JP4531000B2 - ストークおよびこれを用いた差圧鋳造機 - Google Patents

ストークおよびこれを用いた差圧鋳造機 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウムやその合金等の金属溶湯の差圧鋳造に用いられるストークおよびこれを用いた差圧鋳造機に関する。
従来より、省エネルギーの観点から自動車部品の軽量化が推進され、自動車を構成するフード、フロントバンパービーム、リアバンパービーム、フロントサブフレーム、リアサブフレーム、リアサブフレーム、トランクリッド等の各種構成部品は、アルミニウムが採用されるようになっている。そのうえ、さらなる省エネルギーを目指してこのような部品の軽量化の要求は一層厳しくなり、これら部品を軽量化するために薄肉化の検討が必要になってきている。しかしながら、これら部品を単に薄肉化しただけでは機械的強度が不足するため、薄肉化するには材料そのものの機械的強度の向上が必須となる。このような部品の機械的強度を向上させるには、材質の変更、製造方法の変更など種々の方法が考えられる。そのなかで最も簡単な方法は部品中の不純物の量を減らすことにより、材料そのものが有する理論強度にできるだけ近づけることである。
部品中の不純物の量を減らすには、不純物の少ない材料を用いる、あるいは金属溶湯中の不純物を除去する方法が挙げられる。しかしながら、不純物の少ない材料を用いる場合、原料自体が非常に高価になり、得られた部品の価格も非常に高価になるという問題があった。
このような問題を解決するために、特許文献1では、金属溶湯中の不純物を除去するために、金属溶湯の流路を有するサイアロンからなる管状部の内面に気孔率が40〜60%、抗折強度が4.9〜11.8MPa(50〜120Kg/cm)である微細フィルターと、この微細フィルターの少なくとも一方の面に気孔率が70〜90%、抗折強度が4.9〜14.7MPa(5〜15Kg/cm)である粗フィルターとを密着させたフィルター部を管状部の内周面およびフィルター部の外周面間にパッキングを介在させることで装着し、このフィルター部によって金属溶湯中の不純物を除去した差圧鋳造用ストークが提案されており、このフィルター部は、アルミナ、炭化珪素、ムライト、コージェライトのいずれかよりなるフォームセラミックスで構成したことが記載されている。また、フィルター部は、管状部とフィルター部との間にパッキングを挿入することで管状部に装着することが記載されている。
特開平8−1303号公報
特許文献1で提案された差圧鋳造用ストークは、金属溶湯中の酸化物などを除去することにより、得られる自動車用部品の機械的強度を高くすることを目的にしているものの、フィルター部を成す材料は、アルミナ、炭化珪素、ムライトの何れかから選択した焼結体で形成するが、これらの耐熱衝撃温度はいずれも600℃以下と低いものであった。しかし、アルミニウムを溶かすにはアルミニウムの融点660℃以上に温度を上げる必要があるが、これら焼結体はアルミニウムの融点の温度範囲に対し耐熱衝撃性が十分高いものではないため、室温と、アルミニウムやその合金等を溶融させる温度800℃との間で加熱、冷却を繰り返すと、フィルター部にクラックが発生しやすいという問題を避けられなかった。
また、フィルター部をコージェライトにより形成した場合、その耐熱衝撃温度はアルミナ、炭化珪素およびムライトより高くなるものの、フィルター部がフォームセラミックで構成されるため、アルミニウム溶湯がフィルター部の気孔を通過するときに気孔内で捕集された不純物による目詰まりで圧力損失が発生し、しかも急激に増加するという問題を有していた。
また、管状部とフィルター部との間に挿入されたパッキングの材質によっては、溶融したアルミニウムがパッキングと反応して、冷却時にアルミニウム反応物を生成する。そして、このアルミニウム反応物はフィルター部を管状部に固着し、不純物の捕集効率が低下したフィルター部を容易に交換することができないという課題があった。
本発明はこのような課題に鑑み、信頼性の高い管状部と、加熱、冷却を繰り返してもクラックが発生したり、圧力損失が急激に増加したりすることがなく、しかも容易に交換することができるフィルター部とからなるストークを提供するものである。
本発明は、金属溶湯を鋳型に形成されたキャビティ内に導入するための管状のストークであって、組成式Si 6−Z Al 8−Z で表され、固溶量zが0.1〜1であるβ−サイアロンを主相とし、粒界相にRE(周期律表第3族元素)−Al−Si−Oを含む窒化珪素質焼結体から成る管状部と、該管状部の一方端部に装着され、複数の隔壁で区画形成された貫通孔を備えたハニカム構造を有するチタン酸アルミニウム質焼結体から成るフィルター部と、を備えたことを特徴とする。
た、前記フィルター部は、隔壁の気孔率が20〜38%であることを特徴とするものである。
た、前記フィルター部は、貫通孔に対して垂直な断面における開口率が50〜80%であることを特徴とするものである。
また、前記管状部を成す窒化珪素質焼結体は、800℃における四点曲げ強度が500MPa以上、かつ、室温から800℃における熱膨張係数が3.4×10−6/℃以下であることを特徴とするものである。
さらに、鋳型に形成されたキャビティ内に前記ストークを介して金属溶湯を導入し、キャビティ内の金属溶湯を凝固させることを特徴とするものである。
本発明は、金属溶湯を鋳型に形成されたキャビティ内に導入するストークであり、管状部が、組成式Si 6−Z Al 8−Z で表され、固溶量zが0.1〜1であるβ−サイアロンを主相とし、粒界相にRE(周期律表第3族元素)−Al−Si−Oを含む耐熱衝撃性の高い窒化珪素質焼結体、管状部の一方端部に装着されるフィルター部が耐熱衝撃温度1500℃のチタン酸アルミニウム質焼結体から形成されることにより、加熱、冷却を繰り返してもストークにクラックが発生することがなく、同時に、管状部、フィルター部間に溶滓(ノロ)が集積し、この溶滓(ノロ)により管状部フィルター部一時的に固着しても、フィルター部を形成するセラミック焼結体の熱膨張係数を窒化珪素質焼結体の熱膨張係数より小さくすることで、管状部はフィルター部より大きく伸縮するため、溶滓(ノロ)には亀裂が発生して、剥離、落下するため、フィルター部を容易に交換することができる。
また、フィルター部を複数の隔壁で区画形成された貫通孔を備えたハニカム構造にすることにより、フィルター部をフォームセラミックで形成した場合より、整流作用は高くなるため、不純物による目詰まりが発生しにくく、圧力損失が急激に増加することがない。
さらに、フィルター部を酸化物であるチタン酸アルミニウム質焼結体で形成することにより、溶融したアルミニウムが一部酸化して生成したアルミナ膜がフィルター部を被覆す
るようなことはないので、長期間安定して不純物の捕集効率を維持することができる。さら、チタン酸アルミニウムの耐熱衝撃温度は1500℃と高いので、信頼性向上することができる
またさらに、フィルター部は、隔壁の気孔率を20〜38%とすることで、不純物の捕集効率、機械的特性ともに高くすることができる。
さらにまた、フィルター部は、貫通孔に対して垂直な断面における開口率を50〜80%とすることで、機械的特性に優れるとともに、圧力損失をさらに低減することができる。
また、管状部を成す窒化珪素質焼結体は、800℃における四点曲げ強度を500MPa以上とすることで、この温度における強度が高くなるため、溶融したアルミニウムに浸積している部分の変形が小さくなり、かつ、室温から800℃における熱膨張係数を3.×10−6/℃以下とすることで、溶融したアルミニウムに浸積している部分と、浸積していない部分との熱膨張の差が小さくなり、管状部全体としての変形を抑制することができる。
本発明の差圧鋳造機は、鋳型に形成されたキャビティ内に上述のような特性を備えたストークを介して、金属溶湯の導入をしているので、キャビティ内の金属溶湯を効率的に凝固させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の差圧鋳造機を用いて鋳造する様子を示す断面図であり、図2(a)は本発明のストークを示す断面図であり、同図(b)は本発明のストークに備えられるフィルター部を示す斜視図である。
図1において、1は鋳造品の形状に適合したキャビティであり、上型2aと下型2bおよび横型2cからなる鋳型2によって形成されている。下型2bにはキャビティ1に連通する湯口3が開口している。ストーク4は、管状部5と、管状部5の下端に装着されるフィルター部6とを備えており、管状部5の上端は鋳型2の湯口3に接続され、下端は保持炉7内の金属溶湯8に浸漬し、フィルター部6の上方に湯面10は保持される。
このようなストーク4を用いた差圧鋳造機では、次のようにして鋳造が行われる。即ち、保持炉7内の金属溶湯8は管状部5の外周側の湯面9上に圧力(図中矢印で示す)が印加されると湯面9は下降し、それに伴って管状部5内の湯面10は上昇を始め、金属溶湯8はフィルター部6および湯口3を経由して鋳型2内のキャビティ1に導入される。導入した金属溶湯8は鋳型2の内部で冷却され凝固を始める。湯面9には一定時間圧力がかけられキャビティ1内では加圧下で凝固が進行する。金属溶湯8が湯口3の近傍で凝固しかけた状態で、湯面9の圧力は除去され、管状部5内の金属溶湯8は下降して1回のサイクルが終了する。
ここで、本発明のストーク4は、管状部5が窒化珪素質焼結体から成り、耐熱衝撃性が高いことから、繰り返しの使用においてもクラックが発生するのを有効に防止することができる。
また、管状部5を成す窒化珪素質焼結体の高温強度や熱膨張係数は、管状部5全体の変形に関与し、窒化珪素質焼結体の高温強度を高くし、熱膨張係数を小さくすることで管状部5の変形を抑制することができる。高温強度を高くすることで、溶融したアルミニウムに浸積している部分の変形が小さくなり、熱膨張係数を小さくすることで、溶融したアルミニウムに浸積している部分と、浸積していない部分との熱膨張の差が小さくなり、管状部5全体としての変形を抑制することができるからであり、管状部5を成す窒化珪素質焼結体は、800℃における四点曲げ強度を500MPa以上、かつ、室温から800℃における熱膨張係数を3.×10−6/℃以下とすることが好適である。
800℃における四点曲げ強度および室温から800℃における熱膨張係数は、それぞれJIS R 1604−1995、JIS R 1618−2002に準拠して測定すればよい。管状部5が小さく、各JIS規格で定める試験片の寸法を切り出せない場合、可能な範囲で切り出せる試験片を作製するか、各JIS規格で規定する試験片を別途作製し、前記各物性値を測定してもよい。
さらに、管状部5はβ−サイアロンとして組成式Si6−ZAl8−Zで表され、固溶量zが0.1〜1であるβ−サイアロンを主相とし、粒界相にRE(周期律表第3族元素)−Al−Si−Oを含み、例えばAl、Si、REの構成比率がAl、SiO、RE換算でAl5〜50質量%、SiO5〜20質量%、残部がREからなる粒界相を焼結体に対して20体積%以下の範囲で含み、Fe珪化物粒子をFe換算で焼結体に対し0.02〜3質量%含有し、800℃における熱伝導率が10W/m/K以上である窒化珪素質焼結体からなることが好適である。この窒化珪素質焼結体に対しては、金属溶湯内のアルミニウムやその合金等が新たに固溶しにくいので、管状部5の内面に溶滓(ノロ)が付着しにくくなるからである。
また、管状部5の下端にはフィルター部6が備えられ、このフィルター部6は、前記管状部6を成す窒化珪素質焼結体の熱膨張係数より小さく、且つ耐熱衝撃温度が900℃以上のセラミック焼結体からなり、複数の隔壁11で区画形成された貫通孔12を備えたハニカム構造を有するものである。
これにより、加熱、冷却を繰り返してもフィルター部6においてもクラックが発生するのを有効に防止できる。また、管状部5、フィルター部6間に溶滓(ノロ)が集積し、この溶滓(ノロ)が管状部5とフィルター部6を一時的に固着しても、フィルター部6を形成するセラミック焼結体の熱膨張係数を管状部5を成す窒化珪素質焼結体の熱膨張係数より小さくすることで、管状部5はフィルター部6より大きく伸縮するため、溶滓(ノロ)には亀裂が発生して、剥離、落下するため、フィルター部6を容易に交換することができる。
また、フィルター部6を形成するセラミック焼結体の熱膨張係数は、管状部5を成す窒化珪素質焼結体の熱膨張係数より、両者の熱膨張係数の差が0.2×10−6/℃以上あればよいが、好ましくは、2.2×10−6/℃以上、より好ましくは3.0×10−6/℃以上である。
このような材質として、フィルター部6はチタン酸アルミニウム質焼結体で形成することが重要である。チタン酸アルミニウム質焼結体は、その熱膨張係数が1×10−6/℃程度であるため、上述の効果を得られやすい。またチタン酸アルミニウム質焼結体は、酸化物であるため、アルミニウム溶湯が一部酸化して生成したアルミナ膜がフィルター部6を被覆するようなことがないため、長期間安定して不純物の捕集効率を維持することができる。さら、チタン酸アルミニウムの耐熱衝撃温度は1500℃と高いので、信頼性向上することができる
さらに、フィルター部6は、複数の隔壁11で区画形成された貫通孔12を備えたハニカム構造であることから、フィルター部6をフォームセラミックで形成した場合より、整流作用は高くなるため、溶湯中の不純物による目詰まりが発生しにくく、圧力損失が急激に増加することがない。
なお、フィルター部6の耐熱衝撃温度については、JIS C 2141−1992に準拠して測定すればよく、試験片としてはJIS C 2141−1992で規定する試験片以外、フィルター部6をそのまま用いてもよい。また、室温から800℃における熱膨張係数は、JIS R 1618−2002に準拠して測定すればよい。
このようなストーク4は、例えば外径80〜150mm、内径60〜130mm、厚み10〜15mm、全長600〜1200mmの管状部5と、外径58〜128mm、隔壁11の厚み0.5〜2mm、貫通孔12のピッチ、即ち隔壁11の厚みと貫通孔12の一辺の長さの合計2〜6mm、全長10〜20mmのフィルター部6とから成り、フィルター部6のハニカム構造は、金属溶湯8の導入方向に対して垂直な断面における貫通孔12の形状が四角形状、円形状、楕円形状、N角形状(Nは5以上の整数)であっても何等差し支えないが、特に、貫通孔12の形状によって貫通孔12の容積が変わり、フィルター部6の捕集効率に影響を与えるため、貫通孔12の形状は四角形状とすることが好ましく、円形状または楕円形状にした場合より、隔壁2の体積を減少できるため、各貫通孔12の容積は増加し、捕集効率を高くすることができるからである。
前記貫通孔12は、金属溶湯8の導入方向に対して垂直な断面が四角形状の中でも正方形状であることがより好ましい。垂直な断面が長方形、菱形、台形の場合に比べ、正方形のほうが、貫通孔12の内部における金属溶湯の流速を一定に保ちやすいため、金属溶湯8中の不純物の捕集効率が高いからである。
また、フィルター部6を形成する隔壁11は、その気孔率によって不純物の捕集効率や機械的特性が影響を受ける。気孔率を高くすると不純物の捕集効率を高くすることができるが、機械的特性は低くなる。気孔率を低くすると、機械的特性は高くすることができるが、不純物の捕集効率は低くなる。そこで、フィルター部6を形成する隔壁11は、その気孔率を20〜38%とすることが好ましく、フィルター部6は不純物の捕集効率、機械的特性ともに高くすることができる。
なお、フィルター部6の気孔率は、水銀圧入法を用いて測定することができる。
また、フィルター部6は、貫通孔12に対して垂直な断面における開口率を50〜80%とすることで、機械的特性を高くすることができるとともに、圧力損失をさらに低減することができる。これは、フィルター部6の開口率によって、フィルター部6の機械的特性や圧力損失の大きさに影響を受け、開口率を低くすると機械的特性を高くすることができるが、圧力損失も高くなる。一方、開口率を高くすると機械的特性は低くなるが、圧力損失も低くすることができるためである。
なお、この開口率とは、貫通孔12に対して垂直な断面における、隔壁11、貫通孔12および隔壁の外周側で隔壁を支持する外周壁13の合計面積に対する貫通孔12の総面積の比率をいい、ゲージを備えた顕微鏡で測定、算出することができる。
また、図3は本発明の差圧鋳造機の他の実施形態を示す断面図である。
図3において、1は鋳造品の形状に適合したキャビティであり、上型2aと下型2bおよび横型2cからなる鋳型2によって形成されている。下型2bにはキャビティ1に連通する湯口3が開口している。ストーク4は、管状部5と、管状部5の下端に装着されるフィルター部6とから成り、管状部5の上端は鋳型2の湯口3に接続され、下端は保持炉7内の金属溶湯8に浸漬し、フィルター部6の下方に湯面10は保持される。
このようなストーク4を用いた差圧鋳造機では、次のようにして鋳造が行われる。即ち、保持炉7内の金属溶湯8は管状部5の外周側の湯面9上に圧力(図中矢印で示す)が印加されると湯面9は下降し、それに伴って管状部5内の湯面10は上昇を始め、金属溶湯8はフィルター部6および湯口3を経由して鋳型2内のキャビティ1に導入される。導入した金属溶湯8は鋳型2の内部で冷却され凝固を始める。湯面9には一定時間圧力がかけられキャビティ1内では加圧下で凝固が進行する。金属溶湯8が湯口3の近傍で凝固しかけた状態で、湯面9の圧力は除去される。管状部5内の金属溶湯8は下降して1回のサイクルが終了する。
次に、本発明のストークの一部を構成する、窒化珪素質焼結体から成る管状部の製造方法について説明する。
この窒化珪素質焼結体から成る管状部5は、β−サイアロンとして組成式Si6−ZAl8−Zで表され、固溶量zが0.1〜1であるβ−サイアロンを主相とし、粒界相にRE(周期律表第3族元素)−Al−Si−Oを含み、例えばAl、Si、REの構成比率がAl、SiO、RE換算でAl5〜50質量%、SiO5〜20質量%、残部がREからなる粒界相を焼結体に対して20体積%以下の範囲で含み、Fe珪化物粒子をFe換算で焼結体に対し0.02〜3質量%含有し、800℃における熱伝導率が10W/以上とするものである。
このような管状部を得るための第1の製造方法は、β化率40%以下であって、固溶量zが0.5以下である窒化珪素質粉末と、添加物成分としてRE,Al,Feの各粉末と、必要に応じてWO粉末とをバレルミル、回転ミル、振動ミル、ビーズミル等を用いて湿式混合、粉砕してスラリーとする。
ここで、β化率とは、X線回折法で得られたα(102)回折線とα(210)回折線の各ピーク強度の和をIα、β(101)回折線とβ(210)回折線の各ピーク強度の和をIβとしたときに、次の式によって算出される値である。
(β化率)=100×Iβ/(Iα+Iβ) (%)
窒化珪素質粉末のβ化率は、窒化珪素質焼結体の強度、破壊靱性値に影響し、β化率40%以下の窒化珪素質粉末を用いるのは、強度、破壊靱性値とも高くすることができるからであり、β化率が40%を超える窒化珪素質粉末は焼成工程で粒成長の核となって粗大かつアスペクト比の小さい結晶となりやすく、強度、破壊靱性値とも低下するからである。
特に、β化率10%以下の窒化珪素質粉末を用いるのが好適である。
また、固溶量zは、窒化珪素質焼結体の熱伝導率に影響し、含有するβ型窒化珪素質部の固溶量zが0.5以下である粉末を用いるのは、焼結後にアスペクト比5以上の針状結晶組織が得られ、窒化珪素質焼結体の強度、熱伝導率とも高くすることができるからであり、固溶量zが0.5を超える場合、窒化珪素質粉末が焼成工程で粒成長の核となり、焼結後の主相となるβ−サイアロンの固溶量zが1を超えやすく、熱伝導率が低下する。
粉砕で用いるメディアは、窒化珪素質、ジルコニア質、アルミナ質等の各種焼結体からなるメディアを用いることができるが、不純物が混入しにくい材質、あるいは同じ材料組成の窒化珪素質焼結体からなるメディアが好適である。
なお、粒度分布曲線の累積体積の総和を100%としたときの累積体積が90%となる粒径(D90)が3μm以下となるまで粉砕することが焼結性の向上および結晶組織の針状化の点から好ましい。粉砕によって得られる粒度分布は、メディアの外径、メディアの量、スラリーの粘度、粉砕時間等で調整することができる。スラリーの粘度を下げるには分散剤を添加することが好ましく、短時間で粉砕するには、予め累積体積50%となる粒径(D50)が1μm以下の粉末を用いることが好ましい。
次に、得られたスラリーをJIS R 6001−1998で定義された粒度200メッシュより細かいメッシュを通した後に乾燥させて顆粒を得る。また、スラリーの段階でパラフィンワックスやPVA(ポリビニルアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)などの有機バインダーを粉体重量に対して1〜10質量%外添、混合するほうが成形性のために好ましい。乾燥は、ビーカーなどで乾燥させても良いし、スプレードライヤーにて乾燥させても良く、他の方法であっても何ら問題ない。
次に、得られた顆粒を冷間等方圧加圧法(CIP)を用い、相対密度45〜60%の所望の形状とする。成形圧力は50〜300MPaの範囲であれば成形体の密度の向上、顆粒の潰れ性の観点より好適である。得られた成形体は、窒素雰囲気中、真空雰囲気中などで脱脂した方が良い。脱脂温度は添加した有機バインダーの種類によって異なるが、900℃以下がよく、特に500〜800℃とすることが好適である。
次に、焼成による成分の揮発を抑制したり、外部からの異物の付着を防止したりするために、焼成サヤ内に成形体を配置する。焼成サヤの材質は、カーボン質、窒化珪素質、炭化珪素質、またはこれら複合物などの材質が良い。また、焼成サヤの気孔率が高い場合は、焼成サヤの表面に窒化珪素質の粉末を塗布しても良い。また、カーボン質からなる焼成さやの表面に窒化珪素質の粉末を塗布しても良い。焼成サヤ内には成形体の含有成分の揮発を抑制するためにRE、Al、SiOなどの成分を含んだ共材を配置しても良い。焼成炉は一般的な窒化珪素質成形体の焼成に用いる黒鉛抵抗発熱体を使用した焼成炉を用いることができる。
また、成形体の配置方法として、カーボン粉末など大気中の酸素ガスを除去可能な粉末中に焼成サヤごと埋設する方法や、焼成サヤ内に窒化珪素質粉末、炭化珪素質粉末中を充填し、その中に成形体を埋設する方法を用いれば、電気炉を用い、大気中で焼成することも可能である。このような方法では、大気中の酸素ガスは除去され、実質的に焼成雰囲気は窒素雰囲気となる。室温から300〜1000℃までは真空雰囲気中にて昇温し、その後窒素ガスを導入して、窒素分圧を50〜300kPaに維持する。このとき成形体の開気孔率は40〜55%程度であるため、成形体中には窒素ガスが十分充填される。1000〜1400℃付近では焼結助剤成分が固相反応を経て、液相成分を形成し、約1400℃以上の温度域で、β−サイアロンを析出し、緻密化が開始する。β−サイアロンはβ−SiのSi4+位置にAl3+、N3−の位置にO2−が置換固溶したものであり、Si−AlN−Al−SiO系の多くの状態図(例えば、K.H.Jack,J.Mater.Sci.、11(1976)1135−1158、Fig.11)にあるように、β(またはβ’とも言う)−サイアロン相の安定領域はSi−Al−SiO系に対してN3−が価数の安定には不足しており、外部からN3−の供給が必要となる。本発明者は鋭意検討した結果、成形体中に充填された窒素ガスがN3−となることを突き止めるとともに、窒素分圧を低く抑えることによってβ−サイアロンの固溶量zを低くすることが可能であることを見出した。すなわち、開気孔率が十分大きい段階(開気孔率が40〜55%から5%に達するまでの段階)はできるだけ窒素分圧を低く設定する必要があり、50〜300kPaとすることが重要である。窒素分圧が300kPaを超えると、β−Siに対しAl,O,Nの置換固溶が進み、固溶量zが1を超えやすくなり、熱伝導率が低下する。窒素分圧が50kPaより小さくなると、β−サイアロン(またはSi)の平衡窒素分圧より小さくなり、β−サイアロン(またはSi)の分解反応が進行して、シリコンが溶融するため、正常な窒化珪素質焼結体にならない。また、温度が1800℃を超えるとAl,O,Nの置換固溶が進行し、固溶量zが1を超えやすくなり、熱伝導率が低下する。焼結が進行し、開気孔率が5%未満となった場合、窒化質焼結体中への窒素ガスの供給量が少なくなるため、300kPaを超える窒素分圧であっても構わないし、1800℃以上の温度で焼成しても構わず、最終的には相対密度96%以上まで緻密化を進行させることで、高強度、高熱伝導の窒化珪素質焼結体が得られる。
なお微細な結晶組織を得るには焼成温度を1700℃以上、1800℃未満にすればよい。また、真空雰囲気中にて昇温後、窒素分圧は150kPa以下としたほうが経済的観点からも望ましい。より緻密化を促進するには、開気孔率が5%以下となった段階で200MPa以下の高圧ガス圧処理または熱間等方加圧(HIP)処理を施しても構わない。この場合、望ましくは開気孔率1%以下で、相対密度が97%以上、さらには99%以上まで焼結を促進させた後に高圧ガス圧処理または熱間等方加圧(HIP)処理を施すほうが良い。
また、添加したFe粉末、WO粉末は焼成で主相であるβ−サイアロン(Si)と反応して、酸素成分を脱離し、それぞれFe珪化物、W珪化物を生成する。
このような製造方法によって窒化珪素質焼結体から成る管状部5を得ることができるが、以下に示す第2の製造方法を用いてもよい。
先ず、シリコン粉末、上述と同様の窒化珪素質粉末および添加物粉末を、(シリコン粉末)/(窒化珪素質粉末)の重量比で1〜10となるように混合する、シリコン粉末は、窒化珪素質粉末、添加物粉末とともにイソプロピルアルコールで湿式混合、粉砕することもできるし、別途シリコン粉末のみを粉砕した後に、湿式混合することもできる。但し、シリコン粉末は大き過ぎると、その後の窒化不足や、焼結不良の原因となりやすいので、シリコン粉末単独で粒度分布曲線の累積体積の総和を100%としたときの累積体積が90%となる粒径(D90)が10μm以下、好ましくは6μm以下に粉砕することが重要である。さらに、同時に湿式混合、粉砕する場合や、別途粉砕した後に、湿式混合する場合、混合粉末の粒径(D90)を5μm以下にすることが重要である。混合、粉砕工程において粉砕するため、例えば、JIS R 6001−1998で定義された粒度40メッシュ以下の粒径の大きい安価なシリコン粉末を使用することは経済的に有効である。混合方法、粉砕方法、乾燥方法および成形方法は第1の製造方法に従って、成形体を形成すればよい。
なお、シリコン粉末を含有した成形体は含有しない成形体より相対密度は高く、その値は50〜65%となる。
次に、シリコン粉末を含有した成形体を、窒素分圧50kPa〜1.1MPa、温度1000〜1400℃の範囲でシリコン粉末を窒化珪素に変換して、β化率を40%以下、固溶量zを0.5以下の窒化珪素質多孔体を得ることができる。シリコン粉末は窒素ガスと窒化反応することでSi成分となる。このとき生成したSi成分はシリコン粉末より大きな体積となるが、多孔体の空隙部を埋めるように体積膨張するため、窒化反応により相対密度は55〜70%まで上昇し、その後の焼成収縮率が小さくなり、焼成変形が小さくなる利点がある。
また、相対密度の上昇によって閉気孔が増加すると、多孔体中からN3−の飛散を抑制することができるので、固溶量zが小さくなる利点もある。また、1000〜1400℃の温度範囲で窒化する際にRE−Al−SiOが固相反応しAlがSi中へ固溶しにくくなる利点もある。しかしながら、窒化反応は発熱反応であるため、急激な窒化反応は自己発熱による温度暴走を引き起こし、α−Siより焼結性の劣るβ−Si(サイアロン)への窒化、さらにはシリコンが溶融する危険性がある。また、(シリコン粉末)/(窒化珪素質粉末)の重量比が10より大きい場合、急激な窒化反応を制御するのが困難であり、温度暴走を引き起こすことがあり、(シリコン粉末)/(窒化珪素質粉末)の重量比が1より小さい場合、上述の利点が十分生かせないことがある。従って、(シリコン粉末)/(窒化珪素質粉末)の重量比は1〜10、望ましくは3〜8が良い。次に窒素分圧が50kPaより小さい場合、窒化反応が進まず、窒化不足となることもある。1.1MPaを超えると急激な窒化反応が発生し、温度暴走が生じやすくなる。また、1000℃より低い温度では窒化反応が進行しない。1400℃を超えると未窒化のシリコンが溶融して割れたり、あるいはRE−Al−Si−Oを含む液相が生成し、固溶量zの大きいβ−サイアロンが析出したりして、熱伝導率の低い焼結体となりやすい。
より好ましくは次のように窒化反応を進行させることが良い。すなわち、シリコン粉末を含む成形体は、窒化工程において成形体の表面のシリコン粉末から窒化が始まり、時間の経過とともに成形体の内部に存在するシリコン粉末の窒化が進行するので、窒化工程の途中には成形体表面よりも成形体内部で、シリコンの量が多い状態が存在する。成形体をこの状態から完全に窒化させるには、低温での窒化(第1の窒化工程)の後、高温での窒化(第2の窒化工程)を行う必要がある。すなわち、1000〜1200℃で成形体中のシリコン粉末の10〜70質量%を窒化するとともに、全窒化珪素(サイアロン)のβ化率を30%未満とする第1の窒化工程と、1100〜1400℃で成形体中のシリコン粉末の残部を窒化珪素(サイアロン)に変換して窒化珪素質多孔体を得るとともに、窒化珪素質多孔体の全窒化珪素(サイアロン)のβ化率を40%未満とする第2の窒化工程とによって、窒化による発熱反応を制御し、その後の均一な焼結を進行することが好ましい。第2の窒化工程の温度は第1の窒化工程の温度よりも高くする。また、第1の窒化工程と第2の窒化工程は連続して実施したほうが経済的であるため好ましい。
以上のようにしてシリコン粉末を窒化すると、β化率が40%以下、固溶量zが0.5以下の窒化珪素質多孔体となる。β化率10%以下の窒化珪素質多孔体とするほうが、アスペクト比5以上の針状結晶組織が得られ高強度となり望ましい。また前述のように焼結前の固溶量zは極力小さいほうが好適であるが、特に固溶量zが0.5を超えるようなβ−サイアロン粉末に窒化された場合、この粉末が粒成長の核となり、焼結後の主相となるβ−サイアロンの固溶量zは1を超えやすく、熱伝導率が低下する。
なお、焼成方法は第1の製造方法で示した方法に従えばよいが、窒化工程と焼成工程は連続で行ったほうが工程を短縮することができ、経済的に好ましいが、別途分けて実施しても構わない。
次に、本発明のストークの一部であるハニカム構造を有するフィルター部の製造方法について説明する。
iOとAlとの比率がモル比で40〜60:60〜40である成分100質量部と、組成式が(Na1−y)AlSi(0≦y≦1)で表わされるアルカリ長石、Mgを含むスピネル型構造の酸化物、MgOおよび焼成によりMgOに転化するMg含有化合物の少なくともいずれか1種からなる成分を1〜10質量部と、を調合して調合原料を得る。次に、成形体の外径を決定する内径が例えば、65〜145mmで、ハニカム構造体の隔壁を形成するためのスリットを有する成形型を用いて混練体を押出成形機に投入し、圧力を加えてハニカム状に成形した後、乾燥して所定の長さに切断加工する。その後、電気炉、ガス炉等の焼成炉を用い、成形体を温度1250℃〜1700℃で焼
成して、チタン酸アルミニウム質焼結体からなるフィルター部を得ることができる。
上述のような方法で得られたフィルター部を管状部の一方端部に装着された固定用部材(不図示)上に配置することで、本発明のストークを形成することができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
β−サイアロンとして組成式Si6−ZAl8−Zで表され、固溶量zが0.6であるβ−サイアロンを主相とし、Y−Al−Si−Oを含むとともにAl、Si、REの構成比率がAl、SiO、Y換算でAl28質量%、SiO23質量%、残部がYからなる粒界相を焼結体に対して10体積%含み、Fe珪化物粒子をFe換算で焼結体に対し1.5質量%含有した管状部5を作製し、表1に示す材質、構造からなるフィルター部6とを組み合わせて、ストーク4とし、それぞれ試料No.1〜24とした。
また、試料No.25はSiを主相とし、残部が焼結体に対し、Al0.7質量%およびY3.2質量%からなる粒界相を含む管状部、試料No26,27はSiを主相とし、残部が焼結体に対し、Al6質量%およびY4質量%からなる粒界相を含む管状部、試料No.28はSiを主相とし、残部が焼結体に対し、Al0.4質量%およびEr1.4質量%からなる粒界相を含む管状部をそれぞれ作製し、表1に示す材質、構造からなるフィルター部6とを組み合わせて、ストーク4とした。
また、炭化珪素質焼結体からなる管状部5と、コージェライト質焼結体からなるフィルター部6とを組み合わせて、ストーク4とし、試料No.29とした。
なお、これら試料No.1〜29における管状部5の各寸法は外径140mm、厚み10mm、全長900mmとし、フィルター部6の各寸法は外径138mm、隔壁11の厚み1mm、貫通孔12のピッチ4mm、全長18mmとした。また、貫通孔12の形状は溶湯の導入方向に対して垂直な断面を正方形状とした。
これら試料No.1〜29に対し、以下に述べる測定および評価を行った。
なお、表1でハニカムと記入したものはフィルター部6がハニカム構造を有し、二層積層と記入したものはフィルター部6がフォームセラミックスを二層積層した構造を有することを意味する。
管状部5の800℃における四点曲げ強度および室温から800℃における熱膨張係数については、それぞれJIS R 1604−1995、JIS R 1618−2002に準拠して、先ず試験片を作製した。そして、この試験片の800℃における四点曲げ強度および室温から800℃における熱膨張係数を上記JIS規格に準拠して測定し、その測定値を管状部5の800℃における四点曲げ強度および室温から800℃における熱膨張係数として、表1に示した。
また、フィルター部6の耐熱衝撃温度および室温から800℃における熱膨張係数については、それぞれJIS C 2141−1992、JIS R 1618−2002に準拠して、先ず試験片を作製した。そして、この試験片の耐熱衝撃温度および室温から800℃における熱膨張係数を上記JIS規格に準拠して測定し、その測定値をフィルター部6の耐熱衝撃温度および室温から800℃における熱膨張係数として、表1に示した。
フィルター部6の気孔率については水銀圧入法、開口率についてはゲージを備えた顕微鏡で測定、算出した。
フィルター部6の圧縮強度については、別途圧縮強度測定用のフィルター部6を作製し、互いに直交するいずれかの隔壁11と平行な方向よりフィルター部6に荷重を加え、フィルター部6が破壊したときの強度を測定し、その測定値を圧縮強度として表2に示した。
そして、管状部5とフィルター部6とから成るストーク4が取り付けられた図1に示す差圧鋳造機を用いて、アルミニウム合金の鋳造を行った。
具体的には、保持炉7内のアルミニウム合金の溶湯8は管状部5の外周側の湯面9上に圧力(図中矢印で示す)が印加されると湯面9は下降し、それに伴って管状部5内の湯面10は上昇を始め、アルミニウム合金の溶湯8はフィルター部6および湯口3を経由して鋳型2内のキャビティ1に導入される。導入したアルミニウム合金の溶湯8はキャビティ1内で冷却され凝固を始める。湯面9には一定時間圧力がかけられキャビティ1内では加圧下で凝固が進行する。金属溶湯8が湯口3の近傍で凝固しかけた状態で、湯面9の圧力は除去される。管状部5内のアルミニウム合金の溶湯8は下降する。このサイクルを1サイクルとして、1000サイクル終了後、管状部6全体の変形量をレーザー測長器で測定し、その変形量を表1に示した。
1000サイクルまでは100サイクル終了毎に、また1000サイクル終了後は1000サイクル終了毎に、管状部5およびフィルター部6のクラックの有無を観察し、クラックが観察されたサイクル数を表2に示した。なお、表2に○が記入されているものについては、20000サイクル終了してもクラックが観察されなかったものである。
また、100サイクル終了後、管状部5とフィルター部6が固着せず、フィルター部6を取り外せたものを○、管状部5とフィルター部6が固着して、フィルター部6を取り外せなかったものを×として表2に示した。
不純物の捕集率については、鋳造開始前のフィルター部6の重量(W)および1000サイクル終了後のフィルター部6の重量(W)を計り、以下の式で表される
ΔW=((W)−(W))/W×100 (%)
を捕集率として、表2に示した。
圧力損失については、差圧計にて1000サイクル終了後、アルミニウム合金の溶湯8の単位時間当たりの流量を Nm/分としたときのフィルター部6の入口側と出口側の差圧を測定し、この差圧を圧力損失とした。圧力損失の測定結果は試料No.10の圧力損失を1とし、試料No.10に対する各試料の圧力損失を相対値で表1に示した。この相対値が低いほど圧力損失が低く、相対値が高いほど圧力損失が高いことを意味する。
なお、表2で横線が施しているものは、管状部5やフィルター部6にクラックが観察されたり、フィルター部6が管状部5に固着したりしたために、その後の評価ができなかったり、評価項目自体がその試料の評価に相応しくなかったりしたものである。
Figure 0004531000
Figure 0004531000
表1からわかるように、フィルター部6を構成するセラミック焼結体の耐熱衝撃温度が900℃未満の試料No.1,2,3は、いずれも500サイクル以下でフィルター部6にクラックが観察された。
また、管状部5を成す窒化珪素質焼結体より、フィルター部6を構成するセラミック焼結体の熱膨張係数が大きい試料No.1,2、管状部5を成す窒化珪素質焼結体と、フィルター部6を構成するセラミック焼結体との熱膨張係数が等しい試料No.3およびフィルター部6が二層の積層構造である試料No.5は、100サイクル終了後、いずれも管状部5とフィルター部6が固着して、フィルター部6を取り外すことができなかった。
フィルター部6が二層の積層構造である試料No.5は、1000サイクル終了後の圧力損失が高かった。管状部5が炭化珪素質焼結体である試料No.29は、この炭化珪素の耐熱衝撃温度が400℃と低いので、100サイクル終了後に管状部5にクラックが観察された。
一方、試料No.4,6〜28は、窒化珪素質焼結体から成る管状部5と、この管状部5の一方端部に装着され、前記窒化珪素質焼結体の熱膨張係数より小さく、且つ耐熱衝撃温度が900℃以上のセラミック焼結体からなるフィルター部6と、から構成されているので、少なくとも10000サイクルまでは管状部5、フィルター部6のいずれにもクラックが観察されず、良好であることがわかる。
また、試料No.4,6〜28のフィルター部6は、複数の隔壁11で区画形成された貫通孔12を備えたハニカム構造であるので、整流作用が損なわれず、その結果、圧力損失が低い。
特に、試料No.6〜28のフィルター部6は、コージェライト質焼結体またはチタン酸アルミニウム質焼結体で形成されており、いずれの焼結体も酸化物であるため、アルミニウム溶湯が一部酸化して生成したアルミナ膜がフィルター部6を被覆することがなかったので、不純物の捕集率は10%以上と高い。
そして本発明の試料No.15〜23のフィルター部6は、チタン酸アルミニウム質焼結体で形成されており、このチタン酸アルミニウムの耐熱衝撃温度は1500℃であるため、20000サイクル終了後もフィルター部6にクラックが観察されず、信頼性が高いと言える。
また、隔壁の気孔率が20〜38%である試料No.7〜9,1〜18は不純物の捕集率を高い状態で維持しつつ、圧縮強度の高いフィルター部6を有するストーク4であることがわかる。
また、貫通孔12に対して垂直な断面における開口率が50〜80%である試料No.11〜13および20〜22は、圧縮強度を維持しつつ、開口率が高くなるほど圧力損失が低いフィルター部6を有するストーク4であることがわかる。
また、管状部5を成す窒化珪素質焼結体の800℃における四点曲げ強度が500MPa以上、かつ、室温から800℃における熱膨張係数が3.4×10−6/℃以下である試料No.4,6〜24は、管状部5の変形が2.2mm以下と小さく、アルミニウム合金の溶湯8をキャビティ1内に導入しやすいストーク4であると言える。
(a)は本発明の差圧鋳造機を用いて鋳造する様子を示す断面図である。 (a)は本発明のストークを示す断面図であり、同図(b)は本発明のストークに備えられるフィルター部を示す断面図である。 本発明の他の実施形態の差圧鋳造機を用いて鋳造する様子を示す断面図である。
符号の説明
1:キャビティ
2:鋳型
3:湯口
4:ストーク
5:管状部
6:フィルター部
7:保持炉
8:金属溶湯
9,10:湯面
11:隔壁
12:貫通孔
13:外周壁

Claims (4)

  1. 金属溶湯を鋳型に形成されたキャビティ内に導入するための管状のストークであって、組成式Si 6−Z Al 8−Z で表され、固溶量zが0.1〜1であるβ−サイアロンを主相とし、粒界相にRE(周期律表第3族元素)−Al−Si−Oを含む窒化珪素質焼結体から成る管状部と、該管状部の一方端部に装着され、複数の隔壁で区画形成された貫通孔を備えたハニカム構造を有するチタン酸アルミニウム質焼結体から成るフィルター部と、を備えたことを特徴とするストーク。
  2. 前記フィルター部は、隔壁の気孔率が20〜38%であることを特徴とする請求項1に記載のストーク。
  3. 前記フィルター部は、貫通孔に対して垂直な断面における開口率が50〜80%であることを特徴とする請求項1に記載のストーク。
  4. 鋳型に形成されたキャビティ内に請求項1〜のいずれかに記載のストークを介して金属溶湯を導入し、キャビティ内の金属溶湯を凝固させることを特徴とする差圧鋳造機。
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