JP4519297B2 - ビアホール形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビアホール形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント基板に使用される絶縁性基板として、ガラス繊維を補強材とした樹脂基板が多用されている。この樹脂基板は一般的に、ガラス繊維糸を製織して布状に形成したガラス布に樹脂を含浸し、乾燥、硬化して板状に形成させたものである。この絶縁性基板の片面または両面に銅箔を積層した後、銅箔をエッチングして所定の導体回路を形成させることによって、プリント基板が製造される。
【0003】
このようなプリント基板を多層化した多層回路基板を製造する場合において、内部に導電性物質を充填したビアホールによって絶縁性基板の表裏の導体回路を電気的に接続する技術が知られている。図3には、絶縁性基板101の所定の位置にビアホール102が形成された片面銅張積層板103を示した。このビアホール102内には、銅箔104を一方の電極として使用した電気メッキ法によって、メッキ金属105が充填されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、各ビアホール102内に金属めっきを行う際に、メッキ金属105のメッキ高さLにばらつきが生じる場合がある。このような場合には、メッキ高さLが不足したビアホール102においては、隣接するプリント基板の導体回路との接触性が低下するおそれがあり、一方、メッキ高さLが過剰となれば、多層回路基板の厚さ精度に狂いが生ずるおそれがあった。
【0005】
本発明者は、上記した問題を解決すべく鋭意研究してきたところ、全く意外にも、レーザによって形成されたビアホール102の形状にばらつきが存在するためにメッキ高さLにばらつきが生じるという、当業者にも一考もされていなかった問題点があることを見出した。
【0006】
すなわち、絶縁性基板101において、樹脂106部分はレーザのエネルギーによって容易に溶融、蒸発するために穴あけを容易に行うことができる。しかし、ガラス布107の存在する部分は樹脂106部分に比較して穴あけ速度が遅くなるため、ガラス繊維糸108が残留して孔内に突出する。このために、ビアホール102は、厚さ方向の中央部分が狭まった略鼓型の形状となってしまう。このようなビアホール102に電気メッキを行えば、メッキ液の流れが悪くなるためにメッキ金属105は均一に成長することができず、メッキ高さLにばらつきが生じてしまう。
【0007】
また、一般的にガラス布107はガラス繊維糸108を緯糸108Aと経糸108Bがそれぞれ1本おきに上下しながら交差するように製織されているため、緯糸108Aと経糸108Bの交差する部分は特にガラス繊維の密度が高くなる。この交差位置にビアホール102が位置する場合には、さらに穴あけ速度が遅くなるために、ビアホール102の内径がさらに狭まってしまう。このようなビアホール102においてはメッキ金属105の成長速度が遅くなるため、メッキ高さLにばらつきが生じてしまう。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、メッキ金属を充填する際にメッキ高さのばらつきを低減することのできるビアホール形成方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために請求項1の発明に係るビアホール形成方法は、ガラス布に樹脂を含浸させてなる絶縁性基板にレーザ照射を行ってビアホールを形成するビアホール形成方法であって、レーザ照射後に前記ビアホール内に残留し孔内に突出するガラス繊維のみを除去するガラス除去処理を行い、前記ガラス除去処理後の前記ビアホール内にメッキにより金属を充填するものであって、前記ガラス除去処理が、レーザ照射後の前記絶縁性基板をフッ化アンモニウム水溶液に浸漬することによって行われるものであって、前記フッ化アンモニウム水溶液におけるフッ化アンモニウム濃度が0.1%〜20%であり、浸漬時間が1分間〜10分間であることを特徴とする。
【0010】
本発明に用いられる絶縁性基板とは、プリント基板用の絶縁性基板に通常用いられる基板であって、ガラス布に樹脂を含浸して板状に形成させたものである。ここで、ガラス布とは、ガラス繊維糸を製織して布状に形成させたものであってもよく、ガラス不織布であってもよい。また、ガラス布に含浸させる樹脂の種類は、プリント基板用の絶縁性基板に通常使用されるものであれば特に制限はなく、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等が使用できる。この樹脂には、必要に応じて硬化促進剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線不透過剤、還元剤、充填剤等が添加されていてもよい。また、絶縁性基板の片面もしくは両面には導体層となる銅箔があらかじめ貼り付けられていてもよい。
【0011】
また、ビアホールの形成手段であるレーザとしては、プリント基板の加工に通常使用されるレーザであれば特に制限はなく、例えば炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、YAGレーザ等が使用できる。
【0012】
また、ガラス除去処理としては、ガラスを選択的に溶解する作用を持つ化合物による処理等が使用できる。
【0013】
また、前記ガラス除去処理がフッ化物処理であることを特徴とする。
【0014】
ここで、フッ化物としては、フッ化アンモニウムが使用できる。また、処理方法としては、例えばフッ化物水溶液に絶縁性基板を浸漬することにより行うことができる。このとき、フッ化物水溶液の濃度は、使用するフッ化物の種類により変動し、一概に限定されないが、ガラス除去が充分に行われ、かつ、ガラス布が過剰に腐食されない濃度であることが好ましい。また、浸漬時間は使用するフッ化物の種類や濃度によって変動し、一概に限定されないが、ビアホール内に突出したガラスが充分に除去され、かつ、ガラス布が過剰に腐食されない範囲であることが好ましい。
【0015】
【発明の作用、および発明の効果】
請求項1の発明によれば、ビアホール形成後に、ビアホール内に残留するガラス繊維を除去するためのガラス除去処理を行う。これにより、ビアホールの内壁を略垂直に形成することができる。このため、ビアホール内のめっき液の流れを良好にすることができ、めっき金属を均一に成長させることができる。また、ビアホールの形状が均一化され、めっき高さのばらつきを低減することができる。
【0016】
また、ガラス除去処理としてはフッ化物処理を行う。フッ化物は、ガラスを溶解する性質を有しているため、ビアホール内に残留するガラス繊維を良好に除去することができる。また、フッ酸やフッ化アンモニウム等のフッ化物は安価に入手することができるため、低コストでガラス除去処理を行うことができる。さらに、多数のビアホールについてのガラス除去処理を一度に行うことが可能なため、ガラス除去処理を短時間で簡便に行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図2を参照しつつ詳細に説明する。
【0018】
本実施形態の絶縁性基板1は、ガラス繊維糸2(本発明のガラス繊維に該当する)を平織りに製織して布状としたガラス布3を、エポキシ樹脂4の入ったワニスタンクで樹脂含浸し、熱風式乾燥機で乾燥させて板状に形成させたガラス布基材エポキシ樹脂である。この絶縁性基板1の片面に全面に銅箔5を貼りつけて、片面銅張積層板6を形成させる(図1A)。
【0019】
この片面銅張積層板6の所定の位置に、絶縁性基板1の銅箔5とは反対側の面(図1において上面側)からレーザ照射を行い、絶縁性基板1の厚さ方向に貫通して銅箔5に到達するビアホール7を形成する(図1B)。レーザ加工は、例えばパルス発振型炭酸ガスレーザ加工装置によって行うことが可能であり、その場合には、パルスエネルギーが2.0mJ〜10.0mJ、パルス幅が1μs〜100μs、パルス間隔が0.5ms以上、ショット数が3〜50という条件で形成することが望ましい。
【0020】
このとき、絶縁性基板1においてガラス繊維糸2が存在する部分は、樹脂4部分に比較して穴あけ速度が遅くなるため、ガラス繊維糸2が残留して孔内に突出する。このために、ビアホール7は、厚さ方向の中央部分が狭まった略鼓型の形状となっている。
【0021】
次いで、形成されたビアホール7について、ガラス除去処理を行う。ガラス除去処理は、例えばフッ化アンモニウム水溶液に片面銅張積層板6を浸漬することによって行う。これにより、ビアホール7内に突出したガラス繊維糸2が溶解されて除去され、ビアホール7の内壁が略垂直に形成される(図1C)。ここで、フッ化アンモニウムの濃度は0.1%〜20%であることが好ましく、また、浸漬時間は1分間〜10分間であることが好ましい。濃度および浸漬時間がこの範囲よりも低ければ、ガラス除去が充分に行われず、またこの範囲よりも高ければ、ガラス布が過剰に腐食されるおそれがあるからである。
【0022】
その後、銅箔5をポリエチレンテレフタレート(PET)製の保護フィルム(図示せず)で保護しておき、銅箔5を一方の電極として電気メッキ法によってビアホール7内にメッキ金属8を充填する(図1D)。ここで、ビアホール7の内壁が略垂直に形成されているため、ビアホール7内のめっき液の流れを良好にすることができ、メッキ金属8を均一に成長させることができる。また、ビアホール7の形状が均一化されているため、メッキ高さLのばらつきを低減することができる。
【0023】
<本実施形態による実施例>
片面銅張積層板6として、ガラス布エポキシ樹脂により形成された厚さ130μmの絶縁性基板1の片面に全面に厚さ12μmの銅箔5を貼り付けたものを用い、絶縁性基板1にレーザ照射により内径100μmのビアホール7を形成した。
【0024】
形成されたビアホール7について、フッ化物処理を行った。50gのフッ化アンモニウムを水に溶解して1000mlとし、これに硫酸50gを加えてフッ化アンモニウム水溶液を調製した。このフッ化アンモニウム水溶液に、ビアホール7が形成された片面銅張積層板6を浸漬し、室温で3分間放置した。
【0025】
その後、この片面銅張積層板6を水洗後、銅箔5を一方の電極とした電気メッキ法により、ビアホール7内にメッキ金属8を充填した。このメッキ金属8のメッキ高さLを測定した。
【0026】
メッキ高さLの分布を示すグラフを、図2に示した。45個のビアホール7について測定を行い、メッキ高さLの平均値は122.8μm、標準偏差は5.0μmであった。また、比較としてフッ化物処理を行わないビアホール7についてメッキ金属8を充填し、メッキ高さを測定したところ、その標準偏差は17.3μmであった。これらの結果より、フッ化物処理を行うことによってメッキ高さLのばらつきが低減されていることがわかった。
【0027】
以上のように本実施形態によれば、ビアホール7形成後に、ビアホール7内に残留するガラス繊維糸2を除去するためのガラス除去処理を行う。これにより、ビアホール7の内壁を略垂直に形成することができる。このため、ビアホール7内のメッキ液の流れを良好にすることができ、メッキ金属8を均一に成長させることができる。また、ビアホール7の形状が均一化され、メッキ高さLのばらつきを低減することができる。
【0028】
また、フッ化アンモニウム等のフッ化物を用いてガラス除去処理を行えば、ビアホール7内に残留するガラス繊維糸2を良好に除去することができる。また、フッ化物は安価に入手することができるため、低コストでガラス除去処理を行うことができる。さらに、フッ化物の水溶液に絶縁性基板1を浸漬することにより、多数のビアホール7についてのガラス除去処理を一度に行うことが可能なため、ガラス除去処理を短時間で簡便に行うことができる。
【0029】
なお、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。その他、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
(1)本実施形態では、メッキ金属8は電気メッキ法によってビアホール7内に充填したが、本発明によればメッキ金属の充填方法は本実施形態の限りではなく、例えば無電解メッキ法によってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態のビアホール形成方法を示す断面図
(A)片面銅張積層板の断面図
(B)片面銅張積層板にビアホールを形成させた断面図
(C)ビアホールにガラス除去処理を施した断面図
(D)ビアホールにメッキ金属を充填した断面図
【図2】メッキ金属のメッキ高さの分布を示すグラフ
【図3】従来のビアホールにメッキ金属を充填した断面図
【符号の説明】
1…絶縁性基板
2…ガラス繊維糸(ガラス繊維)
3…ガラス布
4…エポキシ樹脂(樹脂)
7…ビアホール
Claims (1)
- ガラス布に樹脂を含浸させてなる絶縁性基板にレーザ照射を行ってビアホールを形成するビアホール形成方法であって、
レーザ照射後に前記ビアホール内に残留し孔内に突出するガラス繊維のみを除去するガラス除去処理を行い、
前記ガラス除去処理後の前記ビアホール内にメッキにより金属を充填するものであって、
前記ガラス除去処理が、レーザ照射後の前記絶縁性基板をフッ化アンモニウム水溶液に浸漬することによって行われるものであって、前記フッ化アンモニウム水溶液におけるフッ化アンモニウム濃度が0.1%〜20%であり、浸漬時間が1分間〜10分間であることを特徴とするビアホール形成方法。
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