JP4520397B2 - 起伏可動堰及びその施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、止水用の剛板を水路の底面に対して起立又は倒伏させることによって堰高を調節することのできる起伏可動堰とその施工方法とに関する。
図8〜図10に示すように、水路中央部を止水するための剛板(面A10111314で表される部分)と、水路岸部を止水するための可撓シート(面B101112で表される部分)と、剛板を水路の底面(面C10111817で表される部分)に対して起伏動作させる駆動手段(図示省略)とを備え、可撓シートの一方の側縁B1011を剛板の側縁A1011に固定し、可撓シートの他方の側縁B1012を水路岸部の法面(面C10111213で表される部分)に固定した起伏可動堰が既に知られている。
この起伏可動堰は、図11〜図13に示すように、剛板を起立又は倒伏させることによって堰高を調節することができるものとなっている。この種の起伏可動堰は、水路岸部の法面の傾斜角度(図8における∠C131016の大きさ)が変わっても、該法面に対する可撓シートの固定位置を変更するだけで施工できるために、その需要の拡大が期待されている。
しかし、この種の起伏可動堰には、以下のような問題があった。というのも、この種の起伏可動堰は、剛板が起立又は倒伏する際の回転軸(剛板の下縁A1014)と、可撓シートが起立又は倒伏する際の回転軸(可撓シートの側縁B1012)とが非平行で一致しない構造のものとなっていた。このため、剛板の起立角度(∠C111011の大きさ(図8〜図10を参照))が変化するにつれて、可撓シートの形状が変化するようになっていた。したがって、可撓シートが過度に弛んだり、可撓シートが破損しやすくなったり、剛板の起立又は倒伏を可撓シートが阻害したりするおそれがあった。
この可撓シートの変形は、剛板を限界まで倒伏させたとき(図8を参照)の線分B1112の長さ(Lとする)と、剛板を限界まで起立させたとき(図9を参照)の線分B1112の長さ(Lとする)とを等しく設定することで小さくすることができる。長さLと長さLは、可撓シートの側縁B1012における上端B12を、水路岸部の法面上の線分A1014(図8を参照)におけるいずれかの点Qで固定すると等しくすることができる。
具体的に、剛板の側縁A1011における下端A10を原点Oとし、水路の底面と水路岸部の法面との境界C1011をx軸(下端A10から点C11に向かう向きを正)とし、境界C1011に垂直な面と水路岸部の法面との交線A1015をy軸(下端A10から点C15に向かう向きを正)として、線分A1014の式を求めると、下記式1.1で表される。
ここで、傾きtは、下記式1.2によって表される定数である。
ただし、βは、水路岸部の法面の傾斜角度であり、γは、剛板が限界まで起立したときにおける剛板の起立角度である。
しかし、上記式1.2を見れば分かるとおり、傾きtは、水路岸部の法面の傾斜角度βと剛板の起立角度γとが定まると一義的に決定されるものであったために、可撓シートの上端B12を線分A1014に固定しようとすると、起伏可動堰の施工の自由度が著しく制限されるという欠点があった。このため、起伏可動堰の施工スペースを削減するのにも限界があった。また、可撓シートを広く確保しなければならず、起伏可動堰の耐久性に難が生ずるおそれもあった。
さらに、この種の起伏可動堰には、水路岸部の法面における高い位置に可撓シートの上端B12を固定したとしても、剛板の起立角度によっては、可撓シートの上縁B1112に生じた弛みが原因で、可撓シートの上縁B1112における最下点が剛板の上縁A1113における最下点よりも低くなるおそれがあった。このため、図13に示すように、水路の水が剛板を越流するよりも先に可撓シートを越流するおそれもあった。したがって、水路の流量を制御しにくくなるばかりか、可撓シートが水流によって破損するおそれもあった。
このような実情に鑑みてか、可撓シートに補強材を取り付けて、可撓シートが所定量以上変形しないようにした起伏可動堰も提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、この起伏可動堰は、補強材を取り付ける分、構造が複雑になっており、起伏可動堰の製造コストが高くなるという欠点があった。しかも、起伏可動堰を施工する際には、前記補強材の本数や長さを調節するか、水路岸部の法面の傾斜角度βを変えるかしなければならず、必ずしも起伏可動堰の施工コストを削減することができるものとは言えなかった。
特開2003−119756号(特許請求の範囲、[0016]、[0018]、[0021]、[0023]、[0037]、図1)
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、施工スペースを削減することのできる起伏可動堰を提供することを目的とする。また、簡素な構造でありながら、可撓シートの上縁における最下点が剛板の上縁における最下点よりも低くなるのを防止することのできる起伏可動堰を提供することも本発明の目的である。また、この起伏可動堰を好適に施工することのできる起伏可動堰の施工方法を提供することも本発明の目的である。
上記課題は、水路中央部を止水するための剛板と、水路岸部を止水するための可撓シートと、剛板を水路の底面に対して起伏(起立又は起伏)動作させる駆動手段とを備えた起伏可動堰であって、剛板の側縁近傍の背面側(剛板が起立する側)に折り曲げ部が所定の折り曲げ角度で形成され、可撓シートの一方の側縁を折り曲げ部に固定し、可撓シートの他方の側縁を水路岸部の法面に固定するとともに、可撓シートの上縁を弛むことが可能な状態とした起伏可動堰を提供することによって解決される。
ここで、「折り曲げ部」という語は、あくまでその形状を表すために用いた語であり、その形成方法を限定するものではない。すなわち、折り曲げ部は、剛板の側縁近傍を折り曲げることによって形成されたものだけでなく、剛板の側縁近傍に別部材を取り付けて形成したものなども含む概念であるとする。
折り曲げ部の形状は、特に限定されないが、略逆三角形状であると好ましい。これにより、起伏可動堰をさらに簡素な構造とすることができる。また、折り曲げ部の折り曲げ角度も、特に限定されないが、水路岸部の法面の傾斜角度に一致していると好ましい。これにより、剛板を限界まで倒伏させたときの起伏可動堰の通水断面積を広く確保することが可能になる。
剛板を限界まで起立させたときの可撓シートの上縁の長さと、剛板を限界まで倒伏させたときの可撓シートの上縁の長さとが等しく設定されていることも好ましい。これにより、剛板が起立又は倒伏する際の可撓シートの変形を小さく抑えることが可能になる。したがって、可撓シートの過度な弛みや破損を防止するだけでなく、可撓シートが剛板の起立又は倒伏に干渉するのを防止することもできるようになる。
以上のように、本発明によって、施工スペースを削減することのできる起伏可動堰を提供することが可能になる。また、簡素な構造でありながら、可撓シートの上縁における最下点が剛板の上縁における最下点よりも低くなるのを防止することのできる起伏可動堰を提供することも可能になる。
1 起伏可動堰の全体構成
本発明の起伏可動堰の好適な実施態様を、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、剛板を限界まで起立させたときにおける本発明の起伏可動堰の全体を示した斜視図である。本実施態様の起伏可動堰は、図1に示すように、水路中央部を止水するための剛板(面A101112と面A10122220と面A202122とで表される部分)と、水路岸部を止水するための可撓シート(面B101112と面B202122とで表される部分)と、剛板を水路の底面(面C10112120で表される部分)に対して起伏動作させる駆動手段(図示省略)とを備えたものとなっている。
剛板の側縁A1011,A2021の近傍には、図1に示すように、折り曲げ部(面A101112と面A202122とで表される部分)が形成されている。可撓シートの側縁のうち、水路の中央に近い方の側縁B1011,B2021は、それぞれ折り曲げ部の側縁A1011,A2021に固定され、水路の中央から遠い方の側縁B1012,B2022は、水路岸部の法面(面C10111213と面C20212223とで表される部分)に固定されている。
本実施態様の起伏可動堰は、剛板が起立したときに、剛板の背面(剛板が倒伏したときに上側を向く面)が水路の下流側を向くように施工してもよいが、通常、剛板の背面が水路の上流側を向くように施工される。これにより、剛板が水流に押されて起立するのを防止することが可能になる。また、剛板が限界(駆動手段によって移動させることのできる限界)を超えた位置まで変位するのを防止することも容易になり、起伏可動堰が破損するのを防止することも可能になる。
また、本実施態様の起伏可動堰は、護岸工事や護床工事が施されていない自然のままの水路であっても施工することができるが、通常、コンクリートブロックなどで護岸工事や護床工事が予め施された水路に対して施工される。
図2は、剛板を限界まで倒伏させたときにおける本発明の起伏可動堰の左側部を拡大した斜視図である。図3は、剛板を限界まで起立させたときにおける本発明の起伏可動堰の左側部を拡大した斜視図である。図4は、剛板を限界まで起立させた状態からやや倒伏させたときにおける本発明の起伏可動堰の左側部を拡大した斜視図である。
以下においては、説明の便宜上、起動可動堰の左側部分(水路の左岸側に施工される部分)を中心に説明し、起伏可動堰の右側部分(水路の右岸側に施工される部分)については説明を割愛する。しかし、本実施態様の起伏可動堰は、左右対称な構造となっており、起伏可動堰の左側部分について説明した構成は、起伏可動堰の右側部分についても、同様の構成を採用することができるものとする。
1.1 剛板
(1) 剛板の素材
剛板の素材は、想定される水圧に耐えうる程度の剛性を発揮できるものであれば特に限定されず、硬質樹脂や木材などであってもよいが、通常、金属が採用される。本実施態様の起伏可動堰において、剛板は、鋼で形成されており、耐水性にも優れたものとなっている。剛板を金属で形成した場合には、その表面に防錆加工を施してもよい。
(2) 折り曲げ部の形状
折り曲げ部の形状は、特に限定されないが、逆三角形状であると好ましい。これにより、起伏可動堰の構造をより簡素にすることができる。本実施態様の起伏可動堰においては、図2に示すように、剛板の側縁A1011の近傍を、線分A1012を折り線として剛板の背面側に折り曲げることによって、逆三角形状の折り曲げ部を形成している。
(3) 折り曲げ部の折り線
折り曲げ部の折り線(線分A1012)は、図2に示すように、剛板を限界まで倒伏させたときに、水路の底面と水路岸部の法面との境界C1011に重なるように設けると好ましい。これにより、剛板が限界まで倒伏したときにおける起伏可動堰の通水断面積を広く確保することが可能になる。本実施態様の起伏可動堰においては、折り曲げ部の折り線を、剛板の下縁A1014に対して垂直になるように設けており、かつ、剛板の下端A10を、境界C1011に重なる位置に設定している。
(4) 折り曲げ部の広がり角度
折り曲げ部の広がり角度(∠A111012の大きさ)は、0°よりも大きく、90°よりも小さければ特に限定されない。しかし、折り曲げ部の広がり角度を小さく設定しすぎると、起伏可動堰の施工スペースが増大するだけでなく、可撓シートを広く確保しなければならなくなり、起伏可動堰の耐久性が低下するおそれがある。また、剛板の起立角度(∠C111012の大きさ(図2〜図4を参照))によっては、水路の水が剛板を越流するよりも先に可撓シートを越流してしまい、可撓シートが破損するおそれもある。このため、折り曲げ部の広がり角度は、通常、5°以上に設定される。折り曲げ部の広がり角度は、10°以上であると好ましく、15°以上であるとより好ましく、20°以上であるとさらに好ましい。
一方、折り曲げ部の広がり角度を大きく設定しすぎると、折り曲げ部の寸法が大きくなりすぎて、水路岸部の法面を広く確保しなければならなくなり、起伏可動堰の施工スペースが増大するおそれがある。このため、折り曲げ部の広がり角度は、通常、60°以下に設定される。折り曲げ部の広がり角度は、50°以下であると好ましく、45°以下であるとより好ましく、40°以下であるとさらに好ましい。本実施態様の起伏可動堰において、折り曲げ部の広がり角度は、30°に設定されている。
(5) 折り曲げ部の折り曲げ角度
折り曲げ部の折り曲げ角度(面A10121314の延長面と面A101112とがなす角の大きさ)は、0°よりも大きく180°よりも小さければ特に限定されない。しかし、この折り曲げ角度を小さく設定しすぎると、剛板を水路の底面と平行になるまで倒伏させることができなくなり、剛板を限界まで倒伏させたときにおける起伏可動堰の通水断面積を広く確保することができなくなるおそれがある。このため、折り曲げ部の折り曲げ角度は、通常、水路岸部の法面の傾斜角度(図2における∠C131016の大きさ)以上に設定される。
一方、折り曲げ部の折り曲げ角度を大きく設定しすぎると、可撓シートや折り曲げ部を広く確保しなければ所望の効果が得られなくなる。このため、起伏可動堰の寸法や重量が増大するおそれがある。また、剛板を限界まで倒伏させても、折り曲げ部や可撓シートが水の流れを大きく阻害するようになり、剛板を限界まで倒伏させたときにおける起伏可動堰の通水断面積を広く確保できなくなるおそれもある。このため、折り曲げ部の折り曲げ角度は、通常、90°以下に設定される。本実施態様の起伏可動堰において、折り曲げ部の折り曲げ角度は、30°に設定されており、水路岸部の法面の傾斜角度に一致するようになっている。したがって、図2に示すように、剛板を限界まで倒伏させた際に、折り曲げ部と水路岸部の法面とが平行で密着した状態となるようになっている。
(6) 本体部の形状
本実施態様の起伏可動堰においては、図1に示すように、剛板の本体部(面A10122220で表される部分)が矩形に形成されており、本体部の上縁A1222は直線状になっているが、この形態に限定されない。例えば、本体部の上縁A1222を下縁A1020の側に凹ませて形成することも好ましい。これにより、本体部の上縁A1222における最下点の高さをより低く設定することが可能になる。このため、水路の水が剛板を越流するよりも先に可撓シートを越流するのをさらに確実に防止することが可能になる。
(7) 本体部の寸法
剛板の本体部の寸法は、水路の幅や水位などに応じて適宜選択され、特に限定されない。本実施態様の起伏可動堰において、本体部は、図1に示すように、その下縁A1020の長さが水路の底面の幅(線分C1020の長さ)と略等しくなるように設定されている。本実施態様の起伏可動堰において、本体部は、1枚の板によって構成されているが、これに限定されず、複数枚の板によって構成されたものであってもよい。
(8) 剛板の取り付け方法
水路に対する剛板の取り付けは、水路の底面に対して剛板が起立及び倒伏できるように行う。本実施態様の起伏可動堰においては、蝶番(図示省略)を用いて取り付けている。前記蝶番には、開き角度が可変な一対の可動片を備えたものを用いており、一方の可動片を水路の底面にボルト留めし、他方の可動片を剛板の下縁にボルト留めしている。剛板は、通常、その下縁A1020が水路に対して垂直(線分C1020に対して平行)となるように取り付けられている。
(9) 剛板の限界起立角度
剛板を限界まで起立させたときにおける剛板の起立角度(図3における∠C111012の大きさ。以下においては、限界起立角度と呼ぶことがある。)は、通常、90°以下に設定される。というのも、剛板の起立角度がθ(0°≦θ≦90°)であるときの堰高と、剛板の起立角度が180°−θであるときの堰高は等しく、剛板の限界起立角度を90°を超える値に設定したとしても、堰高を調節することのできる範囲は広がらないためである。本実施態様の起伏可動堰においては、剛板の限界起立角度を60°に設定している。
1.2 可撓シート
(1) 可撓シートの素材
可撓シートの素材は、剛板の起立又は倒伏の動作に追従できる程度の可撓性と、想定される水圧に耐えうる程度の強度を有する素材で形成されたものであれば特に限定されない。本実施態様の起伏可動堰において、可撓シートは、ゴムで形成されたものとなっており、可撓性や耐水性だけでなく、弾力性にも優れたものとなっている。このため、剛板が限界まで倒伏した状態から限界まで起立した状態となるまでの間、可撓シートを常に張った状態に保つこともできるようになっている。
(2) 可撓シートの形状
可撓シートの形状は、折り曲げ部の寸法形状や、水路岸部の法面の傾斜角度によって異なり、特に限定されない。本実施態様の起伏可動堰において、可撓シートは、図2に示すように、逆三角形状に形成されたものとなっている。
(3) 可撓シートの寸法
可撓シートの寸法も、折り曲げ部の寸法形状や、水路岸部の法面の傾斜角度によって異なり、特に限定されない。本実施態様の起伏可動堰において、可撓シートの側縁B1011の長さは、剛板の側縁A1011の長さに等しく設定されている。また、可撓シートの側縁B1012の長さは、剛板が限界まで起立したとき(図3を参照)に、剛板の上縁A1112,A1213における最下点よりも可撓シートの上端B12を高くすることのできる長さに設定されている。さらに、可撓シートの上縁B1112の長さは、剛板が限界まで起立したときにおける線分B1112の長さ以下となるように設定されている。
(4) 折り曲げ部に対する可撓シートの固定方法
可撓シートの側縁B1011は、図2に示すように、折り曲げ部の側縁A1011に固定される。折り曲げ部に対する可撓シートの固定は、可撓シートと折り曲げ部との境界から水が漏れることのないように行う。本実施態様の起伏可動堰においては、複数本のボルト(図示省略)を用いて固定している。
このとき、可撓シートにボルトを直接打ち込むと、ボルトが貫通した箇所を始点として可撓シートが裂けるおそれがあるので、本実施態様の起伏可動堰においては、帯状に形成された補強板(図示省略)を用意し、可撓シートの側縁B1011を折り曲げ部の側縁A1011と前記補強板とで挟み込んだ状態でボルト締めしている。これにより、可撓シートを破れにくくするだけでなく、可撓シートと剛板との境界の止水性を向上させることも可能になる。可撓シートの側縁B1011におけるボルトが貫通する箇所には、鳩目などを設けてもよい。
(5) 水路岸部の法面に対する可撓シートの固定方法
可撓シートの側縁B1012は、図2に示すように、水路岸部の法面に固定される。水路岸部の法面に対する可撓シートの固定は、可撓シートと水路岸部の法面との境界から水が漏れることのないように行う。本実施態様の起伏可動堰においては、複数本のボルト(図示省略)を用いて固定している。可撓シートの側縁B1012は、通常、直線状に固定される。
このとき、可撓シートにボルトを直接打ち込むと、ボルトが貫通した箇所を始点として可撓シートが裂けるおそれがあるので、本実施態様の起伏可動堰においては、帯状に形成された補強板(図示省略)を用意し、可撓シートの側縁B1012を水路岸部の法面と前記補強板とで挟み込んだ状態でボルト締めしている。これにより、可撓シートを破れにくくするだけでなく、可撓シートと水路岸部の法面との境界の止水性を向上させることも可能になる。可撓シートの側縁B1012におけるボルトが貫通する箇所には、鳩目などを設けてもよい。
(6) 水路岸部の法面に対する可撓シートの固定位置
可撓シートの側縁B1012における上端B12は、剛板が限界まで倒伏したとき(図2を参照)における線分B1112の長さ(Lとする)と、剛板が限界まで起立したとき(図3を参照)における線分B1112の長さ(Lとする)とを等しくできる位置を選んで固定すると好ましい。長さLと長さLは、可撓シートの上端B12を、図2に示す線分A1019上の点Pで固定すれば、等しくすることができる。
線分A1019は、可撓シートの側縁A1011における下端A10を原点Oとし、水路の底面と水路岸部の法面との境界線C1011をx軸(下端A10から点C11に向かう向きを正)とし、境界C1011に垂直な面と水路岸部の法面との交線A1015をy軸(下端A10から点C15に向かう向きを正)とすると、下記式2.1で表される。
ここで、傾きtは、下記式2.2によって表される定数である。
ただし、αは、折り曲げ部の広がり角度であり、αは、折り曲げ部の折り曲げ角度である。また、βは、水路岸部の法面の傾斜角度であり、γは、剛板が限界まで起立したときにおける剛板の起立角度(限界起立角度)である。
上記式2.2を上記式1.2と見比べると、上記式2.2の右辺の分子は、上記式1.2の右辺の分子よりも、tanαsinαsinγだけ大きくなっており、上記式2.2の右辺の分母は、上記式1.2の右辺の分母よりも、tanαsinαsinβ(1−cosγ)だけ小さくなっていることがわかる。このため、上記式2.2で表される傾きtは、上記式1.2で表される傾きtよりも常に大きくなるようになっている。以上のことから、本発明の起伏可動堰は、図8〜図10に示した従来の起伏可動堰よりも、可撓シートの側縁B1012における上端B12を水路の上流側に固定することができ、施工スペースを削減できるものであることがわかる。
具体的に、傾斜角度βが30°で限界起立角度γが60°であるときにおける傾きtと傾きtの値をそれぞれ求めてみると、傾きtは、約1.155であるのに対して、傾きtは、約2.078となり、傾きtよりも2倍近く大きくなっている。ただし、傾きtは、広がり角度αと折り曲げ角度αとをいずれも30°として求めた。傾きtの値は、広がり角度αや折り曲げ角度αを調整することによって、さらに大きくすることも可能である。
1.3 駆動手段
駆動手段は、剛板を水路の底面に対して起伏動作させることのできるものであれば特に限定されない。駆動手段としては、(a)剛板と水路の底面との間に配された袋体と、該袋体に流体を注入する注入手段とからなり、前記袋体に空気などの流体を注入して前記袋体を膨張させることによって剛板を起立させ、前記袋体から流体を排出して前記袋体を収縮させることによって剛板を倒伏させるもののほか、(b)エアシリンダや油圧シリンダや水圧シリンダなどの流体圧シリンダの動作によって剛板を起立又は倒伏させるものや、(c)一端が剛板に固定されたロープやチェーンやベルトなどの索条体を巻き上げ又は送り出すことによって剛板を起立又は倒伏させるものや、(d)歯車などのメカ機構の動作によって剛板を起立又は倒伏させるものなどが例示される。
2 起伏可動堰の動作
次に、本発明の起伏可動堰の動作について説明する。図5は、本発明の起伏可動堰の剛板を限界まで倒伏させて、水路に水を流している状態を示した斜視図である。本実施態様の起伏可動堰は、図5に示すように、剛板を限界まで倒伏させることによって、水路の水を遮ることなく自然な状態で流すことができるものとなっている。
図6は、本発明の起伏可動堰の剛板を限界まで起立させて、水路の水を堰き止めている状態を示した斜視図である。本実施態様の起伏可動堰は、図6に示すように、剛板を起立させることによって、剛板の上縁A1213における最下点が水面よりも高い間は、起伏可動堰の上流側に水を溜めることができるものとなっている。
このとき、可撓シートの上縁B1112は、目立った張りや弛みが生じておらず適度に緊張した状態となっており、可撓シートの上縁B1112における最下点は、剛板の上縁A1213における最下点よりも高くなっている。このため、起伏可動堰の上流側の水位が上がってきた場合であっても、水路の水は可撓シートを越流するよりも先に剛板の上側を越流するようになっている。
図7は、本発明の起伏可動堰の剛板を限界まで起立した状態からやや倒伏させて、起伏可動堰に堰き止められていた水を流している状態を示した斜視図である。本実施態様の起伏可動堰は、図7に示すように、剛板の起立角度を変えることによって、放流する流量を調節することができるものとなっている。
このとき、可撓シートの上縁B1112には弛みが生じているものの、それでもなお、可撓シートの上縁B1112における最下点は、剛板の上縁A1213(図4を参照)における最下点よりも高くなるようになっている。このため、起伏可動堰に堰き止められていた水は、剛板を越流するようになっており、可撓シートを越流することのないようになっている。
3 起伏可動堰の用途
本発明の起伏可動堰は、その用途を特に限定されず、各種の堰として用いることができる。なかでも、農業用水を取水するためなどに用いられる取水堰として好適に用いることができる。
剛板を限界まで起立させたときにおける本発明の起伏可動堰の全体を示した斜視図である。 剛板を限界まで倒伏させたときにおける本発明の起伏可動堰の左側部を拡大した斜視図である。 剛板を限界まで起立させたときにおける本発明の起伏可動堰の左側部を拡大した斜視図である。 剛板を限界まで起立させた状態からやや倒伏させたときにおける本発明の起伏可動堰の左側部を拡大した斜視図である。 本発明の起伏可動堰の剛板を限界まで倒伏させて、水路に水を流している状態を示した斜視図である。 本発明の起伏可動堰の剛板を限界まで起立させて、水路の水を堰き止めている状態を示した斜視図である。 本発明の起伏可動堰の剛板を限界まで起立した状態からやや倒伏させて、起伏可動堰に堰き止められていた水を流している状態を示した斜視図である。 剛板を限界まで倒伏させたときにおける従来の起伏可動堰の左側部を拡大した斜視図である。 剛板を限界まで起立させたときにおける従来の起伏可動堰の左側部を拡大した斜視図である。 剛板を限界まで起立させた状態からやや倒伏させたときにおける従来の起伏可動堰の左側部を拡大した斜視図である。 従来の起伏可動堰の剛板を限界まで倒伏させて、水路に水を流している状態を示した斜視図である。 従来の起伏可動堰の剛板を限界まで起立させて、水路の水を堰き止めている状態を示した斜視図である。 従来の起伏可動堰の剛板を限界まで起立した状態からやや倒伏させて、起伏可動堰に堰き止められていた水を流している状態を示した斜視図である。

Claims (5)

  1. 水路中央部を止水するための剛板と、水路岸部を止水するための可撓シートと、剛板を水路の底面に対して起伏動作させる駆動手段とを備えた起伏可動堰であって、剛板の側縁近傍の背面側に折り曲げ部が所定の折り曲げ角度で形成され、可撓シートの一方の側縁を折り曲げ部に固定し、可撓シートの他方の側縁を水路岸部の法面に固定するとともに、可撓シートの上縁を弛むことが可能な状態とした起伏可動堰。
  2. 折り曲げ部が略逆三角形状に形成された請求項1記載の起伏可動堰。
  3. 折り曲げ部の折り曲げ角度が水路岸部の法面の傾斜角度に一致した請求項1又は2記載の起伏可動堰。
  4. 剛板を限界まで起立させたときの可撓シートの上縁の長さと、剛板を限界まで倒伏させたときの可撓シートの上縁の長さとが等しく設定された請求項1〜3いずれか記載の起伏可動堰。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の起伏可動堰を水路に施工する起伏可動堰の施工方法。
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