JP4517454B2 - 4−(1−フルオロエチル)チアゾール−5−カルボン酸アミド誘導体及び農園芸用の有害生物防除剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農園芸用の有害生物防除剤として有用である新規な4−(1−フルオロエチル)チアゾール−5−カルボン酸アミド誘導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明の4−(1−フルオロエチル)チアゾール−5−カルボン酸アミド誘導体は、新規化合物であることから、農園芸用の有害生物防除活性を有することも知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、新規な4−(1−フルオロエチル)チアゾール−5−カルボン酸アミド誘導体及びそれを有効成分とする農園芸用の有害生物防除剤を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために検討した結果、新規な4−(1−フルオロエチル)チアゾール−5−カルボン酸アミド誘導体が農園芸用の有害生物防除剤として有用であることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は次の通りである。
第1の発明は、次式(1):
【0005】
【化5】
【0006】
で示される4−(1−フルオロエチル)チアゾール−5−カルボン酸アミド誘導体に関するものである。
なお、式中のR,R1及びAは、次の通りである。
Rは、置換又は非置換のフェニル基,置換又は非置換のフェノキシ,置換又は非置換のチエニル基を表す。
R1は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。
Aは、直接結合,直鎖及び分岐状の炭素原子数1〜6個のアルキレンを表す。
第2の発明は、次式(2):
【0007】
【化6】
【0008】
で示される2−クロロ−4−フルオロペンタン酸エステル化合物に関するものである。
なお、式中のR2は、前記と同義である。
この式(2)で示される化合物(2)は、化合物(3)の製造中間体となるものである。
第3の発明は、次式(3):
【0009】
【化7】
【0010】
で示される4−(1−フルオロエチル)チアゾール−5−カルボン酸エステル化合物に関するものである。
なお、式中のR1及びR2は、前記と同義である。
この式(3)で示される化合物(3)は、化合物(4)の製造中間体となるものである。
第4の発明は、次式(4):
【0011】
【化8】
【0012】
で示される4−(1−フルオロエチル)チアゾール−5−カルボン酸に関するものである。
なお、式中のR1は、前記と同義である。
この式(4)で示される化合物(4)は、化合物(1)の製造中間体となるものである。
【0013】
第5の発明は、前記の式(1)で示される4−(1−フルオロエチル)チアゾール−5−カルボン酸アミド誘導体を有効成分とする農園芸用の有害生物防除剤に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
前記の化合物で表した各種の置換基などは、次の通りである。
なお、本発明の説明において、化学式に付した括弧付き数字,記号などをもって、「化合物(数字,記号など)」とも称する〔例えば、式(1)で示されるものを化合物(1)とも称する。〕。
〔R〕
Rは、置換又は非置換のフェニル基,置換又は非置換のフェノキシ,置換又は非置換のチエニル基を表す。
【0015】
(1)置換又は非置換のフェニル基としては、炭素原子数1〜4個の直鎖状又は分岐状のアルキル基、炭素原子数1〜4個の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基、メリレンジオキシ基、炭素原子数1〜4個の直鎖状又は分岐状のハロアルコキシ基、ハロゲン原子で置換されてもよいフェニル基挙げることができるが;好ましくは、2,4−ジクロルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基、3−イソプロポキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基である。
(2)置換又は非置換のフェノキシとしては、炭素原子数1〜4個の直鎖状又は分岐状のアルキル基,炭素原子数1〜4個の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基,ハロゲン原子、トリフルオロメトキシ基で置換されてもよいフェノキシ基を挙げることができるが;好ましくは、4−トリフルオロメトキシフェノキシ基である。
(3)置換又は非置換のチエニル基としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4個の直鎖状又は分岐状のアルキル基で置換されてもよいチエニル基などを挙げることができるが;好ましくは2−チエニル基である。
【0016】
〔R1〕
R1は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。
炭素原子数1〜4個のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基などを挙げることができるが;好ましくは、メチル基である。
【0017】
〔R2〕R2は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表す。炭素原子数1〜4個のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基などを挙げることができるが;好ましくは、エチル基である。
〔A〕Aは、直鎖及び分岐状の炭素原子数1〜6個のアルキレンを表す。直鎖及び分岐状の炭素原子数1〜6個のアルキレンとしては、メチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、n−ブチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などを挙げることができるが;好ましくは、メチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、n−プロピルメチレン基、エチレン基である。
【0018】
化合物(1)としては、前記の各種の置換基を組み合わせたものを挙げることができるが、薬効の面から好ましいものは、次の通りである。
(1)R1がメチル基であり、Aがメチレン基であり、Rが置換又は非置換のフェニル基である化合物。
(2)R1がメチル基であり、Aが(炭素原子数1〜4個のアルキル)メチレン基であり、Rが置換又は非置換のフェニル基である化合物。
(3)R1がメチル基であり、Aがエチレン基であであり、Rが炭素原子数1〜4個のアルコキシ基又は炭素原子数1〜4個のハロアルコキシ基で置換されたフェニル基である化合物。
【0019】
(4)R1がメチル基であり、Aがエチレン基であり、Rが炭素原子数1〜4個のハロアルコキシ基で置換されたフェノキシ基である化合物。
(5)R1がメチル基であり、Aがメチレン基であり、Rが炭素原子数1〜4個のアルコキシ基で置換されたフェニル基である化合物。
【0020】
前記の本発明の化合物(1)の合成法を、さらに詳細に述べる。
化合物(1)は、以下に示す合成法1又は2によって合成することができる。
(合成法1)
化合物(1〕は、次に示すように、化合物(4)と化合物(5)とを、溶媒中縮合剤の存在下で反応させることによって合成することができる。
【0021】
【化9】
【0022】
(式中、R,R1及びAは、前記と同義である。)
原料のモル比は任意に設定できるが、通常、化合物(4)1モルに対して化合物(5)は0.5〜2モルの割合である。
溶媒の種類としては、本反応に直接関与しないものであれば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタリン、石油エーテル、リグロイン、ヘキサン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロルエタン、トリクロルエチレンのような塩素化された又はされていない芳香族、脂肪族、脂環式の炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのようなエーテル類;及び前期溶媒の混合物などを挙げることができる。
【0023】
溶媒の使用量は、化合物(4)が5〜80重量%になるようにして使用することができるが;10〜70重量%が好ましい。
縮合剤としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(略称;DCC)や1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(略称;WSC)などの脱水縮合剤を挙げることができが;好ましくは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドである。
縮合剤の使用量は、化合物(4)に対して1〜5倍モルであるが;好ましくは1.0〜1.5倍モルである。
反応温度は、特に限定されないが、−20℃から溶媒の沸点以下の温度範囲内であり;好ましくは室温〜50℃である。
反応時間は、前記の濃度、温度によって変化するが;通常0.5〜8時間である。
【0024】
原料化合物(5)は、市販品として入手するか、次式に示す方法で製造することができる。
(1)Aが直鎖アルキレン基の場合
【0025】
【化10】
【0026】
(式中、R及びAは、前記と同義であり;Yは、ハロゲン原子を表す。)
なお、Yのハロゲン原子としては、塩素原子,ヨウ素原子,臭素原子,フッ素原子などを挙げることができるが;好ましくは、塩素原子,臭素原子である。
原料化合物(6)及び(7)は、市販品として入手することができる。
(2)Aが分岐アルキレン基の場合
【0027】
【化11】
【0028】
(式中、R及びAは、前記と同義であり;R2は、炭素数1〜3の低級アルキル基を表す。)
原料化合物(9)は、市販品として入手することができる。
化合物(2)は、次式に示す方法で製造することができる。
【0029】
【化12】
【0030】
(式中、R2は、前記と同義である。)
原料化合物(10)は、特開平11−171834記載の方法で製造することができ、(11)は、市販品として入手することができる。
化合物(2)としては、例えば、後述の実施例1で示した化合物を挙げることができる。
化合物(3)は、次式に示す方法で製造することができる。
【0031】
【化13】
【0032】
(式中、R1及びR2は、前記と同義である。)
原料化合物(12)は、市販品として入手することができる。
化合物(3)としては、例えば、後述の実施例1で示した化合物を挙げることができる。
化合物(4)は、次式に示す方法で製造することができる。
【0033】
【化14】
【0034】
(式中、R1及びR2は、前記と同義である。)
化合物(4)としては、例えば、後述の実施例1で示した化合物を挙げることができる。
【0035】
(合成法2)
化合物(1)は、次のスキームによっても合成することができる。
【0036】
【化15】
【0037】
(式中、R,R1,A及びYは、前記と同義である。)
化合物(1)としては、例えば、後述の表1中に示した化合物1〜18を挙げることができる。
【0038】
〔防除効果〕
本発明の化合物(1)で防除効果が認められる農園芸用の有害生物としては、農園芸害虫(例えば、トビイロウンカ,ナミハダニ,サツマイモネコブセンチュウなど)、農園芸病原菌(例えば、コムギ赤さび病,大麦うどんこ病,キュウリべと病,イネいもち病,トマト疫病など)を挙げることができる。
また,本発明化合物(1)は葉茎散布,土壌灌注処理,土壌混和処理で使用可能である。
【0039】
本発明の農園芸用の有害生物防除剤は、化合物(1)の1種以上を有効成分として含有するものである。
化合物(1)は、単独で使用することもできるが、通常は常法によって、希釈剤,界面活性剤,分散剤,補助剤などを配合し、例えば、扮剤,乳剤,微粒剤,粒剤,水和剤,顆粒水和剤,水性懸濁剤,油性の懸濁剤,乳濁剤,可溶化製剤,油剤,マイクロカプセル剤,エアゾールなどの組成物として調整して使用することが好ましい。
【0040】
個体希釈剤としては、例えば、タルク,ベントナイト,モンモリロナイト,クレー,カオリン,炭酸カルシウム,ケイソウ土,ホワイトカーボン,バーミキュライト,消石灰,ケイ砂,硫安,尿素などが挙げられる。
液体希釈剤としては、例えば、炭化水素類、例えば、ケロシン,鉱油など;芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン,ジメチルナフタレン,ジメチルキシリルエタンなど;塩素化炭化水素類、例えば、クロロホルム,四塩化炭素など;エーテル類、例えば、ジオキサン,テトラヒドロフランなど;ケトン類、例えば、アセトン,シクロヘキサノン,イソホロンなど;エステル類、例えば、酢酸エチル,エチレングリコールアセテート,マレイン酸ジブチルなど;アルコール類、例えば、メタノール,n−ヘキサノール,エチレングリコールなど;極性溶媒類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド,N−メチルピロリドンなど;水などが挙げられる。
個着剤及び分散剤としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ベントナイト、ザンサンガム、アラビアガムなどが、挙げられる。エアゾール噴射剤としては、例えば、空気,窒素,炭酸ガス,プロパン,ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
【0041】
安定剤としては、例えば、PAP,BHTなどが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アルコール硫酸エステル類,アルキルサルフェート塩,アルキルスルホン酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸塩,リグニンスルホン酸塩,ジアルキルスルホコハク酸塩,ナフタレンスルホン酸塩縮合物,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアリルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルエステル,アルキルソルビタンエステル,ポリオキシエチレンソルビタンエステル,ポリオキシエチレンアルキルアミンなどを挙げることができる。
【0042】
本剤の製造では、前記の希釈剤,界面活性剤,分散剤及び補助剤をそれぞれの目的に応じて、各々単独で又は適当に組み合わせて使用することができる。
本発明の化合物(1)を製剤化した場合の有効成分濃度は、乳剤では通常1〜50重量%,粉剤では通常0.3〜25重量%,水和剤及び顆粒水和剤では通常1〜90重量%,粒剤では通常0.5〜10重量%,懸濁剤では通常0.5〜40重量%,乳濁剤では通常1〜30重量%,可溶化製剤では通常0.5〜20重量%,エアゾールでは通常0.1〜5重量%である。
これらの製剤を適当な濃度に希釈して、それぞれの目的に応じて、植物茎葉,土壌,水田の水面に散布するか、又は直接施用することによって各種の用途に供することができる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を参考例及び実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0044】
参考例〔化合物(10)〕の合成
4−フルオロ−3−オキソペンタン酸エチルエステルの合成
テトラヒドロフラン(5ml)に60%NaH in Oil(5.2g)を加え、35℃に加温撹拌した。
次いで、1−フルオロプロピオン酸エチルエステル(12g)と酢酸エチル(11.4g)をトルエン(10ml)に溶解した溶液を40℃を越えない様にゆっくりと滴下した。
滴下終了後、35℃で2時間撹拌を続ける反応を完結させた。
12N塩酸(26.4g)に水(40ml)を加えた混合物を氷冷撹拌し、そこに上記反応混合物を徐々に滴下した。
酢酸エチルを加えて分液し、分取した有機層を飽和食塩水で洗浄した。
芒硝で乾燥後、溶媒を減圧留去して得た残渣を減圧蒸留にて精製し、4−フルオロ−3−オキソペンタン酸エチルエステル(14.6g)を得た。
【0045】
b.p.70〜75℃/15mmHg
1H−NMR(CDCl3,δppm)
1.23〜1.33(3H,t)、1.47〜1.57(3H,m)、
3.63(2H,s)、4.18〜4.26(2H,q)、
4.87〜5.30(1H,q−q)
【0046】
実施例1〔化合物(1)〜(4)〕
(1)2−クロロ−4−フルオロペンタン酸エチルエステル〔化合物(2)〕の合成
4−フルオロ−3−オキソペンタン酸エチルエステル(32g)に氷冷撹拌下塩化スルフリル(26g)をゆっくりと滴下し、室温で18時間撹拌した。
反応終了後、トルエンと水を加え、トルエン層を分取した。
分取した有機層を水,飽和食塩水で洗浄し、芒硝で乾燥後、溶媒を減圧留去し、淡黄色液体である目的物の2−クロロ−4−フルオロペンタン酸エチルエステル(38g)を得た。
【0047】
【化16】
【0048】
1H−NMR(CDCl3,δppm)
1.30〜1.40(3H,t)、1.58〜1.68(3H,m)、
4.27〜4.40(2H,q)、5.08〜5.33(1H,q−q)、
5.33(1H,s)
【0049】
(2)4−(1−フルオロエチル)−2−メチルチアゾール−5−カルボン酸エチルエステル〔化合物(3)〕の合成
2−クロロ−4−フルオロペンタン酸エチルエステル(39g)とチオアセトアミド(15g)をエタノール(200ml)に溶解し、7時間加熱還流した。
反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。
抽出液を水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1で溶出)で精製することによって、微黄色液体である目的物(25g)を得た。
【0050】
【化17】
【0051】
1H−NMR(CDCl3,δppm)
1.34〜1.39(3H,t)、1.66〜1.76(3H,m)、
2.72(1H,s)、4.30〜4.37(2H,q)、
6.31〜6.51(1H,q−q)
【0052】
(3)4−(1−フルオロエチル)−2−メチルチアゾール−5−カルボン酸〔化合物(4)〕の合成
4−(1−フルオロエチル)−2−メチルチアゾール−5−カルボン酸エチルエステル(24.5g)をエタノール(100ml)に溶解し、KOH(11g)の水(10ml)溶液を加え、室温で6時間撹拌した。
反応終了後、減圧下にエタノールを留去し、氷冷下に12N塩酸を徐々に加え、pH2に調製し、析出した結晶を濾取し、水洗することによって、微黄色粉状結晶である目的物20.0g得た。
m.p.174〜177℃
【0053】
(4)N−(2,4−ジクロロベンジル)4−(1−フルオロエチル)−2−メチルチアゾール−5−カルボン酸アミドの合成〔化合物番号1で示される化合物(1)〕の合成
4−(1−フルオロエチル)−2−メチルチアゾール−5−カルボン酸(0.8g)と2,4−ジクロロベンジルアミン(1.2g)をジクロロメタン(30ml)に溶かし、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(1.5g)を加え、室温で6時間撹拌した。
反応終了後、水を加えて塩化メチレン層を分取し、0.2N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー〔ワコーゲルC−200,n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1〕で精製することによって、微黄色粉末状結晶の目的物を0.7g得た。
【0054】
m.p.109〜111℃
1H−NMR(CDCl3,δppm)
1.71〜1.81(3H,m)、2.68(3H,s)、
4.61〜4.63(2H,d)、4.66〜4.67(2H,d)、
5.97〜6.19(1H,q−q)、7.03(1H,s)、
7.22〜7.42(3H,m)
【0055】
(5)N−[2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)エチル]−4−(1−フルオロエチル)−2−メチルチアゾール−5−カルボン酸アミドの合成〔化合物番号12で示される化合物(1)〕の合成
4−(1−フルオロエチル)−2−メチルチアゾール−5−カルボン酸(0.8g)に塩化チオニル(0.6g)を加え30分加熱還流した。
次いで、トルエン(20ml)に溶解し、氷冷撹拌下に2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)エチルアミン(1.1g)とトリエチルアミン(0.6g)を加え、室温で2時間撹拌した。
反応終了後、水を加えてトルエンを分取し、0.2N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー〔ワコーゲルC−200,n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1〕で精製することによって、無色粉状結晶の目的物を1.0g得た。
m.p.79〜82℃
【0056】
(6)表1中のその他の化合物(1)の合成
前記の(4)及び(5)の方法に準じて、表1中のその他の化合物(1)を合成した。
以上のように合成した化合物(1)及びそれらの物性を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例2〔製剤の調製〕
(1)粒剤の調製
化合物(1)5重量部、ベントナイト35重量部、タルク57重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1重量部及びリグニンスルホン酸ソーダ2重量部を均一に混合し、次いで少量の水を添加して混練した後、押出し造粒,乾燥して粒剤を得た。
【0059】
(2)水和剤の調製
化合物(1)10重量部、カオリンクレー70重量部、ホワイトカーボン18重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5重量部及びβ−ナフタレンスルホン酸ソーダホルマリン縮合物0.5重量部を均一に混合し、次いでエアミル粉砕して水和剤を得た。
【0060】
(3)乳剤の調製
化合物(1)20重量部及びキシレン70重量部に、ソルポール3005X(商品名;東邦化学製)10重量部を加えて均一に混合し、溶解して乳剤を得た。
【0061】
(4)乳剤の調製
化合物(1)の粉5重量部、タルク50重量部及びカオリンクレー45重量部を均一に混合して粉剤を得た。
【0062】
実施例3〔効力試験〕
(1)ブドウべと病に対する防除効力試験(予防試験)
直径9cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり1本のブドウ(品種:ネオマスカット)を育成した。
この6葉期のブドウ苗に、表1に記載の化合物(1)のアセトン溶液を、界面活性剤(0.01%)を含む水で500ppmに希釈して、1鉢あたり15mlを散布した。
散布後、1日間ガラス温室で栽培し、ついで、ブドウべと病菌遊走子懸濁液(5×104個/ml)を調整し、これを葉の裏側に噴霧接種した。
接種後、2日間20℃、湿室に保持した後、ガラス温室内で11日間栽培し、第1〜6葉に現れたべと病の発病程度を調査した。
効果の判定は、無処理区の発病程度と比較して、病斑のないものを5、病斑面積10%以下を4,20%程度を3,40%程度を2,60%程度を1,全体が罹病したものを0として、5〜0の6段階で行った。
これらの結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
(2)イネいもち病に対する防除効力試験(予防試験)
直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり10本のイネ(品種:日本晴)を育成した。
この2.5葉期の幼植物に、表1に記載の化合物(1)のアセトン溶液を、界面活性剤(0.01%)を含む水で300ppmに希釈して、1鉢あたり10mlを散布した。
散布後、1日間ガラス温室で栽培し、ついで、いもち病分生胞子懸濁液(3×105個/ml)を調整し、これを植物体にまんべんなく噴霧接種した。
接種後、2日間20℃、湿室暗黒下に保持した後、5日間ガラス温室内で栽培し、第3葉に現れたいもち病の発病程度を調査した。
効果の判定は、無処理区の発病程度と比較して、病斑のないものを5、病斑面積10%以下を4,20%程度を3,40%程度を2,60%程度を1,全体が罹病したものを0として、5〜0の6段階で行った。
これらの結果を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】
(3)コムギ赤さび病に対する防除効力試験(予防効力)
直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり10本のコムギ(品種:コブシコムギ)を育成した。
この1.5葉期の幼植物体に、表1に記載の化合物(1)のアセトン溶液を、界面活性剤(0.01%)を含む水で500ppmに希釈して、1鉢あたり10mlを散布した。
散布後、1日間植物をガラス温室で栽培し、ついで、コムギ赤さび病菌胞子懸濁液(3×105個/ml)を調整し、これを植物体にまんべんなく噴霧接種した。
接種後、1日間20℃、湿室に保持した後、9日間ガラス温室内にて栽培し、第1葉に現れた赤さび病の発病程度を調査した。
効果の判定は、無処理区の発病程度と比較して、病斑のないものを5,病斑面積10%以下を4,20%程度を3,40%程度を2,60%程度を1,全体が罹病したものを0として、5〜0の6段階で行った。
これらの結果を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】
(4)ナミハダニに対する試験
実施例2に準じて調製した表1に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤を(0.01%)を含む水で300ppmに希釈し、これらの各溶液中に10頭のナミハダニ雌成虫を寄生させた各インゲン葉片(直径20mm)を15秒間づつ浸漬した。
次に,これらの各葉片を25℃の定温室に放置し,3日後に各葉片における生死虫数を数えて殺ダニ率を求めた。
この結果、化合物番号4及び15が、80%以上の殺ダニ活性を示した。
【0069】
【発明の効果】
本発明の4−(1−フルオロエチル)チアゾール−5−カルボン酸アミド誘導体は、優れた農園芸用の有害生物防除効果を有するものである。
Claims (6)
- 次式(1):
- Rが、2,4−ジクロルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェニル基、3−イソプロポキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、4−トリフルオロメトキシフェノキシ基又は2−チエニル基であり、R1が、メチル基であり、Aが、メチレン基、メチルメチレン基、エチルメチレン基、n−プロピルメチレン基又はエチレン基である、請求項1記載の4−(1−フルオロエチル)チアゾール−5−カルボン酸アミド誘導体。
- 請求項1に記載の式(1)で示される4−(1−フルオロエチル)チアゾール−5−カルボン酸アミド誘導体を有効成分とする農園芸用の有害生物防除剤。
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