JP2828197B2 - オキシムエーテル系化合物、その製法及び殺菌剤 - Google Patents

オキシムエーテル系化合物、その製法及び殺菌剤

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JP2828197B2 JP4866894A JP4866894A JP2828197B2 JP 2828197 B2 JP2828197 B2 JP 2828197B2 JP 4866894 A JP4866894 A JP 4866894A JP 4866894 A JP4866894 A JP 4866894A JP 2828197 B2 JP2828197 B2 JP 2828197B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、殺菌剤として有用であ
る新規なオキシムエーテル系化合物に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術の説明】殺菌剤として有効であるオキシムエ
ーテル系化合物には、特開昭63−23852号公報に
記載された次式:
【0003】
【化5】
【0004】〔式中、R1 及びR2 は同じか又は異なっ
ておりかつ水素原子又は1〜5個の炭素原子を有するア
ルキル基を表し,かつX(m=1〜5)はハロゲン原
子,シアノ基,トリフルオロメチル基,ニトロ基,C1
〜C4 −アルキル基,C1 〜C4−アルコキシ基,場合
により置換されたフェニル基,場合により置換されたフ
ェノキシ基,場合により置換されたベンジルオキシ基の
同じか又は異なる置換基又は水素原子を有し,かつYは
メチレンオキシ基,オキシメチレン基,エチレン基,エ
テニレン基,エチニレン基又は酸素原子を表す。なお、
ここで記載したR1,R2 ,X,m及びYについての定
義は、この化合物だけに限る。〕で示される化合物や特
開平3−246268号公報に記載された次式:
【0005】
【化6】
【0006】〔式中、R1 及びR2 は、それぞれ、水
素、低級アルキル、またはシクロ(低級)アルキル:R
3 は低級アルキル、またはシクロ(低級)アルキル:R
4 およびR5 は、それぞれ、水素、低級アルキル、低級
アルコキシ、ハロゲン化低級アルキル、低級アルキルシ
リル、ハロゲン、またはニトロ:Aは、不飽和炭化水
素、ハロゲン化不飽和炭化水素、または3個以下の置換
基で置換されていてもよいフェニルもしくはヘテロ環
基:Zは、−CH2 −、−CH(OH)−、−CO−、
−O−、−S−、−NR−(Rは、水素または低級アル
キル)、−CH2 CH2−、−CH=CH−、エチレン
オキシド、−CH2 O−、−CH2 S−、−CH 2 SO
−、−OCH2 −、−SCH2 −、または−SOCH2
−を表す。なお、ここで記載したR1 〜R5 ,Z及びA
についての定義は、この化合物だけに限る。〕で示され
る化合物が知られている。しかし、本発明におけるよう
なオキシムエーテル系化合物とその合成中間体は知られ
ておらず、本発明のオキシムエーテル系化合物が殺菌活
性と薬害において優れていることは知られていなかっ
た。
【0007】
【発明が解決すべき課題】本発明の目的は、新規なオキ
シムエーテル系化合物とその合成中間体、それら化合物
の製法、その新規なオキシムエーテル系化合物を有効成
分とする殺菌剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するために検討した結果、新規なオキシムエー
テル系化合物が殆ど薬害が認められず顕著な農園芸用の
殺菌活性を有しており、また、その合成中間体に新規化
合物を使用できることを見出し、本発明を完成するに至
った。即ち、本発明は次の通りである。第1の発明は、
次式(I):
【0009】
【化7】
【0010】〔式中、R1 は、炭素原子数1〜6個のア
ルキル基を表し;R2 は、OR5 ,又はNHR6 を表し
(なお、R5 及びR6 は、相異なっていてもよい炭素原
子数1〜6個のアルキル基を表す。);R3 は、炭素原
子数3〜8個のシクロアルキル基を表し;R4 は、炭素
原子数3〜6個のアルケニルオキシ基,炭素原子数3〜
6個のアルキニルオキシ基,炭素原子数1〜10個のア
ルコキシ基,ベンジルオキシ基,炭素原子数2〜7個の
アルコキシカルボニル基,ハロゲン原子,シアノ基,炭
素原子数1〜6個のアルキルチオ基,炭素原子数1〜6
個のアルキル基,炭素原子数1〜6個のハロアルキル
基,又は炭素原子数2〜7個のアシル基を表し;nは、
0〜5の整数を表す。〕で示されるオキシムエーテル系
化合物に関するものである。本発明の化合物(I)にお
いて、オキシムエーテル部分の幾何異性体(E−体,Z
−体)及び両者の混合物のいずれも本発明に含まれる。
第2の発明は、次式(II):
【0011】
【化8】
【0012】(式中、R3 ,R4 ,R5 及びnは、前記
の記載と同義である。)で示されるα−ケトエステル系
化合物に関するものである。第3の発明は、前記記載の
式(II)で示されるα−ケトエステル系化合物と次式(I
II) :
【0013】
【化9】
【0014】(式中、R1 は、前記の記載と同義であ
る。)で示される化合物とを反応させることを特徴とす
る前記記載の式(I)においてR2 がOR5 で示される
オキシムエーテル系化合物の製法に関するものである。
第4の発明は、前記記載の式(I)においてR2 がOR
5 で示されるオキシムエーテル系化合物と次式(IV):
【0015】
【化10】
【0016】(式中、R6 は、前記の記載と同義であ
る。)で示される化合物とを反応させることを特徴とす
る前記記載の式(I)においてR2 がNHR6 で示され
るオキシムエーテル系化合物の製法に関するものであ
る。
【0017】第5の発明は、前記記載の式(I)で示さ
れるオキシムエーテル系化合物を有効成分とする殺菌剤
に関するものである。
【0018】以下、本発明について詳細に説明する。前
記の目的化合物である新規なオキシムエーテル系化合物
(I)〔化合物(Ia)及び化合物(Ib)〕、その合成原料で
ある化合物(II)〜(VI)におけるR1 ,R 2 ,R3
4 ,R5 ,R6 及びnは次の通りである。
【0019】R1 としては、例えば、炭素原子数1〜6
個の直鎖状又は分岐状のアルキル基を挙げることができ
るが;好ましくは炭素原子数が1〜4個のものであり;
さらに好ましくはメチル基である。R2 としては、OR
5 ,NHR6 を挙げることができる。R2 におけるR5
及びR6 としては、例えば、炭素原子数1〜6個の直鎖
状又は分岐状の相異なっていてもよいアルキル基を挙げ
ることができるが;好ましくは炭素原子数が1〜4個の
ものであり;さらに好ましくはメチル基である。
【0020】R3 としては、例えば、炭素原子数3〜8
個のシクロアルキル基を挙げることができるが;好まし
くは炭素原子数3〜8個のものであり;さらに好ましく
はシクロプロピル基,シクロブチル基である。R4 とし
ては、炭素原子数3〜6個のアルケニルオキシ基,炭素
原子数3〜6個のアルキニルオキシ基,炭素原子数1〜
10個のアルコキシ基,ベンジルオキシ基,炭素原子数
2〜7個のアルコキシカルボニル基,ハロゲン原子,シ
アノ基,炭素原子数1〜6個のアルキルチオ基,炭素原
子数1〜6個のアルキル基,炭素原子数1〜6個のハロ
アルキル基,炭素原子数2〜7個のアシル基などを挙げ
ることができる。
【0021】R4 における炭素原子数3〜6個のアルケ
ニルオキシ基としては、例えば、直鎖状又は分岐状のも
のを挙げることができるが;好ましくは炭素原子数が3
又は4個のものであり;さらに好ましくはアリルオキシ
基である。このとき、nは、0〜5の整数を表すが;好
ましくは1又は2であり;さらに好ましくは1である。
また、R4 の置換位置は、特に限定されないが;好まし
くは4位である。
【0022】R4 における炭素原子数3〜6個のアルキ
ニルオキシ基としては、例えば、直鎖状又は分岐状のも
のを挙げることができるが;好ましくは炭素原子数が3
又は4個のものであり;さらに好ましくはプロパルギル
オキシ基である。このとき、nは、0〜5の整数を表す
が;好ましくは1又は2であり;さらに好ましくは1で
ある。また、R4 の置換位置は、特に限定されないが;
好ましくは4位である。
【0023】R4 における炭素原子数1〜10個のアル
コキシ基としては、例えば、直鎖状又は分岐状のものを
挙げることができるが;好ましくは炭素原子数が1〜4
個のものであり;さらに好ましくはメトキシ基,エトキ
シ基である。このとき、nは、0〜5の整数を表すが;
好ましくは1又は2である。また、R4 の置換位置は、
特に限定されないが;好ましくは3,4,5位である。
【0024】R4 がベンジルオキシ基のとき、nは、0
〜5の整数を表すが;好ましくは1又は2であり;さら
に好ましくは1である。また、R4 の置換位置は、特に
限定されないが;好ましくは3,4位である。
【0025】R4 における炭素原子数2〜7個のアルコ
キシカルボニル基としては、例えば、直鎖状又は分岐状
のものを挙げることができるが;好ましくは炭素原子数
が2〜5個のものであり;さらに好ましくはメトキシカ
ルボニル基である。このとき、nは、0〜5の整数を表
すが;好ましくは1又は2であり;さらに好ましくは1
である。また、R4 の置換位置は、特に限定されない
が;好ましくは4位である。
【0026】R4 におけるハロゲン原子としては、例え
ば、塩素原子,ヨウ素原子,臭素原子,フッ素原子など
を挙げることができるが;好ましくは塩素原子,フッ素
原子である。このとき、nは、0〜5の整数を表すが;
好ましくは1又は2であり;さらに好ましくは1であ
る。また、R4 の置換位置は、特に限定されないが;好
ましくは2,3,4位である。
【0027】R4 がシアノ基のときには、nは、0〜5
の整数を表すが;好ましくは1又は2であり;さらに好
ましくは1である。また、R4 の置換位置は、特に限定
されないが;好ましくは4位である。
【0028】R4 における炭素原子数1〜6個のアルキ
ルチオ基としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げるこ
とができるが;好ましくは炭素原子数が1〜4個のもの
であり;さらに好ましくはメチルチオ基である。このと
き、nは、0〜5の整数を表すが;好ましくは1又は2
であり;さらに好ましくは1である。また、R4 の置換
位置は、特に限定されないが;好ましくは3位である。
【0029】R4 における炭素原子数1〜6個のアルキ
ル基としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げることが
できるが;好ましくは炭素原子数が1〜4個のものであ
り;さらに好ましくはメチル基,エチル基である。この
とき、nは、0〜5の整数を表すが;好ましくは1又は
2であり;さらに好ましくは1である。また、R4 の置
換位置は、特に限定されないが;好ましくは3,4位で
ある。
【0030】R4 における炭素原子数1〜6個のハロア
ルキル基としては、直鎖状又は分岐状のアルキル基を有
するもの(ハロゲン原子としては、例えば、前記に記載
したものを挙げることができるが、フッ素原子が好まし
い。)を挙げることができるが;好ましくは炭素原子数
が1〜4個のものであり;さらに好ましくはトリフルオ
ロメチル基である。このとき、nは、0〜5の整数を表
すが;好ましくは1又は2であり;さらに好ましくは1
である。また、R4 の置換位置は、特に限定されない
が;好ましくは4位である。
【0031】R4 における炭素原子数2〜7個のアシル
基としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げることがで
きるが;好ましくは炭素原子数が2〜5個のものであ
り;さらに好ましくはアセチル基である。このとき、n
は、0〜5の整数を表すが;好ましくは1又は2であ
り;さらに好ましくは1である。また、R4 の置換位置
は、特に限定されないが;好ましくは4位がよい。
【0032】化合物(Ia)〔化合物(I)においてR2
がOR5 で表される化合物〕としては、R1 が炭素原子
数1〜6個のアルキル基;R3 が炭素原子数3〜8個の
シクロアルキル基;R4 が炭素原子数3〜6個のアルケ
ニルオキシ基、炭素原子数3〜6個のアルキニルオキシ
基、炭素原子数1〜10個のアルコキシ基、ベンジルオ
キシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニル
基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6個のア
ルキルチオ基、炭素原子数1〜6個のアルキル基、炭素
原子数1〜6個のハロアルキル基、炭素原子数2〜7個
のアシル基、或いはR4 が無置換基のものを挙げること
ができる。
【0033】そして、薬効の面から好ましい化合物(I
a)は、R3 がシクロプロピル基である場合には、R1
はメチル基であり;R4 はアリルオキシ基、プロパルギ
ルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ
基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、塩素原子、シ
アノ基、メチルチオ基、メチル基、トリフルオロメチル
基、アセチル基、或いはR4 が無置換基のものである。
3 がシクロブチル基の場合には、R1 はメチル基であ
り;R4 は塩素原子である。
【0034】そして、薬害の面も考慮して好ましい化合
物(Ia)は、R3 がシクロプロピル基であり;R1 はメ
チル基であり;R4 はアリルオキシ基、プロパルギルオ
キシ基、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子、シアノ
基、メチル基、トリフルオロメチル基である。
【0035】化合物(Ib)〔化合物(I)においてR2
がNHR6 で表される化合物〕としては、R1 が炭素原
子数1〜6個のアルキル基;R3 が炭素原子数3〜8個
のシクロアルキル基;R4 が炭素原子数3〜6個のアル
ケニルオキシ基、炭素原子数3〜6個のアルキニルオキ
シ基、炭素原子数1〜10個のアルコキシ基、ベンジル
オキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6
個のアルキルチオ基、炭素原子数1〜6個のアルキル
基、炭素原子数1〜6個のハロアルキル基、炭素原子数
2〜7個のアシル基、或いはR4 が無置換基のものを挙
げることができる。
【0036】そして、薬効の面から好ましい化合物(I
a)は、R3 がシクロプロピル基の場合には、R1 はメ
チル基であり;R4 はアリルオキシ基、プロパルギルオ
キシ基、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、
メトキシカルボニル基、フッ素原子、塩素原子、シアノ
基、メチルチオ基、メチル基、トリフルオロメチル基、
アセチル基、或いはR4 が無置換基のものである。R3
がシクロブチル基の場合には、R1 はメチル基であり;
4 は塩素原子、又はフッ素原子である。
【0037】そして、薬害の面も考慮して好ましい化合
物(Ib)は、R3 がシクロプロピル基であり;R1 はメ
チル基であり;R4 はアリルオキシ基、プロパルギルオ
キシ基、メトキシ基、フッ素原子、塩素原子、シアノ
基、メチル基、トリフルオロメチル基、或いはR4 が無
置換基のものである。
【0038】なお、前記記載の式(I)で示されるオキ
シムエーテル系化合物を製造する好ましい態様として
は、第3の発明の合成法1及び第4の発明の合成法2の
他に、次に示した合成法3を挙げることができる。 〔合成法3〕次式(V):
【0039】
【化11】
【0040】(式中、R1 及びR5 は、前記の記載と同
義であり;Xは脱離基を表す。)で示される化合物と次
式(VI):
【0041】
【化12】
【0042】(式中、R3 ,R4 及びnは、前記の記載
と同義である。)で示される化合物とを反応させること
を特徴とする前記記載の式(I)においてR2 がOR5
で示されるオキシムエーテル系化合物の製法。本発明の
化合物(I)の合成法1〜3をさらに詳しく述べる。 (合成法1)化合物(Ia)〔化合物(I)においてR2
OR5 で表される化合物〕の合成は、化合物(II)と化
合物(III)とを溶媒中で反応させることによって行うこ
とができる。
【0043】
【化13】
【0044】(式中、R1 ,R3 ,R4 ,R5 及びn
は、前記の記載と同義である。) 溶媒としては、本反応に直接関与しないものであれば特
に限定されず、例えば、エーテル類(ジエチルエーテ
ル,テトラヒドロフラン,ジオキサンなど)、アルコー
ル類(メタノール,エタノール,n−プロパノール,i
−プロパノールなど)、アミド類(N,N−ジメチルホ
ルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミドなど)、
水、前記溶媒の混合物などを挙げることができるが;好
ましくは、アルコール類と水との混合物がよい。そし
て、その溶媒の使用量は、化合物(Ia)の濃度が0.5〜
80重量%の濃度範囲になるようにして使用することが
できるが、好ましくは化合物(Ia)の濃度が1〜50重量
%になるようにして使用するのがよい。
【0045】反応温度は、特に限定されないが、−30
℃から使用する溶媒の沸点以下の温度範囲内であり、0
〜50℃が好ましい。反応時間は、前記の濃度,温度に
よって変化するが、通常0.5〜30時間で行うことが
できる。原料化合物の使用量は、化合物(II)に対して
化合物(III)が1〜50倍モルであるが、好ましくは1
〜5倍モルであるのがよい。化合物(II)は、例えば、
次式に示すように行うことによって、製造することがで
きる。
【0046】
【化14】
【0047】(式中、R3 ,R4 ,R5 ,n及びXは、
前記の記載と同義である。) 化合物(VI)と化合物(VII)を0.1〜3倍モル(好ま
しくは0.5〜1.5倍モルである)とを、反応に影響
を与えない有機溶媒(例えば、炭素原子数1〜10個の
ケトン,テトラヒドロフラン,N,N−ジメチルホルム
アミド,ジメチルスルホキシド,ジオキサン)に加えて
溶解し、塩基(例えば、炭素原子数1〜5個のアルカリ
金属アルコシド,アルカリ金属炭酸塩,アルカリ金属水
酸化物)の共存下、0〜150℃(好ましく30〜80
℃)で0.5〜12時間(好ましくは0.5〜3時間)
攪拌することによって得ることができる。Xとしては、
例えば、p−トルエンスルホニルオキシ,メタンスルホ
ニルオキシ,ハロゲン原子などの脱離基を挙げることが
できるが;好ましくはハロゲン原子であり;さらに好ま
しくは臭素原子である。
【0048】化合物(II)としては、例えば、後述の表
1〜3中に示した化合物(Ia-1)〜化合物(Ia-21) などに
対応した各置換基の種類からなる化合物(II)〔化合物
(II)Ia-1〜(II)Ia-21 と称する。例えば、化合物
(II)Ia-1は、化合物(II)で示される式におけるR3
がシクロプロピル基、R5 がメチル基、(R4 n がp
−アリルオキシ基である。〕を挙げることができる。化
合物(III)は、市販品〔o−メチルヒドロキシルアミン
・塩酸塩(東京化成株式会社製。品番M0343)〕を
使用することができる。
【0049】本発明の化合物(Ia)の合成で使用する化
合物(III)は、アミノ基を有しているので、これらの酸
付加塩をこれらの代わりに使用することもできる。酸付
加塩を形成する酸としては、例えば、無機酸(塩酸,臭
化水素酸,硝酸,硫酸,リン酸など)、カルボン酸(ギ
酸,シュウ酸,フマル酸,アジピン酸,ステアリン酸,
オレイン酸,アコニット酸など)、有機スルホン酸(メ
タンスルホン酸,ベンゼンスルホン酸,p−トルエンス
ルホン酸など)、サッカリンなどを挙げることができ
る。以上のようにして製造された目的の化合物(Ia)は、
反応終了後、抽出,濃縮,濾過などの通常の後処理を行
い、必要に応じて再結晶,各種クロマトグラフィーなど
の公知の手段で適宜精製することができる。
【0050】化合物(Ia)としては、例えば、後述の表
1〜3中に示した化合物(Ia-1)〜化合物(Ia-21) を挙げ
ることができる〔化合物(Ia-1)は、化合物(I)で示さ
れる式におけるR1 及びR5 がメチル基、R3 がシクロ
プロピル基、(R4 )nがp−アリルオキシ基であ
る。〕。
【0051】(合成法2)化合物(Ib)〔化合物(I)に
おけるR2 がNHR6 である化合物〕の合成は、通常、
化合物(Ia)と化合物(IV)とを溶媒中又は無溶媒で反応
させることによって行うことができる。
【0052】
【化15】
【0053】(式中、R1 ,R3 ,R4 ,R5 ,R6
びnは、前記の記載と同義である。) 溶媒としては、例えば、合成法1に記載のエーテル類、
アルコール類、アミド類、水などの他に、塩素化された
又はされていない芳香族,脂肪族,脂環式の炭化水素
類、ニトリル類(アセトニトリル,プロピオニトリルな
ど)、有機塩基(トリエチルアミン,ピリジン,N,N
−ジメチルアニリンなど)、1,3−ジメチル−2−イ
ミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、前記溶媒の混
合物などを挙げることができる。
【0054】そして、その溶媒の使用量は、化合物(Ia)
の濃度が1〜80重量%の濃度範囲になるようにして使
用することができるが、好ましくは化合物(Ia)の濃度が
1〜50重量%になるようにして使用するのがよい。反
応温度は、特に限定されないが、−30℃から使用する
溶媒の沸点以下の温度範囲内であり、0〜80℃が好ま
しい。反応時間は、前記の濃度,温度によって変化する
が、通常1〜30時間で行うことができる。
【0055】原料化合物の使用量は、化合物(Ia)に対
して化合物(IV)が1〜50倍モルであるが、好ましく
は1〜5倍モルである。化合物(IV)は、市販品〔メチ
ルアミンメタノール溶液40%(和光純薬工業株式会社
製。品番131−10395)〕を使用することができ
る。本発明の化合物(Ib)の合成で使用する化合物(I
V)は、アミノ基を有しているので、これらの酸付加塩
をこれらの代わりに使用することもできる。以上のよう
にして製造された目的の化合物(Ib)は、反応終了後、抽
出,濃縮,濾過などの通常の後処理を行い、必要に応じ
て再結晶,各種クロマトグラフィーなどの公知の手段で
適宜精製することができる。
【0056】化合物(Ib)としては、例えば、後述の表4
〜6中に示した化合物(Ib-1)〜化合物(Ib-21) を挙げる
ことができる〔化合物(Ia-1)は、化合物(I)で示され
る式におけるR1 及びR6 がメチル基、R3 がシクロプ
ロピル基、(R4 )がp−アリルオキシ基である。〕。
【0057】(合成法3)化合物(Ia)の合成は、次に示
すように、化合物(V)と化合物(VI)とを溶媒中又は
無溶媒で反応させることによって行うことができるが、
反応を促進させるために、塩基の存在下で反応させるこ
とが好ましい。
【0058】
【化16】
【0059】(式中、R1 ,R3 ,R4 ,R5 ,n及び
Xは、前記の記載と同義である。) 溶媒としては、合成法2に記載したものの他にケトン類
(アセトン,メチルエチルケトンなど)を挙げることが
できる。そして、その溶媒の使用量は、化合物(V)の
濃度が1〜80重量%の濃度範囲になるようにして使用
することができるが、好ましくは化合物(V)の濃度が
1〜50重量%になるようにして使用するのがよい。
【0060】塩基としては、特に限定されず、例えば、
有機塩基(例えば、トリエチルアミン,ピリジン,N,
N−ジメチルアニリン,DBUなど)、アルカリ金属ア
ルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド,ナトリウ
ムエトキシド,カリウム−t−ブトキシドなど)、無機
塩基(例えば、水素化ナトリウム,ナトリウムアミド,
水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,炭酸ナトリウム,
炭酸水素ナトリウム,炭酸カリウムなど)などを挙げる
ことができるが;アルカリ金属アルコキシドが好まし
い。
【0061】そして、その塩基の使用量は、化合物
(V)に対して0.5〜10倍モルで使用することがで
きるが、好ましくは0.8〜5倍モルであるのがよい。
反応温度は、特に限定されないが、室温から使用する溶
媒の沸点以下の温度範囲内であり、30〜110℃が好
ましい。反応時間は、前記の濃度,温度によって変化す
るが、通常0.3〜30時間で行うことができる。原料
化合物の使用量は、化合物(V)に対して化合物(VI)
が0.5〜2倍モルであるが、好ましくは0.8〜1.
5倍モルであるのがよい。本発明で用いる化合物(V)
は、例えば、次に示すように、化合物(VII) と化合物(I
II) とを、溶媒中で反応させることによって製造するこ
とができる。
【0062】
【化17】
【0063】(式中、R1 ,R5 及びXは、前記の記載
と同義である。) 溶媒としては、合成法1に記載のエーテル類、アルコー
ル類、アミド類、水、合成法2に記載の炭化水素類、ニ
トリル類、有機塩基、1,3−ジメチル−2−イミダゾ
リジノン、ジメチルスルホキシド、前記溶媒の混合物な
どを挙げることができる。その溶媒使用量は、化合物
(V)の濃度が1〜80重量%の濃度範囲になるように
して使用することができる。反応温度は、特に限定され
ないが、室温から使用する溶媒の沸点以下の温度範囲内
で行うことができる。反応時間は、前記の濃度,温度に
よって変化するが、通常2〜30時間で行うことができ
る。
【0064】これらの化合物の使用量は、化合物(VII)
に対して化合物(III)が0.5〜3倍モルであるが、好
ましくは0.5〜1.7倍モルであるのがよい。以上の
ようにして製造された化合物(V)は、反応終了後、抽
出,濃縮,濾過などの通常の後処理を行い、必要に応じ
て再結晶,各種クロマトグラフィーなどの公知の手段で
適宜精製することができる。
【0065】化合物(V)としては、例えば、後述の表
1〜3中に示した化合物(Ia-1)〜化合物(Ia-21) などに
対応した各置換基の種類からなる化合物(V)〔化合物
(V)Ia-1〜(V)Ia-21 と称する。また、この化合物
(V)には、オキシムエーテル部分の幾何異性体(E−
体,Z−体)及び両者の混合物も含まれる。例えば、化
合物(V)Ia-1は、化合物(V)で示される式における
1 及びR5 がメチル基、Xがハロゲン原子、オキシム
エーテル部分がE配置である。〕を挙げることができ
る。化合物(VI) は、例えば、次式に示すようにJ.Vos
s, W.Walter, Ann. 716,209(1986)に記載された一般的
な合成法によって、製造することができる。
【0066】
【化18】
【0067】(式中、R3 ,R4 及びnは、前記の記載
と同義である。) 化合物(VI)としては、例えば、後述の表1〜3中に示
した化合物(Ia-1)〜化合物(Ia-21) などに対応した各置
換基の種類からなる化合物(VI)〔化合物(VI)Ia-1
(VI)Ia-21 と称する。例えば、化合物(VI)Ia-1は、
化合物(VI)で示される式におけるR3 がシクロプロピ
ル基、(R4 n がp−アリルオキシ基である。〕を挙
げることができる。
【0068】化合物(Ia)としては、例えば、後述の表
1〜3中に示した化合物(Ia-1)〜化合物(Ia-21) を挙げ
ることができる〔化合物(Ia-1)は、化合物(I)で示さ
れる式におけるR1 及びR5 がメチル基、R3 がシクロ
プロピル基、(R4 )nがp−アリルオキシ基であ
る。〕。
【0069】本発明の化合物(I)で防除効果が認めら
れる農園芸病原菌としては、例えば、コムギ赤さび病,
大麦うどんこ病,キュウリべと病、イネいもち病、トマ
ト疫病などを挙げることができる。
【0070】本発明の殺菌剤は、キュウリなどの農園芸
用作物に対して殆ど薬害が認められず、また、顕著な殺
菌効果を有しており、化合物(I)の1種以上を有効成
分として含有するものである。化合物(I)は、単独で
使用することもできるが、通常は常法によって、担体,
界面活性剤,分散剤,補助剤などを配合(例えば、粉
剤,乳剤,微粒剤,粒剤,水和剤,油性の懸濁液,エア
ゾールなどの組成物として調製する)して使用すること
が好ましい。
【0071】担体としては、例えば、タルク,ベントナ
イト,クレー,カオリン,ケイソウ土,ホワイトカーボ
ン,バーミキュライト,消石灰,ケイ砂,硫安,尿素な
どの固体担体;炭化水素(ケロシン,鉱油など)、芳香
族炭化水素(ベンゼン,トルエン,キシレンなど)、塩
素化炭化水素(クロロホルム,四塩化炭素など)、エー
テル類(ジオキサン,テトラヒドロフランなど)、ケト
ン類(アセトン,シクロヘキサノン,イソホロンな
ど)、エステル類(酢酸エチル,エチレングリコールア
セテート,マレイン酸ジブチルなど)、アルコール類
(メタノール,n−ヘキサノール,エチレングリコール
など)、極性溶媒(ジメチルホルムアミド,ジメチルス
ルホキシドなど)、水などの液体担体;空気,窒素,炭
酸ガス,フレオンなどの気体担体(この場合には、混合
噴射することができる)などを挙げることができる。
【0072】本剤の動植物への付着,吸収の向上,薬剤
の分散,乳化,展着などの性能を向上させるために使用
できる界面活性剤や分散剤としては、例えば、アルコー
ル硫酸エステル類,アルキルスルホン酸塩,リグニンス
ルホン酸塩,ポリオキシエチレングリコールエーテルな
どを挙げることができる。そして、その製剤の性状を改
善するためには、例えば、カルボキシメチルセルロー
ス,ポリエチレングリコール,アラビアゴムなどを補助
剤として用いることができる。
【0073】本剤の製造では、前記の担体,界面活性
剤,分散剤及び補助剤をそれぞれの目的に応じて、各々
単独で又は適当に組み合わせて使用することができる。
本発明の化合物(I)を製剤化した場合の有効成分濃度
は、乳剤では通常1〜50重量%,粉剤では通常0.3
〜25重量%,水和剤では通常1〜90重量%,粒剤で
は通常0.5〜5重量%,油剤では通常0.5〜5重量
%,エアゾールでは通常0.1〜5重量%である。これ
らの製剤を適当な濃度に希釈して、それぞれの目的に応
じて、植物茎葉,土壌,水田の水面に散布するか、又は
直接施用することによって各種の用途に供することがで
きる。
【0074】
【実施例】以下、本発明を参考例及び実施例によって具
体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明の範
囲を限定するものではない。 参考例1〔化合物(V)の合成〕 (1) 2−(2’−ブロモメチルフェニル)−2−メトキ
シイミノ酢酸メチルの合成 2−(2’−ブロモメチルフェニル)−2−オキソ酢酸
メチル(27.7g)をメタノール(200ml)に溶
解し、水(1.0ml)を加えた後、o−メチルヒドロ
キシルアミン塩酸塩(9.10g)を添加し、攪拌しな
がら溶解した。一昼夜、室温で攪拌した後、減圧下、溶
媒を留去した。得られた残渣に酢酸エチル(400m
l)を加え、飽和食塩水(200ml)で3回洗浄し、
無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、濾過し、濾
液を減圧下で濃縮し、褐色油状の残渣を得た。得られた
残渣をカラムクロマトグラフィー〔ワコーゲルC−20
0、(トルエン:酢酸エチル)が(50:1)から
(9:1)まで溶出〕で精製することによって、最初に
溶出した淡黄色油状の液体である目的物(Eアイソマ
ー)を10g、次に溶出した淡黄色油状の液体である目
的物(Zアイソマー)を10g得た。
【0075】(異性体の物性) ・Eアイソマー1 H−NMR(270MHz,297K,CDCl3
TMS)δ:7.60〜7.00(4H,m)、4.3
4(2H,s)、4.07(3H,s)、3.89(3
H,s)ppm
【0076】・Zアイソマー1 H−NMR(270MHz,297K,CDCl3
TMS)δ:7.60〜7.00(4H,m)、4.4
4(2H,s)、4.06(3H,s)、3.87(3
H,s)ppm
【0077】実施例1 (A)〔化合物(II)の合成〕 (1) 2−{シクロプロピル−(4’−エトキシフェニル
イミノ)メチルチオメチル}フェニルオキソ酢酸メチル
〔化合物(II)Ia-1〕の合成 2−(2’−ブロモメチルフェニル)−2−オキソ酢酸
メチル(5.0g)にテトラヒドロフラン(100m
l)を加えた後、シクロプロピルカルボチオ−4’−エ
トキシアニリド(4.3g)を溶解し、攪拌しながらカ
リウム-tert-ブトキシド(2.6g)を加えて2時間加
熱還流した。反応終了後、室温まで冷却し、減圧下で溶
媒を留去した。得られた残渣にジエチルエーテル(20
0ml)を加え、飽和食塩水(100ml)で3回洗浄
し、エーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾
燥後、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、褐色油状の残渣
を得た。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(ワ
コーゲルC−200、トルエン:酢酸エチル=4:1溶
出)で精製することによって、最初に溶出した淡黄色油
状の液体である目的物を1.2g得た。
【0078】(物 性)1 H−NMR(400MHz,297K,CDCl3
TMS)δ:7.75〜7.25(4H,m)、7.0
0〜6.65(4H,m)、4.56(2H,s)、
4.02(2H,q,8.0Hz)、3.94(3H,
s)、1.85〜1.68(1H,m)、1.43(3
H,t,8Hz)、1.10〜0.65(4H,m)p
pm
【0079】(2) 前記と同様の方法で後述の表1〜3中
の化合物(I)に対応したその他の化合物(II)を合成
した。 (B)〔化合物(I)の合成〕 (1)2−〔2’−{シクロプロピル−(4”−エトキシ
フェニルイミノ)メチルチオメチル}フェニル〕−2−
メトキシイミノ酢酸メチル〔化合物(Ia-3a)及び化合物
(Ia-3b) 〕の合成 2−{シクロプロピル−(4’−エトキシフェニルイミ
ノ)メチルチオメチル}フェニルオキソ酢酸メチル
(0.9g)にメタノール(50ml)を加えて溶解し
た後、炭酸カリウム(3.1g)を加えて攪拌した。こ
れにo−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.2g)
を加えて室温で4時間攪拌した。反応終了後、一晩放置
して濾過した後、減圧下で溶媒を留去し、残渣にジエチ
ルエーテル(50ml)を加え、飽和食塩水(50m
l)で3回洗浄した。エーテル層を無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥した後、溶媒を減圧下で留去し、得られた残渣
をカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,
トルエン:酢酸エチル=4:1溶出)で精製することに
よって、油状の目的物を0.6g得た。
【0080】(2)E−2−〔2’−{シクロプロピル−
(3”,5”−ジメトキシフェニルイミノ)メチルチオ
メチル}フェニル〕−2−メトキシイミノ酢酸メチル
〔化合物(Ia-6a) 〕の合成 シクロプロピルカルボチオ−3’,5’−ジメトキシア
ニリド(1.0g)をテトラヒドロフラン(50ml)
に溶解した後、E−2−(2’−ブロモメチルフェニ
ル)−2−メトキシイミノ酢酸メチル(1.2g)を加
え、攪拌しながらカリウム-tert-ブトキシド(0.77
g)を加えた後、3時間加熱還流した。反応混合物を減
圧下で濃縮し、残渣にジエチルエーテル(100ml)
を加え、飽和食塩水(50ml)で3回洗浄した。エー
テル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、溶
媒を減圧下で留去し、得られた残渣をカラムクロマトグ
ラフィー〔ワコーゲルC−200、(トルエン:酢酸エ
チル)が(9:1)から(4:1)まで溶出〕で精製す
ることによって、油状の目的物を0.62g得た。
【0081】(3)2−〔2’−{シクロプロピル−
(4”−トリルイミノ)メチルチオメチル}フェニル〕
−2−メトキシイミノ酢酸メチル〔化合物(Ia-15) 〕の
合成 シクロプロピルカルボチオ−4’−メチルアニリド
(0.76g)をテトラヒドロフラン(50ml)に溶
解した後、E−2−(2’−ブロモメチルフェニル)−
2−メトキシイミノ酢酸メチル(1.14g)を加え、
攪拌しながらカリウム-tert-ブトキシド(0.54g)
を加えた後、3時間加熱還流した。反応終了後、室温ま
で冷却し、減圧下で溶媒を留去し、残渣にジエチルエー
テル(100ml)を加え、飽和食塩水(50ml)で
3回洗浄した。エーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾
燥し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣を
カラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200、ヘ
キサン:酢酸エチル=9:1溶出)で精製することによ
って、油状の目的物を1.05g得た。
【0082】(4)N−メチル−2−〔2’−{シクロプ
ロピル−(3”,5”−ジメトキシフェニルイミノ)メ
チルチオメチル}フェニル〕−2−メトキシイミノ酢酸
アミド〔化合物(Ib-6)〕の合成 2−〔2’−{シクロプロピル−(3”,5”−ジメト
キシフェニルイミノ)メチルチオメチル}フェニル〕−
2−メトキシイミノ酢酸メチル(0.62g)をメタノ
ール(20ml)に溶解した後、40%メチルアミンメ
タノール液(1.08g)を加え、室温で一昼夜攪拌し
た。反応混合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をカラ
ムクロマトグラフィー〔ワコーゲルC−200、(トル
エン:酢酸エチル)が(9:1)から(4:1)まで溶
出〕で精製することによって、油状の目的物を0.4g
得た。
【0083】(5) N−メチル−2−〔2’−{シクロプ
ロピル−(4”−トリルイミノ)メチルチオメチル}フ
ェニル〕−2−メトキシイミノ酢酸アミド〔化合物(Ib-
13) 〕の合成 2−〔2’−{シクロプロピル−(4”−トリルイミ
ノ)メチルチオメチル}フェニル〕−2−メトキシイミ
ノ酢酸メチル(0.75g)をメタノール(20ml)
に溶解した後、40%メチルアミンメタノール溶液
(1.50g)を加え、室温で一昼夜攪拌した。反応混
合物を減圧下で濃縮し、得られた残渣をカラムクロマト
グラフィー(ワコーゲルC−200、トルエン:酢酸エ
チル=9:1溶出)で精製することによって、油状の目
的物を0.5g得た。
【0084】(6) 前記の方法に準じて、表1〜6中のそ
の他の化合物(I)を合成した。それらの化合物と物性
値を表1〜11に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】
【表6】
【0091】
【表7】
【0092】
【表8】
【0093】
【表9】
【0094】
【表10】
【0095】
【表11】
【0096】実施例2〔製剤の調製〕 (1) 粒剤の調製 化合物(Ia-1)を5重量部,ベントナイト35重量部,タ
ルク57重量部,ネオペレックスパウダー(商品名;花
王株式会社製)1重量部及びリグニンスルホン酸ソーダ
2重量部を均一に混合し、次いで少量の水を添加して混
練した後、造粒、乾燥して粒剤を得た。
【0097】(2) 水和剤の調製 化合物(Ia-1)を10重量部,カオリン70重量部,ホワ
イトカーボン18重量部,ネオペレックスパウダー(商
品名;花王株式会社製)1.5重量部及びデモール(商
品名;花王株式会社製)0.5重量部とを均一に混合
し、次いで粉砕して水和剤を得た。
【0098】(3) 乳剤の調製 化合物(Ia-1)を20重量部及びキシレン70重量部に、
トキサノン(商品名;三洋化成工業製)10重量部を加
えて均一に混合し、溶解して乳剤を得た。
【0099】(4) 粉剤の調製 化合物(Ia-1)を5重量部,タルク50重量部及びカオリ
ン45重量部を均一に混合して粉剤を得た。
【0100】実施例3〔効力試験〕 (1) キュウリべと病に対する防除効力試験 直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり1本のキ
ュウリ(品種;相模半白)を育成し、1.5葉期の幼植
物体に、表1〜6に示した目的化合物(I)から実施例
2に準じて調製した水和剤を、界面活性剤(0.01
%)を含む水で所定濃度(200又は500ppm)に
希釈して、1鉢あたり20mlで散布した。散布後、2
日間ガラス温室で栽培し、次いで、キュウリべと病菌
(Pseudoperonospora cubensis)の遊走子嚢を罹病葉か
ら調製し、これを植物葉の裏面にまんべんなく噴霧接種
した。接種後、2日間20℃で暗黒下に保った後、5日
間ガラス温室内で育成し、第一葉に現れたキュウリべと
病病斑の程度を調査した。
【0101】薬剤効果の評価は、無処理区の病斑の程度
と比較して、6段階(0:全体が罹病、1:病斑面積が
60%程度、2:病斑面積が40%程度、3:病斑面積
が20%程度、4:病斑面積が10%以下、5:病斑無
し)で示した。なお、比較例としては、特開平63−2
3852号公報に記載された化合物番号100の次式
(A);
【0102】
【化19】
【0103】で示される比較化合物Aと特開平3−24
6268号公報に記載された化合物番号3の次式
(B);
【0104】
【化20】
【0105】で示される比較化合物Bとを、化合物
(I)の場合と同様に検討した。その結果を表12に示
す。
【0106】
【表12】
【0107】(2) イネいもち病に対する防除効力試験
(予防効果) 直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり10本の
イネ(品種;日本晴)を育成し、1.5葉期の幼植物体
に、実施例2に準じて調製した表1〜6で示した化合物
(I)の各水和剤を、界面活性剤(0.01%)を含む
水で所定濃度(200又は500ppm)に希釈して、
1鉢あたり20mlづつ散布した。散布後、2日間ガラ
ス温室で栽培し、次いで、罹病葉から調製したイネいも
ち病菌の分生胞子懸濁液を植物葉に均一に噴霧接種し
た。接種後、5日間28℃湿室内で育成し、葉に現れた
イネいもち病病斑の程度を調査した。その結果を、前記
(1) の6段階の評価方法で表13に示す。
【0108】
【表13】
【0109】(3) オオムギうどんこ病に対する防除効力
試験(予防効果) 直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり10本づ
つオオムギ(品種;黒ムギ)を育成し、1.5葉期の幼
植物体に、実施例2に準じて調製した表1〜6で示した
化合物(I)の各水和剤を、界面活性剤(0.01%)
を含む水で各々所定濃度(200又は500ppm)に
希釈して、これらの各薬液を1鉢あたり20mlづつ散
布した。 これらを2日間ガラス温室で栽培し、次い
で、オオムギうどんこ病菌分成胞子を罹病葉から集め、
これを各植物体の上からまんべんなく振りかけて接種し
た。 次に、これらを1週間ガラス温室内で育成し、各
第一葉に現れたオオムギうどんこ病病斑の程度を調査し
た。その結果を、前記の(1) に記載した6段階の評価方
法で、表14に示す。
【0110】
【表14】
【0111】(5) コムギ赤さび病に対する防除効力試験
(予防効果) 直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり10本づ
つコムギ(品種;コブシコムギ)を育成し、1.5葉期
の幼植物体に、実施例2に準じて調製した表1〜6で示
した化合物(I)の水和剤を、界面活性剤(0.01
%)を含む水で所定濃度(200又は500ppm)に
希釈して、1鉢あたり20mlで散布した。散布後、2
日間ガラス温室で栽培し、次いで、コムギ赤さび病菌の
胞子懸濁液(7×104 胞子/ml)を植物体に均一に
噴霧接種した。接種後、1週間ガラス温室内で育成し、
第一葉に現れたコムギ赤さび病病斑の程度を調査した。
その結果を、前記の(1) に記載した6段階の評価方法
で、表15に示す。
【0112】
【表15】
【0113】実施例4〔薬害試験〕 (1) キュウリに対する薬害試験 直径6cmのプラスチック植木鉢に1鉢あたり1本のキ
ュウリ(品種;相模半白)を育成し、1.5葉期の幼植
物体に、表1〜6に示した目的化合物(I)から実施例
2に準じて調製した水和剤を、界面活性剤(0.01
%)を含む水で500ppmに希釈して、1鉢あたり2
0mlで散布した。散布後、5日間ガラス温室で育成
し、薬害の程度を評価した。薬害の評価は、4段階(+
+:薬害の程度がひどい、+:薬害の程度が軽い、±:
薬害の程度が極めて軽い、−:薬害が認められない)で
示した。なお、比較例としては、実施例3の(1) に記載
した比較化合物AとBとを、化合物(I)の場合と同様
に検討した。その結果を表16に示す。
【0114】
【表16】
【0115】
【発明の効果】本発明の新規なオキシムエーテル系化合
物は、農園芸用作物に対して薬害が殆ど認められず,殺
菌効果優れているので、農園芸用の殺菌剤として優れた
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 正 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社 宇部研究所内 審査官 佐藤 修 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 327/58 A01N 41/12 CA(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I): 【化1】 〔式中、R1 は、炭素原子数1〜6個のアルキル基を表
    し;R2 は、OR5 ,又はNHR6 を表し(なお、R5
    及びR6 は、相異なっていてもよい炭素原子数1〜6個
    のアルキル基を表す。);R3 は、炭素原子数3〜8個
    のシクロアルキル基を表し;R4 は、炭素原子数3〜6
    個のアルケニルオキシ基,炭素原子数3〜6個のアルキ
    ニルオキシ基,炭素原子数1〜10個のアルコキシ基,
    ベンジルオキシ基,炭素原子数2〜7個のアルコキシカ
    ルボニル基,ハロゲン原子,シアノ基,炭素原子数1〜
    6個のアルキルチオ基,炭素原子数1〜6個のアルキル
    基,炭素原子数1〜6個のハロアルキル基,又は炭素原
    子数2〜7個のアシル基を表し;nは、0〜5の整数を
    表す。〕で示されるオキシムエーテル系化合物。
  2. 【請求項2】 次式(II): 【化2】 (式中、R3 ,R4 ,R5 及びnは、請求項1の記載と
    同義である。)で示されるα−ケトエステル系化合物。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の式(II)で示されるα−
    ケトエステル系化合物と次式(III) : 【化3】 (式中、R1 は、請求項1の記載と同義である。)で示
    される化合物とを反応させることを特徴とする請求項1
    記載の式(I)においてR2 がOR5 で示されるオキシ
    ムエーテル系化合物の製法。
  4. 【請求項4】 請求項3のオキシムエーテル系化合物と
    次式(IV): 【化4】 (式中、R6 は、請求項1の記載と同義である。)で示
    される化合物とを反応させることを特徴とする請求項1
    記載の式(I)においてR2 がNHR6 で示されるオキ
    シムエーテル系化合物の製法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の式(I)で示されるオキ
    シムエーテル系化合物を有効成分とする殺菌剤。
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