JP2009033182A - コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高容量で、漏れ電流値が小さく、高温特性及び耐熱特性の良好なニオブコンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】ニオブを含む粉体を焼結してニオブ合金の焼結体を得、この焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に誘電体を形成し、前記誘電体上に対電極を設けるコンデンサの製造法であって、一窒化二ニオブ結晶を焼結体に含有させる工程を含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、コンデンサに関し、特に単位質量あたりの容量が大きく、高温特性及び耐熱特性の良好なコンデンサを製造することができるコンデンサ用ニオブ合金、ニオブ合金焼結体、及び該焼結体を用いたコンデンサに関する。
携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器に使用されるコンデンサは、小型で大容量のものが望まれている。このようなコンデンサの中でもタンタルコンデンサは大きさの割には容量が大きく、しかも性能が良好なため、好んで使用されている。このタンタルコンデンサの陽極体として、一般的にタンタル粉の焼結体が使用されている。これらタンタルコンデンサの容量を上げるためには、焼結体質量を増大させるか、または、タンタル粉を微粉化して表面積を増加させた焼結体を用いる必要がある。
焼結体質量を増加させる方法では、コンデンサの形状が必然的に増大して小型化の要求を満たさない。一方、タンタル粉を微粉化して比表面積を増加させる方法では、タンタル焼結体の細孔径が小さくなり、また焼結段階で閉鎖孔が多くなり、後工程における陰極剤の含浸が困難になる。これらの欠点を解決する研究の1つとして、タンタルより誘電率の大きい材料粉末の焼結体を用いたコンデンサが考えられる。これらの誘電率の大きい材料としてニオブやチタンがある。
特開昭55-157226号公報(特許文献1参照)には、凝集粉から粒径2.0μm、あるいはそれ以下のニオブ微粉末を加圧成形して焼結し、その成形焼結体を細かく裁断して、これにリード部を接合した後再び焼結するコンデンサ用焼結素子の製造方法が開示されている。しかしながら、該公報にはコンデンサ特性についての詳細は示されてない。
米国特許第4,084,965号公報(特許文献2参照)には、ニオブインゴットを水素化して微砕し、5.1μmのニオブ粉末を得、これを焼結して用いたコンデンサが開示されている。しかしながら、開示されているコンデンサは、漏れ電流(以下、LCと略記することがある。)値が大きく実用性に乏しい。
米国特許第5,242,481号公報(特許文献3参照)には、金属マグネシウムなどの還元剤を用いて、ニオブ粉、タンタル粉、及びニオブとタンタルの合金の酸素含有量を300ppm以下にする製造方法が開示されている。しかしながら、該公報にはこれらの粉を用いたコンデンサに関する記載はない。
米国特許第6,171,363号公報(特許文献4参照)には、タンタル、ニオブ、チタン、モリブデン、タングステン、バナジウム、ジルコニウム、ハフニウム酸化物を、気化させたマグネシウム、カルシウムなどの還元剤を用いて還元することにより、タンタル、ニオブ、チタン、モリブデン、タングステン、バナジウム、ジルコニウム、ハフニウムの金属あるいはそれらの合金の製造方法が開示されている。タンタルに代わるコンデンサ材料としてニオブ−タンタル合金、ニオブ−チタン合金、タンタル−チタン合金が記載されている。しかしながら、実施例は、タンタルあるいはニオブばかりであり、ニオブ合金の例示はなく、コンデンサの性能の記載もない。
国際公開第00/67936号パンフレット(特許文献5参照)には、タンタル、ニオブ、チタン、モリブデン、タングステン、バナジウム、ジルコニウム、ハフニウム酸化物を気化させたマグネシウム、カルシウムなどの還元剤を用いて還元することによる、タンタル、ニオブ、チタン、モリブデン、タングステン、バナジウム、ジルコニウム、ハフニウムの金属あるいはそれらの合金の製造方法が開示されている。この中に、ニオブ−タンタル合金の例示が記載されている。15原子%のタンタルを含有するニオブ−タンタル合金は、単位電圧あたりの誘電膜の厚さがニオブ単体より薄くなることにより容量が大きくなることが示されている。しかしながら、実施例は、タンタルあるいはニオブばかりであり、ニオブ合金の例示はなく、コンデンサの性能の記載もない。
特開平10-242004号公報(特許文献6参照)には、ニオブ粉の一部を窒化すること等により、LC値を改善することが開示されている。しかしながら、粒径の細かなニオブ粉を用いて、ニオブ焼結体から高容量なコンデンサを作製した場合、LC値が特異的に大きなコンデンサが出現する場合があった。
特開平11-329902号公報(特許文献7参照)には、部品実装時のリフロー工程の前後で、静電容量の変化の少ないニオブ固体コンデンサが開示されている。しかしながら、開示されたコンデンサの容量は2μFと小容量のものであり、容量に関して後述する高温特性や、LCに関して耐熱性及び不良品/良品の出現頻度についての開示はない。
これら従来のニオブコンデンサは、容量、高温特性及び耐熱特性のすべてを十分満足するものはなく、実用に供されていないか、実用に供されてもきわめて限定的な用途にとどまっている。
室温時の初期容量C0と、コンデンサを105℃雰囲気中で電圧を印加した状態で2000時間放置した後、室温に戻したときの容量Cとの比、(C−C0)/C0を高温特性と定義すると、焼結体を電解酸化した後、対電極を組み合わせてコンデンサを製造した時、タンタル焼結体を使用したタンタルコンデンサでは、高温特性は通常±20%以内に収まるのに対して従来のニオブ焼結体を使用したニオブコンデンサでは、±20%以内に入らないものが出現する場合があった。
耐熱特性の尺度を、作製したコンデンサ50個をリフロー炉で、あらかじめ用意した基板に接続した後に測定された漏れ電流値(LC値)が、0.05CV値(容量と定格電圧との積)以下になる個数で表現し、リフロー炉に前記基板を投入したときの、コンデンサ外部端子部での温度を、リフロー炉投入一回当たり230℃30秒に維持し、前記基板の投入回数を3回とすると、焼結体を電解酸化した後、対電極を組み合わせてコンデンサを製造した時、タンタル粉末を使用した焼結体の耐熱特性では、0.05CV値以上になるコンデンサの個数は通常0/50個であるのに対して、従来のニオブ粉末を使用した焼結体では、0.05CV値以上になるものが出現する場合があった。
ニオブ焼結体は、タンタル焼結体に比較して誘電体酸化皮膜の安定性に劣る。高温では、その差が顕著である。この理由は多数考えられるが、その一つとして、誘電体酸化皮膜の組成とニオブ焼結体電極の組成が異なるために、高温での熱ひずみによって、誘電体酸化皮膜の劣化が加速されることが想定される。
この様にニオブ焼結体を用いたコンデンサは、室温での信頼性を低く見積もらざるを得ず、その結果耐用年数不良と判断されることがあり、限定的に実用化されているに過ぎなかった。
特開昭55-157226号公報 米国特許第4,084,965号公報 米国特許第5,242,481号公報 米国特許第6,171,363号公報 国際公開第00/67936号パンフレット 特開平10-242004号公報 特開平11-329902号公報
従って、本発明の課題は、高容量で、漏れ電流値が小さく、高温特性及び耐熱特性の良好なニオブコンデンサ、それを与える焼結体、ニオブ合金及びニオブ組成物を提供することにある。
本発明者らは前記課題に鑑み鋭意検討した結果、周期律表の2族乃至16族からなる群から選ばれる元素の少なくとも1種の元素を合金成分として含有し、さらに一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金、ニオブ合金焼結体を用いることにより上記課題は解決できることを見出した。
前述した高温での熱ひずみによる誘電体酸化皮膜の劣化を改善するために、ニオブに周期律表の2族乃至16族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を合金成分として含有させ、ニオブを合金化することにより、ある程度熱によるひずみを緩和することができるが、未だ充分ではない。周期律表の2族乃至16族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を合金成分として含有するニオブ合金にさらに一窒化二ニオブ結晶を含有させることにより、たとえば、先に想定したような高温での熱ひずみがより緩和され、その結果、これらのニオブ合金、ニオブ合金焼結体を用いたコンデンサの高温特性及び耐熱特性の両方が大幅に改善されるものと推定される。
これら、ニオブ合金焼結体を一方の電極とし、対電極と、両電極との間に介在した誘電体とから構成されたコンデンサを製造することにより上記課題が解決され、高容量で高温特性及び耐熱特性の良好なコンデンサを製造することができる。
すなわち、本発明は、以下のニオブ合金、ニオブ組成物紛、それを用いた焼結体、それを用いたコンデンサ及びその製造方法に関する。
1.周期律表の2族乃至16族からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を合金成分として含むニオブ合金であって、一窒化二ニオブ結晶を含有することを特徴とするコンデンサ用ニオブ合金。
2.合金成分が周期律表の3族乃至16族からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である前項1に記載のコンデンサ用ニオブ合金。
3.合金成分が、0.01〜10原子%含まれる前項1に記載のコンデンサ用ニオブ合金。
4.一窒化二ニオブ結晶が、0.1〜70質量%含まれる前項1乃至3のいずれか1項に記載のコンデンサ用ニオブ合金。
5.ニオブ合金が平均粒径が0.05〜5μmの粉体である前項1乃至4のいずれか1項に記載のコンデンサ用ニオブ合金。
6.ニオブ合金が、0.5〜40m2/gのBET比表面積を持つ前項1乃至5のいずれか1項に記載のコンデンサ用ニオブ合金。
7.ニオブ合金が、合金成分及び一窒化二ニオブ結晶の他にさらにホウ素、窒素、炭素および硫黄の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む前項1乃至6のいずれか1項に記載のコンデンサ用ニオブ合金。
8.周期律表の2族乃至16族からなる群より選ばれる少なくとも1種のニオブ合金の合金成分となる元素またはその化合物、ニオブまたはニオブ化合物、及び一窒化二ニオブ結晶を含むコンデンサ用ニオブ組成物粉。
9.合金成分が周期律表の3族乃至16族からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である前項8に記載のコンデンサ用ニオブ組成物粉。
10.前項1乃至7のいずれか1項に記載のニオブ合金の粉体を造粒して得られるコンデンサ用ニオブ造粒物。
11.前項8または9に記載のニオブ組成物粉を造粒して得られるコンデンサ用ニオブ造粒物。
12.ニオブ造粒物の平均粒径が10〜500μmである前項10または11に記載のコンデンサ用ニオブ造粒物。
13.前項1乃至7のいずれか1項に記載のニオブ合金を焼結して得られる焼結体。
14.前項8または9に記載のニオブ組成物粉を焼結して得られる焼結体。
15.前項10乃至12のいずれか1項に記載のニオブ造粒物を焼結して得られる焼結体。
16.前項13乃至15のいずれか1項に記載の焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上に設けられた対電極とから構成されたコンデンサ。
17.ニオブを含む粉体を焼結してニオブ合金の焼結体を得、この焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に誘電体を形成し、前記誘電体上に対電極を設けるコンデンサの製造法であって、一窒化二ニオブ結晶を焼結体に含有させる工程を含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。
18.一窒化二ニオブ結晶を焼結体に含有させる工程が、ニオブを含む粉体に、一窒化二ニオブ結晶及び/またはその水素化物を混合することにより行なわれる前項17に記載のコンデンサの製造方法。
19.一窒化二ニオブ結晶を焼結体に含有させる工程が、ニオブを含む粉体を窒化し、窒化したニオブより一窒化二ニオブ結晶を生成させることにより行なわれる前項17に記載のコンデンサの製造方法。
20.一窒化二ニオブ結晶を焼結体に含有させる工程が、ニオブ合金の焼結体を窒化し、窒化したニオブより一窒化二ニオブ結晶を生成させることにより行なわれる前項17に記載のコンデンサの製造方法。
21.一窒化二ニオブ結晶の生成が、不活性ガス雰囲気下、102〜106Pa、800℃〜1500℃に1分〜100時間曝すことにより行われる前項19または20に記載のコンデンサの製造方法。
22.ニオブを含む粉体が、ニオブ合金及び/またはその水素化物である前項17乃至19のいずれか1項に記載のコンデンサの製造方法。
23.ニオブを含む粉体が、ニオブ及び/またはその水素化物と、周期律表の2族乃至16族からなる群から選ばれる少なくとも1種のニオブ合金の合金成分となる元素とを含む前項17乃至19のいずれか1項に記載のコンデンサの製造方法。
24.合金成分が周期律表の3族乃至16族からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である前項23に記載のコンデンサの製造方法。
25.前項16に記載のコンデンサを使用した電子回路。
26.前項16に記載のコンデンサを使用した電子機器。
周期律表の2族乃至16族からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を合金成分として含み、更に一窒化二ニオブ(Nb2N)の結晶を含有したを作成し、その焼結体を用いてコンデンサを作成することにより、高温特性及び耐熱性の改善されたコンデンサが得られる。
本発明におけるニオブ合金、ニオブ組成物紛、それを用いた焼結体、及びそれを用いたコンデンサを得るための一形態を説明する。
本発明では、高温特性及び耐熱特性の両方のコンデンサ特性を満足し得る原料として、周期律表の2族乃至16族、好ましくは3族乃至16族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を合金成分として含有するニオブ合金に、さらに一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金を使用することができる。なお、本発明で用いる合金とは、前記合金成分との固溶体を含むものである。一窒化二ニオブ結晶の含有量は、0.1〜70質量%とすることが好ましい。また、該ニオブ合金にさらにホウ素、窒素、炭素及び硫黄の元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含ませる処理を行っても良い。
本発明のニオブ合金に合金成分(ニオブを除く。)として含有される周期律表の2乃至16族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素の総含有量は、ニオブ合金中に10原子%以下、好ましくは、0.01〜10原子%、さらに好ましくは0.01〜7原子%がよい。前記元素の総含有量が0.01原子%より低いと、一窒化二ニオブ結晶を含有させても、後述の電解酸化において形成する電解酸化皮膜(誘電体皮膜)の高温での熱に対するひずみを抑制する効果が得られにくく、結果として、高温特性及び耐熱特性の両方を満足できない。また、前記元素の総含有量が10原子%を越えると、ニオブ合金中のニオブ自身の含有量が減少し、結果的にコンデンサとしての容量が低下する。したがって、原料である周期律表の2乃至16族からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を合金成分として含有するニオブ合金の、前記合金成分元素の総含有量は、0.01〜10原子%が好ましい。また、漏れ電流値をより小さくするためには、前記元素含有量をニオブ合金中7原子%以下、さらには0.1〜7原子%が特に好ましい。
本発明の周期律表の2乃至16族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を合金成分として含有するニオブ合金に一窒化二ニオブ結晶を含有させたニオブ合金の粉体の平均粒径は、粉体の比表面積を大きくすることにより高容量を実現するため、5μm以下、好ましくは0.05〜4μmがよい。
本発明者らが一例として作成したジルコニウムと一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉(粉砕法で製造したもの)の平均粒径(D50;μm)と比表面積(S;m2/g)を表1に示す。
Figure 2009033182
表1に示した平均粒径(D50;μm)は、粒度分布測定器(マイクロトラック社製、商品名「マイクロトラック」)を用いて測定した値であり(D50値とは、累積質量%が50質量%に相当する粒径値を表す。)、比表面積はBET法で測定した値である。
前記ニオブ合金粉の平均粒径が5μmを越えると大きなコンデンサ容量を達成できない。また、平均粒径を0.05μm未満にすると、該粉体から焼結体を作製した場合、細孔径が小さく、また閉鎖孔が多くなり、後述する陰極剤の含浸が難しくなる傾向にある。そのため、結果としてコンデンサ容量を大きくすることが難しく、コンデンサ用のニオブ合金焼結体として余り適さない。
以上の点から、本発明においては、好ましくはニオブ合金粉として0.05〜5μmの平均粒径のものを使用することで大きなコンデンサ容量を達成することができる。
本発明のニオブ合金は、少なくとも0.5m2/gのBET比表面積を有する粉体が好ましく、さらに少なくとも1m2/gのBET比表面積を有する粉体が好ましく、さらにまた、少なくとも2m2/gのBET比表面積を有する粉体が好ましい。また、本発明のニオブ粉は、0.5〜40m2/gのBET比表面積を有する粉体が好ましく、さらに1〜20m2/gのBET比表面積を有する粉体が特に好ましい。
焼結体を作成するために用いられるジルコニウム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉は、前述したように0.5〜4μmの平均粒径が特に好ましい。
以下、主としてジルコニウム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金、またはネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金を例に挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されず、以下の内容は、周期律表の2族乃至16族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を合金成分として含有するニオブ合金に、さらに一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金の場合にも適用される。
前述の平均粒径を有するジルコニウム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉は、たとえばジルコニウム−ニオブ合金インゴット、ペレット、粉などの水素化物の粉砕によって得られたジルコニウムを含有するニオブ水素化合金や、この水素化合金を脱水素化したジルコニウムを含有するニオブ合金粉に、平均粒径が0.05μm〜5μmの一窒化二ニオブ結晶及び/または一窒化二ニオブ結晶の水素化物を混合することによって得られる。この混合は、室温以下の温度で不活性ガス(Ar、He、窒素など)雰囲気下、粉体同士を混合しても良いし、水、メタノール、ジクロロエタン、トルエンなどの適当な溶媒を用いて混合しても良い。適当な溶媒を用いた場合、減圧下、50℃以下の温度で溶媒を留去することが望ましい。得られた混合粉を用いて焼結体を作成しても良いし、この混合粉を還元雰囲気下(例えば、Ar、He、H2などの雰囲気下)、10-3〜106Pa(パスカル)の圧力で200℃〜1500℃の温度に1分から100時間曝して、必要とあれば解砕などの工程を用いて作成したこの混合粉を用いて焼結体を作成しても良い。
また、ジルコニウム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金の他の製造方法としては、たとえば、ジルコニウム−ニオブ合金インゴット、ペレット、粉などの水素化物の粉砕によって得られた、平均粒径が0.5〜5μmのジルコニウムを含有するニオブ水素化合金粉や、この水素化合金を脱水素化したジルコニウムを含有するニオブ合金粉を窒素雰囲気下、102〜106Paの圧力で、200℃〜750℃の温度、好ましくは300℃〜600℃の温度に1分〜100時間曝すことで窒素化した後、更にAr、Heなどの不活性ガス雰囲気下、102〜106Paの圧力で、800℃〜1500℃の温度、好ましくは850℃〜1100℃の温度に1分〜100時間曝すことで窒化したニオブを一窒化二ニオブ結晶に変化させることにより、ジルコニウム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金を製造しても良い。この方法は、ニオブ合金の替わりに焼結後の焼結体に適用してもよい。
更に、他の製造方法として、ニオブインゴット、ペレット状の水素化物の粉砕による方法、及びこの水素化ニオブ粉を脱水素する方法、あるいはフッ化ニオブ酸カリウムのナトリウム還元物の粉砕による方法、あるいは酸化ニオブの水素、炭素、マグネシウム、アルミニウム、セリウム、ランタン、ミッシュメタル等の少なくとも1種を使用して還元した還元物の粉砕などの方法によって製造されたニオブ粉または水素化ニオブ粉を用いて、窒素雰囲気下、102〜106Paの圧力で、200℃〜750℃の温度、好ましくは300℃〜600℃の温度に1分〜100時間曝すことで窒素化した後、更にAr、Heなどの不活性ガス雰囲気下、102〜106Paの圧力で、800℃〜1500℃の温度、好ましくは850℃〜1100℃の温度に1分〜100時間曝すことで窒化したニオブを一窒化二ニオブ結晶に変化させ、必要とあれば解砕などの工程を用いて一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ粉を得たのち、ネオジムの粉体、ネオジムの水素化物、酸化物、硫化物、ホウ化物、炭化物、硫酸塩、ハロゲン化塩、硝酸塩、有機酸塩、錯塩などを混合しても良い。
このようにして得たネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金に平均粒径が0.05μm〜5μmのネオジム含有ニオブ粉及び/またはニオブ粉を混合して、一窒化二ニオブ結晶の含有量及び/またはネオジムの含有量を調整しても良いし、更に平均粒径が0.05μm〜5μmの一窒化二ニオブ結晶を混合してネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉中の一窒化二ニオブ結晶の含有量を調整しても良い。
本発明のコンデンサ用ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉は、前述したネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉を適当な形状に造粒した後、使用してもよいし、造粒後に未造粒のニオブ粉を適量混合して使用してもよい。
[造粒物]
造粒の方法として、例えば、未造粒のネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉を高減圧下に放置し適当な温度に加熱した後解砕する方法、樟脳、ポリアクリル酸、ポリメチルアクリル酸エステル、ポリビニルアルコールなどの適当なバインダーとアセトン、アルコール類、酢酸エステル類、水などの溶媒と未造粒、あるいは造粒したネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金を混合した後解砕する方法、樟脳、ポリアクリル酸、ポリメチルアクリル酸エステル、ポリビニルアルコールなどの適当なバインダーとアセトン、アルコール類、酢酸エステル類、水などの溶媒と未造粒、あるいは造粒したネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉を混合したのち高減圧下焼結し、添加したバインダーと溶媒を蒸発、昇華または熱分解し気体にすることにより除去したのち焼結したネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金塊を解砕する方法、酸化バリウム、酸化マグネシウムなどとアセトン、アルコール類、酢酸エステル類、水などの溶媒と未造粒、あるいは造粒したネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉を混合したのち高減圧下焼結し、解砕した後、硝酸、塩酸などの酸溶液やキレート剤を含む溶液で酸化バリウム、酸化マグネシウムなどを溶解することにより除去する方法等が挙げられる。
このようにして造粒したネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金は、焼結体を製造する際の加圧成形性を向上させる。この場合、造粒粉の平均粒径は、10〜500μmが好ましい。造粒粉の平均粒径が10μm以下では部分的にブロッキングを起こし、金型への流動性が悪くなる。500μm以上では加圧成形後の成形体が欠けやすい。さらに、加圧成形体を焼結した後、コンデンサを製造する際の陰極剤の含浸がしやすいことから、造粒粉の平均粒径は、30μm〜250μmが特に好ましい。このように造粒したネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉は、安息角が60度以下で極めて流れやすい。また表面が一部酸化され、その酸素含有量は、3000ppm〜100000ppmであり、装置や使用する原料などから混入する不純物としてのFe、Cr、Ni、Ba、Mg、Si、Al、炭素などの量は数100ppm以下であった。
本発明のコンデンサ用ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金焼結体は、前述したネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉あるいは造粒したネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金造粒粉を焼結して製造する。焼結体の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉を所定の形状に加圧成形した後に10-5〜102Paで数分〜数十時間、500℃〜2000℃、好ましくは900℃〜1500℃、さらに好ましくは900℃〜1300℃の範囲で加熱して得られる。
このようにして得られたネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉、造粒粉、焼結体の漏れ電流値をさらに改善するために、ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉、造粒粉、焼結体の一部を窒化、ホウ化、炭化、硫化、または複数のこれらによる処理をしてもよい。得られたネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金の窒化物、ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金のホウ化物、ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金の炭化物、ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金の硫化物、はいずれを含有してもよく、また、これらの2種以上の組み合わせであってもよい。
その結合量、すなわち、窒素、ホウ素、炭素、硫黄の含有量の総和は、ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金の形状にもよって変わるが、0ppmより多く200000ppm以下、好ましくは50ppm〜100000ppm、さらに好ましくは、200ppm〜20000ppmである。200000ppmを越えると容量特性が悪化し、コンデンサとして適さない。
ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉、造粒粉、焼結体の窒化方法は、液体窒化、イオン窒化、ガス窒化などのうち、何れかあるいは、それらの組み合わせた方法で実施することができる。窒素ガス雰囲気によるガス窒化は、装置が簡便で操作が容易なため好ましい。例えば、窒素ガス雰囲気によるガス窒化の方法は、前記ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉、造粒粉、焼結体を窒素雰囲気中に放置することにより達成される。窒化する雰囲気の温度は、2000℃以下、放置時間は100時間以内で目的とする窒化量のネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉、造粒粉、焼結体が得られる。また、より高温で処理することにより処理時間を短縮できる。
ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉、造粒粉、焼結体のホウ化方法は、ガスホウ化、固相ホウ化いずれであってもよい。例えば、ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉、造粒粉、焼結体をホウ素ペレットやトリフルオロホウ素などのハロゲン化ホウ素のホウ素源と共に、減圧下、2000℃以下で1分〜100時間程度、放置しておけばよい。
ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉、造粒粉、焼結体の炭化は、ガス炭化、固相炭化、液体炭化いずれであってもよい。例えば、ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉、造粒粉、焼結体を炭素材やメタンなどの炭素を有する有機物などの炭素源とともに、減圧下、2000℃以下で1分〜100時間程度放置しておけばよい。
ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉、造粒粉、焼結体の硫化方法は、ガス硫化、イオン硫化、固相硫化いずれであってもよい。例えば、硫黄ガス雰囲気によるガス硫化の方法は、前記ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金粉、造粒粉、焼結体を硫黄雰囲気中に放置することにより達成される。硫化する雰囲気の温度は、2000℃以下、放置時間は100時間以内で目的とする硫化量のニオブ粉、造粒粉、焼結体が得られる。また、より高温で処理することにより処理時間を短縮できる。
次に、コンデンサ素子の製造について説明する。
例えば、ニオブまたはタンタルなどの弁作用金属からなる、適当な形状及び長さを有するリードワイヤーを用意し、これを前述したニオブ粉の加圧成形時にリードワイヤーの一部が成形体の内部に挿入させるように一体成形して、リードワイヤーを前記焼結体の引き出しリードとなるように組み立て設計する。
前述した焼結体を一方の電極とし、対電極の間に介在した誘電体とからコンデンサを製造することができる。ここでコンデンサの誘電体として、酸化ニオブを主体とする誘電体が好ましく挙げられる。酸化ニオブを主体とする誘電体は、例えば、一方の電極であるネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金焼結体を電解液中で化成することによって得られる。ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金電極を電解液中で化成するには、通常プロトン酸水溶液、例えば、0.1%リン酸水溶液、硫酸水溶液または1%の酢酸水溶液、アジピン酸水溶液等を用いて行われる。ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金電極を電解液中で化成して酸化ニオブ誘電体を得る場合、本発明のコンデンサは、電解コンデンサとなりネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金電極が陽極となる。
本発明のコンデンサにおいて、ニオブ焼結体の対電極は格別限定されるものではなく、例えば、アルミ電解コンデンサ業界で公知である電解液、有機半導体及び無機半導体から選ばれる少なくとも1種の材料(化合物)が使用できる。電解液の具体例としては、イソブチルトリプロピルアンモニウムボロテトラフルオライド電解質を5質量%溶解したジメチルホルムアミドとエチレングリコールの混合溶液、テトラエチルアンモニウムボロテトラフルオライドを7質量%溶解したプロピレンカーボネートとエチレングリコールの混合溶液などが挙げられる。有機半導体の具体例としては、ベンゾピロリン4量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、あるいは下記一般式(1)または一般式(2)で表される繰り返し単位を含む導電性高分子が挙げられる。
Figure 2009033182
式中、R1〜R4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1乃至10の直鎖上もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、アルコキシ基あるいはアルキルエステル基、またはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、1級、2級もしくは3級アミノ基、CF3基、フェニル基及び置換フェニル基からなる群から選ばれる一価基を表わす。R1とR2及びR3とR4の炭化水素鎖は互いに任意の位置で結合して、かかる基により置換を受けている炭素原子と共に少なくとも1つ以上の3〜7員環の飽和または不飽和炭化水素の環状構造を形成する二価鎖を形成してもよい。前記環状結合鎖には、カルボニル、エーテル、エステル、アミド、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、イミノの結合を任意の位置に含んでもよい。Xは酸素、硫黄または窒素原子を表し、R5はXが窒素原子の時のみ存在して、独立して水素または炭素数1乃至10の直鎖上もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基を表す。
さらに、本発明においては前記一般式(1)または一般式(2)のR1〜R4は、好ましくは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1乃至6の直鎖上もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基またはアルコキシ基を表し、R1とR2及びR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。
さらに、本発明においては、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む導電性高分子は、好ましくは下記一般式(3)で示される構造単位を繰り返し単位として含む導電性高分子が挙げられる。
Figure 2009033182
式中、R6及びR7は、各々独立して水素原子、炭素数1乃至6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和のアルキル基、または該アルキル基が互いに任意の位置で結合して、2つの酸素元素を含む少なくとも1つ以上の5〜7員環の飽和炭化水素の環状構造を形成する置換基を表わす。また、前記環状構造には置換されていてもよいビニレン結合を有するもの、置換されていてもよいフェニレン構造のものが含まれる。
このような化学構造を含む導電性高分子は、荷電されており、ドーパントがドープされる。ドーパントには公知のドーパントが制限なく使用できる。
無機半導体の具体例としては、二酸化鉛または二酸化マンガンを主成分とする無機半導体、四三酸化鉄からなる無機半導体などが挙げられる。このような半導体は単独でも、または2種以上組み合わせて使用してもよい。
一般式(1)または一般式(2)で表される繰り返し単位を含む重合体としては、例えば、ポリアニリン、ポリオキシフェニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリメチルピロール、及びこれらの置換誘導体や共重合体などが挙げられる。中でもポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘導体(例えばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)等)が好ましい。
上記有機半導体及び無機半導体として、電導度10-2〜103S/cmの範囲のものを使用すると、作製したコンデンサのインピーダンス値がより小さくなり高周波での容量をさらに一層大きくすることができる。
前記導電性高分子層を製造する方法としては、例えばアニリン、チオフェン、フラン、ピロール、メチルピロールまたはこれらの置換誘導体の重合性化合物を、脱水素的2電子酸化の酸化反応を充分行わせ得る酸化剤の作用で重合する方法が採用される。重合性化合物(モノマー)からの重合反応は、例えばモノマーの気相重合、溶液重合等があり、誘電体を有するニオブ焼結体の表面に形成される。導電性高分子が溶液塗布可能な有機溶媒可溶性のポリマーの場合には、表面に塗布して形成する方法が採用される。
溶液重合による好ましい製造方法の1つとして、誘電体層を形成したニオブ焼結体を、酸化剤を含む溶液(溶液1)に浸漬し、次いでモノマー及びドーパントを含む溶液(溶液2)に浸漬して重合し、該表面に導電性高分子層を形成得する方法が例示される。また、前記焼結体を、溶液2に浸漬した後で溶液1に浸漬してもよい。また、前記溶液2においては、ドーパントを含まないモノマー溶液として前記方法に使用してもい。また、ドーパントを使用する場合、酸化剤を含む溶液に共存させて使用してもよい。
このような重合工程操作を、誘電体を有する前記ニオブ焼結体に対して1回以上、好ましくは3〜20回繰り返すことによって緻密で層状の導電性高分子層を容易に形成することができる。
本発明のコンデンサの製造方法においては、酸化剤はコンデンサ性能に悪影響を及ぼすことなく、その酸化剤の還元体がドーパントになって導電性高分子の電動度を向上させ得る酸化剤であればよく、工業的に安価で製造上取り扱いの容易な化合物が好まれる。
このような酸化剤としては、具体的には、例えばFeCl3やFeClO4、Fe(有機酸アニオン)塩等のFe(III)系化合物類、または無水塩化アルミニウム/塩化第一銅、アルカリ金属過硫酸塩類、過硫酸アンモニウム塩類、過酸化物類、過マンガン酸カリウム等のマンガン類、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、テトラクロロ−1,4−ベンゾキノン、テトラシアノ−1,4−ベンゾキノン等のキノン類、よう素、臭素等のハロゲン類、過酸、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロ硫酸、フルオロ硫酸、アミド硫酸等のスルホン酸、オゾン等及びこれら複数の酸化剤の組み合わせが挙げられる。
これらの中で、前記Fe(有機酸アニオン)塩を形成する有機酸アニオンの基本化合物としては、有機スルホン酸または有機カルボン酸、有機リン酸、有機ホウ酸等が挙げられる。有機スルホン酸の具体例としては、ベンゼンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、α−スルホ−ナフタレン、β−スルホ−ナフタレン、ナフタレンジスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸(アルキル基としてはブチル、トリイソプロピル、ジ−t−ブチル等)等が使用される。
一方、有機カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、シュウ酸等が挙げられる。さらに本発明においては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸ポリ−α−メチルスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリリン酸等の高分子電解質アニオンも使用される。なお、これら有機スルホン酸または有機カルボン酸の例は単なる例示であり、これらに限定されるものではない。また、前記アニオンの対カチオンは、H+、Na+、K+等のアルカリ金属イオン、または水素原子やテトラメチル基、テトラエチル基、テトラブチル基、テトラフェニル基等で置換されたアンモニウムイオン等が例示されるが、これらに限定されるものではない。前記の酸化剤のうち、特に好ましいのは、3価のFe系化合物類、または塩化第一銅系、過硫酸アルカリ塩類、過硫酸アンモニウム塩類酸類、キノン類を含む酸化剤である。
導電性高分子の重合体組成物の製造方法において必要に応じて共存させるドーパント能を有するアニオン(酸化剤の還元体アニオン以外のアニオン)は、前述の酸化剤から産生される酸化剤アニオン(酸化剤の還元体)を対イオンに持つ電解質アニオンまたは他の電解質アニオンを使用することができる。具体的には例えば、PF6 -、SbF6 -、AsF6 -の如き5B族元素のハロゲン化物アニオン、BF4 -の如き3B族元素のハロゲン化物アニオン、I-(I3 -)、Br-、Cl-の如きハロゲンアニオン、ClO4 -の如き過ハロゲン酸アニオン、AlCl4 -、FeCl4 -、SnCl5 -等の如きルイス酸アニオン、あるいはNO3 -、SO4 2-の如き無機酸アニオン、またはp−トルエンスルホン酸やナフタレンスルホン酸、炭素数1乃至5(C1〜5と略する)のアルキル置換ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸アニオン、CF3SO3 -,CH3SO3 -の如き有機スルホン酸アニオン、またはCH3COO-、C65COO-のごときカルボン酸アニオン等のプロトン酸アニオンを挙げることができる。
また、同じく、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニル硫酸、ポリ−α−メチルスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリリン酸等の高分子電解質のアニオン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。しかしながら、好ましくは、高分子系及び低分子系の有機スルホン酸化合物あるいはポリリン酸化合物のアニオンが挙げられ、望ましくは芳香族系のスルホン酸化合物(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム等)がアニオン供出化合物として用いられる。
また、有機スルホン酸アニオンのうち、さらに有効なドーパントとしては、分子内に1つ以上のスルホアニオン基(−SO3 -)とキノン構造を有するスルホキノン化合物や、アントラセンスルホン酸アニオンが挙げられる。
前記スルホキノン化合物のスルホキノンアニオンの基本骨格として、p−ベンゾキノン、o−ベンゾキノン、1,2−ナフトキノン、1,4−ナフトキノン、2,6−ナフトキノン、9,10−アントラキノン、1,4−アントラキノン、1,2−アントラキノン、1,4−クリセンキノン、5,6−クリセンキノン、6,12−クリセンキノン、アセナフトキノン、アセナフテンキノン、カンホルキノン、2,3−ボルナンジオン、9,10−フェナントレンキノン、2,7−ピレンキノンが挙げられる。
対電極(対極)が固体の場合には、所望により用いられる外部引き出しリード(例えば、リードフレームなど)との電気的接触をよくするため、その上に導電体層を設けてもよい。
導電体層としては、例えば、導電ペーストの固化、メッキ、金属蒸着、耐熱性の導電樹脂フィルムなどにより形成することができる。導電ペーストとしては、銀ペースト、銅ペースト、アルミペースト、カーボンペースト、ニッケルペーストなどが好ましいが、これらは、1種を用いても2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合、混合してもよく、または別々の層として重ねてもよい。導電ペースト適用した後、空気中に放置するか、または加熱して固化せしめる。メッキとしては、ニッケルメッキ、銅メッキ、銀メッキ、アルミメッキなどが挙げられる。また、蒸着金属としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀などが挙げられる。
具体的には、例えば第二の電極上にカーボンペースト、銀ペーストを順次積層し、エポキシ樹脂のような材料で封止してコンデンサが構成される。このコンデンサは、ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ焼結体と一体に焼結成形された、または、後で溶接されたニオブ、ニオブ合金、一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ、一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金、または、タンタルリードを有していてもよい。
以上のような構成の本発明のコンデンサは、例えば、樹脂モールド、樹脂ケース、金属性の外装ケース、樹脂のディッピング、ラミネートフィルムによる外装により各種用途のコンデンサ製品とすることができる。
また、対電極が液体の場合には、前記両極と誘電体から構成されたコンデンサを、例えば、対電極と電気的に接続した缶に収納してコンデンサが形成される。この場合、ネオジム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ焼結体の電極側は、前記した、ニオブ、ニオブ合金、一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ、一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金、または、タンタルリードを介して外部に導出すると同時に、絶縁性ゴムなどにより、缶との絶縁がはかられるように設計される。
以上、説明した本発明の実施態様にしたがって製造したニオブ合金を用いてコンデンサ用焼結体を作製し、該焼結体からコンデンサを製造することにより、漏れ電流値の小さく、高温特性及び耐熱特性の両方を満足した信頼性の良好なコンデンサを得ることができる。
また、本発明のコンデンサは、従来のタンタルコンデンサよりも容積の割に静電容量が大きく、より小型のコンデンサ製品を得ることができる。
これらの特性を持つ本発明のコンデンサは、例えば、アナログ回路及びデジタル回路中のバイパスコンデンサ、カップリングコンデンサとしての用途、電源回路で使用される大容量の平滑コンデンサとしての用途、及び従来のタンタルコンデンサの用途にも適用できる。
一般に、このようなコンデンサは電子回路中で多用されるので、本発明のコンデンサを用いれば、電子部品の配置や排熱の制約が緩和され、信頼性の高い電子回路を従来より狭い空間に収めることができる。さらに、本発明のコンデンサを用いれば、従来より小型で信頼性の高い電子機器、例えば、コンピュータ、PCカード等のコンピュータ周辺機器、携帯電話などのモバイル機器、家電製品、車載機器、人口衛星、通信機器等を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
なお、各例における物性等の測定、評価方法は以下の通りである。
(1)一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金中の一窒化二ニオブ結晶の含有量
一窒化二ニオブ結晶及びニオブ合金に、質量既知の前記結晶を混合した後、X線回折測定した時の2θ回折強度と前記混合質量より作成した検量線より算出した。
(2)一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ合金中のニオブ以外の合金成分の含有量
原子吸光分析、ICP発光分析またはICP質量分析により求めた。
(3)コンデンサの容量測定
室温において、作製したチップの端子間にヒューレットパッカード社製LCR測定器(プレシジョンLCRメーターHP4284A型)を接続し、120Hzでの容量をチップ加工したコンデンサの容量とした。
(4)コンデンサの漏れ電流測定
室温において、定格電圧値(2.5V、4V、6.3V、10V、16V、25V等)のうち、誘電体作製時の化成電圧(直流、20V)の約1/3〜約1/4に近い直流電圧(6.3V)を、作製したチップの端子間に1分間印加し続けた後に測定された電流値をチップに加工したコンデンサの漏れ電流値とした。
(5)コンデンサの高温特性
105℃の雰囲気下、コンデンサを4V電圧印加した状態で2000時間放置した後、室温に戻したときの容量Cとの比:(C−C0)/Cを高温特性と定義し、この比が±20%以内に収まるものを良品と判定して、試料数と良品数の比で評価した。試料数は、各例とも50個とした。
(6)コンデンサの耐熱性
コンデンサを厚さ1.5mmの積層基板にハンダとともに搭載して、230℃のリフロー炉に30秒かけて通過させ、これを3回繰り返した。通常、コンデンサは、リフロー炉通過時に約230℃×30秒×3回加熱され、実用的な熱履歴(例えは、基板の表面に実装した部品のハンダ付け、基板の裏面に実装したハンダ付け、後付部品のハンダ付けを実施した場合の3回のハンダ付け熱履歴)に対しての評価がなされる。
リフロー炉を通過させる前と3回通過した後のLC値を定格6.3Vで測定し、LC値が0.05CVμA以下のものを良品と判定して、試料数と良品数の比で評価した。試料数は、各例とも50個とした。
焼結体の作成法1:
ニオブインゴット198gとジルコニウムの粉末2gを用い、アーク溶解でジルコニウムを1原子%含むジルコニウム含有ニオブインゴット(合金)を作製した。このインゴット150gをSUS304製の反応容器に入れ、400℃で10時間水素を導入し続けた。冷却後、水素化されたジルコニウム含有ニオブ塊を、SUS製ボールを入れたSUS304製のポットに入れ10時間粉砕した。次に、SUS304製のスパイクミルに、この水素化物を水で20体積%のスラリーにしたもの及びジルコニアボールを入れ、7時間湿式粉砕した。このスラリーを遠心沈降の後、デカンテーションして粉砕物を取得した。粉砕物を1.33×102Pa、50℃の条件で減圧乾燥した。続いて、水素化ジルコニウム含有ニオブ粉を1.33×10-2Pa、400℃で1時間加熱し脱水素した。作製したジルコニウム含有ニオブ粉の平均粒径は1μmであり、ジルコニウム含有量は1原子%(1質量%)であった。
このジルコニウム含有ニオブ粉100gと、平均粒径が0.8μmの一窒化二ニオブ結晶100gをジルコニア製ボールとともにSUS304製のポットに入れ、更にイオン交換水200gを加え、毎分40回のスピードで回転させ、3時間混合した。このスラリーを1.33×102Pa、50℃の条件で減圧乾燥した。続いて、ニオブ製のバットに入れたジルコニウム含有ニオブ粉と一窒化二ニオブ結晶の混合粉を焼結炉に入れ、焼結体系内をアルゴン置換した後、6×10-3Paの減圧下、1100℃で造粒した。その後、この造粒塊を解砕し、平均粒径110μmの造粒粉を得た。この造粒粉のジルコニウム含有量は0.5質量%であり、一窒化二ニオブ結晶の含有量は50質量%であった。
このようにして得られた、ジルコニウム−一窒化二ニオブ結晶含有ニオブ造粒粉を0.3mmφのニオブ線と共に成形し、およそ0.3cm×0.18cm×0.45cmの成形体(約0.1g)を作製した。
次にこれらの成形体を4×10-3Paの減圧下、1200℃で30分放置することにより実施例の焼結体を得た。
焼結体の作成法2:
ニオブペレット9200gとジルコニウムペレット92gをよく混合し、電子ビーム溶解法でジルコニウム1原子%含むジルコニウム含有ニオブインゴット(合金)を作製した。このインゴット5000gをSUS304製の反応容器に入れ、400℃で10時間水素を導入し続けた。冷却後、水素化されたジルコニウム含有ニオブ塊を、SUS製ボールを入れたSUS304製のポットに入れ10時間粉砕した。次に、SUS304製のスパイクミルに、この水素化物を水で20体積%のスラリーにしたもの及びジルコニアボールを入れ、10時間湿式粉砕した。このスラリーを遠心沈降の後、デカンテーションして粉砕物を取得した。粉砕物を1.33×102Pa、50℃の条件で減圧乾燥した。続いて、水素化ジルコニウム含有ニオブ粉を1.33×10-2Pa、400℃で1時間加熱し脱水素した。作製したジルコニウム含有ニオブ粉の平均粒径は0.9μmであり、ジルコニウム含有量は1原子%(1質量%)であった。続いて、ニオブ製のバットに入れたジルコニウム含有ニオブ粉を焼結炉に入れ、焼結体系内をアルゴン置換した後、6×10-3Paの減圧下、1100℃で造粒した。その後、この造粒塊を解砕し、平均粒径90μmの造粒粉を得た。この造粒粉のジルコニウム含有量は1質量%であった。
このジルコニウム含有ニオブ造粒粉をモリブデン製の反応容器に入れ、反応容器内を充分に窒素置換した後、窒素を流しながら580℃で5時間加熱し続け窒化した。室温まで冷却の後、反応容器内を充分にAr置換した後、950℃で8時間加熱して、一窒化二ニオブ結晶に変化させた。室温まで冷却の後、ジルコニウム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ造粒粉を得た。
このジルコニウム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ造粒粉中のジルコニウム含有量は0.9質量%であり、一窒化二ニオブ結晶の含有量は55質量%であった。
このようにして得られた、ジルコニウム−一窒化二ニオブ結晶含有ニオブ造粒粉を0.3mmφのニオブ線と共に成形し、およそ0.3cm×0.18cm×0.45cmの成形体(約0.1g)を作製した。
次にこれらの成形体を4×10-3Paの減圧下、1200℃で30分放置することにより実施例の焼結体を得た。
焼結体の作成法3:
ニッケル製坩堝中、80℃で充分に減圧乾燥したフッ化ニオブ酸カリウム2000gにナトリウムをフッ化ニオブ酸カリウムの10倍モル量を投入し、アルゴン雰囲気下1000℃で20時間還元反応を行った。反応後冷却させ、還元物を水洗した後に、95%硫酸、水で順次洗浄した後に減圧乾燥した。さらにシリカアルミナボール入りのアルミナポットのボールミルを用いて10時間粉砕した後、粉砕物を50%硝酸と10%過酸化水素水の3:2(質量比)混合液中に浸漬撹拌した。その後、pHが7になるまで充分水洗して不純物を除去し、減圧乾燥した。作製したニオブ粉の平均粒径は0.9μmであった。
このニオブ粉500gをモリブデン製の反応容器に入れ、反応容器内を充分に窒素置換した後、窒素を流しながら500℃で10時間加熱し続け窒化した。室温まで冷却の後、反応容器内を充分にAr置換し、800℃で20時間加熱して、一窒化二ニオブ結晶に変化させた。室温まで冷却の後、一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ粉を得た。
この一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ粉500gと平均粒径が0.9μmの水素化ジルコニウム10gをジルコニア製ボールとともにSUS304製のポットに入れ、更にイオン交換水200gを加え、毎分20回のスピードで回転させ、5時間混合した。このスラリーを1.33×102Pa、50℃の条件で減圧乾燥した。続いて、ニオブ製のバットにこの水素化ジルコニウムと一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ粉の混合粉を入れた後、焼結炉にバットを入れ、焼結体系内をアルゴン置換した後、6×10-3Paの減圧下、1150℃で造粒した。その後、この造粒塊を解砕し、平均粒径150μmの造粒粉を得た。
このジルコニウム−一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ造粒粉中のジルコニウム含有量は1.8質量%であり、一窒化二ニオブ結晶の含有量は25質量%であった。
このようにして得られた、ジルコニウム−一窒化二ニオブ結晶含有ニオブ造粒粉を0.3mmφのニオブ線と共に成形し、およそ0.3cm×0.18cm×0.45cmの成形体(約0.1g)を作製した。
次にこれらの成形体を4×10-3Paの減圧下、1200℃で30分放置することにより実施例の焼結体を得た。
焼結体の作成法4:
ニオブインゴット500gをSUS304製の反応容器に入れ、400℃で10時間水素を導入し続けた。冷却後、水素化されたニオブ塊を、SUS製ボールを入れたSUS304製のポットに入れ10時間粉砕した。次に、SUS304製のスパイクミルに、この水素化物を水で20体積%のスラリーにしたもの及びジルコニアボールを入れ、7時間湿式粉砕した。このスラリーを遠心沈降の後、デカンテーションして粉砕物を取得した。粉砕物を1.33×102Pa、50℃の条件で減圧乾燥した。
続いて、水素化ニオブ粉を1.33×10-2Pa、400℃で1時間加熱し脱水素した。作製したニオブ粉の平均粒径は1μmであった。このニオブ粉を4×10-3Paの減圧下、1100℃で造粒した。その後、造粒塊を解砕し、平均粒径100μmの造粒粉を得た。
このようにして得られた、ニオブ造粒粉を0.3mmφのニオブ線と共に成形し、およそ0.3cm×0.18cm×0.45cmの成形体(約0.1g)を作製した。
次にこれらの成形体を4×10-3Paの減圧下、1200℃で30分放置することにより比較例の焼結体を得た。
焼結体の作成法5:
ニッケル製坩堝中、80℃で充分に減圧乾燥したフッ化ニオブ酸カリウム2000gにナトリウムをフッ化ニオブ酸カリウムの10倍モル量を投入し、アルゴン雰囲気下1000℃で20時間還元反応を行った。反応後冷却させ、還元物を水洗した後に、95%硫酸、水で順次洗浄した後に減圧乾燥した。さらにシリカアルミナボール入りのアルミナポットのボールミルを用いて10時間粉砕した後、粉砕物を50%硝酸と10%過酸化水素水の3:2(質量比)混合液中に浸漬撹拌した。その後、pHが7になるまで充分水洗して不純物を除去し、減圧乾燥した。作製したニオブ粉の平均粒径は0.9μmであった。このニオブ粉を4×10-3Paの減圧下、1100℃で造粒した。その後、造粒塊を解砕し、平均粒径100μmの造粒粉を得た。
このようにして得られた、ニオブ造粒粉を0.3mmφのニオブ線と共に成形し、およそ0.3cm×0.18cm×0.45cmの成形体(約0.1g)を作製した。
次にこれらの成形体を4×10-3Paの減圧下、1200℃で30分放置することにより比較例の焼結体を得た。
コンデンサの作成法1:
焼結体の作成法2と同様な方法で得た焼結体を各50個用意した。これらの焼結体を20Vの電圧で、0.1%リン酸水溶液を用い、6時間電解酸化して、表面に誘電体酸化皮膜を形成した。次に、60%硝酸マンガン水溶液に浸漬後220℃で30分加熱することを繰り返して、誘電体酸化皮膜上に対電極層として二酸化マンガン層を形成した。引き続き、その上に、カーボン層、銀ペースト層を順次積層した。次にリードフレームを載せた後、全体をエポキシ樹脂で封止して、チップ型コンデンサを作製した。
コンデンサの作成法2:
焼結体の作成法2と同様な方法で得た焼結体を各50個用意した。これらの焼結体を20Vの電圧で、0.1%リン酸水溶液を用い、6時間電解酸化して、表面に誘電体酸化皮膜を形成した。次に、35%酢酸鉛水溶液と35%過硫酸アンモニウム水溶液の1:1(容量比)混合液に浸漬後、40℃で1時間反応させることを繰り返して、誘電体酸化皮膜上に対電極層として二酸化鉛と硫酸鉛の混合層を形成した。引き続き、その上に、カーボン層、銀ペースト層を順次積層した。次にリードフレームを載せた後、全体をエポキシ樹脂で封止して、チップ型コンデンサを作製した。
コンデンサの作成法3:
焼結体の作成法2と同様な方法で得た焼結体を各50個用意した。これらの焼結体を20Vの電圧で、0.1%リン酸水溶液を用い、6時間電解酸化して、表面に誘電体酸化皮膜を形成した。次に、誘電体酸化被膜の上に、過硫酸アンモニウム10%水溶液とアントラキノンスルホン酸0.5%水溶液の等量混合液を接触させた後、ピロール蒸気を触れさせる操作を少なくとも5回行うことによりポリピロールからなる対電極(対極)を形成した。
引き続き、その上に、カーボン層、銀ペースト層を順次積層した。次にリードフレームを載せた後、全体をエポキシ樹脂で封止して、チップ型コンデンサを作製した。
コンデンサの作成法4:
焼結体の作成法2と同様な方法で得た焼結体を各50個用意した。これらの焼結体を20Vの電圧で、0.1%リン酸水溶液を用い、6時間電解酸化して、表面に誘電体酸化皮膜を形成した。次に、このニオブ燒結体を、過硫酸アンモニウム25質量%を含む水溶液(溶液1)に浸漬した後引き上げ、80℃で30分乾燥させ、次いで誘電体を形成した燒結体を、3,4−エチレンジオキシチオフェン18質量%を含むイソプロパノール溶液(溶液2)に浸漬した後引き上げ、60℃の雰囲気に10分放置することで酸化重合を行った。これを再び溶液1に浸漬し、さらに前記と同様に処理した。溶液1に浸漬してから酸化重合を行うまでの操作を8回繰り返した後、50℃の温水で10分洗浄を行い、100℃で30分乾燥を行うことにより、導電性のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)からなる対電極(対極)を形成した。
引き続き、その上に、カーボン層、銀ペースト層を順次積層した。次にリードフレームを載せた後、全体をエポキシ樹脂で封止して、チップ型コンデンサを作製した。
実施例1〜40:
焼結体の作成法1または2と同様な方法で表2に示すように一窒化二ニオブ結晶の含有量、合金成分の含有量を変化させて焼結体を作成した。この焼結体50個について、コンデンサの作成法1〜4の何れかの方法を用いてコンデンサを作成した。このコンデンサ(50個)について、耐熱特性及び高温特性を評価した。その結果を表2に示す。
実施例41〜60:
焼結体の作成法3と同様な方法で、一窒化二ニオブ結晶を含有するニオブ粉と表3に示した種類と量の添加物(合金成分となる元素またはその化合物)を用いて焼結体を作成した。この焼結体50個について、コンデンサの作成法1〜4の何れかの方法を用いてコンデンサを作成した。このコンデンサ(50個)について、耐熱特性及び高温特性を評価した。その結果を表3に示す。
比較例1〜8:
実施例1〜60と比較するために、一窒化二ニオブ結晶及び他方の合金成分を含まないニオブ焼結体を焼結体の作成方法4または5と同様な方法で作成した。この焼結体50個についてコンデンサの作成法1〜4の何れかの方法を用いてコンデンサを作成した。このコンデンサ(50個)について、耐熱特性及び高温特性を評価した。その結果を表2及び表3に示す。
Figure 2009033182
Figure 2009033182

Claims (8)

  1. ニオブを含む粉体を焼結してニオブ合金の焼結体を得、この焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に誘電体を形成し、前記誘電体上に対電極を設けるコンデンサの製造法であって、一窒化二ニオブ結晶を焼結体に含有させる工程を含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。
  2. 一窒化二ニオブ結晶を焼結体に含有させる工程が、ニオブを含む粉体に、一窒化二ニオブ結晶及び/またはその水素化物を混合することにより行なわれる請求項1に記載のコンデンサの製造方法。
  3. 一窒化二ニオブ結晶を焼結体に含有させる工程が、ニオブを含む粉体を窒化し、窒化したニオブより一窒化二ニオブ結晶を生成させることにより行なわれる請求項1に記載のコンデンサの製造方法。
  4. 一窒化二ニオブ結晶を焼結体に含有させる工程が、ニオブ合金の焼結体を窒化し、窒化したニオブより一窒化二ニオブ結晶を生成させることにより行なわれる請求項1に記載のコンデンサの製造方法。
  5. 一窒化二ニオブ結晶の生成が、不活性ガス雰囲気下、102〜106Pa、800℃〜1500℃に1分〜100時間曝すことにより行われる請求項3または4に記載のコンデンサの製造方法。
  6. ニオブを含む粉体が、ニオブ合金及び/またはその水素化物である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンデンサの製造方法。
  7. ニオブを含む粉体が、ニオブ及び/またはその水素化物と、周期律表の2族乃至16族からなる群から選ばれる少なくとも1種のニオブ合金の合金成分となる元素とを含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンデンサの製造方法。
  8. 合金成分が周期律表の3族乃至16族からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である請求項7に記載のコンデンサの製造方法。
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