JP4349727B2 - 炭化珪素成形体の焼成方法、多孔質炭化珪素部材の製造方法、及び、セラミックフィルタの製造方法 - Google Patents

炭化珪素成形体の焼成方法、多孔質炭化珪素部材の製造方法、及び、セラミックフィルタの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の貫通孔が長手方向に並設された柱状の炭化珪素成形体の焼成方法、多孔質炭化珪素部材の製造方法及びセラミックフィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排気ガス中に含有されるパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
この排気ガスを多孔質セラミックを通過させることにより、排気ガス中のパティキュレートを捕集して排気ガスを浄化するセラミックフィルタが種々提案されている。
【0003】
セラミックフィルタは、通常、図8に示すような多孔質炭化珪素部材90が複数個結束されてセラミックフィルタ80を構成している。また、この多孔質炭化珪素部材90は、図9に示すように、長手方向に多数の貫通孔95が並設され、貫通孔95同士を隔てる隔壁94がフィルタとして機能するようになっている。
【0004】
すなわち、多孔質炭化珪素部材90に形成された貫通孔95は、図9(b)に示すように、排気ガスの入り口側又は出口側の端部のいずれかが充填材96により目封じされ、一の貫通孔95に流入した排気ガスは、必ず貫通孔95を隔てる隔壁94を通過した後、他の貫通孔95から流出するようになっており、排気ガスがこの隔壁94を通過する際、パティキュレートが隔壁94部分で捕捉され、排気ガスが浄化される。
このような多孔質炭化珪素部材90は、極めて耐熱性に優れ、再生処理等も容易であるため、種々の大型車両等に使用されている。
【0005】
従来、このような多孔質炭化珪素部材を製造する際には、まず、炭化珪素粉末とバインダーと分散媒液とを混合して成形体製造用の混合組成物を調製した後、この混合組成物の押出成形等を行うことにより、炭化珪素成形体を作製する。
【0006】
そして、次に、得られた炭化珪素成形体をヒータ等を用いて乾燥させ、一定の強度を有し、容易に取り扱うことができる炭化珪素成形体の乾燥体を製造する。
この乾燥工程の後に封口工程を行って、炭化珪素成形体の貫通孔の一端に封口剤を充填し、貫通孔のどちらか一端が目封じされるようにする。
【0007】
この乾燥工程および封口工程の後、炭化珪素成形体を酸素含有雰囲気下において、400〜650℃に加熱し、有機バインダー成分中の溶剤を揮発させるとともに、樹脂成分を分解消失させる脱脂工程を行い、さらに、炭化珪素粉末を不活性ガス雰囲気下、2000〜2200℃に加熱することにより焼結させる焼成工程を経て、多孔質炭化珪素部材が製造される。
【0008】
そして、従来の焼成工程では、図7に示すように、るつぼ(図示せず)中に設置されたカーボン製の焼成用治具11上に炭化珪素成形体12を載置し、これを焼成炉に搬入した後、加熱することにより焼成していた。
【0009】
炭化珪素成形体12は、その製造条件に起因して炭化珪素粉末中に約3%程度のSiO2 を含有しているため、この焼成工程において、炭化珪素成形体12から上記SiO2 が昇華して放出され、その一部がSiOガスとなり、このSiOガスと焼成用治具11を構成する炭素との下記反応式(1);
【0010】
SiO+2C→SiC+CO・・・(1)
【0011】
に示す反応が進行する。
その結果、炭化珪素からなる粗大粒子が焼成用治具11表面に形成され、焼成用治具表面の平滑性が失われてしまうとともに、炭化珪素成形体12と焼成用治具11とのくっつき等が生じ、得られる多孔質炭化珪素部材に欠け14やピンホールを発生させ、歩留まりが低減する原因となっていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、欠けやピンホールがなく、充分に高い曲げ強度を有する多孔質炭化珪素部材を得ることができる炭化珪素成形体の焼成方法、多孔質炭化珪素部材の製造方法及びセラミックフィルタの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【発明を解決するための手段】
本発明の炭化珪素成形体の焼成方法は、炭化珪素粉末とバインダーと分散媒液とを含み、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状の炭化珪素成形体を脱脂した後、焼成用治具上に載置して焼成する方法であって、上記焼成用治具と上記炭化珪素成形体との間に、カーボンフェルトからなる下駄材を挿入することにより空間を設けることを特徴とする。
また、本発明の多孔質炭化珪素部材の製造方法は、炭化珪素粉末とバインダーと分散媒液とを含み、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状の炭化珪素成形体を脱脂した後、焼成用治具上に載置して焼成する多孔質炭化珪素部材の製造方法であって、
前記焼成用治具と前記炭化珪素成形体との間に、カーボンフェルトからなる下駄材を挿入することにより空間を設けることを特徴とする。
また、本発明のセラミックフィルタの製造方法は、本発明の多孔質炭化珪素部材の製造方法で製造した多孔質炭化珪素部材を複数個結束させることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の炭化珪素成形体の焼成方法、多孔質炭化珪素部材の製造方法及びセラミックフィルタの製造方法について、必要により、図1を参照しながら説明する。本発明では、初めに、炭化珪素粉末とバインダーと分散媒液とを含み、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状の炭化珪素成形体を作製する。
【0015】
上記炭化珪素粉末の粒径は特に限定されないが、後の焼成過程で収縮が少ないものが好ましく、例えば、0.3〜50μm程度の平均粒子径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μm程度の平均粒子径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが好ましい。
【0016】
上記バインダーとしては特に限定されないが、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
上記バインダーの配合量は、通常、炭化珪素粉末100重量部に対して、1〜10重量部程度が好ましい。
【0017】
上記分散媒液としては特に限定されないが、例えば、ベンゼン等の有機溶媒;メタノール等のアルコール、水等を挙げることができる。
上記分散媒液は、混合組成物の粘度が一定範囲内となるように、適量配合される。
【0018】
これら炭化珪素粉末とバインダーと分散媒液等とは、アトライター等で混合された後、ニーダー等で充分に混練され、押し出し成形法等により、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状の炭化珪素成形体が作製される。
この炭化珪素成形体の乾燥を行った後、封口工程を行い、炭化珪素成形体の貫通孔の目封じを行う。
【0019】
この後、上記工程により作製された炭化珪素成形体の脱脂を行う。
上記炭化珪素成形体の脱脂工程では、通常、上記炭化珪素成形体を脱脂用治具に載置した後、脱脂炉に搬入し、酸素含有雰囲気下、400〜650℃に加熱する。
これにより、バインダー等が揮散するとともに、分解、消失し、ほぼ炭化珪素粉末のみが残留する。
【0020】
次に、脱脂した炭化珪素成形体を、焼成用治具上に載置して焼成する。この焼成工程では、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、2000〜2200℃で脱脂した炭化珪素成形体を加熱し、炭化珪素粉末を焼結させて多孔質炭化珪素部材を製造する。
本発明では、この際に、上記焼成用治具と上記炭化珪素成形体との間に空間を設ける。
なお、上記焼成用治具としては、通常、カーボンが用いられる。
【0021】
上記焼成用治具と上記炭化珪素成形体との間に空間を設けるのは、上記炭化珪素成形体から発生するSiOガスと上記カーボン製の焼成用治具とが反応することにより生成する炭化珪素粗大粒子により、製造される多孔質炭化珪素部材に欠けやピンホールを発生するのを防止するためである。
【0022】
上記カーボン製の焼成用治具と上記炭化珪素成形体との間に空間を設ける方法としては特に限定されないが、例えば、図1に示したように、焼成用治具11と炭化珪素成形体12との間に下駄材13を挿入する方法が挙げられる。
【0023】
下駄材13は、焼成時の高温に耐え得る耐熱性が必要であることから、そのような耐熱性を有するセラミック部材が好ましい。
【0024】
このようなセラミック部材からなる下駄材13を用いて焼成用治具11と炭化珪素成形体12との間に空間を形成した際、炭化珪素成形体12への伝熱は、主に、炭化珪素成形体12の下に存在する焼成用治具11を介して行われ、下駄材13が存在する部分では、下駄材13を介して熱が伝導し、下駄材13が存在しない部分では、熱放射により熱が伝導する。
【0025】
そして、下に存在する材料からの伝熱が大きければ、炭化珪素成形体12の温度の上昇が早く、焼結が早い速度で進行し、一方、下の材料からの伝熱が小さければ、炭化珪素成形体12の温度の上昇が遅く、焼結がなかなか進行しない。
【0026】
従って、焼結を早く進行させるためには、上記セラミック部材は、比較的熱伝導率の高いものが好ましく、例えば、カーボン、炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等が挙げられる。
【0027】
このなかで上記炭化珪素は、SiOガスと全く反応せず、製造される多孔質炭化珪素部材と材料が同じであるため好ましいが、この炭化珪素は硬すぎるため上記炭化珪素成形体を傷付けやすい。従って、これらの事項を総合的に勘案すると、カーボンがより好ましい。また、カーボンであれば、その形態は特に限定されないが、炭化珪素成形体を傷付けにくい、カーボン繊維を組み合わせて布状にしたカーボンフェルトや糸状のものを組み上げたもの等が好ましい。
【0028】
また、上記カーボンフェルトの嵩密度は、0.3g/cm3 以下であることが好ましく、0.1g/cm3 以下であることがより好ましい。熱伝導性には若干劣るものの、炭化珪素成形体12を傷付けることがなく、また、炭化珪素成形体12とカーボンフェルトとの接触面積が小さく、炭化珪素成形体12から発生したSiOガスの抜けも良いので、炭化珪素成形体12とカーボンフェルトとが反応して炭化珪素からなる粗大粒子が形成されにくいからである。
【0029】
上記カーボンフェルトの嵩密度が0.3g/cm3 以上であると、炭化珪素成形体12から発生したSiOガスの流れがよくないため、SiOとカーボンフェルトとが反応しやすくなり、炭化珪素からなる粗大粒子が形成されやすく、炭化珪素成形体12とカーボンフェルトとがくっついたり、炭化珪素成形体12に欠けやピンホールが発生しやすくなる。
なお、上記カーボンフェルトの嵩密度は、0.3g/cm3 以下と嵩高いため、熱伝導率も0.4W/m・k以下と低くなる。従って、焼成用治具11からの熱伝導を良好にするためには、その厚さを薄くすることが望ましいが、SiOガスが逃散するための空間は確保しておく必要がある。これらのことを勘案すると、カーボンフェルトの厚さは、1〜10mm程度が望ましい。
【0030】
下駄材13の厚さは、炭化珪素成形体12の下からの熱伝導を考慮すると、1〜10mmの範囲が好ましい。具体的な厚さは、実際に用いる下駄材13の熱伝導率を考慮して適宜調整すればよい。
【0031】
上記下駄材の具体的な形状としては特に限定されないが、炭化珪素成形体12を載置した際の安定性の面から四角柱状が好ましい。
【0032】
また、上記下駄材と炭化珪素成形体との接触面積としては特に限定されないが、上記下駄材を介した熱伝導を考慮すると接触面積が大きい方が好ましい。しかし、カーボンを使用した場合には、上記したように、SiOガスとの反応によりSiCが生成するため、その接触面積は小さい方が好ましい。
【0033】
炭化珪素成形体の下に配置する下駄材の数としては特に限定されず、炭化珪素成形体の両端に2本載置しても良いし、それ以上載置しても良い。
【0034】
なお、脱脂工程から焼成工程に至る一連の工程では、焼成用治具上に下駄材を介して炭化珪素成形体を載せ、そのまま、脱脂工程及び焼成工程を行うことが好ましい。脱脂工程及び焼成工程を効率的に行うことができ、また、載せ代え等において、炭化珪素成形体が傷つくのを防止することができるからである。
【0035】
このように本発明の炭化珪素成形体の焼成方法を用いることにより、欠けやピンホールがなく、曲げ強度の高い多孔質炭化珪素部材を製造することができる。
【0036】
また、特に、焼成用治具と炭化珪素成形体との間に挿入する下駄材として嵩密度が0.3g/cm3 以下のカーボンフェルトを用いることにより、欠けやピンホールがなく、曲げ強度の高い多孔質炭化珪素部材を好適に製造することができる。
また、本発明の炭化珪素成形体の焼成方法を用いる多孔質炭化珪素部材の製造方法も本発明の一つである。
さらに、本発明の製造方法で製造した多孔質炭化珪素部材を複数個結束させるセラミックフィルタの製造方法もまた本発明の一つである。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0038】
実施例1
平均粒子径30μmのα型炭化珪素粉末70重量部、平均粒子径0.28μmのβ型炭化珪素粉末30重量部、メチルセルロース5重量部、分散剤4重量部、水20重量部を配合して均一に混合することにより、原料の混合組成物を調製した。
この混合組成物を押出成形機に充填し、押出速度2cm/分にて図2に示すような炭化珪素成形体23を作製した。この炭化珪素成形体23は、その大きさが33mm×33mm×300mmで、貫通孔25の数が31個/cm2 、隔壁24の厚さが0.35mmであった。
【0039】
次に、ポーラスカーボン(東海カーボン社製 G100)からなる焼成用治具上に、カーボンフェルト(3mm×5mm×410mm、熱伝導率:0.24W/m・K、嵩密度:0.15g/cm3 )からなる下駄材を載置し、この上に乾燥した炭化珪素成形体を載置して、5%の酸素濃度を有する空気と窒素との混合ガス雰囲気下、450℃で加熱することにより脱脂工程を行った。
【0040】
次に、炭化珪素成形体23を上記焼成用治具に載置したまま、焼成装置に搬入し、窒素ガス雰囲気下、2200℃に加熱することにより炭化珪素成形体の焼成を行い、多孔質炭化珪素部材を製造した。
【0041】
評価方法
(1)曲げ強度
曲げ強度試験機を用い、得られた多孔質炭化珪素部材の3点曲げを行い、曲げ強度を求めた。
(2)結晶粒成長
得られた多孔質炭化珪素部材の表面の結晶粒成長の状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)写真により評価した。
(3)欠け、ピンホール
得られた多孔質炭化珪素部材の表面を観察することにより評価した。
【0042】
本実施例1で得られた多孔質炭化珪素部材のSEM写真を図3に示す。
得られた多孔質炭化珪素部材中の結晶粒子は、図3に示したように、異常粒成長を起こしておらず、かつ、焼結が進行して適当な大きさにまで成長しており、欠けやピンホールは殆ど観察されず、得られたサンプルの平均の曲げ強度は、52MPaと充分に高い値であった。
これは、下駄材の厚さと熱伝導率との関係が、焼成を適切に行う条件とほぼ合致していたためと考えられる。
【0043】
実施例2
下駄材として、カーボンフェルト(5mm×5mm×410mm、熱伝導率0.24W/m・K、嵩密度:0.1g/cm3 )を用いた以外は、実施例1と同様にして炭化珪素焼結体を得た。
【0044】
本実施例2で得られた多孔質炭化珪素部材のSEM写真を図4に示す。
得られた多孔質炭化珪素部材中の結晶粒子は、図4に示したように、焼結が完全には進行していないため、10μm以下の粒子も観察され、得られたサンプルの平均の曲げ強度は、47MPaと実施例1の場合と比べると若干低かった。また、欠けやピンホールは殆ど観察されなかった。
これは、下駄材の厚さが実施例1の場合より厚かったため、炭化珪素成形体への熱伝導が実施例1の場合より若干悪く、温度が充分に上がっていなかったためと考えられる。
【0045】
実施例3
下駄材として、炭化珪素(2mm×5mm×410mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして炭化珪素焼結体を得た。
【0046】
本実施例3で得られた多孔質炭化珪素部材のSEM写真を図5に示す。
得られた多孔質炭化珪素部材中の結晶粒子は、図5に示したように、異常粒成長を起こしておらず、かつ、焼結が進行して適当な大きさにまで成長していた。ただし、得られたサンプルのなかには、下駄材と接触することにより大きな欠けが発生したものもあった。
このような欠けが発生したサンプルを除いて曲げ強度を測定したところ、平均の曲げ強度は、53MPaと充分に高い値であった。これは、炭化珪素からなる下駄材を介した熱伝導は充分であったためと考えられる。
【0047】
比較例1
実施例1と同様にして炭化珪素成形体23を作製した。この炭化珪素成形体23を、ポーラスカーボン(東海カーボン社製 G100)からなる脱脂用治具上に直接載置して、実施例1と同条件で脱脂および焼成を行い炭化珪素焼結体を得た。
本比較例1で得られた多孔質炭化珪素部材のSEM写真を図6に示す。
得られた多孔質炭化珪素部材中の結晶粒子は、図6に示したように、異常粒成長が観察され、得られたサンプルの平均の曲げ強度は、42MPaと低かった。
また、焼成用治具との接触面に欠けやピンホールも観察された。これは、焼成用治具の表面に炭化珪素の粗大粒子が形成されたためと考えられる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の炭化珪素成形体の焼成方法は、上述の通りであるので、欠けやピンホール等がなく、充分に高い曲げ強度を有する多孔質炭化珪素部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炭化珪素成形体の焼成方法の一例を模式的に示す縦断面図である。
【図2】本発明の炭化珪素成形体の焼成方法において使用する炭化珪素成形体を模式的に示す斜視図である。
【図3】実施例1で得られた多孔質炭化珪素部材の表面のSEM写真である。
【図4】実施例2で得られた多孔質炭化珪素部材の表面のSEM写真である。
【図5】実施例3で得られた多孔質炭化珪素部材の表面のSEM写真である。
【図6】比較例1で得られた多孔質炭化珪素部材の表面のSEM写真である。
【図7】従来の炭化珪素成形体の焼成方法を模式的に示す縦断面図である。
【図8】セラミックフィルタを模式的に示す斜視図である。
【図9】(a)は、セラミックフィルタを構成する多孔質炭化珪素部材を模式的に示す斜視図であり、(b)は、(a)に示す多孔質炭化珪素部材のA−A線断面図である。
【符号の説明】
11 焼成用治具
12 炭化珪素成形体
13 下駄材
14 欠け
23 炭化珪素成形体
24、94 隔壁
25、95 貫通孔
80 セラミックフィルタ
90 多孔質炭化珪素部材
96 充填材

Claims (11)

  1. 炭化珪素粉末とバインダーと分散媒液とを含み、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状の炭化珪素成形体を脱脂した後、焼成用治具上に載置して焼成する前記炭化珪素成形体の焼成方法であって、
    前記焼成用治具と前記炭化珪素成形体との間に、カーボンフェルトからなる下駄材を挿入することにより空間を設けることを特徴とする炭化珪素成形体の焼成方法。
  2. 前記焼成用治具は、カーボンからなる請求項1記載の炭化珪素成形体の焼成方法。
  3. 前記下駄材の厚さが、1〜10mmである請求項1又は2記載の炭化珪素成形体の焼成方法。
  4. 前記下駄材は、嵩密度が0.3g/cm3 以下である請求項1〜3のいずれか1に記載の炭化珪素成形体の焼成方法。
  5. 前記下駄材は、熱伝導率が0.4W/m・k以下である請求項1〜4のいずれか1に記載の炭化珪素成形体の焼成方法。
  6. 炭化珪素粉末とバインダーと分散媒液とを含み、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状の炭化珪素成形体を脱脂した後、焼成用治具上に載置して焼成する多孔質炭化珪素部材の製造方法であって、
    前記焼成用治具と前記炭化珪素成形体との間に、カーボンフェルトからなる下駄材を挿入することにより空間を設けることを特徴とする多孔質炭化珪素部材の製造方法。
  7. 前記焼成用治具は、カーボンからなる請求項記載の多孔質炭化珪素部材の製造方法。
  8. 前記下駄材の厚さが、1〜10mmである請求項6又は7記載の多孔質炭化珪素部材の製造方法。
  9. 前記下駄材は、嵩密度が0.3g/cm3 以下である請求項6〜8のいずれか1に記載の多孔質炭化珪素部材の製造方法。
  10. 前記下駄材は、熱伝導率が0.4W/m・k以下である請求項6〜9のいずれか1に記載の多孔質炭化珪素部材の製造方法。
  11. 請求項6〜10のいずれか1に記載の製造方法で製造した多孔質炭化珪素部材を複数個結束させることを特徴とするセラミックフィルタの製造方法。
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