JP4111676B2 - 多孔質炭化珪素焼結体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質炭化珪素焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排気ガス中に含まれるパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが問題になっている。
この排気ガスを多孔質セラミックを通過させることにより、排気ガス中のパティキュレートを捕集して排気ガスを浄化するセラミックフィルタが種々提案されている。
【0003】
セラミックフィルタは、通常、図1に示したような多孔質セラミック部材20が複数個結束されてセラミックフィルタ10を構成している。また、この多孔質セラミック部材20は、図2に示したように、長手方向に多数の貫通孔21が並設され、貫通孔21同士を隔てる隔壁23がフィルタとして機能するようになっている。
【0004】
即ち、多孔質セラミック部材20に形成された貫通孔21は、排気ガスの入口側又は出口側の端部のいずれかが充填材22により封口され、一の貫通孔21に流入した排気ガスは、必ず貫通孔21を隔てる隔壁23を通過した後、他の貫通孔21から流出するようになっており、排気ガスがこの隔壁23を通過する際、パティキュレートが隔壁23部分で捕捉され、排気ガスが浄化される。
【0005】
このような多孔質セラミック部材20として、最近では、耐熱性、機械的強度及び捕集効率が高く、化学的に安定しており、また、圧力損失が小さい等の利点があることから、非酸化物セラミックの一種である多孔質炭化珪素がフィルタ形成材料として用いられている。
【0006】
従来、このような炭化珪素からなる多孔質セラミック部材20を製造する際には、まず、炭化珪素粉末とバインダーと分散媒液とを混合して成形体作製用の混合組成物を調製した後、この混合組成物の押出成形等を行うことにより、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された柱状の炭化珪素粉末を含む成形体を作製し、所定の長さに切断する。
【0007】
次に、得られたこの成形体を乾燥し、水分を飛散させることにより、一定の強度を有し、取り扱いが容易な成形体の乾燥体とし、続いて、この成形体の端部を、炭化珪素粉末を主成分とする封口剤で市松模様状に封口する。
【0008】
この後、この封口剤で封口された炭化珪素成形体を脱脂用治具に載置した後、熱風循環式の脱脂炉に搬入し、酸素含有雰囲気下において、成形体中を400〜650℃に加熱し、有機バインダー成分中の溶剤を揮発させるとともに、樹脂成分を分解、消失させる脱脂工程を行い、さらに、炭化珪素成形体を下駄材を介して焼成用治具に載せ代えた後、焼成炉に搬入し、不活性ガス雰囲気下、2000〜2200℃に加熱することにより焼結させる焼成工程を経て、炭化珪素からなる多孔質セラミック部材20が製造される。
【0009】
しかしながら、このような従来の多孔質セラミック部材の製造方法で製造した多孔質炭化珪素焼結体は、その曲げ強度にバラツキが発生し、曲げ強度が低下したり、欠けが発生する場合があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、製造する多孔質炭化珪素焼結体の曲げ強度にバラツキが発生することがなく、優れた曲げ強度を有するとともに、欠けが発生しない多孔質炭化珪素焼結体の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第一の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法は、少なくとも、炭化珪素粉末とバインダーとを含む炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程と、上記炭化珪素成形体の脱脂を行って炭化珪素脱脂体を製造する脱脂工程と、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行って炭化珪素焼結体を製造する焼成工程とを含む多孔質炭化珪素焼結体の製造方法であって、上記脱脂工程において、上記炭化珪素脱脂体の残炭率が、0.15〜0.5%となる条件で加熱を行うことを特徴とする。
【0012】
また、第二の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法は、少なくとも、炭化珪素粉末とバインダーとを含む炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程と、上記炭化珪素成形体の脱脂を行って炭化珪素脱脂体を製造する脱脂工程と、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行って炭化珪素焼結体を製造する焼成工程とを含む多孔質炭化珪素焼結体の製造方法であって、上記焼成工程において、上記炭化珪素脱脂体を、炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰めたルツボ内に載置した後、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行うことを特徴とする。
【0013】
また、第三の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法は、少なくとも、炭化珪素粉末とバインダーとを含む炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程と、上記炭化珪素成形体の脱脂を行って炭化珪素脱脂体を製造する脱脂工程と、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行って炭化珪素焼結体を製造する焼成工程とを含む多孔質炭化珪素焼結体の製造方法であって、上記脱脂工程において、上記炭化珪素脱脂体の残炭率が、0.15〜0.5%となる条件で加熱を行うとともに、上記焼成工程において、上記炭化珪素脱脂体を、炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰めたルツボ内に載置した後、前記炭化珪素脱脂体の焼成を行うことを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
第一〜第三の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法は、いずれも、各製造方法における焼成工程で、炭化珪素脱脂体の内部及び/又はその周囲に存在する炭素の量を増加させることにより、製造する多孔質炭化珪素焼結体に、曲げ強度のバラツキ、及び、欠けが発生することを防止することができる。
これは、以下のような理由によるものと考えられる。
【0015】
即ち、従来の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法においては、脱脂工程を経た炭化珪素脱脂体は、原料の製造条件や脱脂条件等に起因して炭化珪素脱脂体中に約3%程度のSiO2 を含有しているが、次の焼成工程で、最高温度が2000℃以上と極めて高温にまで加熱を行うため、炭化珪素脱脂体中のSiO2 は昇華し、炭化珪素脱脂体から放出される。また、上記炭化珪素脱脂体中には微量ながら炭素が存在し、さらに、通常、焼成工程において使用するルツボや、炭化珪素脱脂体を載置する下駄材を構成する物質は炭素であるため、これらの炭素と上記SiO2 との間で下記反応式(1);
【0016】
SiO2 +C→SiO+CO・・・(1)
【0017】
に示す反応が進行し、SiOガスが発生する。
そして、さらに、この発生したSiOガスと、上記炭化珪素脱脂体中に存在する炭素及びルツボや下駄材を構成する炭素との間で下記反応式(2);
【0018】
SiO+2C→SiC+CO・・・(2)
【0019】
に示す反応が進行する。
即ち、焼成工程の進行に伴って、炭化珪素脱脂体中に存在する炭素及びルツボや下駄材を構成する炭素が、昇華したSiO2 やSiOガスにより消費されていくこととなる。
【0020】
しかしながら、上述した通り、脱脂工程を経た炭化珪素脱脂体中に存在する炭素量は微量なものであり、上記反応式(1)及び(2)に示した反応によりすぐに消費され尽くしてしまう。また、ルツボや下駄材を構成する炭素は、上記反応式(1)及び(2)に示した反応における良好な炭素の供給源となり得るが、上記ルツボや下駄材の表面部分がSiC化してしまうと、最早、上記反応式(1)及び(2)に示した反応に炭素を供給することができなくなってしまう。
【0021】
即ち、焼結工程の進行に伴って、上記反応式(1)及び(2)に示した反応に供給される炭素量が減少し、対照的にSiOガスの濃度が高くなることとなる。その結果、高濃度のSiOガスと炭化珪素脱脂体の大部分を構成するSiCとの間に下記反応式(3);
【0022】
SiO+SiC→2Si+CO・・・(3)
【0023】
に示す反応が進行する。
即ち、焼成中の炭化珪素脱脂体中にSiが存在することとなり、このような炭化珪素脱脂体では、焼結が進行しにくくなり、炭化珪素粒子自体は粒成長をするものの、この粒成長した炭化珪素粒子同士の結び付き、所謂、ネッキングが余り形成されず、製造する多孔質炭化珪素焼結体の強度にバラツキが発生し、強度が低下していたと考えられる。
【0024】
さらに、上記反応式(2)に示した反応により、ルツボや下駄材の表面がSiC化してしまうと、これらの部材が硬くなりすぎるとともに、その表面に凹凸が形成されることとなる。
このため、焼成工程中に、炭化珪素脱脂体と下駄材とが接していた部分や、焼成中の振動等により、炭化珪素脱脂体とSiC化したルツボとが接触した場合、該接触部分に欠けが発生していたと考えられる。
【0025】
第一〜第三の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法では、上記焼成工程において、炭化珪素脱脂体とともに存在する炭素の量を増加させることにより、製造する多孔質炭化珪素焼結体に曲げ強度のバラツキ、及び、欠けが発生することを防止する。
即ち、上記焼成工程において、増加させた炭素と発生するSiOガスとの間で上記反応式(2)に示した反応を促進させ、SiOガスの濃度が高くなることを防止し、上記反応式(3)に示した反応が進行しないようにするとともに、ルツボや下駄材の表面のSiC化を防止するのである。
【0026】
以下、第一〜第三の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法について、さらに、詳しく説明する。
なお、以下の説明では、多孔質炭化珪素焼結体の形状を、図2に示したような、多数の貫通孔が長手方向に並設された柱状のものとして説明するが、第一〜第三の本発明の多孔質炭化珪素製造方法により製造する多孔質炭化珪素焼結体の形状は、これに限定されるものではなく、例えば、その内部に多数の連通した開孔を有する柱状等であってもよい。
【0027】
まず、第一の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法について説明する。
第一の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法は、少なくとも、炭化珪素粉末とバインダーとを含む炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程と、上記炭化珪素成形体の脱脂を行って炭化珪素脱脂体を製造する脱脂工程と、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行って炭化珪素焼結体を製造する焼成工程とを含む多孔質炭化珪素焼結体の製造方法であって、上記脱脂工程において、上記炭化珪素脱脂体の残炭率が、0.15〜0.5%となる条件で加熱を行うことを特徴とする。
【0028】
第一の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法(以下、第一の本発明の製造方法ともいう)では、まず、炭化珪素粉末とバインダーとを含む炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程を行う。
上記炭化珪素粉末の粒径は特に限定されるものではないが、後で炭化珪素成形体を焼成する際に収縮が少ないものが好ましく、例えば、0.3〜50μm程度の平均粒径を有する粒子100重量部と0.1〜1.0μm程度の平均粒径を有する粒子5〜65重量部とを組み合わせたものが好ましい。
【0029】
上記バインダーとしては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができる。
上記バインダーの配合量は、通常、炭化珪素粉末100重量部に対して、1〜10重量部であることが好ましい。
【0030】
また、上記炭化珪素粉末とバインダーとともに、分散剤や分散媒液が添加されていてもよい。上記分散剤としては特に限定されず、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジル・ジフェニルホスフェート等のリン酸エステル系化合物等を挙げることができる。また、この分散剤は、炭化珪素粒子100重量部に対して0.1〜5重量部添加されることが好ましい。
【0031】
上記分散媒液としては特に限定されず、例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等の有機溶媒;メタノール等のアルコール、水等を挙げることができる。上記分散媒液は、これら、炭化珪素粉末、バインダー、分散剤及び分散媒液の粘度が一定範囲内となるように適量配合される。
【0032】
これら炭化珪素粉末、バインダー、分散剤及び分散媒液等を、アトライター等で混合した後、ニーダー等で充分に混練して炭化珪素成形体作製用の混合組成物を調製する。そして、押し出し成形法等により、上記混合組成物を押し出すことで、図2に示した従来のセラミック部材20と略同形状の炭化珪素成形体を形成する。
【0033】
続いて、マイクロ波や熱風等を利用した乾燥手段を用いて、上記炭化珪素成形体の内部に存在する水分を飛散、蒸発させて、炭化珪素成形体の乾燥体とする。
次に、この作製した炭化珪素成形体を従来の技術で説明したようなセラミックフィルタとして使用する場合、この炭化珪素成形体の乾燥体に形成された所定の貫通孔の端部を炭化珪素粒子を主成分とする封口剤で封口する。
【0034】
上記封口剤を主に構成する炭化珪素粒子は、炭化珪素成形体を構成するものと同様のものであることが好ましい。後の脱脂、焼成工程において、収縮率の差に起因するクラックの発生を防止するためである。
上記封口工程を経て、多数の貫通孔が長手方向に並設され、これら貫通孔のどちらかの一端が互い違いに封口された柱状の炭化珪素成形体を作製する。
【0035】
次に、上記炭化珪素成形体の脱脂を行って炭化珪素脱脂体を製造する脱脂工程を行う。
第一の本発明の製造方法において、上記脱脂工程は、上記炭化珪素脱脂体の残炭率が、0.15〜0.5%となる条件で加熱を行う。
【0036】
上記残炭率が0.15%未満であると、次工程の焼成工程において、発生するSiOガスと反応する炭素の量が不充分となり、製造する多孔質炭化珪素焼結体の曲げ強度にバラツキが発生する。一方、上記残炭率が0.5%を超えると、上記炭化珪素脱脂体中に過剰な炭素が存在することとなり、次工程の焼成工程において、炭化珪素脱脂体を充分に焼結させることができず、製造する多孔質炭化珪素焼結体の曲げ強度が低くなる。
【0037】
上記脱脂工程の条件として、ルツボ内の酸素濃度は6〜10%であることが望ましい。酸素濃度が6%未満であると、製造する炭化珪素脱脂体の残炭率が0.5%を超えることがあり、一方、酸素濃度が10%を超えると、製造する炭化珪素脱脂体の残炭率が0.15%未満になることがある。
【0038】
上記脱脂工程において、上記炭化珪素成形体の加熱温度は、400〜650℃であることが望ましい。加熱温度が400℃未満であると、脱脂後の炭化珪素脱脂体の残炭率が高くなりすぎ、製造する多孔質炭化珪素焼結体の曲げ強度が低下する場合がある。一方、加熱温度が650℃を超えると、脱脂後の炭化珪素脱脂体の残炭率が低くなりすぎ、製造する多孔質炭化珪素焼結体の曲げ強度にバラツキが発生する場合がある。
【0039】
また、このような条件で行う上記脱脂工程は、通常、上記炭化珪素成形体を炭素からなる脱脂用治具に載置した後、脱脂炉に搬入することで行う。
【0040】
次に、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行って炭化珪素焼結体を製造する焼成工程を行う。
【0041】
上記焼成工程では、上記炭化珪素脱脂体を、通常、炭素からなる下駄材を介してルツボ(焼成用治具)内に載置した後、焼成炉に搬入し、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、2000〜2200℃で上記炭化珪素脱脂体を焼結する。
【0042】
上記下駄材は、ルツボと炭化珪素脱脂体との間に空間を形成するために設けており、炭化珪素脱脂体を炭素からなるルツボ内に直接載置することで、これらの間に炭化珪素粗大粒子が発生し、製造する多孔質炭化珪素焼結体に欠けやピンホールが生じることを防止する役割を果している。
このような下駄材は、上述した通り、通常、炭素からなるものが使用されるが、その他の材質として、例えば、炭化珪素等のセラミックを使用することも可能である。しかしながら、上記下駄材は、比較的優れた熱伝導率を有するとともに、炭化珪素脱脂体を傷つけない程度の強度を有することが好ましいことを勘案すると、炭素からなるものであることが望ましい。
【0043】
なお、脱脂工程から焼成工程に至る一連の工程では、ルツボ内に下駄材を介して炭化珪素成形体を載置し、そのまま、脱脂工程及び焼成工程を行うことが望ましい。脱脂工程及び焼成工程を効率的に行うことができ、また、載せ代え等において、炭化珪素脱脂体が傷つくのを防止することができるからである。
【0044】
第一の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法は、上記の通りであり、脱脂工程において、炭化珪素脱脂体の残炭率が0.15〜0.5%となる条件で加熱を行った後、焼成を行うものである。
従って、焼成工程において、SiO2 及びSiOガスが上記炭化珪素脱脂体に存在する残炭と反応することとなり、ルツボ内のSiOガスの濃度が高濃度になることを防止することができる。
その結果、炭化珪素脱脂体の大部分を構成するSiCと上記SiOガスとが反応して、Siが生成されることは殆どなく、焼成工程において焼結が充分に進行し、製造される多孔質炭化珪素焼結体における炭化珪素粒子は充分にネッキングし、曲げ強度にバラツキが少なく、良好な曲げ強度を有する多孔質炭化珪素焼結体を製造することができる。
また、上記焼成工程で、ルツボ及び下駄材の表面がSiC化することもないので、製造する多孔質炭化珪素焼結体に欠けが発生することもない。
【0045】
また、このような第一の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法を用いて、上記従来の技術において説明したような、多孔質炭化珪素部材を複数個結束してセラミックフィルタを製造すると、このセラミックフィルタは耐久性に優れたものとなる。
【0046】
次に、第二の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法について説明する。
第二の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法は、少なくとも、炭化珪素粉末とバインダーとを含む炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程と、上記炭化珪素成形体の脱脂を行って炭化珪素脱脂体を製造する脱脂工程と、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行って炭化珪素焼結体を製造する焼成工程とを含む多孔質炭化珪素焼結体の製造方法であって、上記焼成工程において、上記炭化珪素脱脂体を、炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰めたルツボ内に載置した後、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行うことを特徴とする。
【0047】
第二の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法(以下、第二の本発明の製造方法ともいう)では、まず、炭化珪素粉末とバインダーとを含む炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程を行う。
【0048】
この第二の本発明の製造方法に係る成形体作製工程は、上述した第一の本発明の製造方法における成形体作製工程と同様の方法で行うことができる。従って、ここでは、その説明を省略する。
【0049】
次に、上記炭化珪素成形体の脱脂を行って炭化珪素脱脂体を製造する脱脂工程を行う。
上記脱脂工程では、通常、上記炭化珪素成形体を脱脂用治具に載置した後、脱脂炉に搬入し、酸素含有雰囲気下、400〜650℃に加熱する。
これにより、バインダー等が揮散するとともに、分解、消失し、略炭化珪素粉末のみが残留する。
なお、この第二の本発明の製造方法における脱脂工程の脱脂条件は特に限定されるものではなく、従来から行われている条件で脱脂を行うことができるが、上記した第一の本発明の脱脂方法により脱脂することが望ましい。上記炭化珪素脱脂体中に炭素を含有させることにより、SiOガスの濃度をより低下させることができるからである。
【0050】
次に、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行って炭化珪素焼結体を製造する焼成工程を行う。
第二の本発明の製造方法において、上記焼成工程は、上記炭化珪素脱脂体を、炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰めたルツボ内に載置した後、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行う。
【0051】
ここで、上記炭素粉末とは、平均粒径が数100μm以下の炭素粒子のことをいい、上記炭素粒とは、上記炭素粉末がバインダー等により多数結合し、その粒径が1〜10mm程度のものをいう。
このような炭素粉末や炭素粒としては特に限定されず、例えば、カーボンブラック、グラファイト、すす等を挙げることができる。
【0052】
上記焼成工程では、まず、ルツボ内に上記炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰める。
上記炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰める量は、上記炭化珪素脱脂体に含まれるSiO2 の量に合わせて適宜調整する。
具体的には、上記炭素粉末及び/又は炭素粒のモル数が上記SiO2 のモル数の3倍以上となるように調整することが望ましい。
上述した通り、焼成工程において、炭化珪素脱脂体に含まれるSiO2 は、炭素と反応してSiOガスを生成し(下記反応式(1))、この生成したSiOガスは、さらに、炭素と反応してSiCを生成する(下記反応式(2))。そのため、下記反応式(1)及び(2)より、これらの反応を充分に行うために必要な炭素のモル数は、SiO2 1モルに対して、3モルとなるからである。
【0053】
SiO2 +C→SiO+CO・・・(1)
【0054】
SiO+2C→SiC+CO・・・(2)
【0055】
また、上記炭素粉末及び/又は炭粒に代えて、例えば、カーボン繊維を組み合わせて布状にしたカーボンフェルトや糸状のものを組み上げたものを、上記ルツボ内に敷き詰めてもよい。同様の効果を得ることができるからである。
【0056】
このようにして炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰めたルツボ内に、下駄材を介して炭化珪素脱脂体を載置した後、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、2000〜2200℃で上記炭化珪素脱脂体の焼成を行う。
上記下駄材としては、炭素からなるものであることが望ましい。上記第一の本発明の製造方法で説明した通りである。
【0057】
また、上記脱脂工程から焼成工程に至る一連の工程では、ルツボ内に炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰めた後下駄材を介して炭化珪素成形体を載置し、そのまま、脱脂工程及び焼成工程を行うことが望ましい。脱脂工程及び焼成工程を効率的に行うことができ、また、載せ代え等において、炭化珪素脱脂体が傷つくのを防止することができるからである。
【0058】
第二の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法は、上記の通りであり、焼成工程において、脱脂工程を経た炭化珪素脱脂体を、炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰めたルツボ内に載置した後、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行う。
従って、この焼成工程において、SiO2 及びSiOガスは上記炭素粉末及び/又は炭素粒と反応するため、ルツボ内のSiOガスの濃度が高濃度となることを防止することができる。
その結果、炭化珪素脱脂体の大部分を構成するSiCと上記SiOガスとが反応して、Siが生成されることは殆どなく、焼成工程において焼結が充分に進行し、製造する多孔質炭化珪素焼結体における炭化珪素粒子同士はネッキングにより結合し、曲げ強度にバラツキが少なく、良好な曲げ強度を有する多孔質炭化珪素焼結体を製造することができる。
また、上記焼成工程で、ルツボ及び下駄材の表面がSiC化することもないので、製造する多孔質炭化珪素焼結体に欠けが発生することもない。
【0059】
また、このような第二の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法を用いて、上記従来の技術において説明したような、多孔質炭化珪素部材を複数個結束してセラミックフィルタを製造すると、このセラミックフィルタは耐久性に優れたものとなる。
【0060】
次に、第三の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法について説明する。
第三の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法は、少なくとも、炭化珪素粉末とバインダーとを含む炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程と、上記炭化珪素成形体の脱脂を行って炭化珪素脱脂体を製造する脱脂工程と、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行って炭化珪素焼結体を製造する焼成工程とを含む多孔質炭化珪素焼結体の製造方法であって、上記脱脂工程において、上記炭化珪素脱脂体の残炭率が、0.15〜0.5%となる条件で加熱を行うとともに、上記焼成工程において、上記炭化珪素脱脂体を、炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰めたルツボ内に載置した後、前記炭化珪素脱脂体の焼成を行うことを特徴とする。
【0061】
第三の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法(以下、第三の本発明の製造方法ともいう)では、まず、炭化珪素粉末とバインダーとを含む炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程を行い、その後、上記炭化珪素成形体の脱脂を行って炭化珪素脱脂体を製造する脱脂工程を行う。ここで、この脱脂工程において、上記炭化珪素脱脂体の残炭率が、0.15〜0.5%となる条件で加熱を行う。
【0062】
この第三の本発明の製造方法に係る成形体作製工程、及び、脱脂工程は、上述した第一の本発明の製造方法の脱脂工程と同様の方法で行うことができる。従って、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0063】
次に、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行って炭化珪素焼結体を製造する焼成工程を行う。ここで、この焼成工程において、上記炭化珪素脱脂体を、炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰めたルツボ内に載置した後、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行う。
【0064】
この第三の本発明の製造方法に係る焼成工程は、上述した第二の本発明の製造方法の焼成工程と同様の方法で行うことができる。従って、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0065】
第三の本発明の製造方法は、上記焼成工程において、SiO2 及びSiOガスと反応するために必要な炭素を、炭化珪素脱脂体中の残炭及びルツボ内に敷き詰めた炭素粉末及び/又は炭素粒により供給するものである。
第三の本発明の製造方法では、炭化珪素脱脂体の残炭率が0.15〜0.5%となるように炭化珪素成形体の脱脂を行った後、ルツボ内に炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰めて炭化珪素脱脂体の焼成を行っているため、焼成工程において存在する炭素の量が過剰となり、製造する多孔質炭化珪素焼結体に炭素が残留し、焼結が不充分となることが考えられる。
しかしながら、上記反応式(1)に示したSiO2 は、炭化珪素脱脂体に存在するものであり、このSiO2 が焼成の進行に伴って昇華して炭素と反応するものである。そのため、このSiO2 は炭化珪素脱脂体の残炭と優先的に反応するものと考えられる。
同様に、上記反応式(1)に示した反応により生成したSiOガスも、炭化珪素脱脂体に存在する残炭と優先的に上記反応式(2)に示した反応をするものと考えられる。
従って、上記焼成工程においては、SiO2 及びSiOガスは、共に炭化珪素脱脂体に存在する残炭と優先的に反応することとなり、製造する多孔質炭化珪素焼結体に炭素が残留することはなく、充分に焼結は進行するものと考えられる。
【0066】
第三の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法は、上記の通りであり、脱脂工程において、炭化珪素脱脂体の残炭率が0.15〜0.5%となる条件で加熱を行い、次の焼成工程において、上記炭化珪素脱脂体を、炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰めたルツボ内に載置した後、上記炭化珪素脱脂体の焼成を行うものである。
従って、上記焼成工程において、ルツボ内にはSiO2 及びSiOガスと反応する充分な量の炭素が存在することとなるため、上記SiO2 及びSiOガスは、炭素と略完全に反応してSiCとなり、ルツボ内のSiOガスの濃度が高濃度となることがない。
その結果、炭化珪素脱脂体の大部分を構成するSiCと上記SiOガスとが反応して、Siが生成されることはなく、焼成工程において焼結が充分に進行し、製造された多孔質炭化珪素焼結体における炭化珪素粒子は充分にネッキングし、製造する多孔質炭化珪素焼結体の曲げ強度にバラツキが発生することがなく、また、優れた曲げ強度を有するものとなる。
また、上記焼成工程で、ルツボ及び下駄材の表面がSiC化することもないので、製造する多孔質炭化珪素焼結体に欠けが発生することもない。
【0067】
また、このような第三の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法を用いて、上記従来の技術において説明したような、多孔質炭化珪素部材を複数個結束してセラミックフィルタを製造すると、このセラミックフィルタは耐久性に優れたものとなる。
【0068】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0069】
実施例1
平均粒径30μmのα型炭化珪素粉末70重量部、平均粒径0.28μmのβ型炭化珪素粉末30重量部、メチルセルロース5重量部、分散剤4重量部、水20重量部を配合した後、ボールミル中にて5時間混合することにより、均一な混合組成物を調製した。
【0070】
この混合組成物を押出成形装置に充填し、押出速度2cm/分にて、図2に示したような形状からなる炭化珪素成形体を作製した。この炭化珪素成形体は、その大きさが33mm×33mm×300mmで、貫通孔の数が31個/cm2 、隔壁の厚さが0.35mmであった。
【0071】
次に、上記炭化珪素成形体を、まずマイクロ波乾燥機を用いて100℃で3分の乾燥を行った後、熱風乾燥機を用いて110℃で20分の乾燥を行った。さらに、乾燥された炭化珪素成形体を切断した後、上記貫通孔を炭化珪素からなる封止用ペーストによって封止した。
【0072】
続いて、ポーラスカーボン(東海カーボン社製 G100)からなるルツボ内に、カーボンフェルト(3mm×5mm×410mm、熱伝導率:0.24W/m・K、嵩密度:0.15g/cm3 )からなる下駄材を載置し、この上に乾燥した炭化珪素成形体を10本載置して、上記ルツボを連続脱脂炉内に搬入し、8%の酸素濃度を有する空気と窒素との混合ガス雰囲気下、500℃で加熱することにより脱脂工程を行い、炭化珪素脱脂体を製造した。
このとき、製造した炭化珪素脱脂体の残炭率は場所により異なるものであったが、平均すると0.33%であった。
【0073】
そして、上記炭化珪素脱脂体を上記ルツボに載置したまま、焼成装置に搬入し、常圧のアルゴン雰囲気下において2200℃で約3時間の焼成を行い、多孔質炭化珪素焼結体を製造した。
【0074】
実施例2
まず、実施例1と同様にして、炭化珪素成形体を作製した。
次に、ポーラスカーボン(東海カーボン社製 G100)からなるルツボ内に、平均粒径25〜300μmのカーボン粉を40g敷き詰めた後、カーボンフェルト(3mm×5mm×410mm、熱伝導率:0.24W/m・K、嵩密度:0.15g/cm3 )からなる下駄材を載置し、この上に乾燥した炭化珪素成形体を10本載置して、上記ルツボを連続脱脂炉内に搬入し、12%の酸素濃度を有する空気と窒素との混合ガス雰囲気下、500℃で加熱することにより脱脂工程を行い、炭化珪素脱脂体を製造した。
このとき、製造した炭化珪素脱脂体の残炭率は場所により異なるものであったが、平均すると0.13%であった。
【0075】
そして、上記炭化珪素脱脂体を上記ルツボに載置したまま、焼成装置に搬入し、常圧のアルゴン雰囲気下において2200℃で約3時間の焼成を行い、多孔質炭化珪素焼結体を製造した。
【0076】
実施例3
まず、実施例1と同様にして、炭化珪素成形体を作製した。
次に、ポーラスカーボン(東海カーボン社製 G100)からなるルツボ内に、平均粒径25〜300μmのカーボン粉を40g敷き詰めた後、カーボンフェルト(3mm×5mm×410mm、熱伝導率:0.24W/m・K、嵩密度:0.15g/cm3 )からなる下駄材を載置し、この上に乾燥した炭化珪素成形体を10本載置して、上記ルツボを連続脱脂炉内に搬入し、7%の酸素濃度を有する空気と窒素との混合ガス雰囲気下、400℃で加熱することにより脱脂工程を行い、炭化珪素脱脂体を製造した。
このとき、製造した炭化珪素脱脂体の残炭率は場所により異なるものであったが、平均すると0.45%であった。
【0077】
そして、上記炭化珪素脱脂体を上記ルツボに載置したまま、焼成装置に搬入し、常圧のアルゴン雰囲気下において2200℃で約3時間の焼成を行い、多孔質炭化珪素焼結体を製造した。
【0078】
比較例1
実施例1の脱脂工程において、ルツボ内の酸素濃度を12%としたほかは、実施例1と同様にして多孔質炭化珪素焼結体を製造した。
なお、上記脱脂工程により製造した炭化珪素脱脂体の残炭率は場所により異なるものであったが、平均すると0.13%であった。
【0079】
評価試験
(1)曲げ強度
曲げ強度試験機を用い、実施例1〜3及び比較例1で製造した多孔質炭化珪素焼結体の4点曲げ試験を行い、それぞれの曲げ強度を求めた。
その結果を下記の表1に示した。
なお、このときの試験条件としては、上治具のスパンが119mm、下治具のスパンが227mmであり、上治具及び下治具は、共に多孔質炭化珪素焼結体の中央から均等な位置に配置した。
また、併せて実施例1〜3及び比較例1に係る多孔質炭化珪素焼結体の曲げ強度のワイブル係数を算出し、その結果を下記の表1に示した。
【0080】
(2)ネッキング
実施例1〜3及び比較例1で製造した多孔質炭化珪素焼結体の表面のネッキングの状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)写真により評価した。
その結果を下記の表1に示した。なお、ネッキングが充分なものを○、不充分なものを×で表示した。
【0081】
(3)欠け
実施例1〜3及び比較例1で製造した多孔質炭化珪素焼結体の表面を観察することにより評価した。
その結果を下記の表1に示した。なお、欠けが観察されなかったものを○、観察されたものを×で表示した。
【0082】
【表1】
【0083】
表1に示した結果から明らかなように、実施例1〜3に係る多孔質炭化珪素焼結体の曲げ強度、及び、ワイブル係数は、いずれも、比較例1に係る多孔質炭化珪素焼結体の曲げ強度、及び、ワイブル係数よりも優れたものであった。
また、実施例1〜3に係る多孔質炭化珪素焼結体を構成する炭化珪素粒子は、充分にネッキングしており、欠けが発生しているものはなかった。一方、比較例1に係る多孔質炭化珪素焼結体を構成する炭化珪素粒子は、粒成長しているものの、ネッキングが不充分であり、また、一部に欠けが発生していた。
【0084】
また、実施例1〜3及び比較例1に係る多孔質炭化珪素焼結体を用いて、図1に示したようなセラミックフィルタを製造したところ、実施例1〜3に係るセラミックフィルタは、充分な耐久性を有するものであったが、比較例1に係るセラミックフィルタは、構成する多孔質炭化珪素焼結体の一部に破損が発生し、耐久性に劣るものであった。
【0085】
【発明の効果】
第一の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法は、上述した通りであるので、焼結が充分に進行し、炭化珪素粒子同士は強固にネッキングしているので、曲げ強度のバラツキが小さく、かつ、優れた曲げ強度を有する多孔質炭化珪素焼結体を製造することができる。
【0086】
第二の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法は、上述した通りであるので、焼結が充分に進行し、炭化珪素粒子同士は強固にネッキングしているので、曲げ強度のバラツキが小さく、かつ、優れた曲げ強度を有する多孔質炭化珪素焼結体を製造することができる。
【0087】
第三の本発明の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法は、上述した通りであるので、焼結が充分に進行し、炭化珪素粒子同士は強固にネッキングしているので、特に曲げ強度のバラツキが小さく、かつ、優れた曲げ強度を有する多孔質炭化珪素焼結体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミックフィルタの一例を模式的に示した斜視図である。
【図2】(a)は、図1に示したセラミックフィルタを構成する多孔質炭化珪素部材の一例を模式的に示した斜視図であり、(b)は、そのA−A線断面図である。
【符号の説明】
10 セラミックフィルタ
20 多孔質セラミック部材
21 貫通孔
22 充填材
23 隔壁
Claims (3)
- 少なくとも、炭化珪素粉末とバインダーとを含むとともに、長手方向に多数の貫通孔が並設された柱状の炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程と、
前記炭化珪素成形体の脱脂を行って炭化珪素脱脂体を製造する脱脂工程と、
前記炭化珪素脱脂体の焼成を行って炭化珪素焼結体を製造する焼成工程と
を含む多孔質炭化珪素焼結体の製造方法であって、
前記焼成工程において、前記炭化珪素脱脂体を、炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰めたルツボ内に下駄材を介して載置した後、前記炭化珪素脱脂体の焼成を行うことを特徴とする多孔質炭化珪素焼結体の製造方法。 - 少なくとも、炭化珪素粉末とバインダーとを含むとともに、長手方向に多数の貫通孔が並設された柱状の炭化珪素成形体を作製する成形体作製工程と、
前記炭化珪素成形体の脱脂を行って炭化珪素脱脂体を製造する脱脂工程と、
前記炭化珪素脱脂体の焼成を行って炭化珪素焼結体を製造する焼成工程と
を含む多孔質炭化珪素焼結体の製造方法であって、
前記脱脂工程において、ルツボ内に炭素粉末及び/又は炭素粒を敷き詰め、次に、前記炭素粉末及び/又は前記炭素粒上に下駄材を介して炭化珪素成形体を載置し、前記炭化珪素脱脂体の残炭率が、0.15〜0.5%となる条件で加熱を行うとともに、
前記焼成工程において、前記炭素粉末及び/又は前記炭素粒を敷き詰めるとともに、前記下駄材を載置した前記ルツボをそのまま用い、前記炭化珪素脱脂体の焼成を行うことを特徴とする多孔質炭化珪素焼結体の製造方法。 - 敷き詰められた前記炭素粉末及び/又は前記炭素粒の量は、前記炭素粉末及び/又は前記炭素粒のモル数が前記炭化珪素脱脂体のSiO 2 のモル数の3倍以上となる量である請求項1又は請求項2に記載の多孔質炭化珪素焼結体の製造方法。
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