対する対物レンズの不要な変位や傾きが生じると、僅かであっても光スポットの集光状態への悪影響を与えるようになってきている。したがって、従来の対物レンズ駆動装置よりもさらに、光ディスクに対する対物レンズの不要な変位や傾きを小さく抑える必要が生じてきている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、対物レンズのフォーカシング方向、トラッキング方向、ラジアルチルト方向、タンジェンシャルチルト方向へのそれぞれ独立した駆動を可能にするとともに、光ディスクに対する対物レンズの不要な変位や傾きを小さく抑えることができる対物レンズ駆動装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために本発明は、次のように構成される。
本発明は、光ディスクの記録面に光を集光する対物レンズと、前記対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを支持する一対の第一棒状弾性支持部材と、前記レンズホルダの駆動手段であって、前記レンズホルダを前記光ディスクに接近又は離遠する方向及び光ディスクの半径方向に駆動するためのフォーカシングコイル及びトラッキングコイル、前記レンズホルダを光ディスクの半径方向及び接線方向に傾けるためのラジアルチルトコイル及びタンジェンシャルチルトコイル、並びに磁気回路を含む駆動手段と、を有する対物レンズ駆動装置において、前記第一棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点のフォーカシング方向位置は、前記トラッキングコイルのフォーカシング方向における中心点の位置とほぼ一致していることを特徴とする対物レンズ駆動装置を提供するものである。
本発明は、また、光ディスクの記録面に光を集光する対物レンズと、前記対物レンズを保持するレンズホルダと、前記レンズホルダを支持する一対の第一棒状弾性支持部材と、前記レンズホルダの駆動手段であって、前記レンズホルダを前記光ディスクに接近又は離遠する方向及び光ディスクの半径方向に駆動するためのフォーカシングコイル及びトラッキングコイル、前記レンズホルダを光ディスクの半径方向及び接線方向に傾けるためのラジアルチルトコイル及びタンジェンシャルチルトコイル、並びに磁気回路を含む駆動手段と、を有する対物レンズ駆動装置において、前記第一棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点は、前記トラッキングコイルの幾何中心又は重心とほぼ一致していることを特徴とする対物レンズ駆動装置を提供するものである。
本発明の対物レンズ駆動装置において、前記第一棒状弾性支持部材とはタンジェンシャル方向反対側から前記レンズホルダを支持する少なくとも二対の第二棒状弾性支持部材を有しており、前記第二棒状弾性支持部材は、前記第一棒状弾性支持部材よりも軸方向の剛性が小さく、前記第二棒状弾性支持部材の一方の対が前記レンズホルダを支持する点のフォーカシング方向位置と、他方の対が前記レンズホルダを支持する点のフォーカシング方向位置とは、前記第一棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点を中心としてほぼ対称であることを特徴とする。
本発明の対物レンズ駆動装置において、前記第一棒状弾性支持部材とはタンジェンシャル方向反対側から前記レンズホルダを支持する一対の第三棒状弾性支持部材を有しており、前記第三棒状弾性支持部材は、前記第一棒状弾性支持部材よりも軸方向の剛性が小さく、前記第三棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点のフォーカシング方向位置は、前記第一棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点のフォーカシング方向位置とほぼ一致していることを特徴とする。
本発明の対物レンズ駆動装置において、前記第二棒状弾性支持部材の二対が前記レンズホルダを支持する点及び前記第三棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点と、前記第一棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点とは、タンジェンシャル方向に垂直な同一面内にはないことを特徴とする。
本発明の対物レンズ駆動装置において、前記第一棒状弾性支持部材、第二棒状弾性支持部材及び第三棒状弾性支持部材は、導電性を有する材料からなり、それぞれが、フォーカシングコイル、トラッキングコイル、ラジアルチルトコイル及びタンジェンシャルチルトコイルのいずれかに対する電流供給を行うことを特徴とする。
本発明の対物レンズ駆動装置において、前記第二棒状弾性支持部材のレンズホルダを支持する端とは反対側の端は、固定部に支持されており、当該固定部が前記第二棒状弾性支持部材の各対を支持する2点の間隔は、前記第二棒状弾性支持部材の各対がレンズホルダを支持する2点の間隔よりも狭いことを特徴とする。
以上、説明したように、本発明の対物レンズ駆動装置は、対物レンズをフォーカシング方向、トラッキング方向、ラジアルチルト方向、タンジェンシャルチルト方向のそれぞれに独立して駆動することが可能である一方で、光ディスクに対する対物レンズの不要な変位や傾きは小さく抑えられたものとなっている。これにより、光スポットの品質が向上されるので、ますます高記録密度化される光ディスクにして安定した記録再生を行うことができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の対物レンズ駆動装置を実施するための最良の形態を詳細に説明する。図1〜図10は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。また、図1〜図10において、x軸方向は図示しない光ディスクの接線方向であるタンジェンシャル方向、y軸方向は光ディスクの半径方向であるトラッキング方向、z軸方向は対物レンズの光軸方向であるフォーカシング方向である。
[第1実施形態]
本発明の対物レンズ駆動装置の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態における対物レンズ駆動装置の構成を概略的に示す斜視図である。図1において、対物レンズ駆動装置は、対物レンズ1、これを保持するレンズホルダ2、レンズホルダ2の支持手段、及びレンズホルダ2の周囲に配置される磁石群から構成されている。レンズホルダ2の側面には、フォーカシングコイル3a,3b、トラッキングコイル4a,4b,4c,4d、ラジアルチルトコイル13a,13b、並びにタンジェンシャルチルトコイル14a,14b,14c,14dが所定位置に取り付けられている。
レンズホルダ2の支持手段は、第一の固定部8及び第二の固定部9、並びにこれらの固定部とレンズホルダ2とを連結する棒状弾性支持部材とから構成されている。図示するように、レンズホルダ2は、第一の固定部8に一端を固定された第一の棒状弾性支持部材5a,5bと、第二の固定部9に一端を固定された第二の棒状弾性支持部材6a,6b,6c,6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bにより支持されている。これらの棒状弾性支持部材は導電性を有しており、フォーカシングコイル3a,3b、トラッキングコイル4a〜4d、ラジアルチルトコイル13a,13b並びにタンジェンシャルチルトコイル14a〜14dに対して電流供給を行う役割も兼ねている。
レンズホルダ2側面の第一の棒状弾性支持部材5a,5bが取り付けられている位置は、4つのトラッキングコイル4a〜4dの中心(幾何中心又は重心)とほぼ一致している。第二の棒状弾性支持部材6a,6cは、上記の第一の棒状弾性支持部材5a,5bの取り付け位置からフォーカシング方向に一定の距離を置いた位置に取り付けられている。また、第二の棒状弾性支持部材6b,6dは、第一の棒状弾性支持部材5a,5bの取り付
け位置を中心として、上記の第二の棒状弾性支持部材の一部6a,6cと対称な位置に取り付けられている。また、第三の棒状弾性支持部材7a,7bは、上記の第一の棒状弾性支持部材5a,5bの取り付け位置からトラッキング方向(y軸方向)に一定距離を置いた位置に取り付けられている。こうして、第一の棒状弾性支持部材5a,5bと、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bとが、対物レンズ1を挟んだ両側からレンズホルダ2を支持している。第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bは、軸方向の剛性を小さくするために屈曲部等を一部に設けている。尚、本実施形態の対物レンズ駆動装置においては、固定部8に固定されるのは、第一の棒状弾性支持部材5a,5bの一対のみである。この構成により、レンズホルダ2の駆動の自由度を確保することが可能となっている。
フォーカシングコイル3a,3b、トラッキングコイル4a〜4d、ラジアルチルトコイル13a,13bは、第一の棒状弾性支持部材5a,5b、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d、第三の棒状弾性支持部材7a,7bのレンズホルダ保持側の端部と半田等の導電性融着材により電気的に接続されている。また、第一の棒状弾性支持部材5a,5bの他方の端は第一の固定部8に、第二の棒状弾性支持部材6a〜6dと第三の棒状弾性支持部材7a,7bの他方の短は第二の固定部9に、それぞれ半田等の導電性融着材により電気的に接続されている。第一の固定部8には、それぞれ、シリコーンゲル等の粘弾性部材を充填したダンピングホルダ10が固定され、第一の棒状弾性支持部材5a,5bに減衰を与える構造となっている。また、第二の棒状弾性支持部材6a〜6dと第三の棒状弾性支持部材7a,7bは、屈曲部等にシリコーン等の粘弾性部材を塗布し、減衰を与られるようになっている。
ここで、対物レンズ1とレンズホルダ2とフォーカシングコイル3とトラッキングコイル4とラジアルチルトコイル13a,13bとタンジェンシャルチルトコイル14a〜14dが可動部となる。
レンズホルダ2の周囲には、コイル群に駆動力を与えるための磁石群として、永久磁石15a〜15h及びヨーク16,17が配置されている。永久磁石15a,15b,15c,15d,15e,15fは、磁化方向が図中x軸方向で隣り合う磁石同士が逆相となるように配置されている。永久磁石15g,15hは、磁化方向が図中y軸方向で対向する面が同相となるようにとなっている。各々の磁石15a〜15hは、磁性体から構成されたヨーク部材であるヨーク16に取り付けられ固定される。また、このヨーク16には対物レンズ駆動装置のカバーを兼ねた上ヨーク17が取り付けられ、磁気回路を形成している。この磁気回路によって、フォーカシング方向とトラッキング方向、ラジアルチルト方向(x軸回転方向)、タンジェンシャルチルト方向(y軸回転方向)の4方向に可動の4自由度対物レンズ駆動装置となっている。
図2は、本実施形態における対物レンズ駆動装置のラジアルチルト方向及びタンジェンシャルチルト方向における駆動を概略的に示す斜視図である。図2(a)はラジアルチルト方向の動作を示しており、図2(b)はタンジェンシャルチルト方向の動作を示している。
図2(a)において、ラジアルチルトコイル13a,13bに駆動電流を印加すると、一方のラジアルチルトコイル13bがz軸正方向に駆動され、他方のラジアルチルトコイル13aがz軸負方向に駆動されるようにコイルが結線されている。これによりx軸回転方向のラジアルチルトモーメント18が発生し、対物レンズ1がラジアル方向に傾けられる。同様に、図2(b)において、タンジェンシャルチルトコイル14a〜14dに駆動電流を印加すると、2個のタンジェンシャルチルトコイル14b,14dがz軸正方向に駆動され、他の2個のタンジェンシャルチルトコイル14a,14bがz軸負方向に駆動
されるようにコイルが結線されている。これによりy軸回転方向のタンジェンシャルチルトモーメント19が発生し、対物レンズ1がタンジェンシャル方向に傾けられる。尚、ラジアルチルトコイル13a,13b、タンジェンシャルチルトコイル14a〜14dは駆動電流の方向を変えるとモーメント18,19の方向を逆にすることができる。
図1に示すように、第一の棒状弾性支持部材5a,5bは、一端がトラッキングコイル4a〜4dの中心(幾何中心又は重心)に該一致するようにレンズホルダ2に取り付けられ、他端が第一の固定部8に取り付けられている。第一の棒状弾性支持部材5a,5bは、ストレートワイヤ等の軸方向の剛性が大きい材料で構成されている。ここで、トラッキングコイル4a〜4dの中心と第一の棒状弾性支持部材5a,5bのレンズホルダ2への取り付け位置である支持中心を一致させるのは、トラッキング駆動時に支持中心を中心に生じるモーメントを小さくするためである。これによってトラッキング駆動時にラジアル方向の対物レンズ1の傾きを抑制することができる。前記モーメントはトラッキング駆動が静的な場合で、周波数成分をもった動的なトラッキング駆動時はトラッキングコイル4a〜4d中心と可動部重心の位置の差がモーメントに寄与する。したがって、トラッキングコイル4a〜4d中心と第一の棒状弾性支持部材5a,5bの支持中心と可動部重心とを一致させると、トラッキング駆動時における静的及び動的な全てモーメントを低減し、ラジアル方向の対物レンズ1の傾きを抑制することができる。また、第一の棒状弾性支持部材5a,5bは軸方向に剛性が大きいため、タンジェンシャル方向への変位を最小にすることができ、光スポットの品質劣化を防ぎ、記録再生時の信号を良好にできる。
図3は、本実施形態における対物レンズ駆動装置の棒状弾性支持部材によるレンズホルダの支持安定化方法を示す図である。図3(a)に示すように、前記トラッキングコイル4a〜4dと第一の棒状弾性支持部材5a,5bとの関係では、可動部がフォーカシング方向に駆動されると第一の固定部8の支持中心21を中心にモーメント22によって、第一の棒状弾性支持部材5a,5bの曲げが発生し対物レンズ1をタンジェンシャル方向に傾かせることとなる。この傾きは、光スポットの品質を劣化させ、記録再生時の信号劣化につながるため、フォーカシング方向に駆動する場合は対物レンズ1を傾かせないのがよい。そこで、第二の棒状弾性支持部材の一部6a,6cは第一の棒状弾性支持部材5a,5bからフォーカシング方向に一定以上の距離をもって取り付け、さらに第二の棒状弾性支持部材の一部6b,6dは第一の棒状弾性支持部材5a,5bの取り付け位置を中心に、前記第二の棒状弾性支持部材の一部6a,6cとフォーカシング方向に対称な位置に取り付けている。図3(b)に示すように、この4本の第二の棒状弾性支持部材のばね性によって、前記モーメント22とは逆向きのモーメント23が発生し、相殺することによって、対物レンズ1を傾かせる要因のモーメント低減できる。前記逆向きのモーメント23は、モーメント22よって発生する第二の棒状弾性支持部材6a〜6dにおけるy軸方向の変位ΔLによる主に軸方向のばね性によって、上側の第二の棒状弾性支持部材6a,6cはy軸方向正の力24と下側の第二の棒状弾性支持部材6b,6dはy軸方向の負の力25によって生じる。
上記のような仕組みにより、第一の棒状弾性支持部材5a,5bの上側に配置される第二の棒状弾性支持部材の一部6a,6cよって発生するモーメントと下側に配置される第二の棒状弾性支持部材の一部6b,6dよって発生するモーメントとがほぼ等しければ、対物レンズ1の挙動を乱すことなくフォーカシング方向に並進駆動することが可能となる。したがって、上側の第二の棒状弾性支持部材6a,6cと下側の第二の棒状弾性支持部材6b,6dの本数やばね性や、第一の棒状弾性支持部材5a,5bからの距離などを、前記上側と下側とのモーメントが等しくなるように適宜調整すればよい。本実施形態では、4本の第二の棒状弾性支持部材6a〜6dを同一形状にすることによりばね性を等しくし、第一の棒状弾性支持部材5a,5bを中心にフォーカシング方向に対称に配置することによって、前記条件である上側と下側とのモーメントを簡便に等しくしている。
また、第三の棒状弾性支持部材7a,7bは、上記した第二の棒状弾性支持部材6a〜6dの配置関係に影響を与えないように、第一の棒状弾性支持部材5a,5bの取り付け位置からトラッキング方向(y軸方向)に一定距離を置いた位置に取り付けている。第三の棒状弾性支持部材7a,7bは、このような配置により、棒状弾性支持部材の形状などに制約がなくなり、取り付けばらつきにも強くなるため、組み立て性が向上する。前記第三の棒状弾性支持部材7a,7bのばね性が第二の棒状弾性支持部材6a〜6dより十分に小さければ(例えば1/10以下)、上記したモーメントのバランスを乱すことがないため、第三の棒状弾性支持部材7a,7bの取り付け位置は自由に選ぶことができる。また、第二の棒状弾性支持部材6a〜6dと第三の棒状弾性支持部材7a,7bとで合わせて、第一の棒状弾性支持部材5a,5bの上側及び下側のモーメントが等しくなるように各棒状弾性支持部材の形状及び配置を設計してもよい。
これら第一の棒状弾性支持部材5a,5b、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d、並びに第三の棒状弾性支持部材7a,7bに導電性を持たせることにより、フォーカシングコイル3a,3b、トラッキングコイル4a〜4d、ラジアルチルトコイル13a,13b、並びにタンジェンシャルチルトコイル14a〜14dに対する電流供給用リード線の役割を兼ねさせることができる。これにより、部品点数が低減され、低コストでさらに組み立て性が向上した対物レンズ駆動装置が提供されることになる。
図4は、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bの形状を詳細に示す図である。図4に示すように、棒状弾性支持部材の一部に屈曲部26を設け、この屈曲部26を挟むようにシリコーン等の粘弾性部材27を塗布することにより、減衰を与えるとともに、軸方向の剛性を小さくすることができる。このとき棒状弾性支持部材間への粘弾性部材27の塗布ではなく、棒状弾性支持部材と固定部ホルダ11間に粘弾性部材を塗布しても同様に減衰を与えることができる。あるいは、棒状弾性支持部材の一部にコイル部28などを設けて、軸方向の剛性を小さくしてもよい。
[第2実施形態]
本発明の対物レンズ駆動装置の第2実施形態について説明する。本実施形態の対物レンズ駆動装置は、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bの形状及びその固定構造が第1実施形態のものとは異なっていることを特徴とする。これ以外の部分については、第1実施形態の対物レンズ駆動装置と同様に構成されているものとする。
図5は、本実施形態の対物レンズ駆動装置における、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bの固定構造を概略的に示す図である。図5において、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bには、その軸方向の剛性を小さくする構造は設けられていない。一方で、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bの一端は、スリットを設けた片持ち梁形状の第二の固定部9によって保持されている。この第二の固定部9の片持ち梁形状の部分がばね性を有するため、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bには、ストレートワイヤなどの軸方向に剛性が大きなが材料を使用することができ、棒状弾性支持部材のコスト低減が可能となる。また、上記同様に、固定部ホルダ11をダンピングホルダ10と同様な構造とし、シリコーンゲル等の粘弾性部材を充填し、減衰を与える構造をとることもできる。
[第3実施形態]
本発明の対物レンズ駆動装置の第3実施形態について説明する。本実施形態の対物レンズ駆動装置は、第一の棒状弾性支持部材5a,5b、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d
及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bそれぞれのレンズホルダ2上の固定位置が第1実施形態のものとは異なっていることを特徴とする。これ以外の部分については、第1実施形態の対物レンズ駆動装置と同様に構成されているものとする。
図6は、本実施形態の対物レンズ駆動装置における、第一の棒状弾性支持部材5a,5b、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bそれぞれのレンズホルダ2上の固定位置を概略的に示す図である。図6において、第一の棒状弾性支持部材5a,5b、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bそれぞれのレンズホルダ2上の取り付け位置は、フォーカシング方向(z軸方向)に関しては第1実施形態と同様の配置となっているが、トラッキング方向(y軸方向)においては、第一の棒状弾性支持部材5a,5bと、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bとが互いに間隔を置いた配置となっている。このような配置により、レンズホルダ2側面において、第一の棒状弾性支持部材5a,5bの取り付け位置と、第三の棒状弾性支持部材7a,7bの取り付け位置とが、x軸方向に重ならなくなるため、第一〜第三の棒状弾性支持部材全ての取り付け位置をほぼ同一のyz平面に配置して、対物レンズ駆動装置のy軸方向の厚みを小さく抑えることができる。また、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bの共通化が図れるため、組立性の向上とコスト低減を図ることができる。また、上記のレンズホルダ2側面の間隔に光軸が通過する孔を設けることが可能となり、対物レンズ駆動装置の薄型化を図ることも可能となる。
[第4実施形態]
本発明の対物レンズ駆動装置の第4実施形態について説明する。本実施形態の対物レンズ駆動装置は、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bの第二の固定部9における支持位置が第1実施形態のものとは異なっていることを特徴とする。これ以外の部分については、第1実施形態の対物レンズ駆動装置と同様に構成されているものとする。
図10は、本実施形態の対物レンズ駆動装置における、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bの第二の固定部9における支持位置を概略的に示す図である。図10において、第二の棒状弾性支持部材6a〜6d及び第三の棒状弾性支持部材7a,7bは、その軸方向の剛性を小さくするために屈曲部等を一部に設け、レンズホルダ保持側の端部のトラッキング方向支持間隔201より他方の端部のトラッキング方向支持間隔202が狭く配した。ラジアルチルトコイル13a,13bの入力電流あるいは電圧当たりの対物レンズラジアルチルト方向傾き(ラジアルチルト駆動感度)を大きくするには、簡便な方法としてラジアルチルト方向の支持部材による回転剛性を低下させる方法がある。ラジアルチルト方向の支持部材による回転剛性は、支持部材の曲げ剛性をkb、支持中心から支持位置までの距離をLとすると、kb・Lであらわされる。すなわち、支持中心からの支持位置までの距離Lを小さくすると回転剛性を簡易に小さくすることが可能となり、ラジアルチルト駆動感度を向上できる。ここでの支持中心からの支持位置までの距離Lは固定部9側の位置関係で、支持位置を支持中心に集めることによって、第1実施形態より対物レンズ駆動装置の小型化が可能となる。
第二の棒状弾性支持部材6a〜6dは、その軸方向の剛性を小さくするために屈曲部等を一部に設け、レンズホルダ保持側の端部のフォーカシング方向支持間隔より他方の端部のフォーカシング方向支持間隔を狭く配すると、タンジェンシャルチルト方向に関してトラッキング方向と同様の効果が得られる。
[光ピックアップ構成例]
本発明の対物レンズ駆動装置を搭載した光ピックアップの構成例を図7に示す。図7において、光ピックアップ111は、対物レンズ1を含む対物レンズ駆動装置101、発光素子102,103を備えている。この光ピックアップ111において、発光素子102,103から射出された記録再生光は、対物レンズ1により光ディスク上に集光されるようになっている。このように本発明の対物レンズ駆動装置を用いることで、高密度化に適した光ピックアップ111を構成することができる。尚、ここでは第一実施形態の対物レンズ駆動装置を用いたピックアップを例示しているが、他の実施形態の対物レンズ駆動装置を用いた場合であっても、光ピックアップを同様に構成することができる。
[光ディスク装置構成例]
上記の光ピックアップを搭載した光ディスク装置の構成例を図8に示す。図8において、光ディスク装置112は、光ディスク装置112は、光ディスク113を回転させるスピンドルモータ114と、光ピックアップ111と、光ピックアップ111を光ディスク113の半径方向に移動させる送り機構と、それらを制御するコントローラ115を備えている。コントローラ115にはスピンドルモータ114の回転制御回路116が接続しており、スピンドルモータ114に取り付けられた光ディスク113の回転制御が行われる。また、コントローラ115には光ピックアップ111の送り制御回路117が接続しており、光ピックアップ111を光ディスク113の半径方向に移動させる送り制御が行われる。光ピックアップ111で検出された各種信号118は、サーボ信号検出回路119と再生信号検出回路120に送られ、サーボ信号検出回路119によりフォーカスエラー信号やトラックエラー信号が生成され、コントローラ115からの指令と合わせてフォーカシング駆動回路121とトラッキング駆動回路122からの信号により対物レンズ1のフォーカシング方向とトラッキング方向の位置制御が行われる。
ここで、光ディスク113と対物レンズ1の傾きによる出力信号を図9に示す。図9に示すように、出力信号は、光ディスク113と対物レンズ1との間に傾きがない場合に最大となる。この現象を用いて、対物レンズ1をラジアル方向あるいはタンジェンシャル方向に傾かせ最大出力となる対物レンズ1の傾きを求めると、光ディスク113と対物レン
ズ1間の傾きを小さくすることができる。すなわち、発振器123を介してラジアルチルト駆動回路124を駆動し、光ディスク113を一周する間の出力信号をメモリ機能125に一時保管し、最適なラジアルチルト駆動電流を求める。同様に発振器123を介してタンジェンシャルチルト駆動回路126を駆動し、光ディスク113を一周する間の出力信号をメモリ機能125に一時保管し、最適なタンジェンシャルチルト駆動電流を求める。前記ラジアルチルト及びタンジェンシャルチルト駆動電流を再びラジアルチルト駆動回路124及びタンジェンシャル駆動回路126に印加することによって、光ディスク113と対物レンズ1間の傾きを小さくすることができ、高密度化に適した光ディスク装置112を実現することができる。前記最適な駆動電流を求める機能を、光ディスク113の最内周、最外周をサンプリングし、線形近似して用いてもよい。ここで、サンプリングの光ディスク113の場所を3箇所以上とし、n次関数の近似式を求めると光ディスク113全面における光ディスク113と対物レンズ1間の傾きを小さくすることができる。
以上、本発明の対物レンズ駆動装置について、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態又は他の実施形態にかかる発明の構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。
本発明の第1実施形態における対物レンズ駆動装置の構成を概略的に示す斜視図である。 図1に示す対物レンズ駆動装置のラジアルチルト方向及びタンジェンシャルチルト方向における駆動を概略的に示す斜視図である。 図1に示す対物レンズ駆動装置の棒状弾性支持部材によるレンズホルダの支持安定化方法を示す図である。 図1に示す対物レンズ駆動装置の第二の棒状弾性支持部材及び第三の棒状弾性支持部材の形状を詳細に示す図である。 本発明の第2実施形態における対物レンズ駆動装置における、第二の棒状弾性支持部材及び第三の棒状弾性支持部材の固定構造を概略的に示す図である。 本発明の第3実施形態における対物レンズ駆動装置について、第一の棒状弾性支持部材、第二の棒状弾性支持部材及び第三の棒状弾性支持部材それぞれのレンズホルダ上の固定位置を概略的に示す図である。 本発明の対物レンズ駆動装置を搭載した光ピックアップの構成例を示す図である。 図7に示す光ピックアップを搭載した光ディスク装置の構成例を示す図である。 図8に示す光ディスク装置における光ディスクと対物レンズの傾きによる出力信号を示す図である。 本発明の第4実施形態における対物レンズ駆動装置について、第二の棒状弾性支持部材の支持位置を概略的に示す図である。
符号の説明
1・・・対物レンズ、2・・・レンズホルダ、3a,3b・・・フォーカシングコイル、4a〜4d・・・トラッキングコイル、5a,5b・・・第一の支持部材、6a〜6d・・・第二の支持部材、7a,7b・・・第三の支持部材、8・・・第一の固定部、9・・・第二の固定部、13a,13b・・・ラジアルチルトコイル、14a〜14d・・・タンジェンシャルチルトコイル、26・・・屈曲部、101・・・対物レンズ駆動装置、111・・・光ピックアップ、112・・・光ディスク装置、113・・・光ディスク

Claims (7)

  1. 光ディスクの記録面に光を集光する対物レンズと、
    前記対物レンズを保持するレンズホルダと、
    前記レンズホルダを支持する一対の第一棒状弾性支持部材と、
    前記第一棒状弾性支持部材とは前記光ディスクのタンジェンシャル方向反対側から前記レンズホルダを支持する少なくとも二対の第二棒状弾性支持部材と、
    前記レンズホルダの駆動手段と、を有する対物レンズ駆動装置において、
    前記第二棒状弾性支持部材は、前記第一棒状弾性支持部材よりも軸方向の剛性が小さく、
    前記光ディスクに接近又は離遠する方向であるフォーカシング方向において、
    前記第二棒状弾性支持部材の一方の対が前記レンズホルダを支持する点の位置と、他方の対が前記レンズホルダを支持する点の位置とは、前記第一棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点を中心としてほぼ対称であることを特徴とする対物レンズ駆動装置。
  2. 請求項1に記載の対物レンズ駆動装置において、
    前記第一棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点のフォーカシング方向位置は、前記トラッキングコイルのフォーカシング方向における中心点の位置とほぼ一致していることを特徴とする対物レンズ駆動装置。
  3. 請求項に記載の対物レンズ駆動装置において、
    前記第一棒状弾性支持部材とはタンジェンシャル方向反対側から前記レンズホルダを支持する一対の第三棒状弾性支持部材を有しており、
    前記第三棒状弾性支持部材は、前記第一棒状弾性支持部材よりも軸方向の剛性が小さく

    前記第三棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点のフォーカシング方向位置は、前記第一棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点のフォーカシング方向位置とほぼ一致していることを特徴とする対物レンズ駆動装置。
  4. 前記第二棒状弾性支持部材の二対が前記レンズホルダを支持する点及び前記第三棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点と、前記第一棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点とは、タンジェンシャル方向に垂直な同一面内にあることを特徴とする請求項3に記載の対物レンズ駆動装置。
  5. 前記第二棒状弾性支持部材の二対が前記レンズホルダを支持する点及び前記第三棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点と、前記第一棒状弾性支持部材が前記レンズホルダを支持する点とは、タンジェンシャル方向に垂直な同一面内にはないことを特徴とする請求項に記載の対物レンズ駆動装置。
  6. 前記第一棒状弾性支持部材、第二棒状弾性支持部材及び第三棒状弾性支持部材は、導電性を有する材料からなり、それぞれが、フォーカシングコイル、トラッキングコイル、ラジアルチルトコイル及びタンジェンシャルチルトコイルのいずれかに対する電流供給を行うことを特徴とする請求項に記載の対物レンズ駆動装置。
  7. 前記第二棒状弾性支持部材のレンズホルダを支持する端とは反対側の端は、固定部に支持されており、当該固定部が前記第二棒状弾性支持部材の各対を支持する2点の間隔は、前記第二棒状弾性支持部材の各対がレンズホルダを支持する2点の間隔よりも狭いことを特徴とする請求項に記載の対物レンズ駆動装置。
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