JP4647744B2 - コンデンサ用ニオブ粉、それを用いた焼結体及びそれを用いたコンデンサ - Google Patents

コンデンサ用ニオブ粉、それを用いた焼結体及びそれを用いたコンデンサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容量低下の無いコンデンサ用ニオブ粉、それを用いた焼結体及びその焼結体を用いたコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話やパーソナルコンピューター等の電子機器に使用されるコンデンサは、小型大容量のものが望まれている。このようなコンデンサの中でもタンタルコンデンサは、単位容積あたりの容量が大きく、しかも性能が良好なため好んで使用されている。このタンタルコンデンサの陽極体として、タンタル粉の焼結体が一般的に使用されている。タンタルコンデンサの容量を上げるためには、焼結体質量を増大させるか、又はタンタル粉を微細化して表面積を増加させた焼結体を用いる必要がある。前者の焼結体質量を増加させる方法では、コンデンサの形状が必然的に増大し小型化の要求を満たさない。
【0003】
一方、後者のタンタル粉を微細化して表面積を増加する方法では、タンタル焼結体の細孔径が小さくなり、又焼結段階で閉鎖孔が多くなり、後工程における陰極剤の含浸が困難になる。
これらの欠点を解決する方策の1つとして、タンタルより誘電率の大きい材料を用いた焼結体のコンデンサが考えられている。これらの誘電率の大きい材料としてニオブがある。
【0004】
特開昭55−157226号公報には、タンタル、チタン、ニオブ、アルミニウムなどのを主成分とする合金が弁作用粉末として使用され、その凝集粉から粒径2.0μmあるいはそれ以下のニオブ微粉末を加圧成型して焼結し、その成型焼結体を細かく裁断し、これにリード部を接合した後再び焼結するコンデンサ用焼結素子の製造方法が開示されている。しかしながら、該公報にはタンタル含有量とニオブ粉量について何ら開示も示唆もなく、また、このような粉体を使用したコンデンサの特性については、何ら開示されていない。
【0005】
米国特許4,084,965号公報には、ニオブインゴットを水素化して粉砕し、5.1μmのニオブ粉末を得、これを用いたコンデンサが開示されているが、タンタル含有量とニオブ粉量について何ら開示も示唆もない。
【0006】
一方、ニオブは漏れ電流(以下LC値と略する。)特性が不良であるが、本発明者等は、ニオブの一部を窒化すること等によりLC値が改善できることを先に提案した(特開平10−242004号公報)。さらにLC値を低下させるためには、例えば前述のニオブの焼結体を作製する時の焼結温度を高くすることによって達成できるが、一方焼結温度を高くすると作製した焼結体の質量あたりの容量(Cと略する。)と焼結体表面に誘電体を形成する時の化成電圧(Vと略する。)との積(以下CV値と略する)が小さくなってしまうという問題もある。
【0007】
また、CV値は前記焼結体の表面積に比例するものと考えられ、該焼結体の表面積はニオブ粉の製造条件、成型条件及びニオブ焼結体を得る時の焼結条件が同一ならば、ニオブ粉の比表面積に依存するものと予測される。しかしながら、各条件を同一にしてニオブ粉からニオブ焼結体を作製しても、作製したニオブ焼結体のCV値が常に同一とはならず、低下するという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題点に鑑み、本発明は、CV値の低下の無いニオブ焼結体、該ニオブ焼結体を作製するニオブ粉、該ニオブ焼結体を用いたコンデンサを提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討し、タンタル含有量(以下、質量ppmを単にppmと略する。)を所定以下にすることにより、CV値の低下の無いニオブ焼結体を製造するコンデンサ用ニオブ粉を開発し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の発明からなる。
[1]タンタル含有量が700質量ppm以下であるニオブ粉を焼結した焼結体を一方の電極とし、他方の電極との間に介在した誘電体とから構成されたコンデンサであって、他方の電極が、有機半導体であるコンデンサ。
[2]有機半導体が、ベンゾピロリン四量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、及び下記一般式(1)または(2)
【化1】
Figure 0004647744
(式中、R1〜R4は水素、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、これらは互いに同一であっても相違してもよく、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R1とR2及びR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。)で示される繰り返し単位を2以上含む重合体にドーパントをドープした電導性高分子を主成分とした有機半導体からなる群より選ばれた少なくとも一種の有機半導体である上記[1]に記載のコンデンサ。
【0010】
[3]有機半導体が、ポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘導体から選ばれた少なくとも一種である上記[2]に記載のコンデンサ
[4]ニオブ粉が、その一部窒化されたニオブ粉である上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【0011】
[5]窒化量が、500質量ppm乃至7000質量ppmである上記[4]に記載のコンデンサ。
[6]焼結体が、ニオブ粉を減圧下、500℃〜2000℃で加熱することにより得られた焼結体である上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のコンデンサ。
【0012】
[7]ニオブ粉が、一次粒子の平均粒径が1μm以下のニオブ粉を造粒したニオブ粉である上記[1]〜[6]の何れか1項に記載のコンデンサ。
[8]誘電体が、電解酸化により形成した酸化ニオブであることを特徴とする上記[1]〜[7]の何れか1項に記載のコンデンサ。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の焼結体を得るための一形態を説明する。
ニオブ粉の原料の化合物としては、一般に入手できるものを用いることができる。例えば、ハロゲン化ニオブのマグネシウムやナトリウムによる還元、フッ化ニオブ酸カリウムのナトリウム還元、フッ化ニオブ酸カリウムのニッケル陰極上への溶融塩(NaCl+KCl)電解、金属ニオブインゴットへの水素導入後の粉砕・脱水素等によって得られたニオブ粉を用いることができる。これらの方法によって得られたニオブ粉には、原料からタンタルが混入して含有している。
【0014】
本発明者らは、本発明においてニオブ粉中に含有するタンタル量を700ppm以下にしておくことが重要であることを見出した。タンタル含有量が700ppmより多いと作製したニオブ焼結体のCV値が低下する場合がある。一方、ニオブ粉中に含有するタンタル量を700ppm以下にするには、例えば、作製したニオブ粉を電子ビーム溶解させることにより精製するか、精製品を混合するなどして得ることができる。
【0015】
本発明において、ニオブ粉は1次粒子の平均粒径が1μm以下、好ましくは1μm〜0.1μmの範囲がよい。該平均粒径が1μmを越えると本発明の目的の1つである、高CV特性で低LC特性を有する焼結体を得ることが困難であり、原料として好ましくない。ここで、ニオブ粉の平均粒径とは、粒度分布測定器(商品名「マイクロトラック」)を用いて測定したD50値(累積質量%が50質量%に相当する粒径値)を採用することができる。
【0016】
このような平均粒径を有するニオブ粉は、例えばフッ化ニオブ酸カリウムのナトリウム還元物を粉砕して得る方法、あるいはニオブインゴットの水素化物を粉砕し脱水素して得る方法、酸化ニオブを炭素還元による製造する方法等によって得ることができる。例えば、ニオブインゴットの水素化物を粉砕し脱水素化して得る方法の場合、ニオブインゴットの水素化量と粉砕装置などによる粉砕時間を制御することにより、希望の平均粒径を有するニオブ粉を得ることができる。
【0017】
本発明のニオブ粉は、前記タンタル含有量を有するニオブ粉であって、さらに一部窒化されたニオブ粉であることが好ましい。窒化量は、数10ppm乃至数万ppmである。次に、該ニオブ粉から焼結体を作製し、後記するように該焼結体の表面に誘電体を形成して、リン酸水溶液中で漏れ電流値(LC値)を測定した場合、小さいLCとするには、前記窒化量は、500ppm以上7000ppm以下にすることが好ましい。ここで窒化量とは、ニオブ粉に吸着したものではなく、化学的に窒化したものである。
【0018】
ニオブ粉の窒化は、液体窒化法、イオン窒化法、ガス窒化法などのうち何れか一法で、あるいはそれらを組み合わせた方法で実施することができる。窒素ガス雰囲気下によるガス窒化処理は、装置が簡便で操作が容易なため好ましい。例えば、窒素ガス雰囲気によるガス窒化方法は、前記ニオブ粉を窒素雰囲気中に放置することによって達成される。窒化する雰囲気温度は、2000℃以下、放置時間は、数時間以内で目的とする窒化量のニオブ粉が得られる。高温で処理することにより処理時間を短くすることができる。前記ニオブ粉の窒化量は、被窒化物の窒化温度と窒化時間を予備実験等で確認した条件で管理することができる。
【0019】
本発明のニオブ粉は、前述したニオブ粉を適当な形状に造粒した後使用しても良いし、造粒後に未造粒のニオブ粉を適量混合して用いても良い。造粒方法として、従来公知の方法が採用できる。例えば、未造粒ニオブ粉を高温真空下に放置して一体化(凝集固化)した後、解砕する方法、あるいは適当なバインダーと未造粒ニオブ粉を混合した後、解砕する方法等が挙げられる。
【0020】
この時に、ニオブ粉とバインダーとの混練りには場合により溶媒を使用しても良く、この場合混練り後には乾燥して解砕する方法が採用される。バインダーには、一般的にポリビニルアルコール、アクリル樹脂等が考えられる。前記溶媒には、アセトン、アルコール類、酢酸ブチル等のエステル類、水等から選択されたものが使用できる。
このようにして造粒したニオブ造粒品は、平均粒径が300μm以下、好ましくは200μm以下、さらに好ましくは200μm〜1μmにすることがよい。
【0021】
本発明のニオブ焼結体は、前述したニオブ粉を焼結して製造する。焼結体の製造方法の一例を以下に示す。なお、焼結体の製造方法は、この例に限定されるものではない。例えば、ニオブ粉を所定の形状に加圧成型した後、減圧下、例えば133×10-6Pa(パスカル)で、数分〜数時間、500℃〜2000℃あるいは好ましくは900℃〜1500℃、さらに好ましくは900℃〜1250℃で加熱して得られる。
【0022】
ニオブ粉の焼結する温度の下限は、ニオブ粉の平均粒径に依存して変化し、例えば平均粒径が小さいニオブ粉ほど下限温度は下がる。一方、平均粒径を一定にして焼結温度を変化させた場合、通常焼結温度が低いと作製した焼結体はCV値が大きくなるもののLC値が大きくなりコンデンサの材料としての実用に耐えることが困難である。
【0023】
次に、コンデンサ素子の製造について説明する。
まず、ニオブ又はタンタル等の弁作用金属からなる適当な形状・長さの、ニオブやタンタル等の弁作用金属からなるリードワイヤーを用意し、これを前述したニオブ粉の加圧成型時に該リードワイヤーの一部が成型体の内部に挿入させるように一体成型して、該リードワイヤーを前記焼結体の引き出しリードとなるように設計する。
【0024】
前述した焼結体を一方の電極とし、他方の電極の間に介在した誘電体とからコンデンサ素子を製造することができる。ここで、コンデンサの誘電体として酸化ニオブからなる誘電体が好ましく挙げられる。例えば、酸化ニオブからなる誘電体は、一方の電極であるニオブ焼結体を電解液中で化成することによって容易に得られる。ニオブ電極を電解液中で化成するには、通常プロトン酸水溶液、例えば、0. 1%リン酸水溶液または硫酸水溶液を用いて行われる。ニオブ電極を電解液中で化成して酸化ニオブからなる誘電体を得る場合、本発明のコンデンサは、電解コンデンサとなり、ニオブ側が陽極となる。
【0025】
一方、本発明のコンデンサの他方の電極は、格別限定されるものではなく、例えば、アルミ電解コンデンサ業界で公知である電解液、有機半導体及び無機半導体から選ばれた少なくとも一種の材料(化合物)が挙げられる。電解液の具体例としては、イソブチルトリプロピルアンモニウムボロテトラフルオライド電解質を5質量%溶解したジメチルホルムアミドとエチレングリコールの混合溶液、テトラエチルアンモニュウムボロテトラフルオライドを7質量%溶解したプロピレンカーボネートとエチレングリコールの混合溶液等が挙げられる。
【0026】
有機半導体の具体例としては、ベンゾピロリン四量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、下記一般式(1)または(2)
【0027】
【化3】
Figure 0004647744
(式中、R1〜R4は水素、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、これらは互いに同一であっても相違してもよく、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R1とR2及びR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。)で示される繰り返し単位を2以上含む重合体にドーパントをドープした電導性高分子を主成分とした有機半導体が挙げられる。ドーパントには公知のドーパントが制限なく使用できる。
【0028】
無機半導体の具体例としては、二酸化鉛または二酸化マンガンを主成分とする無機半導体、四三酸化鉄からなる無機半導体などが挙げられる。このような半導体は単独でも、または二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0029】
式(1)または(2)で示される繰り返し単位を2以上含む重合体としては、例えば、ポリアニリン、ポリオキシフェニレン、ポニフェニレンサルファイド、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリメチルピロール、及びこれらの置換誘導体や共重合体などが挙げられる。中でもポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘導体(例えばポリ(3,4−エチレンジオキソチオフェン)等)が好ましい。
【0030】
上記有機半導体及び無機半導体として、電導度10-2S・cm-1〜103 S・cm-1の範囲のものを使用すると、作製したコンデンサのインピーダンス値がより小さくなり、高周波での容量をさらに一層大きくすることができる。
さらに他方の電極が固体の場合には、その上に外部外出しリード(例えば、リードフレーム)との電気的接触をよくするために、導電体層を設けてよい。
【0031】
導電体層としては、例えば、導電ペーストの固化、メッキ、金属蒸着、耐熱性の導電樹脂フィルムの形成等により形成することができる。導電ペーストとしては、銀ペースト、銅ペースト、アルミペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト等が好ましいが、これらは1種を用いても2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合、混合してもよく、または別々の層として重ねてもよい。導電ペーストを適用した後、空気中に放置するか、または加熱して固化せしめる。メッキとしては、ニッケルメッキ、銅メッキ、銀メッキ、アルミメッキ等が挙げられる。また蒸着金属としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀等が挙げられる。
【0032】
具体的には、例えば第二の電極上にアルミペースト、銀ペーストを順次積層し、エポキシ樹脂のような材料で封止してコンデンサが構成される。このコンデンサは、ニオブ焼結体と一体に焼結成型された、または後で溶接されたニオブまたはタンタルリードを有していても良い。
以上のような構成の本発明のコンデンサは、例えば、樹脂モールド、樹脂ケース、金属性の外装ケース、樹脂のディッピング、ラミネートフイルムによる外装などの外装により各種用途のコンデンサ製品とすることができる。
また、他方の電極が液体の場合には、前記両極と誘電体から構成されたコンデンサを、例えば、他方の電極と電気的に接続した缶に収納してコンデンサが形成される。この場合、ニオブ焼結体の電極側は、前記したニオブまたはタンタルリードを介して外部に導出すると同時に、絶縁性ゴム等により、缶との絶縁がはかられるように設計される。
以上に説明したようにニオブ焼結体を作製することにより、容量低下の無いコンデンサ用焼結体及び該焼結体を用いたコンデンサを得ることができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
以下の実施例において、実施例5〜8、実施例13〜16、実施例21〜24は比較例として示す。
なお、下記の実施例において、ニオブ粉中に含有されるタンタルの質量は、原子吸光分析法により求めた。また、ニオブ粉の窒化量は、LECO社製の窒素酸素分析計を用いて求めた。
【0034】
ニオブ焼結体のCV値は、0.1%リン酸水溶液中80℃で200分間化成した時の化成電圧値(V)と、化成後の焼結体を30%硫酸水溶液中で測定した120Hz容量(C)との積として定義した。またニオブ焼結体の漏れ電流値(LC値)は、同条件の化成後の焼結体を20%リン酸水溶液中、化成電圧の70%の電圧で測定した電圧印加3分後の電流値として定義した。また、各実施例の数値は、20個の測定値の平均値である。
【0035】
実施例1〜8
(株)高純度化学研究所より購入したニオブ粉(タンタルを約900質量ppm含有)を電子ビーム熔解することによりニオブ塊(タンタル約200質量ppm含有)を得た。このニオブ塊と、別途購入したニオブインゴット(タンタル約1500質量ppm含有)を各々水素導入した後、湿式粉砕し、乾燥後脱水素してニオブ粉を得た(各平均粒径0.9μm)。このようにして得た2種類のニオブ粉を適当に混合することによりタンタル含有量が異なる8種類のニオブ粉を作製した。各ニオブ粉を133×10ー5 Paで1050℃で60分放置し室温に戻した後解砕し各粒径150μmの造粒粉とした。さらに300℃で2時間窒素気流中(1L/分)に放置することにより一部窒化した造粒粉(各窒化量1600〜1800質量ppm)とした。
ついで各造粒粉の一部から、大きさ1.8×3.5×4.5mmの成型体を20個づつ作製し133×10ー5 Paの真空下で最高温度1150℃で100分放置しニオブ焼結体とした。作製した各焼結体を20Vで化成しCV値とLC値を測定した。測定値を表1に示した。
【0036】
【表1】
Figure 0004647744
【0037】
実施例9〜16
実施例1〜8で得た焼結体と同様な焼結体を各々20個ずつ作製した。その後実施例1〜8で化成時間のみ、5時間にした以外は実施例1〜8と同様にして化成し表面に誘電体を形成した。次いで別途用意した30%酢酸鉛水溶液と25%過硫酸アンモニウム水溶液との1対1混合液に、40℃で前記焼結体を浸し反応することを20回繰り返すことにより、二酸化鉛と硫酸鉛(二酸化鉛が98%)からなる他方の電極を誘電体上に形成した。引き続き、その上に、カーボン層、銀ペースト層を順次積層し、次に、リードフレームに載せた後、全体をエポキシ樹脂で封止して、チップ型コンデンサを20個作製した。作製したコンデンサの容量と6.3VでのLC値を表2に示した。なお、コンデンサの容量及びLC値は、前述した焼結体の容量及びLC値の測定方法と異なり、コンデンサの端子間で測定する従来公知の方法で測定したものである。
【0038】
実施例17〜24
他方の電極として、ポリピロールにアントラキノンスルフォン酸をドープした有機半導体(誘電体を形成した焼結体にピロール蒸気を含ませた後、アントラキノンスルフォン酸と過硫酸アンモニウムを溶解した水溶液に浸すことを少なくとも5回くり返して形成した以外は実施例9〜16と同様にしてコンデンサを作製し評価結果を表2に示した。
【0039】
【表2】
Figure 0004647744
【0040】
【発明の効果】
実施例1〜4と実施例5〜8及び実施例9〜12と実施例13〜16ならびに実施例17〜20と実施例21〜24を比較することにより、タンタル含有量が、700質量ppm以下のニオブ粉を使用して焼結体及びコンデンサを作製すると、該焼結体及びコンデンサは,CV値または容量が低下しないことがわかる。

Claims (8)

  1. タンタル含有量が700質量ppm以下であるニオブ粉を焼結した焼結体を一方の電極とし、他方の電極との間に介在した誘電体とから構成されたコンデンサであって、他方の電極が有機半導体であるコンデンサ。
  2. 有機半導体が、ベンゾピロリン四量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、及び下記一般式(1)または(2)
    Figure 0004647744
    (式中、R1〜R4は水素、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、これらは互いに同一であっても相違してもよく、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素または炭素数1〜6のアルキル基を表し、R1とR2及びR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。)で示される繰り返し単位を2以上含む重合体にドーパントをドープした電導性高分子を主成分とした有機半導体からなる群より選ばれた少なくとも一種の有機半導体である請求項1に記載のコンデンサ。
  3. 有機半導体が、ポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘導体から選ばれた少なくとも一種である請求項2に記載のコンデンサ。
  4. ニオブ粉が、その一部窒化されたニオブ粉である請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンデンサ
  5. 窒化量が、500質量ppm乃至7000質量ppmである請求項4に記載のコンデンサ。
  6. 焼結体が、ニオブ粉を減圧下、500℃〜2000℃で加熱することにより得られた焼結体である請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンデンサ。
  7. ニオブ粉が、一次粒子の平均粒径が1μm以下のニオブ粉を造粒したニオブ粉である請求項1〜6の何れか1項に記載のコンデンサ。
  8. 誘電体が、電解酸化により形成した酸化ニオブであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のコンデンサ。
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