JP4522402B2 - リード線結線構造及びその形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は複数のリード線の芯線に接続線を接続するためのリード線結線構造に関し、特に回転電機用固定子の巻線の引き出し線をリード線の芯線に接続するのに好適な回転電機用固定子のリード線結線構造及びその形成方法に関するものである。
従来のモータ等の回転電機用固定子は、環状のヨークの周方向に間隔をあけて複数の磁極部が設けられた固定子コアと、固定子コアの複数の磁極部に巻装される一相以上の巻線と、固定子コアと巻線との間を電気的に絶縁するために固定子コアに装着される絶縁樹脂製のスロットインシュレータと、スロットインシュレータに対して一相以上の巻線の2本以上の引き出し線にそれぞれ接続される外部接続用の2本以上のリード線を保持させるためのリード線保持構造部とを有している。
従来のモータの回転電機用固定子のリード線保持構造部では.金属ピンを固定しこの金属ピンを介して電機子巻線とリード線を半田付けまたはかしめ等により接続していた。またプリント基板を介して電機子巻線とリード線を半田付けまたはかしめ等により接続していた。また、モータ巻線のコイルエンドに、リード線が固定されたモールド成形部品(結線板)を固定し、このリード線に電機子巻線を巻きつけ半田付けにより接続していた。
従来の回転電機用固定子のリード線保持構造部では、金属ピンまたはプリント基板等の介在物を必要とするため、余分な部品および部品取り付けのための作業、設備が必要であった。また、モールド成形部品にリード線を固定する場合、リード線をU字に通過させリード線を固定するため生産性が悪かった。
本発明の目的は、簡単にリード線を保持させることができて、しかもリード線の芯線に接続線を簡単に接続させることができるリード線結線構造を提供することにある。
本発明の他の目的は、部品数の少ないリード線結線構造を提供することにある。
本発明の他の目的は、回転電機用固定子の巻線の引き出し線をリード線の芯線に接続することが容易な回転電機用固定子のリード線結線構造及びその形成方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、半田付けを必要とすることなく、引き出し線とリード線の芯線とを接続することができるリード線結線構造及びその形成方法を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、生産の自動化が容易なリード線結線構造及びその形成方法を提供することにある。
本発明は、2本以上のリード線を保持するリード線保持構造部に保持された2本以上のリード線の芯線に接続線を接続するのに用いるリード線結線構造を改良の対象とする。より具体的なレベルでは、環状のヨークの内周部に周方向に間隔をあけて複数の磁極部が設けられた固定子コアと、固定子コアの複数の磁極部に巻装される一相以上の巻線と、固定子コアと巻線との間を電気的に絶縁するために固定子コアに装着される絶縁樹脂製のスロットインシュレータと、スロットインシュレータに対して一相以上の巻線の2本以上の引き出し線がそれぞれ接続される外部接続用の2本以上のリード線を保持させるためのリード線保持構造部とを具備する回転電機用固定子のリード線結線構造を改良の対象とする。
本発明のリード線結線構造では、リード線保持構造部を、2本以上のリード線の芯線の一端を露出させた状態で且つ2本以上のリード線の端部を所定の間隔をあけて並べた状態で保持する合成樹脂製のリード線保持ブッシュと、リード線保持ブッシュが嵌合されるブッシュ嵌合用凹部を備えたブッシュ嵌合部とから構成する。回転電機用固定子に適用する場合には、ブッシュ嵌合部をスロットインシュレータに一体に形成する。リード線保持ブッシュ及びブッシュ嵌合部は、リード線保持ブッシュがブッシュ嵌合用凹部に嵌合された状態で、2本以上のリード線の芯線の一端の基部がリード線保持ブッシュの一部及びブッシュ嵌合部の一部によって挟持された状態になるように構成されている。
このようにすると、基本的には、嵌め合わせるという作業で、リード線を保持させることができる上、リード線の芯線を接続線が接続し易い状態で位置決め保持することができる。特に、リード線の露出する芯線の基部をしっかりと保持できるため、芯線に接続線を接続する際の作業性が向上する。また多品種の回転電機用固定子を製造するに際して回転電機用固定子のリード線の結合部分の構造を共通化し、部品を共通化することによって安価にリード線の結合を行うことができる。
より具体的には、2本以上のリード線の芯線の一端が、それぞれリード線保持ブッシュの芯線の一端が露出する第1の端面に添って曲げられており、リード線保持ブッシュがブッシュ嵌合用凹部に嵌合された状態で、芯線の一端の基部がブッシュ嵌合用凹部の内壁面と第1の端面との間に挟持され、芯線の一端の先端がリード線保持ブッシュのブッシュ嵌合用凹部の底面と対向する第1の側面とは反対側に位置する第2の側面を越えて延び出ているようにする。
このようにするとリード線を曲げてきつく挟持するので、リード線の他端から引き抜き力が加わっても、リード線がリード線ブッシュから抜け出ることがない。そのためリード線ブッシュとリード線とを一体化させない構造を採用することも可能である。また、この構造を採用すると、リード線の先端が回転電機用固定子の主要部に対して決まった位置に位置決めされるので、引き出し線をリード線の芯線に接続する際の作業が容易になる。
引き出し線とリード線の芯線との結線は、半田付けにより行ってもよいが、その他の種々の方法で行うことができる。例えば、1本以上の引き出し線と対応するリード線の芯線の先端とが同じ方向に延びるように並べられた状態で、かしめにより変形した被かしめ具によりこれらを束ねて、引き出し線と芯線とを結線することができる。このようにすれば、半田を用いる必要がなくなるため、半田レス化の要求に応えることができて、しかも結線の自動化が容易になる利点がある。
リード線保持ブッシュの構造は任意であるが、次の構造にすると、手作業でも簡単にリード線をリード線保持ブッシュに取り付けることができる。このリード線保持ブッシュは、前述の第1の端面及びこの第1の端面とは反対側に位置する第2の端面並びに前述の第1の側面に向かってそれぞれ開口する2個以上のリード線挿入用スリットを備えている。
前記2個以上のリード線挿入用スリットは、所定の間隔をあけて並行に延びるようにそれぞれ形成されており、そして2個以上のリード線挿入用スリットは、その入口部分の幅寸法が、リード線の芯線の直径寸法よりも僅かに大きく形成されている。そしてこのスリットの入口部分につながる底側部分は、入口部分の幅寸法と実質的に同じ幅寸法を有して第1の端面側から第2の端面に向かう途中まで存在する第1の底部部分と、リード線の絶縁被覆部の直径寸法と同一またはそれよりも僅かに大きい直径寸法を有し、第1の底部部分から第2の端面側に向かって延びて,第1の底部部分との間に段部を形成するように形成された第2の底部部分とから構成されている。このようにすると1本のリード線をリード線保持ブッシュに取り付ける場合には、まずリード線の芯線の先端が第1の端面から延び出るようにして、リード線の芯線をスリットの入口部分からスリット内部に挿入する。次に、リード線の絶縁被覆部をスリットの第2の底部部分の第2の端面に開口する開口部からスリットの内部に挿入する。第1の底部部分と第2の底部部分との間の段部に絶縁被覆部が当接するまで、リード線をスリット内に押し込む。この作業により、1本のスリットの内部に簡単にリード線を挿入することができる。
更に、リード線保持ブッシュがブッシュ嵌合用凹部に嵌合された状態で、第1の端面と第1の端面が対向するブッシュ嵌合用凹部の内壁面に開口するように、2本以上のリード線の芯線の一端の基部が嵌合される2以上の嵌合溝が形成されるようにしてもよい。このようにするとリード線の芯線をブッシュ嵌合部とブッシュ嵌合用凹部の隙間の嵌合溝で決められる位置に挟持することができる。またリード線を強く挟持すれば、リード線の他端から引っ張ってもリード線が抜けないようになる。
更に、リード線保持ブッシュがブッシュ嵌合用凹部に嵌合された状態で、第1の端面と第1の端面が対向するブッシュ嵌合用凹部の内壁面の一方に開口するように、2本以上のリード線の芯線の一端の基部が嵌合される2以上の嵌合溝が形成されていてもよい。
リード線保持ブッシュをブッシュ嵌合用凹部に嵌合した状態で両者を固定状態にするためには、両者を溶着により接合する溶着技術や、接着剤を用いる接着技術を用いることができる。また係合構造を用いてリード線保持ブッシュがブッシュ嵌合用凹部から抜け出ないようにしてもよい。しかし溶着技術や接着技術を用いると設備と時間を要する。また係合構造を用いる場合には、抜け難くすればするほど、リード線保持ブッシュをブッシュ嵌合用凹部に嵌合させる際に強い力が必要になるため、作業性が悪くなる問題がある。そこでブッシュ嵌合部のブッシュ嵌合用凹部を含む突出部分が、固定子コアの外周面を越えて径方向外側に突出している場合には、次のような構造を採用するのが好ましい。まず両端が開口部を有する筒形状を呈しているカップリング部材を用意する。そしてこのカップリング部材を、一方の開口部から突出部分が内部空間に挿入され、他方の開口部から2本以上のリード線が引き出されるように突出部分に嵌合する。このようなカップリング部材を用いると、リード線にリード線保持ブッシュをブッシュ嵌合用凹部から引き上げるような力が加わったとしても、カップリング部材が抜け止め機能を果たすため、嵌合という作業だけで、リード線保持ブッシュのブッシュ嵌合用凹部内への固定と抜け止めを実現することができる。
本発明のリード線保持構造部を具備する回転電機用固定子のリード線結線構造の形成方法は、例えば、次のように行う。まず、2本以上のリード線の芯線の一端を露出させた状態で且つ2本以上のリード線の端部を所定の間隔をあけて並べた状態で保持する合成樹脂製のリード線保持ブッシュと、スロットインシュレータに一体に形成されたブッシュ嵌合用凹部とを嵌合して、2本以上のリード線の芯線の一端の基部をリード線保持ブッシュの一部及びブッシュ嵌合部の一部によって挟持する。次に、結線されるべき巻線から延びる1本以上の引き出し線と対応するリード線の芯線の先端とが同じ方向に延びるように並べる。そして、並んだ1本以上の引き出し線と芯線の先端とに対応して被かしめ具を配置する。次に、この被かしめ具をかしめて1本以上の引き出し線と芯線の先端とを束ねて、引き出し線と芯線とを結線する。その後、引き出し線の端部の長さが長い場合には、必要に応じて被かしめ具から延び出る引き出し線の端部を切断する。引き出し線の端部の長さが短い場合には、この切断作業は不要である。
自動化をするためには、まず、リード線の数に等しい数の被かしめ具が接続部を介してリードフレームに接続された被かしめ具連結フレームを用意する。そして、結線されるべき複数のリード線の芯線の先端と対応する1本以上の引き出し線とをそれぞれ並べ、被かしめ具連結フレームの複数の被かしめ具を並んだ芯線の先端と1本以上の引き出し線とに対応させて配置する。次に、複数の被かしめ具をそれぞれかしめて1本以上の引き出し線と芯線の先端とを束ねて、引き出し線と芯線とを結線する。その後、各被かしめ具から延び出る引き出し線の端部と被かしめ具連結フレームの接続部とを一緒に切断する。
このように被かしめ具連結フレームを用いて引き出し線と芯線とを結線して、リード線結線構造を形成すれば、リード線結線構造を自動化ラインにより連続して形成することができ、回転電機用固定子の量産を容易に行うことができる。
被かしめ具は、一対の被かしめ部を有しており、一対の被かしめ部は、かしめられた状態で相互に重なり合わないように構成するのが好ましい。このようにすれば、引き出し線と芯線とを強い力で束ねることができる上、かしめを容易に行うことができる。
本発明によれば、リード線を曲げてきつく挟持するので、リード線の他端から引き抜き力が加わっても、リード線がリード線ブッシュから抜け出ることがないので、リード線ブッシュとリード線とを一体化させない構造を採用して、しかもリード線の芯線をしっかりと位置決め固定することができる。したがってリード線の芯線に対するリード線の接続作業が容易になる利点がある。
以下図面を参照して、本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1(A)は、本発明のリード線結線構造を備えた回転電機用固定子の平面図を示しており、図1(B)は、図1(A)の回転電機用固定子を図1のB−B線に沿って一部切欠いた状態の一部切欠き正面図である。なお図1には、巻線から伸びる引き出し線(接続線)の図示は省略してある。また図2(A)乃至(C)は、リード線結線構造の要部を説明するための図である。これらの図において、回転電機用固定子の固定子コア1は、環状のヨーク3の内周部に周方向に間隔をあけて複数の磁極部5が設けられた構造を有している。固定子コア1の複数の磁極部5には、一相以上の巻線7が巻装されている。そして絶縁樹脂製のスロットインシュレータ9が、固定子コア1と巻線7との間を電気的に絶縁するために固定子コア1に装着されている。通常スロットインシュレータ9は、固定子コア1に固定子コア1の両側から嵌合された状態で、固定子コア1の両端面と、複数の磁極部5の磁極面を除く部分の表面と、固定子コア1のヨーク3の内周面を覆うように構成された一対のインシュレータ分割体とによって構成されている。
リード線保持構造部11は、スロットインシュレータ9を構成する一対のインシュレータ分割体の一方の固定子コア1の端面を覆う端面被覆部9aに対して固定されて、二相の巻線7からそれぞれ引き出される8本の引き出し線13が接続される6本の外部接続用のリード線15を保持する。本実施の形態では、一列に並ぶ6本の外部接続用のリード線15の芯線15aの外側に位置する2本の芯線15aに2本の引き出し線13がそれぞれ接続され、その他の内側に位置する4本の芯線15aに1本の引き出し線13がそれぞれ接続されている(図2(C)参照)。リード線保持構造部11は、リード線保持ブッシュ17と、ブッシュ嵌合部19とから構成されている。
図2(A)及び(C)に、リード線保持ブッシュ17と、ブッシュ嵌合部19の概略拡大斜視図を示してある。リード線保持ブッシュ17は、インシュレータ部材と同様の合成樹脂材料により一体に成形されている。リード線保持ブッシュ17は、6本のリード線15の芯線15aの一端を露出させた状態で、しかも6本のリード線15の端部の絶縁被覆部15bを所定の間隔をあけて並べた状態で保持する構造を有している。リード線保持ブッシュ17は、第1の端面17a及び第1の端面17aとは反対側に位置する第2の端面17bと、第1の側面17c及び第2の側面17d等を有している。そしてリード線保持ブッシュ17は、第1及び第2の端面17a及び17b並びに第1の側面17cに向かってそれぞれ開口する6本のリード線挿入用スリット23を備えている。これら6本のリード線挿入用スリット23は、所定の間隔をあけて並行に延びるようにそれぞれ形成されている。
図3(A)及び(B)は、ブッシュ嵌合部19に嵌合される以前の状態のリード線保持ブッシュ17にリード線15を保持させるときの状態を説明するために用いる拡大断面図である。図3(C)及び(D)は、図3(B)のC−C線断面図及びD−D線部分断面図である。各リード線挿入用スリット23は、その入口部分23aの幅寸法が、リード線15の芯線15aの直径寸法よりも僅かに大きく形成されている。入口部分23aは、リード線保持ブッシュ17の第1の端面17aから第2の端面17bまで連続して延びている。そしてこのスリット23の入口部分23aにつながる底側部分は、第1の底部部分23bと第2の底部部分23cとから構成されている。第1の底部部分23bは、入口部分23aの幅寸法と実質的に同じ幅寸法を有して第1の端面17a側から第2の端面17bに向かう途中まで存在し、第2の底部部分23cはリード線15の絶縁被覆部15bの直径寸法と同一またはそれよりも僅かに大きい直径寸法を有し、第1の底部部分23bから第2の端面17b側に向かって延びている。第1の底部部分23bと第2の底部部分23cとの間には、段部23dが形成されている。このようなスリット23を形成しておくと、1本のリード線15をリード線保持ブッシュ17に保持させる場合には、まず図3(A)に示すように、リード線15の芯線15aの先端が第1の端面17aから延び出るようにして、リード線15の芯線15aをスリット23の入口部分23aからスリット23内部に挿入する。次に、図3(B)に示すようにリード線15の絶縁被覆部15bをスリット23の第2の底部部分23cの第2の端面17bに開口する開口部からスリット23の内部に挿入する。第1の底部部分23bと第2の底部部分23cとの間の段部23dに絶縁被覆部15bが当接するまで、リード線15をスリット23内に押し込む。この作業により、1本のスリット23の内部に簡単にリード線15を挿入することができる。リード線保持ブッシュ17のすべてのスリット23に、リード線15を挿入した状態が図2(A)に示す状態である。
図2(B)は、ブッシュ嵌合部19を含む部分の斜視図である。図2(B)において、ブッシュ嵌合部19は、スロットインシュレータ9に一体に形成され、リード線保持ブッシュ17が嵌合されるブッシュ嵌合用凹部21を備えている。ブッシュ嵌合部19は、固定子コア1の端面側に位置する底壁部19aと、この底壁部19aの周縁部から起立する起立壁部19bとを備えている。そして起立壁部19bには、固定子コア1の外周面から離れる方向に開口する切欠き部またはリード線受け入れ凹部19eが形成されている。この凹部19eは、ブッシュ嵌合用凹部21にリード線保持ブッシュ17が嵌合される際に、第2の端面17dから延び出る6本のリード線15の一部を受け入れる。この凹部19eの両側には、抜け止め用の一対の壁部19dが残っている。ブッシュ嵌合用凹部21は、リード線保持ブッシュ17がきつく嵌合する形状寸法を有している。
図2(C)は、リード線保持ブッシュ17がブッシュ嵌合部19に嵌合された状態の斜視図を示す。図2(C)において、リード線保持ブッシュ17及びブッシュ嵌合部19は、リード線保持ブッシュ17がブッシュ嵌合用凹部21に嵌合された状態で、6本のリード線15の芯線15aの第1の端面17aから露出する端部の基部15cが、リード線保持ブッシュ17の第1の端面17aとブッシュ嵌合部19の起立壁部19bの一部との間に挟持された状態になるように構成されている。なおこの例では、リード線保持ブッシュ17の第1の端面17a及びブッシュ嵌合部19の起立壁部19bのリード線保持ブッシュ17と対向する内壁面に開口するように、それぞれリード線15の芯線15aの一部(ほぼ半分ずつ)が嵌合される嵌合溝17e及び19cがそれぞれ形成されている。
図2(A)に示すように各リード線15の芯線15aが真っ直ぐに伸びた状態で、そのままリード線保持ブッシュ17をブッシュ嵌合用凹部21に嵌合する。そうすると、各リード線15の芯線15aは、その嵌合の過程において、起立壁部19bの角部との接触で曲げられて嵌合溝17e及び19cの内部に入り込む。見方を変えると、6本のリード線15の芯線15aは、それぞれリード線保持ブッシュ17の第1の端面17aに添って曲げられて、芯線15aの基部15cはブッシュ嵌合用凹部21の内壁面21aと第1の端面17aとの間に挟持されている。芯線15aの一端の先端はリード線保持ブッシュ17のブッシュ嵌合用凹部21の底面21bと対向する第1の側面17cとは反対側に位置する第2の側面17dを越えて延び出ている。そしてこの第2の側面17dを越える芯線15bの部分に、巻線の引き出し線13が巻きつけられて半田付け接続される。
図4(A)及び(B)は、リード線保持ブッシュ17の第1の端面17aとブッシュ嵌合用凹部21の内壁面21aとの間でリード線15の芯線を挟持する場合に、第1の端面17aと内壁面21aに開口するように形成する嵌合溝の変形例を示している。図4(A)の例では、リード線保持ブッシュ17の第1の端面17aのみに開口するように複数の嵌合溝17eを形成し、内壁面21aに開口するように嵌合溝を形成していない。これに対して図4(B)の例では、リード線保持ブッシュ17の第1の端面17aに開口するように嵌合溝を形成せず、内壁面21aにのみ開口するように複数の嵌合溝19cを形成している。図4(B)の構成が、実用上は適している。
リード線保持ブッシュ17をブッシュ嵌合用凹部21に嵌合した状態で両者を固定状態にするためには、両者を溶着により接合したり、または接着剤を用いて接合してもよい。図5に示すようなカップリング部材25を用いれば、溶着技術や接着技術を用いることなく、リード線保持ブッシュ17のブッシュ嵌合用凹部21からの抜け止めを図ることができる。図1の例では、ブッシュ嵌合部19のブッシュ嵌合用凹部21を含む突出部分22が、固定子コアの外周面を越えて径方向外側に突出している。カップリング部材25は、両端が開口部を有する筒形状を呈している。そしてこのカップリング部材25を、一方の開口部25aから突出部分22が内部空間に挿入される他方の開口部から2本以上のリード線が引き出されるように突出部分22に嵌合する。図6は、カップリング部材25を突出部分22に嵌め込んだ状態を示している。このようなカップリング部材25を用いると、リード線15にリード線保持ブッシュ17をブッシュ嵌合用凹部21から引き上げるような力が加わったとしても、カップリング部材25が抜け止め機能を果たすため、嵌合という作業だけで、リード線保持ブッシュ17のブッシュ嵌合用凹部21内への固定と抜け止めを実現することができる。
上記に示す実施の形態では、芯線15aの一端の先端に、巻線の引き出し線13を巻きつけて両者を半田付け接続したが、以下に説明するような被かしめ具を用いて引き出し線と芯線とを結線することもできる。以下、被かしめ具を用いてリード線結線構造を形成する方法を説明する。まず、図7(A)〜(C)に示す被かしめ具連結フレーム101を用意する。この被かしめ具連結フレーム101は、リード線15の数に等しい数(6個)の被かしめ具103…が接続部105…を介してリードフレーム107に接続された構造を有している。被かしめ具連結フレーム101は、金属板をプレス加工して形成したものである。被かしめ具103は、一対の被かしめ部103a,103cと一対の被かしめ部103a,103cを連結する湾曲部103bとを有している。一対の被かしめ部103a,103cは、ほぼ直角三角形の形状を有しており、湾曲部103b側の一端から他端に向かって幅が狭くなるように湾曲部103bに連結されている。一対の被かしめ部103a,103cは、湾曲部103bから離れるに従って相手方の被かしめ部から離れるように広がった状態になっている。そして一方の被かしめ部103aと他方の被かしめ部103cとは、傾斜面の向きが逆になるように配置され、後述するように被かしめ具103がかしめられた状態で両者は相互に重なり合わないように構成されている。
次に図8(A)及び(B)に示すように、6本のリード線45…の芯線45a…の先端と対応する引き出し線43…とを同じ方向に延びるようにそれぞれ並べる。そして、一対の被かしめ部103a,103c及び湾曲部103bで芯線45aの先端及び引き出し線43を囲むように、並んだ芯線45a…の先端と引き出し線43…とに対応させて被かしめ具103…を配置する。なお、図8(A)及び(B)に示す固定子コア31及びスロットインシュレータ39は、図1に示すものと異なった形状を有しているが、機能的には、図1に示すものと同様である。また、本図に示すリード線保持ブッシュ47には、後述する芯線45a…に対応するように、リード線挿入用スリット53が延びる方向と芯線45a…が突出する方向(図8(B)に向かって上方)に開口する6本の溝47a…が形成されている。しかしながら、その他の構成は図1に示すリード線保持ブッシュ17と同様の構成を有している。次に、被かしめ具103…を図示しない適宜なかしめ装置によりかしめて変形して引き出し線43…と芯線45a…の先端とを束ねる。
次に、被かしめ具103…から延び出る引き出し線43…の端部と被かしめ具連結フレーム101の接続部105…を一緒に切断して、図9に示すような結線を完了する。引き出し線43…と芯線45a…の先端との束は、必要に応じて折り曲げて、リード線保持ブッシュ47の6本の溝47a…内に収納することができる。
なお、本実施の形態では、複数本の引き出し線43…と複数本の芯線45a…の先端とを6個の被かしめ具103…を用いてそれぞれ同時に束ねて結線しているが、結線されるべき1本以上の引き出し線と1本の芯線の先端とを上記に示すような被かしめ具103で1つずつ個別に束ねて結線してもよいのは勿論である。
また、上記に示す各実施の形態では、リード線保持構造部は固定子コアの端面上に位置して、スロットインシュレータと一体に形成され、固定子コアの端面に向かう方向からリード線保持ブッシュが挿入されて嵌合されるブッシュ嵌合用凹部を備えたブッシュ嵌合部とから構成されている。しかしながら、本発明はリード線保持構造部が固定子コアの端面上に配置されるものだけに限られるものではない。
(A)及び(B)は、本発明のリード線結線構造を回転電機用固定子に適用した実施の形態の一例の平面図と一部切欠き正面図である。 (A)はリード線保持ブッシュの斜視図、(B)はブッシュ保持部の斜視図、(C)はリード線保持ブッシュをブッシュ嵌合用凹部に嵌合させた状態の斜視図である。 (A)及び(B)は、それぞれリード線保持ブッシュのリード線挿入用スリットにリード線を挿入して保持させる構造を説明するために用いる図である。(C)及び(D)は、(B)のC−C線断面図及びD−D線断面図である。 (A)及び(B)はリード線嵌合溝の形成例の変形例をそれぞれ示す図である。 カップリング部材を用いて抜け止めを図る構造を示す分解斜視図である。 カップリング部材を嵌合した状態を示す斜視図である。 (A)〜(C)は、本発明の他の実施の形態のリード線保持構造部の形成方法に用いる被かしめ具連結フレームの正面図、裏面図及び側面図である。 (A)及び(B)は、本発明のリード線結線構造を回転電機用固定子に適用した実施の形態の他の例の平面図と一部切欠き正面図である。 図8に示すリード線結線構造の引き出し線と芯線の先端との結線部分の斜視図である。
符号の説明
1 固定子コア
3 ヨーク
5 磁極部
7 巻線
9 スロットインシュレータ
11 リード線保持構造部
13 引き出し線
15 リード線
15a リード線の芯線
17 リード線保持ブッシュ
17a 第1の端面
17b 第2の端面
17c 第1の側面
19 ブッシュ嵌合部
21 ブッシュ嵌合用凹部
23 リード線挿入用スリット
101 被かしめ具連結フレーム
103 被かしめ具
103a,103c 被かしめ部
105 接続部
107 リードフレーム

Claims (6)

  1. 芯線と該芯線を被覆する絶縁被覆部とを有する2本以上のリード線を保持するリード線保持構造部に保持された前記2本以上のリード線の前記芯線に接続線が接続されてなるリード線結線構造であって、
    前記リード線保持構造部は、
    2本以上のリード線の前記芯線の一端を露出させた状態で且つ前記2本以上のリード線の端部を所定の間隔をあけて並べた状態で保持する合成樹脂製のリード線保持ブッシュと、
    前記リード線保持ブッシュが嵌合されるブッシュ嵌合用凹部を備えたブッシュ嵌合部とからなり、
    前記リード線保持ブッシュ及び前記ブッシュ嵌合部は、前記リード線保持ブッシュが前記ブッシュ嵌合用凹部に嵌合された状態で、前記2本以上のリード線の前記芯線の一端の基部が前記リード線保持ブッシュの一部及び前記ブッシュ嵌合部の一部によって挟持された状態になるように構成されていることを特徴とするリード線結線構造。
  2. 環状のヨークの内周部に周方向に間隔をあけて複数の磁極部が設けられた固定子コアと、前記固定子コアの複数の磁極部に巻装される一相以上の巻線と、前記固定子コアと巻線との間を電気的に絶縁するために前記固定子コアに装着される絶縁樹脂製のスロットインシュレータと、前記スロットインシュレータに対して前記一相以上の巻線の2本以上の引き出し線がそれぞれ接続される外部接続用の2本以上のリード線を保持させるためのリード線保持構造部とを具備し、
    前記リード線が、芯線と該芯線を被覆する絶縁被覆部とを有している回転電機用固定子のリード線結線構造であって、
    前記リード線保持構造部は、
    前記2本以上のリード線の前記芯線の一端を露出させた状態で且つ前記2本以上のリード線の端部を所定の間隔をあけて並べた状態で保持する合成樹脂製のリード線保持ブッシュと、
    前記スロットインシュレータに一体に形成され、前記リード線保持ブッシュが嵌合されるブッシュ嵌合用凹部を備えたブッシュ嵌合部とからなり、
    前記リード線保持ブッシュ及び前記ブッシュ嵌合部は、前記リード線保持ブッシュが前記ブッシュ嵌合用凹部に嵌合された状態で、前記2本以上のリード線の前記芯線の一端の基部が前記リード線保持ブッシュの一部及び前記ブッシュ嵌合部の一部によって挟持された状態になるように構成されていることを特徴とする回転電機用固定子のリード線結線構造。
  3. 前記ブッシュ嵌合部の前記ブッシュ嵌合用凹部を含む突出部分が、前記固定子コアの外周面を越えて径方向外側に突出しており、
    両端に開口部を有する筒形状を呈していて、一方の前記開口部から前記突出部分が内部空間に挿入され他方の前記開口部から前記2本以上のリード線が引き出されるように前記突出部分に嵌合されるカップリング部材を備えている請求項2に記載のリード線結線構造。
  4. 環状のヨークの内周部に周方向に間隔をあけて複数の磁極部が設けられた固定子コアと、前記固定子コアの複数の磁極部に巻装される一相以上の巻線と、前記固定子コアと巻線との間を電気的に絶縁するために前記固定子コアに装着される絶縁樹脂製のスロットインシュレータと、前記スロットインシュレータに対して前記一相以上の巻線の2本以上の引き出し線がそれぞれ接続される外部接続用の2本以上のリード線を保持させるためのリード線保持構造部とを具備し、前記リード線が、芯線と該芯線を被覆する絶縁被覆部とを有している回転電機用固定子のリード線結線構造の形成方法であって、
    前記2本以上のリード線の芯線の一端を露出させた状態で且つ前記2本以上のリード線の端部を所定の間隔をあけて並べた状態で保持する合成樹脂製のリード線保持ブッシュと、前記スロットインシュレータに一体に形成されたブッシュ嵌合部のブッシュ嵌合用凹部とを嵌合して、前記2本以上のリード線の前記芯線の一端の基部を前記リード線保持ブッシュの一部及び前記ブッシュ嵌合部の一部によって挟持し、
    結線されるべき1本以上の前記引き出し線と対応する前記リード線の芯線の先端とを同じ方向に延びるように並べ、被かしめ具を並んだ前記1本以上の引き出し線と前記芯線の先端とに対応して配置し、前記被かしめ具をかしめて前記1本以上の引き出し線と前記芯線の先端とを束ねて、前記引き出し線と前記芯線とを結線し、
    その後、必要に応じて前記被かしめ具から延び出る前記引き出し線の端部を切断することを特徴とする回転電機用固定子のリード線結線構造の形成方法。
  5. 環状のヨークの内周部に周方向に間隔をあけて複数の磁極部が設けられた固定子コアと、前記固定子コアの複数の磁極部に巻装される一相以上の巻線と、前記固定子コアと巻線との間を電気的に絶縁するために前記固定子コアに装着される絶縁樹脂製のスロットインシュレータと、前記スロットインシュレータに対して前記一相以上の巻線の2本以上の引き出し線がそれぞれ接続される外部接続用の2本以上のリード線を保持させるためのリード線保持構造部とを具備し、前記リード線が、芯線と該芯線を被覆する絶縁被覆部とを有している回転電機用固定子のリード線結線構造の形成方法であって、
    前記2本以上のリード線の芯線の一端を露出させた状態で且つ前記2本以上のリード線の端部を所定の間隔をあけて並べた状態で保持する合成樹脂製のリード線保持ブッシュと、前記スロットインシュレータに一体に形成されたブッシュ嵌合部のブッシュ嵌合用凹部とを嵌合して、前記2本以上のリード線の前記芯線の一端の基部を前記リード線保持ブッシュの一部及び前記ブッシュ嵌合部の一部によって挟持し、
    前記リード線の数に等しい数の被かしめ具が接続部を介してリードフレームに接続された被かしめ具連結フレームを用意し、
    結線されるべき複数の前記リード線の芯線の先端と対応する1本以上の前記引き出し線とをそれぞれ並べ、前記被かしめ具連結フレームの前記複数の被かしめ具を並んだ前記芯線の先端と前記1本以上の引き出し線とに対応させて配置し、前記複数の被かしめ具をかしめて前記1本以上の引き出し線と前記芯線の先端とを束ねて、前記引き出し線と前記芯線とを結線し、
    その後、前記被かしめ具から延び出る前記引き出し線の端部と前記被かしめ具連結フレームの前記接続部を一緒に切断することを特徴とする回転電機用固定子のリード線結線構造の形成方法。
  6. 前記被かしめ具は、一対の被かしめ部を有しており、前記一対の被かしめ部は、かしめられた状態で相互に重なり合わないように構成されている請求項4または5に記載の回転電機用固定子のリード線結線構造の形成方法。
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