JP3852523B2 - ピリジンカルボン酸ハロアルケニルエステル誘導体、その製法及び農園芸用の有害生物防除剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農園芸用の有害生物防除剤として有用である新規なピリジンカルボン酸ハロアルケニルエステル誘導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明のピリジンカルボン酸ハロアルケニルエステル誘導体は、新規化合物であることから、農園芸用の有害生物防除活性を有することも知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、新規なピリジンカルボン酸ハロアルケニルエステル誘導体、その製法及びそれを有効成分とする農園芸用の有害生物防除剤を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために検討した結果、新規なピリジンカルボン酸ハロアルケニルエステル誘導体が顕著な農園芸用の殺虫・殺菌活性を有することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は次の通りである。
第1の発明は、次式(1):
【0005】
【化4】
【0006】
で示されるピリジンカルボン酸ハロアルケニルエステル誘導体に関するものである。
なお、式中のR,X1,X2,m及びnは、次の通りである。
Rは、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基及び水酸基を表す。
X1は、ハロゲン原子及び水素原子を表す。
X2は、ハロゲン原子を表す。
mは、0〜3の整数を表す。
nは、1〜6の整数を表す。
第2の発明は、次式(2):
【0007】
【化5】
【0008】
(式中、R及びmは、前記と同義である。)
で示されるピリジンカルボン酸類と
次式(3):
【0009】
【化6】
【0010】
(式中、X1,X2,n及びYは、記載と同義である。)
で示される化合物とを反応させることを特徴とする、前記の式(1)で示されるピリジンカルボン酸ハロアルケニルエステル誘導体の製法に関するものである。
【0011】
第3の発明は、前記の式(1)で示されるピリジンカルボン酸ハロアルケニルエステル誘導体を有効成分とする農園芸用の有害生物防除剤に関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
前記の化合物で表した各種の置換基などは、次の通りである。
Rは、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基及び水酸基を表す。
X1は、ハロゲン原子及び水素原子を表す。
X2は、ハロゲン原子を表す。
Yは、ハロゲン原子又は低級アルキルスルホニルオキシ基を表わす。
mは、0〜3の整数を表す。
nは、1〜6の整数を表す。
【0013】
Rにおけるアルキル基としては、炭素原子数1〜4個の直鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが;好ましくはCH3である。
Rにおけるハロゲン原子としては、塩素原子,ヨウ素原子,臭素原子,フッ素原子などを挙げることができるが;好ましくは、塩素原子,臭素原子である。
Rにおけるアルコキシ基としては、炭素原子数1〜4個の直鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが;好ましくはOCH3である。
Rにおけるアルキルチオ基としては、炭素原子数1〜4個の直鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが;好ましくはSCH3又はSn-C3H7である。
【0014】
X1及びX2におけるハロゲン原子としては、塩素原子,ヨウ素原子,臭素原子,フッ素原子などを挙げることができるが;好ましくは、フッ素原子,塩素原子である。
Yにおけるハロゲン原子としては、塩素原子,ヨウ素原子,臭素原子,フッ素原子などを挙げることができるが;好ましくは、塩素原子,臭素原子である。
Yにおけるアルキルスルホニルオキシ基としては、直鎖状又は分岐状のものを挙げることができるが;好ましくは−OSO2CH3である。
mは、0〜3の整数であるが;好ましくは0〜2であるある。
nは、1〜6の整数であるが;好ましくは、1,2又は4である。
【0015】
化合物(1)としては、前記の各種の置換基を組み合わせたものを挙げることができるが、薬効の面から好ましいものは、次の通りである。
(1)Rがクロル原子でmが1又は2であり、nが2であり、X1及びX2がフッ素原子である化合物。
(2)Rがクロル原子でmが1又は2であり、nが4であり、X1が水素原子であり、X2がフッ素原子である化合物。
(3)(R)mが水素原子であり、nが2であり、X1及びX2がフッ素原子である化合物。
(4)(R)mがメチル基とクロル原子であり、nが2であり、X1及びX2がフッ素原子である化合物。
(5)Rがでプロピルチオ基であり、mが1であり、nが4であり、X1が水素原子であり、X2がフッ素原子である化合物。
(6)Rがメチルチオ基であり、mが1であり、nが2であり、X1及びX2がフッ素原子である化合物。
(7)Rがメトキシ基であり、mが1であり、nが2であり、X1及びX2がフッ素原子である化合物。
(8)Rがクロル原子であり、mが2であり、nが1であり、X1が水素原子であり、X2がクロル原子である化合物。
【0016】
前記の本発明の化合物(1)の合成法を、さらに詳細に述べる。
化合物(1)は、以下に示す合成法1又は2によって合成することができる。
(合成法1)
化合物(1〕は、次に示すように、化合物(2)と化合物(3)とを、溶媒中塩基存在下で反応させることによって合成することができる。
【0017】
【化7】
【0018】
(式中、R,X1,X2,Y,m及びnは、前記と同義である。)
原料のモル比は任意に設定できるが、通常、化合物(2)1モルに対して化合物(3)は0.5〜2モルの割合である。
溶媒の種類としては、本反応に直接関与しないものであれば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタリン、石油エーテル、リグロイン、ヘキサン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロルエタン、トリクロルエチレンのような塩素化された又はされていない芳香族、脂肪族、脂環式の炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのようなエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのようなニトリル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのようなケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドンなどのような非プロトン性極性溶媒;及び前期溶媒の混合物などを挙げることができる。
【0019】
溶媒の使用量は、化合物(2)が5〜80重量%になるようにして使用することができるが;10〜70重量%が好ましい。
塩基の種類としては、特に限定されず、有機及び無機塩基、例えばトリエチルアミンのような第3級アミン、ピリジン、ピペリジンなどのような芳香族或いは非芳香族のへテロ環、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水素化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、ナトリウムメチラート、カリウム−t−ブトキサイドなどのようなアルカリ金属アルコラートを挙げることができる。
塩基の使用量は、化合物(2)に対して1〜5倍モルであるが;好ましくは1.0〜1.5倍モルである。
【0020】
反応温度は、特に限定されないが、−20℃から溶媒の沸点以下の温度範囲内であり;好ましくは室温〜50℃である。
反応時間は、前記の濃度、温度によって変化するが;通常0.5〜5時間である。
原料化合物(2)は、市販品として入手することができる。
原料化合物(3)は、市販品として入手するか、Yがアルキルスルホニル基であり、X1が水素原子であり、X2がフッ素原子である化合物は次式に示す方法で製造することができる。
【0021】
【化8】
【0022】
(式中、nは、前記と同義である。)
化合物(1)は、合成法1の他に、次のスキームによっても合成することができる。
【0023】
【化9】
(式中、R,X1,X2,m及びnは、前記と同義である。)
【0024】
化合物(1)としては、例えば、後述の表1及び2中に示した化合物1〜24を挙げることができる。
【0025】
〔防除効果〕
本発明の化合物(1)で防除効果が認められる農園芸用の有害生物としては、農園芸害虫〔例えば、半翅目(ウンカ類,ヨコバイ類,アブラムシ類,コナジラミ類など)、鱗翅目(ヨトウムシ類,コナガ,ハマキムシ類,メイガ類,シンクイムシ類,モンシロチョウなど)、鞘翅目(ゴミムシダマシ類,ゾウムシ類,ハムシ類,コガネムシ類など)、ダニ目(ハダニ科のミカンハダニ,ナミハダニなど、フシダニ科のミカンサビダニなど)〕;線虫(ネコブセンチュウ、シストセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シンガレセンチュウ、マツノザイセンチュウなど);衛生害虫(例えば、ハエ,カ,ゴキブリなど);屋内ダニ類(例えば、ヒョウヒダニ科のコナヒョウヒダニ,ヤケヒョウヒダニなど、コナダニ科のケナガコナダニ,ムギコナダニなど);動物寄生性ダニ類(例えば、ニクダニ類,ツメダニ類,ホコリダニ類など);貯穀害虫(コクヌストモドキ類,マメゾウムシ類など);農園芸病原菌(例えば、コムギ赤さび病、大麦うどんこ病、キュウリべと病、イネいもち病、トマト疫病など)を挙げることができる。また,本発明化合物(1)は浸透移行性を有し,葉茎散布はもとより,種子処理,苗箱処理,株元処理,土壌灌注処理,土壌混和処理で使用可能である。
【0026】
本発明の農園芸用の有害生物防除剤は、特に、殺虫・殺ダニ・殺線虫・殺菌効果が顕著であり、化合物(1)の1種以上を有効成分として含有するものである。
化合物(1)は、単独で使用することもできるが、通常は常法によって、希釈剤、界面活性剤、分散剤、補助剤などを配合し、例えば、扮剤、乳剤、微粒剤、粒剤、水和剤、顆粒水和剤、水性懸濁剤、油性の懸濁剤、乳濁剤、可溶化製剤、油剤、マイクロカプセル剤、エアゾールなどの組成物として調整して使用することが好ましい。
【0027】
個体希釈剤としては、例えば、タルク,ベントナイト,モンモリロナイト,クレー,カオリン,炭酸カルシウム,ケイソウ土,ホワイトカーボン,バーミキュライト,消石灰,ケイ砂,硫安,尿素などが挙げられる。液体希釈剤としては、例えば、炭化水素類、例えば、ケロシン,鉱油など;芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン、ジメチルナフタレン、ジメチルキシリルエタンなど;塩素化炭化水素類、例えば、クロロホルム,四塩化炭素など;エーテル類、例えば、ジオキサン,テトラヒドロフランなど;ケトン類、例えば、アセトン,シクロヘキサノン,イソホロンなど;エステル類、例えば、酢酸エチル,エチレングリコールアセテート,マレイン酸ジブチルなど;アルコール類、例えば、メタノール,n−ヘキサノール,エチレングリコールなど;極性溶媒類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド,N−メチルピロリドンなど;水などが挙げられる。個着剤及び分散剤としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ベントナイト、ザンサンガム、アラビアガムなどが、挙げられる。エアゾール噴射剤としては、例えば、空気,窒素,炭酸ガス,プロパン,ハロゲン化炭化水素などが挙げられる。
安定剤としては、例えば、PAP,BHTなどが挙げられる。
【0028】
界面活性剤としては、例えば、アルコール硫酸エステル類,アルキルサルフェート塩,アルキルスルホン酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸塩,リグニンスルホン酸塩,ジアルキルスルホコハク酸塩,ナフタレンスルホン酸塩縮合物,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアリルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルエステル,アルキルソルビタンエステル,ポリオキシエチレンソルビタンエステル,ポリオキシエチレンアルキルアミンなどを挙げることができる。
【0029】
本剤の製造では、前記の希釈剤,界面活性剤,分散剤及び補助剤をそれぞれの目的に応じて、各々単独で又は適当に組み合わせて使用することができる。
本発明の化合物(1)を製剤化した場合の有効成分濃度は、乳剤では通常1〜50重量%,粉剤では通常0.3〜25重量%,水和剤及び顆粒水和剤では通常1〜90重量%,粒剤では通常0.5〜10重量%,懸濁剤では通常0.5〜40重量%,乳濁剤では通常1〜30重量%,可溶化製剤では通常0.5〜20重量%,エアゾールでは通常0.1〜5重量%である。
これらの製剤を適当な濃度に希釈して、それぞれの目的に応じて、植物茎葉,土壌,水田の水面に散布するか、又は直接施用することによって各種の用途に供することができる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を参考例及び実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0031】
参考例
6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニルメタンスルホネートの合成
(1)5−ヒドロキシペンチル−p−クロロベンゾエートの合成
1,5−ペンタンジオール(100g)をテトラヒドロフラン400mlに溶かし、トリエチルアミン(110g)を加えた。
次に溶液を氷冷し、同温でp−クロロベンゾイルクロライド(84g)を滴下した。滴下後室温に戻して2時間撹拌した。
反応終了後、水300mlを加えてトルエンで抽出し、水洗した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー〔ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=(9:1)〜(1:1)〕で精製することによって、無色透明液体の目的物を80g得た。
【0032】
(2)5−オキソペンチル−p−クロロベンゾエートの合成
オギザリルクロライド(37.8g)をジクロロメタン400mlに溶かし、溶液を冷却して−60℃にした。
はじめにジメチルスルホキシド(25.7g)をジクロロメタン80mlに溶かした溶液を−50〜−60℃で滴下して加え、次に5−ヒドロキシペンチル−p−クロロベンゾエート(40.0g)をジクロロメタン160mlに溶かした溶液を−50〜−60℃で滴下して加えた。
−50〜−60℃で15分撹拌した後、トリエチルアミン(83g)を−40〜−60℃で滴下して加え、さらに同温で5分撹拌した。
反応終了後、室温に戻し、水500mlを加えて分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=9:1)で精製することによって、黄色透明液体の目的物を40g得た。
【0033】
(3)6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニル−p−クロロベンゾエートの合成
5−オキソペンチル−p−クロロベンゾエート(40g)とジブロモジフルオロメタン(70g)をジメチルアセトアミド100mlに溶かし、0℃に冷却した。
トリフェニルホスフィン(87g)をジメチルアセトアミド100mlに溶かした溶液を滴下して加えた。滴下後、室温に戻して30分撹拌した。
さらに、亜鉛粉末(21g)を加えて90〜100℃で2時間撹拌した。
放冷後、水200mlを加えトルエンで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製することによって、黄色透明液体の目的物を25g得た。
【0034】
(4)6,6−ジフルオロ−5−ヘキセノールの合成
6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニル−p−クロロベンゾエート(15g)をエタノール100mlに溶かし、水酸化ナトリウム(2.5g)を水10mlに溶かした水溶液を滴下して加えて、50℃で3時間加熱撹拌した。
放冷後、エタノールを減圧留去、ジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製することによって、黄色透明液体の目的物を6.0g得た。
【0035】
(5)6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニルメタンスルホネートの合成
6,6−ジフルオロ−5−ヘキセノール(5.0g)をジクロロメタン50mlに溶かし、トリエチルアミン(3.8g)を一度に加えた。
溶液を氷冷し、メタンスルホニルクロライド(4.5g)を徐々に滴下した。滴下後、室温に戻し3時間撹拌を続けた。
反応終了後、水50mlを加えて分液し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することによって、無色透明の目的物を6.0g得た。
【0036】
実施例1〔化合物(1)〕の合成
(1)6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニル−6−クロロニコチネート〔化合物番号1)の合成
6−クロロニコチン酸(0.79g)をN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)に溶かし、炭酸カリウム(0.7g)と6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニルメタンスルホネート(1.07g)を順に加えて、40℃で3時間撹拌した。
反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=9:1で溶出)で精製することによって、無色液体である目的物を1.2g得た。
1H−NMR(270MHz),CDCl3,δ(ppm)
1.47〜1.58(m,2H)、1.75〜1.86(m,2H)、
2.02〜2.11(m,2H)、4.07〜4.23(m,1H)、
4.34〜4.30(t,2H)、7.40〜7.44(d,1H)、
8.22〜8.26(q,1H)、8.99(s,1H)
【0037】
(2)3,4,4−トリフルオロ−3−ブテニル−6−クロロニコチネート〔化合物番号2)の合成
6−クロロニコチン酸(1.57g)をN,N−ジメチルホルムアミド(40ml)に溶かし、炭酸カリウム(1.4g)と4−ブロモ−1,1,2−トリフルブテン(1.9g)を順に加えて、50℃で4時間撹拌した。
反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=9:1で溶出)で精製することによって、淡黄色液体である目的物を2.1g得た。
【0038】
(3)3,3−ジクロロプロペニル−2,6−ジクロロイソニコチネート〔化合物番号8)の合成
2,6−イソクロロニコチン酸(1.0g)をN,N−ジメチルホルムアミド(20ml)に溶かし、炭酸カリウム(0.7g)と1,1,3−トリクロロプロペン(0.75g)を順に加えて、50℃で4時間撹拌した。
反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200,トルエン:酢酸エチル=9:1で溶出)で精製することによって、淡黄色液体である目的物を1.1g得た。
【0039】
(4)表1及び2中のその他の化合物(1)の合成
前記(1)〜(3)の方法に準じて、表1及び2中のその他の化合物(1)を合成した。
以上のように合成した化合物(1)及びそれらの物性を表1及び2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
実施例2〔製剤の調製〕
(1)粒剤の調製
化合物(1)5重量部、ベントナイト35重量部、タルク57重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1重量部及びリグニンスルホン酸ソーダ2重量部を均一に混合し、次いで少量の水を添加して混練した後、押出し造粒、乾燥して粒剤を得た。
【0043】
(2)水和剤の調製
化合物(1)10重量部、カオリンクレー70重量部、ホワイトカーボン18重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5重量部及びβ−ナフタレンスルホン酸ソーダホルマリン縮合物0.5重量部を均一に混合し、次いでエアミル粉砕して水和剤を得た。
【0044】
(3)乳剤の調製
化合物(1)20重量部及びキシレン70重量部に、ソルポール3005X(商品名;東邦化学製)10重量部を加えて均一に混合し、溶解して乳剤を得た。
【0045】
(4)乳剤の調製
化合物(1)の粉5重量部、タルク50重量部及びカオリンクレー45重量部を均一に混合して粉剤を得た。
【0046】
実施例3〔効力試験〕
(1)トビイロウンカに対する効力試験
実施例2に準じて調製した表1及び2に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で300ppmに希釈し、これらの各薬液中にイネ稚苗を30秒間浸漬し、風乾後、それぞれのガラス円筒に挿入した。
次に、これらのガラス円筒に各々10頭のトビイロウンカ(4齢幼虫)を放ち、多孔質の蓋をし、25℃の定温室に放置し、4日後に各ガラス円筒の生死虫数を数えて死虫率を求めた。
殺虫効果の評価は、死虫率の範囲によって、4段階(A:100%,B:100未満〜80%,C:80未満〜60%,D:60%未満で示した。
これらの結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
(2)ツマグロヨコバイに対する効力試験
実施例2に準じて調製した表1及び2に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で各々300ppmに希釈し、これらの各薬液中にイネ稚苗を30秒間づつ浸漬して風乾後、それぞれのガラス円筒に挿入した。
次に、各円筒にツマグロヨコバイ4齢幼虫を10頭放って多孔質の栓をし、25℃の定温室に放置し、4日後に生死虫数を数えて殺虫率を求めた。
殺虫効果の評価の結果を、前記の(1)に記載した4段階の評価方法で表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
(3)ヒラタコクヌストモドキに対する効力試験
実施例2に準じて調製した表1及び2に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で各々500ppmに希釈し、これらの各薬液1mlを各プラスチックカップ内の濾紙(直径7.8cm,1枚)にまんべんなく滴下して風乾した。
これらのカップ内に各々10頭のヒラタコクヌストモドキ(成虫)を放って蓋をし、25℃の定温室に放置し、5日後に各カップ内の生死虫数を数えて殺虫率を求めた。
殺虫効果の評価の結果を、前記の(1)に記載した4段階の評価方法で表5に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
(4)ナミハダニ雌成虫に対する効力試験
実施例2に準じて調製した表1及び2に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で300ppmに希釈し、これらの各薬液中に10頭のナミハダニ雌成虫を寄生させた各インゲン葉片(直径20mm)を15秒間づつ浸漬した。
次に、これらの各葉片を25℃の定温室に放置し、3日後に各葉片における生死虫数を数えて殺ダニ率を求めた。
殺ダニ効果の評価は、殺ダニ率の範囲によって、4段階(A:100%,B:100未満〜80%,C:80未満〜60%,D:60%未満)で示した。
これらの結果を表6に示す。
【0053】
【表6】
【0054】
(5)ナミハダニ卵に対する効力試験
実施例2に準じて調製した表1及び2に示す化合物(1)の各水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で300ppmに希釈し、これらの各薬液中に5頭のナミハダニ雌成虫を24時間寄生産卵させた後に成虫を除去した各インゲン葉片(直径20mm)を15秒間づつ浸漬した。
次に、これらの各葉片を25℃の定温室に放置し、7日後に各葉片における孵化幼虫数を数えて殺卵率を求めた。
殺卵効果の評価は、殺卵率の範囲によって、4段階(A:100%,B:100未満〜80%,C:80未満〜60%,D:60%未満)で示した。
これらの結果を表7に示す。
【0055】
【表7】
【0056】
(6)ケナガコナダニに対する効力試験
長さ2.5cm、幅0.5cmのろ紙に、表1及び2に示す化合物のアセトン溶液を0.01〜0.1g/m2含浸させ、風乾して防ダニシートを得た。
各ろ紙片2枚を6ml容の各スクリューキャップ付き管瓶に入れ、各々20頭のケナガコナダニを放って、2日後にダニの生死虫数を数え死虫率を求めた。
殺ダニ効果の判定は、死虫率の範囲により4段階(A:95%以上,B:95未満〜90%,C:90未満〜50%,D:50%未満)で示した。
なお、本発明の化合物と同様の試験方法で、比較化合物を使用した。
なお、比較化合物は、ペルメトリン(商品名;アディオン)であり、
次式;
【0057】
【化10】
【0058】
で示される。
これらの結果を表8に示す。
【0059】
【表8】
【0060】
(7)サツマイモネコブセンチュウに対する効力試験
96穴プレートの各ウエルに、実施例2に準じて調製した表1及び2に示す化合物(1)の各水和剤を水で各々30ppmに希釈した薬液を入れ、各ウエルにサツマイモネコブセンチュウの2期幼虫100頭を放った。
次に、25℃の定温室に放置し、2日後に顕微鏡(40倍視野)で生死虫数を数えて殺センチュウ率を求めた。
殺センチュウ効果の評価の結果は、殺センチュウ率の範囲によって、4段階(A:100%,B:100未満〜80%,C:80未満〜60%,D:60%未満)で示した。
これらの結果を表9に示す。
【0061】
【表9】
【0062】
(8)トビイロウンカに対するイネ水耕効力試験(浸透移行性)
実施例2に準じて調製した表1及び2に示す化合物(1)の水和剤を三角フラスコに秤取り、水で100ppmに希釈した。次いで,イネ稚苗の根を良く水洗し、根だけを薬液に浸した。その後ガラス円筒をセットし、トビイロウンカ4齢幼虫10頭を放ち、ガーゼで栓をして25℃の恒温室に放置した。4日後に生死虫数を数えて死虫率を求めた。
殺虫効果の評価の結果を、前記の(1)に記載した4段階の評価方法で表10に示す。
【0063】
【表10】
【0064】
(9)コナガに対するキャベツポット土壌処理効力試験(浸透移行性)
実施例2に準じて調整した表1及び2に示す化合物(1)の水和剤を界面活性剤(0.01%)を含む水で500ppmに希釈した薬液20mlを、7〜8葉期のポット植えのキャベツの株元に灌注し、ガラス温室内に放置した。7日後に葉を切り取り、プラスチックカップに入れた。その後コナガ3齢幼虫を10頭放ち、蓋をして25℃定温室に放置した。2日後に生死虫数を数えて死虫率を求めた。
殺虫効果の評価の結果を、前記の(1)に記載した4段階の評価方法で表11
に示す。
【0065】
【表11】
【0066】
(10)抗菌試験
表1及び2に示す化合物のアセトン溶液を、最終濃度20ppmとなるようにPDA(ポテトデキストロース寒天)培地に混入させ平板培地を作製した。
予めPDA平板培地に生育させたスモモ灰星病菌の菌叢をメスで1mm四方に切り取り、作製した薬剤入り平板培地へ接種した。
25℃、暗黒下で3日間培養し、薬剤無添加区と菌叢直径を比較することで防除価を求めた。
この防除価をもとに0〜5の6段階評価を行った(0:0〜10未満%、1:10〜45未満%、2:45〜70未満%、3:70〜85未満%、4:85〜95未満%、5:95〜100%)。
これらの結果を表12に示す。
【0067】
【表12】
【0068】
【発明の効果】
本発明の新規なピリジンカルボン酸ハロアルケニルエステル誘導体は、優れた農園芸用の有害生物防除効果を有するものである。
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