JP5020433B2 - コンデンサ用ニオブ粉、焼結体及びその焼結体を用いたコンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期に亘って性能が維持され信頼性の良好なコンデンサを製造することができるニオブ粉、ニオブ焼結体、およびこの焼結体を用いたコンデンサに関する。
【0002】
【背景技術】
携帯電話やパーソナルコンピューター等の電子機器に使用されるコンデンサは小型大容量のものが望まれている。このようなコンデンサの中でもタンタルコンデンサは、大きさの割には容量が大きく、しかも性能が良好なため、好んで使用されている。このタンタルコンデンサの陽極体としてタンタル粉の焼結体が一般的に使用されている。タンタルコンデンサの容量を上げるためには、焼結体重量を増大させるか、またはタンタル粉を微細化して表面積を増加させた焼結体を用いる必要がある。
【0003】
前者の焼結体重量を増加させる方法では、コンデンサの形状が必然的に増大し小型化の要求を満たさない。一方、後者のタンタル粉を微細化して表面積を増加する方法では、タンタル焼結体の細孔径が小さくなり、また焼結段階で閉鎖孔が多くなり、後工程における陰極剤の含浸が困難になる。これらの欠点を解決する研究の1つとして、タンタルより誘電率の大きな材料粉体を用いた焼結体のコンデンサが考えられている。これらの誘電率の大きい材料としてニオブがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ニオブは、タンタルに比較して酸素親和力が大きく、容易に酸化される。この傾向は、ニオブの形状が粉体で、比表面積が大きいほど顕著である。また高温環境にあるほど酸化反応が進みやすい。ニオブ粉から焼結体を作製する場合、通常ニオブ粉の成形体を真空加熱下で焼結させるが、加熱炉から焼結体を取り出すときに空気中の酸素と反応し、表面に多量の酸素が付着する場合がある。酸素付着量が多いと、極端な場合、焼結体の形状が設計値よりずれることもある。また、そのような焼結体からコンデンサを作製し、高温で加速試験を行うとコンデンサ性能が大きく劣化することがあり、信頼性の点で満足できるものではなかった。
【0005】
本発明に関連する技術として、五酸化二ニオブ(Nb2O5)を水素存在下で熱処理して一部を還元した酸化ニオブ(NbOn、n=0.7〜1.1、酸素含有量11%〜16質量%)を用いた、容量が大きく漏れ電流特性に優れたコンデンサが提案されている(WO00/15555)。しかし、本発明者らが追試して得た酸化ニオブからコンデンサを作製して高温で加速試験を行ったところコンデンサ性能の劣化が見られ満足できるものではなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、ニオブ焼結体の原料ニオブ粉として、予め酸素含有量を特定の範囲に調整した粉体を造粒したニオブ粉を使用することにより、高温加速試験での劣化が小さく信頼性に優れたコンデンサが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のコンデンサ用ニオブ粉、焼結体及びその焼結体を用いたコンデンサを提供するものである。
【0007】
1.酸素含有量が3.0〜9.0質量%の造粒粉であって、平均粒径が10μm〜500μmのコンデンサ用ニオブ粉。
2.比表面積が、0.2m2/g〜15m2/gである前記1に記載のコンデンサ用ニオブ粉。
3.一部が窒化されている前記1または2に記載のコンデンサ用ニオブ粉。
4.前記1乃至3のいずれかに記載のコンデンサ用ニオブ粉を用いた焼結体。
5.比表面積が0.2m2/g〜5m2/gである前記4に記載の焼結体。
6.前記4または5に記載の焼結体を一方の電極とし、前記焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた他方の電極とから構成されるコンデンサ。
7.誘電体の主成分が酸化ニオブである前記6に記載のコンデンサ。
8.酸化ニオブが、電解酸化により形成されたものである前記7に記載のコンデンサ。
9.他方の電極が、電解液、有機半導体、および無機半導体から選ばれる少なくとも一種の材料である前記6乃至8のいずれかに記載のコンデンサ。
10.他方の電極が有機半導体からなり、該有機半導体がベンゾピロリン4量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、下記一般式(1)または(2)
【化2】
(式中、R1〜R4は、互いに同一であっても相違してもよく、各々水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R1とR2およびR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。)
で示される繰り返し単位を2以上含む重合体にドーパントをドープした導電性高分子を主成分とする有機半導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機半導体である前記9に記載のコンデンサ。
11.有機半導体が、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびこれらの置換誘導体から選ばれる少なくとも一種である前記10に記載のコンデンサ。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のコンデンサ用ニオブ粉は、ニオブの一次粒子粉(以下一次粉と略す。)を適当な大きさに造粒したものである。
一次粉は従来公知の方法で造粒することができる。例えば、粉体を500℃〜2000℃の高温真空下に放置した後、湿式または乾式解砕する方法、アクリル樹脂やポリビニルアルコール等の適当なバインダーと粉体を混合した後解砕する方法、アクリル樹脂や樟脳、燐酸や、硼酸等の適当な化合物と混合した後高温真空下に放置し、その後湿式または乾式解砕する方法等が挙げられる。造粒と解砕の程度によって造粒粉の粒径は、任意に調整可能であるが、通常、平均粒径で10μm〜500μmのものが使用される。造粒・解砕後に分級して用いても良い。また、造粒後に造粒前の粉体を適量混合して用いても良い。
【0009】
本発明のコンデンサ用ニオブ粉は、予め酸素含有量を3.0〜9.0質量%に調整したものである。
前述したように、ニオブ粉の焼結成形した後空気中に取り出すと、急激な酸化反応が生じ、またその反応熱によって焼結体が加熱されて酸化反応が加速される。使用されるニオブ粉の粒径が小さな程この傾向は顕著である。本発明では、所定粒径のニオブの造粒粉を使用し、さらにニオブの造粒粉として予め3.0〜9.0質量%の酸素を含有するものを使用することにより、焼結後空気中への取出した時の急激な酸化反応を緩和して性能の安定したコンデンサが得られるようにしたものである。
ニオブ粉の酸素含有量が3.0質量%未満の場合、焼結後空気中への取り出し時の急激な酸化反応を緩和させる効果が低下する。また、9.0質量%を超えると、作製したコンデンサの洩れ電流(LC)特性が悪化する場合があるので好ましくない。
【0010】
所定の酸素量を含有するニオブ粉は、ニオブ一次粉またはその造粒粉を、予め酸化することによって調製することができる。酸化は、例えば、空気中に前記ニオブ粉を放置しておくか、適当な温度の雰囲気下で撹拌することによって行うことができる。含有酸素量は予備実験行うことにより容易に調整管理することができる。
このようにして作製した本発明の粉体の比表面積は、0.2m2/g〜15m2/gである。
【0011】
ニオブ一次粉の原料としては、一般に市販されているものを用いることができる。例えば、ハロゲン化ニオブのマグネシウムやナトリウムによる還元、フッ化ニオブ酸カリのナトリウム還元、フッ化ニオブ酸カリのニッケル陰極上への溶融塩(NaCl+KCl)電解、五酸化ニオブ粉のアルカリ金属、アルカリ土類金属または水素による還元、金属ニオブインゴットへの水素導入後の粉砕・脱水素等によって得られる一次粉、または電子線、プラズマ、レーザーなどの熱源を用いた不活性ガス中でのニオブ金属の蒸発あるいはアブレーション(ablation)法やニオブ錯体の分解法等によって得られるニオブ微粒子からなる一次粉を用いることができる。これら一次粉は平均粒径が、例えば0.1μm〜数10μmのものが使用できる。
【0012】
本発明で使用するニオブ粉は、その一部が窒化されていることが好ましい。
窒化量は、数10質量ppm〜数万質量ppmである。一部を窒化することにより、コンデンサとしたときの漏れ電流(LC)特性を改善することができる。具体的には、ニオブ粉から焼結体を作製し、焼結体の表面に誘電体を形成して、リン酸水溶液中で測定されるLC値を小さい値とするには、窒化量を300質量ppm〜7000質量ppmにすることが好ましい。ここで窒化量とは、ニオブ粉に反応し結合した窒素量であって、ニオブ粉に吸着した窒素は含まない。
【0013】
ニオブ粉の窒化は、液体窒化、イオン窒化、ガス窒化あるいはそれらを組み合わせた方法で実施することができるが、中でも装置が簡便で操作が容易なガス窒化処理が好ましい。
ガス窒化は、前記ニオブ粉を窒素ガス雰囲気中に放置することによって行うことができる。窒化する雰囲気の温度は2000℃以下、数時間以内の放置時間でで目的とする窒化量のニオブ粉が得られる。高温で処理することにより処理時間を短くすることができる。前記ニオブ粉の窒化量は、被窒化物の窒化温度と窒化時間を予備実験等で確認して容易に管理することができる。
窒化する時期は、一次粉を作製した後、あるいは造粒粉の作製後に行うことがでる。あるいは各粉体の作製後毎に複数回行ってもよい。
【0014】
前述のニオブ粉を焼結して本発明のニオブ焼結体を製造する。焼結体の製造方法は特に限定されないが、例えば、ニオブ粉を所定の形状に加圧成形した後、10-1〜10-4Paで、数分〜数時間、500〜2000℃で加熱して得られる。
【0015】
また、適当な形状・長さの、ニオブやタンタル等の弁作用金属からなるリードワイヤーを用意し、前述したニオブ粉の加圧成形時にリードワイヤーの一部が成形体の内部に挿入されるように一体成形して、リードワイヤーを前記焼結体の引き出しリードとなるように設計することもできる。
このようにして製造される本発明のニオブ焼結体の比表面積は任意に調整可能であるが、通常、0.2m2/g以上で5m2/g以下のものが使用される。
【0016】
本発明のコンデンサは、前述した焼結体を一方の電極とし、前記焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた他方の電極とから構成される。
コンデンサの誘電体としては、例えば、酸化タンタル、酸化ニオブ、高分子物質、セラミック化合物などが挙げられるが、酸化ニオブからなる誘電体が好ましい。酸化ニオブからなる誘電体は、一方の電極であるニオブ焼結体を電解液中で化成することによって得られる。ニオブ電極を電解液中で化成するには通常プロトン酸水溶液、例えば、0.1%リン酸水溶液または硫酸水溶液を用いて行われる。ニオブ電極を電解液中で化成して酸化ニオブからなる誘電体を得る場合、本発明のコンデンサは電解コンデンサとなり、ニオブ側が陽極となる。
【0017】
本発明のコンデンサの他方の電極は、格別限定されるものではなく、例えば、アルミ電解コンデンサ業界で公知である電解液、有機半導体および無機半導体から選ばれる少なくとも1種の化合物が使用できる。
【0018】
電解液の具体例としては、イソブチルトリプロピルアンモニウムボロテトラフルオライド電解質を5質量%溶解したジメチルホルムアミドとエチレングリコールの混合溶液、テトラエチルアンモニウムボロテトラフルオライドを7質量%溶解したプロピレンカーボネートとエチレングリコールの混合溶液等が挙げられる。
【0019】
有機半導体の具体例としては、ベンゾピロリン4量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、下記一般式(1)または(2)
【化3】
(式中、R1〜R4は、互いに同一であっても相違してもよく、各々水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R1とR2およびR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。)
で示される繰り返し単位を含む高分子にドーパントをドープした導電性高分子を主成分とする有機半導体が挙げられる。
なお、本明細書で「導電性高分子を主成分とする」とは有機半導体の原料モノマー中の不純物に由来する成分等を含有する導電性高分子をも含み得ること、すなわち「導電性高分子を実質的有効成分していること」を意味する。
【0020】
式(1)または(2)で示される繰り返し単位を含む高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリオキシフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリメチルピロール、およびこれらの高分子の誘導体などが挙げられる。
【0021】
また、ドーパントとしては、スルホキノン系ドーパント、アントラセンモノスルホン酸系ドーパントやその他種々のアニオン系ドーパントが使用できる。NO+,NO2 +塩などの電子受容体ドーパントを使用しても良い。
【0022】
無機半導体の具体例としては、二酸化鉛または二酸化マンガンを主成分とする無機半導体、四三酸化鉄からなる無機半導体などが挙げられる。
このような半導体は、単独で使用することができるが、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0023】
上記有機半導体および無機半導体として、電導度10-2S・cm-1〜103S・cm-1の範囲のものを使用すると、作製したコンデンサのインピーダンス値をより小さくすることができ、高周波での容量をさらに大きくすることができる。
さらに他方の電極が固体の場合には、その上に外部引き出しリード(例えば、リードフレーム)との電気的接触をよくするために、導電体層を設けてもよい。
【0024】
導電体層としては、例えば、導電ペーストの固化、メッキ、金属蒸着、耐熱性の導電樹脂フイルムの形成等により形成することができる。導電ペーストとしては、銀ペースト、銅ペースト、アルミペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト等が好ましいが、これらは1種を用いても2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は混合してもよく、または別々の層として重ねてもよい。導電ペーストを適用した後、空気中に放置するか、または加熱して固化せしめる。メッキとしては、ニッケルメッキ、銅メッキ、銀メッキ、アルミメッキ等が挙げられる。また蒸着金属としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀等が挙げられる。
【0025】
具体的には、例えば他方の電極上にカーボンペースト、銀ペーストを順次積層しエポキシ樹脂のような材料で封止してコンデンサが構成される。このコンデンサは、ニオブ焼結体と一体に焼結成形された、または後で溶接されたニオブまたはタンタルリードを有していてもよい。
【0026】
以上のような構成の本発明のコンデンサは、例えば、樹脂モールド、樹脂ケース、金属性の外装ケース、樹脂のディッピング、ラミネートフイルムによる外装などの外装により各種用途のコンデンサ製品とすることができる。
また、他方の電極が液体の場合には、前記両極と誘電体から構成されたコンデンサを、例えば、他方の電極と電気的に接続した缶に収納してコンデンサが形成される。この場合、ニオブ焼結体の電極側は、前記したニオブまたはタンタルリードを介して外部に導出すると同時に、絶縁性ゴム等により、缶との絶縁がはかられるように設計される。
【0027】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、各例における物性等の測定、評価方法は以下の通りである。
(1)ニオブ粉の酸素及び窒素含有量
LEKO社製の窒素・酸素分析計を用いて求めた。
(2)コンデンサ容量
作製した50個のコンデンサの容量の平均値として求めた。
(3)漏れ電流特性(LC)
室温において、定格電流値(4V)をコンデンサの端子間に1分間印加し続けた後の漏れ電流値を求め、この電流値が100μA以下のものを良品とした。この評価は50個のコンデンサに対して行った。
また、作製したコンデンサを125℃で1000時間放置した後、室温に戻す高温加速試験を行い、同様に漏れ電流値を求め、電流値が100μA以下であるものを良品とした。この評価も50個のコンデンサに対して行った。
【0028】
実施例1〜5および比較例1〜2
平均粒径1μmのニオブ一次粉を6×10-3Pa下、1100℃で30分放置した後、取り出して解砕する方法により、平均粒径80μmのニオブ粉を造粒した。このニオブ粉を窒素気流中で300℃に放置することにより窒化量2500ppmの一部窒化されたニオブ粉を得た。得られたニオブ粉50gを130℃の空気中で放置し、放置時間を調整することにより、表1に示す各酸素含有量のニオブ粉(比表面積2.8m2/g)を得た。
このニオブ粉を直径0.30mmのニオブリードと共に成形し4.5×3.5×1.8mmの成形体とした。この成形体を、1150℃で真空下100分焼結し降温後50℃で外部に取り出し焼結体(比表面積0.9m2/g)を作製した。次に、該焼結体を0.1%燐酸水溶液中80℃で化成することによって表面に酸化ニオブの誘電体酸化皮膜層を形成した。
この焼結体を、ピロール蒸気と、過硫酸アンモニウムおよびアンソラキノンスルホン酸ナトリウムの飽和水溶液とに交互に浸漬し、これを繰り返すことにより誘電体酸化皮膜上にポリピロールからなる陰極層を設けた。この陰極層上にカーボンペースト層、銀ペースト層を順次積層した後、リードフレームに搭載し、ついでエポキシ樹脂で封止してコンデンサを作製した。作製したコンデンサの容量、漏れ電流特性、および高温放置試験後の漏れ電流特性を測定評価した。結果を表1に示す。
【0029】
実施例6〜10および比較例3〜4
平均粒径0.7μmのニオブ一次粉を6×10-3Pa下、950℃で30分放置した後、取り出し解砕して平均粒径3μmの凝集粉を得、さらに6×10-3Pa下、1100℃で30分放置した後、取り出して解砕する方法により、平均粒径100μmのニオブ粉を造粒した。これを窒素気流中で300℃に放置することにより窒化量3400ppmの一部窒化されたニオブ粉を得た。得られたニオブ粉50gを130℃の空気中で放置し、放置時間を調整することにより、表2に示す各酸素含有量のニオブ粉(比表面積4.9m2/g)を得た。
このニオブ粉を用い実施例1と同様にして焼結体を作製し、さらに誘電体酸化皮膜層を形成した後、この焼結体を、飽和酢酸鉛水溶液と飽和過硫酸アンモニウム水溶液とに交互に浸漬し、これを繰り返すことにより誘電体酸化皮膜上に二酸化鉛と硫酸鉛(二酸化鉛が97質量%)からなる陰極層を設け、ついで、実施例1と同様にして各ペースト層を積層し、コンデンサを作製した。作製したコンデンサの容量、漏れ電流特性、および高温放置試験後の漏れ電流特性を測定評価した。結果を表2に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
表1および表2から、実施例1〜5と比較例1、実施例6〜10と比較例3との比較で、ニオブ粉に所定量の酸素を含有させることにより加速試験後の性能劣化を防ぐことができることがわかる。また、実施例と比較例2および比較例3の結果から酸素含有量が所定量9.0質量%を超えると初期LC値が不良なものが出現することがわかる。
【0033】
【発明の効果】
酸素含有量を3.0〜9.0質量%に調整した平均粒径10μm〜500μmの本発明のニオブ粉を用いることにより、加速試験後の劣化が少なく長期間性能が劣化せず信頼性の良好なコンデンサを作製することができる。
Claims (11)
- 酸素含有量が3.2〜8.8質量%の造粒粉であって、平均粒径が10μm〜500μmのコンデンサ用ニオブ粉。
- 比表面積が、0.2m2/g〜15m2/gである請求項1に記載のコンデンサ用ニオブ粉。
- 一部が窒化されている請求項1または2に記載のコンデンサ用ニオブ粉。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のコンデンサ用ニオブ粉を用いた焼結体。
- 比表面積が0.2m2/g〜5m2/gである請求項4に記載の焼結体。
- 請求項4または5に記載の焼結体を一方の電極とし、前記焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた他方の電極とから構成されるコンデンサ。
- 誘電体の主成分が酸化ニオブである請求項6に記載のコンデンサ。
- 酸化ニオブが、電解酸化により形成されたものである請求項7に記載のコンデンサ。
- 他方の電極が、電解液、有機半導体、および無機半導体から選ばれる少なくとも一種の材料である請求項6乃至8のいずれかに記載のコンデンサ。
- 他方の電極が有機半導体からなり、該有機半導体がベンゾピロリン4量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、下記一般式(1)または(2)
で示される繰り返し単位を2以上含む重合体にドーパントをドープした導電性高分子を主成分とする有機半導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機半導体である請求項9に記載のコンデンサ。 - 有機半導体が、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンおよびこれらの置換誘導体から選ばれる少なくとも一種である請求項10に記載のコンデンサ。
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