JP4521849B2 - コンデンサ用ニオブ粉と該ニオブ粉を用いた焼結体および該焼結体を用いたコンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、単位重量あたりの容量が大きく、高温特性の良好なコンデンサを製造することが可能なコンデンサ用ニオブ粉、該ニオブ粉を用いた焼結体および該焼結体を用いたコンデンサに関するものである。
【0002】
【背景技術】
携帯電話やパーソナルコンピューター等の電子機器に使用されるコンデンサは小型大容量のものが望まれている。このようなコンデンサの中でもタンタルコンデンサは、大きさの割には容量が大きく、しかも性能が良好なため、好んで使用されている。このタンタルコンデンサの陽極体としてタンタル粉の焼結体が一般的に使用されている。タンタルコンデンサの容量を上げるためには、焼結体重量を増大させるか、又はタンタル粉を微細化して表面積を増加させた焼結体を用いる必要がある。
【0003】
前者の焼結体重量を増加させる方法では、コンデンサの形状が必然的に増大し小型化の要求を満たさない。一方、後者のタンタル粉を微細化して表面積を増加する方法では、タンタル焼結体の細孔径が小さくなり、又焼結段階で閉鎖孔が多くなり、後工程における陰極剤の含浸が困難になる。これらの欠点を解決する研究の1つとして、タンタルより誘電率の大きい材料を用いた、粉焼結体のコンデンサが考えられている。これらの誘電率の大きい材料としてニオブがある
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの材料から作製した焼結体を用いたコンデンサは、高温特性が不十分で実用に供されていない。室温時の初期の容量C0と、コンデンサを105℃雰囲気中電圧印加した状態で2000時間放置した後、室温に戻した時の容量Cとの比、(C−C0)/C0を高温特性と定義する。焼結体を電解酸化した後、他方の電極を組み合わせてコンデンサを製造した時、タンタル粉末を使用した場合、高温特性は、通常±20%以内に収まるのに対し、従来のニオブ粉を使用した場合では、±20%以内に入らないものが出現することがあった。
【0005】
このように、ニオブ粉を用いたコンデンサは、室温での信頼性も低く見積もらざるを得ず、その結果、耐用年数不良と判断され実用化されなかった。
本発明に関連する技術として、五酸化二ニオブ(Nb2O5)を水素存在下で熱処理して一部を還元した酸化ニオブを用いた、容量が大きく漏れ電流特性に優れたコンデンサが提案されている(WO 00/15555号公報)。しかし、本発明者らが追試して得た酸化ニオブからコンデンサを作製して高温で加速試験を行ったところコンデンサ性能の劣化が見られ満足できるものではなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、ニオブ焼結体の原料ニオブ粉として一酸化ニオブ結晶および一酸化六ニオブ結晶を含有するニオブ粉体を使用することにより、高温特性の良好なコンデンサが得られることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、以下のコンデンサ用ニオブ粉、焼結体及びその焼結体を用いたコンデンサを提供するものである。
【0007】
1.一酸化ニオブ結晶を0.05〜20質量%および一酸化六ニオブ結晶を0.05〜20質量%含有することを特徴とするコンデンサ用ニオブ粉。
2.一部が窒化されたニオブ粉を含有する前記1に記載のコンデンサ用ニオブ粉。
3.前記1または2に記載のコンデンサ用ニオブ粉を用いた焼結体。
4.前記3に記載の焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた他方の電極とから構成されるコンデンサ。
5.誘電体の主成分が酸化ニオブである前記4に記載のコンデンサ。
6.酸化ニオブが、電解酸化により形成されたものである前記5に記載のコンデンサ。
7.他方の電極が、電解液、有機半導体、および無機半導体から選ばれた少なくとも一種の材料である前記4乃至6のいずれかに記載のコンデンサ。
【0008】
8.他方の電極が有機半導体からなり、該有機半導体がベンゾピロリン4量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、下記一般式(1)または(2)
【化2】
(式中、R1〜R4は、互いに同一であっても相違してもよく、各々水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R1とR2及びR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。)
で示される繰り返し単位を2以上含む重合体にドーパントをドープした導電性高分子を主成分とした有機半導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機半導体である前記7に記載のコンデンサ。
9.有機半導体が、ポリピロール、ポリチオフェンおよびこれらの置換誘導体から選ばれた少なくとも一種である前記8に記載のコンデンサ。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のニオブ粉は一酸化ニオブ結晶および一酸化六ニオブ結晶を含有することを特徴とするものである。
ニオブ粉は、タンタル粉に比較して焼結体上に形成した誘電体酸化皮膜の安定性に劣り、特に高温でその差が顕著である。この理由は、多数考えられるが、その一つとして、誘電体酸化皮膜の組成とニオブの組成が異なるために、高温での熱ひずみによって、誘電体酸化皮膜の劣化が加速されることによることが考えられる。
しかしながら、ニオブ粉中に、一酸化ニオブ結晶および一酸化六ニオブ結晶を含有させると、高温での熱ひずみが緩和されため、そのニオブ粉から作製したコンデンサの熱安定性が改良されるものと推定される。
【0010】
本発明のニオブ粉を得るための一形態を説明する。
本発明のコンデンサ用ニオブ粉は、ニオブの一次粒子粉(以下一次粉と略す。)を適当な大きさに造粒したものである。ニオブの一次粉は従来公知の方法で造粒することができる。例えば、一次粉を500℃〜2000℃の高温真空下に放置した後、湿式または乾式解砕する方法、アクリル樹脂やポリビニルアルコール等の適当なバインダーと一次粉を混合した後解砕する方法等があげられる。造粒と解砕の程度によって造粒粉の粒径は任意に調整可能であるが、通常、平均粒径で数μm〜数千μmのものが使用される。造粒・解砕後に分級して用いても良い。また、造粒後に一次粉を適量混合して用いても良い。
一方、一次粉の原料としては、一般に入手できるものを用いることができる。例えば、ハロゲン化ニオブのマグネシウムやナトリウムによる還元、フッ化ニオブ酸カリのナトリウム還元、フッ化ニオブ酸カリのニッケル陰極上への溶融塩(NaCl+KCl)電解、五酸化ニオブ粉のまたは水素による還元、金属ニオブインゴットへの水素導入後の粉砕・脱水素等によって得られた一次粉を用いることができる。これら一次粉の平均粒径は、例えば0.1μm〜数10μmのものが使用できる。
【0011】
本発明では、前記ニオブ粉に、予め一酸化ニオブ結晶および一酸化六ニオブ結晶を混合させたニオブ粉が使用される。
例えば、ニオブ粉に、前記結晶の微粉末(おおよそ、平均粒径0.1μm〜1000μm)を0.05〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%混合することによって本発明のコンデンサ用ニオブ粉を作製することができる。
一酸化ニオブ結晶および一酸化六ニオブ結晶の割合が各々20質量%を越えると、初期の容量値C0がかえって低くなるので好ましくない。また、前記結晶を一次粉に混合し、その後造粒してニオブ粉を得ることも可能である。
一酸化六ニオブ結晶は、一酸化ニオブ、二酸化ニオブ、または五酸化ニオブを、例えば、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、NaBH4、LiBH4等の従来公知の還元剤で還元することによって得られる。一酸化六ニオブ結晶の製造確認は、X線回折図から行うことができる。
【0012】
本発明で使用するニオブ粉は、その一部が窒化されていることが好ましい。
窒化量は、数10質量ppm〜数万質量ppmである。一部を窒化することにより、コンデンサとしたときの漏れ電流(LC)特性を改善することができる。具体的には、ニオブ粉から焼結体を作製し、焼結体の表面に誘電体を形成し、リン酸水溶液中でLC値を測定した場合、小さいLC値とするには、前記窒化量は、300質量ppm〜7000質量ppmにすることが好ましい。
ここで窒化量とは、ニオブ粉が反応して窒化したものであって、吸着したものは含まない。
【0013】
ニオブ粉の窒化は、液体窒化、イオン窒化、ガス窒化などのうちいずれかあるいはそれらの組み合わせた方法で実施することができるが、中でも装置が簡便で操作が容易な窒素ガス雰囲気によるガス窒化処理が好ましい。
窒素ガス雰囲気によるガス窒化方法は、ニオブ粉を窒素雰囲気中に放置することによって行うことができる。窒化する雰囲気温度は2000℃以下、放置時間数時間以内で目的とする窒化量のニオブ粉が得られる。高温で処理することにより処理時間を短くすることができる。前記ニオブ粉の窒化量は、被窒化物の窒化温度と窒化時間を予備実験等で確認した条件で管理することができる。
窒化する時期は、一次粉または、ニオブ粉と前記結晶を混合した後でも良い。
【0014】
本発明のニオブ粉を得るためのもう一つの形態を説明する。
本発明に使用される一次粉は、アルミニウム、タンタルと同様な弁作用金属であるため、空気中では、表面が酸化物に覆われている。この酸化量は、ニオブ粉の平均粒径によって変化し通常、平均粒径0.1μm〜数10μmのものでは1万〜20万質量ppmである。これらの酸化物を有する一次粉は、該一次粉を造粒してニオブ粉を作製する時の昇温速度、最高温度、最高温度での放置時間、降下速度等の条件を制御することにより、一部、または全部の酸化物を結晶化させることができる。この結晶化物は、一酸化ニオブ結晶および一酸化六ニオブ結晶の混合物である。条件を検討することにより、前記結晶化物中の一酸化ニオブ結晶と一酸化六ニオブ結晶の量を調節することも可能である。この場合、一次粉が一部窒化されたニオブ粉を使用すると、理由は定かでないが、前記一酸化六ニオブ結晶の量が増加することがある。
【0015】
これらの造粒時条件による結晶化条件による結晶化手法を用いる場合、前述した造粒時条件と酸化物から得られる各結晶量の関係を予備実験で検知しておくことにより、ニオブ結晶に予め混合させる一酸化ニオブ結晶および一酸化六ニオブ結晶の量を減少せるか、さらには予め混合せずに、前述した所定量の一酸化ニオブ結晶および一酸化六ニオブ結晶の含有されたニオブ粉を得ることができる。
【0016】
本発明のニオブ焼結体は、前述したニオブ粉を焼結して製造する。
焼結体の製造方法は特に限定されないが、例えば、ニオブ粉を所定の形状に加圧成形した後、10-1〜10-4Paで、数分〜数時間、500〜2000℃で加熱して得られる。
また、適当な形状・長さの、ニオブやタンタル等の弁作用金属からなるリードワイヤーを用意し、前述したニオブ粉の加圧成形時にリードワイヤーの一部が成形体の内部に挿入されるように一体成形して、リードワイヤーを前記焼結体の引き出しリードとなるように設計することもできる。
【0017】
本発明のコンデンサは、前述した焼結体を一方の電極とし、前記焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた他方の電極とから構成される。
コンデンサの誘電体としては、例えば、酸化タンタル、酸化ニオブ、高分子物質、セラミック化合物などが挙げられるが、酸化ニオブからなる誘電体が好ましい。酸化ニオブからなる誘電体は、一方の電極であるニオブ焼結体を電解液中で化成することによって得られる。ニオブ電極を電解液中で化成するには通常プロトン酸水溶液、例えば、0.1%リン酸水溶液または硫酸水溶液を用いて行われる。ニオブ電極を電解液中で化成して酸化ニオブからなる誘電体を得る場合、本発明のコンデンサは電解コンデンサとなり、ニオブ側が陽極となる。
【0018】
一方、本発明のコンデンサの他方の電極は、格別限定されるものではなく、例えば、アルミ電解コンデンサ業界で公知である電解液、有機半導体および無機半導体から選ばれた少なくとも1種の化合物があげられる。
電解液の具体例としては、イソブチルトリプロピルアンモニウムボロテトラフルオライド電解質を5質量%溶解したジメチルホルムアミドとエチレングリコールの混合溶液、テトラエチルアンモニウムボロテトラフルオライドを7質量%溶解したプロピレンカーボネートとエチレングリコールの混合溶液等があげられる。
【0019】
有機半導体の具体例としては、ベンゾピロリン4量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、下記一般式(1)または(2)
【化3】
(式中、R1〜R4は、互いに同一であっても相違してもよく、各々水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R1とR2およびR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。)
で示される繰り返し単位を2以上含む重合体にドーパントをドープした導電性高分子を主成分とした有機半導体があげられる。
【0020】
なお、本明細書で「導電性高分子を主成分とする」とは有機半導体の原料モノマー中の不純物に由来する成分等を含有する導電性高分子をも含み得ること、すなわち「導電性高分子を実質的有効成分していること」を意味する。
【0021】
式(1)または(2)で示される繰り返し単位を含む重合体としては、例えば、ポリアニリン、ポリオキシフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリメチルピロール、およびこれらの重合体の置換誘導体などがあげられる。
【0022】
また、ドーパントとしては、スルホキノン系ドーパント、アントラセンモノスルホン酸系ドーパントやその他種々のアニオン系ドーパントが使用できる。NO+、NO2+塩などの電子受容体ドーパントを使用しても良い。
【0023】
無機半導体の具体例としては、二酸化鉛または二酸化マンガンを主成分とする無機半導体、四三酸化鉄からなる無機半導体などがあげられる。このような半導体は、単独でも、または、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0024】
上記有機半導体および無機半導体として、電導度10-2S・cm-1〜103S・cm-1の範囲のものを使用すると、作製したコンデンサのインピーダンス値がより小さくなり、高周波での容量をさらに大きくすることができる。
さらに他方の電極が固体の場合には、その上に外部引き出しリード(例えば、リードフレーム)との電気的接触をよくするために、導電体層を設けてもよい。
【0025】
導電体層としては、例えば、導電ペーストの固化、メッキ、金属蒸着、耐熱性の導電樹脂フイルムの形成等により形成することができる。導電ペーストとしては、銀ペースト、銅ペースト、アルミペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト等が好ましいが、これらは1種を用いても2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合、混合してもよく、または別々の層として重ねてもよい。導電ペーストを適用した後、空気中に放置するか、または加熱して固化せしめる。メッキとしては、ニッケルメッキ、銅メッキ、銀メッキ、アルミメッキ等が挙げられる。また蒸着金属としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀等が挙げられる。
【0026】
具体的には、例えば他方の電極上にカーボンペースト、銀ペーストを順次積層しエポキシ樹脂のような材料で封止してコンデンサが構成される。このコンデンサは、ニオブ焼結体と一体に焼結成形された、または後で溶接されたニオブまたはタンタルリードを有していてもよい。
【0027】
以上のような構成の本発明のコンデンサは、例えば、樹脂モールド、樹脂ケース、金属性の外装ケース、樹脂のディッピング、ラミネートフイルムによる外装などの外装により各種用途のコンデンサ製品とすることができる。
また、他方の電極が液体の場合には、前記両極と誘電体から構成されたコンデンサを、例えば、他方の電極と電気的に接続した缶に収納してコンデンサが形成される。この場合、ニオブ焼結体の電極側は、前記したニオブまたはタンタルリードを介して外部に導出すると同時に、絶縁性ゴム等により、缶との絶縁がはかられるように設計される。
【0028】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、各例における物性等の測定、評価方法は以下の通りである。
【0029】
(1)ニオブ粉中の一酸化ニオブ結晶および一酸化六ニオブ結晶含有量
各結晶の質量、および付着酸素量が少ない平均粒径100μmの一次粉に質量既知の前記結晶を混合した後X線回折測定した時の2θ回折強度と前記混合質量より作成した検量線より算出した。
(2)ニオブ粉の窒化量
LEKO社製の窒素・酸素分析計を用いて求めた。
(3)コンデンサの高温特性
コンデンサを105℃雰囲気中で4V電圧印加した状態で2000時間放置した後、室温に戻した時の容量Cとの比:(C−C0)/Cを高温特性と定義し、この比が±20%以内に収まるものを良品と判定して、試料数と良品数の比で評価した。試料数は、各例とも50個とした。
【0030】
実施例1:
平均粒径6μmの一次粉(表面は約0.5質量%の自然酸化物で覆われている)に、一酸化ニオブ結晶(平均粒径0.6μm)および一酸化六ニオブ結晶(平均粒径0.7μm)を各々2質量%混合した。この結晶混合一次粉を6.7×10-3Pa(5×10-5Torr)の真空下で、昇温速度10℃/分で昇温し、最高温度1050℃で30分放置後、Arガスを投入しながら降温速度平均80℃/分で降温させ、造粒した後解砕しニオブ粉とした。ニオブ粉中の各結晶の含有量を表1に示した。このニオブ粉を0.1g秤量し、ニオブリードと同時に成形して、大きさ約3mm×4mm×1.8mmの成形体を得た。引き続き該成形体を6.7×10-3Pa(5×10-5Torr)の真空下で、昇温速度10℃/分で昇温し、最高温度1150℃で100分放置後、降温速度平均80℃/分で降温させ、焼結体とした。このニオブ焼結体を50本用意し、全数を0.1%燐酸水溶液中で電解化成(12V)して表面に酸化ニオブからなる誘電体酸化皮膜を形成した。次に酢酸鉛の30%水溶液と過硫酸アンモニウムの30%水溶液の等量混合液に焼結体を浸漬・乾燥操作することを複数回行って、誘電体酸化皮膜上に、二酸化鉛と硫酸鉛(二酸化鉛が97質量%)からなる他方の電極を形成した。続いて、カーボンペースト、銀ペーストを順に積層し、リードフレームに搭載後、エポキシ樹脂で封止して、チップ型コンデンサを製造した。作製したコンデンサの高温特性(初期容量C0(μF)および高温特性)の評価結果を表1に示した。
【0031】
実施例2〜4および比較例1〜3:
各結晶の混合量を表1に示した値にして実施例1と同様にしてニオブ粉およびコンデンサを作製した。
【0032】
実施例5〜8:
平均粒径1μmの一次粉(表面は約2.5質量%の自然酸化皮膜で覆われている)を使用し、この一次粉を窒素気流中に300℃で2時間放置することにより一部窒化した一次粉(窒化量2800質量ppm)とした以外は、実施例1と同様にしてコンデンサを作製した(実施例5)。また、実施例6〜8では、実施例5の他方の電極を表2に示した半導体にした以外は、実施例5と同様にしてコンデンサを作製した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
実施例1〜8と比較例1を比べると、ニオブ粉中に0.05%以上の一酸化ニオブ結晶および一酸化六ニオブ結晶が存在することにより、より高温特性が良好になることがわかる。また、実施例1と比較例2および比較例3を各々比べることにより該結晶量が20質量%を越えると初期容量が小さくなることがわかる。
【0036】
【発明の効果】
一酸化ニオブ結晶および一酸化六ニオブ結晶を各々0.05〜20質量%含有する本発明のニオブ粉をコンデンサに利用すると、単位質量あたりの容量が大きく、高温特性の良好なコンデンサを製造することができる。
Claims (9)
- 一酸化ニオブ結晶を0.05〜20質量%および一酸化六ニオブ結晶を0.05〜20質量%含有することを特徴とするコンデンサ用ニオブ粉。
- 一部が窒化されたニオブ粉を含有する請求項1に記載のコンデンサ用ニオブ粉。
- 請求項1または2に記載のコンデンサ用ニオブ粉を用いた焼結体。
- 請求項3に記載の焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた他方の電極とから構成されるコンデンサ。
- 誘電体の主成分が酸化ニオブである請求項4に記載のコンデンサ。
- 酸化ニオブが、電解酸化により形成されたものである請求項5に記載のコンデンサ。
- 他方の電極が、電解液、有機半導体、および無機半導体から選ばれた少なくとも一種の材料である請求項4乃至6のいずれかに記載のコンデンサ。
- 他方の電極が有機半導体からなり、該有機半導体がベンゾピロリン4量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、下記一般式(1)または(2)
で示される繰り返し単位を2以上含む重合体にドーパントをドープした導電性高分子を主成分とした有機半導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機半導体である請求項7に記載のコンデンサ。 - 有機半導体が、ポリピロール、ポリチオフェンおよびこれらの置換誘導体から選ばれた少なくとも一種である請求項8に記載のコンデンサ。
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