JP4529969B2 - セレン酸含有液からセレンの除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、セレン酸含有液からセレンの除去方法に関し、さらに詳しくは、金属製錬において発生するセレン酸含有液から、銅共存下に還元剤を添加して、液中のセレンを分離除去する方法において、液中のセレンを1mg/L未満の濃度に、安価な還元剤を用いて経済的かつ効率的に除去する方法に関する。
銅、ニッケル、鉛等の製錬のように、銅、ニッケル、鉛等の硫化鉱物を主成分として含有する原料鉱石を用いる金属製錬において、その工程から発生される中間物中には、セレン(Se)が含有されている場合が多くある。これは、前記硫化鉱物中には、通常セレンが含まれており、さらに、この原料鉱石に含まれるセレンは、製錬の工程の各種方法により、例えば、揮発して煙灰中に濃縮され、あるいは浸出液中又は電解液中に溶解して濃縮されるなど、種々の形態で製錬工程内の中間物中に分配されるからである。
一方、製錬の工程で発生する中間物には、種々の有価金属が少なからず含まれており、資源の有効利用と公害防止の立場から、これら中間物中の有価金属を回収することは製錬事業者にとって重要なことである。
上記のように金属製錬において発生する中間物から有価金属を回収する際には、その有価金属の特性に応じた様々な方法が用いられる。例えば、その中間物が固体状態であるときの一般的な回収方法として用いられる浸出法では、中間物中にセレンが含有される場合には、得られた浸出液中には有価金属とともにセレンが含まれるようになる。また、浸出法以外の乾式法等で有価金属を回収する際にも、その最終的な工程では廃液が発生し、この廃液中には、ほとんどの場合セレンが含有される。このような浸出液又は廃液に含まれるセレンを除去分離することは、中間物中の有価金属を回収することと同様に、有価金属中の不純物低減及び公害防止から重要である。
上記浸出液又は廃液に含まれるセレンとしては、主として、亜セレン酸イオン(SeO 2ー)、又はセレン酸イオン(SeO 2ー)の形態で溶解している。これらセレンを液中から除去する手段としては、従来から、キレート樹脂を用いてセレンを樹脂に吸着し分離する吸着法(例えば、特許文献1参照。)、第一鉄を用いてセレン酸を還元する還元法(例えば、特許文献2参照。)等が知られている。
ところが、上記吸着法では、吸着剤の再生(溶離)時の廃液中に再びセレンが溶解し、改めてセレンを含有する廃液の処理が必要となるため、根本的な分離方法とは云えない。また、上記還元法では、液中に含まれる亜セレン酸イオンについては、比較的容易に還元され、溶液中から分離されるが、一方、セレン酸イオンについては、反応速度が遅く、通常求められるセレン残留濃度、例えば、液中のセレンを1mg/L未満の濃度にまで低減するためには、過剰な薬品添加又は長時間の処理を必要とし、経済的にも効率的にも不利である。しかも、有価金属の回収方法として湿式法を採用した場合には、その浸出条件により、亜セレン酸イオンよりもセレン酸イオンの存在比率が高くなる場合が多々あり、この場合、セレンの分離はより困難になるという問題があった。
この解決策として、例えば、セレンを含む水溶液に、セレン酸1モルに対し0.2モル以上の2価の銅イオンを添加して反応速度を上昇させ、その後セレン酸を還元するのに充分な還元力を持つ還元剤を添加することにより、セレンを還元分離する方法(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。この方法では、共存する銅イオンは、セレン酸の還元反応の活性化エネルギーを低下させる役目をはたしているとされており、セレンを効率よく分離することができる。しかしながら、この方法では、銅イオンのほかに、亜硫酸ガス、亜硫酸塩、金属鉄、金属カドミウム、金属アルミニウム等の還元剤を添加することが不可欠であるので、多大な還元剤コストが発生するという経済的な問題があった。
また、塩素イオンが共存するセレン水溶液中に、還元剤として、空気により8〜12重量%に希釈した亜硫酸ガスを吹き込むことにより、セレンを還元回収する方法(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。この方法でも、比較的高濃度の亜硫酸ガスが用いられるので、多大な還元剤コストが発生するという経済的な問題があった。
このような経済性の問題を解決するため、亜硫酸又は亜硫酸ガス源として、銅、ニッケル、鉛等の金属製錬の熔錬工程から排出される15重量%程度の濃度で亜硫酸ガスを含有している製錬排ガスを用いることが考えられる。しかしながら、この製錬排ガスは、高温であり、かつ重金属ヒュームなどの不純物を含むものであり、設備上及び不純物の系内への分散防止上、直接的に利用することができない。なお、通常、この製錬排ガスは、ガス洗浄、冷却、ガス吸収などの機能を備えた硫酸製造工程において硫酸を製造する原料として使われている。したがって、製錬排ガスをセレン分離の還元剤として直接利用するためには、既存設備とは別の設備が必要となるうえ、硫酸需要が増大するとセレン還元用の供給が見込めないというの問題が派生する。以上のように、製錬排ガスを用いる方法においては、大型の処理設備が必要となるなど、金属製錬の実操業において工業的に用いるのは難しいという問題があった。したがって、金属製錬において発生するセレン酸含有液から、安価な還元剤を用いて、経済的かつ効率的にセレンを除去する方法が求められていた。
特許第3586165号公報(第1頁、第2頁) 特開2001−9467号公報(第1頁、第2頁) 特開平7−215703号公報(第1頁、第2頁) 特許第3616314号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、金属製錬において発生するセレン酸含有液から、銅共存下に還元剤を添加して、液中のセレンを除去する方法において、液中のセレンを1mg/L未満の濃度に、安価な還元剤を用いて、経済的かつ効率的に除去する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、金属製錬において産出するセレン酸含有液に、銅共存下に還元剤を添加して、液中のセレンを除去する方法について、鋭意研究を重ねた結果、前記セレン酸含有液中の銅イオン含有割合を特定値に調整した後、還元剤として、亜硫酸ガスを含む製錬排ガスの硫酸製造工程で副生する亜硫酸アルカリ廃液を用いたところ、液中のセレンを1mg/L未満の濃度にまで効率的に除去することができることを見出し、本発明を完成した。なお、前記亜硫酸アルカリ廃液は、銅、ニッケル、鉛等の金属製錬から発生される廃棄物であった。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、金属製錬において産出されるセレン酸含有液に、銅イオン共存下に還元剤を添加して、該液中のセレンを除去する方法において、
前記セレン酸含有液の銅イオン含有割合を該液中のセレンに対しモル比で5以上に調整し、次いで、得られた銅イオンを含むセレン酸含有液に亜硫酸ガスを含む製錬排ガスの硫酸製造工程で副生する亜硫酸アルカリ廃液を添加して混合液を形成し、その後、生成されたセレン化銅(I)を含む沈殿を分離することを特徴とするセレン酸含有液からセレンの除去方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記セレン酸含有液の銅イオン濃度を調整する際に、銅イオン源として金属製錬において産出される銅イオンを含む水溶液を添加することを特徴とするセレン酸含有液からセレンの除去方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記セレン酸含有液は、アノードスライムから貴金属元素を精製する工程から産出される銅イオンを含有する水溶液であることを特徴とするセレン酸含有液からセレンの除去方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、前記亜硫酸アルカリ廃液は、まず、アノードスライムから貴金属元素を精製する工程において、銀を溶解する浸出液として使用した後の残液を用いることを特徴とするセレン酸含有液からセレンの除去方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、前記混合液の酸濃度は、1.5〜3.0モル/Lに調整することを特徴とするセレン酸含有液からセレンの除去方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、前記混合液の温度は、60〜80℃に調整することを特徴とするセレン酸含有液からセレンの除去方法が提供される。
本発明のセレン酸含有液からセレンの除去方法は、金属製錬において発生するセレン酸含有液の液中のセレンを1mg/L未満の濃度にまで、還元剤として亜硫酸ガスを含む製錬排ガスの硫酸製造工程で副生する亜硫酸アルカリ廃液を利用することにより経済的かつ効率的に分離除去することができるので、その工業的価値は極めて大きい。なお、上記方法では、まず、セレン酸含有液の銅イオン含有割合を調整すること、次いでこれに亜硫酸アルカリ廃液を添加し、混合撹拌することという簡単な手段により、セレンの分離除去が行なえるので効率的であり、亜硫酸ガスを用いた場合に必要とされる気液混合のための新たな特別な設備、さらに亜硫酸アルカリ廃液以外の他の還元剤等の添加物を必要としないので経済的にも有利である。
以下、本発明のセレン酸含有液からセレンの除去方法を詳細に説明する。
本発明のセレン酸含有液からセレンの除去方法は、金属製錬において産出されるセレン酸含有液に、銅イオン共存下に還元剤を添加して、該液中のセレンを除去する方法において、前記セレン酸含有液の銅イオン含有割合を該液中のセレンに対しモル比で5以上に調整し、次いで、得られた銅イオンを含むセレン酸含有液に亜硫酸ガスを含む製錬排ガスの硫酸製造工程で副生する亜硫酸アルカリ廃液を添加して混合液を形成し、その後、生成されたセレン化銅(I)を含む沈殿を分離することを特徴とする。
本発明において、金属製錬において発生するセレン酸含有液に、所定量の銅イオンを含有させ、次いで、還元剤として、亜硫酸ガスを含む製錬排ガスの硫酸製造工程で副生する亜硫酸アルカリ廃液を添加して混合液を形成し、セレン化銅(I)を生成させることが重要である。これにより、還元剤として、金属製錬における廃棄物であった、亜硫酸ガスを含む製錬排ガスの硫酸製造工程で副生する亜硫酸アルカリ廃液を利用することにより経済性が向上する。また、銅イオン含有割合を液中のセレンに対しモル比で5以上に調整することにより、セレン化銅(I)(CuSe)を含む沈殿としてセレンを効率的に分離、除去することができる。
すなわち、上記方法では、セレン酸含有液に、銅イオン、及び亜硫酸アルカリ廃液を混合することにより、その他の添加剤を必要とせずにセレン酸を亜セレン酸へ、さらに金属状態へと還元し、同時に、通常は2価の銅イオンを1価状態に還元し、セレン化銅(I)を生成させ沈殿させる。なお、銅イオンは、セレン酸が亜セレン酸に還元される還元反応の活性化エネルギーを低下させる効果があるものと推測され、また、銅イオンが還元され生成する金属銅は、微粒子であり非常に活性が高いため、セレン酸および亜セレン酸と効率よく反応して、セレン化銅(I)を生成するものと見られる。すなわち、セレンイオンは単独で金属状態まで還元するよりもセレン化銅(I)として沈殿させたほうが熱力学的に反応が進行しやすい。
上記方法では、例えば、セレン酸含有液の銅イオン含有割合を調整する第1の工程、次いで、これに亜硫酸アルカリ廃液を添加し、混合液を形成する第2の工程、最後に、所定時間混合撹拌した後、生成されたセレン化銅(I)を含む沈殿を分離する第3の工程からなる簡単な手段により、セレンの分離除去が行なえるので効率的であり、ガスを用いた場合に必要とされる気液混合のための新たな特別な設備が不要である。
上記第1の工程においては、セレン酸含有液の銅イオン含有割合を該液中のセレンに対しモル比で5以上、好ましくは5〜10に調整する。すなわち、セレンイオンをセレン化銅(I)として沈殿させるためには、理論的には、セレンイオンに対し2当量の銅イオンで十分であるが、実際的には、銅イオン含有割合が該液中のセレンに対しモル比で5未満では、セレン除去後の残留セレン濃度を1mg/L未満にすることが困難である。また、通常、2価状態で存在する銅イオンを1価状態、さらに金属状態へ還元するため、亜硫酸アルカリ廃液が消費されてしまうので、銅イオン源を新たに添加する場合には、10以下が選ばれる。
一方、セレンの分離除去を阻害する銅イオン含有量の上限は特にないが、該液中の銅イオン濃度としては、100g/L未満が好ましい。すなわち、該液中の銅イオン濃度が100g/L以上となるような水溶液は、銅又は貴金属元素の精製工程からは得られにくく、この濃度以上とするためには、別途特別な装置が必要になるのでコスト的に不利となる。
ここで、セレン酸含有液の銅イオン含有割合を調整する方法としては、特に限定されるものではなく、セレン酸含有液に、所定量の銅イオン源、例えば、可溶性の銅塩又は銅イオンを含む水溶液を添加、混合すればよい。例えば、セレン酸含有液中に所定量の可溶性の銅塩又は銅イオンを含む水溶液を添加し、かき混ぜ棒を使用する方法、ハンディ撹拌機を使用する方法、エアレーションなどの一般的な撹拌方法を適宜選択して撹拌する。
なお、銅、ニッケル、鉛等の金属製錬においては、銅又は貴金属元素の精製工程で、銅イオンを含む水溶液が発生し、かつその量はセレン酸含有液の発生量に比べて充分に多い。したがって、この銅イオンを含む水溶液の所定量を利用すると、新たに銅イオンを含む水溶液を準備するためのコストは発生しないので特に有利である。例えば、アノードスライムから貴金属元素を湿式法により精製する工程から産出するセレン酸含有液には、所定量の銅イオンが既に含有されているため、特に新たな銅イオンの添加は必要としない。
上記第2の工程においては、銅イオンを含有するセレン酸含有液に、亜硫酸アルカリ廃液を添加し、混合液を形成する。その後、第3の工程において、所定時間混合撹拌した後、生成されたセレン化銅(I)を含む沈殿を分離する。
上記方法で用いる亜硫酸アルカリ廃液としては、亜硫酸ガスを含む製錬排ガスの硫酸製造工程で副生するものが用いられる。その製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、次の通りである。
原料鉱石として硫化鉱物を用いる金属製錬の熔錬工程では、鉱石中のイオウ成分を酸化除去することで目的金属の品位を上昇させる工程があり、この際、酸化除去されたイオウ成分は亜硫酸ガスとなって製錬排ガスの主成分となる。この製錬排ガスから、硫酸製造工程において、濃硫酸が製造される。ここで、製錬排ガス中の亜硫酸ガスを、例えば希硫酸などの吸収液中に吸収させる。この硫酸製造工程において吸収しきれなかった亜硫酸ガスを含む排ガスは、排ガス処理工程に送られる。この排ガス処理工程では、公害防止上から大気放出される排ガス中の亜硫酸ガス濃度を規制基準に適合させ、かつ、処理費用が安価で経済的に有利な方法として、水酸化アルカリ金属塩及び/又は炭酸アルカリ金属塩の水溶液に亜硫酸ガスを吸収させる方法が用いられる。この際に、亜硫酸アルカリ廃液が生成される。
上記亜硫酸アルカリ廃液の組成としては、例えば、SOが20〜130g/L、及びNaが15〜90g/Lである。なお、この亜硫酸アルカリ廃液は、通常は酸化処理、又は酸分解することにより無害化処理がなされており、活用されていなかった。
上記亜硫酸アルカリ廃液の使用方法としては、そのまま、セレン酸含有液からセレンを分離除去するための還元剤として使用することができるが、実用的には、アノードスライムから貴金属元素を精製する工程において、銀を溶解する浸出液として使用した後の残液を、セレン酸含有液からセレンを除去するための還元剤として使用するのが、工程全体としてはより経済的に有利である。すなわち、亜硫酸アルカリ廃液中の亜硫酸イオンの一部は銀の抽出反応で消費されるが、大部分は亜硫酸イオンとして、銀の抽出後の残液中に残留しているので、セレン酸含有液の還元剤として十分に利用できる。
上記亜硫酸アルカリ廃液のセレン酸含有液への添加量としては、セレン酸含有液中に含有されるセレン酸量及び添加された銅イオン量により、これらを十分に還元することができるSOが確保することができるように調整される。
上記第3の工程において、混合方法として、例えば、銅イオンを含有するセレン酸含有液を滞留させている容器を反応槽として、該反応槽中で亜硫酸アルカリ廃液を混合撹拌する。これにより、セレン酸含有液中のセレンは、還元され、セレン化銅(I)として析出沈殿するので、容易に分離除去することができる。ここで、混合撹拌する方法としては、前述の第1の工程と同様に一般的な方法が用いられる。
なお、上記亜硫酸アルカリ廃液を混合撹拌すると、液中の亜硫酸塩が分解され、濃度がほぼ100%の亜硫酸ガスが発生する。この亜硫酸ガスが、還元反応において直接の還元剤として作用する。このとき還元反応に寄与しなかった亜硫酸ガスは、反応系外に排出されるが、排ガス収集設備によって吸引され回収される。
上記混合液の酸(H)濃度としては、特に限定されるものではなく、1.5〜3.0モル/Lに調整することが好ましい。すなわち、酸濃度が1.5モル/L未満では、セレンの還元反応が遅く効率的に不利となる。一方、酸濃度が3.0モル/Lを超えると、硫酸又は塩酸などの酸添加量が多くなり経済的に不利となり、さらに、廃水処理のコストが増加する。
なお、混合液中の酸濃度が1.5モル/L以上になると、pHが1以下となり、この場合、ほぼすべての亜硫酸塩が亜硫酸ガスに分解するため、還元反応が確実に進行する。
この酸濃度と時間の影響について、図を用いて説明する。
ここで、セレン酸含有液としては、銅製錬工場の貴金属精製工程における実操業で発生したもの(セレン:0.1〜1g/L、銅:10〜20g/L)、及び亜硫酸アルカリ廃液としては、銀精製工程の廃液である亜硫酸ナトリウム水溶液(NaSO濃度:200g/L)を用いた。このとき、酸濃度を1.0〜1.5モル/L、1.5〜2.0モル/L、2.0〜2.5モル/L、及び2.5モル/L以上という4通りとして、混合液の温度80℃で最長600分まで撹拌時間を変化させ、反応終了後の液中の残留セレン濃度を求めた結果を図1に示す。
図1より、酸濃度が1.5モル/L未満では、撹拌時間(反応時間)を400分以上に延長してもセレンが10mg/L以上残留する。したがって、残留セレン濃度を1mg/L未満とするためには、酸濃度が1.5モル/L以上が好ましいことが分かる。このとき、酸濃度が1.5モル/L以上であれば、必要な撹拌時間は300分程度であることがわかる。
上記混合液の温度としては、特に限定されるものではなく、60〜90℃が好ましい。すなわち、温度が60℃未満では、還元反応に時間を要すため効率的に不利となる。一方、温度が90℃を超えると、反応槽の材質及び昇温設備が制限され、設備投資費用が増すので経済的に不利となる。
以上のように、本発明の方法により、金属製錬において発生するセレン酸含有液から、亜硫酸ガスを含む製錬排ガスの硫酸製造工程で副生する亜硫酸アルカリ廃液を用いて、セレンを還元し、分離する際に、約300分程度の反応時間で、処理後の液中のセレン濃度を1mg/L未満まで確実に低減させることができる。なお、得られたセレン化銅(I)を含有する沈殿物は、銅製錬の熔錬工程等で循環使用される。
以下、本発明の実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析方法は、ICP発光分析法又は蛍光X線定量分析法である。
(実施例1〜4)
セレン酸含有液として、銅製錬工場の貴金属精製工程における実操業で発生した表1の(a)〜(d)液(実施例1〜4)を使用した。表1は、セレン酸含有液(a)〜(d)の組成を示す。なお、これらの液の酸(H)濃度は、いずれも2〜3モル/Lであった。
上記(a)〜(d)液のそれぞれ500mLに、亜硫酸アルカリ廃液として銀精製工程の残液である亜硫酸ナトリウム水溶液(NaSO濃度:200g/L)500mLを添加して、混合液を得た。この混合液を80℃に昇温し、3時間攪拌を行なった後、固液分離を行ない、得られたろ液のセレン及び銅の分析を行なった。結果を表2に示す。
Figure 0004529969
Figure 0004529969
表2より、実施例1〜4では、銅イオン含有割合が液中のセレンに対しモル比で5以上である、金属製錬において産出したセレン酸含有液から、亜硫酸ガスを含む製錬排ガスの硫酸製造工程で副生する亜硫酸アルカリ廃液を用いて、セレンを還元し、分離する際に、処理後の液中のセレン濃度を1mg/L未満まで確実に低減させることができることが分かる。
(比較例1)
セレン酸含有液として、セレン濃度1.2g/L及び銅濃度1.7g/Lのものを準備したこと以外は実施例1と同様に行い、得られたろ液のセレン及び銅の分析を行なった。
その結果、比較例1では、Cu/Seモル比が1.8であり、銅イオンの含有量が本発明の条件に合わないので、ろ液中のセレン濃度は0.049g/Lであり、セレンの除去が不十分であることが分かる。
以上より明らかなように、本発明のセレン酸含有液からセレンの除去方法は、各種工業廃液中に含まれるセレンを除去する方法として有効に用いられ、特に銅、ニッケル、鉛等の製錬方法である電解精製工程で発生するアノードスライムからの有価物分離精製工程から産出されるセレン酸を含有する廃液処理に好適に用いられる。
酸濃度を1.0〜1.5モル/L、1.5〜2.0モル/L、2.0〜2.5モル/L、及び2.5モル/L以上という4通りとして、撹拌時間を変化させ、反応終了後の液中の残留セレン濃度を求めた結果を表す図である。

Claims (6)

  1. 金属製錬において産出されるセレン酸含有液に、銅イオン共存下に還元剤を添加して、該液中のセレンを除去する方法において、
    前記セレン酸含有液の銅イオン含有割合を該液中のセレンに対しモル比で5以上に調整し、次いで、得られた銅イオンを含むセレン酸含有液に亜硫酸ガスを含む製錬排ガスの硫酸製造工程で副生する亜硫酸アルカリ廃液を添加して混合液を形成し、その後、生成されたセレン化銅(I)を含む沈殿を分離することを特徴とするセレン酸含有液からセレンの除去方法。
  2. 前記セレン酸含有液の銅イオン濃度を調整する際に、銅イオン源として金属製錬において産出される銅イオンを含む水溶液を添加することを特徴とする請求項1に記載のセレン酸含有液からセレンの除去方法。
  3. 前記セレン酸含有液は、アノードスライムから貴金属元素を精製する工程から産出される銅イオンを含有する水溶液であることを特徴とする請求項1に記載のセレン酸含有液からセレンの除去方法。
  4. 前記亜硫酸アルカリ廃液は、まず、アノードスライムから貴金属元素を精製する工程において、銀を溶解する浸出液として使用した後の残液を用いることを特徴とする請求項1に記載のセレン酸含有液からセレンの除去方法。
  5. 前記混合液の酸濃度は、1.5〜3.0モル/Lに調整することを特徴とする請求項1に記載のセレン酸含有液からセレンの除去方法。
  6. 前記混合液の温度は、60〜80℃に調整することを特徴とする請求項1に記載のセレン酸含有液からセレンの除去方法。
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