JP4697832B2 - ニオブ焼結体、その製造方法及びその焼結体を用いたコンデンサ - Google Patents

ニオブ焼結体、その製造方法及びその焼結体を用いたコンデンサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容量が大きい割りには漏れ電流値が良好なニオブ焼結体、その焼結体の製造方法、及びその焼結体を用いたコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話やパーソナルコンピューター等の電子機器に使用されるコンデンサは、小型大容量のものが望まれている。このようなコンデンサの中でもタンタルコンデンサは、大きさの割には容量が大きく、しかも性能が良好なため好んで使用されている。このタンタルコンデンサの陽極体としてタンタル粉の焼結体が一般的に使用されている。タンタルコンデンサの容量を上げるためには、焼結体質量を増大させる必要がある。
【0003】
焼結体質量を増大させる方法では、コンデンサの形状が必然的に増大し小型化の要求を満たさない。これらの欠点の解決する研究の一つとして、タンタルより誘電率の大きな材料を用いたコンデンサが考えられている。これらの誘電体の大きい材料としてニオブがある。
【0004】
特開昭55-157226号公報には、凝集粉から粒径2.0μmあるいはそれ以下のニオブ微粉末を加圧成形して焼結し、その成形焼結体を細かく裁断し、これにリード部を接合した後再び焼結するコンデンサ用焼結素子の製造方法が開示されている。しかしながら、該公報にはコンデンサ特性について詳細には開示されていない。
【0005】
米国特許4,084,965号公報には、ニオブインゴットを水素化して粉砕し、5.1μmのニオブ粉末を得、これを用いたコンデンサが開示されているが、ニオブ焼結体はタンタル焼結体に比べて漏れ電流値が大きいという問題があるため実用性に乏しい。
【0006】
本発明者等は、ニオブの一部を窒化すること等によりLC値が改善できることを先に提案した(特開平10-242004号公報;米国特許第6,115,235号)。さらに、LC値を低下させるためには、例えば前述のニオブの焼結体を作製する時の焼結温度を高くすることによって達成できる。しかしながら、焼結温度を高くすると作製した焼結体の質量あたりの容量と焼結体表面に誘電体を形成する時の化成電圧の積(以下CV値と略する)が小さくなるために、最終的な目標である高CVで低LCというバランスの良いニオブの焼結体を得ることは困難であった。また、高CVのみを意識したニオブ焼結体からコンデンサを作製した場合、LCが特異的に大きなコンデンサが出現する問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、容量が大きい割りに漏れ電流値(LC値)が良好なニオブ焼結体、その焼結体の製造方法及びその焼結体を用いたコンデンサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前述の課題を鋭意検討した結果、ニオブ粉の最高焼結温度における放置時間を特定の時間とするコンデンサ用ニオブ粉に適した特異な焼結方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のニオブ粉焼結体、その製造方法及びその焼結体を用いたコンデンサを提供する。
【0009】
1.ニオブ粉を焼結したニオブ焼結体において、単位質量あたりの容量(C:単位μF/g)と化成電圧(V:単位V)の積(CV)の値が9万μF・V/g以上であって、ニオブ粉の一次粒子の平均粒径(D50:単位μm)と漏れ電流(LC:単位μA/g)との積をCVで除した数値が5×10-4μm・μA/(μF・V)以下であるニオブ焼結体。
2.ニオブ粉が、一部窒化されたニオブ粉である前項1に記載のニオブ焼結体。
3.窒素含量が20質量ppm〜20万質量ppmである前項2に記載のニオブ焼結体。
4.窒素含量が500質量ppm〜7000質量ppmである前項3に記載のニオブ焼結体。
5.ニオブ粉を高温で焼結するニオブ焼結体の製造方法において、500〜2000℃の温度にて、最高焼結温度における放置時間を60〜150分にすることを特徴とするニオブ焼結体の製造方法。
【0010】
6.900〜1500℃の温度にて、最高焼結温度における放置時間を80〜130分にする前項5に記載のニオブ焼結体の製造方法。
7.一次粒子の平均粒径が3μm以下であるニオブ粉を造粒したニオブ粉を用いる前項5または6に記載のニオブ焼結体の製造方法。
8.一次粒子の平均粒径が3μm〜0.1μmであるニオブ粉を造粒したニオブ粉を用いる前項7に記載のニオブ焼結体の製造方法。
9.ニオブ粉として一部窒化されたニオブ粉を使用する前項5乃至8のいずれかに記載のニオブ焼結体の製造方法。
10.窒素含量が20質量ppm〜20万質量ppmのニオブ粉を使用する前項9に記載のニオブ焼結体の製造方法。
【0011】
11.窒素含量が500質量ppm〜7000質量ppmのニオブ粉を使用する前項10に記載のニオブ焼結体の製造方法。
12.前項1乃至4のいずれかに記載のニオブ焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上設けられた他方の電極とから構成されたコンデンサ。
13.誘電体が、電解酸化により形成した酸化ニオブからなる前項12に記載のコンデンサ。
14.他方の電極が、電解液、有機半導体及び無機半導体から選ばれる少なくとも1種の材料である前項12に記載のコンデンサ。
【0012】
15.他方の電極が、有機半導体からなり、該有機半導体がベンゾピロリン四量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、及び下記一般式(1)または(2)
【化2】
Figure 0004697832
(式中、R1〜R4は、互いに同一であっても相違してもよく、各々水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R1とR2及びR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。)
で示される繰り返し単位を2以上含む重合体にドーパントをドープした電導性高分子を主成分とした有機半導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機半導体である前項14に記載のコンデンサ。
16.有機半導体が、ポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘導体から選ばれる少なくとも1種である前項15に記載のコンデンサ。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の焼結体を得るための一形態を説明する。
焼結体を作製するための原料となるニオブ粉は、1次粒子の平均粒径が3μm以下、好ましくは3μm〜0.1μmの範囲、または平均粒径が1μm以下、好ましくは1μm〜0.1μmの範囲がよい。平均粒径が3μmを超えると本発明の目的の1つである、高CV特性で低LC特性を有する焼結体を得ることが困難であるため好ましくない。
【0014】
ここで、ニオブ粉の平均粒径としては、粒度分布測定器(商品名「マイクロトラック」)を用いて測定したD50値(累積質量%が50質量%に相当する粒径値)を採用することができる。このような平均粒径を有するニオブ粉は、例えばフッ化ニオブ酸カリウムをナトリウムで還元する方法、あるいはニオブインゴットの水素化物を粉砕し脱水素する方法、酸化ニオブを炭素還元により製造する方法等によって得ることができる。例えば、ニオブインゴットの水素化物を粉砕し脱水素化する方法の場合、ニオブインゴットの水素化量と粉砕装置などによる粉砕時間を制御することにより、希望の平均粒径を有するニオブ粉を得ることができる。
【0015】
本発明のニオブ粉は、前記平均粒径を有する粉体であって、さらに一部窒化されたニオブ粉であることが好ましい。その場合、窒素含量は20質量ppm乃至20万質量ppm(以下質量ppmを単にppmと略する)の範囲である。
【0016】
次に、該ニオブ粉から焼結体を作製し、後記するように該焼結体の表面に誘電体を形成してリン酸水溶液中でLC値を測定した場合、小さいLC値とするには、前記窒素含量は500ppm〜7000ppm、さらに容量が大きい割りに漏れ電流(LC)値が良好なニオブ焼結体とするには500ppm〜4000ppmにすることが好ましい。ここで窒素含量とは、ニオブ粉に吸着したもの、あるいは単に物理的にドーピングしたものではなく、化学的に窒化したものである。
【0017】
ニオブ粉の窒化処理は、液体窒化法、イオン窒化法、ガス窒化法などのいずれか、あるいはそれらを組み合わせた方法で実施することができる。このうち、装置が簡便で操作が容易な窒化ガス雰囲気下で行うニオブ粉のガス窒化法が好ましい。このガス窒化方法は、例えば、前記ニオブ粉を窒素雰囲気中に放置することにより行うことができる。この時の窒化する雰囲気温度は2000℃以下、放置時間は60時間以内とすることで目的とする窒素含量を有するニオブ粉が得られる。さらにこの処理を高温で行うことにより処理時間を短くすることもできる。
前記ニオブ粉の窒素含量は、被窒化物の粒径測定後、窒化温度と窒化時間を予備実験で確認して容易に管理することができる。
【0018】
本発明のニオブ粉は、前述したニオブ粉を適当な形状に造粒した後で使用しても良いし、造粒後に未造粒のニオブ粉を適量混合して使用しても良い。造粒方法としては、従来公知の方法が採用できる。例えば、未造粒ニオブ粉を高温真空下に放置して一体化(凝集固化)した後、解砕する方法、あるいは特定のバインダーと未造粒ニオブ粉を混合した後、解砕する方法等が挙げられる。この時に、ニオブ粉とバインダーとの混練りの際には、場合により溶媒を使用しても良い。この場合混練り後に乾燥して解砕する方法が採用される。バインダーとしては一般的にポリビニルアルコール、アクリル樹脂等が用いられる。溶媒としては、アセトン、アルコール類、酢酸ブチル等のエステル類、水等から選択されるものが使用できる。
このようにして造粒したニオブ造粒品は、平均粒径が300μm以下、好ましくは200μm以下、さらに好ましくは200μm〜1μmにするのがよい。
【0019】
次に、本発明のニオブ粉を用いた焼結体は、前述したニオブ粉を焼結して製造することができる。例えば、焼結体の1つの製造方法として、ニオブ粉を所定の形状に加圧成形した後、1.33×10-4〜1.33×102Pa(パスカル)で500℃〜2000℃、好ましくは900℃〜1500℃の範囲で、ニオブ焼結体の最高焼結温度における放置時間が60〜150分、好ましくは80〜130分となるように加熱する。
【0020】
ここで、ニオブ焼結体の最高焼結温度とは、焼結条件における最高温度を意味する。この最高焼結温度は焼結機器の温度制御変動幅(±25℃)ならびに最高設定温度±50℃の範囲内で矩形状、パルス状、三角波状等の形状に自発的に温度を制御する手法で求めた温度でもよい。
【0021】
ニオブ粉の焼結する温度の下限は、ニオブ粉の平均粒径に依存して変化し、例えば平均粒径が小さいニオブ粉ほど下限温度は下がる。
一方、平均粒径を一定にして焼結温度を変化させた場合、通常焼結温度が低いと作製した焼結体はCV値が大きくなるものの、LC値が大きくなり、コンデンサの材料としての実用に耐えることが困難である。しかしながら、本発明においては、焼結温度が低くても最高焼結温度における放置時間をコンデンサ用ニオブ焼結体を得るのに好適な60〜150分、好ましくは80〜130分とすることにより、CV値を少なくとも9万μF・V/g以上で、低LC、すなわち、ニオブ粉の平均粒径とCV値を加味したLCの尺度、D50・LC/CV値を5×10-4μm・μA/(μF・V)以下にすることができる。
【0022】
一般に、LC/CV値は表面積あたりのLC値を表現しているが、同一表面積でも焼結体を構成するニオブの粒径が異なると表面形状が異なり、LC値が変化するものと予想される。前述したLCの尺度、D50・LC/CV値は、このような表面形状を考慮したLCの尺度である。該LCの尺度が5×10-4μm・μA/(μF・V)を越える焼結体からコンデンサを作製すると、LCが特異的に大きなコンデンサが出現する可能性があり、好ましくない。
【0023】
最高焼結温度における放置時間を60分未満にしたり、150分を越えたりさせても目的とする高容量で低LCのニオブ焼結体を得ることはできない。
次に、コンデンサ素子の製造について説明する。
本発明のコンデンサ素子は、前述したニオブ焼結体を一方の電極とし、その表面上に形成された誘電体と、その誘電体上に設けられた他方の電極とから構成される。
【0024】
まず、ニオブまたはタンタル等の弁作用金属からなる、適当な形状及び長さを有するリードワイヤーを用意し、これを前述したニオブ粉の加圧成形時にリードワイヤーの一部が成形体の内部に挿入させるように一体成形して、リードワイヤーを前記焼結体の引き出しリードとなるように設計して組立てる。
ここでコンデンサの誘電体の好ましい例としては、酸化ニオブからなる誘電体が挙げられる。
【0025】
なお、本発明で用いる酸化ニオブとはニオブの酸化物の総称であり、ニオブ元素に対する酸素(O)の結合数は限定されない。例えば、Nb25、NbO2、NbOx(xは1.0〜2.5の範囲)を含む酸化物が挙げられる。
【0026】
酸化ニオブからなる誘電体は、一方の電極であるニオブ焼結体を電解液中で化成することによって容易に得られる。ニオブ電極を電解液中で化成するには、通常プロトン酸水溶液、例えば0.1%りん酸水溶液または硫酸水溶液を用いて行われる。ニオブ電極を電解液中で化成して酸化ニオブからなる誘電体を得る場合、本発明のコンデンサは電解コンデンサとなり、ニオブ側が陽極となる。
【0027】
本発明のコンデンサの他方の電極は、格別限定されるものではなく。例えば、アルミ電解コンデンサ業界で公知である電解液、有機半導体、及び無機半導体から選ばれた少なくとも一種の材料(化合物)が好ましく使用できる。
電解液の具体例としては、イソブチルトリプロピルアンモニウムボロテトラフルオライド電解質を5質量%溶解したジメチルホルムアミドとエチレングリコールの混合溶液、テトラエチルアンモニウムボロテトラフルオライドを7質量%溶解したプロピレンカーボネートとエチレングリコールの混合溶液等が挙げられる。
【0028】
有機半導体の具体例としては、ベンゾピロリン四量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、下記一般式(1)または(2)
【化3】
Figure 0004697832
(式中、R1〜R4は、互いに同一であっても相違してもよく、各々水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R1とR2及びR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。)
で示される繰り返し単位を2以上含む重合体に、ドーパントをドープした電導性高分子を主成分とした有機半導体が挙げられる。ドーパントには公知のドーパントが制限なく使用できる。
【0029】
式(1)または(2)で示される繰り返し単位を2以上含む重合体としては、例えば、ポリアニリン、ポリオキシフェニレン、ポニフェニレンサルファイド、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリメチルピロール、及びこれらの置換誘導体や共重合体などが挙げられる。中でもポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘導体(例えばポリ(3,4−エチレンジオキソチオフェン)等)が好ましい。
【0030】
無機半導体の具体例としては、二酸化鉛または二酸化マンガンを主成分とする無機半導体、四三酸化鉄からなる無機半導体などが挙げられる。このような半導体は単独でも、または二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0031】
上記有機半導体及び無機半導体として、電導度10-2S・cm-1〜103S・cm-1の範囲のものを使用すると、作製したコンデンサのインピーダンス値がより小さくなり、高周波での容量をさらに一層大きくすることができる。
他方の電極が固体の場合には、その上に外部外出しリード(例えば、リードフレーム)との電気的接触をよくするために、導電体層を設けてよい。
【0032】
導電体層としては、例えば、導電ペーストの固化、メッキ、金属蒸着、耐熱性の導電樹脂フィルムの形成等により形成することができる。導電ペーストとしては、銀ペースト、銅ペースト、アルミペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト等が好ましいが、これらは1種を用いても2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合、混合してもよく、または別々の層として重ねてもよい。導電ペーストを適用した後、空気中に放置するか、または加熱して固化せしめる。メッキとしては、ニッケルメッキ、銅メッキ、銀メッキ、アルミメッキ等が挙げられる。また蒸着金属としては、アルミニウム、ニッケル、銅、銀等が挙げられる。
【0033】
具体的には、例えば第二の電極上にアルミペースト、銀ペーストを順次積層し、エポキシ樹脂のような材料で封止してコンデンサが構成される。このコンデンサは、ニオブ焼結体と一体に焼結成形された、または後で溶接されたニオブまたはタンタルリードを有していても良い。
以上のような構成の本発明のコンデンサは、例えば、樹脂モールド、樹脂ケース、金属製の外装ケース、樹脂のディッピング、ラミネートフィルムによる外装などの外装により各種用途のコンデンサ製品とすることができる。
【0034】
他方の電極が液体の場合には、前記両極と誘電体から構成されたコンデンサを、例えば、他方の電極と電気的に接続した缶に収納してコンデンサが形成される。この場合、ニオブ焼結体の電極側は、前記したニオブまたはタンタルリードを介して外部に導出すると同時に、絶縁性ゴム等により、缶との絶縁がはかられるように設計される。
以上、説明した本発明に従って作製したニオブ焼結体を使用してコンデンサを作製すると、容量が大きく、漏れ電流の良好なコンデンサを得ることができる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例により何ら制限されるものではない。なお、各例における粉体窒素含量、焼結体の容量、焼結体の漏れ電流値(LC値)の測定、及びチップに加工されたコンデンサの容量は以下の方法で測定した。
【0036】
(1)粉体の窒素含量
熱伝導度から窒素含量を求めるLECO社製の酸素窒素量測定器を用いて粉体の窒素量を求め、別途測定した粉体の質量との比を窒素含量とした。
【0037】
(2)焼結体の容量
0.1%リン酸水溶液中80℃で200分間化成し、表面に誘電体を形成した後、室温において、30%硫酸水溶液中に浸漬させた焼結体と硫酸液中に入れたタンタル材の電極との間に、HP製LCR測定器(ヒューレットパッカード社製LCRメーター)に接続して測定した120Hzでの容量を焼結体の容量とした。
【0038】
(3)焼結体の漏れ電流値(LC値)
上記(2)のように誘電体を形成した後、室温において、20%リン酸水溶液中に浸漬させた焼結体と、リン酸水溶液中に入れた電極との間に誘電体作製時の化成電圧の70%の電圧の直流電圧を3分間印加し続けた後で測定された電流値を、焼結体の漏れ電流値とした。
【0039】
(4)チップに加工されたコンデンサの容量
HP製LCR測定器で測定した室温120Hzでの値であり、その時の漏れ電流値は、定格電圧を1分間印加し続けた後の測定された電流値である。
なお、以下の各例においてCV、LCの値は、各例とも20個の素子について測定した平均値を示している。
【0040】
実施例1〜3及び比較例1〜4:
フッ化ニオブ酸カリウムをナトリウム還元して得た平均粒径1μmのニオブ粉を1050℃、1.33×10-4Paの真空下で20分放置した後、解砕して平均粒径150μmの造粒粉とした。該造粒粉を窒素気流中に300℃で1.5時間放置し、窒素含量1600質量ppmの一部が窒化されたニオブ粉とした。該ニオブ粉を0.3mmφのニオブリード線と共に成形し、大きさ1.8×3.5×4.5mmの成形体(ニオブリード線が成形体内部に3.5mm、外部に6mm存在する)を得た。このような成形体を複数個(20×18個)用意し、最高焼結温度1150℃、1.33×10-4Paで表1に示した時間焼結し、焼結体を得た。次いで、0.1%リン酸水溶液中で80℃、20V、200分間化成することにより、焼結体上に酸化ニオブの誘電体を形成した。
【0041】
各焼結体のCV値、LC値及びD50・LC/CVを表1に示した。さらに、誘電体上に酢酸鉛30%水溶液と過硫酸アンモニウム30%水溶液の等量混合液を20回、40℃で接触させることにより、他方の電極としての二酸化鉛と硫酸鉛の混合物(二酸化鉛97質量%)を形成した。引き続き、他方の電極上にカーボンペースト、銀ペーストを順次積層し、エポキシ樹脂で封口してコンデンサを作製した。表3に作製したコンデンサ(大きさ7.3mm×4.3mm×2.8mm)の容量、6.3VでのLC値を示した。なお、各実施例の値は各例のコンデンサ20個の平均値であるが、6.3VでのLC値測定時に、LC値が100μAを越した試料を省いたものであり、表3にそのようなLC値が100μAを越した試料数を付記した。
【0042】
実施例4〜6及び比較例5〜8:
ニオブインゴットの水素化物の粉砕及び脱水素から得た平均粒径0.7μmのニオブ粉を950℃、1.33×10-4Paの真空下で20分間放置した後、解砕して平均粒径120μmの造粒粉とした。該造粒粉を窒素気流中に300℃で1.5時間放置し窒素含量2000質量ppmの一部窒化されたニオブ粉とした。続いて比較例1と同様にして成形した後、最高焼結温度1050℃、1.33×10-4Paで表1に示した時間焼結し、焼結体を得た。次いで、比較例1と同様にして化成し、CV値、LC値、D50・LC/CV値を求めて表1に示した。さらに、誘電体上に過硫酸アンモニウム10%水溶液とアントラキノンスルホン酸0.5%水溶液の等量混合液を接触させた後、ピロール蒸気を触れさせる操作を少なくとも5回行うことにより、ポリピロールからなる他方の電極を形成した。その後、比較例1と同様にしてコンデンサを作製した。表3にコンデンサの諸数値を記した。
【0043】
比較例9〜12:
最高焼結温度を表2に示したようにした以外は、比較例1と同様にして焼結体及びコンデンサを作製した。焼結体及びコンデンサの諸数値を表2と表4に示した。
【0044】
【表1】
Figure 0004697832
【0045】
【表2】
Figure 0004697832
【0046】
【表3】
Figure 0004697832
【0047】
【表4】
Figure 0004697832
【0048】
比較例1及び比較例9〜12を比較すると、焼結温度が高いほどLC値は良好になるものの、CV値が下がり、作製したコンデンサの容量が急激に低下することがわかる。LC値とCV値のバランスが良好なもの、すなわち、実際的なコンデンサの数値として、LCが100μAをこすものものを含まず、容量が400μF以上の高容量を取るものは、実施例1〜6から明らかなように、最高焼結温度における放置時間を80〜130分として得られる、CV9万以上、D50・LC/CV値5×10-4μm・μA/(μF・V)以下のニオブ粉を用いたものであることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
本発明のニオブの焼結体は、500〜2000℃の温度にて焼結体を作製する場合の最高焼結温度における放置時間を60〜150分にして得られる、単位質量あたりの容量(C)と化成電圧(V)の積(CV)の値が9万μF・V/g以上で、ニオブ粉の一次粒子の平均粒径(D50)と漏れ電流(LC)との積をCVで除した数値が5×10-4μm・μA/(μF・V)以下のニオブ焼結体である。
本発明のニオブ焼結体から作製したコンデンサは、容量とLCのバランスが極めて良好で、信頼性の良好なコンデンサとなる。

Claims (16)

  1. ニオブ粉を焼結したニオブ焼結体において、単位質量あたりの容量(C:単位μF/g)と化成電圧(V:単位V)の積(CV)の値が9万μF・V/g以上15万μF・V/g以下であって、ニオブ粉の一次粒子の平均粒径(D50:単位μm)と漏れ電流(LC:単位μA/g)との積をCVで除した数値が3.1×10 -4 μm・μA/(μF・V)以上5×10-4μm・μA/(μF・V)以下であるニオブ焼結体。
  2. ニオブ粉が、一部窒化されたニオブ粉である請求項1に記載のニオブ焼結体。
  3. 窒素含量が20質量ppm〜20万質量ppmである請求項2に記載のニオブ焼結体。
  4. 窒素含量が500質量ppm〜7000質量ppmである請求項3に記載のニオブ焼結体。
  5. ニオブ粉を高温で焼結するニオブ焼結体の製造方法において、500〜2000℃の温度にて、最高焼結温度における放置時間を60〜150分にすることを特徴とするニオブ焼結体の製造方法。
  6. 900〜1500℃の温度にて、最高焼結温度における放置時間を80〜130分にする請求項5に記載のニオブ焼結体の製造方法。
  7. 一次粒子の平均粒径が3μm以下であるニオブ粉を造粒したニオブ粉を用いる請求項5または6に記載のニオブ焼結体の製造方法。
  8. 一次粒子の平均粒径が3μm〜0.1μmであるニオブ粉を造粒したニオブ粉を用いる請求項7に記載のニオブ焼結体の製造方法。
  9. ニオブ粉として一部窒化されたニオブ粉を使用する請求項5乃至8のいずれかに記載のニオブ焼結体の製造方法。
  10. 窒素含量が20質量ppm〜20万質量ppmのニオブ粉を使用する請求項9に記載のニオブ焼結体の製造方法。
  11. 窒素含量が500質量ppm〜7000質量ppmのニオブ粉を使用する請求項10に記載のニオブ焼結体の製造方法。
  12. 請求項1乃至4のいずれかに記載のニオブ焼結体を一方の電極とし、その焼結体表面上に形成された誘電体と、前記誘電体上設けられた他方の電極とから構成されたコンデンサ。
  13. 誘電体が、電解酸化により形成した酸化ニオブからなる請求項12に記載のコンデンサ。
  14. 他方の電極が、電解液、有機半導体及び無機半導体から選ばれる少なくとも1種の材料である請求項12に記載のコンデンサ。
  15. 他方の電極が、有機半導体からなり、該有機半導体がベンゾピロリン四量体とクロラニルからなる有機半導体、テトラチオテトラセンを主成分とする有機半導体、テトラシアノキノジメタンを主成分とする有機半導体、及び下記一般式(1)または(2)
    Figure 0004697832
    (式中、R1〜R4は、互いに同一であっても相違してもよく、各々水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシ基を表わし、Xは酸素、イオウまたは窒素原子を表わし、R5はXが窒素原子のときのみ存在して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わし、R1とR2及びR3とR4は互いに結合して環状になっていてもよい。)
    で示される繰り返し単位を2以上含む重合体にドーパントをドープした電導性高分子を主成分とした有機半導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機半導体である請求項14に記載のコンデンサ。
  16. 有機半導体が、ポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘導体から選ばれる少なくとも1種である請求項15に記載のコンデンサ。
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