JP4424603B2 - 空圧式起伏ゲート - Google Patents
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Description
空圧式起伏ゲートにおいて扉体と空気袋が接触する面は起立するほど小さく、倒伏時が最大となる。したがって空気圧による扉体の押起モーメント並びに押起力は倒伏時に最大となって倒伏した扉体を押起すに際して若干の堆砂が載っていても、支障なく押起す能力を有している。
この場合には、各単位ゲート毎に堆砂状況が異なることになり、起立操作を行なう時これに抵抗するモーメントの大きさが異なるので、扉体群全体として捩れが発生する。
この捩れ現象は、倒伏した扉体の群の上を越流する水の流れを堆砂の厚い部分に集める効果があり、起立操作を上手に行なえば容易に扉体の群の上の砂礫を流下させることが可能で、ゲートの管理上非常に優れた特性である。
通常起立の空気圧は、扉体を設計水深を受けた状態で押起す圧力に若干の余裕を付加したものである。起立時には、扉体と空気圧の接触面の回転中心に係る断面一次モーメントが小さいから、水圧荷重を支持するための空気圧は大きい値となる。
反面、倒伏時には扉体と空気袋の接触面の回転中心に係る断面一次モーメントが最大となり、堆砂や水の重量に打ち勝って扉体を押起すために必要は空気圧は小さい値で充分である。
一般の空気制御装置では、この減圧弁の調整圧力はゲートが要求する圧力より少し高い空気圧としてゲートが確実に操作できるように設定し、空気袋等の強度は、その設定圧が作用しても安全なように設計する。
ところが、空圧式起伏ゲートを起立操作する時に、偏った堆砂が生じており、扉体群に捩れが発生する場合には、扉体や中間水密ゴムの損傷を防止するために減圧弁を低い圧力に再調整する必要がある。
しかし、装置を過大な空気圧による損傷から保護するべき減圧弁の設定を操作時に変更することは誤操作による事故発生を招くおそれがあった。
すなわち、洪水末期に倒伏した扉体の上を流下する水量が砂礫の流下に都合のよい量である時期に起伏操作しないと堆砂の処理は困難であるが、このときには流水は濁り、倒伏した扉体の上面の砂の状況を正しく判断するのは困難である。
また、河川幅の大きい河川に設けられた空圧式起伏ゲートでは操作室からゲートまでの距離が大きく、起伏操作を開始する前に倒伏した扉体の上面の砂の状況を正しく判断することは困難である。
すなわち、径間の大きい空圧式起伏ゲートを砂礫の流下の多い河川に設置する場合には、この発明の空圧式起伏ゲートの安全性を確保する機能は非常に重要である。
図1、図2、図3、図4、図5、図6ならびに図7はこの発明の空圧式起伏ゲートの1実施例を示すものであり、図1は空圧式起伏ゲートの正面図、図2は空圧式起伏ゲートの断面図でともに起立状態を示し、図3は空圧式起伏ゲートの断面図で倒伏状態を示し、図4は倒伏した鋼板製の扉体の上に不均一に堆砂した状況を下流側より見た説明図であり、図5は不均一な堆砂に対し、低圧起立用減圧弁の圧力により起立操作した結果、扉体群が捩れて水流が堆砂付近に集中し、排砂が進行している状況を下流側から見た説明図であり、図6は中間水密ゴムの断面図であり、図7は側面水密ゴムの断面図である。
その結果、主押え板3の下流側のふちに沿う位置に鋼板製の扉体9の下端部の起伏運動時に回転中心となる丸棒鋼22が位置し、同時に空気袋4は鋼板製の扉体9の下流側の根元部分に位置して枕状に鋼板製の扉体9を支持することになる。
加えて、水路の底の空気袋4より下流側の適当な位置のコンクリートの上面12に設置したアンカーボルト13と押え板14で一端をコンクリートの上面12に固定した十分な強度を有するゴム引布製の帯15の他端を、扉体9の下流側の面の空気袋4の接触する位置より上の適当な位置にボルト16と押え板17で固定することにより、扉体9が所定位置まで起立したときには、この帯15に作用する張力により扉体9が停止するようにする。
なお、前記アンカーボルトの代わりに、水路の底を横断して設置したアンカー金物に並べて設けた雌ねじにねじ込むボルトと押え板とが、3辺が閉じ1辺が開いた平らな長方形に製作したゴム引布製の空気袋の開いた辺をアンカー金物に押し付けることによって、開いた辺を密閉しつつ、アンカー金物に空気袋を固定することもできる。
また倒伏時には、扉体9の先端の丸棒鋼19が支持台20に支持されて、コンクリートの上面1、コンクリートの上面12、ならびに扉体9、その曲げ加工部18ならびに丸棒鋼19によって空気袋4や帯15を格納する空間を確保する。
特に帯15の折曲部21は余裕のある曲げ半径を保つことができるから、折り傷が発生する心配はない。
また、扉体9の曲げ加工部18の曲げ角度は小さいから、この部分で越流する水脈が乱れて振動の原因となることもない。
さらに扉体9の下端には、主押え板3の厚さとほぼ等しい直径の丸棒鋼22を溶接して扉体9が起伏運動をするに際して、扉体9の下端が空気袋4の上面23を滑りやすくする。
この状態の空圧式起伏ゲートを上流から見たのが図1である。この空圧式起伏ゲートの場合は、4基の単位ゲートで構成されており、隣接する扉体9の間は、適度の強度と柔軟性を有するゴム引布製の中間水密ゴム36で連結して相互の水密とゲート全体としての可撓性を保持している。
また、ゲートの側端の扉体9には、ゴム製の側面水密ゴム37が取付けられて、側壁との間の水密を保持している。
図7に、側壁と扉体9の間の水密を保持する側面水密ゴム37の取付部の断面図を示す。
側面水密ゴム37は扉体9の側端部にボルト40と押え板41で強固に取付けられ、その先端は側壁の表面の側面戸当板42に接しており、扉体9の側端部と側面戸当板42との隙間に介在して漏水を防止している。
空気袋4が内部の圧力を有する空気を排出させた結果、平らに収縮したことによって4基の単位ゲート各々の扉体9の群は河床に倒伏し、側壁と扉体9の間には側面水密ゴム37があり、扉体9相互の間には中間水密ゴム36があって、全体として1径間のゲートを形成している。
ところが、河川においては流下する水と一緒に河床を移動する砂礫は幅方向に均一ではない。
図4の場合には、洪水の終わりに河床を移動する砂礫は左岸に偏ったので、図の右側に堆砂43があり、左側には堆砂43がないので水流44がある。
堆砂43が載ったために起立に抵抗するモーメントが大きい最も左岸の扉体9−1は、その下の最も左岸の空気袋4−1に低圧起立用減圧弁34に管理された圧力の圧縮空気を送入されても起立することができない。
これに隣接する中央左岸寄りの扉体9−2には堆砂43は載っていない。しかし、扉体9−1と中間水密ゴム36−1によって連結されているので、空気袋4−2の内部に低圧起立用減圧弁34に管理された圧力の圧縮空気を送入されて扉体9−2が少し起立するけれども、中間水密ゴム36−1が変形して扉体9−1から起立に抵抗するモーメントが伝達されると扉体9−2は起立の途中で停止する。
したがって空気袋4−2は少し膨張はするが、それ以上の膨張はできない。
したがって空気袋4−3も空気袋4−2より少し余分に膨張するが、それ以上の膨張はできない。
最も右岸の扉体9−4も同様にして、扉体9−3より少し余分に起立するけれども、中間水密ゴム36−3が変形して扉体9−3から、扉体9−1からの起立に抵抗するモーメントが伝達されると扉体9−4も起立の途中で停止する。
したがって空気袋4−4も空気袋4−3より少し余分に膨張するが、それ以上に膨張できない。
すなわち、扉体9の群全体として捩れるのである。
その結果、水流44は堆砂43が載った扉体9−1付近に集中するので、堆砂43は右岸寄りから水流44に順次洗われて流下が進行する。
この状況の途中を示したのが図5である。
この状況を持続させれば、堆砂43は順次縮小するので、扉体9の群全体としての捩れも縮小する。
やがて堆砂43の不均一による起立に抵抗するモーメントが小さくなれば、扉体9の群は若干の捩れは残りながらも起立を完了させることができる。
この後は、通常起立回路開閉弁31を開いて、通常に空圧式起伏ゲートを起伏操作すれば残りの堆砂43も流出し、堆砂43のない状況に復元することができる。
またこの接触面が大きい状況では、低い空気圧によって起立操作を行なっても、起立操作に必要な起立モーメントは確保されるのである。
2 アンカーボルト
3 主押え板
4 空気袋
5 開いた辺の縁
6 繋留版
7 ボルト
8 押え板
9 扉体
10 ボルト
11 押え板
12 コンクリートの上面
13 アンカーボルト
14 押え板
15 帯
16 ボルト
17 押え板
18 曲げ加工部
19 丸棒鋼
20 支持台
21 折曲部
22 丸棒鋼
23 上面
24 口金
25 空気管
26 排気用開閉弁
27 排気用流量調節弁
28 排気放出部
29 給気用開閉弁
30 給気用流量調節弁
31 通常起立用回路開閉弁
32 通常起立用減圧弁
33 逆止弁
34 低圧起立用減圧弁
35 空気圧縮機
36 中間水密ゴム
37 側面水密ゴム
38 ボルト
39 押え板
40 ボルト
41 押え板
42 側面戸当板
43 堆砂
44 水流
4−1 空気袋
4−2 空気袋
4−3 空気袋
4−4 空気袋
9−1 扉体
9−2 扉体
9−3 扉体
9−4 扉体
36−1 中間水密ゴム
36−2 中間水密ゴム
36−3 中間水密ゴム
Claims (1)
- 断面が長方形の水路の底を横断して並べて設置したアンカーボルトと押え板とが、3辺が閉じ1辺が開いた平らな長方形に製作したゴム引布製の空気袋の開いた辺を水路の底に押し付けることによって、開いた辺を密閉しつつ、水路の底に空気袋を固定し、この空気袋の上の押え板の下流側のふちに沿う位置に鋼板製扉体の下端部の起伏運動時の回転中心を置くことによって、空気袋が鋼板製扉体の下流側の根元部分に位置し、枕状に鋼板製扉体を支持するようにするとともに、
この空気袋に陸上の空気操作装置から空気管を接続して圧縮空気を送入すれば、空気袋が膨張して鋼板製扉体を起立させ、逆に空気袋から圧力を有する空気を排出すれば、空気袋が平らに収縮して鋼板製扉体が倒伏するようにしたゲート幅の小さい(2m〜5m程度)空圧式起伏ゲートを単位ゲートとして複数基、鋼板製扉体の回転中心の方向に並べて設置し、単位ゲートの境界においては隣接する鋼板製扉体どうしをゴム引布製の中間水密ゴムによって境界の水密を確保しかつ充分な連結強度を確保しつつ柔軟に接続して、全体として幅の大きい水路の起伏ゲートとした上で、
空気操作装置が平常の起伏操作する際の圧縮空気の圧力を管理する減圧弁に加えて、これに並列の低圧減圧弁を設備して、倒伏した鋼板製扉体群の上に不均一に堆砂した時には、低圧減圧弁に管理された低い空気圧によって起立操作を行ない、破損をしないで可能な限りにおいて中間水密ゴムの変形を発生させて、越流する水を堆砂の厚い部分に集中させることにより、倒伏した鋼板製扉体群の上の堆砂を流出させるようにしたことを特徴とする空圧式起伏ゲート。
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