JP5673946B2 - 窒化ケイ素系セラミックスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポスト反応焼結法による窒化ケイ素(Si)系セラミックスの製造方法に関する。
窒化ケイ素系セラミックスは、耐熱性、高強度、耐摩耗性、耐熱衝撃性などの優れた特徴を有するため、エンジニアリングセラミックスとして注目されており、有用な材料である。これまで、エンジン用部品材料、ベアリング材料、工具材料、溶融金属用部品、軸受部材、圧延用などの各種ロール材、コンプレッサ用ベーン、ターボロータ、切削工具などとして実用化されている。
窒化ケイ素系セラミックスの製造方法には、主として二種の方法がある。第1の方法は、Si粉末を原料とし、これに焼結助剤を添加して焼結する常圧焼結法である。第2の方法は、金属Si粉末を原料とし、1500℃以下の温度で窒化させる反応焼結法である。
常圧焼結法では、緻密な焼結体が得られやすいものの、高品質の焼結体を得るためには、微細で不純物の少ないSi粉末を用いる必要があり、高純度のSi粉末が非常に高価であるという問題がある。一方、反応焼結法では、金属Si粉末を用いるため比較的安価に製品を製造することができるものの、常圧焼結法で得られる焼結体に比較して相対密度が70〜80%程度であり、緻密な焼結体を得ることができない。
そこで、近年、安価な金属Si粉末を原料とし、かつ、焼結助剤を添加して、反応焼結と緻密化焼結とを併用するポスト反応焼結法(2段焼結法ともいう)が提案されている。ポスト反応焼結法では、反応焼結の出発原料である金属Si粉末に焼結助剤を添加し、金属Siを窒化させる窒化工程を行った後、更に焼成温度を上げることで緻密化させる緻密化工程を行う。なお、ポスト反応焼結法により製造された窒化ケイ素系セラミックスについては、特許文献1、2に開示されている。
特開2007−197226号公報 特開2008−24579号公報
しかしながら、上記金属Siを窒化する方法には、製造過程で金属Siが噴出するという問題点を有している。
具体的に説明すると、窒化ケイ素系セラミックスを得るためには、高温条件化で金属Siを窒素によって窒化させるが、高強度の窒化ケイ素系セラミックスを得るには窒化を金属Siが溶融しない寸前の温度で行うことが好ましい。このため、窒化は金属Siにとって高温の条件でなされ、金属Siの噴出が生じ易い。金属Siの噴出が生じれば、最終焼成体の歩留まりの低下および製造コストの増大を招くため、そもそも金属Siを原料とした意義が薄れることとなる。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、金属Siの窒化過程において、金属Siの噴出を抑制する窒化ケイ素系セラミックスの製造方法を提供することにある。
本発明の窒化ケイ素系セラミックスの製造方法は、上記課題を解決するために、金属Siを窒化する窒化ケイ素系セラミックスの製造方法において、金属Si、焼結助剤、および、加熱することによって気孔を形成する造孔剤を含む混合物の圧体を加熱して、上記圧体中の金属Si間に気孔を形成する造孔工程と、上記造孔工程にて得られた、気孔が形成された金属Siおよび焼結助剤を含む多孔体を、窒素雰囲気下にて焼成して反応焼結体を得る窒化工程と、窒化工程での反応焼結体を焼成した窒化温度を超える温度にて反応焼結体を焼成して緻密化し、最終焼結体を得る緻密化工程と、を含むことを特徴としている。
当該製造方法では、造孔工程において金属Si間に気孔を形成する。そして、造孔工程にて得られた多孔体には気孔が多数形成されているため、多孔体の比表面積は大きい。さらに本発明に係る窒化工程では、この気孔に窒素が導入されるので、広範囲にて金属Siと窒素とが接触することができるのである。この条件下では金属Siと窒素とが均一に反応でき、多孔体中の金属Siのうち、窒化せずに過熱される部分が生じ難い。最後に、窒化工程で得られた反応焼結体を焼成して最終焼結体が得られる。当該製造方法によれば、多孔体において金属Siの噴出を抑制することができ、歩留まりを高め、製造コストを抑制することができる。
また、本発明の窒化ケイ素系セラミックスの製造方法では、上記金属Siと焼結助剤の総体積に対する造孔剤の割合が、30体積%以上、60体積%以下であることが好ましい。
これにより、造孔剤を加熱することによって形成される気孔が大きくなる。その結果、金属Siと窒素とをより均一に接触させることができ、窒化を好適に行うことができる。
また、本発明の窒化ケイ素系セラミックスの製造方法では、上記金属Siと焼結助剤の総体積に対する造孔剤の割合が、45体積%以上、60体積%以下であることが好ましい。
これにより、金属Siと窒素とを非常に均一に接触させることができ、成形性に有利なα相をより多く含む反応焼結体から窒化ケイ素系セラミックスを得ることができる。
また、本発明の窒化ケイ素系セラミックスの製造方法では、上記造孔工程における混合物の圧粉体を加熱する温度が、500℃以上、1000℃以下であることが好ましい。
これにより、圧体における金属Siまたは焼結助剤上に、造孔剤が変性した炭化物を残存させ難い。上記炭化物は、最終焼結体が割れ等を生じる起点となり得るため、割れ等が生じ難い高品質の窒化ケイ素系セラミックスを提供できる。
本発明の窒化ケイ素系セラミックスの製造方法は、上記課題を解決するために、金属Siを窒化する窒化ケイ素系セラミックスの製造方法において、金属Si、焼結助剤、および、加熱することによって気孔を形成する造孔剤を含む混合物の圧体を加熱して、上記圧体中の金属Si間に気孔を形成する造孔工程と、上記造孔工程にて得られた、気孔が形成された金属Siおよび焼結助剤を含む多孔体を、窒素雰囲気下にて焼成して反応焼結体を得る窒化工程と、を含むことが好ましい。
当該製造方法では、造孔工程において金属Si間に気孔を形成する。そして、造孔工程にて得られた多孔体には気孔が多数形成されているため、多孔体の比表面積は大きい。さらに本発明に係る窒化工程では、この気孔に窒素が導入されるので、広範囲にて金属Siと窒素とが接触することができるのである。この条件下では金属Siと窒素とが均一に反応でき、多孔体中の金属Siのうち、窒化せずに過熱される部分が生じ難い。当該製造方法によれば、多孔体中の金属Siの噴出を抑制することができ、歩留まりを高め、製造コストを抑制することができる。
本発明の窒化ケイ素系セラミックスの製造方法は、以上のように、金属Si、焼結助剤、および、加熱することによって気孔を形成する造孔剤を含む混合物の圧体を加熱して、上記圧体中の金属Si間に気孔を形成する造孔工程と、上記造孔工程にて得られた、気孔が形成された金属Siおよび焼結助剤を含む多孔体を、窒素雰囲気下にて焼成して反応焼結体を得る窒化工程と、窒化工程での反応焼結体を焼成した窒化温度を超える温度にて反応焼結体を焼成して緻密化し、最終焼結体を得る緻密化工程と、を含むことを特徴としている製造方法である。
それゆえ、金属Siの窒化過程において、金属Siの噴出を抑制する窒化ケイ素系セラミックスの製造方法を提供できるという効果を奏する。
本発明に係る製造方法の工程の流れを示すフロー図である。 比較例1で得られた最終焼結体を示す写真図である。 実施例1で得られた最終焼結体を示す写真図である。 実施例1〜3および比較例1で得られた各最終焼成体を示すSEM写真図である。 実施例5および比較例1で得られた反応焼結体を示す写真図である。 実施例4、5、6にてそれぞれ得られた反応焼結体を示すSEM写真図である。 実施例5、比較例1および比較例2における温度変化による窒化ケイ素系セラミックスの収縮率変化を示すグラフである。 実施例12の最終焼成体を曲げ強度測定した後の破壊源をEDS観察した図である。
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すれば、以下の通りである。本発明に係る窒化ケイ素系セラミックスの製造方法は、金属Siを窒化する窒化ケイ素系セラミックスの製造方法であり、最終焼結体(窒化ケイ素系セラミックス)を得る場合、造孔工程、窒化工程および緻密化工程を含む。当該製造方法では、出発原料として金属Siを使用し、これを窒化して窒化ケイ素系セラミックスを得る。したがって、出発原料として窒化ケイ素を使用せず、より安価で窒化ケイ素系セラミックスを製造することが可能である。
ここで、窒化ケイ素系セラミックスとは、窒化ケイ素を主成分とする多結晶体であり、YやMgO等の各種の焼結助剤を含むものである。また、窒化ケイ素のケイ素および窒素の一部をそれぞれ別の原子(例えばアルミニウムと酸素)で置換したセラミックス(例えばサイアロン)も窒化ケイ素系セラミックスに含まれる。図1は、本発明に係る製造方法の工程の流れを示すフロー図である。
(S1.原料準備工程)
まず、窒化ケイ素系セラミックの原料となる金属Si、焼結助剤および造孔剤を準備する。
窒化ケイ素の主原料である金属Siは市販品を使用することができ、例えば、半導体用途で使用されるシリコンウェハー作製時の低純度原料もしくは低純度シリコンウェハーの粉砕粉で、いわゆる#200から#600相当の粉末が例示される。金属Siの純度は例えば96.0%以上、98.5%以下のものを用いればよい。
本発明に係る窒化ケイ素系セラミックの製造方法は、ポスト反応焼結法であり、原料として金属Siを使用するが、金属Siの使用量の一部をSiに代えてもよい。例えば、金属SiおよびSiの総量に対するSiの割合を0重量%以上、50重量%以下としてもよい。ただし、Siの割合が増加するとコスト的に不利なため、Siの割合を0重量%以上、30重量%以下とすることが好ましく、0重量%以上、10重量%以下とすることがさらに好ましく、0重量%とすることが最も好ましい。
金属Siの形状は、粒状、棒状、繊維状、破砕状であってもよい。金属Siは少なくも焼結助剤および造孔剤と混合されるため、均一な混合ができるよう、平均粒子径が比較的小さいことが好ましい。しかし、小さ過ぎると作業性が低下するため、実用的には、金属Siの平均粒子径は、0.5μm以上、40μm以下、好ましくは0.5μm以上、10μm以下である。
焼結助剤は、金属Siおよび造孔剤と共に混合され、金属Siが窒化された後に、高温にて融解し、窒化ケイ素同士の隙間に液相を形成することによって窒化ケイ素を緻密化するものである。これらは得られた窒化ケイ素系セラミックスにおいて粒界相の構成成分となるものである。
焼結助剤としては公知の物を使用でき、例えば希土類元素(イットリウムを含むランタノイド元素)の酸化物が用いられ、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、エルビウム(Er)などの酸化物を使用することが好ましい。また、MgO、Alなどを用いることもできる。これらの焼結助剤は、単独または2種類以上を併用してもよい。なお、焼結助剤として、焼結時に酸化物となる希土類元素やアルカリ土類元素の化合物(炭酸塩など)を用いてもよい。
また、上述した焼結助剤に加えて、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物;さらにチタン、ジルコニウム、ハフニウムの酸化物または窒化物;などを、焼結助剤の一部として用いることも有効である。アルミニウム化合物は窒化ケイ素結晶粒間の結合力の強化に寄与する。これらの化合物は酸化物や窒化物として添加してもよいし、焼結時に酸化物や窒化物となる化合物を添加してもよい。
上述した焼結助剤の割合は、100重量部の金属Siに対して2重量部以上、17重量部の範囲であることが好ましい。焼結助剤量が2重量部未満であると、窒化ケイ素系セラミックスを十分に緻密化できないおそれがある。一方、焼結助剤量が17重量部を超えると、粒界相や焼結助剤成分の偏析の形成量が必要以上に増加し、これにより窒化ケイ素系セラミックスの耐摩耗性や強度の低下などを招くおそれがある。
造孔剤は、金属Siおよび焼結助剤と共に混合されるものであり、金属Si、焼結助剤および造孔剤を含む混合物の一成分として含まれる。造孔工程では、混合物の圧体において造孔剤が加熱されることによって気孔が形成される。金属Siの平均粒子径が小さい場合(例えば、0.5μm以上、40μm以下)、金属Si同士が密接するため、気孔が形成され難い。しかし、本発明によれば、そのような金属Siを使用した場合であっても容易に気孔を形成できる為、特に、金属Siの平均粒子径が小さい場合に造孔剤の使用意義が大きいといえる。
造孔剤としては、金属Siの窒化温度以下で溶融または気化するものであれば、公知の物を採用できる。すなわち、造孔剤は加熱されて気孔が形成されるが、造孔剤は溶融することによって気孔を形成するものでも、気化することによって気孔を形成するものであってもよい。
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコール、ポリフェノール、パラフィンなどの樹脂;でんぷん、ナッツ殻、胡桃殻、コーンなどの植物系材料;黒鉛や炭素繊維などの炭素系材料を挙げる事ができる。造孔剤が樹脂の場合、100℃以上、500℃以下で通常、溶融し、植物系材料または炭素系材料の場合、約400℃で一酸化炭素、二酸化炭素への酸化が生じて約800℃で通常、気化する。
造孔剤の割合は、上記金属Siと焼結助剤の総体積に対して10体積%以上、60体積%以下であることが好ましい。10体積%未満であると気孔の形成量が少なくなるからである。一方、60体積%を超えると造孔剤の使用量に比例した効果が得られ難くなり、造孔剤を不要に消費することとなる。
また、造孔剤の割合は、金属Siと焼結助剤の総体積に対して30体積%以上、60体積%以下であることがより好ましい。下限値を30体積%とする事により、造孔剤の溶融によって形成される気孔が大きくなる。より好ましくは、40体積%以上、60体積%以下である。これにより、金属Siと窒素とをより均一に接触させることができ、窒化を好適に行うことができる。
さらに好ましくは、造孔剤の割合は、金属Siと焼結助剤の総体積に対して45体積%以上、60体積%以下である。造孔剤の割合の下限を45体積%以上とすることにより、金属Siと窒素とを非常に均一に接触させることができ、成形性に有利なα相をより多く含む反応焼結体から窒化ケイ素系セラミックスを得ることができる。60体積%を超える量を使用しても、反応焼結体におけるα相の割合を増加させる効果は得られ難い。なお、窒化工程後の金属Si:α−Si:β−Siの重量分率は、窒化工程後の反応焼結体を粉砕し、X線回折のピーク強度から求められる。
造孔剤の形状は、特に限定されるものではなく、球状、粒状、棒状、繊維状、破砕状であってもかまわない。
上記混合物にはその他の成分として種々の添加剤が含まれていてもよい。例えば、導電性を向上させるためのカーボンナノチューブ、カーボンナノコイル;機械的特性向上のための炭化ケイ素や金属粒子などを挙げることができる。添加剤の添加量はその使用目的に従って適宜設定される。
上記混合物に含まれる各成分は、微細な状態にて混合される事が望ましい。そのような状態にて混合されることにより、造孔剤による気孔が均一に形成され、金属Siと窒素とがより均一な状態にて接触させることができ、窒化を好適に行うことができる。また、焼結助剤がより均一に分散していることにより、後述する窒化ケイ素の緻密化がより好適になされる。各成分の好ましい平均粒子径は、3μm以上、20μm以下であり、好ましくは5μm以上、15μm以下である。各成分の平均粒子径が3μm未満であると、平均粒子径が小さすぎることにより、各成分を扱い難くなるため作業性が低下する。一方、平均粒子径が20μmを超えると、各成分の混合を均一に行い難くなる。なお、平均粒子径とは、各成分の形状が球状でなく、棒状、繊維状などである場合、最も短い辺の平均値を示すものとする。すなわち、形状が棒状の場合、平均粒子径は、長さでも長径でもなく、短径の平均値を示す。
(S2.粉砕工程)
各成分の平均粒子径が所望の値よりも大きい場合、各成分を粉砕してサイズを小さくする(粉砕工程)ことが望ましい。粉砕にはボールミル、ビーズミル、ロールミルなどを使用することができ、不純物の混入を防止する観点から窒化ケイ素製のボールミルまたはビーズミルが好適に使用される。
各成分の混合は、液体を添加せず乾式で行ってもよいし、液体を添加して湿式で行ってもよい。湿式混合の場合に添加する液体としては、水の他に、エタノールやキシレンなどの有機溶媒が挙げられる。液体の使用量としては、例えば、混合物の各成分の総体積に対して、5体積%以上、50体積%以下とすればよい。なお、湿式混合の場合、スラリー状の混合物に各種の分散剤を添加し、スラリー粘度を制御することが好ましい。
粉砕後の金属Siは、粒径が小さく、かつ、均一であることが好ましい。具体的には、粉砕後の金属Siのメジアン径(体積基準の累積粒度分布における累積パーセントが50%であるときの粒径(d50))は、1.7μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.1μm以下である。また、累積パーセントが90%のときの粒径(d90)と10%のときの粒径(d10)との差が2.0μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.2μm以下である。なお、このメジアン径(d50)、d90およびd10は、レーザ回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、SALD-7000、光源405nm、設定屈折率4.0-0.01i)により測定される値である。
金属Siのメジアン径(d50)を1.7μm以下とすることにより、表面積を大きくすることができ、窒化工程において、窒化が促進されるとともに、異常粒成長を防止することができる。また、d90とd10との差が2.0μm以下であることにより、金属Si粉末の粒径が均一化され、各粒子を均一に窒化させることができる。
(S3.混合・造粒工程)
次に、粉砕後の金属Si、焼結助剤および造孔剤が所定の組成比になるように、金属Si、焼結助剤および造孔剤を混合する(混合工程)。混合工程で用いる混合装置としては例えばボールミルを使用でき、その場合、ボール径10mmのSiボールを用いて24h混合させればよい。その後、得られた混合物を乾燥させて造粒する(造粒工程)。この際、顆粒状にするために適宜バインダー樹脂等を添加してもよい。これにより、混合物を造粒し易くなる。造粒剤としては、パラフィンなどが挙げられ、シクロヘキサン等の有機溶媒に溶解して混合物に添加すればよい。
(S4.成形工程)
続いて、造粒物を所定形状の成形型に充填し、加圧成形することで圧粉体を形成する。加圧成形の方法としては、公知の成形方法を適用でき、一軸プレス成形法、冷間静水等方圧プレス(CIP)法などを用いることができる。また、一軸プレス成形法により仮成形した後にCIPを用いて本成形してもよい。
(S5.造孔工程)
造孔工程では、上記混合物の圧粉体を加熱して造孔剤が溶融または気化して、金属Si間に気孔を形成する(造孔工程)。気孔の形成には、常圧加熱、加圧加熱(ホットプレス)、雰囲気加圧加熱、HIP(熱間静水圧プレス:ホットアイソスタティックプレス)加熱などの様々な加熱方法を適用可能である。造孔工程では、金属Si、焼結助剤および造孔剤を含む圧体を加熱して金属Si間に気孔を形成する。
造孔工程における圧体を加熱する温度は、造孔剤が溶融または気化する温度であればよい。通常、造孔剤が樹脂の場合、100℃以上、500℃以下で造孔剤を溶融させることが可能であり、造孔剤が植物系材料または炭素系材料の場合、800℃以上、900℃以下にて造孔剤を気化させることが可能である。なお、成形工程で得られた圧粉体の中には、粉砕工程で添加した分散剤や造粒工程で添加したバインダー樹脂などの有機物が含まれている。造孔工程では圧体を加熱するため、これらの有機物を除く脱脂処理が同時になされこととなる。
金属Siまたは焼結助剤上に造孔剤が変性した炭化物が残存した場合、炭化物が、最終的に得られる窒化ケイ素系セラミックス(反応焼結体および反応焼結体)において割れ等の起点となる虞がある。そこで炭化物をガス化して除去するために、造孔工程における混合物の圧体を加熱する温度は、500℃以上、1000℃以下であることが好ましい。これにより、窒化ケイ素系セラミックスに割れが生じ難くなるため、高品質の窒化ケイ素系セラミックスを提供できる。
造孔工程は、空気雰囲気下で行ってもよいが、後の窒化工程を連続して行う場合、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。通常、造孔工程における圧体の加熱時間は1時間以上、5時間以下である。この造孔工程での加熱によって金属Si間に気孔が形成され、窒化する前の中間材料である多孔体が得られる。上記多孔体に造孔剤に起因する気孔が形成されていることによって、金属Siの比表面積が増大し、次に行う窒化工程において窒素を金属Siに対してより全体的に接触させることができ、すなわち、金属Siと窒素とをより均一に接触させることが可能となる。
(S6.窒化工程(反応焼結工程))
窒化工程は、上記造孔工程にて得られた、気孔を有した金属Siを含む多孔体を、窒素雰囲気下にて焼成して窒化ケイ素系セラミックスである反応焼結体(ポスト反応焼結体)を得る工程である。造孔工程では加熱処理を行うため、温度を上げることによって造孔工程および窒化工程を連続的に行うことができる。なお、一旦、多孔体を取り出した後に窒化工程を行ってもよい。
窒化工程は造孔工程と同様の加熱方法にて行うことができ、常圧加熱、加圧加熱(ホットプレス)、雰囲気加圧加熱、HIP(熱間静水圧プレス:ホットアイソスタティックプレス)加熱などの様々な加熱方法を適用可能である。
窒化工程における多孔体を焼成する温度は、多孔体中の金属Siが窒化する温度であればよい。通常、上記温度は1200℃以上、1450℃以下であるが、窒化を促進する観点から、高い温度で窒化を行うことが望ましい。従来、上記観点から、シリコンが溶融しない程度の高い温度で窒化を行っていたため、金属Siが過熱されて噴出が生じていた。上述したように、本発明の目的は当該噴出を抑制することにある。なお、本明細書でいう噴出とは、溶融したSiが試料外部に流れ出てくる状態をいう。
本発明の製造方法では、造孔工程において金属Si間に気孔を形成する。そして、造孔工程にて得られた多孔体には気孔が多数形成されているため、多孔体の比表面積は大きい。本発明に係る窒化工程では、この気孔に窒素が導入されるので、広範囲にて金属Siと窒素とが接触することができるのである。この条件下では金属Siと窒素とが均一に反応でき、多孔体中の金属Siのうち、窒化せずに過熱される部分が生じ難い。その結果、多孔体中の金属Siの噴出を抑制することができ、歩留まりを高め、製造コストを抑制することができる。
上記反応焼成体では気孔が多数形成されており、反応焼成体の相対密度が小さいことが好ましい。造孔剤により形成される気孔は比較的均一な大きさであるため、緻密化工程においてα−Siからβ−Siへの相変化に伴う粒成長が生じる空間が好適に確保されるからである。当該観点から、反応焼成体の相対密度は、75%以下であることが好ましく、さらに好ましくは60%以下であり、特に好ましくは55%以下である。下限値については特に限定されないが、概して45%以上である。
本製造方法では、造孔剤を用いて気孔を形成するが、窒化工程後には後述するように窒化温度よりも高温にて緻密化工程がなされる。そして、緻密化工程では反応焼結体を焼成して密度を向上させる。このため、緻密化工程の前工程においても最終的に高い密度の窒化ケイ素系セラミックスを得ることを想定して各工程での設定がなされる。
この点に鑑みると、本発明では造孔剤によって気孔を有する多孔体を形成しており、原料に気孔を形成することは、その後、得られる窒化ケイ素系セラミックスの密度が低くなる要因になり得ることが通常予想される。すなわち、原料の処理過程において、一旦、原料の密度を低下させるような工程がなされており、緻密化を行う目的とは一見、反対の処理がなされている。したがって、本発明に係る製造方法は緻密化とは逆に密度の小さな最終焼成体が得られるとの予想を招くものであり、従来法に比して特殊であるといえ、本発明者らの鋭意検討により見出されたものに他ならない。
(S7.緻密化工程)
緻密化工程は、窒化工程での窒化温度を超える温度にて反応焼結体を焼成して緻密化する工程であり、本工程によって窒化ケイ素系セラミックスである最終焼結体が得られる。
緻密化工程は造孔工程と同様の加熱方法にて行うことができ、常圧加熱、加圧加熱(ホットプレス)、雰囲気加圧加熱、HIP(熱間静水圧プレス:ホットアイソスタティックプレス)加熱などの様々な加熱方法を適用可能である。
反応焼結体を焼成する温度は通常、1600℃以上であり、好ましくは1750℃以上である。上限は特に限定されないが、最終焼結体に破損等を生じさせない観点から、1950℃以下であることが望ましい。また、通常、焼成時間は、1時間以上、10時間以下である。
前工程の窒化工程にて金属Siの噴出が抑制されているため、緻密化工程で焼成の対象となる反応焼結体ではその品質が損なわれることなく、好適な焼成対象となっている。また、金属Siの噴出が起これば、焼成炉等の清掃が必要となり、製造コストの低下はもちろん、タクトタイムが増大するが、そのような虞も低減される。元来、金属Siを原料とするポスト反応焼結法は、常圧焼結法に比較してコスト的に有利であり、本製造方法によれば低コストかつ短いタクトタイムで窒化ケイ素系セラミックスを製造できる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明について、実施例および比較例、並びに図1〜8に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、以下の実施例および比較例における各物性は次のようにして評価した。
(1)相対密度
理論密度に対するアルキメデス法による実測密度の比率を算出することによって、圧体、反応焼結体および最終焼結体の相対密度を求めた。
(2)ビッカース硬さ、破壊靭性値および曲げ強度
最終焼結体から試験片を切り出し、JIS R1603に規定する方法に従って曲げ強度を測定した。曲げ試験後の最終焼結体を鏡面研磨し、JIS R160Xに規定する方法に従って荷重20Kgにてビッカース硬度を測定すると共に、IF法に基づく新原の計算式により破壊靭性値(MPa・m1/2)を算出した。
(3)窒化ケイ素相の重量分率
X線回折によって、反応焼成体におけるSi、α−Si、β−Siの重量分率を各成分のX線回折ピークから求めた。
(4)Siの噴出
窒化工程にて金属Siの噴出が生じた否かを、目視によって観察することによって判断した。
(5)収縮率
窒化工程から緻密化工程における窒化ケイ素系セラミックス(反応焼結体から最終焼結体へ焼成される)の収縮率を、マイクロメーター(株式会社ミツトヨ社製、No.293-661-10N)を使用して測定した。
(6)薄片透光法による反応焼結体の観察
研磨機を用いて試験片を100μm程度の厚みに薄片加工し、当該薄片を光学顕微鏡の透過モードで観察した。
〔実施例1〜12〕
(S1.原料準備工程)
出発原料である金属Si、焼結助剤および造孔剤として、以下のものを用いた。
・金属Si
山石金属株式会社製の#600粉末、平均粒径12.6μm
・焼結助剤
:信越化学工業株式会社製「RU−P」、平均粒径1.1μm
MgO:宇部興産株式会社製「500A」、平均粒径0.05μm
ZrO:東ソー株式会社製「TZ−O」、平均粒径0.07μm
・分散剤:共栄社化学(株)製「フローレンG」
・造孔剤:エア・ウォーター・ベルパール株式会社製「ベルパール R200」(フェノール樹脂)
(S2.粉砕工程)
以下の粉砕条件により粉砕を行った。なお、得られた金属Siをビーズミル粉砕物とする。
(粉砕条件)ビーズミルとして、アシザワファインテック社製の「ミニツェア」を用い、粉砕メディアとしてビーズ径0.5mmのSiビーズを290g用いた。そして、金属Si粉末1200gとエタノール4000gを混合したスラリーをビーズミルに10パス通過させ、粉砕した。なお、ビーズミルの回転数は3000rpmである。
ビーズミル粉砕物(金属Siの粉末):Y:MgO:ZrOおよび分散剤の重量比が93:2:5:1:3となるように、これらを配合した出発原料に対して、表1に示す割合となるように所定の体積のベルパールを使用してボールミル湿式混合を行った。具体的には、ボールミル粉砕物50gに対して各種の焼結助剤および分散剤が上記重量比となるように配合し、この出発原料をエタノール400mlに加え、ボール径10mmのSiボールを用いて、ボールミル混合を24h行った。
その後、出発原料に対して、パラフィン、DOP(ジオクチルフタレート)およびシクロヘキサン35mlを添加して造粒した。
(S4.成形工程)
その後、外径15mmの円柱状の中空部を有する金型を用いて、一軸プレス成形法により、50MPaの圧力を30秒間加えて成形した。さらに、冷間静水等方圧プレス(CIP)法により、200MPaの圧力を60秒間加えて成形した。これにより、圧粉された圧粉体を得た。
(S5.造孔工程)〜(S7.緻密化工程)
得られた圧粉体を500℃で3時間保持し、造孔および脱脂を行った。その後、各実施例において、表1に記載の焼成条件で窒化工程および緻密化工程を行った。窒化工程では、窒素雰囲気中にて焼成を行った。また、緻密化工程では、0.9MPaの窒素を4l(4リットル)/minの速度で流しながら焼成を行った。
(評価)
実施例1〜3に関する圧体、反応焼結体および最終焼結体の相対密度、ビッカース硬さ、破壊靭性、曲げ強度およびSiの噴出結果を表2に示した。また、実施例4〜12に関する圧体、反応焼結体および最終焼結体の相対密度、反応焼結体における、Si、α−Siおよびβ−Siの重量分率並びにSiの噴出結果、最終焼結体の曲げ強度を表2に示した。
〔比較例1〕
ベルパールを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして最終焼結体を得た。比較例1に関する圧体、反応焼結体および最終焼結体の相対密度、ビッカース硬さ、破壊靭性、曲げ強度およびSiの噴出結果を表2に示した。
〔比較例2〕
比較例1において金属Siに代えて、Si粉末(宇部興産(株)製の「SN−E10」)を使用して最終焼結体を得た。
(実施例および比較例の結果検討)
表1に示されるように、造孔剤であるベルパールを使用しなかった比較例1では、窒化工程において反応焼結体に金属Siが噴出してしまい、最終焼結体の相対密度、ビッカース硬さおよび破壊靭性に影響は良好な値であったものの、最終焼結体として製品価値が低いものであった。また、反応炉の清掃に時間を費やすこととなった。比較例1で得られた最終焼結体の写真図を図2に示す。
一方、実施例1〜12における反応焼結体では金属Siの噴出が生じず、金属Siの噴出による最終焼結体の破損等も生じなかった。造孔剤によって気孔を形成したことに起因する結果である。実施例1にて得られた最終焼結体の写真図を図3に示す。
比較例1、実施例1〜3での最終焼成体は何れも良好な相対密度を有している。各最終焼成体のSEM(走査型電子顕微鏡)写真図を図4(a)〜(d)に示す。特に造孔剤としてパラフィンを使用した実施例3(図4(d))では、相対密度が95.8%と高い最終焼成体を得ることができた。
また、薄片透光法による反応焼結体の写真図を図5に示す。図5(a)は、実施例5に係る反応焼結体を示す写真図であり、図5(b)は、比較例1に係る反応焼結体を示す写真図である。図5(a)では均一な気孔(図中の白い箇所)が観察されており、図5(b)では気孔が観測されていないことから、造孔剤に起因して気孔が形成されることが確認された。
さらに、実施例4、5、6にてそれぞれ得られた反応焼結体のSEM写真図を図6に示す。図6の下段に示す(b)、(d)、(f)はそれぞれ上段(a)、(c)、(d)の拡大図である。図6に示されるように、実施例4の造孔剤が25vol%である場合には、形成される気孔のサイズは小さいが、実施例5のように造孔剤を30vol%使用した場合にはサイズがより大きな気孔を形成できることが分かる。さらに、実施例6のように造孔剤を35vol%使用した場合、気孔の撮影断面は実施例5よりも約2倍となっており、好適に気孔が形成されていることが明らかとなっている。
また、実施例5(造孔剤30%)、比較例1(造孔剤なし)および比較例2における温度変化による窒化ケイ素系セラミックスの収縮率変化を図7に示す。比較例2では、金属Siに代えてSi粉末を原料としているため、金属Siの噴出は当然生じず、窒化ケイ素系セラミックスは緻密化するに従って序々に収縮率が増加する。これに対して、比較例1では、1800℃付近まで収縮率はあまり変化しないが、緻密化工程での処理温度1850℃を境にして、反応焼成体の収縮が急激に生じている。
最終焼成体の製造過程では、緩やかに緻密化を行うことにより、粗大な粒子の成長を抑制でき、均一な緻密化がなされる。本発明に係る実施例5では、比較例1に比してより緩やかに緻密化がなされていることが明白であり、得られる最終焼成体では異常な粒成長が抑制されていると予想される。
実施例4〜12では、ベルパールを25体積%以上使用している。実施例8のようにベルパールを45体積%使用した場合には、実施例7のベルパールを40体積%使用した場合に比較してα−Siの割合が急激に増加していることが分かる。また、実施例12までベルパールの使用量を増加させたが、α−Siの割合は使用量に比例してさほど増加しなかった。使用量に対する効果を勘案するとベルパールの使用量は60体積%であると判断される。
最後に、実施例12の最終焼成体を曲げ強度測定した後の破壊源をEDS(エネルギー分散型X線分光法)にて分析した。最終焼成体のEDS観察図を図8に示す。図8(a)は最終焼成体の破壊源を示す図であり、図8(b)はケイ素の分布を示す図であり、図8(c)は炭素の分布を示す図である。
図8(a)の破壊源には炭素が残存しており、この炭素が破壊源となっていることが分かった。このため、造孔工程において圧体をより高温で加熱し、炭素の残留量を低減させれば最終焼成体が破壊され難くなると予想される。
本発明は、エンジン用部品材料、ベアリング材料、工具材料、溶融金属用部品、軸受部材、圧延用などの各種ロール材、コンプレッサ用ベーン、ターボロータ、切削工具等の各種構造用材料に用いられる窒化ケイ素系セラミックスに利用することができる。

Claims (5)

  1. 金属Siを窒化する窒化ケイ素系セラミックスの製造方法において、
    金属Si、焼結助剤、および、加熱することによって気孔を形成する造孔剤を含む混合物の圧体を加熱して、上記圧体中の金属Si間に気孔を形成する造孔工程と、
    上記造孔工程にて得られた、気孔が形成された金属Siおよび焼結助剤を含む多孔体を、窒素雰囲気下にて焼成して反応焼結体を得る窒化工程と、
    上記窒化工程での反応焼結体を焼成した窒化温度を超える温度にて反応焼結体を焼成して緻密化し、最終焼結体を得る緻密化工程と、を含み、
    前記圧粉体をなす混合物に含まれる金属Siは、体積基準の累積粒度分布における累積パーセントが50%であるときの粒径が1.7μm以下であり、かつ、累積パーセントが90%のときの粒径と10%のときの粒径との差が2.0μm以下であることを特徴とする窒化ケイ素系セラミックスの製造方法。
  2. 上記金属Siと焼結助剤の総体積に対する造孔剤の割合が、30体積%以上、60体積%以下であることを特徴とする請求項1に記載の窒化ケイ素系セラミックスの製造方法。
  3. 上記金属Siと焼結助剤の総体積に対する造孔剤の割合が、45体積%以上、60体積%以下であることを特徴とする請求項2に記載の窒化ケイ素系セラミックスの製造方法。
  4. 上記造孔工程における混合物の圧粉体を加熱する温度が、500℃以上、1000℃以下であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の窒化ケイ素系セラミックスの製造方法。
  5. 金属Siを窒化する窒化ケイ素系セラミックスの製造方法において、
    金属Si、焼結助剤、および、加熱することによって気孔を形成する造孔剤を含む混合物の圧体を加熱して、上記圧体中の金属Si間に気孔を形成する造孔工程と、
    上記造孔工程にて得られた、気孔が形成された金属Siおよび焼結助剤を含む多孔体を、窒素雰囲気下にて焼成して反応焼結体を得る窒化工程と、を含み、
    前記圧粉体をなす混合物に含まれる金属Siは、体積基準の累積粒度分布における累積パーセントが50%であるときの粒径が1.7μm以下であり、かつ、累積パーセントが90%のときの粒径と10%のときの粒径との差が2.0μm以下であることを特徴とする窒化ケイ素系セラミックスの製造方法。
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