JP4527330B2 - 液体配分用エアゾール - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、液体容器および少なくとも液密な仕方でそれに結合された配分器を有する、液体特に泡沫状の液体を配分するエアゾールに係り、前記配分器は液体入り口および液体出口を備えた液体ポンプと作動ヘッドを有し、前記作動ヘッドは出口通路および液体を配分する液体配分用の開口部を有すると共に、前記作動ヘッドは閉じた環状保護キャップを更に有し、前記エアゾールはその保護キャップがその中に移動できる、閉鎖内壁、外壁およびベースを有する環状凹所を有し、かつ、一つ以上の出口開口部がその凹所のベース付近にあるエアゾールに関する。
【０００２】
【従来の技術】
この種のエアゾールは、ＪＰ−Ａ−９−７７１１５で知られている。
【０００３】
冒頭部に挙げたタイプのエアゾールはとりわけ、ねり歯みがき、ジェル等のような液体それ自体を配分するために使用される。脱臭剤、ヘアスプレー、塗料等のような噴霧空気／液体混合物を配分することを目的としたエアゾールもある。しかしながら後者のタイプのエアゾールは泡沫形成手段も有し、そのためエアゾールはシェービングフォーム、石鹸、シャワーフォーム等のような泡沫生成物を配分するのに適している。
【０００４】
本論旨の展開において、「液体」の用語は低粘性液体および粘性液体の両方および糊状物質を指すものとして理解される。
【０００５】
ＪＰ−Ａ−９−７７１１５に記述されたエアゾールにおいて、環状凹所の内壁は実質的に保護キャップについての垂直案内壁を形成する。換言すれば、使用の間、保護キャップはそこに非常に近接するこの内壁に沿って上下に移動できる。
【０００６】
【発明が解決しようとする技術的課題】
個人的な衛生製品の場合、エアゾールはしばしば浴室内の浴槽中またはシャワーの下のような多湿環境の中で使用される。塗料および他の製品の場合、配分される製品のような液体製品や水が配分器に入ることを防止することもまた必要である。
【０００７】
ＪＰ−Ａ−９−７７１１５に記述されたエアゾールでは、液体ポンプにおいて配分器に水が入りやすいことを見出し、例えば保護キャップに沿って下方に伝わる水を防止するのに合理的に成功している。
【０００８】
作動ヘッドを押してエアゾールが使用される時、液体が液体ポンプの作動によって配分されると、その分だけ液体ポンプチャンバーが空になる。作動ヘッドが次いで釈放されるとポンプはその最初の位置に向かって戻り、その移動の間ポンプチャンバーは液体で満たされる。ポンプチャンバーが液体で満たされる間、液体は液体容器から引き出される。取り除かれる液体の容積は、空気を保護キャップから液体容器へ入れることにより補償されなければならない。
【０００９】
作動ヘッドが押し下げられる時、作動ヘッドと環状凹所の内壁によって囲まれた空間の大きさが減少する。作動ヘッドがその最初の位置に戻る時、この容積は大きさが増加する。このことはまた、空気を入れることによって補償されなければならない。
【００１０】
両方の場合において、空気は環状凹所の内壁と保護キャップ間から配分器中に引き込まれる。従って、やはり漏水の可能性があり、この漏水が多分泡沫状である配分液体によって汚染されて配分器中に入ることが起こり得る。
【００１１】
エアゾールを使用して配分されるべき生成物は、それらが一旦乾燥するとしばしば粘着性を帯び、従って、もしそれらが配分器に達するとその動作を妨害し、更にはその動作を完全に損なうに至る。
【００１２】
また、配分されるべき液体はしばしば関連する総ての欠点を備えた泡沫の形成を生じる液体である、ということも事実である。
【００１３】
もしも異物が周囲から漏水と共に液体容器に入る可能性が少しでもあるならば、それはまた非常に望ましくないことははっきりしている。
【００１４】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は前記の問題に対する解決を提供することにあり、かかる目的のために本発明は、ベースから遠い側で、内壁が保護キャップから半径方向で距離ｐにあって、この距離ｐは内壁に対する保護キャップの通常の間隙距離よりも大きいという凹所の形状で特徴付けられる。
【００１５】
本発明によるエアゾールの凹所の内壁の特別な形状により、配分ヘッドの復帰移動の間に吸引される如何なる液体も、特別設計の内壁と保護キャップとの間の空間に一時的に収容され得る。遅くともこの復帰移動が一旦完了すると、液体はこの空間から出口開口部へ容易に流れることができ、あるいは次の作動中に押し出すことができる。
【００１６】
本発明によるエアゾールの特別な設計により、水がエアゾールの外側から配分器に入ることは事実上不可能になる。総ての漏水は凹所のベースにある出口開口部を通して外部へ放出される。
【００１７】
利用可能な間隙距離は、例えばＪＰ−Ａ−９−７７１１５に開示された距離ｐを意味すると理解される。この距離ｐは凹所の内壁と保護キャップとの間に配設された適当な案内があるようなものであって、距離ｐは実際は比較的小さいものである。この距離ｐは、保護キャップが不必要な摩擦無しで内壁によってうまく案内されるように選択される。
【００１８】
本発明によるこの距離ｐは有利なように少なくとも２ｍｍであり、またはこの距離ｐは保護キャップの内径の０．１倍以上である。この距離ｐは保護キャップの内径の０．３倍以上であることが好ましく、および保護キャップの内径の０．５倍以上であることがより好ましい。この距離ｐは、できる限り大きいことが最も好ましいことが明らかになる。
【００１９】
本発明によれば、色々な形状の内壁が可能である。例えばこの内壁は保護キャップの内径ｄよりもかなり小さい直径を備えた実質的に真直ぐなシリンダーを含んでも良く、この真直ぐなシリンダーと保護キャップの内側との間の距離ｐは上に規定した利用可能な間隙距離よりも大きい。この実施例において、内壁と保護キャップ間の距離は大きすぎるので、如何なる液体も吸い込まれることはない。
【００２０】
しかしながら、少なくとも凹所のベースから遠い側では凹所の内壁がベースに向かって前記距離ｐを狭める円錐形状であるのが望ましい。特に、以下に図面でより詳細に説明される後者の設計において、内壁の円錐形状は内壁と保護キャップ間の空間でいかなる気泡の形成も防止する。その区域で生ずる気泡は、それらの表面積の増加が起こることにより容易に崩壊する。
【００２１】
本発明の基礎は、凹所の内壁と保護キャップとの間に液体が吸い込まれないか、あるいは内壁と保護キャップとの間に空間が形成されてそこにいかなる液体も吸い込まれて一時的に貯蔵された後排出されることにある。これらの観点は図面に関する記述で以下により詳細に説明される。
【００２２】
好ましくは、配分器は空気入り口と空気出口を備えたポンプを更に有する。本発明は、現状の空気ポンプがある場合の特別な利点を提供する。例えば噴霧液体または泡沫が配分された後に空気ポンプチャンバーが空にされた時、このチャンバーは外部からの空気で補充されなければならない。もしこの時点において配分器中に水が存在すると、その水が空気入り口を経て空気ポンプチャンバー内に吸い込まれる危険性が高い。このことは空気ポンプの動作を妨害するのみでなく、それはまた空気と液体間の混合比を混乱させる。この混合比は配分されるべき多くの空気／液体について本質的に重要なものである。実際に、このことはいわゆる泡沫形成器に特に当て嵌まる。
【００２３】
泡沫形成器は、泡沫形成手段を有するエアゾールである。泡沫形成手段は、例えば出口通路にある一つ以上の小さなメッシュである。泡沫は空気と液体を混合し、次いでそれをメッシュに通すことによって形成される。もし例えば追加の漏水が空気および液体と混合されるならば、最も深刻な場合には泡沫は何も発生しない。
【００２４】
凹所のベースにおける出口開口部は、水をエアゾールの外側に案内する出口手段と連通している。
【００２５】
本発明によるエアゾールの特別な実施例において、空気ポンプおよび液体ポンプは二つの同心ピストンポンプの組立体として設計される。特に、この種の同心ピストンポンプではポンプ付近の配分器への水の如何なる漏洩も避けられるべきである、ということが絶対的である。これらの総ては図面の記述を通して以下により詳細に説明される。
【００２６】
有利なことに、作動ヘッドの保護キャップの内径は現状のピストンポンプの外形よりも大きい。この方法で、ポンプは水の侵入に対して非常に良く保護される。
【００２７】
好ましくは、本発明による凹所は配分器の一部を形成する。
【００２８】
本発明は更に本発明によるエアゾール用に意図された配分器を提供する。
【００２９】
本発明は添付図面を参照して以下に、より詳細に説明される。
【００３０】
【発明の実施の形態】
図１は、液体容器２および配分器３を有する泡沫配分用のエアゾール１を示す。配分器３は、液体容器２に捻じ込まれる。配分器３は、液体ポンプチャンバー５および液体ポンプピストン６を備えた液体ポンプ４を有する。更に、空気ポンプチャンバー８および空気ポンプピストン９を備えた空気ポンプ７がある。両ピストン６および９は、作動ヘッド１０に結合される。
【００３１】
作動ヘッド１０は配分開口部１１および出口通路１２を有し、泡沫を形成するために出口通路１２に二つの小さなメッシュ１３がある。このヘッド１０は更に環状の保護キャップ１４を有する。
【００３２】
液体容器２の底部に接近して延在し、かつ液体ポンプ４についての入り口として機能する上昇管が１５と表示される。更に液体ポンプ４への入り口は、ボール１６の形式の逆止弁を含む。液体ポンプ４からの出口が１７で示される場所に位置され、この出口は棒状逆止弁構成要素１８によって閉鎖可能である。
【００３３】
空気ポンプ７からの出口は、１９で示される場所に位置される。空気ポンプ７の入り口２３と出口１９を閉鎖したり開放するために使用される二つの環状で弾性を有する密閉リップ２１および２２を有する密閉構成要素が２０で示される。
【００３４】
配分器３は、スプリング２４を有する復帰手段が設けられている。
【００３５】
泡沫形成器が使用中の時、作動ヘッド１０を押すことが可能であり、その結果空気ポンプ７と液体ポンプ４のピストン９と６がそれぞれ下方に移動され、その結果それぞれ対応ピストンチャンバー８と５の容積が低減され、そして空気と液体はいわゆる混合チャンバー２５に配分され、そこで空気と液体は混合され、その混合物は次いで二つの小さなメッシュ１３を通して出口通路１２を通過し、泡沫の形式で配分開口部１１を出る。
【００３６】
泡沫が配分された後、作動ヘッド１０は釈放されてスプリング２４によりその最初の位置に戻る。この帰還移動の間逆止弁１６は開放し、液体ポンプチャンバー５は液体容器２からの液体で満たされ、一方空気ポンプチャンバーは空気で満たされる。
【００３７】
液体容器２用の通気孔開口部が３２で示され、液体容器から取り除かれた液体の量を補償すべく空気を液体容器２の内部に供給するために使用される。漏水もまた、この開口部を経て液体容器２に入ることができる。当然のことながら、このことは望ましくない。
【００３８】
図１に示されたエアゾールは、ベース２８、内壁２９および外壁３０を備える環状凹所２７を更に有する。ベース２８に外部と連通する複数の出口開口部３１がある。内壁２９は、環状間隙２６にまで伸長する。間隙２６が、内壁２９と、出口通路１２の壁４１との間に位置される。本発明による内壁２９は、できるだけ壁４１の付近まで延在することが有利である。
【００３９】
使用の間、保護キャップ１４は凹所２７の中を上下移動する。この場合の空気ポンプの空気入り口開口部２３および通気孔開口部３２は、保護キャップ１４と内壁２９間との間隙２６および間隙３５と３６を経てのみ外部と連通する空間に位置される、ということが明らかである。換言すれば、内壁２９は実質的に出口通路１２の付近で作動ヘッド１０と隣接する。
【００４０】
ベースから遠い側の内壁２９における内壁２９と保護キャップ１４との間の距離ｐと、保護キャップ１４の内径ｄもまた図に示される。
【００４１】
図２は、押下げ位置、すなわち泡沫の配分の間またはその直後における図１のエアゾールを示す。対応構成要素は、同じ参照番号で示される。
【００４２】
もし図２および３に示されるような本発明によるエアゾールにおいて、水が保護キャップ１４に沿って流れるならば、この水は常に凹所２７の中へのみ入り、この凹所のベース２８の中の配分開口部３１を経て外部へ流出できる。水が３５を経て保護キャップに入り、次いで間隙２６を経てポンプの区域に達することは事実上不可能である。
【００４３】
もし使用の間に、エアゾールが図２に示されるように押し下げられるならば、保護キャップ１４と内壁２９によって囲まれた空間は大きさが減少され、空気量は間隙３５および３６と出口開口部３１を経て外部へ押し出される。この空気の一部が空気ピストン９の上の空間の容積の増加を補償するために要求されることは明らかである。しかしながら作動構成要素１０が釈放され、かつそれが静止位置に戻る時、空気は間隙３５を経て吸引される。もしその時点において凹所２７の中に液体があるならば、この凹所内で保護キャップ１４と内壁２９間の空間であって３７で示される位置に液体が集まる。３８で示されるように、内壁２９の局部的な円錐設計により、吸引されるこのような如何なる液体も２６を経て配分器に到達することは決してない。水はそれに続く作動ストロークの間、３５を経て押し出される。しかしながら間隙３５は、吸引された如何なる液体も空間３７から静止位置での出口開口部３１へ流れることができるように、十分に大きいことが好ましい。
【００４４】
図３は本発明によるエアゾール１の好ましい実施例を示し、そこで総ての構成要素は先の図面に示されたものと同一であるが、内壁２９は事実上その全長に亘って円錐設計である。この場合も同様に、もし凹所２７に、円錐内壁２９と保護キャップ１４によって規定される空間の中に液体、例えば水が吸引されて入っても、この液体は２６を経て配分器に到達できない、という相当な利点を提供する。
【００４５】
もし液体に加えて空気も凹所２７中にある液体を通して、例えば出口開口部３１を経て吸引されるならば、発生するいかなる気泡の表面積も、内壁２９の円錐形状によって、これらの気泡が容易に崩壊する程度まで増加される。このことが、図３に示された凹所２７の拡大図を示す図４に明瞭に示される。この図において、気泡の形成およびそれが崩壊する仕方が点線４０で示される。
【図面の簡単な説明】
【図１】中立位置にある本発明によるエアゾールである。
【図２】泡沫配分の間またはその直後の図１に示されたエアゾールである。
【図３】本発明による泡沫配分用エアゾールの別の設計である。
【図４】図３に示された環状凹所の拡大図である。

Claims (7)

1. 液体容器（２）、少なくとも液密な仕方でそれに結合された配分器（１）および空気入り口（２３）および空気出口（１９）を備える空気ポンプ（７）を有するエアゾールであって、該配分器（１）は液体入り口（１５）および液体出口（１７）を備えた液体ポンプ（４）と作動ヘッド（１０）を有し、該作動ヘッド（１０）は出口通路（１２）および液体を配分する配分用開口部（１１）を有すると共に、当該作動ヘッド（１０）は閉じた環状保護キャップ（１４）を更に有し、前記エアゾールは更に、前記保護キャップ（１４）がその中に移動できる、閉鎖内壁（２９）、外壁（３０）およびベース（２８）を有する環状凹所（２７）を有し、前記環状凹所（２７）のベース（２８）付近に一つ以上の出口開口部（３１）があり、前記閉鎖内壁（２９）の上端は前記空気ポンプ（７）の空気入り口（２３）に通じた環状間隙（２６）を形成し、前記空気ポンプ（７）の空気出口（１９）から押し出された空気と前記液体ポンプ（４）の液体出口（１７）から押し出された液体とを混合して泡沫状の液体を配分するエアゾールにおいて、前記凹所（２７）の形状は、ベース（２８）から遠い側で、前記内壁（２９）が前記保護キャップ（１４）から半径方向で距離ｐにあり、前記距離ｐは前記内壁（２９）に対する前記保護キャップ（１４）の通常の間隙距離よりも大きく、かつ、前記凹所（２７）の内壁（２９）は、少なくとも前記凹所（２７）の前記ベース（２８）から遠い側で、前記ベース（２８）に向かって前記距離ｐを狭める円錐形状であることを特徴とするエアゾール。
2. 前記距離ｐは少なくとも２ｍｍであることを特徴とする請求項１に記載のエアゾール。
3. 前記距離ｐは前記保護キャップ（１４）の内径ｄの０．１倍以上である、ことを特徴とする請求項１に記載のエアゾール。
4. 前記空気ポンプ（７）および前記液体ポンプ（４）は二つの同心ピストンポンプの組立体として設計されることを特徴とする請求項１に記載のエアゾール。
5. 前記作動ヘッド（１０）の前記保護キャップ（１４）の内径は従来のピストンポンプの外形よりも大きいことを特徴とする先の請求項１から４のいずれか一つ以上に記載のエアゾール。
6. その凹所（２７）はその配分器（１）の一部を形成することを特徴とする請求項１から５の一つ以上に記載のエアゾール。
7. 請求項１から６の一つ以上に記載のエアゾール用に用いられる配分器。

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