JPS589205B2 - 台形起伏堰 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は河川の流水に直角な断面が、台形である河床
断面の河川に、該河床断面を変形する必要なく、該断面
を利用し、建設し得る台形起伏堰に関する。

従来、比較的小さな河川にゲート、すなわち堰を設け、
農業用水への利用や治水等を行う場合は起伏ゲートが建
設使用されることが多い。

しかしこの起伏ゲートの建設に際しては、該ゲートの建
設箇所の近部たる上下流の河川断面を矩形に掘削し直し
、起伏ゲートを建設可能な河川断面にするとともに、河
川の流水断面の急激な変化を防止する配慮が必要であり
、建設には長日時を要し、困難であり、しかも建設コス
トが高く、ゲートの材質が起伏に適した可撓性を有する
ものを使用する必要から耐久性が小である等の数々の欠
点があった。

この発明は上記従来起伏ゲートの欠点を除去したもので
あり、以下図面によってこの発明の実施例を詳細に説明
する。

第１図はこの発明に係る台形起伏堰の斜視図、第２図は
正面図、第３図は平面図である。

第１，２．３図において、１は河川であり矢印２方向に
水は流れている。

３は河床であり、４は河床底、５は河床斜面である。

該河床３にはこの発明に係る台形起伏堰６が設けられて
いる。

該台形起伏堰６は、両河床斜面５，５に夫々立設された
鋼板からなる直角三角形状の斜面プレート７，７と、中
央の河床底４に下流方向に少許の角度上部を傾斜して設
けられた矩形の鋼板からなる中央プレート８、および該
両プレート７と８を結合すべく水流に平行に立設された
逆直角三角形状の鋼板からなる連結プレート９，９とか
らなり、３種のプレートの連結部１０は各プレートが回
動可能に蝶着されている。

また、前記中央プレート８と河床底４とを連接部および
斜面プレート７，７と河床斜面５との連接部には第４図
に示す如くゴム等からなる水密部材１１を介して、敷居
金具１２が設けられている。

また、中央プレート８と連結プレート９，９の連結部、
および該連結プレート９，９と斜面プレート７，７の夫
々の接合部にも水密部材が介装され、上述のプレート群
により形成される堰からの漏水を防止している。

また、各プレート７，８，９の夫々上下端あるいは適宜
箇所には補強用の桁が設けられている。

第４図に示す如く、中央プレートの下端部はヒンジ１３
により矢印１４方向に揺動可能に蝶着されている。

また該中央プレート８の両端部上方には、第４図にも示
す如くヒンジ１５が設けられ、斜面プレート７の上部隅
に設けられたヒンジ１６とをビーム１７により連結して
いる。

また第５図は第３図の■−ｖ線による断面であるが、斜
面プレート７の下端部は河床斜面５に設けられた回動軸
１８の母線上に固設され、該軸１８は敷居金具１２に設
けられた軸受１９に回動可能に支持されている。

該軸１８上から前記ヒンジ１６部には斜面プレート７に
沿って、トルク伝達縦桁２０が設けられ、回動軸１８の
回動を、すなわち斜面プレート７を、そして連結されて
いる他の各プレートを起伏する如くされている。

そして、前記回動軸１８の陸上側たる上端には第６，７
図に示す如くトルクアーム２１の一端が固設され、該ト
ルクアーム２１の他端には油圧シリンダ２２のピストン
２３先端が枢着されている。

次にこの台形起伏堰の作用について説明する。

第１，２図の状態から油圧シリンダ２２のピストン２３
を伸動せしめるとトルクアーム２１により回動軸１８は
第２図の矢印２４方向に回動し、該回動力は縦桁２０を
経てヒンジ１６および１５に伝わり、中央、斜面および
連結のプレート８，７．９を河川１の下流方向に倒伏せ
しめる動作をし、終には第１図における仮想線６ａで示
す如き形状に前記プレート群を河床底４、河床斜面５の
面まで倒伏せしめ、貯留水を放出せしめる。

また逆に、シリンダ２２のピストン２３を縮動せしめれ
ば、回動軸１８は第２図の矢印２４と反対方向に回動し
、回動力は縦桁２０を経て、中央斜面および連結の各プ
レート８，７，９を河川１の上流方向に起立せしめ、流
水を貯留する充分なる高さとなる。

なお、この発明は上記実施例に限定されるものではなく
、この発明の精神を逸脱しない範囲において種々の応用
改変を為し得るのは言うまでもない。

例えば連結プレート９をゴム等の弾性体として中央プレ
ートと斜面プレートとの上端間を長手方向に摺動可能に
連結し、また回動軸は河床斜面５に沿って上流側から下
流側に流れるように、中央プレート８と一直線ではなく
、角度を持たせて配設し、斜面プレート７を堅持する構
成とすることもできる。

また、斜面プレート７を河床斜面５に適宜手段により蝶
着し、回動軸１８を省き、斜面プレート７自体を起倒駆
動せしめる構成とすることも可能なことは勿論である。

以上詳述した如くこの発明は構成されているので、 １）従来の起伏堰の如く、堰を設ける河川の河床断面形
状を台形から矩形にするための掘削作業を行う必要がな
いので、簡単、短日時でしかも低コストで堰を建設する
ことができる。

２）連結プレートが鋼板である場合は３種類のプレート
により構成される堰は水密ゴム以外すべて鋼等の強度の
高い材料により構成されているので、長日時の使用に耐
える耐久力を有し、材質上充分な強度を有する堰を建設
し得て、貯水能力の犬なるものは簡単に建設し得る。

３）堰の起伏を果す動力源は陸上に設け得るので、装置
の保守、点検が極めて容易である。

なお、この発明は上記実施例に限定されるものでないこ
とは前述の通りであり、たとえば、堰を構成するプレー
トは鋼に限定されず他の金属材料や強化プラスチック等
も使用し得る。

また、回動軸の回動は原動機以外にも他の動力手段や手
動によっても充分操作し得るものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示し、第１図は台形起伏堰の
斜視図、第２図は平面図、第３図は第２図のト］線によ
る断面正面図、第４図は第３図のＥＶ−ＩＶ線による断
面拡大図、第５図は第３図の■一■線による断．面拡大
図、第６図は回動軸の陸上側の回動手段を示す要部平面
図、第７図は第６図の■一■線による断面図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 断面が略台形の河床を有する河川の両河床斜面に沿
   って起倒操作可能に立設した斜面プレートと、河川流れ
   方向に起倒操作可能に河床底に立設した中央プレートと
   、前記斜面プレートおよび前記中央プレートの側端間に
   可動連結された連結プレートとを有することを特徴とす
   る台形起伏堰。