JP6637284B2 - 金属セレンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属セレンの製造方法に関し、特に、セレン含有溶液からの金属セレンの製造方法に関する。
セレン(以降、単にSeと称することもある。)は、電子材料の製造、非鉄製錬、冶金、染色等の幅広い用途で使用される金属である。その一方で、Seは環境規制の対象となる重金属でもある。そのため、種々の用途でSeが使用され、その廃液を処理するにしても、有害な重金属であるSeを廃液から除去しておく必要がある。それと共に、Seは幅広い用途で使用される金属であるため、廃液からSeを金属として回収することにより製造された金属Seを再利用することが強く望まれる。
特許文献1においては、Se含有溶液からSeを除去しかつ当該Seの粉体を製造すべく、Se含有溶液に亜硫酸ガスを吹き込んで還元反応に付し、Se含有溶液の塩酸濃度を特定値に調整することが記載されている。
特開2009−292660号公報
特許文献1に記載の技術では、還元により、嵩密度および結晶粒径のバラツキが少なく一定で、荷造りや充填時のハンドリング性に優れた金属Se粉を高収率で製造することができると記載されている(特許文献1の[0009])。
その一方で、還元反応に要する時間は少なくとも16時間に設定するのが好ましいこと(特許文献1の[0024])、実施例においては1か月単位で金属Seの製造を行っていることが記載されている(特許文献1の[0030]や図1等)。つまり、特許文献1に記載の技術の場合、Se含有溶液から金属Seを製造するのに月単位(少なくとも1日単位)という相当な時間を要する。
そのため、Se含有溶液から金属Seを製造する際の速度の増大を実現することが急務となっている。
本発明は、Se含有溶液から金属Seを製造する際の速度を増大させつつも確実に金属Seを製造する技術を開発することを課題とするものである。
上記の知見に接した本発明者は、鋭意研究を行った。その結果、セレン含有溶液に還元剤を加えて金属セレンを製造する際に、塩化物イオンを含有させた場合、水素イオン濃度の二乗(以降、[Hと記載。)の値が所定の値以上になると、反応速度定数(logK)が大きく変化するという知見を本発明者は初めて得た。
以上の知見に基づいて成された本発明の態様は、以下の通りである。
本発明の第1の態様は、
セレン含有溶液に還元剤を加えて金属セレンを製造する金属セレンの製造方法において、
前記セレン含有溶液に対して塩化物イオンを含有させ、水素イオン濃度の二乗([H)の値を4.1(mol/L)以上とし前記還元剤によりセレンを還元する、金属セレンの製造方法である。
本発明の第2の態様は、
セレン含有溶液に還元剤を加えて金属セレンを製造する金属セレンの製造方法において、
前記セレン含有溶液に対して塩化物イオンを加える工程1と、
前記セレン含有溶液の水素イオン濃度の二乗([H)の値を4.1(mol/L)以上とする工程2と、
前記工程1および2の後、前記セレン含有溶液に対して還元剤を加える工程3と、
前記工程3の後、沈殿した金属セレンを回収する工程4と、
を有する、金属セレンの製造方法である。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載の発明において、
前記セレン含有溶液に対して硫化水素イオンを含有させる。
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載の発明において、
前記硫化水素イオンは水硫化塩から得られる。
本発明の第5の態様は、第1〜第4のいずれかの態様に記載の発明において、
前記還元剤は亜硫酸ガスである。
本発明の第6の態様は、第1〜第5のいずれかの態様に記載の発明において、
前記[Hの値を6.3(mol/L)以上とする。
本発明によれば、Se含有溶液から金属Seを製造する際の速度を増大させつつも確実に金属Seを製造する技術を提供できる。
本実施形態における金属Seの製造方法を示すフローチャートである。 別の実施形態における金属Seの製造方法を示すフローチャートである。 実施例および比較例に係る反応速度定数と[Hとの関係をまとめた図である。
本発明は、Se含有溶液に対し、以下の条件設定を行ったものである。
条件1.セレン含有溶液に対して塩化物イオンを含有させる。
条件2.[Hの値を4.1(mol/L)以上とする。
上記の条件設定の時機は、当該溶液中のSeの還元前、還元中の何れかであれば、特に限定されない。あくまで産業上における具体的な一例示として、次に実施の形態を述べる。
まず、[実施の形態1]では、Se含有溶液から金属Seを製造する方法を説明する。
次に、[実施の形態2]では、Se含有溶液から金属Seを製造する際にHgの除去も行う応用例について説明する。
[実施の形態1]
以下、本実施形態について、次の順序で説明を行う。なお、説明においては適宜、金属Seの製造方法を示すフローチャートである図1を参照する。
1.Se含有溶液からの金属Seの製造方法
1−A)条件設定工程
1−B)Se還元工程
1−C)金属Se回収工程
1−D)その他
2.実施の形態による効果
本明細書において「〜」は所定の値以上かつ所定の値以下のことを指す。
なお、Se含有溶液としては、常温だと液状であって、好ましくは酸性でありSeの少なくとも一部が溶解されている(別の言い方をするとSeの少なくとも一部がイオン化されている)液体が良いが、特に制限は無い。以降、Se含有溶液において「Se」と記載する場合は、イオン化されたSe(すなわちセレンイオン)のことを指し、還元によってSe含有溶液から析出したSeのことは金属Seと称する。また、産業上にて生じた中間物または廃液、あるいは、Seを含有するその他の溶液についてもSe含有溶液に含まれる。具体的には、電子部品を製造する装置、および材料の洗浄液、非鉄製錬の中間産物(溶液も含む)などが挙げられる。
<1.Se含有溶液からの金属Seの製造方法>
本方法においては、Se含有溶液に対し、[Hの値を所定の値以上としつつ、塩化物イオン、硫化水素イオン、および還元剤の存在下でSeを還元することにより生じた金属Seを製造する。以下、詳細を説明する。
1−A)条件設定工程
本工程すなわち(工程1および工程2)においては、Seの還元処理を行う前に、Se含有溶液に対して塩化物イオンを含有させ(条件1)、[Hの値を4.1(mol/L)以上としておく(条件2)。
まず、各条件を満たすための手法についてであるが、Se含有溶液に対し、例えば後述の[実施の形態2]で記載のように次亜塩素酸塩(例えばNaClO)を添加しても構わない。また、条件2も満たすべく塩酸(HCl)を添加しても構わない。もちろん、条件1を満たす化合物と、条件2を満たす化合物とを別個にしてももちろん構わない。例えば、条件1を満たすべくNaClOを添加しつつ、条件2を満たすべく硫酸(HSO)を添加しても構わない。むしろ、塩化物イオンの量を過度なものにしないため、そして費用面から、NaClOとHSOとを使用するのが好ましい。
ちなみに、塩化物イオンの量を過度なものにしないことにより、以下の効果を奏する。塩化物イオンの濃度が高い場合、条件2のように[H]濃度が設定されていることから、塩酸が多く液中に存在することになる。そうなると、各種装置において腐食防止のため、耐塩酸用の追加仕様が必要となり、排ガス処理も含め、装置投資額、メンテナンスコスト、排水処理の費用の上昇を招く。このため、塩酸濃度をできるだけ低く抑えれば、費用の発生は、付随的に下降し、産業競争力の増長、環境負荷の軽減に寄与できる。そのため、[Hの値を4.1(mol/L)以上とする際に添加するものとしては塩酸を除くものを採用するのもよい。
なお、条件2において[Hの値を4.1(mol/L)以上とすることにより、後述の実施例の項目(図3)にて示すように、反応速度定数(LogK)が増大する。その際、[Hの値を5.0(mol/L)以上とするのが好ましく、後述の実施例の具体的な数値を考慮すると6.3(mol/L)以上とするのがより好ましい。
なお、本明細書における反応速度定数は、近似式C=CA0・e(−Kt)(なお、C:時間tにおけるSe濃度、CA0:元液Se濃度、t:時間、K:速度定数)から算出している。
なお、液中のSe濃度の減少速度は、(Seが還元されて金属Seになる際の液中のSe濃度の減少度合い)/(還元時間)にて求める。
上記の構成を採用することにより、後述の実施例の項目が示すように、Seを還元する際の反応速度定数が一桁レベルで増大する。それでいながらも、Se回収率は極めて高い数字を達成できる。
なお、この効果をもたらすメカニズムについては本発明者が鋭意検討中である。あくまで推測ではあるが、以下の反応式によりSeへの還元が行われているものと推測される。
SeO+2HCl→HSeO+Cl↑+H
SeO+2SO+HO→Se゜+2HSO
上記の構成に加え、本実施形態において、さらに「硫化水素イオン(すなわちSH)」を添加しておくのが好ましい。
当該添加はあくまでSeの還元処理のための準備という意味を持つ。そのため、後述の1−B)Se還元工程と別の工程とせずとももちろん構わない。つまり、後述のSe還元工程と同時に本工程を行っても構わないし、本工程として「SH」のみをSe含有溶液に添加しても構わない。
なお、説明の便宜上、SHのことを「イオン性硫黄」と称する場合もある。本明細書における「イオン性硫黄」には、単なる硫黄(すなわち酸化数ゼロのS)や硫酸イオン(SO 2−)のように酸化数が正となっているSは当てはまらないものとする。
このイオン性硫黄をもたらす化合物は任意のものでも構わないが、本発明者が調べたところ、後述の実施例の項目が示すように、水硫化塩(例えば水流化ソーダ(NaSH))をSe含有溶液に加えるのが好ましい。
1−B)Se還元工程
本工程(工程3)においては、条件設定工程後にSe含有溶液におけるSeを還元し、金属Seを沈殿させる。詳しく言うと、Se含有溶液に対して還元性を有する還元剤を加えることによりSeを還元し沈殿させる。そのため本工程は、還元剤添加工程とも称する。
なお、本工程における還元剤は公知のものを用いても構わないが、好ましいのは亜硫酸ガス(SO)や重亜硫酸ソーダ(NaHSO)である。また、本工程の具体的な手法としては公知の手法を用いればよく、例えばSe含有溶液に対してSOガスの吹き込みを行っても構わない。その際、撹拌を行うと更に良い。
1−C)金属Se回収工程
本工程(工程4)においては、沈殿した金属Seを回収する。回収の手法としては、公知の固液分離の手法を用いればよい。例えば、ろ過、デカンテーション、遠心分離などが挙げられる。
1−D)その他
以上の工程により、Se含有溶液から金属Seが製造される。なお、上記の工程以外の工程を適宜設けても構わない。例えば、製造後の金属Seの洗浄、製造後の液の再利用、排水処理へ移送などの工程を設けても構わない。
<2.実施の形態による効果>
本実施形態によれば、主に以下の効果を奏する。
そもそも、特許文献1に記載の技術では、Se含有溶液から金属Seを製造するのに月単位(少なくとも1日単位)という相当な時間を要する。それに対し本実施形態の手法を採用することにより、後述の実施例の項目(特に図3)が示すように、塩化物イオンを存在させた状態として[Hの値を所定の値以上とするという簡素な操作により、Se含有溶液から金属Seを製造する際の速度を増大させることが可能となり、しかも確実に金属Seを製造可能となる。
[実施の形態2]
本実施形態においては、Se含有溶液から金属Seを製造する際にHgの除去も行う応用例について説明する。以下、本実施形態について、次の順序で説明を述べる。なお、説明においては適宜、別の実施形態における金属Seの製造方法を示すフローチャートである図2を参照する。
1.Se含有溶液からの金属Seの製造方法
1−A)Hg第一分離工程
1−B)条件設定工程
1−C)Se還元工程
1−D)金属Se回収工程
2.実施の形態による効果
なお、[実施の形態1]と記載内容が重複する部分については記載を省略する。
<1.Se含有溶液からの金属Seの製造方法>
本実施形態におけるSe含有溶液は、硫酸殿物に対して酸化浸出が行われた後の溶液を使用する。
硫酸殿物は、非鉄製錬操業において、硫化精鉱をばい焼する際に発生するガスから硫酸を製造する硫酸工程にて発生する副生成物であり、HgおよびSeが含まれるものである。本実施形態においては、次亜塩素酸塩(本実施形態における具体例としては次亜塩素酸ソーダ(NaClO))を用いて硫酸澱物からHgおよびSeを酸化浸出させる。
なお、酸化浸出の際の電位を900mV以上としておくことにより、Se4+を通り越してSe6+へとSeを酸化させられるので、好ましい。Se4+のままだと、Hgを捕集するためにZn粉末を添加した際にSeが意図せず沈殿したり、Hgを硫化して沈殿させる際にSeが意図せず沈殿してしまう。その一方、電位を900mV以上としてSe6+へとSeを酸化させておくと、意図しないSeの沈殿の発生を抑制することが可能となる。
1−A)Hg第一分離工程
本工程においては、酸化浸出後の濾液に対してZn粉末を添加し、濾液中のHgをZnにより置換することにより沈殿させ、沈殿中のHgと濾液中のSeとを分離する。すなわち、金属のZn粉末を濾液に加えると、濾液内でのZn粉末の還元作用により、Zn粉末の表面でZnとHgとでの間で置換反応が発生し、Zn粉末に同伴され、Hgが固定化される。このため安定な固定化状態となるため、ろ過性に優れかつHgの回収が容易となる。
1−B)条件設定工程
本工程においては、[実施の形態1]で述べた条件設定工程を行う。ただ、好適例としての本実施形態においては、本工程は、後のSe還元工程のための準備以上の意味を持つ。すなわち本工程においては少なくともイオン性硫黄をSe含有溶液に加える。このことにより、Hg第一分離工程によって沈殿させきれなかった残留Hgを硫化させて沈殿させることが可能となる。その結果、Se含有溶液におけるHgの除去率を著しく向上させることが可能となる。
なお、本工程においては、残留Hgの量に対してイオン性硫黄を過剰に加えておくのが好ましい。こうすることにより残留Hgを十分に硫化させて沈殿させることが可能となる。
ちなみに余剰のイオン性硫黄(例えばNaSHから生じたSH)を加える量であるが、残留Hgイオン量に対して6〜12当量となるようにイオン性硫黄を加えるのが好ましい。
1−C)Se還元工程 & 1−D)金属Se回収工程
上記の工程においては、[実施の形態1]で述べたのと同様の工程を行う。
<2.実施の形態による効果>
本実施形態によれば、[実施の形態1]で述べた効果に加え、以下の効果を奏する。
硫酸澱物から一連の工程でHgおよびSeをそれぞれ除去する上で、非鉄製錬の工程中における硫酸製造時に発生する硫酸澱物に対しては、NaClOを用いて900mV以上で浸出を行うことにより、Hgに関しては、溶解度が高いHg2+とすることが可能となり、Seに関しては、意図しない沈殿を避けられるSe6+へと予め変化させておくことが可能となる。
また、Zn粉末を加えることにより、ろ過性に優れかつHgの回収が容易となる。
さらに、条件設定工程において、Hg第一分離工程によって沈殿させきれなかったHgを硫化させて沈殿させることが可能となる。
その結果、本実施形態によれば、比較的簡素な手法によってSe含有溶液からHgを迅速かつ確実に除去した上で、Se含有溶液から金属Seを製造する際の速度を増大させつつも確実に金属Seを製造する技術を提供できる。
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
次に実施例を示し、本発明について具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例においては[実施の形態2]に係る実施例を例示、すなわち硫酸澱物に対して酸化浸出を行ったものをSe含有溶液としているが、これはあくまで一例である。その上、本実施例においても「条件設定工程〜金属Se回収工程」を行っていることには変わりはない。そのため、本実施例は[実施の形態1]に係る内容についても開示しており、本発明が[実施の形態2]に限定されることは無い。
<実施例1>
本実施例においては、試験槽としては1Lの耐酸容器を用いた。攪拌機の羽形状は3枚傾斜パドルとし、回転数は250〜300rpmとした。なお、処理対象とする硫酸澱物は、自社から生じたものを使用した。硫酸澱物に含有されるHgの品位は20.7%でああった。Seの品位は2.3%であり、重量は239gであった。他金属(亜鉛、銅、鉛、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、貴金属、ガリウム、インジウム)24.7質量%、他含有物は、水銀、セレン、他金属以外の酸素、硫黄、ハロゲン等であり、殆どが酸素、硫黄である残余分である。
本工程においては、酸化浸出のために、NaClO溶液を1L用いた。なお、NaClO溶液としては廃液を用いた。その際、NaClOの濃度(有効塩素濃度)は6%とした。なお、ここでいう有効塩素濃度とは、以下の反応式、
NaOCl+2KI+2CHCOOH→I+2CHCOOK+NaCl+H
により遊離したヨウ素に対する塩素量を有効塩素であるところの塩化物イオン量とした。なお、当該濃度は滴定により求めた。そして、試験槽において上記の硫酸澱物をNaClO溶液へと浸し、HgおよびSeを浸出させた。その際、硫酸澱物の量は、NaClO溶液において100g/Lとなるように設定した。なお、反応時間は30分とし、終点温度は40℃とした。そして電位は900mVを超えるように設定した。なお、電位の測定条件としては、反応時間の終了時に銀/塩化銀電極を用い、終点温度を40℃とした。以降、同様とする。
その結果、HgおよびSeの浸出率は共に98〜99%となり、極めて良好な結果となっていた。なお、HgおよびSeの浸出率は、上記の硫酸澱物の組成、ならびに、反応終了後の溶液に含有されるHgおよびSeの量から求めた。また、当該HgおよびSeの量はthermo社製のICP発光分光装置を用いて求めた。以降、HgおよびSeその他の量についての測定方法は同様とする。
1−A)Hg第一分離工程
本工程においては、林金属製のZn粉末をHgに対してモル比で2.0〜2.5mol当量用いた。そして、試験槽に対して上記のZn粉末を投入し、NaClO溶液中のHgをZnにて置換させ、Hgを沈殿させた。なお、反応時間は30〜40分とし、終点温度は10〜15℃とした。そして電位は0mV近傍とした。反応終了後、固液分離として吸引濾過装置を用いて濾過を行った。
その結果、濾液を調べたところ、Hgの除去率は99%を超えた数値となっており、Hgの濃度は検量下限(1ppm)以下となり、極めて良好な結果となっていた。ちなみに、残渣となった沈殿におけるHgの品位は、thermo製のICP発光分析装置で調べたところ、45〜50%であり、重量に換算するとHgは残渣中において60重量%存在した。なお、残渣におけるHg/Znのモル比は1.8〜2.0であった。
1−B)条件設定工程
本工程においては、Hg第一分離工程後の濾液をCT(コーンタンク)に移し替え、CTに対して硫酸を添加した。添加量に関しては、硫酸濃度が300g/Lになりかつ液量が1Lになるように調整して硫酸を添加し、[Hの値を9.24(mol/L)とした。なお、塩化物イオン(Cl)は、先に挙げたNaClO溶液由来のものとしてNaClO溶液から賄った。
それに加え、当該タンクに0.3%のNaSHを10mL添加し、濾液中に残存しているHgを硫化により沈殿させつつ、Se還元工程に向けての準備として濾液中にSHを含有させる処理を行った。なお、反応時間は10分とし、終点温度は20℃とした。最終的な電位は−60mVとし、pHは5.8〜6.0とした。反応終了後、Hg第一分離工程と同様に、固液分離として加圧濾過機を用いて濾過を行った。
その結果、濾液を調べたところ、Hgの濃度は検量下限(1ppm)以下となり、極めて良好な結果となっていた。また、このとき、液中のSe濃度は3.3g/Lであった。
1−C)Se還元工程 & 1−D)金属Se回収工程
本工程においては、自社において硫酸製造時に発生した亜硫酸ガスを流速500mL/minで180分吹き込みながら、ヒータにより80℃へと加熱し、Se6+からSeへの還元反応を行った。反応終了後、Hg第一分離工程と同様に、吸引濾過装置を用いて濾過を行った。
その結果、濾液を調べたところ、Seの除去率は99%を超えた数値となっており、極めて良好な結果となっていた。一方、残渣となった沈殿は3.3gであり、当該沈殿におけるSeの品位は、thermo製のICP発光分析装置で調べたところ99.23質量%であり、極めて品位の高いメタルセレンが得られた。なお、Hgの濃度は10ppm以下であり、HgとSeとを確実に分離することができていた。
<実施例2および実施例3>
実施例2においては、条件設定工程の際に、硫酸濃度が252g/Lになりかつ液量が1Lになるように調整して硫酸を添加し、[Hの値が6.61(mol/L)となるように設定した。
また、実施例3においては、NaClOの濃度を8%とし、液中のSe濃度を4.8g/Lとし、SHを加えず、硫酸濃度が250g/Lになりかつ液量が1Lになるように調整して硫酸を添加し、[Hの値が6.6(mol/L)となるように設定した。
<比較例1〜3>
本比較例においては、[Hの値を4.1(mol/L)未満とした。その点以外は、以下の表に諸条件を記載する。
<回収率>
上記の表が示すように、金属Seの回収率において、実施例と比較例とでは大きく異なっており、実施例の方が極めて高い回収率を誇っていた。
<反応速度定数>
上記の各実施例および各比較例に係る反応速度定数と[Hとの関係をまとめた図が図3である。図3を見ると、[Hの値を4.1(mol/L)以上(好ましくはは5.0、さらに好ましくは6.3以上、非常に好ましくは6.6以上)とした場合すなわち本実施例だと、反応速度定数が著しく向上していることが明らかとなった。
以上の結果、上記の実施例によれば、Se含有溶液から金属Seを製造する際の速度を増大させつつも確実に金属Seを製造する技術を提供できることが明らかとなった。

Claims (7)

  1. 産業上にて生じた中間物または廃液であるセレン含有溶液に還元剤を加えて金属セレンを製造する金属セレンの製造方法において、
    前記セレン含有溶液に対して次亜塩素酸を含有させ、水素イオン濃度の二乗([H)の値を5.0(mol/L)以上とし、前記還元剤によりセレンを還元する、金属セレンの製造方法。
  2. 産業上にて生じた中間物または廃液であるセレン含有溶液に還元剤を加えて金属セレンを製造する金属セレンの製造方法において、
    前記セレン含有溶液に対して次亜塩素酸塩を加える工程1と、
    前記セレン含有溶液の水素イオン濃度の二乗([H)の値を5.0(mol/L)以上とする工程2と、
    前記工程1および2の後、前記セレン含有溶液に対して還元剤を加える工程3と、
    前記工程3の後、沈殿した金属セレンを回収する工程4と、
    を有する、金属セレンの製造方法。
  3. 前記セレン含有溶液に対して硫化水素イオンを含有させる、請求項1または2に記載の金属セレンの製造方法。
  4. 前記硫化水素イオンは水硫化塩から得られる、請求項3に記載の金属セレンの製造方法。
  5. 前記還元剤は亜硫酸ガスである、請求項1〜4のいずれかに記載の金属セレンの製造方法。
  6. 前記[Hの値を6.3(mol/L)以上とする、請求項1〜5のいずれかに記載の金属セレンの製造方法。
  7. 前記セレン含有溶液に対して塩酸および硫酸の少なくともいずれかも含有させる、請求項1〜6のいずれかに記載の金属セレンの製造方法。
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