JP5403851B2 - 珪酸ジルコニウム焼結体の製造方法 - Google Patents

珪酸ジルコニウム焼結体の製造方法 Download PDF

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本発明は珪酸ジルコニウム焼結体およびその製造方法に係り、特に耐熱分解乖離性に優れ、不純物含有量が少なく化学量論組成に近い緻密質焼結体であり、乾式再処理電解反応容器部品等の構成材として使用した場合に優れた耐食性および耐久性を発揮する珪酸ジルコニウム焼結体およびその効率的な製造方法に関する。
ジルコン(珪酸ジルコニウム,ZrSiO)焼結体は、本来耐火度が高く、加熱操作や冷却操作を加えても急激な容積変化を伴う変態を生じない安定した材料である。また、ジルコン焼結体は、他のジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)等の酸化物焼結体と比較して熱膨張係数が著しく小さいので、優れた熱衝撃抵抗性を有している。その反面、ジルコンは難焼結性であり単一成分での緻密化焼結が困難である。また、高温度環境下では、下記(1)式に示すようなジルコン特有の熱分解反応を引き起こす結果、遊離したジルコニア(ZrO)が焼結体中に多数存在することになり、焼結体の加熱および冷却過程において急激な体積変化を生じる。
[化1]
ZrSiO→ZrO+SiO ……(1)
そのため、珪酸ジルコニウム焼結体では、熱衝撃や温度勾配により亀裂や割れが生じたり、表面が剥離したりする現象が生じ易く、いわゆる耐スポーリング性が極端に悪化する場合があるために、材料として使用される技術分野が狭い範囲に限定される問題点が指摘されていた。従来の珪酸ジルコニウム焼結体の具体的な適用分野としては、連続鋳造用耐火物、ガラス工業用耐火物等の構成材料としての用途が中心であり、しかも他の成分との複合体で使用される場合が多く、ジルコンの単一成分から成る焼結体として使用される例は少なかった(例えば、特許文献1参照)。
また、難焼結性を有する珪酸ジルコニウム焼結体の緻密化焼結法については、従来から、原料粉末の粒度調整や添加剤(焼結助剤)の使用等による緻密化促進が鋭意研究されてきた。その代表的な研究例として、チタニア(TiO)およびチタニア−シリカ(SiO)−アルミナ(Al)系の添加剤を焼結助剤として使用したジルコンの緻密化焼結に関する報告がなされている(例えば、特許文献2および非特許文献1参照)。これらの文献によれば、ジルコンの焼結は、多量に添加された焼結助剤から生成された液相によって促進されると共に、生成した液相が焼結体中のジルコン結晶粒子の間隙を埋めることにより緻密性が向上することが開示されている。
特開2004−338977号公報 特開2001−151563号公報 菅井幹夫、宗宮重行著「SiO2−TiO2−Al2O3系液相を利用したジルコンの焼結」、窯業学会誌、90[8]、420−426(1982)
しかしながら、上記技術文献に記載された従来例のように、20質量%程度と比較的多量の添加剤を加えて最も緻密化を進行させた場合でも、珪酸ジルコニウム焼結体の相対密度は88%未満に止まっており、密度もせいぜい3.25〜4.09g/cmが限界である。さらに液相生成量を増加させた場合には、逆に液相がジルコン結晶粒子同士の結合を阻害し、焼結体組織内部に多数の閉気孔が残存する傾向が顕著になり、焼結体の構造強度が低下すると共に、耐食性も大幅に低下する問題点があった。
また、ジルコン焼結体の高温度環境下における熱分解性については、不純物の影響を強く受け、その不純物の存在により焼結体の分解温度の低下、および分解度の増大を招く問題もあった。特に、シリカ(SiO)に対して反応性が高い不純物ほどその影響が大きくなる傾向がある。すなわち、前記した緻密化促進に有効な添加剤は、熱分解の面からみると悪影響を及ぼす可能性が高い。
一方で、使用済み酸化物核燃料から、ウラン(U)・プルトニウム(Pu)を酸化物の形態で分離回収する乾式再処理プロセスの大きな課題として、溶融塩中での塩素ガス、ウラニルイオン等による反応容器材料の腐食があげられる。現在では、上記反応容器材料の構成材としてパイログラファイト(C)が使用されているが、使用寿命が短い難点があり、さらに耐食性および耐久性が優れた材料を開発することが検討課題となっている。
この点において、ジルコンは熱力学的平衡計算から有望な耐食材料の候補の一つとされている。現状の製造技術ではプラズマ溶射法でジルコンを基材上に一体にコーティングすることにより、比較的に小型で薄い耐食材料を実現することは可能とされている。しかしながら、厚膜化は困難であり、大型で厚い構造部品は実現できない問題点があった。
さらにプラズマ溶射法で構造部品を作成する場合、溶射時における材料の溶融・凝固過程でジルコンの乖離が起こり易く、均質組成を有する皮膜の形成が困難となる本質的な問題があった。また、上記の反応容器全体をジルコン焼結体で形成することを意図しても、前述のようにジルコンは難焼結性の物質であるため、溶融塩が浸透し難く、気孔がない緻密質の反応容器を作成することは極めて困難となる問題があった。
本発明は上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、耐熱分解乖離性に優れ、不純物含有量が少なく化学量論組成に近い緻密質焼結体であり、乾式再処理電解反応容器部品等の構成材として使用した場合に優れた耐食性および耐久性を発揮する珪酸ジルコニウム焼結体およびその効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成するために、特にジルコン焼結体の緻密化を進行させる方策について鋭意検討を行った。すなわち、ジルコン焼結体は、従来から単相での緻密化は困難であるとされていたが、本発明者ら多岐に及ぶ試作検討および比較実験を継続した結果、特に95%以上の高純度の原料粉末を微粉砕して使用し、さらに緻密化が十分可能な範囲で低い焼結温度において比較的長時間の条件で焼結を実施することにより、特に微細なジルコン結晶粒を含有し気孔が少ない均一な組織を有し高密度の緻密質のジルコン焼結体が初めて得られるという知見を得た。さらにジルコン焼結体の緻密化を促進する目的で、粒成長を助長しない温度範囲で熱間静水圧加圧(HIP)焼結を実施することが有効であるという知見も得た。本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明に係る緻密質珪酸ジルコニウム(ジルコン)焼結体は、珪酸ジルコニウム結晶粒を含有し、焼結体密度が4.1g/cm以上であり、焼結体の断面組織で観察される珪酸ジルコニウム結晶粒の平均粒径が10μm以下で、かつこの焼結体の閉気孔の平均径が20μm以下であることを特徴とする。
上記のように焼結体密度が4.1g/cm以上であれば、構造強度が高く、しかも気孔の形成も極めて少ないために、構造部品として使用した場合に優れた耐久性と耐食性を発揮させることができる。上記焼結体密度はアルキメデス法によって測定される。
上記4.1g/cm以上の密度は、ジルコン焼結体の理論密度の88%以上に相当する。従来の報告例では、前述のように比較的多量(20質量%)の添加剤を添加し最も緻密化が進行した場合でも理論密度の87%が上限であり、後述するように本発明の焼結体の相構成がほぼジルコン単相であることを合わせて考慮すると、本発明の焼結体は従来品と大きく異なる緻密質ジルコン焼結体であることが理解される。
また、上記珪酸ジルコニウム焼結体において、この珪酸ジルコニウム焼結体の断面組織で観察される珪酸ジルコニウム結晶粒の平均粒径が10μm以下であることが好ましい。この場合、上記のように珪酸ジルコニウム結晶粒の平均粒径が10μm以下と微細であれば、焼結体組織が緻密であり、焼結体の構造強度を高くでき、構造部品として使用した場合に優れた耐食性を発揮させることができる。
さらに、上記珪酸ジルコニウム焼結体において、前記珪酸ジルコニウム焼結体の閉気孔の平均径が20μm以下であることが好ましい。
なお、本発明に係る珪酸ジルコニウム焼結体は緻密であり、形成される気孔も微細となる。そのため、この珪酸ジルコニウム焼結体で形成された通常寸法の機器部品においては、図2に示すように珪酸ジルコニウム焼結体1に発生した気孔2の両端間の距離Lが珪酸ジルコニウム焼結体1の厚さTよりも短くなり、焼結体1の厚さ方向に貫通する開気孔は形成されない。なお図2においては、焼結体表面において一端が開口している気孔2を例にとって模式的に図示しているが、実際の焼結体内部には3次元方向に網目状に気孔が形成される場合もある。この場合においても、本発明の焼結体では緻密化がより進行しており網目状の気孔が部分的に圧潰されて閉気孔となるために、強度および耐食性能が優れている。
また、上記珪酸ジルコニウム焼結体における気孔の平均径は、図2に示すように電子顕微鏡で観察した珪酸ジルコニウム焼結体1の断面組織あるいは破面組織において、200μm四方の観察領域に発生した各気孔2の開孔径Dの平均値として算出される。
上記珪酸ジルコニウム焼結体の断面組織あるいは破面組織で観察される閉気孔の平均径が20μm以下、好ましくは10μm以下であれば、各気孔内部まで腐食液が浸透する恐れが少なく、また耐熱分解乖離性を良好に保持し、焼結体の耐食性を十分に高めることができる。
上記のように、珪酸ジルコニウム焼結体の平均結晶粒径を10μm以下と微細にし、かつ閉気孔の平均径についても20μm以下、好ましくは10μm以下と微細で欠陥がない焼結体組織を得るためには、原料粉末として純度が95%以上であり、平均粒径が数μm以下の微細粉末を用い均質な圧密成形体を形成すると共に、比較的低温で長時間の焼結条件を選択することにより、微細な焼結体粒径および残留気孔径のサイズ抑制効果が達成される。
さらに、上記珪酸ジルコニウム焼結体において、前記珪酸ジルコニウム焼結体の主要成分であるジルコニウム(Zr)、珪素(Si)および、酸素(O)以外の不純物含有量が5質量%以下であることが好ましい。
上記不純物量が5質量%を超えるように過量になると、ジルコン焼結体の高温度環境下における熱分解が顕著になり、焼結体の分解温度が低下したり、熱分解量の増大を招いたりして、いずれにしても焼結体の耐久性が不十分になる。
また、上記珪酸ジルコニウム焼結体において、前記珪酸ジルコニウム焼結体の主要成分であるジルコニウム(Zr)、珪素(Si)、酸素(O)の90質量%以上が正方晶ZrSiO結晶であることが好ましい。この場合、正方晶ZrSiO結晶が主体となるために、構造強度が優れたジルコン焼結体が得られる。なお、上記正方晶ZrSiO結晶の質量割合はX線回折(XRD)法によって焼結体組織を分析することにより測定できる。
さらに、上記珪酸ジルコニウム焼結体において、日本工業規格JIS−R1601に規定された方法で測定された室温における3点曲げ強度が100MPa以上であり、ヤング率が100GPa以上であることが好ましい。後述する本発明に係るジルコン焼結体の製造方法によれば、上記のような100MPa以上の3点曲げ強度および100GPa以上のヤング率が代表的な機械的性質として得られ、構造強度が優れた珪酸ジルコニウム焼結体を提供できる。
本発明に係る珪酸ジルコニウム焼結体の製造方法は、珪酸ジルコニウム結晶粒を含有し、焼結体密度が4.1g/cm以上であり、焼結体の断面組織で観察される珪酸ジルコニウム結晶粒の平均粒径が10μm以下で、かつこの焼結体の閉気孔の平均径が20μm以下である緻密質珪酸ジルコニウム焼結体の製造方法において、珪酸ジルコニウム粉末と分散媒とを混合して原料混合体を調製する原料混合工程と、得られた原料混合体を成形して所定形状を有する成形体を調製する成形工程と、得られた成形体を1570〜1680℃の範囲の最終焼結温度で焼結して珪酸ジルコニウム焼結体を調製する焼結工程とを備え、上記1570〜1680℃の温度範囲で成形体を5時間以上40時間以下保持することを特徴とする。
上記原料混合工程では、図1に示すように、例えば純度95%以上であり、平均粒径が3μm以下の微細なジルコン粉末と、分散媒(溶媒)としてのエタノールとを混合し、ボールミルによって36〜48時間の間、湿式混合を行う。次に得られた混合物を温度75〜85℃で加熱して分散媒としてのエタノールを蒸発せしめた後に、目開き(呼径)が60メッシュのナイロン篩等で通篩し、均一な原料粉末を調製する。
また上記珪酸ジルコニウム焼結体の製造方法において、前記原料混合体を成形する成形工程は、金型プレス成形法,CIP成形法(冷間静水圧プレス成形法)、押し出し成形法、スリップキャスト成形法、射出成形法、ゲルキャスティング成形法から選択された1種の成形法あるいは2種以上組合せた成形法で実施されることが好ましい。上記各成形法によれば、成形段階において緻密で欠陥のない成形体が効率的に得られる。
特に緻密で気孔等の欠陥が少ない焼結体を製造するためには、成形段階で加圧力が400〜600kg/cm程度の加圧力で成形を行う金型プレス成形法と、1.5〜2.5ton/cm程度の加圧力で成形を行うCIP成形法(冷間静水圧プレス成形法)とを組み合わせると効果的である。
上記珪酸ジルコニウム焼結体の製造方法においては、特に焼結工程でジルコンの乖離反応を抑制しつつ緻密化を達成するために、最終焼結温度から50℃低い温度から最終焼結温度の範囲で成形体を5時間以上かけて昇温したり、あるいは当該温度範囲で成形体を5時間以上保持する保持時間を持ったりすることが必要である。
この昇温時間や保持時間を5時間以上とすることにより、焼結体の緻密化を十分に進行させることができる。しかしながら、40時間を越えるように長時間加熱すると、結晶の粒成長や乖離反応による密度低下が生じ易くなるために、上記昇温時間や保持時間の上限は40時間とされる。
さらに上記珪酸ジルコニウム焼結体の製造方法において、前記焼結工程の完了後に、さらに不活性ガス雰囲気あるいは酸素付加雰囲気においてHIP処理(熱間静水圧プレス処理)を実施して焼結体を緻密化させる緻密化工程を付加することが好ましい。雰囲気としては、所定量の酸素を含有するアルゴン(Ar)ガス雰囲気またはAr等の不活性ガスのみから成る雰囲気が好適である。HIP処理温度は粒成長を助長しない温度範囲である1500〜1700℃の範囲が好ましい。また、上記熱間静水圧加圧(HIP)焼結時の加圧力は950〜1100kg/cm程度の範囲で実施することが焼結体の緻密化を促進するために有効である
この場合、本発明に係る珪酸ジルコニウム焼結体の製造方法の焼結工程において、既に開気孔が存在せず閉気孔のみが僅かに残存する程度の状態にまで緻密化が達成されているため、カプセル化してHIP処理する必要が無く、単に静水圧を掛けて加熱するのみですむため、比較的簡便にHIP工程を加えることができる。
本発明に係る珪酸ジルコニウム焼結体は、耐食性容器・部品、特に乾式再処理用電解反応容器・部品に好適である。但し、本発明に係る緻密質珪酸ジルコニウム焼結体はこれまで得られなかったもので適用先は多岐に渡ると考えられ、ここに記載した用途に限定されるものではない。
本発明に係る珪酸ジルコニウム焼結体およびその製造方法によれば、珪酸ジルコニウム焼結体の密度が4.1g/cm以上と極めて緻密であるため、構造強度が高く、しかも気孔の形成も極めて少ないために、構造部品として使用した場合に優れた耐久性と耐食性を発揮させることができる。
次に、本発明に係る珪酸ジルコニウム焼結体の実施形態について以下の実施例および比較例を参照して具体的に説明する。図1は本発明に係る緻密質珪酸ジルコニウム焼結体を製造するプロセスフローを示す図である。表1は、本実施例および比較例に係る珪酸ジルコニウム焼結体の焼結条件とその特性値とをまとめて示す表である。
[実施例1]
図1に示すプロセスフローにしたがって、純度が98%であり、平均粒径が1μmである微細なジルコン粉末(高純度化学社製)と、分散媒(溶媒)としてのエタノールとを、ジルコニアボールを粉砕媒体とするボールミルによって48時間の間、湿式粉砕混合を実施した。次に得られた混合物を温度80℃で加熱して分散媒としてのエタノールを蒸発せしめた後に、目開き(呼径)が60メッシュのナイロン篩で通篩し、均一な原料粉末を調製した。
次に、500kg/cmの加圧力で予備金型成形した後に、2ton/cmの加圧力でCIP成形法による本加圧成形を実施した。さらに、得られた成形体について、大気雰囲気中で温度1600℃で16時間保持する条件で、常圧焼結(NS)することにより実施例1に係る珪酸ジルコニウム焼結体を調製した。
[実施例2]
実施例1において使用したジルコン粉末(高純度化学社製)を原料粉末として使用して成形体を調製し、大気雰囲気中で成形体を温度1630℃で16時間保持し、常圧焼結(NS)を実施した点以外は、実施例1と同一条件で原料混合、成形を実施することにより、実施例2に係る珪酸ジルコニウム焼結体を調製した。
[実施例3]
実施例1において使用したジルコン粉末(高純度化学社製)を原料粉末として使用して成形体を調製し、大気雰囲気中で成形体を温度1570℃で24時間保持し、常圧焼結(NS)を実施した点以外は、実施例1と同一条件で原料混合、成形を実施することにより、実施例3に係る珪酸ジルコニウム焼結体を調製した。
[実施例4]
実施例1において使用したジルコン粉末(高純度化学社製)を原料粉末として使用して成形体を調製し、大気雰囲気中で成形体を温度1680℃で2時間保持し、常圧焼結(NS)を実施した点以外は、実施例1と同一条件で原料混合、成形を実施することにより、実施例4に係る珪酸ジルコニウム焼結体を調製した。
[実施例5]
実施例1において使用したジルコン粉末(高純度化学社製)を原料粉末として使用して成形体を調製し、大気雰囲気中で成形体を温度1680℃で16時間保持し、常圧焼結(NS)を実施した点以外は、実施例1と同一条件で原料混合、成形を実施することにより、実施例5に係る珪酸ジルコニウム焼結体を調製した。
[実施例6]
実施例1において使用したジルコン粉末(高純度化学社製)を原料粉末として使用して成形体を調製し、大気雰囲気中で成形体を温度1600℃で16時間保持し、常圧焼結(NS)を実施した点、および引続いて加圧力が1000kg/cmのArガス雰囲気中で温度1650℃に加熱して1時間保持するHIP処理を実施した点以外は、実施例1と同一条件で原料混合、成形を実施することにより、実施例6に係る珪酸ジルコニウム焼結体を調製した。
[実施例7]
実施例1において使用したジルコン粉末(高純度化学社製)を原料粉末として使用して成形体を調製し、大気雰囲気中で成形体を温度1600℃で16時間保持し、常圧焼結(NS)を実施した点、および引続いて加圧力が1000kg/cmのArガス雰囲気中で温度1600℃に加熱して1時間保持するHIP処理を実施した点以外は、実施例1と同一条件で原料混合、成形を実施することにより、実施例7に係る珪酸ジルコニウム焼結体を調製した。
[実施例8]
実施例1において使用したジルコン粉末(高純度化学社製)を原料粉末として使用して成形体を調製し、大気雰囲気中で成形体を温度1600℃で16時間保持し、常圧焼結(NS)を実施した点、および引続いて加圧力が1000kg/cmのArガス雰囲気中で温度1550℃に加熱して1時間保持するHIP処理を実施した点以外は、実施例1と同一条件で原料混合、成形を実施することにより、実施例8に係る珪酸ジルコニウム焼結体を調製した。
[比較例1]
実施例1で調製したジルコン粉末(高純度化学社製)を原料粉末として使用して成形体を調製し、大気雰囲気中において温度1700℃で48時間保持する条件で常圧焼結(NS)を実施した点以外は実施例1と同一条件で原料混合、成形を実施することにより、比較例1に係る珪酸ジルコニウム焼結体を調製した。
[比較例2]
実施例1で調製したジルコン粉末(高純度化学社製)を原料粉末として使用して成形体を調製し、大気雰囲気中において温度1500℃で48時間保持する条件で常圧焼結(NS)を実施した点以外は実施例1と同一条件で原料混合、成形を実施することにより、比較例2に係る珪酸ジルコニウム焼結体を調製した。
[比較例3]
実施例1において使用したジルコン粉末(高純度化学社製)を原料粉末として使用して成形体を調製し、大気雰囲気中で成形体を温度1700℃で48時間保持し、常圧焼結(NS)を実施した点、および引続いて加圧力が1000kg/cmのArガス雰囲気中で温度1700℃に加熱して1時間保持するHIP処理を実施した点以外は、実施例1と同一条件で原料混合、成形を実施することにより、比較例3に係る珪酸ジルコニウム焼結体を調製した。
[比較例4]
主要不純物としてSiO,Feを含有し、純度が94wt%であり、平均粒径が3.5μmのジルコン粉末を原料粉末として使用して成形体を調製した点、および成形体を大気雰囲気中で成形体を温度1600℃で16時間保持し、常圧焼結(NS)を実施した点以外は、実施例1と同一条件で原料混合、成形を実施することにより、比較例4に係る珪酸ジルコニウム焼結体を調製した。
上記のように調製した各実施例および比較例に係る珪酸ジルコニウム焼結体について、下記要領で密度、三点曲げ強度、ヤング率、珪酸ジルコニウムの平均結晶粒径、平均気孔径、正方晶ZrSiO結晶の質量割合をそれぞれ測定した。
なお、珪酸ジルコニウム焼結体の密度は、水中アルキメデス法により測定した。試験片形状は、約40×40×5mmの板状とした。
また、珪酸ジルコニウム焼結体の3点曲げ強度の測定は、日本工業規格(JIS−R1601)に規定する3点曲げ強度試験法に準拠して実施した。試験片形状は、3×4×40mmの棒状とした。測定温度は、室温(25℃)とした。試験条件を以下にまとめる。
温度 室温25℃
雰囲気 大気中
曲げスパン距離 L=30mm
クロスヘッド速度 0.5mm/min
治具材質 SiC
保持時間 10min
また、3点曲げ試験により荷重を付加し破断までの荷重及び変位量を測定し、曲げ強度σは次式から算出した。
[数1]
σ={3PL}/{2wt} ……(2)
σ:3点曲げ強度(MPa)
P:破断荷重(N)
L:下支点間距離=30(mm)
t:試験片の厚さ(mm)
w:試験片の幅(mm)
さらに珪酸ジルコニウム焼結体のヤング率の測定は、日本工業規格(JIS−R1601)に規定される曲げ試験法および超音波パルス法の両者に準拠して実施した。曲げ試験法では、荷重−変位曲線から、負荷開始時と破断時との2点におけるヤング率Eを、下記(3)式により算出した。
[数2]
E={L(Pmax−P)}/{4wt(ymax−y)} ……(3)
E:ヤング率(MPa)
y:荷重点の変位量(mm)
また焼結体に含まれる上記正方晶ZrSiO結晶の質量割合は、X線回折(XRD)法によって焼結体組織を分析することにより測定した。
上記の各測定結果を下記表1に示す。
Figure 0005403851
上記表1に示す結果から明らかなように、密度が4.1g/cm以上と高い各実施例に係る珪酸ジルコニウム焼結体においては、平均結晶粒径が微細な組織から成り密度が4.1g/cm以上と極めて緻密であり、三点曲げ強度およびヤング率が高く優れた構造強度が得られている。しかも気孔径も極めて微細であるために、腐食性液体が気孔内に侵入する恐れも少なく構造部品として使用した場合に優れた耐久性と耐食性を発揮することが判明した。
なお、実施例4〜5に係る焼結体においては、実施例1〜3係る焼結体と比較すると、乖離反応による密度の低下や気孔の成長が認められたが、概ね機械的強度特性が良好な焼結体が得られた。
また、常圧焼結操作に引き続いて、さらにHIP処理を実施して調製した実施例6〜8に係る焼結体においては、HIP処理により緻密化がさらに一層進行し、密度がさらに高い良好な焼結体が得られた。
一方、高温度で長時間の焼結処理を実施して調製した比較例1に係る焼結体においては、高温度での粒成長と乖離反応による密度低下や気孔の成長が進行し、各実施例に係る焼結体と比較して強度特性の低下が認められ、結晶組織が粗大化して気孔径も増大化した。
また、1500℃と低温度の焼結処理を実施して調製した比較例2に係る焼結体においては、各実施例と比較して低温度のため十分に緻密化焼結が進行せず、強度特性の低下が顕著であった。また緻密化が進行しないため、焼結体の平均結晶粒径および気孔径の測定判定が不可能であった。
さらに、長時間の焼結処理後にHIP処理を実施して調製した比較例3に係る焼結体においては、比較例1と同様に焼結工程において粒成長と乖離反応による密度低下が生じていたために、HIP処理を実施しても緻密化は進行せず、特性の改良は認められなかった。
また、不純物含有量が高いジルコン粉末を使用して調製した比較例4に係る焼結体においては、不純物の存在に起因した粒成長と緻密化の阻害が認められ、結晶組織が粗大化して気孔径も増大化し強度耐食特性の低下が認められた。
本実施例に係る各珪酸ジルコニウム焼結体を用いて、耐食性容器としての乾式再処理用電解反応容器を調製し、従来の構成材料であるパイログラファイト(C)製の電解反応容器と比較して耐用寿命を比較したところ、本実施例に係る電解反応容器によれば従来のパイログラファイト(C)製電解反応容器と比較して耐用寿命を3.4〜4.8倍程度延伸できることが確認でき、耐食性および耐久性が優れた電解反応容器が得られることが判明した。
本発明に係る緻密質珪酸ジルコニウム焼結体を製造するプロセスフローを示す図。 本発明に係る緻密質珪酸ジルコニウム焼結体に形成された気孔の状態を示す部分断面図。
符号の説明
1 珪酸ジルコニウム焼結体(ジルコン焼結体)
2 気孔(閉気孔)

Claims (3)

  1. 珪酸ジルコニウム結晶粒を含有し、焼結体密度が4.1g/cm以上であり、焼結体の断面組織で観察される珪酸ジルコニウム結晶粒の平均粒径が10μm以下で、かつこの焼結体の閉気孔の平均径が20μm以下である緻密質珪酸ジルコニウム焼結体の製造方法において、珪酸ジルコニウム粉末と分散媒とを混合して原料混合体を調製する原料混合工程と、得られた原料混合体を成形して所定形状を有する成形体を調製する成形工程と、得られた成形体を1570〜1680℃の範囲の最終焼結温度で焼結して珪酸ジルコニウム焼結体を調製する焼結工程とを備え、上記1570〜1680℃の温度範囲で成形体を5時間以上40時間以下保持することを特徴とする緻密質珪酸ジルコニウム焼結体の製造方法。
  2. 前記原料混合体を成形する成形工程は、金型プレス成形法,CIP成形法(冷間静水圧プレス成形法)、押し出し成形法、スリップキャスト成形法、射出成形法、ゲルキャスティング成形法から選択された1種の成形法あるいは2種以上組合せた成形法で実施されることを特徴とする請求項1記載の緻密質珪酸ジルコニウム焼結体の製造方法。
  3. 前記焼結工程の完了後に、さらに不活性ガス雰囲気あるいは酸素付加雰囲気においてHIP処理(熱間静水圧プレス処理)を実施して焼結体を緻密化させる緻密化工程を付加したことを特徴とする請求項1記載の緻密質珪酸ジルコニウム焼結体の製造方法。
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