JP2009035984A - 空圧式起伏ゲート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゲートの径間を等分割した数個の単位ゲートを並べて設置することが可能な空圧式起伏ゲートの特性を利用し、単位ゲートの扉体の群を相互に連結する中間水密ゴムの幅の両端に引抜に対して一定の抵抗力を有する凸部を設けると同時に、扉体側端部には、扉体、押え板並びに押えボルトによって形成される凹部を設けて中間水密ゴムの凸部を適度の圧縮を加えつつ固定する構造として、平常時にはこの凸部と凹部の結合強度により隣接する扉体の結合を確保し、倒伏阻害が発生した時には、中間水密ゴムに作用する大きい引張力によって中間水密ゴムの凸部が扉体側端部の凹部から引抜かれて両扉体の結合が開放されるようにした。
【選択図】 図1
Description
そこで、ゲート幅の小さい(2〜5m程度)空圧式起伏ゲートを単位ゲートとして、扉体の起伏時の回転中心の延長方向に並べて設置して幅の広い(10〜200m)水路の起伏ゲートとし、全体を1本の空気管で空気操作装置に接続して一括操作することが多い。
この中間水密ゴムによる扉体群の結合は、単位ゲート群による空圧式起伏ゲートに全体として柔軟性を与えると同時に経済性に優れた起伏ゲートの提供を可能にする。
柔軟性の効果は倒伏した扉体の上に堆砂した状態での起立操作の時に扉体群が、堆砂の部分的な多少に対応して捩れて排砂を効果的に進行させる等が指摘できる。
経済性は、扉体や空気袋を製造や運搬、据付けに容易な大きさとすることによって得られるもので、ゲートの径間に一致させた部品を製造据付する場合に比較して格段に安価となる。
1径間を数個の単位ゲートに分割して製作し据付して、全体としての柔軟性に富む空圧式起伏ゲートにおいてもこの危険性は変わらないので、一部の単位ゲートに倒伏阻害が発生した時に、隣接する単位ゲートの扉体を倒伏させて洪水の流下する断面積を大きく確保することは技術上の重大な課題である。
数個の単位ゲートで構成される空圧式起伏ゲートにおいて、一部の扉体の倒伏が阻害された場合には、隣接する単位ゲートにおいては、倒伏操作が行なわれた結果、空気袋内部の空気圧は低下し、空気袋は扉体を支持しないので、両扉体を結合する中間水密ゴムには阻害を受けた扉体が隣接扉体を起立姿勢に保持するために必要な大きな引張力が作用することになる。
この時の中間水密ゴムに作用する引張力は起立姿勢、水位条件を定めて計算することが可能であるから、これに中間水密ゴムと扉体の結合を開放すべき安全率を加味すれば、中間水密ゴムの幅の両端の凸部が扉体側端部の凹部から引抜かれる時の中間水密ゴムの引張力を計算により求めることができる。
一方、中間水密ゴムの幅の両端の凸部が扉体側端部の凹部から引抜かれる時の引張力は、凸部や凹部の形状寸法やゴムの物性等によって多様となるけれど、実験によって具体的な値を求めることが可能である。
以上の結果、平常時には各単位ゲートの扉体を安定的に結合し全体として1径間のゲートとして機能することを可能とする。一方、万一洪水時等に倒伏阻害が発生した時には、扉体間の結合を開放することが可能な中間水密ゴムとその取付部分の詳細を決定することが技術的に可能となる。
その結果、一部の扉体が倒伏阻害を受けても、隣接の扉体等を倒伏させて、洪水の流下断面を大きく確保するという技術の目的が達成されるのである。
さらにこの方式の中間水密ゴムは、扉体の有効高の値の大小に応じてその断面形状を規格化することが可能であり、また取付のためのボルト孔の加工が必要でないので、規格品を予備品として保管していれば、倒伏阻害が発生して中間水密ゴムが扉体側端部から引抜かれた結果、損傷、流出した場合においても早期に修繕することができる。
また扉体側端部の押え板と押えボルトは中間水密ゴムが引抜かれても扉体側端部に固定されていて流失しないので修繕費が非常に安価である。
図1、図2、図3、図4、図5、並びに図6はこの空圧式起伏ゲートの1実施例を示すものであり、図1は空圧式起伏ゲートの正面図、図2は断面図でともに起立状態を示し、図3は断面図で倒伏状態を示し、図4は単位ゲート境界部の断面図で起立状態を示し、図5は図1並びに図4に示すA−A断面図で中間水密ゴムの正常な取付常態を示し、図6は隣接する扉体の間で開度に差が生じ中間水密ゴムが大きく歪んだ状態を示す説明図である。
すなわち、繋留板7と空気袋4の上方のゴム引布16も、主押え板3とアンカーボルト2によって所定の位置から引抜かれないようになる。
この場合も繋留板7の下流の縁21の縁端には、樹脂製のロッド26によって補強繊維の折曲半径が過小とならないように保護した縁端の折返し定着部27があり、繋留板7が作用する張力によって所定の位置から引抜かれないようにする。
また倒伏時には、鋼板製の扉体22の頭部の曲げ加工部36が支持台37に支持されて、コンクリートの上面1、コンクリートの上面28、並びに鋼板製の扉体22の下流面によって必要な空間を確保するから、空気袋4や引留帯31は鋼板製の扉体22に押し潰されることがない。
この状態を上流側から見たのが図1である。
この時の中間水密ゴム38の付近の断面の説明図が図5であり、図1並びに図4のA−A断面を示したものである。基本的には隣接する単位ゲートは同一の形状寸法に製作据付されているので、両単位ゲートの扉体22は同調して起立倒伏するから中間水密ゴム38に格別の外力が作用することはない。中間水密ゴム38は両単位ゲートの扉体22の隙間からの漏水を防止している。
この状況をゲート全体として上流から見たのが図1であり、扉体22は起立している。図1に示した空圧式起伏ゲートは3基の単位ゲートを並べて設置してある。起立した3個の扉体22の左端と右端は側面戸当52との隙間からの漏水を防止する側面水密ゴム49が押え板50と押えボルト51によって扉体22の側端に取付けられている。また起立した3個の扉体22の境界においては、隣接する扉体22と扉体22の間の隙間からの漏水を
防止する中間水密ゴム38が押え板39と押えボルト40によって扉体22の側端に取付けられている。
図5では、隣接した扉体22の起伏の動きは同調しており扉体22の起立高はほぼ同一であるため中間水密ゴム38は曲がっておらず、中間水密ゴム38の幅の両端のくさび形の凸部53が扉体22の側端部の凹部54と押え板39の凹部55が形成するくさび状の凹部に特別の変形もなく格納されている。この状態では中間水密ゴム38には大きな引張力は発生せず、安定的に隣接する扉体22を結合し、相互の隙間からの漏水を防止する。
一方、図6の状態は、隣接した扉体22と扉体22に加わる荷重の差が大きく、扉体22の起立高に大きな差が発生している。その結果、隣接する扉体22の相互の位置にずれが生じ中間水密ゴム38は大きく曲がり大きな引張力が発生して伸びている。また中間水密ゴム38の幅の両端のくさび形の凸部53は、扉体22の側端部の凹部54と押え板39の凹部55が形成するくさび状の凹部の入口方向に引き出され、作用する引張力と凹部から受ける反力の釣合う位置で停止している。
一部の扉体22が倒伏阻害を受けた場合には、隣接する扉体22が受ける転倒モーメントの差が大きいため起立角の差が大きくなり、中間水密ゴム38に発生する引張力が、中間水密ゴム38の形状やゴムの物性によって定まる耐引抜力を超過して、中間水密ゴム38のくさび状の凸部53が扉体22の側端部の凹部54と押え板39の凹部55が形成するくさび状の凹部から引抜かれるために、隣接する扉体22と扉体22の結合が開放され、
倒伏阻害を受けていない扉体22の倒伏が実現する。
したがって、中間水密ゴム38の引抜が発生する条件は、
M=(P×L÷2)×(2×L÷3)=P×L2÷3
ここに M:隣接する扉体22,扉体22の境界に発生している転倒モーメントの差
P:選択した中間水密ゴム38の耐引抜力
L:扉体22の斜長
もっともP:耐引抜力には偏差があるから検討する条件が、
引抜が発生する条件を求めるか
引抜が発生しない条件を求めるか
によって、安全率を1以下とするか、1以上とするかの判断をする。
断面が長方形の水路の底のコンクリートの上面1に、水路を横断して並べて設置したアンカーボルト2が主押え板3によって、3辺が閉じ1辺が開いた平らな長方形に製作したゴム引布製の空気袋4の開いた辺の縁5,6を水路底のコンクリートの上面1に押し付けることによって、空気袋4の開いた辺を密閉すると同時に、空気袋4を水路底に固定する。
加えて、下部水密ゴム62の上流側の縁63を押え板64とボルト65によって主押え板3の上面の上流側に固定し、また下部水密ゴム62の下流側の縁66を押え板67とボルト68によって扉体22の上流面の下端23に添う位置に固定して扉体22の下部からの漏水を防止する。
このことは図1から図6において示した実施例とまったく同様である。
この実施例では、中間水密ゴム38の幅の両端のくさび状凸部のひろがり角が大きく、中間水密ゴム38の厚も大きくなって大きな値の引抜力に耐えることができる。さらにゴムの硬度と強度を大きくしても耐引抜力を大きくすることができる。
この実施例では、中間水密ゴム38の幅の両端の凸部56は円形で、通常時の扉体22と中間水密ゴム38の結合は容易であるけれど、耐引抜力を大きく設定するのは困難である。
図10には小形のゲートで図5より小さい耐引抜力を必要とする場合の施工性を重視した中間水密ゴム38とその取付関係の実施例を示した。この実施例では中間水密ゴム38の幅の両端の凸部57は長方形で端部に切欠き58を有しており、通常時の扉体22と中間水密ゴム38の結合は確実で容易であると同時に、引抜力を受けた時には凸部が変形して小さい引抜力で中間水密ゴム38が引抜かれる特徴がある。
この実施例は、扉体22と押え板39の凹部の施工性に優れている利点がある。
このような事故は極く稀ではあっても、一度発生すると重大な社会問題となるから、可能性を少しでも排除して、安全性を完全なものに近づける技術が必要である。
その意味で、この発明の空圧式起伏ゲートによれば、万一、一部の扉体の倒伏が阻害された場合にも、他の扉体が倒伏して洪水の流下する可能性を従来になく効果的に拡大する技術が提供されることになった。
このことは、日本のように急流部の多い河川に多数の取水設備を設けている社会にとって有意義であり、利用の可能性は非常に大きいと思われる。
2 アンカーボルト
3 主押え板
4 空気袋
5 縁
6 縁
7 繋留板
8 上流の縁
9 ゴム引布
10 ロッド
11 折返し定着部
12 角
13 ロッド
14 折返し定着部
15 凹部
16 ゴム引布
17 ロッド
18 折返し定着部
19 上流側
20 ナット
21 下流の縁
22 鋼板製の扉体
23 下端
24 押え板
25 ボルト
26 ロッド
27 折返し定着部
28 コンクリートの上面
29 アンカーボルト
30 押え板
31 引留帯
32 ボルト
33 押え板
34 ロッド
35 折返し定着部
36 曲げ加工部
37 支持台
38 中間水密ゴム
39 押え板
40 押えボルト
41 口金
42 空気管
43 排気用開閉弁
44 排気用流量調節弁
45 排気放出部
46 給気用開閉弁
47 給気用流量調節弁
48 空気圧縮機
49 側面水密ゴム
50 押え板
51 押えボルト
52 側面戸当
53 くさび状の凸部
54 扉体の側端部の凹部
55 押え板の凹部
56 円形の凸部
57 長方形の凸部
58 切欠き
59 軸受
60 軸受
61 回転軸
62 下部水密ゴム
63 縁
64 押え板
65 ボルト
66 縁
67 押え板
68 ボルト
Claims (3)
- 断面が長方形の水路の底を横断して並べて設置したアンカーボルトと主押え板とが、3辺が閉じ1辺が開いた平らな長方形に製作したゴム引布製の空気袋の開いた辺の縁を、ゴム引布製の扉体繋留板の上流側の縁を介して、水路の底に押し付けることによって、空気袋の開いた辺を密閉しつつ、水路の底に空気袋と扉体繋留板を固定し、
加えて扉体繋留板の下流側の縁に、鋼板製の扉体の上流面の下端部をボルトと押え板により取り付けることによって、鋼板製の扉体が水路の底に起伏自在に取り付けられると同時に、鋼板製扉体の下流側の根元部分に空気袋が位置し、鋼板製の扉体を枕状に支持するようにした上で、
陸上の空気操作装置から空気袋に空気管を接続し、空気袋の内部に空気操作装置から圧縮空気を送入すれば空気袋が膨張して鋼板製の扉体を起立させ、逆に空気袋から圧力を有する空気を排出すれば、空気袋が平らに収縮して扉体が倒伏するようにしたゲート幅の小さい(2〜5m程度)空圧式起伏ゲートを単位ゲートとして、扉体の起伏時の回転中心の延長方向に並べて設置することにより、幅の大きい(10〜200m程度)水路の起伏ゲートとした空圧式起伏ゲートにおいて、
隣接する扉体の間の隙間からの漏水を防止する中間水密ゴムの幅の両端に引抜きに対して適度の抵抗力を発生させるために設けた凸部を、扉体の側端部に扉体と押え板によって形成した固定用凹部に押えボルトによって適度の圧縮を加えつつ固定することにより、通常時には隣接する扉体を結合して扉体の隙間からの漏水を防止し、一部の扉体に倒伏阻害が発生した時には扉体に作用する倒伏モーメントの差によって中間水密ゴムに発生する大きな値の引張力が中間水密ゴムを固定用凹部から引抜くことによって扉体間の結合を開放して、倒伏阻害を受けていない単位ゲートの扉体の倒伏が可能となるようにしたことを特徴とする空圧式起伏ゲート。 - 請求項1の空圧式起伏ゲートにおいて、
断面が長方形の水路の底を横断して並べて設置したアンカーボルトの代りの、水路の底を横断して設置したアンカー金物に並べて設けた雌ねじにねじ込むボルトと主押え板とが3辺が閉じ1辺が開いた平らな長方形に製作したゴム引布製の空気袋の開いた辺を、ゴム引布製の扉体繋留板の上流側の縁を介して、水路の底に押し付けることによって、空気袋の開いた辺を密閉しつつ、水路の底に空気袋と扉体繋留板を固定したことを特徴とする空圧式起伏ゲート。 - 請求項1または2の空圧式起伏ゲートにおいて、
扉体を水路の底に起伏自在に取り付けるゴム引布製の扉体繋留板の代りに、主押え板の下流の縁から突出した軸受と扉体下端部の軸受とを回転軸で起伏自在に結合したことを特徴とする空圧式起伏ゲート。
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