JP3583074B2 - 対物レンズ駆動装置および光ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクの記録面に光を集光する対物レンズを、フォーカシング方向とトラッキング方向と対物レンズの光軸の傾き方向に駆動する対物レンズ駆動装置および光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高密度化が進む光ディスク装置において良好な記録再生を行うために、光ディスクの記録面に光を集光する対物レンズを、フォーカシング方向とトラッキング方向に加えて、対物レンズの光軸の傾き方向にも駆動し、光ディスクの傾きに対しても補正する対物レンズ駆動装置が求められている。このような対物レンズ駆動装置としては、例えば特開平6−162540号公報に開示されている。
【0003】
特開平6−162540号公報によれば、対物レンズホルダーを傾動可能に支持する支持材は、8本の平行な直線形状とし、一端を対物レンズホルダーの側面に、他端は基台の支持固定部に固着し、可動部をフォーカス方向、トラッキング方向、傾き方向の3方向に移動および傾動可能に支持している。また、上記8本の支持材は、4本の直線状の弾性体からなる支持材を、対物レンズホルダー側面とこの対物レンズホルダーを情報記録媒体の周方向に挟むように配置された支持材固定部とに固定後、対物レンズホルダー側面中央にて切断することにより構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
光ディスク装置において、対物レンズで集光された光をフォーカシング方向とトラッキング方向および対物レンズの光軸の傾き方向に高速・高精度に、なおかつ低消費電力で位置決めするためには、対物レンズ駆動装置の各方向への動作感度を高める必要がある。
【0005】
対物レンズの光軸の傾き方向への静的な動作感度Stは、駆動電圧Vを印加したときに、対物レンズを含む可動部を固定部に対して支持する支持部材の中心回りに作用するモーメントをM、各支持部材のばね定数をki、支持部材の中心から各支持部材の固定位置までの距離をLiとすると、
【0006】
【数1】
と表される。ここで添字のiは複数本の支持部材の何番目かを示す。この式から、傾き方向への動作感度を高めるためには、支持部材の中心回りに作用するモーメントを大きくするのは当然として、支持部材のばね定数を小さくすることと、支持部材の中心から各支持部材の固定位置までの距離を小さくすることが必要である。
【0007】
しかし、上記特開平6−162540号公報では、8本の直線状の支持部材がレンズホルダの側面に固着されており、支持部材の中心から各支持部材の固定位置までの距離が大きく、動作感度の向上という点に関しては必ずしも十分とは言えない。また、4本の直線状の弾性体からなる支持材を、対物レンズホルダー側面とこの対物レンズホルダーを情報記録媒体の周方向に挟むように配置された支持材固定部とに固定後、対物レンズホルダー側面中央にて切断し8本の支持材とすることは、切断作業が増えコストが高くなるという問題があった。
【0008】
本発明はこのような点に鑑み、対物レンズで集光された光をフォーカシング方向とトラッキング方向および対物レンズの光軸の傾き方向に駆動制御する場合に、動作感度の向上と組立作業性の向上を図った対物レンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
光ディスクの記録面に光を集光する対物レンズと、前記対物レンズを保持するレンズホルダと、一端が固定部に固定され、前記レンズホルダを含む可動部を固定部に対してフォーカシング方向とトラッキング方向および前記対物レンズの光軸の傾き方向に動作可能に支持する直線状の4本の第1の支持部材と、前記4本の支持部材が固定された位置よりも内側で一端が固定部に固定され、中間にコイル形状部もしくは屈曲部を設けた2本の第2の支持部材とを有し、前記レンズホルダの側面に4本の前記第1の支持部材を固定する貫通孔と、2本の前記第2の支持部材を固定する溝を設けたことを特徴とする対物レンズ駆動装置。
上記目的を達成するために本発明の対物レンズ駆動装置は、対物レンズを保持するレンズホルダを含む可動部を固定部に対してフォーカシング方向とトラッキング方向と対物レンズの光軸の傾き方向に動作可能に支持する直線状の4本の第1の支持部材と、中間にコイル形状部もしくは屈曲部を設けた2本の第2の支持部材とを有し、第1の支持部材はレンズホルダの側面に設けた穴に挿入して固定し、第2の支持部材はレンズホルダの側面に設けた固定溝に固定し、第1の支持部材の固定部側端部が第2の支持部材の固定部側端部よりも外側に位置している。
【0010】
また、レンズホルダの側面に設けた固定溝に固定した2本の第2の支持部材を、対物レンズの光軸方向において、直線状の4本の第1の支持部材の固定位置の中心よりも対物レンズに近い側で固定する構成とした。以上のように2本の第2の支持部材の中間にコイル形状部もしくは屈曲部を設けることで、第2の支持部材のばね定数を小さくすることができ、傾き方向の動作感度の向上が図れる。また、前記中間にコイル形状部もしくは屈曲部を設けた2本の第2の支持部材を、前記レンズホルダの側面に設けた溝に沿わせて固定することにより、第1、第2の支持部材の組立作業性を向上することができる。さらに、2本の第2の支持部材の固定位置を、4本の第1の支持部材の固定位置の中心よりも対物レンズに近い側にすることで、第1、第2の支持部材の支持中心と可動部の重心を近接させることができるので、静的にも動的にもバランスのとれた対物レンズ駆動装置を実現できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
図1は本発明の対物レンズ駆動装置の構成を示す斜視図である。対物レンズ1を保持するレンズホルダ2には、2個のフォーカシングコイル3と4個のトラッキングコイル4及び2個の傾き動作用コイル11が取り付けられる。フォーカシングコイル3と傾き動作用コイル11は上下に並んで配設されている。ここでは、フォーカシングコイル3を上に、傾き動作用コイル11を下に示したが、上下逆でも構わない。対物レンズ1とレンズホルダ2とフォーカシングコイル3とトラッキングコイル4及び傾き動作用コイル11が可動部5となる。直線状の4本の支持部材6a、6b、6c、6dは、一端をレンズホルダ2の外縁部に固定し、他端を固定部7に固定する。2本の支持部材6e、6fは、中間に屈曲部を有しており、一端をレンズホルダ2に他端を固定部7に固定する。この6本の支持部材6a、6b、6c、6d、6e、6fにより可動部5を固定部7に対して動作可能に支持している。永久磁石8は、対物レンズ1の両側に位置するフォーカシングコイル3とトラッキングコイル4および傾き動作用コイル11を挟むように相対向し、磁性体から成るヨーク9に固着される。ヨーク9の底面からはインナーヨーク10が、フォーカシングコイル3と傾き動作用コイル11の内側に位置するよう設けられる。
【0012】
対物レンズ駆動装置の駆動は次のように行う。2個のフォーカシングコイル3には、永久磁石8からの磁束との作用により生じる電磁力が同方向となるように駆動電流を印加し、可動部5を対物レンズ1の光軸方向であるフォーカシング方向に駆動する。また、2個の傾き動作用コイル11には、永久磁石8からの磁束との作用により生じる電磁力が逆方向となるように駆動電流を印加する。それにより、可動部5を6本の支持部材の剛性バランスで決まる支持中心の回りに回転駆動する。また、4個のトラッキングコイル4には、永久磁石8からの磁束との作用により生じる電磁力が同方向となるように駆動電流を印加し、可動部5を光ディスクの半径方向であるトラッキング方向に駆動する。
【0013】
ここで、6本の支持部材6a、6b、6c、6d、6e、6fの取付方法について図2を用いて説明する。直線状の4本の支持部材6a、6b、6c、6dは、レンズホルダ2の外縁部に設けた穴12a、12b、12c、12dと固定部7に設けた穴17a、17b、17c、17dに挿入し、接着剤あるいは半田などによりレンズホルダ2と固定部7に固定する。ここでは支持部材6a、6b、6c、6dをレンズホルダ2側から固定部7へ向かって挿入しているが、固定部7側からレンズホルダ2へ向かって挿入してももちろん構わない。中間に屈曲部を有する2本の支持部材6e、6fは、固定部側を固定部7に設けた穴17e、17fに挿入し、レンズホルダ側をレンズホルダ2の側面に設けた溝13e、13fに沿わせるように位置決めし、接着剤あるいは半田などによりレンズホルダ2と固定部7に固定する。なお、6本の支持部材6a、6b、6c、6d、6e、6fは、図示はしていないが、フォーカシングコイル3とトラッキングコイル4と傾き動作用コイル11と半田などにより電気的に接続される。なお、6本全ての支持部材を導電部材で形成する必要はなく、少なくともレンズ中心を通る線に対して対称に配置された支持部材のうち2本の支持部材が導電部材で形成されていればよい。すなわち、ばね作用が左右で略均等になるように導電部材で形成された支持部材が配置されていれば良い。
【0014】
本実施例のように2本の支持部材6e、6fの中間に屈曲部を設けることで、支持部材6e、6fの全長を長くでき、ばね定数を小さくすることができる。前述のように、傾き方向の動作感度は支持部材のばね定数に反比例となるので、支持部材6e、6fの中間に屈曲部を設けることにより傾き方向の動作感度を向上することができる。
【0015】
また、中間に屈曲部を設けた支持部材6e、6fを、レンズホルダ2と固定部7の両方共に穴に挿入して固定しようとすると、どちらか一方へ支持部材6e、6fを深く挿入し、もう一方へ折り返すようにして挿入する必要があり、作業が困難になる。これに対して本実施例では、レンズホルダ2への支持部材6e、6fの固定は、レンズホルダ2の側面に設けた溝13e、13fに沿わせて行うため、支持部材を折り返す必要が無く、作業が容易になる。
【0016】
さらに本実施例では、レンズホルダ2の側面に設けた溝13e、13fに沿わせて固定した2本の支持部材6e、6fの固定位置を、図3に示すように、対物レンズ1の光軸方向において、直線状の4本の支持部材6a、6b、6c、6dの固定位置の中心よりも対物レンズ1に近い側としている。これにより、6本の支持部材6a、6b、6c、6d、6e、6fの剛性バランスで決まる支持中心を対物レンズ1に近づけることができる。図3のように、対物レンズ1をレンズホルダ2の上部に取り付けた場合は、可動部5の重心は4本の支持部材6a、6b、6c、6dの固定位置の中心よりも対物レンズ1側にある。従って、本構成により支持中心と可動部5の重心を近接させることが可能となり、静的にも動的にもバランスのとれた対物レンズ駆動装置を実現できる。
【0017】
なお、レンズホルダ2の下部にバランスウエイトなどを取り付けて、可動部5の重心が4本の支持部材6a、6b、6c、6dの固定位置の中心に対して対物レンズ1と反対側になる場合には、支持部材6e、6fの固定位置を、対物レンズ1の光軸方向において、4本の支持部材6a、6b、6c、6dの固定位置の中心に対して対物レンズ1と反対側とすれば良い。いずれの場合も、支持部材6e、6fの固定位置を、対物レンズ1の光軸方向において、4本の支持部材6a、6b、6c、6dの固定位置の中心に対して可動部5の重心に近い側とすれば良い。
【0018】
次に、本発明の他の実施例を図4に示す。本実施例では、第1の実施例における支持部材6e、6fを、中間にコイル形状部を有する支持部材16e、16fとしたものである。このように支持部材16e、16fの中間にコイル形状部を設けることで、ばね定数をさらに小さくすることができ、傾き方向の動作感度を向上することができる。その他の構成および効果については第1の実施例と同様である。
【0019】
図5に前述の対物レンズ駆動装置を用した光ディスク装置の斜視図を示す。ディスク装置は、円盤状の情報記録媒体であるディスク51を装置内へ搬送し、その後、スピンドルモータ52の回転軸に設けられたターンテーブルへ搭載し、その後固定するディスクローディング機構を備えている。このディスクローディング機構は、ディスクトレー61と、図示していないローディング用モータと、モータの駆動力を伝達するギアと、駆動力伝達部材およびディスク51をスピンドルモータ52のターンテーブルに固定するディスククランパ53によって構成されている。ディスクローディング動作は、まず、ディスク51を装置内に搬入あるいは、装置外に搬出するため、搬送時にディスク1を載せるディスクトレー61を装置のフロントパネル60に設けた搬入出孔より出し入れする動作がある。さらに、装置内に搬入されたディスク1をスピンドルモータ52のターンテーブルに搭載し、トップカバー58のディスク51に対面する面に備えているディスククランパ53により固定するため、スピンドルモータ52、ディスク51の情報を再生あるいは記録再生する光ヘッド54と、これらを保持しているユニットメカシャシ55を一体的に上下昇降させる動作とからなる。ディスク51がスピンドルモータ52に固定されると、スピンドルモータ52は規定の回転数で回転し、ユニットメカシャシ55に備えた前記光ヘッド54により、ディスク51に記録された情報の再生を行ったり、またはディスク51に情報を記録する。
【0020】
この光ヘッド54は、ディスク51の方向にレンズを移動させる駆動手段に加え、半径方向に移動させる駆動手段を備えている。また、ユニットメカシャシ55には、スピンドルモータ52や、前記光ヘッド54が取付けられている。装置外部からユニットメカシャシ55に伝わる振動や衝撃は、インシュレータ56a、b、c、d(弾性部材)により減衰される。ユニットメカシャシ5は、このインシュレータ56a、b、c、dを介して図示していないユニットホルダーに取り付けられている。さらに、前記ユニットホルダーはメカベース57部に嵌合結合している。このメカベース部57の下には、スピンドルモータ等の制御を行う回路基板が取付けられ、その外側はボトムカバーで覆われる構成となっている。ディスク装置は、ボトムカバー59及びトップカバー58が取り付けられた状態でコンピュータ装置等に組み込まれるよう構成されている。
【0021】
光ヘッド54を駆動し、情報の読み出し又は書込みを行う時に、対物レンズを駆動して、光ディスク面上の情報記録一に焦点を合す必要が有るが、その時にレンズが傾いたり、また、変形したディスク面となっている時には、レンズ自体を傾き制御行う必要が有る。そのため、先の実施例で述べた対物レンズ駆動装置を適用することで、高速にしかも高精度に位置合わせが可能となる。
【0022】
【発明の効果】
このように本発明によれば、2本の支持部材の中間にコイル形状部もしくは屈曲部を設けることで、支持部材のばね定数を小さくすることができ、傾き方向の動作感度の向上が図れる。また、中間にコイル形状部もしくは屈曲部を設けた2本の支持部材を、レンズホルダの側面に設けた溝に沿わせて固定することにより、支持部材の組立作業性を向上することができる。さらに、中間にコイル形状部もしくは屈曲部を設けた2本の支持部材の固定位置を、直線状の4本の支持部材の固定位置の中心よりも対物レンズに近い側にすることで、支持部材の支持中心と可動部の重心を近接させることができるので、静的にも動的にもバランスのとれた対物レンズ駆動装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対物レンズ駆動装置の実施例を示す図である。
【図2】本発明の実施例における支持部材の取付方法を示す図である。
【図3】本発明の実施例における支持部材の取付位置を示す図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す図である。
【図5】本発明の対物レンズ駆動装置を適用した光ディスク装置の斜視図である。
【符号の説明】
1…対物レンズ、2…レンズホルダ、3…フォーカシングコイル、4…トラッキングコイル、5…可動部、6a、6b、6c、6d、6e、6f…支持部材、7…固定部、8…永久磁石、9…ヨーク、10…インナーヨーク、11…傾き動作用コイル、12a、12b、12c、12d…レンズホルダに設けた穴、12e、12f…レンズホルダに設けた溝、17a、17b、17c、17d…固定部に設けた穴。
Claims (5)
- 光ディスクの記録面に光を集光する対物レンズと、前記対物レンズを保持するレンズホルダと、一端が固定部に固定され、前記レンズホルダを含む可動部を固定部に対してフォーカシング方向とトラッキング方向および前記対物レンズの光軸の傾き方向に動作可能に支持する直線状の4本の第1の支持部材と、前記4本の支持部材が固定された位置よりも内側で一端が固定部に固定され、中間にコイル形状部もしくは屈曲部を設けた2本の第2の支持部材とを有し、前記レンズホルダの側面に4本の前記第1の支持部材を固定する貫通孔と、2本の前記第2の支持部材を固定する溝を設けたことを特徴とする対物レンズ駆動装置。
- 請求項1に記載の対物レンズ駆動装置において、前記レンズホルダの側面に設けた溝に沿わせて固定した2本の第2の支持部材を、前記対物レンズの光軸方向において、前記第1の支持部材の固定位置の中心よりも前記対物レンズに近い側で固定することを特徴とする対物レンズ駆動装置。
- 請求項1に記載の対物レンズ駆動装置において、前記レンズホルダの側面に設けた溝に沿わせて固定した2本の第2の支持部材を、前記対物レンズの光軸方向において、4本の前記第1の支持部材の固定位置の中心よりも前記可動部の重心に近い側で固定することを特徴とする対物レンズ駆動装置。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置において、少なくとも前記2本の第2の支持部材は導電部材で形成されていることを特徴とする対物レンズ駆動装置。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の対物レンズ駆動装置を用いた光ディスク装置。
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