JP2766445B2 - サイアロン質複合焼結体及びその製造方法 - Google Patents

サイアロン質複合焼結体及びその製造方法

Info

Publication number
JP2766445B2
JP2766445B2 JP5077758A JP7775893A JP2766445B2 JP 2766445 B2 JP2766445 B2 JP 2766445B2 JP 5077758 A JP5077758 A JP 5077758A JP 7775893 A JP7775893 A JP 7775893A JP 2766445 B2 JP2766445 B2 JP 2766445B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sialon
weight
sintered body
aln
composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP5077758A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06263544A (ja
Inventor
信夫 鮎澤
昭 白仁田
達也 影山
剛 居細工
英晶 大饗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shinagawa Shiro Renga KK
Original Assignee
Shinagawa Shiro Renga KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shinagawa Shiro Renga KK filed Critical Shinagawa Shiro Renga KK
Priority to JP5077758A priority Critical patent/JP2766445B2/ja
Publication of JPH06263544A publication Critical patent/JPH06263544A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2766445B2 publication Critical patent/JP2766445B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、緻密で十分な強度を有
し、かつ耐熱衝撃性並びに溶融金属に対する耐食性に優
れたサイアロン質複合焼結体及びその製造方法に関す
る。特に本発明は、利用分野として主として厳しい熱負
荷と耐食性が要求される溶融金属用の各種ノズル部材、
鋼の水平連続鋳造用ブレ−クリング及び測温用保護管、
各種バ−ナ−部品等に好適なサイアロン質複合焼結体及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、BN系複合セラミックスについて
は、BNが難焼結性の物質であることから各種焼結助剤の
添加によるホットプレス法が実施されてきたが、最近で
は反応焼結及び常圧焼結法による製造法も実施されてい
る。
【0003】しかしながら、従来の上記ホットプレスに
よる方法では、緻密な焼結体が得られるけれども、BNは
層状構造の板状結晶であって、しかも成形方向に対し配
向性を有するものであるところから、必ずしも均質な焼
結体特性が得られ難いという問題点を有している。ま
た、従来の上記反応焼結及び常圧焼結による製造法で
は、緻密な焼結体が得られ難く、強度特性及び溶融金属
に対する高耐食性が要求される環境下での耐用性に問題
がある。
【0004】その他特開平3-177361号公報には、シリコ
ンジイミドを使用し、まずβ-サイアロン粉末を合成
し、これを用いてBNとの複合材料(β-サイアロン−窒
化ホウ素系複合焼結体)を製造する方法について記載さ
れているが、BNが20%以上では相対密度80%以下の多孔
質焼結体が得られる。また、特開昭60-145963号公報に
は、反応焼結法によるサイアロン−窒化ホウ素複合焼結
体について記載されているが、このような反応焼結法に
よる高温処理によっても、気孔率20%以上の焼結体が得
られ、しかも熱衝撃性、強度特性とも小さい材料が得ら
れる。
【0005】また、BNとの複合材料は、一般的に多孔質
材料であることから、アルミナ等で表面被覆したものも
従来より提案されている(特開平4-280887号公報参
照)。更に、Si3N4-BN系材料として、比表面積100m2
g以上の微細なBNを使用し、焼結助剤としてコ−ジェラ
イトを15%程度添加し、耐熱衝撃性(△Tc)が1200℃以
上の熱衝撃に強い複合焼結体を得ることも提案されてい
るが(特開平4-26552号公報参照)、コ−ジェライトを
含むSi3N4-BN系では、高温での耐食性が要求される部材
への適用に問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のBNを
含む複合焼結体では、前記したとおり、BNの添加に伴い
多孔質材料となり、強度、耐熱衝撃性及び耐食性につい
て満足できる材料は得られていない。そこで本発明者等
は、BNを含む複合焼結体において、緻密であって、強
度、耐熱衝撃性、耐食性に優れたものを得ることを技術
的課題とし、この課題を達成する手段として、窒化物の
中で酸化物との置換型固溶体を生成させ、これによりサ
イアロンとBNとの複合化による特性向上を試み、その結
果本発明を完成したものである。
【0007】即ち、本発明は、配向性の極めて少ない微
細なBNが均質にサイアロンマトリックス中に分散してな
る緻密なサイアロン質複合焼結体及びその製造方法を提
供することを技術的課題(目的)とする。また、本発明
は、緻密で十分な強度を有し、かつ耐熱衝撃性並びに溶
融金属に対する耐食性に優れたサイアロン質複合焼結体
及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】そして、本発明は、配向
性の極めて少ない微細なBNが均質にサイアロンマトリッ
クス中に分散した緻密な焼結体を得ることを技術的課題
とし、特に結晶子径50〜150オングストロ−ムのBNを用
いる点及び所定量のCaO又はSrO成分を配合する点を特徴
とし、これによって前記目的とする焼結体を提供するも
のである。
【0009】即ち、本発明のサイアロン質複合焼結体
は、「(1) Si3N4、AlN、Al2O3又はSi3N4、AlN、Al2O3
SiO2からなり、Si6-ZAlZOZN8-Z(1≦Z≦3)で表されるサ
イアロン組成物30〜70重量%、(2) 結晶子径50〜150オ
ングストロ−ムよりなる窒化硼素20〜70重量%、(3) Ca
O又はSrO成分として0.1〜10重量%、(4) Yおよびラン
タニド系金属元素の少なくとも1種以上の酸化物0.1〜5
重量%、からなり、緻密でサイアロンマトリックス中に
2μm以下の微細なBNが均一に分散してなることを特徴
とするサイアロン質複合焼結体。」を要旨とする。
【0010】また、本発明は、上記焼結体の製造方法と
して、「(1) Si3N4、AlN、Al2O3又はSi3N4、AlN、Al
2O3、SiO2からなり、Si6-ZAlZOZN8-Z(1≦Z≦3)で表され
るサイアロン組成物30〜70重量%を生成する上記原料粉
末混合物、(2) 結晶子径50〜150オングストロ−ムより
なる窒化硼素20〜70重量%、(3) CaO又はSrO成分として
0.1〜10重量%、(4) Yおよびランタニド系金属元素の
少なくとも1種以上の酸化物0.1〜5重量%、を均一に混
合し、この混合物を静水圧プレス成形、金型成形、鋳込
成形、射出成形などにより成形し、該成形物を温度1650
〜1850℃でN2又はAr雰囲気下、常圧焼結又はガス加圧焼
結することを特徴とする前記サイアロン質複合焼結体の
製造方法。」を要旨とする。
【0011】以下本発明を詳細に説明すると、出発原料
として、サイアロン粉末を用いず、Si3N4、AlN、Al2O3
又はSi3N4、AlN、Al2O3、SiO2の粉末を用いたサイアロ
ン系材料では、生成過程で液相が生じ、溶解析出反応に
よりSi6-ZAlZOZN8-Zで表されるサイアロン組成物が生成
する。本発明では、特性向上と緻密化の目的のため、サ
イアロン組成物を生成する上記原料粉末を出発原料とし
て使用し、サイアロン組成物生成時の上記溶解析出反応
を利用したものである。
【0012】また、本発明において、必須成分としてCa
O又はSrO、Y2O3及びランタニド系からなる酸化物を用い
る理由は、前記したサイアロンの溶解現象を増大させる
ため及び焼結過程での液相量を増加させるためである。
この結果、液相中でのBN微細結晶粒の濡れを増大させ、
かつBNの結晶粒の成長を抑制させ、引き続いて起こるサ
イアロン組成物の析出反応つまり結晶化によりサイアロ
ンマトリックス中にBNの微細な結晶粒が均一に分散した
緻密で強度、耐熱衝撃性、耐食性に優れたサイアロン質
複合焼結体が得られるものである。
【0013】この目的のためのBN原料粉末としては、結
晶子径が50〜150オングストロ−ムで比表面積が80〜300
2/gの配向性の小さいBNの使用が本発明の必須構成
要件であり、本発明の特徴とするところである。結晶子
径が150オングストロ−ムより大きくても、また、50オ
ングストロ−ムより小さ過ぎても、板状結晶による焼結
性の阻害が生じ、また、凝集粒子として作用するため、
特性の向上効果が認められないので好ましくない(後記
表1の比較例No.13、15参照)。なお、50オングストロ
−ム以下では取扱が困難であるという問題点も有する。
【0014】本発明のサイアロン質複合焼結体は、(1)
Si3N4、AlN、Al2O3又はSi3N4、AlN、Al2O3、SiO2からな
るSi6-ZAlZOZN8-Z(1≦Z≦3)で表されるサイアロン組成
物:30〜70重量%、(2) 結晶子径が50〜150オングスト
ロ−ムのBN:20〜70重量%、(3) CaO又はSrO成分として
0.1〜10重量%、(4) Y及びランタニド系元素からなる
1種以上の酸化物:0.1〜5重量%、の組成からなり、サ
イアロンマトリックス中に2μm以下の微細なBNが均一
に分散したものである。本発明において、上記組成条件
を具備しなければ複合効果が少なく、また、強度、耐熱
衝撃性及び耐食性に優れた良好な焼結体を得ることがで
きないものである。
【0015】本発明のサイアロン質複合焼結体におい
て、サイアロン組成物Si6-ZAlZOZN8-ZのZ値を1≦Z≦3と
するのが好ましい。Z値が1未満ではSi3N4に近く、耐食
性が低下するため好ましくなく(後記表1の比較例No.1
4参照)、一方、Z値が3を越える値では組成の抑制が困
難となり、強度並びに耐熱衝撃性が低下し、熱膨張率も
増加するので好ましくない。
【0016】また、本発明において、サイアロンの含有
量を30〜70重量%、BNの含有量を20〜70重量%とする理
由は、サイアロンマトリックス中での微細なBNの均質分
散系において、強度、耐熱衝撃性および耐食性などの優
れた焼結性を保持するためである。即ち、BN含有量が20
重量%未満では十分な耐熱衝撃性が得られず(後記表1
の比較例No.17参照)、一方、BN含有量が70重量%越え
る量では、焼結性の低下などに基づき十分な強度を得る
ことができないからである。
【0017】添加物としてのCaO又はSrO成分は、特にサ
イアロンを生成する出発原料の溶解温度を低下させ 、B
N結晶界面を濡らす作用(役割)を示すものであり、こ
のCaO成分としては、加熱によりCaOを生成するCaの酸化
物、炭酸塩、水酸化物等各種原料を使用することができ
る。同様にSrO成分も加熱してSrOを生成する各種原料を
使用することができる。また、その添加量は、10重量%
を越える量では耐熱衝撃性及び高温での特性が低下する
ので、10重量%以下の添加が望ましい。
【0018】次に、本発明のサイアロン質複合焼結体の
製造方法について説明する。本発明において、サイアロ
ン組成物Si6-ZAlZOZN8-Z(1≦Z≦3)を生成する原料(出
発原料)としては、Si3N4、AlN、Al2O3又はSi3N4、Al
N、Al2O3、SiO2を使用し、そして、所定Z値のサイアロ
ン組成物が生成するように該原料を配合する。この原料
粉末混合物に結晶子径50〜150オングストロ−ムのBN粉
末とCaO又はSrO成分及びYやランタニド系金属酸化物
(例えばY2O3、Yb2O3等)を添加し、エタノ−ルなどの
有機溶媒又は水溶液中、バインダ−添加の下で均一に粉
砕混合した後、乾燥、造粒により成形用原料とする。
【0019】この成形用原料を用いて静水圧プレス成
形、金型成形、鋳込成形又は射出成形等により成形物を
作製する。この成形物の焼結は、1650〜1850℃でN2雰囲
気下、常圧焼結法及び雰囲気(N2、Ar)ガス加圧焼結の単
独又は組合わせにより行うことができる。また、焼結後
の降温過程において、1300〜1500℃で24時間程度保持す
ることにより粒界相の結晶化処理をすることができる。
【0020】得られたサイアロン質複合焼結体は、X線
回折法による同定の結果、βサイアロン相及びBNを主構
成相とし、微量な粒界ガラス相よりなることを確認し
た。また、サイアロン相のX線回折法による格子定数の
測定結果から、原料配合組成よりZ値で0.2〜0.3程度低
い組成をとるが、溶解折出反応により確実にサイアロン
が生成していることが確認できた。更に、SEM(Scannin
g Electron Microscope)による解析結果、サイアロン
マトリックス中に2μm以下の微細なBN結晶粒が均質に
分散し、緻密な組織を有していることが確認できた(後
記図1参照)。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明をより詳細に説明する。 (実施例1)サイアロン組成物Si6-ZAlZOZN8-Z(1≦Z≦
3)の出発原料として、 ・Si3N4(平均粒径:0.8μm、含有O2量:1.0重量
%)、 ・AlN(平均粒径:1.0μm 、含有O2量:1.5重量%)、 ・Al2O3(純度:99.9%、平均粒径:0.5μm)、 ・SiO2(純度:99.5%、平均粒径:0.5μm) を使用した。また、CaO成分として ・CaCO3(純度:99%、平均粒径:0.5μm)、 を用い、希土類酸化物として ・Y2O3、Yb2O3(いずれも純度:99.5%、平均粒径:0.5
μm)、 を用いた。
【0022】まず、上記サイアロン組成物の出発原料に
表1の示す結晶子径を有するBN粉末、上記CaCO3及び焼
結助剤(Y2O3、Yb2O3)を配合し、サイアロン組成物、
窒化硼素、CaCO3及び焼結助剤からなる表1に示す所定
の原料混合粉末組成物を作製した。なお、表1中のCaO
成分と焼結助剤の添加重量%は、サイアロン組成物とBN
との合計量100重量部に対する重量%である。
【0023】この原料混合粉末組成物をSi3N4製ボ−ル
ミルでアルコ−ル中で24時間均一配合した後、スプレ−
ドライヤ−を用いて造粒物を得た。次に、この造粒物を
静水圧プレスにより1.5t/cm2で成形した後、1750℃
/5hの常圧焼結によりサイアロン質複合焼結体を得
た。
【0024】得られた焼結体について、密度特性(相対
密度%)、曲げ試験(JIS-R1601による室温での3点曲げ
強度)、水中急冷法による耐熱衝撃性の評価試験を行っ
た。更に、外径φ30×30t−内径φ20×20tのルツボを
製作し、この中にφ18×15tのSUS 304を入れ、1600℃
/2h、Ar雰囲気中、高周波炉での耐食性の評価を実施
した。これらの結果を表1に示す。なお、表1中のNo.1
〜11は実施例であり、No.12〜17は比較例である。
【0025】
【表1】
【0026】上記表1から、本発明の組成範囲であるN
o.1〜11のサイアロン質複合焼結体(本発明の実施例)
は、優れた焼結体特性を示すことが理解できる。
【0027】これに対して、比較例No.12及びNo.16では
CaO成分を配合しないものであり、そのため低密度、低
強度であり、しかも耐食性の悪いものであった。また、
比較例No.13及びNo.15では、本発明の特徴とする“結晶
子径50〜150オングストロ−ムよりなるBN粉末”の範囲
外の200オングストロ−ム(No.13)、180オングストロ
−ム(No.15)のBN粉末を用いたものであり、これらは
低密度、低強度、低耐熱衝撃性であり、しかも耐食性の
悪いものであった。
【0028】更に、比較例No.14では、本発明の組成範
囲外であるZ値が0.5のサイアロンであって、このサイア
ロンとBNの組成比が80重量%:20重量%のものであり、
この焼結体は高密度で高強度のものであるが、耐熱衝撃
性が悪く、しかも耐食性に劣るものであった。また、比
較例No.17では、本発明の組成範囲外であるサイアロン
とBNの組成比が85重量%:15重量%のものであり、これ
は高密度で高強度のものであり、耐食性も良好である
が、耐熱衝撃性が悪いものであった。
【0029】次に、表1中のNo.2(本発明の実施例)及
びNo.15(比較例)で得られた各焼結体について、SEMに
よる解析を行った。その解析結果を図1(No.2のSEM組
織図)及び図2(No.15のSEM組織図)に示す。なお、表
1に示すとおり、本発明の実施例であるNo.2は、BNの結
晶子径65オングストロ−ムのものを使用したものであ
り、一方、比較例であるNo.15は、180オングストロ−ム
のものを用いたものである。
【0030】図1から明らかなように、No.2は、緻密で
あって、しかもサイアロンマトリックス中に1μm以下
のBNが均一に分散していることが認められ、その結果強
度、耐熱衝撃性にも優れているものであった。これに対
して、図2から明らかなように、比較例であるNo.15で
は、サイアロンマトリックス中のBN結晶が3μmと大き
く、BN部分で多孔質化していることが認められ、焼結体
の相対密度が75%と低く、その結果として機械特性も低
下しているものと考えられる。
【0031】(実施例2)サイアロン組成物(Z=2)を
生成する実施例1に示した出発原料にBNを30重量%、焼
結助剤としてY2O3を5重量%、CaO(CaCO3で添加)を5重
量%の割合で配合し、原料混合粉末組成物を調製した。
【0032】この原料混合粉末組成物を水を溶媒として
振動ミルで5時間混練した後、120℃で乾燥させて成形用
原料とした。次いで、この成形用原料を型枠に入れ、ラ
バ−プレスを用いて1.5t/cm2の圧力で成形した後、
常圧焼結法で1750℃で焼成した。なお、比較のため、Ca
CO3を添加しない点を除いて上記と同様に焼成し、焼結
体を得た。
【0033】得られた焼結体の密度及び気孔率を測定
し、また、曲げ強度及び水中急冷法による耐熱衝撃性
(△Tc)を求めた。その結果を表2に示す。また、焼
結体の溶融金属に対する耐食性について、高温顕微鏡を
用いた試験を行った。この試験方法は、次のとおりであ
る。焼結体を10×3tmmのプレ−ト形状に加工して試
料を作製し、その上に□2×2tのSUS 304を設置した。
該試料を室温で減圧した後、Arガス中で加熱しながら形
態の変化を望遠顕微鏡で観察した。Ar雰囲気中で1500℃
まで昇温し、1500℃で2時間保持し、試料(焼結体)とS
US 304との接触角(濡性)を測定した。その結果を表2
に示す。
【0034】
【表2】
【0035】上記表2から明らかなように、CaOを5%添
加することにより組織が緻密化し、曲げ強度及び耐熱衝
撃性の点で向上が見られた。また、表2中の接触角の測
定値について、CaO無添加焼結体(比較例)とCaO5%添
加した焼結体(実施例2)とを対比すると、前者では、
SUS 304との接触角が80度であるのに対し、後者のCaO5
%添加した焼結体では135度であり、両者のSUS 304に対
する濡性に顕著な差が認められた。この濡性の差は、SU
S 304に対する耐食性の相違を示すものであり、従ってC
aOを添加した焼結体では、SUS 304に対する耐食性が優
れていることを示すものである。
【0036】(実施例3)サイアロン組成物Si6-ZAlZOZ
N8-Z(1≦Z≦3)の出発原料として、 ・Si3N4(平均粒径:0.8μm、含有O2量:1.0重量
%)、 ・AlN(平均粒径:1.0μm 、含有O2量:1.5重量%)、 ・Al2O3(純度:99.9%、平均粒径:0.5μm)、 を使用した。また、SrO成分として ・SrCO3(純度:99.5%、平均粒径:0.5μm)、 を用い、希土類酸化物として ・Y2O3(純度:99.5%、平均粒径:0.5μm)、 を用いた。
【0037】まず、上記サイアロン組成物の出発原料に
表3の示す結晶子径を有するBN粉末、上記SrCO3及び焼
結助剤(Y2O3)を配合し、サイアロン組成物、窒化硼
素、SrCO3及び焼結助剤からなる表3に示す所定の原料
混合粉末組成物を作製した。なお、表3中のSrO成分と
焼結助剤の添加重量%は、サイアロン組成物とBNとの合
計量100重量部に対する重量%である。
【0038】次に、前記実施例1と同様な方法で焼結体
を製造した。得られた焼結体について、密度特性(相対
密度)、曲げ試験(JIS-R1601による室温での3点曲げ
強度)、水中冷法による耐熱衝撃性及び耐食性の評価を
実施し、その評価結果を表3に示した。なお、表3中の
No.1〜3は本発明の実施例であり、No.4はSrCO3を配合し
ない比較例である。
【0039】
【表3】
【0040】上記表3から明かなように、本発明の組成
範囲であるNo.1〜3のサイアロン質複合焼結体は、優れ
た焼結体特性を示すことが理解できる。これに対して、
比較例No.4では、SrO成分を配合しないものであり、そ
のため低密度、低強度、低耐熱衝撃性であり、しかも耐
食性の悪いものであった。
【0041】(実施例4)実施例1のNo.1及びNo.12
(前記表1参照)の組成物を焼結し、φ210/φ170×25
tの水平連続鋳造用ブレークリングを製作した。これを
水平連鋳機のタンデイッシュと鋳型との間に配置し、ス
テンレス鋼(SUS 304)及び高クロム鋼(Cr:16〜18Wt%
クラス、酸素量60〜100ppm)の鋳造を実施した。その際
のブレークリングの溶損指数を測定し、結果を表4に示
した。なお、下記表4中のブレークリングの溶損指数と
は、 ・溶損指数={ブレークリング溶損量(Dmm)÷鋳片長さ
(m)}×100 で表される値であり、この値が小さいほど溶損量が少な
いことを示している。
【0042】
【表4】
【0043】表4の結果から明かなように、本発明の材
料からなるブレークリングは、長時間鋳造に供しても、
比較品に比べて極めて溶損量が少ないことが理解でき
る。
【0044】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、特に結
晶子径50〜150オングストロ−ムのBNを用いる点及びCaO
又はSrO成分を配合する点を特徴とするものであり、こ
れにより緻密で十分な強度を有し、かつ耐熱衝撃性並び
に溶融金属に対する耐食性に優れたサイアロン質複合焼
結体が得られる効果が生じる。そして、本発明により、
厳しい熱負荷と耐食性が要求される溶融金属用の各種ノ
ズル部材、鋼の水平連鋳用ブレ−クリング及び測温用保
護管、各種バ−ナ−部品等に好適なサイアロン質複合焼
結体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例(表1中のNo.2)のサイアロン
質複合焼結体のSEM組織図(Scanning Electron Micr
oscope:電子顕微鏡による結晶構造を示す写真)
【図2】比較例(表1中のNo.15)のSEM組織図(Sca
nning Electron Microscope:電子顕微鏡による結晶構
造を示す写真)。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−51669(JP,A) 特開 昭61−83679(JP,A) 特開 平5−262566(JP,A) 特開 平5−301776(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/599 C04B 35/583

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)Si3N4、AlN、Al2O3又はSi3N4、AlN、
    Al2O3、SiO2からなり、Si6-ZAlZOZN8-Z(1≦Z≦3)で表
    されるサイアロン組成物30〜70重量%、(2)結晶子径50
    〜150オングストロ−ムよりなる窒化硼素20〜70重量
    %、(3)CaOまたはSrO成分として0.1〜10重量%、(4)Y
    およびランタニド系金属元素の少なくとも1種以上の酸
    化物0.1〜5重量%からなり、緻密でサイアロンマトリッ
    クス中に2μm以下の微細なBNが均一に分散してなるこ
    とを特徴とするサイアロン質複合焼結体。
  2. 【請求項2】 (1)Si3N4、AlN、Al2O3又はSi3N4、AlN、
    Al2O3、SiO2からなり、Si6-ZAlZOZN8-Z(1≦Z≦3)で表
    されるサイアロン組成物30〜70重量%を生成する上記原
    料粉末混合物、(2)結晶子径50〜150オングストロ−ムよ
    りなる窒化硼素20〜70重量%、(3)CaO又はSrO成分とし
    て0.1〜10重量%、(4)Y及びランタニド系金属元素の少
    なくとも1種以上の酸化物0.1〜5重量%を均一に混合
    し、この混合物を静水圧プレス成形、金型成形、鋳込成
    形、射出成形等により成形し、該成形物を温度1650〜18
    50℃でN2又はAr雰囲気下、常圧焼結又はガス加圧焼結す
    ることを特徴とする請求項1に記載のサイアロン質複合
    焼結体の製造方法。
JP5077758A 1993-03-11 1993-03-11 サイアロン質複合焼結体及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2766445B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5077758A JP2766445B2 (ja) 1993-03-11 1993-03-11 サイアロン質複合焼結体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5077758A JP2766445B2 (ja) 1993-03-11 1993-03-11 サイアロン質複合焼結体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06263544A JPH06263544A (ja) 1994-09-20
JP2766445B2 true JP2766445B2 (ja) 1998-06-18

Family

ID=13642834

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5077758A Expired - Fee Related JP2766445B2 (ja) 1993-03-11 1993-03-11 サイアロン質複合焼結体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2766445B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6667263B1 (en) * 1998-11-19 2003-12-23 Vesuvius Crucible Company Composite material
US7803964B2 (en) 2005-02-07 2010-09-28 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Method for synthesizing t-butyl (meth)Acrylate
CN102216007A (zh) * 2008-09-17 2011-10-12 戴蒙得创新股份有限公司 立方氮化硼陶瓷复合材料及其制备方法
JP6698395B2 (ja) * 2016-03-24 2020-05-27 デンカ株式会社 プローブ案内部材及びその製造方法
JP6864513B2 (ja) * 2017-03-22 2021-04-28 デンカ株式会社 複合焼結体

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06263544A (ja) 1994-09-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0780351B1 (en) Aluminum nitride sintered body and method for manufacturing the same
JPH06100370A (ja) 窒化ケイ素系焼結体及びその製造方法
KR960016070B1 (ko) 질화알루미늄 소결체 및 그 제조방법
JP2766445B2 (ja) サイアロン質複合焼結体及びその製造方法
EP0564257B1 (en) Low thermal conductivity ceramic and process for producing the same
JP3995284B2 (ja) 窒化珪素質焼結体及びその製造方法
JP3145519B2 (ja) 窒化アルミニウム質焼結体
JPH0259471A (ja) 高温高強度窒化珪素質焼結体及びその製造方法
JPH0224789B2 (ja)
JP3979680B2 (ja) 窒化ケイ素質焼結体用窒化ケイ素粉末ならびに窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法
JP2012180234A (ja) 窒化ケイ素系セラミックスの製造方法
JPH11322438A (ja) 高熱伝導性窒化ケイ素質焼結体及びその製造方法
JPH01246178A (ja) 溶鋼用耐火物の製造方法
JPH06279124A (ja) 窒化ケイ素焼結体の製造方法
JP2700786B2 (ja) 高温高強度窒化珪素質焼結体及びその製造方法
JP3124882B2 (ja) 窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法
JPH0788256B2 (ja) 窒化アルミニウム焼結体の製造方法
JP2687633B2 (ja) 窒化珪素焼結体の製造方法
JPS6344713B2 (ja)
JPH0559073B2 (ja)
JP2671539B2 (ja) 窒化珪素焼結体の製造方法
JPH04104944A (ja) Al↓2O↓3―SiC―ZrO↓2複合焼結体
JPH05279115A (ja) 緻密質酸化クロム焼結体及びその製造方法
JPH01219062A (ja) 炭化珪素焼結体の製造方法
JPH08157262A (ja) 窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees