JP4710034B2 - 砒素含有物質の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、砒素含有物質の処理方法に関し、特に、非鉄製錬の製錬中間物などの砒素以外の各種の元素を含む砒素含有物質を処理して高純度で高濃度の砒素含有溶液を回収する方法に関する。
非鉄製錬において生成される各種の製錬中間物や製錬原料には、有価金属が含まれているが、砒素などの好ましくない元素も含まれている。
従来、砒素を含む製錬中間物などから砒素を分離して回収する方法としては、製錬中間物などを焼成することによってAsとして回収する方法が提案されている。しかし、この方法では、CO雰囲気の制御やAsの粉塵の回収などが技術的に容易ではなく、大規模な設備が必要である。
また、砒素を含む製錬中間物から砒素を浸出して分離する方法として、湿式反応により砒素を分離して回収する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法は、砒素を含む硫化物態の銅製錬中間物をスラリー化し、これに空気を吹き込みながらアルカリを添加し、スラリーの温度を50℃以上、pH5〜8に保持しながら浸出処理を行って、製錬中間物中の砒素を酸性砒酸塩として含有する溶液を生成し、この溶液と不溶解残渣を分離する第1工程と、この第1工程で得られた水溶液に消石灰を添加して、生成する砒酸カルシウム沈澱とアルカリの水溶液とを分離し、アルカリの水溶液を第1工程に再循環する第2工程と、この第2工程で得られた砒酸カルシウムの沈澱を硫酸に溶解し、得られた砒酸と石膏とを分離する第3工程と、この第3工程で得られた砒酸を亜硫酸ガスで還元し、得られた亜砒酸と硫酸溶液とを分離し、硫酸溶液を第3工程に再循環する第4工程とからなる。この特許文献1では、アルカリとして水酸化ナトリウムを使用した場合に砒素が酸化抽出される反応式として、以下の反応式を推定している。
As+3/2O+HO→2HAsO+3S (1)
HAsO+1/2O+NaOH→NaHAsO (2)
HAsO+1/2O+2NaOH→NaHAsO+HO (3)
As+6O+4HO→2HAsO+3HSO (4)
また、特許文献1には、抽出反応時のpHを高くして上記の反応式(4)に従ってもよいが、この反応式(4)に従うと、原料中の硫黄分が硫酸にまで酸化され、生成する硫酸を中和するために余分なアルカリの消費が行われるが、抽出反応時の水溶液のpHを5〜8に制御して反応式(1)に従って砒素を抽出すると、原料中の硫黄分は硫酸まで酸化されずに元素状態の硫黄でとどまるので、水溶液を中和するための余分なアルカリの消費を避けることができると記載されている。さらに、特許文献1の方法では、消石灰(CaO)を添加して砒酸カルシウム(Ca(AsO)を生成しているが、あまりに過剰の消石灰を添加すると、砒酸カルシウム中に消石灰が混入して、次工程の硫酸消費量の増大をきたすので、消石灰の添加量が抑制されている。
また、特許文献1の方法では、消石灰を添加して砒酸カルシウムを生成する際に、以下の反応式に示すようにNaOHが再生される。
2NaHAsO+3CaO→2NaOH+Ca(AsO+H
2NaHAsO+3CaO+HO→4NaOH+Ca(AsO
特公昭61−24329号公報(第1−3頁)
しかし、特許文献1の方法では、アルカリの添加量をできるだけ少なくしてpH5〜8の領域で浸出処理を行っているので、浸出処理に非常に長い時間を要する。また、消石灰を添加して砒酸カルシウムを生成する反応の速度が極めて遅く、カルシウムの添加量が抑制されているため、再生されるNaOHの量も抑制され、溶液中の砒素濃度が高くなり、砒素の回収率が低くなって好ましくない。
一方、過剰の消石灰を添加すると、砒素の沈殿率が上昇して砒素の回収率が高くなるが、溶液中に過剰のCaが溶存してNaOH液に混入すると考えられる。すなわち、上記の砒酸カルシウムの生成反応が完了した後にさらに過剰の消石灰を添加すると、以下の反応式に示すように、Caが溶解度分だけ溶解し、さらに過剰に消石灰を添加すると、Ca(AsOの他にCa(OH)を生成する。その結果、再生されたNaOH液中にCaが入るので、この再生されたNaOH液を第1工程に再利用すると、Caと反応して砒素の浸出率が低下する。
2NaHAsO+3CaO+過剰のCaO
→2NaOH+Ca(AsO+Ca(OH)+HO+Ca2+(溶解成分)
2NaHAsO+3CaO+HO+過剰のCaO
→4NaOH+Ca(AsO+Ca(OH)+Ca2+(溶解成分)
2NaAsO+3CaO+3HO+過剰のCaO
→6NaOH+Ca(AsO+Ca(OH)+Ca2+(溶解成分)
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、砒素含有物質を処理して高純度で高濃度の砒素含有溶液を効率的に回収することができるとともに、再生されるアルカリ液への砒素の混入を防止して再利用可能なアルカリ液を回収することができる、砒素含有物質の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、砒素含有物質をアルカリ溶液に加えて酸化しながらアルカリ浸出した後に固液分離して砒素を含む浸出液を得る工程と、この浸出液にアルカリ土類金属またはその塩を添加した後に固液分離して砒素とアルカリ土類金属の化合物を含む残渣を得る工程と、この残渣を洗浄して硫酸溶液に添加した後に固液分離して砒素含有溶液を得る工程とを備えた砒素含有物質の処理方法において、砒素含有物質をアルカリ溶液に加えてpH10以上にするとともに、砒素含有物質として硫黄を含む砒素含有物質を使用するか、あるいは砒素含有物質が硫黄を含まない場合には砒素含有物質または浸出液に硫黄を添加し、さらに、浸出液に添加するアルカリ土類金属またはその塩の量を、砒素とアルカリ土類金属の化合物を生成するのに必要なアルカリ土類金属またはその塩の量以上にすることによって、高純度で高濃度の砒素含有溶液を効率的に回収することができるとともに、再生されるアルカリ液への砒素の混入を防止して再利用可能なアルカリ液を回収することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による砒素含有物質の処理方法は、砒素含有物質をアルカリ溶液に加えてpH10以上にして酸化しながらアルカリ浸出した後に固液分離して砒素を含む浸出液を得る工程と、この浸出液にアルカリ土類金属またはその塩を添加した後に固液分離して砒素とアルカリ土類金属の化合物を含む残渣を得る工程と、この残渣を洗浄して硫酸溶液に添加した後に固液分離して砒素含有溶液を得る工程とを備え、砒素含有物質として硫黄を含む砒素含有物質を使用するか、あるいは砒素含有物質が硫黄を含まない場合には砒素含有物質または浸出液に硫黄を添加し、さらに、浸出液に添加するアルカリ土類金属またはその塩の量を、砒素とアルカリ土類金属の化合物を生成するのに必要なアルカリ土類金属またはその塩の量以上にすることを特徴とする。
この砒素含有物質の処理方法において、砒素含有物質が、銅、亜鉛、鉄、インジウム、ガリウム、錫、アンチモン、鉛、カドミウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムの少なくとも一種を含んでもよい。また、アルカリ溶液が、ナトリウムまたはカリウムの化合物からなるアルカリの溶液であるのが好ましく、さらに、アルカリ溶液が水酸化ナトリウム溶液であり、その溶液中の水酸化ナトリウム濃度が50〜300g/Lであるのが好ましい。また、アルカリ土類金属またはその塩が、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムであるのが好ましい。
本発明によれば、砒素含有物質を処理して高純度で高濃度の砒素含有溶液を効率的に回収することができるとともに、再生されるアルカリ液への砒素の混入を防止して再利用可能なアルカリ液を回収することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明による砒素含有物質の処理方法の実施の形態について説明する。
図1は、本発明による砒素含有物質の処理方法の実施の形態を概略的に示す工程図である。図1に示すように、本発明による砒素含有物質の処理方法の実施の形態は、(1)砒素含有物質をアルカリ溶液に加えてpH10以上、好ましくはpH12以上にして酸化しながらアルカリ浸出した後に固液分離して砒素を含む浸出液を得るアルカリ浸出・酸化工程と、(2)この浸出液にアルカリ土類金属またはその塩を添加した後に固液分離して砒素とアルカリ土類金属の化合物を含む残渣を得るアルカリ土類金属置換工程と、(3)この残渣を洗浄して付着したアルカリ液を除去する洗浄工程と、(4)この洗浄した残渣を硫酸溶液に添加した後に固液分離して高純度で高濃度の砒素含有溶液を得る硫酸溶解工程とを備えている。以下、これらの各工程について説明する。
なお、本実施の形態の砒素含有物質の処理方法によって処理する砒素含有物質としては、硫化砒素(As)やFeAsSなどの硫化物のように硫黄と砒素を含む物質を使用することができる。また、亜鉛製錬工程などにより得られる砒化銅(CuAs)を主成分とする残渣なども使用することができる。この砒化銅を主成分とする残渣には、亜鉛や鉄などの他にインジウムやガリウムなどの有価金属も含まれている。なお、実施の形態の砒素含有物質の処理方法によって処理する砒素含有物質が硫黄を含まない場合には、アルカリ浸出・酸化工程前にNaSO塩のような硫酸塩などを添加するか、あるいは、アルカリ浸出・酸化工程後の浸出液に硫酸塩などを添加して、アルカリ土類金属置換工程前の浸出液中にSOイオンが存在するようにしておく必要がある。また、本実施の形態の砒素含有物質の処理方法によって処理する砒素含有物質は、砒素(As)と硫黄(S)の他に、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)、アンチモン(Sb)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)およびカルシウム(Ca)の少なくとも一種を含んでもよい。
(1)アルカリ浸出・酸化工程
まず、上記の砒素含有物質を酸化剤とともにアルカリ溶液に添加してpH10以上、好ましくはpH12以上にし、液温50〜100℃に加熱して撹拌しながら反応させることにより、砒素含有物質を酸化しながら浸出する。このアルカリ浸出・酸化工程における反応は、pH10以上、好ましくはpH12以上の強アルカリ性で起こる反応であり、反応速度は非常に速い。
このアルカリ浸出によって、Cuを浸出させずにAsを浸出させてCuとAsを分離することができる。また、このアルカリ浸出では、In、Pb、CdおよびMgも浸出されず、Fe、Sn、SbおよびCaもほとんど浸出されない。しかし、Gaはほとんど浸出されるので、この段階では、AsとGaは分離されない。
なお、Znは、アルカリ濃度が高いと浸出されるが、アルカリ濃度が低いと浸出されないので、砒素含有物質中のZnの品位、砒素の品位および他の不純物(特にSnとSb)の浸出挙動を勘案してアルカリ濃度を決定すればよい。すなわち、SnやSbの品位が低ければ、残渣中にZnを残しておく方がよいが、SnやSbの品位が高いと、ある程度Znを溶解させた方がよい。
アルカリ溶液としてNaOH溶液を使用することができ、その場合、NaOH濃度が50〜300g/Lであるのが好ましい。
酸化剤としては、過マンガン酸カリウムなどの固形酸化剤の他、過酸化水素やオゾンなどを使用することができるが、空気や濃度を高めた酸素などを使用してもよく、その場合、液中にガスを吹き込んでバブリングして撹拌することによって酸化反応が容易に進む。
アルカリ浸出後に固液分離を行う。この固液分離は、フィルタプレス、遠心分離、デカンタ、ベルトフィルタなどの一般的なろ過のいずれでもよく、ろ過性、脱水性、洗浄性などを勘案してその種類および条件が決定される。
一方、固液分離後の固形分は、有価なCuやInなどを含む金属性化合物と、一部酸化された化合物であるので、製錬工程において有効に活用することができる。なお、銅製錬では、自溶炉や反射炉に直接投入してアノードを作成することができる。
(2)アルカリ土類金属置換工程
次に、固液分離後の浸出液(主にNaとAsを含む液)にアルカリ土類を添加する。アルカリ浸出後の浸出液にCaOなどのアルカリ土類を添加すると、アルカリ土類金属が砒素と反応してアルカリ土類金属と砒素の化合物を生成するとともに、NaOHのようなアルカリ液を再生する。なお、アルカリ薬品は非常に高価であるので、再生されたアルカリ液は前工程に繰り返し使用される。
上記の反応のために過剰のアルカリ土類を添加することによって、再生されたアルカリ液にSO塩またはイオンを混在させて、アルカリ液へのアルカリ土類金属の混入を防止する。再生されたアルカリ液中にSO塩がなく、ほぼ純粋なアルカリ液である場合には、過剰にアルカリ土類を添加すると、再生されたアルカリ液中にアルカリ土類金属が溶存してしまう。
再生されたアルカリ液中にアルカリ土類金属が存在すると、そのアルカリ液を砒素の浸出に再利用する際に、砒素とアルカリ土類金属が反応して溶解度が低い沈殿物を生成するので、アルカリ浸出工程における浸出率が極端に悪くなる場合がある。一方、過剰のアルカリ土類金属を加えないと、アルカリ液中に砒素が除去されずに残ってしまうため、砒素の回収効率が非常に悪くなる。また、アルカリ液にSOが混在していると、アルカリ土類としてCaOを使用した場合に、CaOまたはCa(OH)がその状態で溶解せずに固形分中にとどまる。すなわち、NaとSO 2−の濃度を高くすることによって、Ca2+の溶解度が非常に低く抑制されるため、CaOとして固形分中にとどまる。
アルカリ土類の添加量は、砒素とアルカリ土類金属の化合物を生成するための等当量でもよいが、Ca(AsOに加えてCa(OH)を生成するように、等当量よりもややアルカリ土類リッチにするのが好ましい。
(3)洗浄工程
次に、固形分として得られた砒素とアルカリ土類金属の化合物に付着したアルカリ液を水洗する。この水洗では、固形分中に砒素をとどめておく必要がある。砒素が洗浄排水中に溶出すると、その排水中の砒素を除去するための煩雑な操作が必要になるからである。そのような操作を回避するために、洗浄によってアルカリ液を除去するが砒素を除去しないようにすることが必要である。このような洗浄を可能にするために、上述したようにアルカリ土類を添加する際にアルカリ土類リッチにしてアルカリ性にするのが好ましい。また、アルカリ土類リッチにすると、洗浄によってアルカリ液が洗い流されるだけでなく、アルカリ土類金属が優先的に溶出し、砒素とアルカリ土類金属の化合物はそのまま保持される。なお、アルカリ土類の添加量は、洗浄水の量の増加に伴って多くなるが、Asと反応する量よりも0.5〜1.0質量%だけ過剰にするのが好ましい。
(4)硫酸溶解工程
次に、洗浄後の砒素とアルカリ土類金属の化合物を硫酸溶液に添加して、強く撹拌しながら反応させて、砒素を再溶解させるとともに石膏を生成する。この砒素とアルカリ土類金属の化合物は、アルカリ側では不溶性であるが、pHが4以下ではほぼ全量が溶解するので、鉱酸によってpHを4以下にすれば、ほぼ全量を溶解させることが可能である。しかし、砒素とアルカリ土類金属を分離するためには、硫酸を用いて石膏と砒素含有溶液に分離するのが好ましい。砒素とアルカリ土類金属の化合物を硫酸溶液に添加すると、砒素の溶解と同時に、アルカリ土類と硫酸塩の析出反応が起こる。
硫酸溶液の濃度は、100〜500g/Lであるのが好ましく、150〜300g/Lであるのがさらに好ましい。砒素含有溶液中の砒素を高濃度にしたい場合には、硫酸溶液の濃度をより高くする必要があるが、生成する石膏に付着する硫酸溶液の濃度が上昇し、また、溶液の粘度も上昇するので好ましくない。しかし、砒素の未反応を防止する観点では、砒素とアルカリ土類金属の化合物を濃硫酸に添加して、砒素だけでなく石膏も溶解させた後に、水を加えて加水分解により石膏を析出させてもよい。
撹拌は強く行うことが好ましい。砒素の溶解反応と石膏の析出反応が同時に起こり、また、ウェットケーキの状態で硫酸溶液に投入するのが好ましく、局部的な中和などを起こし易い系であるので、均一且つ完全に反応させるために、強く撹拌して十分に砒素を硫酸に接触させて高純度で高濃度の砒素含有溶液にする必要があるからである。
また、洗浄後の砒素とアルカリ土類金属の化合物を硫酸溶液に添加した時のpHが1程度になるのが好ましい。アルカリ土類金属の溶解度を1g/L以下に抑制するためには、若干硫酸リッチにしておくのがよい。pH=1では、H濃度で0.1g/Lになり、硫酸の濃度は4.9g/Lになるので、硫酸溶液をこの濃度にすれば、Caの溶解度が1g/L以下に下がる。そのため、砒素含有溶液とアルカリ土類金属を分離することができ、高純度で高濃度の砒素含有溶液を得ることができる。得られた砒素含有溶液は、亜鉛製錬所の亜砒酸浄液の原料として利用することができるが、過剰分を砒酸鉄(FeAsO)などの砒素と鉄の化合物として固定化することもできる。また、還元してAsとして析出させてもよい。
以下、本発明による砒素含有物質の処理方法の実施例について詳細に説明する。
まず、表1に示す組成の砒素含有物質を用意した。この砒素含有物質400gをNaOH濃度100g/LのNaOH溶液(Na濃度57.5g/L)4Lに入れ、液温90℃に加熱し、2L/分の流量で空気(ガス/液比率=0.5)を吹き込んで、撹拌しながら1時間反応させ、砒素含有物質を酸化しながらアルカリ浸出した。なお、砒素含有物質をNaOH溶液に入れた後のpHは約12であった。
Figure 0004710034
次に、液温70℃まで冷却した後、目開き3ミクロンのPTFE(ポリ四フッ化エチレン)からなるメンブランフィルタを用いて、加圧ろ過機によって0.4MPaに加圧して固液分離した。フィルタ上に残った残渣(浸出残渣)の水分は20%であり、質量は600gであった。この浸出残渣は、Cu、Zn、Fe、Inなどを含み、製錬原料として使用される。
この固液分離後のフィルタを通過したろ液(アルカリ浸出液)と浸出残渣についてICPによって組成分析を行った。アルカリ浸出液および浸出残渣の分析結果をそれぞれ表2および表3に示し、浸出率の計算結果を表4に示す。これらの結果から、1時間という短時間でAsを効率的に浸出していることがわかる。
Figure 0004710034
Figure 0004710034
Figure 0004710034
次に、アルカリ浸出液に純度95%の工業用生石灰(CaO)を添加して、液温60℃に加熱し、撹拌して1時間反応させ、固形分としてCaとAsの化合物を得るとともに、NaOH液を再生した。この置換反応によって液温は60℃から80℃まで上昇した。なお、工業用生石灰の添加量は、アルカリ浸出の際に加えたNaOH溶液のNaOH濃度との関係からアルカリ浸出液を置換するに足りるCaOと同当量、すなわち、NaOH濃度が100g/Lであったので73.7g/L(=100÷40×56÷2÷0.95)とした。また、CaOを添加すると水(HO)を消費するので、濃度の上昇を避けるために、アルカリ浸出液が同じ量になるように水を補給して調整した。
次に、液温70℃まで冷却した後、加圧ろ過機によって固液分離した。得られた残渣(砒素とアルカリ土類金属の塩の固形分)は、20%の水分を含み、158g/Lであった。この固液分離後の液と残渣についてICPによって組成分析を行った。それぞれの分析結果を表5および表6に示す。
Figure 0004710034
Figure 0004710034
次に、固液分離後の固形分に付着したアルカリ成分を除去するために、パルプ濃度200g/Lとしてリパルプ洗浄を3回行った。各々のリパルプ洗浄では、液温を60℃として撹拌しながら1時間反応させた。各々のリパルプ洗浄後の洗浄后液についてICPによって組成分析を行ったところ、第1回目、第2回目および第3回目の洗浄後の液中のNa濃度は、それぞれ2314mg/L、93mg/Lおよび4mg/Lになり、アルカリ成分を十分に除去することができた。また、これらの洗浄後の液中のAs濃度は、いずれも0mg/Lであり、Asが溶出しないのが確認された。その後、目開き3ミクロンのPTFEからなるメンブランフィルタを用いて、加圧ろ過機によって0.4MPaに加圧して、フィルタ上に残った残渣(洗浄後のカルシウムと砒素を含む固形分)とフィルタを通過したろ液(洗浄后液)に固液分離した。
次に、洗浄後の残渣(水分20%を含むカルシウムと砒素の固形分)1912gを200g/Lの硫酸溶液5.59Lに添加してpH1になるようにし、液温を50℃として強く撹拌しながら2時間反応させて残渣を再溶解させた。この置換反応により液温は50℃から80℃に上昇した。なお、この撹拌を行わなければ、カルシウムおよび砒素の溶解と同時にCaSOが析出するため、カルシウムと砒素の溶解反応を阻害するので、この撹拌によって良好に分散させる必要がある。
その後、目開き3ミクロンのPTFEからなるメンブランフィルタを用いて、加圧ろ過機によって0.4MPaに加圧して、フィルタ上に残った残渣(石膏)とフィルタを通過したろ液(砒素含有溶液)に固液分離した。この固液分離後の再溶解液と残渣についてICPによって組成分析を行った。再溶解液と残渣(洗浄した石膏)の分析結果をそれぞれ表7および表8に示し、浸出率の計算結果を表9に示す。これらの結果から、再溶解液は、アルカリ土類金属などの不純物が非常に少ない高濃度の砒素を含む溶液であるのがわかる。
Figure 0004710034
Figure 0004710034
Figure 0004710034
本発明による砒素含有物質の処理方法の実施の形態を概略的に示す工程図である。

Claims (5)

  1. 砒素含有物質をアルカリ溶液に加えてpH10以上にして酸化しながらアルカリ浸出した後に固液分離して砒素を含む浸出液を得る工程と、この浸出液にアルカリ土類金属またはその塩を添加した後に固液分離して砒素とアルカリ土類金属の化合物を含む残渣を得る工程と、この残渣を洗浄して硫酸溶液に添加した後に固液分離して砒素含有溶液を得る工程とを備え、前記砒素含有物質として硫黄を含む砒素含有物質を使用するか、あるいは前記砒素含有物質が硫黄を含まない場合には前記砒素含有物質または前記浸出液に硫黄を添加し、さらに、前記浸出液に添加する前記アルカリ土類金属またはその塩の量を、前記砒素とアルカリ土類金属の化合物を生成するのに必要なアルカリ土類金属またはその塩の量以上にすることを特徴とする、砒素含有物質の処理方法。
  2. 前記砒素含有物質が、銅、亜鉛、鉄、インジウム、ガリウム、錫、アンチモン、鉛、カドミウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムの少なくとも一種を含むことを特徴とする、請求項1に記載の砒素含有物質の処理方法。
  3. 前記アルカリ溶液が、ナトリウムまたはカリウムの化合物からなるアルカリの溶液であることを特徴とする、請求項1または2に記載の砒素含有物質の処理方法。
  4. 前記アルカリ溶液が水酸化ナトリウム溶液であり、その溶液中の水酸化ナトリウム濃度が50〜300g/Lであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の砒素含有物質の処理方法。
  5. 前記アルカリ土類金属またはその塩が、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の砒素含有物質の処理方法。

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