JP2005344469A - 起伏堰装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 塵芥に起因する不具合の発生が抑制されて、装置の信頼性が高められる起伏堰装置を提供する。
【解決手段】 扉体4の各補強部材6の各水路上流側端部6aが支持ブロック18の上部に形成されたストッパ36に当接されて、当該扉体4の起立側の回動動作が制限される。これにより、従来の起伏堰装置において扉体4の起立側の回動動作を制限するために用いられていた引止帯が廃止されて、引止帯に水中の塵芥が絡み付くことに起因する扉体4の動作不良が解消されることにより、扉体4が確実に動作されて当該装置1の信頼性が高められる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、起伏堰装置に関し、特に、河床と扉体との間に設けられる袋体が膨張又は収縮されて扉体が起立又は倒伏されることにより水位が制御される起伏堰装置に関する。
従来から、河床と扉体との間に設けられる袋体が膨張又は収縮されて、当該扉体が起立又は倒伏される起伏堰装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような起伏堰装置では、袋体にガス(空気)が給気されて袋体が膨張されることにより、該袋体によって扉体の背面が押圧されて、扉体が水路幅方向へ延びる軸線の回りに回動される。これにより、扉体が水路上流へ向けて起立されて、水流が堰き止められることにより水路上流の水位が上昇される。また、上記起伏堰装置では、扉体が起立された状態(水路の開度が最小の状態)で、袋体内のガスが排気されて袋体が収縮されることにより、扉体が水路幅方向へ延びる軸線の回りに回動される。これにより、扉体が水路下流へ向けて倒伏されて、水路上流の水位が下降される。一般に、このような起伏堰装置では、一端が扉体の背面に固定されると共に他端が河床に固定される引止帯が水路幅方向に所定間隔で設けられて、扉体の起立動作時に引止帯が緊張されて扉体の回動動作が制限されることにより、当該扉体が起立された状態に維持される。
上記従来の起伏堰装置では、引止帯が水路の水流中に設けられるため、扉体の起立時又は回動動作時には引止帯に塵芥が絡み付いてしまう。このように、引止帯に塵芥が絡み付いてしまうと、扉体が適正に起立されずに装置が機能されない虞がある。また、複数本の引止帯の長さを適正に調節するのは、極めて煩雑、且つ困難な作業である。そして、各引止帯の長さが適正に調節されていない場合には、特定の引止帯に過大な負荷が作用して、当該引止帯が破損される虞がある。
特開2004−10933号公報(段落番号0008〜0016、図2)
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、塵芥に起因する不具合の発生が抑制されて、装置の信頼性が高められる起伏堰装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、河床と扉体との間に設けられる袋体が膨張又は収縮されることにより、扉体が起立又は倒伏されて水位が制御される起伏堰装置であって、扉体の上流側端部に設けられて、水路の幅方向に対して平行に配置される軸部と、河床に設けられて、軸部が回動可能に支持される軸受部と、河床に設けられて、軸部回りの起立方向へ回動される扉体に当接されて扉体の起立開度が制限されるストッパと、河床と扉体との間に架設されてストッパの上方に配置される水密ゴム板と、を具備することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の起伏堰装置において、軸部と軸受部とが、河床に設けられて扉体が設置される掘り下げ部に配設されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の起伏堰装置において、袋体の被固定部が、軸受部の直下に配置されることを特徴とする。
従って、請求項1に記載の発明では、袋体が膨張されて該袋体によって扉体の背面が押圧されることにより、扉体が軸部の回りに起立方向へ回動される。そして、扉体がストッパに当接されて扉体の回動動作が制止されることにより、扉体の開度が制限される。また、河床と扉体との間に架設される水密ゴムによって、水路上流の水、塵芥、土砂が扉体と河床との間に流入されるのが防止される。
請求項2に記載の発明では、軸部及び軸受部が河床よりも低い位置(掘り下げ部)に配置されるため、当該軸部及び軸受部に水流中の塵芥が絡み付くことが防止される。
請求項3に記載の発明では、袋体が軸受部の直下で固定されるため、袋体が膨張又は収縮される際に、当該袋体と扉体とが相対運動されて双方が擦れ合う量が少なくなる。
請求項1に記載の発明によれば、引止帯が廃止されて、調整等の施工が容易になると共に、塵芥に起因する不具合の発生が抑制されて装置の信頼性が高められる。
請求項2に記載の発明によれば、塵芥に起因する不具合の発生が抑制されて、装置の信頼性が高められる。
請求項3に記載の発明によれば、袋体の破損を防ぐことができる。
本発明の一実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1及び図3に示されるように、本起伏堰装置1は、河床2が掘り下げられて掘り下げ部3が設けられて、該掘り下げ部3に鋼製の扉体4が設置される。該扉体4は、当該扉体4の起立時に、当該起伏堰装置1よりも水路上流(以下、単に水路上流と称す。)を流れる水の流れを堰き止めるスキンプレート5を有し、該スキンプレート5の正面(扉体4の起立時に水路上流に向けられる側の面)には、縦方向(図4に示される扉体4が倒伏された状態における水路の長さ方向であって、図4における左右方向。)に相互に平行に延びる複数の補強部材6が設けられる。また、上記扉体4は、該補強部材6の各水路上流側端部6aがスキンプレート5から突出されて、各補強部材6の各水路上流側端部6aには、軸部8が貫通されて固着される。
また、図1及び図3に示されるように、上記扉体4は、スキンプレート5の水路下流側端部14が当該扉体4の背面(扉体4の起立時に水路下流に向けられる側の面)側に屈折されて剛性が高められており、スキンプレート5の屈折部内側には、水路幅方向(図1における紙面視方向)に複数個(本実施の形態では2個)のリブ15が配設される。そして、上記扉体4は、各リブ15の端面に、スキンプレート5の水路下流側端部14から突出されるスポイラ16が設けられて、該スポイラ16によって、起立時にスキンプレート5を越える水流の水脈による当該扉体4の振動が防止される。また、上記扉体4は、水路の側部9の側のスキンプレート5の縁部10に、該縁部10に沿って側部水密ゴム11が設けられる。そして、図2に示されるように、該側部水密ゴム11は、一側が固定板12及びボルト13によって上記スキンプレート5の縁部10に固定されて、他側が、扉体4が起立された状態での水路上流側に屈折されて水路の側部9に密着される。
これにより、本起伏堰装置1では、側部水密ゴム11によって水路の側部9と扉体4との間からの漏水が防がれる。なお、本起伏堰装置1では、長径間(水路幅方向)に複数の扉体4が並設されるが、この場合、相互に隣接される扉体4間の双方のスキンプレート5の隣り合う縁部に固定される中間水密ゴムによって、隣接される扉体4の間からの漏水が防がれる。また、図1及び図3に示されるように、本起伏堰装置1は、上記掘り下げ部3の水路上流側部分が、断面がクランク状に形成される鋼材17によって補強される。そして、該鋼材1の中間片17の上部には、上記扉体4の軸部8を支持する軸受部19が形成される支持ブロック18が設けられる。該支持ブロック18には、水路幅方向(図1における紙面視方向)に複数個の上記軸受部19が設けられて、各軸受部19には、上部が開口された溝部20が設けられる。そして、本起伏堰装置1は、各軸受部19の各溝部20に上記扉体4の軸部8とスペーサ21とが順次挿入された後、カバー22によって各溝部20の開口が閉塞される。
これにより、本起伏堰装置1は、各軸受部19によって、並設された複数の各扉体4が、水路幅方向(図1における紙面視方向)へ延びる同一軸線上に配置された軸部8の回りに回動可能に支持される。なお、図1に示されるように、本起伏堰装置1では、上記鋼材17の上片1bが河床2よりも低い位置に配置されて、ゴム押え板23及びボルト24によって、下部水密ゴム25の水路上流側の端縁部が上記鋼材1の上片1bに圧締されると共に、ゴム押え板26及びボルト27によって下部水密ゴム25の水路下流側の端縁部が扉体4の補強部材6に架設されたゴムベース28に圧締される。そして、本起伏堰装置1では、ゴムベース28とスキンプレート5との間隙が水密板29によって閉塞されることにより、扉体4の起立時におけるスキンプレート5の下方からの漏水が防がれる。また、図4に示されるように、本起伏堰装置1は、扉体4の倒伏時に、上記下部水密ゴム25が、支持ブロック18及びカバー22によって支持される。
図1に示されるように、本起伏堰装置1は、上記掘り下げ部3にゴム引布製の袋体30が設けられる。上記袋体30は、水路上流側(図1における紙面視左側)に、水路幅方向(図1における紙面視方向)へ延びる板状の被固定部31が形成されて、該被固定部31の水路上流側端部に、当該端部に沿って心棒37が植え込まれる。これにより、被固定部31の水路上流側端部が心棒3の半径方向へ拡張されて当該被固定部31の水路上流側端部に被係止部32が形成される。そして、図1に示されるように、袋体30は、上記被固定部31が上記支持ブロック18の直下に配置されて、且つ被係止部32が、鋼材17の下片1cに固定される固定金具33によって係止される。なお、該固定金具33は、円筒状の係止部33aが支持ブロック18の軸受部19の直下に配設されて、該係止部33に接合される取付部33bがアンカーボルト34によって鋼材1の下片1cを介してコンクリート製基礎(掘り下げ部3)に固定される。また、袋体30は、内部空間30に、コンクリート製基礎中に配設される給排管35が連通されており、該内部空間30aに空気給排装置によって空気が給排されることにより袋体30が膨張又は収縮される。
また、本起伏堰装置1は、図4に示される袋体30が収縮されて扉体4が倒伏された状態では、扉体4の上部(図4における紙面視右側)背面が掘り下げ部3に設定された支持部材によって支持されて、扉体4が略水平に保持される。なお、この状態では、下部水密ゴム25の上面の高さが水路の直上流の底部2の高さ以下に設定される。また、本起伏堰装置1は、袋体30の内部空間30aに圧縮空気が供給されて当該袋体30が膨張されることにより、扉体14が軸部8の回りに図1における紙面視で反時計回り方向へ回動される。そして、図1に示されるように、支持ブロック18の上部に形成されたストッパ36に扉体4の各補強部材6の各水路上流側端部6aの水路上流側を向いた端面6b(図3参照)の上部が当接されることにより、扉体4の回動動作が制限されて当該扉体4が掘り下げ部3(河床2)に対して所定角度で起立される。なお、図1に示される扉体4が起立された状態では、下部水密ゴム25は、水路長さ方向(図1における紙面視左右方向)中央が弾性変形されて凸状に隆起される。
次に、本起伏堰装置1の作用を説明する。図4に示されるように、袋体30が収縮されて扉体4が倒伏された状態では、下部水密ゴム25を含む装置全体の高さが、掘り下げ部3に対して水路直上流の底部2よりも低く抑えられる。これにより、本起伏堰装置1では、水流中の塵芥が補強部材6、軸部8、軸受部19等の主要部に絡み付くことが防がれると共に、土石を含む水流が円滑に流下される。また、本起伏堰装置1では、下部水密ゴム25が、支持ブロック18及びカバー22によって支持されていることにより、転石や土砂等が安全に流下される。この状態で、袋体30の内部空間30aに圧縮空気が供給されて袋体30が膨張されることにより、袋体30によって扉体4の背面が押圧されて、側部水密ゴム11が水路の側部9に摺動されつつ、当該扉体4が軸部8の回りに図4における紙面視反時計回り方向へ回動される。この時、本起伏堰装置1では、袋体30の被固定部31が軸受部19の直下に配置されることにより、袋体30が扉体4に密着されて、袋体30と扉体4とが相対運動されて双方が擦れ合う量が少なくなる。なお、本起伏堰装置1では、扉体4が起立された状態から袋体30が収縮されて、扉体4が軸部8の回りに図1における紙面視時計回り方向へ回動される場合であっても、袋体30が扉体4に密着されて、袋体30と扉体4とが相対運動されて双方が擦れ合う量が少なくなり、当該袋体30にまくれ込みや無理な張力が作用されるのが防がれる。
そして、図1に示されるように、本起伏堰装置1では、扉体4の各補強部材6の各水路上流側端部6aの水路上流側を向いた端面6b(図3参照)の上部が支持ブロック18の上部に形成されたストッパ36に当接されることにより、扉体4の回動動作が制限されて、当該扉体4が掘り下げ部3(河床2)に対して所定角度で起立されて保持される。なお、並設された複数の各扉体4が起立された状態では、水路幅方向両側に配置された各扉体4と水路の側部9との間の漏水が各側部水密ゴム11によって防がれると共に、相互に隣接される扉体4間の漏水が中間水密ゴムによって防がれる。また、本起伏堰装置1では、複数の各扉体4と河床2との間の漏水が、下部水密ゴム25及び水密板29によって防がれる。さらに、本起伏堰装置1では、スポイラ16によって、各扉体4を越える水流の水脈による当該扉体4の振動が防止される。
この実施の形態では以下の効果を奏する。
本起伏堰装置1は、扉体4の各補強部材6の各水路上流側端部6aの水路上流側を向いた端面6bの上部が支持ブロック18の上部に形成されたストッパ36に当接されることにより、当該扉体4の起立側の回動動作が制限されて、扉体4が起立された状態で保持される。また、本起伏堰装置1は、ストッパ36が下部水密ゴム25によって保護される。
したがって、本起伏堰装置1では、従来の起伏堰装置において扉体4の起立側の回動動作を制限するために用いられていた引止帯が廃止されて、従来の起伏堰装置の問題点、即ち、引止帯に水中の塵芥が絡み付くことに起因する扉体4の動作不良の点が解消される。また、扉体4の各補強部材6の水路上流側端部6aとストッパ36との間に、塵芥、土砂等が噛み込まれることが回避される。これにより、扉体4が確実に動作されて当該装置1の信頼性が高められる。さらに、引止帯が廃止されることで、調整等の施工が容易になり、施工期間が短縮される。
本起伏堰装置1は、河床2に設けられた掘り下げ部3に設置されるため、河床2(掘り下げ部3の水路直上流の底部2)よりも高い位置に突出される部位が皆無である。
したがって、本起伏堰装置1では、扉体4の倒伏時に、扉体4、軸部8、軸受部19等の主要部に水流中の塵芥が絡み付くことが防止される。これにより、水中の塵芥が絡み付くことに起因する扉体4の動作不良が解消されて、扉体4が確実に動作されることで当該装置1の信頼性が高められる。
また、本起伏堰装置1は、扉体4の倒伏時に、下部水密ゴム25が支持ブロック18及びカバー22によって支持されるため、下部水密ゴム25が撓んで当該下部水密ゴム25上に転石や土砂等が滞留されることがなく、転石や土砂等が安全に流下される。
本起伏堰装置1は、袋体30の被固定部31が、扉体4の軸部8を支持する軸受部19の直下に配置される。
したがって、本起伏堰装置1では、袋体30が扉体4に密着された状態で当該袋体30が膨張又は収縮される。これにより、袋体30と扉体4とが相対運動されて双方が擦れ合わされる量が少なくなり、袋体30にまくれ込みが生じたり無理な張力が作用されることがなく、当該袋体30の破損が防止される。
本起伏堰装置の説明図であって、特に、扉体が起立された状態を示す図である。 図1における−断面を示す図である。 本起伏堰装置の分解斜視図である。 本起伏堰装置の説明図であって、特に、扉体が倒伏された状態を示す図である。
符号の説明
1 起伏堰装置、2 河床、3 掘り下げ部、4 扉体、6a 水路上流側端部(扉体の上流側端部)、8 軸部、19 軸受部、25 下部水密ゴム(水密ゴム板)、36 ストッパ

Claims (3)

  1. 河床と扉体との間に設けられる袋体が膨張又は収縮されることにより、前記扉体が起立又は倒伏されて水位が制御される起伏堰装置であって、前記扉体の上流側端部に設けられて、前記水路の幅方向に対して平行に配置される軸部と、前記河床に設けられて、前記軸部が回動可能に支持される軸受部と、前記河床に設けられて、前記軸部回りの起立方向へ回動される前記扉体に当接されて前記扉体の起立開度が制限されるストッパと、前記河床と前記扉体との間に架設されて前記ストッパの上方に配置される水密ゴム板と、を具備することを特徴とする起伏堰装置。
  2. 前記軸部と前記軸受部とが、前記河床に設けられて前記扉体が設置される掘り下げ部に配設されることを特徴とする請求項1に記載の起伏堰装置。
  3. 前記袋体の被固定部が、前記軸受部の直下に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の起伏堰装置。

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